JPH0120639Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、陶磁製役物タイル焼成用匣鉢の載置
部を表裏同一の山型形状となし、これを埋設して
鋸刃状に形成し、これの両側端を開放状とし、載
置部へ該役物タイルを平置の上、両端の支持壁部
を介し積重して焼成しうべくなした役物タイル焼
成用匣鉢に関する。

［従来の技術］ 従来は、陶磁製役物タイルを焼成するには、箱
型を呈した匣鉢内へ、これとは別物で三角柱状の
通常馬と指称されている載置台を配設し、該馬の
二面へ役物タイルを平置して焼成しているが、こ
れによると必然的に本体部が箱型状のため、タイ
ル収納に作業性が悪く、また、焼成時のタイルへ
の焼成空気の流れが悪いため、タイルの品質、と
りわけ色合の安定が悪く、さらに、匣鉢全体の重
量が大となつて、焼成時窯内の前後台車にかかる
重量差で色違いや、使用燃料のバラつき、燃費の
増大、温度の不安定等の不具合がある。

また、タイルの載置部を山型状としたものには
実公昭58−10959号の如きものが提案されてはい
るが、これは一対の傾斜壁内へタイル素体の重心
を納めて、立設載置の上焼成しうべくなしたのみ
のもので、役物タイル焼成については全く考慮が
なされていないものである。

これに鑑み役物タイル焼成用匣鉢を平置して焼
成するものは実開昭51−71849号で開示されてい
るが、これは匣鉢各種１個のみを載置するにすぎ
ず、また載置部を表裏同一形状としてないので、
極めて効率の悪いものとなつている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上記従来技術においては、箱型
匣鉢本体内へ三角柱状の馬を載置し、これへ役物
タイルを平置して焼成するものであるので、タイ
ルの載置作業性が悪く、焼成のための熱の流れが
悪く、重量が大となつて焼成時室内で前後のバラ
ンスが悪くて、色違い、使用燃料のバラつき、温
度の不安定、燃費が大等の不具合があり、さら
に、へ字状断面としたものにあつては前記した如
く同時に多数のタイルを載置しえなくて、かつ、
表裏同一となつていないので製造につき効率の悪
い不具合を有しており、これを解決し、役物タイ
ルを表裏の載置部へ平置し、両側端開放のため横
からも挿入することができ、かつ、焼成時の熱の
流れがよくて、品質を安定させ、軽量とし、焼成
空間を最大限利用可能とし、同時に多数を積重ね
て焼成しうるようにしうべく創案することを目的
とした。

［問題点を解決するための手段］ 上記の目的を達成するための本考案は、任意角
度で折曲された、任意形状の曲がり、まぐさ等の
陶磁製役物タイル（以下役物タイルとのみいう）
を載置して焼成する載置壁部の載置部断面形状
を、前記役物タイルが平置されて焼成可能に表裏
両面を同一の山型形状としこれを連設して鋸刃状
に形成し、かつ、該山型形状に沿つた両側端を開
放し、さらに、他側端に載置壁部と一体に任意高
さで積重時隣接匣鉢と当接する端部を、それぞれ
逆方向としてなる支持壁を立設し、これを介して
両面に載置可能に形成したものである。

［作用］ 次に、上記手段により構成される本考案の作用
につき説明する。

先ず、等高の支持壁部に保持された載置壁部
へ、任意のＬ形状を呈した曲がり、まぐさ等の役
物タイルの内側両平面を、該載置壁部の載置部の
山型凸部上へ、当接、載置しうべく横または上方
より配置し、これを前記各支持壁部を介して積重
ね、台車等上へ載置して窯内で焼成すると、両側
方開放部より焼成空気が容易に流入し、かつ、軽
量となつて従来より多量の焼成が可能となり、品
質が安定したものとなつて、燃費が少ないものと
なる。

また、支持壁部がそれぞれの端部を逆方向に向
けて立設してあるので、高さを、容易に調整しえ
て、よつて山型部の高さより低い任意高さにした
匣鉢の載置部上へ役物タイルを平置の上、各匣鉢
を積重ねると、各匣鉢間の空間を最小限にするこ
とが可能で、かつ、載置部を連設してあるから一
度に多数の役物タイルを平置の上焼成しうるか
ら、同一窯容積で従来より増産可能となつて、熱
効率のよいものとなる。さらに、載置部が表裏両
面を同一形状としているので、焼成時一回毎匣鉢
の上下を変えてなすから、焼成時に起こるベント
状態（底だれ）を復帰して使用しえて、適正角度
の維持を図りえて、よつて品質が安定する。

［実施例］ 引き続き本考案の要旨をさらに明確にするた
め、図面を利用してその一実施例の説明をする。

第１図、第２図及び第５図は、第一実施例のう
ちの曲がり役物タイル焼成用匣鉢Ａ１（以下単に
曲がり匣鉢とのみいう）について示したもので、
曲がり匣鉢Ａ１は、曲がり役物タイル４（以下単
に曲がりタイルとのみいう）が、表裏両面へそれ
ぞれ２列に平置でき、かつ、該曲がりタイル４の
載置時それぞれの側端が、相互に干渉しない等間
隔で交互に上下方向へ各２回、90度づつ折曲され
て表裏それぞれ２面の載置部１１を横設する載置
壁部１を２個連設して鋸刃状に形成されていて、
さらに、載置壁部１の両側端は開放状態になつて
いて、他端側にそれぞれの側の載置部１１の頂部
と同高の支持壁部２ａを、端部Ｔが上向き及び下
向きの逆方向へ立設した形状に耐熱性材料で成型
のうえ焼成して形成される。

なお、折曲内角側の両端近傍へリブ１１１が連
結されている。

いま、この曲がり匣鉢Ａ１を用いて曲がりタイ
ル４を焼成するには、第５図に示す如く台車等５
上に任意段数の曲がり匣鉢Ａ１を、それぞれの支
持壁部２ａを介して積重し、それぞれ上面となつ
た載置部１１上へ曲がりタイル４を開放端方向か
ら挿入載置のうえ、焼成窯内へ送入する。焼成が
終了して窯出後、焼成済の曲がりタイル４は、再
び各載置壁部１の開放端側から引出す。

さらに、該曲がり匣鉢Ａ１をそれぞれ裏返して
積重のうえ、次回被焼成の曲がりタイル４を同様
に載置して焼成窯内へ送入する。

第３図及び第４図は、他の第一実施例で、まぐ
さ役物タイル焼成用匣鉢Ａ２（以下単にまぐさ匣
鉢とのみいう）について示したもので、まぐさ匣
鉢Ａ２は、図示しないまぐさ役物タイル（以下単
にまぐさタイルとのみいう）が表裏両面へそれぞ
れ２列に平置でき、かつ、該まぐさタイルの載置
時それぞれの側端が、相互に干渉しない間隔で交
互に上下方向へ各２回、90度づつ折曲されて鋸刃
状の表裏それぞれ２面の載置部３１を横設する載
置壁部３を形成し、さらに、載置壁部３の両側端
は開放状態とし、他側端にそれぞれの側の載置部
３１の頂部と同高の支持壁部２ａを、端部Ｔが上
向き及び下向きの逆方向へ立設した形状に成型の
うえ、焼成して形成される。なお、折曲内角側の
両端近傍へリブ１１１が連結されている。まぐさ
タイルの焼成要領等については、前曲がり匣鉢Ａ
１による曲がりタイル４焼成等の場合と同じであ
る。

続けて第６図ないし第１１図を利用して第二実
施例の説明をする。

第６図、第７図及び第１０図は曲がり匣鉢Ｂ１
を示したもので、前記曲がり匣鉢Ａ１と同様に形
成された載置壁部１は、両側端も開放状態とされ
るが、他側端に端部Ｔが上方及び下方の逆方向へ
配設されて立設される支持壁部２ｂの高さが、前
記支持壁部２ａと異なつたものとなつていて、そ
れぞれ載置部１１の頂部よりも同寸法低くしてあ
り、よつて、第１０図に示すように台車５上に不
等脚の底さや６を載置して、その上部へ積重した
際、両載置部１１の頂部を結ぶ線が水平で、か
つ、各段の載置部１１が開放端から曲がりタイル
４を挿入し、焼成炎等が通過するに必要な間隙を
十分存しうる高さとされている。

第８図、第９図及び第１１図は、まぐさタイル
焼成用のまぐさ匣鉢Ｂ２を示したもので、まぐさ
匣鉢Ｂ２も、前記まぐさ匣鉢Ａ２と同構成の載置
壁部３と、前記曲がり匣鉢Ｂ１の支持壁部２ｂを
組み合わせたもので、第１１図に示すように台車
５上に載置された底さや６上に積重して使用され
る。

なお、前記第一、第二実施例では、役物タイル
の折曲角度を略90゜でＬ字状に形成されたものに
つき述べたが、これに限らず略80度乃至135度等
のものにも極めて容易に適用できる等、本考案に
係る役物タイル焼成用匣鉢の載置壁部、載置部、
支持壁部の具体的な形状、寸法、配設個数、材質
等は本考案の上記した目的と、作用及び後記効果
の達成される範囲内において、それぞれ任意に定
められてよく、これらの変更はいずれも本考案の
要旨を変更するものではないことは申すまでもな
い。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案は、任意の役物タイ
ルを平置しうべく載置壁部を山型形状とし、か
つ、これを連設して鋸刃状に形成し、さらに、該
載置壁部の載置部を、表裏両面同一山型形状と
し、これに沿つた両側端を開放し、他両側端へ支
持壁部を載置壁部と一体で、かつ、それぞれ逆方
向へ立設して形成したので、所望間隔を有して積
重ねえて、よつて、匣体の積重方向を毎回反転す
ることによつて、焼成時に起こるベント状態（底
だれ）を復帰しつつ焼成できて、被焼成タイルの
角度維持を適正となしえて、安定したものとな
り、また、鋸刃状に形成してあるから、一度に多
量の焼成を可能とし、さらに、重量が約1/4以下
に軽量化されて、現在よりも３〜５倍以上長く使
用可能で耐用時間の長いものとなり、また、支持
壁部外が開放形状であるので、平物タイルと同様
の空間を有して焼成可能なため、とりわけ色の安
定がよく、従来とかく平物に比し品質に問題があ
るが、平物タイルに近い品質を保ちえて、さら
に、匣鉢を積重ねたまま両側端より役物タイルの
挿入、取出しが可能で、現在のように毎回匣鉢を
降して挿入、取出しをしているが、これを不用と
し、かつ、このような開放状態の匣鉢のため、現
状の設備で生産しても能力が現在の２乃至３倍に
向上し、機械の自動化によつて、より生産効率の
向上と、省力が図りうる。

また、匣鉢が軽量となつて、平物タイルとの積
み合わせが可能になるため、焼成時に問題となる
平面、役物タイル間の重量の差により発生する色
違いと、燃料のバラつき、温度不安定が解消され
て安定した焼成が可能となり、燃費の削減が図り
える。

さらに、本考案匣鉢を使用することにより、現
在平物タイルとを役物タイルの価格差が、平物１
に対し、役物５乃至９倍となつているも、作業性
の向上、材料の節減等で、コストダウンを図りえ
て、また、匣鉢自体も軽量で、簡易な形状とした
ので、省資源、コストダウンを図りえる。

またさらに、窯内で役物、平物タイルを焼成す
るが、現在であると、別に手配の上焼成せねばな
らないが、本考案によれば同時に使用可能なた
め、役物、平物をバランスよく使用できる。

さらに、支持壁部が、その端部を逆方向に立設
されているので、高さの調整が極めて容易であつ
て、よつて、高さを適宜低くすることにより、匣
鉢の空間を最小限となしえて、従来よりも増産が
可能となり、よつてさらに、製品のコストダウン
となる等種々なる効果を奏することになり、産業
上価値の高いものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示したもので、第１
図は第一実施例曲がり匣鉢の斜視図、第２図は同
正面図、第３図は第一実施例まぐさ匣鉢の斜視
図、第４図は同正面図、第５図は第一実施例曲が
り匣鉢を積重し曲がりタイルを平置した状態を示
す正面図、第６図は第二実施例曲がり匣鉢の斜視
図、第７図は同正面図、第８図は第二実施例まぐ
さ匣鉢の斜視図、第９図は同正面図、第１０図は
第二実施例曲がり匣鉢の積重状態を示す正面図、
第１１図は第二実例まぐさ匣鉢の積重状態を示す
正面図である。 Ａ１，Ａ２，Ｂ１，Ｂ２……匣鉢、１，３……
載置壁部、１１，３１……載置部、２ａ，２ｂ…
…支持壁部、Ｔ……支持壁端部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 陶磁製役物タイルを載置して焼成する載置壁部
   の載置部断面形状を、前記陶磁製役物タイルが平
   置されて焼成可能に表裏両面を同一の山型形状と
   しこれを連設して鋸刃状に形成し、かつ、他両側
   端に該載置壁部と一体に端部をそれぞれ逆方向と
   した支持壁部を立設し、さらに、該山型状に沿つ
   た両側端を開放し、該支持壁部を介して積重ね可
   能に形成してなることを特徴とする役物タイル焼
   成用匣鉢。