JPH0119458Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は圧電振動子の安定な特性を得る為に工
夫された圧電振動子の保持構造に関するものであ
る。

従来の保持構造は、例えば矩形水晶振動子につ
いては第１図ａに示す様にガラス、セラミツク等
の絶縁物質１を介在して２本の金属端子２を貫通
固定した基台３の金属端子２に水晶振動板４を保
持する為、金属サポート５をロウ付け、ハンダ付
け又はスポツト溶接により固着していた。この金
属サポート５は、バネ性に富んだ材質、例えば洋
白やニツケル等の平板をプレス又はエツチングに
て成形し、２ケ所折曲げさらに水晶振動板４を保
持する為、先端をコの字形で林立形成している。
水晶振動板４の固定は第１図ｂに示す様に導電接
着剤６を４ケ所塗布して行われる。

しかし、この保持構造は、導電接着剤６を４ケ
所塗布するが金属サポート５の板厚幅のみに塗布
する為、接着面積が狭く、接着強度が十分でなく
耐振動、衝撃に対して弱い欠点があつた。また、
この保持構造は金属端子２に金属サポート５を固
定する際、左右１対の金属サポート５の位置精度
が出しにくい上、金属端子２は剛構造でありなが
ら、金属サポート５が柔構造であることから強力
な振動や衝撃に対して水晶振動板４が金属端子２
を支持点として大幅に応力を受ける為、周波数の
変動及び出力の変動や破壊を起こしてしまう。も
し金属端子２を剛構造にする為、硬質金属を用い
ると金属サポート５のコの字形加工が困難とな
り、かつ、左右の位置精度も出しにくいばかりで
なく強力な振動や衝撃に対して水晶振動板４に直
接的に応力がかかり、かつ、その応力の逃げがな
いことから水晶振動板４を破壊させるか、または
水晶振動板４を固着している導電接着剤６を破壊
させることになる。

本考案の目的は上述した欠点を除去した圧電振
動子の保持構造を提供することであり、以下本考
案を実施例図面を参照して説明する。第２図は基
台３の平面に平行に水晶振動板４を載置した本考
案の一実施例を示す。同図において、第１図に示
したように金属端子２に金属サポート５を取り付
けるのでなく、基台３の上面側に突き出た金属端
子７を次の様に加工する。この金属端子７は、コ
バール、鉄。ニツケル合金等、硬質金属を材料に
し、その加工は第２図ｃの右側半断面拡大図に示
す様に、ガラス等の絶縁物質１から金属端子７が
立ち上つた個所から次の様に行われる。第１曲折
部８から基台３平面に対して平行方向または斜め
上位方向に進行し、端子の中で長い寸法を有する
延在部９とその延在部９からさらに水晶振動板４
の主寸法ｌよりやや短かい寸法の個所である第２
曲折部１０から基台３平面に対して上位方向に進
行し、かつ、第２曲折部１０の直後に第３曲折部
１１を設け、この第３曲折部１１から平行方向ま
たは斜め上位方向に進行している階段状部１２を
形成する。この階断状部１２のうち、第３曲折部
１１から次の第４曲折部１４までの間に水晶振動
板４を載置する階上部分１２′が設けられ、その
階上部分１２′の先には水晶振動板４の主寸法ｌ
より多少長めの寸法個所である第４曲折部１４で
上位方向に曲折する対面部１５を形成する。この
対面部１５は水晶振動板４の主寸法ｌ方向に直交
する端部１６すなわち本例では端面に対面してい
る。第１曲折部８と第４曲折部１４との間の板厚
ｔは平行方向または斜め上位方向に進行するほど
薄くなる様に加工されている。水晶振動板４は、
ATカツト水晶板を矩形カツトし、主寸法の長手
方向をベベル加工、コンベツクス加工等し、周辺
に進行するに従つて厚さを薄くしたもので両主面
に厚み振動すべき励振電極１７１と、そこから互
に反対方向に周辺にまで引き出した引出電極１７
２を配置している。そして、この引出電極１７２
部分にハンダ付けまたは導電接着剤１８を塗布す
ることにより、水晶振動板４は金属端子７の第３
曲折部１１から第４曲折部１４の上端までの範囲
内すなわち階上部分１２′から対面部１５の間で、
電気的兼機械的に固着される。

本考案は以上の様な構造にしていることから、
ハンダ又は導電接着剤が水晶振動板の中心部に流
れ出ず、また水晶振動板の保持位置が従来の構造
と異なり、水晶振動板と保持構造との接する面が
一定なため、接着面積を一定にして発振出力のバ
ラツキを少なくすることが出来る。また、接着面
積も従来の構造より大きくとれ、耐振動、衝撃特
性が向上する。さらに、本例の様に金属端子７に
おいて第１曲折部８から第４曲折部１４にかけ
て、剛構造から比較的柔構造にしていることか
ら、強い振動や衝撃に対してその耐久力を向上さ
せるとともに、水晶振動板４やその固着個所の破
壊を防止することが出来る。また、保持構造が一
体構造であることから、位置精度を向上させ、か
つ、加工を容易にすることが出来る。さらに、ま
た本例の様に水晶振動板４を固着する金属端子７
の幅Ｗをその金属端子７の径より大きくしている
ことから、水晶振動板４の保持を容易にすること
が出来る。

第３図ａ，ｂ，ｃは、水晶振動板４の端部を囲
う様にする為、第５曲折部２７を設けた。本考案
の他の一実施例を示す。本例は前例の第１曲折部
２０から第４曲折部２４の他に、第４曲折部２４
から水晶振動板４の端部厚みよりもやや大きめの
ところから曲折する第５曲折部２７を設け、結局
第３曲折部２３から第５曲折部２７まで断面をコ
の字状にしている。これにより、水晶振動板を固
着する為、ハンダまたは導電接着剤２９を塗布す
るのが水晶振動板４の上面で行える為、塗布が容
易になるとともに、前実施例と同様な効果を奏す
る。

第３図ｄは前実施例にハンダまたは導電接着剤
塗布部に切り込み３１を形成し、一層塗布し易い
構造としている。また、その塗布が流入し易い
為、接着強度が増し、耐振動、衝撃性が向上す
る。

以上の実施例において、圧電物質として水晶を
取り挙げたが、タンタル酸リチウム、エオブ酸リ
チウムまたは圧電セラミツク等の圧電体であつて
もよい。

以上のとおり、本考案によれば固着に使用され
るハンダまたは導電接着剤が均一でかつ、その接
着面積を大きくし、塗布し易いため発振出力のバ
ラツキを少なくし、耐振動、耐衝撃性及び位置精
度のそれぞれの向上をさせ、さらに加工を容易に
することができるので、実用的価値は多大であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来の保持構造を示す斜視図、同図
ｂは従来の保持構造に水晶振動板を載置した例を
示す斜視図である。第２図ａは本考案の実施例の
保持構造を示す斜視図、同図ｂは本例の保持構造
に水晶振動板を載置した例を示す斜視図、同図ｃ
は同図ｂの右側半断面拡大図である。第３図ａは
本考案の他の実施例の保持構造を示す斜視図、同
図ｂは本例の保持構造に水晶振動板を載置した例
を示す斜視図、同図ｃは同図ｂの右側半断面拡大
図である。同図ｄは同図ｂの他の実施例を示す斜
視図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 基台に絶縁物を介在して２本の金属端子を貫通
   し、該基台を貫通した２本の金属端子が該圧電振
   動板の主方向に延在するために第１曲折部を形成
   し、該第１曲折部からほぼ該圧電振動板に沿つて
   長く延在する延在部と、該延在部から階段部に第
   ２曲折部を形成し、該階段状部の第３曲折部に該
   圧電振動板の主寸法方向の周辺部を載置し、か
   つ、該階上部分の先端を折り曲げた第４曲折部を
   形成し、該圧電振動板の主寸法方向に直交する端
   部に対面する対面部を形成し、圧電振動板を電気
   的兼機械的に固着する圧電振動子の保持構造にお
   いて、該第１曲折部から該第４曲折部までの間で
   漸次金属端子の厚みが薄くなることを特徴とする
   圧電振動子の保持構造。