JPH0122413Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、田植機における走行速度を操作する
装置に関するものである。

〔従来の技術とその問題点〕

一般に、田植機の圃場における畔際での方向旋
回は、苗植装置の駆動を停止すると共に、苗植装
置を圃場面から上昇した状態で、且つ、旋回時の
安全性を保つ等のために走行速度を減速して行わ
れる。

この場合。従来の田植機では、前記の旋回時に
各種操作を簡略化するために、前記苗植装置への
駆動伝達機構における植付クラツチ機構を、手動
操作によつて切りにすれば、これに連動して苗植
装置が上昇すると共に、走行速度が自動的に低速
走行に切換わるようにすることが行なわれてい
る。

ところが、このように植付クラツチ機構におけ
る手動による切り操作と、苗植装置の上昇及び走
行速度の低速走行とを連動したのでは、田植機を
圃場内において田植え作業を行わない状態で走行
する場合において、走行速度が遅くなるから、田
植機を、圃場内等において移動することを早くす
ることができず、作業性が低下することになる。

この場合において、走行速度を、前記植付クラ
ツチ機構における手動による切り入り操作に関連
する走行変速装置とは別の走行変速装置における
手動変速レバーの操作によつて、早くすることが
考えられるが、次に植付クラツチ機構を手動にて
入りに操作したときにおいて、前記別の走行変速
装置が高速位置になつていることに加えて、前記
植付クラツチ機構の切り入り操作に関連する走行
変速装置が元の走行位置に復帰することにより、
走行速度が高速になり過ぎることになる。そこ
で、これを防止するには、前記別の走行変速装置
における手動変速レバーを低速位置に操作しなけ
ればならないから、その手動による運転操作がき
わめて面倒であるばかりか、手動操作の遅れの
間、田植機が高速で走行することになるから、き
わめて危険であつた。

本考案は、この問題を解消した運転操作装置を
提供するものである。

〔問題を解決するための手段〕

この目的を達成するため本考案は、田植機の走
行速度を変速するための走行変速機構、及び田植
機における苗植装置を上下昇降するための昇降機
構と、前記苗植装置への動力伝達を断続するため
の植付クラツチ機構とを、前記植付クラツチ機構
における手動による切り操作に連動して、前記苗
植装置を上昇すると同時に、前記走行変速機構に
おける変速位置を低速位置にするように関連して
成る田植機において、前記走行変速機構には、そ
の変速位置を低速位置に付勢するようにした復帰
用ばね手段を設ける一方、田植機における機体の
適宜個所に設けた足踏みペタルと、前記走行変速
機構とを、当該足踏みペタルの踏み込みにより前
記走行変速機構における変速位置が、前記植付ク
ラツチ機構に優先して高速位置になるように関連
する構成にした。

〔考案の作用・効果〕

この構成において、田植機を前進走行しての田
植え作業が畦際まで進行し、畦際において方向旋
回するに際して、植付クラツチ機構を手動にて切
りに操作すると、これに連動して、苗植装置が自
動的に上昇すると同時に、走行変速装置が自動的
に低速位置になるから、田植機の走行速度は、低
速に減速される。

しかし、このように植付クラツチ機構における
手動による切り操作に関連して、苗植装置を自動
的に上昇すると同時に、走行速度を自動的に遅く
なるように構成したままでは、田植機を圃場内で
田植え作業を行わない状態で移動走行する場合
に、走行速度が遅くなつて、前記移動走行を迅速
に行うことができず、作業能率が低下することに
なる。

これに対して、本考案は、前記のように、走行
変速機構には、その変速位置を低速位置に付勢す
るようにした復帰用ばね手段を設ける一方、田植
機における機体の適宜個所に設けた足踏みペタル
と、前記走行変速機構とを、当該足踏みペタルの
踏み込みにより前記走行変速機構における変速位
置が、前記植付クラツチ機構に優先して高速位置
になるように関連する構成にしたもので、田植機
を、田植え作業を停止した状態で移動するには、
足踏みペタルを踏み込むことにより、走行変速機
構は、植付クラツチ機構における手動による切り
操作とは無関係に高速位置になるから、田植機
を、方向旋回字における走行速度よりも早い速度
で走行することができるのであり、田植え作業に
入るときには、前記足踏みペタルから足を離すこ
とにより、走行変速機構は、直ちに、植付クラツ
チ機構の切りに関連した低速位置に復帰するので
ある。

すなわち、本考案によると、植付クラツチ機構
における手動による切り操作に関連して、苗植装
置を自動的に上昇すると同時に、走行速度が遅く
なるようにした場合の弊害、つまり圃場内等での
田植機の移動速度が遅くなることを、足踏ペタル
の踏込み操作と云う至極簡単な操作によつて改善
できるのであり、しかも、前記足踏みペタルから
足を離すと、元の低速走行に直ちに復帰するか
ら、田植機が不測に高速で走行することがなく安
全性を保つことができる効果を有する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を乗用型田植機に適用し
た場合の図面について説明すると、図において符
号１は、走行車体を示し、該走行車体１は、断面
下向きコ字状車体フレーム２とその前部下面に取
付く左右一対の前二輪３と、後部下面に取付く左
右一対の後二輪４とからなり、前記車体フレーム
２の上面には、前部にエンジン５を搭載し、後部
に操縦座席６を、その中間に前記前二輪３を動か
してかじ取りをするためのハンドル７を各々備え
ている。

符号８は、前記走行車体１の後部に平行リンク
機構９及びヒツチ機構１０を介して上下動自在
で、且つ、着脱自在に取付く苗植装置を示し、該
苗植装置８は、伝動ケース１１、苗載台１２、苗
植機構１３及びフロート１４を備え、走行車体１
と平行リンク機構９との間に設けた油圧シリンダ
１５を、その油圧切換弁１６で切換作動すること
により昇降されるようになつている。

前記車体フレーム２の下面には、前記エンジン
５から動力伝達されるミツシヨンケース１７を設
け、このミツシヨンケース１７には、前記前二輪
３及び後二輪４に対する走行変速機構１８を内蔵
する。この走行変速機構１８は、軸１９上に摺動
自在にスプライン嵌合した変速クラツチ２０を、
変速レバー２１の矢印ａ方向への回動により、左
側の小歯車２２に噛合すれば各車輪３，４が減速
回転（低速位置）し、変速レバー２１の矢印ｂ方
向への回動により、右側の大歯車２３に噛合すれ
ば各車輪３，４が増速回転（高速位置）するよう
に構成され、この変速レバー２１には、当該レバ
ー２１を矢印ａ方向に回動付勢する復帰用ばね２
４を備えている。

また、前記ミツシヨンケース１７の軸１９に
は、PTO変速機構２５を連結し、該PTO変速機
構２５におけるPTO軸２６から前記苗植装置８
における伝動ケース１１への入力軸２７に伸縮自
在軸２８を介して動力伝達するに当たり、前記苗
植装置８の入力軸２７には、苗植装置８の駆動を
ON・OFFするための植付クラツチ機構２９を設
ける。

この植付クラツチ機構２９は、動力伝達軸３０
上に、入力軸２７上の主動クラツチ３１の方向に
ばね３２にて押圧付勢されたクラツチ３３がスプ
ライン係合にて摺動自在に被嵌され、該クラツチ
３３を摺動操作するシフターレバー３４の一端
に、当該クラツチ３３をそのばね３２に抗して常
時後退方向に付勢する引つ張りばね３５装着する
と共に、当該レバー３４を引つ張りばね３５に抗
する方向に引つ張るようにしたワイヤー３６を係
着して、ワイヤー３６の引つ張りを緩めれば引つ
張りばね３５力にてクラツチ３３が外れ、ワイヤ
ー３６を引つ張りばね３５に抗して引つ張れば、
クラツチ３３が入るように構成されている。

前記操縦座席６の右側には、前記植付クラツチ
機構２９に対する手動操作式のクラツチレバー３
７を車体の前後方向に回動し得るように設け、該
クラツチレバー３７に前記植付クラツチ機構２９
におけるワイヤー３６を、当該クラツチレバー３
５を後方の位置に回動操作すればワイヤー３６
が緩んでクラツチが切れ、クラツチレバー３７を
前方の位置に回動操作すればワイヤーの引つ張
りによつてクラツチが入るように連結する一方、
前記ワイヤー３６の途中には、前記引つ張りばね
３５より強い伸縮用のばね３８を備えて、クラツ
チレバー３７がクラツチ入りの位置からその前
方の位置及び位置に回動操作できるようにな
つており、更に、このクラツチレバー３７には、
前記苗植装置８の昇降用油圧シリンダ１５におけ
る油圧切換弁１６が、クラツチレバー３７をクラ
ツチ切りの位置にしたとき、苗植装置８を上昇
する上昇位置に切換わり、クラツチレバー３７を
クラツチ入りの位置にしたとき、苗植装置８を
下降する下降位置に切換わるように関連してい
る。

そして、前記クラツチレバー３７と前記変速レ
バー２１とを、クラツチレバー３７をクラツチ切
りの位置及びクラツチ入りの位置にすれば、
変速レバー２１がそのばね２４にて矢印ａ方向に
回動して低速位置になり、クラツチレバー３７を
位置にすれば、変速レバー２１をその復帰用ば
ね２４に抗して変速クラツチ２０がいずれも噛合
しない中立位置に戻すように長溝孔３９付きロツ
ド４０を介して連動連結する。

一方、前記操縦座席６の下部には、増速用の足
踏みペタル４１を設け、該足踏みペタル４１と前
記変速レバー２１とを、足踏みペタル４１の踏み
込みにより変速レバー２１がクラツチレバー３７
に拘らず矢印ｂ方向に回動して、走行変速機構１
８が高速位置に切換わるように、長溝孔４２付き
係止金具４３を備えたワイヤー４４を介して連動
連結して成るものである。

この構成において、圃場内での田植え作業に際
して、田植機を前進走行させながらクラツチレバ
ー３７を手動操作によつて位置にすれば植付ク
ラツチ機構２９がONになると共に、苗植装置８
がそのフロート１４が圃場面に接地するまで下降
するので、圃場面に対して所定の田植え作業がで
き、この場合、クラツチレバー３７が位置のま
まであると、走行速度は遅いが、クラツチレバー
３７を位置にすると、走行変速機構１８が高速
位置に切換わるので、田植え作業は早い速度にて
できることになる。そして、この早い速度の田植
え作業が畔際まで進行して、方向を旋回させると
きには、クラツチレバー３７を手動操作によつて
位置にすれば、植付クラツチ機構２９の切りに
て苗植装置８の駆動が停止すると同時に苗植装置
８が上昇し、更に走行変速機構１８が低速位置に
切換わつて、田植機の走行速度は減速されること
になるから、田植機の方向旋回時における安定性
及び操縦性が保たれるのである。

しかし、このようにクラツチレバー３７をクラ
ツチ切り位置位置に回動操作すると、走行速度
が自動的に遅くなるように構成したものでは、田
植機を圃場内で田植え作業を行わない状態で移動
走行する場合に、走行速度が遅く成つて、前記移
動走行を迅速に行うことができず、作業能率が低
下することになるが、本考案は、前記のように変
速レバー２１と足踏みペタル４１とを関連したも
ので、田植機を苗植装置８の駆動を停止した状態
で走行させるときに、足踏みペタル４１を踏み込
めば、変速レバー２１がクラツチレバー３７に拘
らず矢印ｂ方向に回動して、走行変速機構１８が
高速位置に自動的に切換わつて田植機は旋回時の
速度よりも早い速度で走行されることになる。

そして、前記足踏みペタル４１から足を離す
と、走行変速機構１８は、復帰用ばね２４によつ
て元の低速位置に直ちに復帰するのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は乗用田
植機の側面図、第２図は第１図の平面図、第３図
は本考案装置の全体図である。 １……走行車体、３……前輪、４……後輪、８
……苗植装置、１５……昇降用油圧シリンダ、１
８……走行変速機構、２１……変速レバー、２４
……復帰用ばね、２９……植付クラツチ機構、３
７……手動操作式のクラツチレバー、４１……足
踏みペタル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 田植機の走行速度を変速するための走行変速機
   構、及び田植機における苗植装置を上下昇降する
   ための昇降機構と、前記苗植装置への動力伝達を
   断続するための植付クラツチ機構とを、前記植付
   クラツチ機構における手動による切り操作に連動
   して、前記苗植装置を上昇すると同時に、前記走
   行変速機構における変速位置を低速位置にするよ
   うに関連して成る田植機において、前記走行変速
   機構には、その変速位置を低速位置に付勢するよ
   うにした復帰用ばね手段を設ける一方、田植機に
   おける機体の適宜個所に設けた足踏みペタルと、
   前記走行変速機構とを、当該足踏みペタルの踏み
   込みにより前記走行変速機構における変速位置
   が、前記植付クラツチ機構に優先して高速位置に
   なるように関連したことを特徴とする田植機の運
   転操作装置。