JPH0121853Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車のスライデイングルーフ装置に
付設されるウインドデイフレクター装置に関す
る。

（従来の技術） スライデイングルーフ装置は、ルーフ開口部の
開閉を自在としたスライデイングルーフの前後移
動により車室内を大気に開放するものであり、ウ
インドデイフレクター装置はスライデイングルー
フ装置に付設され、スライデイングルーフの開放
時、ルーフ開口部の前縁からブレードをルーフ上
に突出し、ルーフ開口部から車室内へ外気が乱流
入するのを防止するものである。

斯かるウインドデイフレクター装置は、一般
に、ルーフ開口部の左右両側に常時上方へ揺動付
勢されて配設された一対のアームと、一対のアー
ムの前端間に亘り取着されたブレード等からな
る。

スライデイングルーフ開放時にルーフ上に突出
したブレードは、スライデイングルーフが閉じら
れるとスライデイングルーフの下面がアームを押
圧して、アームを下方へ揺動させることで、ブレ
ードをルーフ下方の車室内へ収納させる構成であ
る。この場合、単にブレードを下方向へ移動させ
たのでは、ブレードを収納する部分の高さが大き
くなり車室内空間を圧迫することになる。

このような不具合を解消するものとして、実公
昭55−47696号公報に記載されるように、ブレー
ドの下端に形成した長溝とルーフフレーム上に設
けたピンとの係合により、ブレードを起立倒伏動
させる装置や、特開昭56−17721号公報に記載さ
れるように、アームを上方へ付勢する板ばねとは
別にばねを設け、ブレードの収納時、該ばねによ
りブレードを倒伏するようにした装置が提供され
ている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前者にあつては高い組付精度が
要求されるため、装置の組付作業性に劣り、また
後者にあつては、単に、アーム部材を付勢する板
ばねの弾発力と、ブレードを付勢するばねの弾発
力との差異によりブレードを起立倒伏動せしめる
ので、板ばねやばねに高い製品精度が要求される
とともにブレードの円滑な起立倒伏動がなされ難
い。

本考案は前記事情に鑑みなされたもので、その
目的とする処は、高い組付精度や製品精度が要求
されず、しかもブレードを円滑に起立倒伏動せし
めるウインドデイフレクター装置を提供し、車室
高さを確保せんとするものである。

（課題を解決するための手段） 前記課題を解決するため本考案に係るウインド
デイフレクター装置は、前後移動によりルーフ開
口部の開閉を自在としたスライデイングルーフ
と、ルーフ開口部の左右両側に配設され常時上方
へ揺動付勢されたアームと、この一対のアームの
前部間に亘つて取着されたブレード等からなり、
ルーフ開口部閉時のスライデイングルーフの前方
移動により、スライデイングルーフの下面でアー
ムを押圧し、ルーフ開口部開時のスライデイング
ルーフの後方移動で前記アームへの押圧を解除し
て、ブレードのルーフ上への出没を自在としたウ
インドデイフレクター装置において、前記アーム
に対してブレードを常時起立付勢せしめるようア
ームとブレードとの間にセツトスプリングを介設
し、ブレードの下端に摺動部を形成し、ルーフ開
口部の前部に位置するルーフフレーム上に案内面
を有する案内部材を設け、前記摺動部が案内面に
押圧されることによりセツトスプリングに抗して
ブレードを倒伏動せしめ、この押圧の解除により
ブレードを起立動させることにより、ブレードの
ルーフ上への出没を自在としたことを特徴とす
る。

（作用） スライデイングルーフを後方へ移動させてルー
フ開口部を開放すると、アームは上方へ揺動し、
アームに取着されたブレードは、セツトスプリン
グにより付勢された起立状態でルーフ上へ突出さ
れる。

スライデイングルーフを前方へ移動させてルー
フ開口部を閉じると、アームはスライデイングル
ーフの下面に押圧されて下方へ揺動し、ブレード
の下端に形成された摺動部は、案内部材の案内面
に押圧されて倒伏状態でルーフ下方へ収納され
る。

（実施例） 本考案の一実施例を添付図面に従つて説明す
る。

第１図はウインドデイフレクター作動時におけ
る自動車の斜視図、第２図は同要部平面図、第３
図は装置の展開斜視図、第４図は同側面図、第５
図は第３図Ｖ−Ｖ線視相当断面図である。

１はルーフで、ルーフ１には車室内を大気に開
放するようルーフ開口部２が設けられ、この開口
部２には、第４図に仮想線で示すスライデイング
ルーフ４が開閉自在に設けられており、このスラ
イデイングルーフ４を後部ルーフ３の下方へ滑動
させることで、ルーフ開口部２が開放できるよう
構成されている。

第２図に示すように、ルーフ開口部２の左右両
側部位におけるルーフフレーム５上には、夫々前
後方向にアーム１１，１１が配設されている。

このアーム１１は、第３図ならびに第４図に示
すように、ルーフフレーム５上に固設されたヒン
ジ１２に後部１３が枢着され、前端１４がルーフ
開口部２の前縁（第２図参照）に臨むよう配設さ
れている。アーム１１の下面側には、中間部を下
方へ湾曲せしめルーフフレーム５上に弾接するよ
うにして板ばね１６が取着されている。

そしてアーム１１は前記板ばね１６により常時
上方へ付勢され、スライデイングルーフ開放時に
は第４図に示すように後端係止片１７がヒンジ１
２に係止して所要開度の起立状態が保持され、ス
ライデイングルーフ閉塞時には、スライデイング
ルーフ４下面に突設したブロツク１８がアーム１
１上面を摺動しながら押圧してアーム１１を下方
へ揺動させることで、アーム１１はスライデイン
グルーフ４下方に収納されるよう形成されてい
る。

前記左右両側のアーム１１，１１の前端１４，
１４間にはブレード２１が取着される。

このブレード２１は、第５図に示すように、上
部平坦部２２と、上部平坦部２２下端に形成され
た屈曲部２３と、屈曲部２３下端から延出する下
部平坦部２４とからなり、断面略へ字状を呈し、
ブレード２１の長さ方向の中間部の適宜箇所には
ねじ２６を介して摺動ブロツク２７，２７が取着
されている。

また、第３図に示すように、ブレード２１の左
右両側部位には取付片２５，２５が取着されてお
り、この取付片２５，２５とアーム１１，１１の
前端１４，１４とは夫々ピン２８を介して枢着さ
れ、さらに、アームの前端１４と取付片２５との
間に介装されたセツトスプリング２９によりブレ
ード２１は、第４図及び第５図に示すようにアー
ム１１に対して直交方向に起立するよう付勢さ
れ、取付片２５の係止壁部３１とアーム前端１４
の係止壁部３２との係止によりブレード２１の該
起立状態は保持されるよう形成されている。

ブレード２１の下部平坦部２４の下端には屈曲
片部４１が形成され、この屈曲片部４１を覆うよ
う係止部材４２が取着されている。

この係止部材４２は、下部平坦部２４とは直交
する方向で且つ前方へ延出する前係止部４３と、
前記屈曲片部４１を覆う基部４４とからなり、実
施例においてはポリ塩化ビニル等の軟質の合成樹
脂から形成され、前係止部４３は上下方向へ可撓
自在に形成され、前記基部４４は前記摺動ブロツ
ク２７の下端４５により覆われている。

前記ルーフフレーム５上の適宜箇所には、湾曲
状の案内面５１を有する案内部材５２，５２が前
記摺動ブロツク２７，２７に対応して取着されて
いる。

そしてスライデイングルーフ開放時には、前記
板ばね１６の弾発力によりアーム１１は上方へ揺
動し、セツトスプリング２９の弾発力と、取付片
２５の係止壁部３１とアーム前端１４の係止壁部
３２との係止によりブレード２１の起立状態は保
持され、この時、ブレード２１の上部平坦部２２
は前部ルーフ５３の上方に露出し、係止部材４２
の前係止部４３は、前部ルーフ５３の後縁に形成
された垂下壁部５４の下端に弾接するよう形成さ
れている。

以上の構成であるから、スライデイングルーフ
開放状態からスライデイングルーフ４を前方へ移
動すると、第４図に示したブロツク１８とアーム
１１の上面とが摺動し、アーム１１はブロツク１
８により押圧される。この押圧により、アーム１
１は板ばね１６の弾発力に抗して下方に揺動す
る。アーム１１の下方揺動にともない、アーム１
１に連結されているブレード２１は下方へ押し下
げられる。第５図に示すように、ブレード２１が
押し下げられると、ブレード２１に取着された摺
動ブロツク２７の下端４５は案内部材５２の湾曲
状の案内面５１に沿つて摺動され、ブレード２１
は前述のセツトスプリング２９の弾発力に抗し
て、第５図に仮想線で示した倒伏状態となつて、
スライデイングルーフ４下方に収納される。

このように本実施例は、スライドルーフ開時は
セツトスプリング２９の弾発力により起立状態に
あるブレード２１を、スライドルーフ閉時は案内
部材５１によりブレード２１をセツトスプリング
２９の弾発力に抗して倒伏状態にするものである
から、構造が簡単でまた動作が確実である。

さらに、ブレード２１のアーム１３への取付
け、アーム１１のルーフフレーム５への取付け、
あるいは案内部材５２のルーフフレームへの取付
け等に組立誤差が生じても、ブレード２１の起立
倒伏動作に別段影響を与えることはない。また、
スライドルーフ開時のアーム１１の開度が多少ば
らついても、ブレード１１は可撓性を有する係止
部材４２を介して前部ルーフ５３と弾接する構造
であるから、ブレード１１の起立動作が妨げられ
るようなことはない。従つて、従来のリンク機構
を用いた装置におけるような高い組付精度は要求
されず、組付が簡易になされる。

また、アーム１１は板ばね１６に付勢されて上
方へ揺動され、スライデイングルーフ４に突設さ
れたブロツク１８に押圧されて下方へ揺動する構
造であり、アーム１１とブレード２１は独立に作
動できる構造であるので、一方のばね特性にあわ
せて他方のばね特性を調整するような必要はな
く、従つて板ばね１６やセツトスプリング２９に
高い製品精度が要求されることはなく、また、ば
ね特性に若干のばらつきがあつても起立倒伏動作
は円滑になされる。

第６図に示すものは、本考案の他の実施例を示
し、この場合は係止部材４２の基部４４部分を硬
質のポリ塩化ビニル等で形成し、該基部４４を直
接案内部材５２の案内面５１に摺動させるもの
で、摺動ブロツク２７を用いない点が前記実施例
と異なる。

（考案の効果） 以上の説明で明らかなように、本考案によれば
ウインドデイフレクターを構成するブレードを起
立倒伏動せしめルーフ下方に収納するようにした
ので、ウインドデイフレクター装置の収納スペー
スが縮少され、車室高さを大に確保し得、しかも
ブレードの起立倒伏動は簡易且つ確実になされ、
更に高い組付精度や製品精度を要求されることな
く生産性にも優れる等、幾多の優れた効果を発揮
する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
はウインドデイフレクター作動時における自動車
の斜視図、第２図は同要部平面図、第３図は装置
の展開斜視図、第４図は同側面図、第５図は第３
図Ｖ−Ｖ線視相当断面図、第６図は本考案の他の
実施例を示す要部断面側面図である。 尚図面中、１はルーフ、２はルーフ開口部、４
はスライデイングルーフ、８はスライデイングル
ーフに突設されたブロツク、１１はアーム、２１
はブレード、２７はブレードに取着された摺動ブ
ロツク、２９はセツトスプリング、５１は案内
面、５２は案内部材である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前後移動によりルーフ開口部の開閉を自在とし
   たスライデイングルーフと、前記ルーフ開口部の
   左右両側に配設され常時上方へ揺動付勢されたア
   ームと、前記両側のアームの前部間に亘つて取着
   されたブレード等からなり、スライデイングルー
   フの前方移動に伴うスライデイングルーフ下面に
   よる前記アームの押圧並びにスライデイングルー
   フ開時の前記押圧の解除により前記ブレードのル
   ーフ上への出没を自在としたウインドデイフレク
   ター装置において、前記アームに対してブレード
   を常時起立付勢せしめるようアームとブレードと
   の間にセツトスプリングを介設し、前記ブレード
   の下端に摺動部を形成し、ルーフ開口部の前部に
   位置するルーフフレーム上に案内面を有する案内
   部材を設け、前記摺動部が前記案内面に押圧され
   ることにより前記セツトスプリングに抗して前記
   ブレードを倒伏動せしめ、この押圧の解除により
   前記ブレードを起立動させることにより、ブレー
   ドのルーフ上への出没を自在としたことを特徴と
   するウインドデイフレクター装置。