JPH0118840Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動二輪車の始動装置、特に始動装
置の小型化に関するものである。

（従来技術） 従来、自動二輪車の始動装置としては例えば本
願出願人による特開昭56−34955号公報や実開昭
57−22676号公報に記載されるように、アイドル
シヤフト（中間軸）に回転自在で且つ軸方向に摺
動自在に軸支され、キツク系を構成するキツクペ
ダルの操作により駆動されるキツクギヤ（始動歯
車）に噛合すべくボス部に形成される第１小径ギ
ヤ（第１中間歯車または第２アイドルギヤ）、及
び該ボス部と一体的に形成され該第１小径ギヤ
（第１中間歯車、第２アイドルギヤ）より大径の
第１大径ギヤ（第２中間歯車または第１アイドル
ギヤ）から成るアイドルギヤ（中間ギヤ）と、前
記アイドルシヤフト（中間軸）に並設されるクラ
ンクシヤフトに軸支され、前記第１大径ギヤ（第
２中間歯車または第１アイドルギヤ）と噛合する
第２小径ギヤ（ピニオン歯車またはドリブンギ
ヤ）から成る被駆動ギヤと、前記第１大径ギヤ
（第２中間歯車または第１アイドルギヤ）を前記
第２小径ギヤ（ピニオン歯車またはドリブンギ
ヤ）から前記軸方向に沿つて離間させるように付
勢すべく前記アイドルギヤに取り付けられるフリ
クシヨンスプリング（摩擦ばね）と、前記アイド
ルシヤフト（中間軸）の中途部から前記アイドル
ギヤとは反対側の軸端にわたり嵌装されると共
に、前記フリクシヨンスプリングの付勢力に抗し
た前記アイドルギヤ（中間ギヤ）の前記軸方向の
摺動を規制すべく、前記ボス部の端面に当接する
ストツパ（間隔筒または中間軸の段部）とを備え
たものが開示されている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、かかる従来技術の構成による
と、例えばクランクシヤフトに軸支される被駆動
ギヤとして、前記第２小径ギヤ（ピニオン歯車ま
たはドリブンギヤ）の他に、例えばセルフスター
タ用ドリブンギヤ等を設ける場合、該ドリブンギ
ヤはスタータモータの小型化を図るためには所定
の駆動力を得るべく比較的大径にする必要がある
が、歯先はアイドルシヤフトの径、つまりストツ
パ（間隔筒または中間軸の段部）に制約されるの
で自ずと限界があり、他方、これを解決すべく、
クランクシヤフトとアイドルシヤフトとの間を離
間させると、始動装置全体の大型化を招来させ好
ましくない。また、前記フリクシヨンスプリング
とストツパとの位置関係によつてはキツク系との
干渉を生じさせる等の問題もある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、かかる従来技術の問題点を解決すべ
くなされたものであり、アイドルシヤフトに回転
自在で且つ軸方向に摺動自在に軸支され、キツク
ペダルの操作により駆動されるキツクギヤに噛合
すべくボス部に形成される第１小径ギヤ、及び該
ボス部と一体的に形成され該第１小径ギヤより大
径の第１大径ギヤから成るアイドルギヤと、前記
アイドルシヤフトに並設されるクランクシヤフト
に軸支され、前記第１大径ギヤと噛合する第２小
径ギヤ、及び該第２小径ギヤより大径で且つ歯先
が前記アイドルシヤフトに向かつて延設される第
２大径ギヤから成る被駆動ギヤと、前記第１大径
ギヤを前記第２小径ギヤから前記軸方向に沿つて
離間させるように付勢すべく前記アイドルギヤに
取り付けられるフリクシヨンスプリングと、前記
ボス部における前記第１小径ギヤの形成位置に隣
接する最外端部の外周部に形成され、前記フリク
シヨンスプリングを嵌合させる環状溝と、前記環
状溝と同心状重合位置で、前記ボス部の最外端部
の内周部を前記第１小径ギヤ側に凹ませて形成さ
れた収納部と、前記アイドルシヤフトの中途部に
鍔状に形成され、前記アイドルギヤの前記フリク
シヨンスプリングの付勢力に抗する方向に沿う軸
方向の摺動を規制すべく前記収納部に収納される
ストツパとを備えたことを特徴とし、装置全体の
小型化を図りつつキツク系との干渉回避や被駆動
ギヤの可及的大径化等を可能にした自動二輪車の
始動装置を提供することを目的とする。

（作用） ストツパは飛込み時におけるアイドルギヤの摺
動時には該アイドルギヤのボス部の先端部に形成
された収納部に収納され、しかも、第２大径ギヤ
の径は基本的にはアイドルシヤフトの径に支配さ
れるので、アイドルシヤフトとクランクシヤフト
とを無闇に離間させることがなく、装置全体の小
型化を実現できる。さらに、フリクシヨンスプリ
ングを嵌合させる環状溝と前記ストツパの収納部
とがボス部の第１小径ギヤの形成位置を除く先端
部の外周部とその内部に夫々形成されるので、少
なくとも車幅方向の幅を短縮することができ、装
置全体の小型化を実現できる他、キツク系との干
渉が回避される。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面を参照しながら説
明する。

第１図及び第２図に示すように、アイドルシヤ
フト１はアイドルギヤ（飛込み式駆動ギヤ）２が
ボス部３の軸孔３ａを介して回転自在で且つ軸方
向に摺動自在に軸支されており、このアイドルギ
ヤ２はパワーユニツトPUのキツク系を構成する
キツクペダル４（第３図参照）の操作により駆動
される扇形のキツクギヤ５に噛合すべく、前記ボ
ス部３に形成され早ねじ機構を構成する第１小径
ギヤ６、及び該ボス部３と一体的に形成され該第
１小径ギヤ６より大径の第１大径ギヤ７から成
る。また、前記アイドルシヤフト１に並設される
クランクシヤフト８には被駆動ギヤ９が軸支さ
れ、この被駆動ギヤ９は、前記第１大径ギヤ７と
噛合する第２小径ギヤ１０、及び該第２小径ギヤ
１０より大径で且つ歯先が前記アイドルシヤフト
１に向かつて延設される第２大径ギヤ１１から成
る。なお、この第２大径ギヤ１１は例えばセルフ
スタータ用ドリブンギヤを構成する。

さらに、前記アイドルギヤ２のボス部３におけ
る第１小径ギヤ６の形成位置を除く先端部の外周
部には環状溝１２が形成され、この環状溝１２に
は第４図に詳細に示すような略Ｕ字状をなすフリ
クシヨンスプリング１３の湾曲部１３ａ，１３ｂ
が嵌合し、該フリクシヨンスプリング１３の端部
１３ｃは装置ケースの所定位置に固定されてお
り、これにより、フリクシヨンスプリング１３は
前記第１大径ギヤ７を前記第２小径ギヤ１０から
前記アイドルシヤフト１の軸方向に沿つて離間さ
せるように付勢する。

他方、前記アイドルシヤフト１の中途部には第
２大径ギヤ１１に隣接して、軸径よりも大径の円
形鍔状をなすストツパ１４が該アイドルシヤフト
１と一体に形成されている。また、前記ボス部３
の前記先端部の内周部には前記軸孔３ａと同心状
に重合され、ストツパ２を遊嵌状態で収納し得る
収納部１５が形成されている。ここで、前記アイ
ドルギヤ２は収納部１５の底面１５ａがストツパ
１４の端面１４ａに前記フリクシヨンスプリング
１３の付勢力に抗して当接するまで摺動可能であ
る。

このように構成されているので、前記キツクペ
ダル４を踏み込むと、キツクギヤ５が回動し、こ
れによりアイドルギヤ２が早ねじ機構により回転
しながらアイドルシヤフト１の軸方向に沿つてフ
リクシヨンスプリング１３の付勢力に抗して摺動
すると共に、アイドルギヤ２の第１大径ギヤ７が
被駆動ギヤ９の第２小径ギヤと噛合し、クランク
シヤフト８が回転しエンジンが始動する。

また、別途キースイツチ等の投入によりスター
タモータを駆動すると、同時に第２大径ギヤ１１
が回動してクランクシヤフト８が回転し、エンジ
ンが始動する。

このアイドルギヤ２の所定距離の摺動時（矢印
Ｃ方向への移動時、即ち飛込み時）には、ストツ
パ１４はボス部３の収納部１５内に略全体が収納
され、ストツパ１４の端面１４ａは収納部１５の
底面１５ａに当接してアイドルギヤ２の前記矢印
Ｃ方向へのそれ以上の移動が阻止される。

したがつて、アイドルシヤフト１は収納部１５
の深さｍ分だけ全長を短くでき、これは裏を返せ
ば、第１小径ギヤ６の歯部の有効長さｄをより長
く設定できることとなる。また、第２大径ギヤ１
１の歯先はアイドルシヤフト１の軸径に可及的に
接近できることとなり、第２大径ギヤ１１の有効
径Ｍはアイドルシヤフト１の軸径に支配される。
また、ボス部３の最外端部に環状溝１２と収納部
１５とが同心状に形成されることから、その分当
該始動装置は少なくとも各別に形成する場合に比
べてアイドルシヤフト１の軸方向に沿う幅、即ち
車幅方向の幅を短縮できる。

なお、前記キツクペダル４の踏み込みを解除す
ると、キツクギヤ５の回動復帰及びフリクシヨン
スプリング１３の付勢力によりアイドルギヤ２は
前記矢印Ｃ方向とは反対方向の位置、即ちキツク
開始位置に戻る。

該キツク開始位置への復帰時、及び上記飛込み
時のいずれの場合でも、フリクシヨンスプリング
１３はボス部３の先端部に係止されているので、
先端部とは反対側に位置するキツク系の部材と干
渉することはない。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、アイドルシヤフ
トに回転自在で且つ軸方向に摺動自在に軸支さ
れ、キツクペダルの操作により駆動されるキツク
ギヤに噛合すべくボス部に形成される第１小径ギ
ヤ、及び該ボス部と一体的に形成され該第１小径
ギヤより大径の第１大径ギヤから成るアイドルギ
ヤと、前記アイドルシヤフトに並設されるクラン
クシヤフトに軸支され、前記第１大径ギヤと噛合
する第２小径ギヤ、及び該第２小径ギヤより大径
で且つ歯先が前記アイドルシヤフトに向かつて延
設される第２大径ギヤから成る被駆動ギヤと、前
記第１大径ギヤを前記第２小径ギヤから前記軸方
向に沿つて離間させるように付勢すべく前記アイ
ドルギヤに取り付けられるフリクシヨンスプリン
グと、前記ボス部における前記第１小径ギヤの形
成位置に隣接する最外端部の外周部に形成され、
前記フリクシヨンスプリングを嵌合させる環状溝
と、前記環状溝と同心状重合位置で、前記ボス部
の最外端部の内周部を前記第１小径ギヤ側に凹ま
せて形成された収納部と、前記アイドルシヤフト
の中途部に鍔状に形成され、前記アイドルギヤの
前記フリクシヨンスプリングの付勢力に抗する方
向に沿う軸方向の摺動を規制すべく前記収納部に
収納されるストツパとを備える構成としたので、
飛込み時におけるアイドルギヤの移動を規制する
ストツパ及び該ストツパを収納する収納部の形成
によりアイドルギヤの摺動距離を短く設定できる
一方、アイドルシヤフトとクランクシヤフトとを
無闇に離間させることなく第２大径ギヤの有効径
を可及的に大きく設定でき、また、始動装置はア
イドルシヤフト１の軸方向に沿う幅を短縮でき、
フリクシヨンスプリングと他のキツク系との干渉
を生じさせることもなく、配置構成の裕度を確保
しつつ、自動二輪車の小型化に貢献できる。ま
た、収納部は第１小径ギヤの形成位置を除くボス
部の先端部に形成されるから、第１小径ギヤの形
成部分は飛込み時における衝撃に十分耐えられ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す要部断面図、
第２図は本装置の全体構成を示す一部切欠き断面
図、第３図は本装置を搭載した自動二輪車の外観
側面図、第４図はフリクシヨンスプリングの斜視
図である。 １……アイドルシヤフト、２……アイドルギ
ヤ、３……ボス部、５……キツクギヤ、６……第
１小径ギヤ、７……第１大径ギヤ、８……クラン
クシヤフト、９……被駆動ギヤ、１０……第２小
径ギヤ、１１……第２大径ギヤ、１２……環状
溝、１３……フリクシヨンスプリング、１４……
ストツパ、１５……収納部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 アイドルシヤフトに回転自在で且つ軸方向に摺
   動自在に軸支され、キツクペダルの操作により駆
   動されるキツクギヤに噛合すべくボス部に形成さ
   れる第１小径ギヤ、及び該ボス部と一体的に形成
   され該第１小径ギヤより大径の第１大径ギヤから
   成るアイドルギヤと、 前記アイドルシヤフトに並設されるクランクシ
   ヤフトに軸支され、前記第１大径ギヤと噛合する
   第２小径ギヤ、及び該第２小径ギヤより大径で且
   つ歯先が前記アイドルシヤフトに向かつて延設さ
   れる第２大径ギヤから成る被駆動ギヤと、 前記第１大径ギヤを前記第２小径ギヤから前記
   軸方向に沿つて離間させるように付勢すべく前記
   アイドルギヤに取り付けられるフリクシヨンスプ
   リングと、 前記ボス部における前記第１小径ギヤの形成位
   置の外方の先端部の外周部に形成され、前記フリ
   クシヨンスプリングを嵌合させる環状溝と、 前記環状溝と同心状重合位置で、前記ボス部の
   先端部の内周部を前記第１小径ギヤ側に凹ませて
   形成された収納部と、 前記アイドルシヤフトの中途部に鍔状に形成さ
   れ、前記アイドルギヤの前記フリクシヨンスプリ
   ングの付勢力に抗する方向に沿う軸方向の摺動を
   規制すべく前記収納部に収納されるストツパとを
   備えたことを特徴とする自動二輪車の始動装置。