JPH0545136Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は例えば乗用田植機など移動農機の増速
装置に関する。

「従来の技術」 従来、実開昭58−78016号公報に示す如く、ミ
ツシヨンケースに設ける変速アームに変速操作レ
バー及び増速ペダルを連結させ、該ペダル操作に
よつて走行速度を増速させる技術があつた。

「考案が解決しようとする課題」 前記従来技術は、変速操作レバーと変速アーム
をロツド及び長孔によつて連結させ、増速ペダル
と変速アームをワイヤ及び長孔によつて連結させ
ていたから、増速ペダル取付時並びに保守作業時
など、ワイヤの長さ調節またはペダル操作量調整
などを行う必要があると共に、変速操作レバーに
よつて複数の変速アームを容易に操作し得ず、変
速アームの付加による変速段数の増設などを容易
に行い得ない等の問題があつた。

「課題を解決するための手段」 然るに、本考案は、変速操作レバーと、増速ペ
ダルを備える移動農機の増速装置において、ミツ
シヨンケースの走行変速用シフター軸に常時連結
させる変速アームを備え、変速操作レバーによつ
て回転させるカム板に変速アームを当接させ、変
速操作レバーのカム板回転操作によつて変速アー
ムを揺動させ、走行速度を切換えるように構成す
ると共に、増速ペダルに一体固定させる係合アー
ムを変速アームに係合連結させ、増速ペダルを操
作したときに係合アームによつて変速アームを増
速方向に揺動させ、走行速度を増速させるように
構成したことを特徴とする。

「作用」 従つて、変速操作レバーによつてカム板を回転
させ、カム板によつて変速アームを揺動させてシ
フター軸を変速動作させるから、カム板と変速ア
ームを増設するだけで変速操作レバーの変速段数
を容易に増加させ得、変速機能の向上などを容易
に図り得ると共に、係合アームを介して増速ペダ
ルを変速アームに連結させ、増速ペダル操作によ
つて変速アームを増速動作させるから、増速ペダ
ル組立時並びに保守作業等において作動タイミン
グ調整などを不要にし、増速ペダル構造の簡略化
並びに組立保守など作業性向上を容易に図り得る
ものである。

「実施例」 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述す
る。第１図は副変速操作系の側面説明図、第２図
は乗用田植機の側面図、第３図は同平面図を示
し、図中１は作業者が搭乗する走行車であり、エ
ンジン２を搭載する車体フレーム３後端をミツシ
ヨンケース４に連設させ、前記ミツシヨンケース
４の前方両側にフロントアクスルケース５を介し
て水田走行用前輪６を支持させると共に、前記ミ
ツシヨンケース４の後方両側に伝動ケース７を介
し水田走行用後輪８を支持させる。そして前記エ
ンジン２を覆うボンネツト９両側外方に予備苗載
台１０を取付けると共に、ステツプ１１を形成す
る車体カバー１２によつて前記伝動ケース７等を
覆い、前記車体カバー１２上部に運転席１３を取
付け、その運転席１３の前方で前記ボンネツト９
後部に操向ハンドル１４を設ける。

さらに、図中１５は多条植え用の苗載台１６並
びに複数の植付爪１７…などを具有する農作業機
である植付部であり、前高後低の後傾式の苗載台
１６を案内レール１８及びガイドレール１９を介
して植付ケース２０に左右往復摺動自在に支持さ
せると共に、一方向に等速回転させるロータリケ
ース２１を前記植付ケース２０に支持させ、該ケ
ース２１の回転軸芯を中心に対称位置に一対の植
付爪ケース２２，２２を配設し、その爪ケース２
２先端に植付爪１７を取付けて、ロータリケース
２１の１回転で２本の植付爪１７，１７を交互に
移動させて２株の苗を植付けるように構成してい
る。

また前記植付ケース２０の前側に回動支点軸２
３を介して支持フレーム２４を設け、トツプリン
ク２５及びロワーリンク２６，２６を含む三点リ
ンク機構２７を介して走行車１後側に支持フレー
ム２４を連結させ、前記リンク機構２７を介して
植付部１５を昇降させる油圧昇降シリンダ２８を
備え、前記前後輪６，８を走行駆動して略定速で
移動すると同時に、左右に往復摺動させる苗載台
１６から一株分の苗を植付爪１７によつて取出
し、連続的に苗植え作業を行うように構成する。

また、図中２９は走行変速レバー、３０は副変
速レバーを兼ねる植付昇降レバー、３１は植付け
感度調節レバー、３２は走行クラツチペダル、３
３，３３は左右ブレーキペダル、３４は運転席１
３左側のステツプ１１上に配設する増速ペダル、
３５…は田面均平用フロートであり、植付深さ調
節リンク３６などを介して植付ケース２０下側に
前記フロート３５…を支持している。

第４図乃至第６図に示す如く、前記ミツシヨン
ケース４内のギヤ伝達系の前後段でそれぞれ低高
速二段を変速切換えを行う第１及び第２シフター
３７，３８を備え、前記植付昇降レバー３０のレ
バー軸３９に並列且つ一体的に取付ける二枚の第
１及び第２カム板４０，４１に第１及び第２ロー
ラ４２，４３・第１及び第２変速アーム４４，４
５などを介して前記シフター３７，３８を連動連
結させている。前記変速アーム４４，４５は基端
を単一の軸４６に揺動自在にそれぞれ支持させ、
中間に軸４７，４８を介して前記ローラ４２，４
３を軸支し、前記シフター３７，３８に一体的に
連結させるシフター軸４９，５０上の揺動アーム
５１，５２に、前記第１アーム４４先端の枢軸５
３をバネ５４及び調節ロツド５５及び軸５６を介
して、また前記第２アーム４５先端の枢軸５７を
調節ロツド５８及びバネ５４及び軸５９を介して
それぞれ連結させ、前記カム板４０，４１の周面
に形成する凹凸カム面４０ａ，４１ａに前記ロー
ラ４２，４３を転接させ、これらローラ４２，４
３を介して変速アーム４４，４５が揺動変位する
とき前記シフター３７，３８の低高速二段の切換
えをそれぞれ行わしめて、２×２＝４の組合せに
よる計４段のノークラツチ変速が可能なように構
成している。

即ち前記第２カム板４１は第１速から第４速位
置にかけ交互に低速・高速・低速・高速にシフタ
ー３７を切換えるカム面４０ａを、また第１カム
板４０は第１速及び第２速位置を低速で第３速及
び第４速位置を高速にシフター３８を切換えるカ
ム面４１ａを有し、前記レバー３０を第１速位置
より第４速位置に順次切換え操作するとき前記カ
ム板４０，４１もレバー軸３９を中心として一体
的に回動させて前記シフター３７，３８を動作さ
せ車速を順次低速から高速に変速させるように構
成したものである。

また第６図に示す如く、前記昇降レバー３０は
第１〜第４速の変速操作以外に左右マーカの出し
入れ及び植付クラツチの入切及び植付部１５の昇
降操作も行うもので、レバーガイド板６０のガイ
ド溝６０ａに沿わせて前記レバー３０をUP位置
に位置させるとき前記昇降シリンダ２８の油圧切
換弁６１のスプール６２に作動アーム６３を当接
混入させる状態とさせて植付部１５を上昇させ、
油圧中立のＮ位置を介しDN位置に前記レバー３
０を位置させるとき前記作動アーム６３をスプー
ル６２より離反させて植付部１５を下降させ、次
に第１速のF1位置に前記レバー３０を位置させ
るとき植付クラツチを入とすると同時に前記ロー
ラ４２，４３にカム板４０，４１の第１速位置を
摺接させ以後第２速のF2位置・第３速のF3位
置・第４速のF4位置への順次切換変速が行える
ように構成している。

なお、６４，６５は前記シフター３７，３８の
戻しバネである。

ところで、前記第１変速アーム４４の枢軸５３
に切欠溝６６を係合させる係合アーム６７を、前
記増速ペダル３４基端のペダル軸６８にペダル３
４と一体的に取付け、該ペダル３４の踏圧操作時
には前記カム板４０で変速アーム４４を上方向の
高速側に押し上げるのと同様に変位させて前記シ
フター３７を高速に切換えて、前記レバー３０位
置に関係なく増速ペダル３４でもつて少なくとも
第３速以上の高速走行が行えるように構成してい
る。

そして前記変速レバー２９によるミツシヨンケ
ース４内の変速ギヤ部は前記昇降レバー３０つま
りシフター３７，３８による変速ギヤ部の後段出
力側に設けられていて、該レバー３０が第２〜第
４速のF2〜F4位置以外は全て第１速の出力が前
記変速レバー２９での変速ギヤ部に伝達される状
態となつて前記昇降レバー３０を油圧中立のＮ位
置に保持させての前記変速レバー２９による路上
走行時にあつては、前記増速ペダル３４を踏圧操
作することによつて前記シフター３７で変速され
る変速比分路上走行速度も増速させるように構成
している。

上記から明らかなように、変速操作レバーであ
る植付昇降レバー３０と、増速ペダル３４を備え
る移動農機の増速装置において、ミツシヨンケー
ス４の走行変速用シフター軸４９に常時連結させ
る変速アーム４４を備え、植付昇降レバー３０に
よつて回転させるカム板４０に変速アーム４４を
当接させ、植付昇降レバー３０のカム板４０回転
操作によつて変速アーム４４を揺動させ、走行速
度を切換えるように構成すると共に、増速ペダル
３４に一体固定させる係合アーム６７を変速アー
ム４４に係合連結させ、増速ペダル３４を操作し
たときに係合アーム６７によつて変速アーム４４
を増速方向に揺動させ、走行速度に増速させるよ
うに構成している。

本実施例は上記の如く構成するものにして、前
記昇降レバー３０をUP位置よりDN位置に移動
させるとき前記油圧切換弁６１を切換えて植付部
１５を上昇位置より下降させ、次に第１図に示す
如くF1位置に移動操作するとき植付クラツチを
入とさせて最低速の第１速での走行を行うととも
に、第７図に示す如く前記レバー３０を第２速位
置に位置させるとき、第２カム板４１のカム面４
１ａ凸部でもつてローラ４３を押し上げて第２シ
フター３８を高速側に切換えて、第１シフター３
７における低速との組合せによる第２速の速度で
機体を走行させる。そしてこの第１速或いは第２
速での走行中にあつて前記増速ペダル３４が第１
図仮想線に示す状態に踏圧操作されるとき前記係
合アーム６７がペダル軸６８を中心として反時計
方向に回動し第１変速アーム４４を押し上げる状
態とさせて枢軸５３に連結する揺動アーム５１を
回動して第１シフター３７を高速側に切換えて前
記昇降レバー３０を第３速或いは第４速位置に操
作する条件下と同様の高速状態で機体を走行させ
るものである。

一方、前記変速レバー２９を操作しての路上走
行中においても同様で、通常は前記昇降レバー３
０における第１速の出力に基づいて路上走行での
速度が得られるものであるが、前記増速ペダル３
４が踏圧操作されることによつて該レバー２９に
よる変速ギヤ部には第３速と同様の出力が伝達さ
れる状態となつて第１速と第３速の速度比分増速
された路上走行速度が得られる。この結果ハンド
ル操作が多くエンジン負荷の大きい旋回時などで
は右足でブレーキペダル３３を操作しながら左足
で前記増速ペダル３４を操作することによつて旋
回時でのスピードアツプが図れて作業性を向上さ
せることができる。

「考案の効果」 以上実施例から明らかなように本考案は、変速
操作レバー３０と、増速ペダル３４を備える移動
農機の増速装置において、ミツシヨンケース４の
走行変速用シフター軸４９に常時連結させる変速
アーム４４を備え、変速操作レバー３０によつて
回転させるカム板４０に変速アーム４４を当接さ
せ、変速操作レバー３０のカム板４０回転操作に
よつて変速アーム４４を揺動させ、走行速度を切
換えるように構成すると共に、増速ペダル３４に
一体固定させる係合アーム６７を変速アーム４４
に係合連結させ、増速ペダル３４を操作したとき
に係合アーム６７によつて変速アーム４４を増速
方向に揺動させ、走行速度を増速させるように構
成したもので、変速操作レバー３０によつてカム
板４０を回転させ、カム板４０によつて変速アー
ム４４を揺動させてシフター軸４９を変速動作さ
せるから、カム板４０と変速アーム４４を増設す
るだけで変速操作レバー３０の変速段数を容易に
増加させることができ、変速機能の向上などを容
易に図ることができると共に、係合アーム６７を
介して増速ペダル３４を変速アーム４４に連結さ
せ、増速ペダル３４操作によつて変速アーム４４
を増速動作させるから、増速ペダル３４組立時並
びに保守作業等において作動タイミング調整など
を不要にし、増速ペダル３４構造の簡略化並びに
組立保守など作業性向上を容易に図ることができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は副変速操作系の側面説明図、第２図は
全体側面図、第３図は同平面図、第４図は第１図
における背面説明図、第５図はカム板部の分解説
明図、第６図はレバーガイド部の平面説明図、第
７図は第１図における作動状態を示す説明図であ
る。 ３０……昇降レバー、３４……増速ペダル、４
４……変速アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変速操作レバー３０と、増速ペダル３４を備え
   る移動農機の増速装置において、ミツシヨンケー
   ス４の走行変速用シフター軸４９に常時連結させ
   る変速アーム４４を備え、変速操作レバー３０に
   よつて回転させるカム板４０に変速アーム４４を
   当接させ、変速操作レバー３０のカム板４０回転
   操作によつて変速アーム４４を揺動させ、走行速
   度を切換えるように構成すると共に、増速ペダル
   ３４に一体固定させる係合アーム６７を変速アー
   ム４４に係合連結させ、増速ペダル３４を操作し
   たときに係合アーム６７によつて変速アーム４４
   を増速方向に揺動させ、走行速度を増速させるよ
   うに構成したことを特徴とする移動農機の増速装
   置。