JPH01218703A - アルミニウム箔のダブリング圧延方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 （技術分野） 本発明はアルミニウム箔のダブリング圧延方法に係り、
特に、連続ラインで採用可能な急速熱処理によって、圧
延時の材料破断や製品筒のピンホールをより一層効果的
に低減させ得るようにしたアルミニウム箔のダブリング
圧延方法に関するものである。

（背景技術） アルミニウム箔の製造にあっては、通常、箔地厚さが０
．３〜０．４ｍｍのものを用い、これを数バス圧延して
、厚さ０．０１２〜０．０２０ｍｍのダブリング圧延用
素材を形成せしめ、更にその２枚を重ね合わせて圧延、
所謂ダブリング圧延を行なうことによって、０．００６
〜０．０１０ｍｍの厚さの製品筒を得る手法が、採用さ
れている。

例えば、第１図に示されるように、アンコイラ１及び２
から同時に被圧延材としてのアルミニウム素材（薄板）
５，５を送り出して重ね合わせた後、圧延ロール３にて
圧延せしめ、そしてコイラ４で巻き取り、更にその後、
このコイラ４に巻き取られた圧延材から、各素材を再び
引き離すことにより、目的とする製品筒を得るようにさ
れるのである。

ところで、このようなアルミニウム箔のダブリング圧延
においては、入側厚及び出側厚が共に薄いことに加え、
第２図に示される如く、圧延された製品筒の重ね合わせ
面における「うねり」６が大きいため、圧延時に材料が
破断し易く、またピンホールも発生し易い問題があった
。すなわち、重ね合わせ面の「うねり」６の大きさ二Ｂ
が大きいほど、圧延時の付加張力を負担する実質箔断面
積が小さくなり、「うねり」が最大、即ち製品箔厚；Ａ
が最小のところから破断し易く、また「うねり」が最大
（７ｆ３厚最小）のところが外表面の凹み、すなわちオ
イルビット７と一致すると、ピンホールが発生したりす
ることとなるのである。

そこで、本発明者の一人は、先に、特願昭６０−７４６
７３号として、ダブリング圧延用アルミニウム素材に対
して、１５０〜２３０℃の温度で１〜３時間の熱処理を
施した後、かかるアルミニウム素材の２枚を重ね合わせ
、所定のダブリング圧延を行なうようにしたアルミニウ
ム箔のダブリング圧延方法を、提案した。

このような手法に従ってアルミニウム素材に熱処理を施
せば、かかるアルミニウム素材の冶金的性質が改善され
るところから、その重ね合わせ面における「うねり」６
が小さく為され得て、前述の如き材料破断やピンボール
の発生が低減されることとなるのである。

しかしながら、上述の如き手法にあっては、アルミニウ
ム素材に対して、１〜３時間という長い時間をかけて熱
処理を施す必要があるところから、かかる熱処理をダブ
リング圧延の連続ライン上において行なうことは、極め
て困難であったのである。それ故、かかる熱処理工程が
ダブリング圧延工程とは別工程とならざるを得ず、その
分、生産の効率が低下してしまうといった問題が内在し
ていたのである。

また、そのような熱処理されたアルミニウム素材を用い
た場合といえども、圧延された製品筒の重ね合わせ面に
おける「うねり」は依然として存在しているのであり、
それ故ピンホールの発生の恐れを少なくして、より高品
質の箔製品を得る上においては、かかる「うねり」をよ
り一層小さくすることが望まれているのである。

（解決課題） ここにおいて、本発明は上記の事情に鑑みて為されたも
のであって、その解決すべき課題とするところは、重ね
合わせ面における「うねり」の発生をより一層低下せし
め、圧延時における材料破断や製品のピンホールの発生
をより一層低減せしめて、生産性、歩留り及び品質の向
上を図るようにすると共に、ダブリング圧延材のより一
層の生産性の向上を図ろうとすることにある。

（解決手段） そして、本発明は、かかる課題を解決すべく、ダブリン
グ圧延用アルミニウム素材に対して、少なくとも１００
℃／秒以上の昇温速度で、少なくとも１５０℃以上の温
度まで昇温し、更にその到達温度で６０秒を越えない時
間の間保持して、圧延による加工硬化割合が１０〜５５
％となるような急速熱処理を施し、素材表面のぬれ指数
を５０以上とした後、かかるアルミニウム素材の２枚を
重ね合わせ、所定のダブリング圧延を行なうようにした
のである。

（構成の具体的説明） ところで、かかる本発明に従うアルミニウム箔のダブリ
ング圧延では、第３図に示される如く、従来と同様に、
アンコイラ１及び２より、同時に被圧延材としてのアル
ミニウム素材（薄板）５゜５を送り出し、圧延ロール３
にて重ね合わせて圧延せしめ、そしてコイラ４で巻き取
るようにした工程が採用されることとなる。そして、そ
の際、圧延ロール３に対する素材５の入側厚はＯ，Ｏ’
　１０〜０．０２０ｍｍ程度、圧下率は４０〜５５％程
度、前方および後方張力は３〜６ｋｇ／ｍｍ２程度とさ
れるのである。なお、このダブリング圧延によりコイラ
４に巻き取られた圧延材は、その後、再び元の材料に引
き離されて、製品筒とされることとなるのである。

そして、本発明にあっては、かかるアルミニウム素材５
，５が圧延ロール３にて重ね合わされて圧延される前に
、それら素材５．５を適当な熱処理炉８内に走行せしめ
、以てそこで、それら素材５．５に対して、急速熱処理
が、少なくとも１００℃／秒以上の昇温速度で、少なく
とも１５０℃以上の温度まで昇温し、更にその到達温度
で６０秒を越えない時間の間保持することにより施され
るようにしたものであり、以て、そのような熱処理によ
って、アルミニウム素材５の加工硬化割合（圧延による
）が１０〜５５％となる性状のものとされるのである。

しかも、この急速熱処理にて素材表面に付着する圧延油
が効果的に除去され得て、該表面の１ぬれ指数」が５０
以上とされるようになるのである。

このように、本発明に従う急速熱処理は、非常に短時間
にて行なわれるところから、ダブリング圧延の連続ライ
ンにおいて行なうことが可能となるのであり、そのため
熱処理工程を別工程とする必要がなくなり、その分、圧
延材の生産性が向上されるのである。しかも、このよう
な急速熱処理を施すことによって、アルミニウム素材の
組織の結晶粒が効果的に微細化されることとなり、これ
に基づいてピンホールの原因となるアルミニウム箔の重
ね合わせ面における「うねり」がより一層効果的に低減
せしめられ、以て材料破断やピンホールの発生の問題等
を極めて良好に解決することができるのである。

また、本発明においては、アルミニウム素材５は、少な
くとも１００℃／秒以上の昇温速度にて昇温されて適宜
の温度で加熱、保持せしめられることとなるが、その保
持温度としては、一般に、１５０℃程度以上、好ましく
は、２００〜３００℃程度の温度が採用されるのである
。そして、かかるアルミニウム素材５は、その温度下に
、６０秒以下の極めて短い時間、好適には１０〜６０秒
間程度に亘って保持されることとなる。なお、この加熱
保持温度が低過ぎたり、加熱保持時間が短過ぎたりする
と、ぬれ指数や加工硬化割合を充分な値とすることが困
難となるからであり、逆に、加熱保持温度が高過ぎたり
、加熱保持時間が長過ぎたりすると、加工硬化割合の値
が大きくなり過ぎるからであり、また連続ライン上にお
いて行なう際に不利となるからである。

そして、本発明にあっては、上述の如き急速熱処理が施
されたアルミニウム素材５は、圧延した際に加工硬化割
合が１０〜５５％の値をとるような性状のものとされる
こととなる。なお、加工硬化割合は、次式： で定義される。

すなわち、この加工硬化割合の低いアルミニウム素材５
では、圧延時に、素材の塑性不安定による剪断帯が生じ
易く、それに沿って圧延材が剪断され易くなるところか
ら、かかる加工硬化割合が１０％以上になるようにされ
たアルミニウム素材５が用いられることとなる。しかし
、加工硬化割合が５５％を越えるようになると、素材の
結晶粒が粗大化し、所謂「オレンジピール」と呼ばれる
肌荒れのため、重ね合わせ面のうねりが太きくなってし
まうのである。なお、更に効果的には、かかる加工硬化
割合は２０〜４０％程度とされることが好ましい。

更に、本発明にあっては、かかる熱処理によって、アル
ミニウム素材５の表面が、ＪＩＳ−に−６７６８に準拠
した試験方法に基づいて判定される「ぬれ指数」が５０
以上となるようにされるのである。

このように、アルミニウム素材５０表面の「ぬれ指数」
が５０以上となるように急速熱処理を施すことによって
、素材表面に付着する圧延油が大部分除去されることと
なり、そしてそれによって、アルミニウム素材５，５の
重ね合わせ面の圧延に伴う相対的すべりが効果的に抑制
されることとなるのである。そしてそれ故に、第２図に
示されるような「うねり」がより一層効果的に小さなも
のと為され得るのであり、以て、圧延時に材料破断が生
じ難くなり、また製品におけるピンホールの発生もより
一層効果的に低減せしめ得ることとなるのである。

（実施例） 以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に
明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施
例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないこ
とは、言うまでもないところである。

また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正
、改良等を加え得るものであることが、理解されるべき
である。

先ず、下記第１表に示される材質および厚さのアルミニ
ウム素材５．５に対して、第３図に示されるようなダブ
リング圧延連続ラインにおいて、それらが重ね合わされ
る前に、それぞれ、第１表に示される条件下に熱処理炉
８内で連続的に熱風加熱を施し、そして圧延ロール３に
て、それら素材５．５を重ね合わせて、ダブリング圧延
を行なった。

その後、この得られたアルミニウム箔について、それぞ
れ、引張強さ、重ね合わせ面の「うねり」や、ピンホー
ルの発生の有無について調べ、その結果を、下記第２表
に示した。また、各条件下で熱処理が施された前記アル
ミニウム素材５に対して、それらのぬれ指数、引張強さ
及び加工硬化割合を、それぞれ測定して、第１表に併せ
示した。

なお、熱処理条件の保持時間は、昇温か終わった時点か
らその到達温度が保持された時間を計測したものである
。また、ぬれ指数は、ＪＩＳ−に−６７６８に準する試
験方法に基づいて測定し、その際には、水も表面張カフ
　０ｄｙｎ／ｃｍの試薬として使用した。そして、ピン
ホールの発生の有無は、製品箔を写真印画紙に密着させ
、箔側よりライトを照射して、密着焼きしたものについ
て調べ、評価した。更に、加工硬化割合は前記に示され
る式によって定義されたものであり、５０％圧延材の耐
力は、ダブリング圧延ではなく、通常圧延で作製された
圧延材で測定したものである。

これら第１表及び第２表の結果から明らかなように、漱
１の如（、熱処理を行なわずにダブリング圧延したもの
にあっては、素材の「ぬれ指数」および加工硬化割合が
低いものとなっているところから、重ね合わせ面におけ
る「うねり」が大きく、得られたアルミニウム箔の引張
強さが圧延前に比べて著しく弱いものとなっており、ま
たピンホールも発生しているのである。また、隘３の如
く、熱処理によって表面の「ぬれ指数」が５０以上とさ
れたものの、加工硬化割合が５５％を越えた素材を用い
てダブリング圧延を行なったものにあっては、重ね合わ
せ面における「うねり」が極めて大きいため、引張強さ
も、高い加工硬化割合値を有するにも拘わらず低い値を
示し、またピンホールの発生も著しいのである。

これに対して、本発明に従って熱処理を施し、そのぬれ
指数が５０以上、加工硬化割合が１０〜５５％とされた
素材を用いてダブリング圧延をしたＮｏ、　２にあって
は、重ね合わせ面における「うねり」が小さくされてい
るところから、実質的に引Ａ 張荷重を負担する材料の面積が充分なものとされており
、また圧延による硬化作用も加わって、引張強さが強く
されており、更にピンホールも殆ど発生していないので
ある。

（発明の効果） 以上の説明から明らかなように、本発明に従うアルミニ
ウム素材に対する熱処理は、非常に短時間にて行なわれ
るところから、ダブリング圧延の連続ラインにおいて行
なうことが可能となったのであり、その分、生産性が向
上されることとなったのである。しかも、そのような短
時間の熱処理によって、圧延時の材料破断及び製品箔の
ピンホール発生がより一層効果的に減少せしめられ得て
、これにより生産性の向上、歩留りの向上、薄肉長尺箔
の製造を容易ならしめ、また製品箔のピンホールを減少
させて、箔品質をより一層向上せしめる等の優れた効果
を奏し得たのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のダブリング圧延方法の一例を８　示す
系統図であり、第２図は、製品箔の重ね合わ廿面のうね
りを説明するための要部拡大図である。 第３図は、本発明に従うダブリング圧延方法の一例を示
す系統図である。 １．２：アンコイラ　　３：圧延ロール４：コイラ　　
　　　　５ニアルミニウム素材６：重ね合わせ面のうね
り ７：オイルピソト　　　８：熱処理炉 出願人　　住友軽金属工業株式会社

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 　ダブリング圧延用アルミニウム素材に対して、少なく
   とも１００℃／秒以上の昇温速度で、少なくとも１５０
   ℃以上の温度まで昇温し、更にその到達温度で６０秒を
   越えない時間の間保持して、圧延による加工硬化割合が
   １０〜５５％となるような急速熱処理を施し、素材表面
   のぬれ指数を５０以上とした後、かかるアルミニウム素
   材の２枚を重ね合わせ、所定のダブリング圧延を行なう
   ことを特徴とするアルミニウム箔のダブリング圧延方法
   。