JPH0116461Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 例えば、リクライニングチエアやロツキングチ
エア等の安楽椅子にあつては、その使用感を高め
る上で枕部が所望角度に傾動可能であることが望
ましい。

本考案はかゝる観点に立脚してなされた椅子の
枕部傾動装置に係るものであつて、その目的とす
るところは、着座したまゝの状態にて、操作ノブ
を回転するだけの簡単な操作により、枕部を所望
角度に容易かつ確実に傾動調整できるようにする
ことにある。

以下本考案を図示の実施例に基づいて詳述すれ
ば、枕部傾動装置は第１図ないし第３図に示した
ように、背座１の上端部左右両側にブラケツト
２，２を立設し、該ブラケツト２，２に夫々挿通
した摺動軸３及び枢軸４により、枕部５が前後方
向へ回転可能に、かつバネ８により前方への復帰
力を付勢させて枢設させてある。

この枕部５は多段階に傾動調整保持可能なるよ
うブラケツト２，２′の先端部に複数個（図示例
では３個）の係止孔６，６′，６″が所定間隔毎に
貫設してあり、一方枕部５の左右両側部には、上
記各係止孔６…に選択的に係脱可能なストツパー
ピン７，７′を摺動可能に設けてあり、該ストツ
パーピン７，７を内側へ引くことによつて上記係
止孔６…との係嵌が外れるようになつている。

又上記摺動軸３には、その内端部に外装した戻
しバネ９によつて軸方向（第２図において右方
向）への戻し力が付勢されていると共に、ピン１
０を軸方向と直角方向に固定してある外端部に
は、操作ノブ１１を回転可能に嵌合してある。

上記操作ノブ１１の外側面は、軸方向へ高低差
を有するカム面１２に形成してあつて、該カム面
１２と上記ピン１０を係合せしめ、操作ノブ１１
を例えば、第３図において矢印ａ方向へ回転する
ことにより上記ピン１０が周方向へ設けてあるカ
ム面１２の低所１２ａから高所１２ｂに乗り上げ
ることで摺動軸３を戻しバネ９による戻し力に抗
して第２図において左方向へ移動させ、これによ
り摺動軸３の内端と、途中にレバー１３を介して
ワイヤ１４，１５，１６にて連結してある上記ス
トツパーピン７，７′が夫々矢印ｂ，b′で示した
内側に引かれて係止孔６…との係嵌が外れ、枕部
５を所望角度に傾動調整できるように構成されて
いる。

こゝで、上記ブラケツト２，２′は背座フレー
ム１ａに溶接等にて固定してあつて、その一方の
ブラケツト２に上記摺動軸３は非回転で、かつ軸
方向へ摺動可能なるよう支承され、該摺動軸３に
枕部フレーム５ａの一側端が回転可能に支持して
ある。

又他方のブラケツト２′には枢軸４が固定して
あつて、該枢軸４に枕部フレーム５ａの他側端が
回転可能に支持されている。

又、上記操作ノブ１１は、ブラケツト２の外側
に金具２ａを固設し、該金具２ａとピン１０との
間に位置せしめて摺動軸３に回転可能に支承さ
せ、上記戻しバネ９による戻し力によつて、その
カム面１２に上記ピン１０が弾接されている。

更に、上記ストツパーピン７，７′は、枕部フ
レーム５ａにカラー１７を介して摺動可能に取付
けられており、このカラー１７が、上記ブラケツ
ト２又は２′に設けたストツパー１８に突き当る
ことにより、枕部５はその前方への回動限に停止
するようになつている。

又、前記レバー１３は枕部フレーム５ａの略中
間部に、中央部を軸ピン１９にて枢着して回転自
在に取付けられていて、その一端と摺動軸３及び
ストツパーピン７′をワイヤ１４，１６で夫々連
結し、他端はストツパーピン７にワイヤー１５で
連結してあつて、上記摺動軸３を、第２図におい
て左方向へ移動することにより、レバー１３は図
に矢印ｃで示した時計回り方向へ回転し、これに
よりワイヤー１５，１６を介してストツパーピン
７，７′が夫々内側方向へ引かれ、又摺動軸３が
戻しバネ９によつて、図において右方向へ摺動復
帰されることでレバー１３は反矢印ｃ方向へ回転
して両ストツパーピン７，７′を反矢印ｂ，b′方
向へ押動し、選択された係止孔６…に係嵌される
ようになつている。

尚、第１図はリクライニングチエアを示したも
ので、２０はフレーム、２１は上記背座１と回転
可能に枢着した座、２２は肘掛け、２３はガスス
プリング等からなる背座の傾動復帰機構を夫々示
している。

上述した図示例においては、レバー１３、ワイ
ヤー１４，１５，１６が、摺動軸３の軸方向の動
きを各ストツパーピン７，７′に伝達するための
伝動部材となる。

以上説明した通り、本考案は背座の上端部両側
にブラケツトがそれぞれ取りつけられ、これらブ
ラケツト間に配置された枕部が、該各ブラケツト
と枕部両側とにわたる一対の枢軸を介して、前後
方向に傾動自在なるよう支持されている椅子の枕
部傾動装置において、少なくとも上記一方の枢軸
が、上記一方のブラケツトを介して軸方向、回転
方向へ移動自在なるよう支持された摺動軸からな
り、上記枕部には、当該枕部を前方回転させるた
めのバネが装着されているとともに、上記摺動軸
には、当該摺動軸を上記枕部内に戻すための戻し
バネが装着されており、軸方向に高低差のあるカ
ム面を外側面に備えた操作ノブが上記摺動軸の外
側端部に嵌合され、かつ、その操作ノブのカム面
には、当該摺動軸の外側端部に取りつけられたピ
ンが当接されており、上記両ブラケツトには複数
の係止孔が形成され、かつ、上記枕部の両側部に
は軸方向に摺動するストツパーピンが備えられ
て、これら係止孔とストツパーピンとが相対係止
自在に対応しており、上記摺動軸の軸方向の動き
を上記各ストツパーピンに伝達するための伝動部
材を介して、これら摺動軸とストツパーピンとが
相互に連結されていることを特徴とする。

かかる本考案では、操作ノブを所定方向へ回転
させるだけの操作で摺動軸が軸方向に摺動し、こ
れとともに連動するストツパーピンが係止孔から
離脱するので、この状態において、例えば、枕部
を後頭部で押動することにより、当該枕部を所望
の傾斜角度に調整することができ、その調整後に
おいても、戻しバネの力を利用した一連の伝動系
により、ストツパーピンがブラケツトの係止孔に
嵌まりこむので、上記枕部の調整状態をロツクす
ることができる。

特に着座姿勢で操作ノブを操作するとき、側頭
部のやや後位に手がくる、いわゆる、うしろ手の
操作となり、通常、うしろ手にて複数の操作を一
時に行なうのが因難であるが、本考案の場合は、
うしろ手操作において操作ノブを回転させるだけ
でよいので、操作難度をともなわない。

その他、枕部には、バネを介してこれを前方へ
回転させる力が付与されているので、上述したご
とく、枕部を後頭部で押動するだけで、これの傾
斜角度調整が簡単に行なえる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る枕部傾動装置を備えたリ
クライニングチエアの側面図、第２図は同装置の
正面図、第３図は同装置の一部拡大側面図であ
る。 １……背座、２，２′……ブラケツト、３……
摺動軸、４……枢軸、５……枕部、６，６′，
６″……係止孔、７，７′……ストツパーピン、８
……バネ、９……戻しバネ、１０……ピン、１１
……操作ノブ、１２……カム面、１３……レバー
（伝動部材）、１４，１５，１６……ワイヤ（伝動
部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 背座の上端部両側にブラケツトがそれぞれ取り
   つけられ、これらブラケツト間に配置された枕部
   が、該各ブラケツトと枕部両側とにわたる一対の
   枢軸を介して、前後方向に傾動自在なるよう支持
   されている椅子の枕部傾動装置において、少なく
   とも上記一方の枢軸が、上記一方のブラケツトを
   介して軸方向、回転方向へ移動自在なるよう支持
   された摺動軸からなり、上記枕部には、当該枕部
   を前方回転させるためのバネが装着されていると
   ともに、上記摺動軸には、当該摺動軸を上記枕部
   内に戻すための戻しバネが装着されており、軸方
   向に高低差のあるカム面を外側面に備えた操作ノ
   ブが上記摺動軸の外側端部に嵌合され、かつ、そ
   の操作ノブのカム面には、当該摺動軸の外側端部
   に取りつけられたピンが当接されており、上記両
   ブラケツトには複数の係止孔が形成され、かつ、
   上記枕部の両側部には軸方向に摺動するストツパ
   ーピンが備えられて、これら係止孔とストツパー
   ピンとが相対係止自在に対応しており、上記摺動
   軸の軸方向の動きを上記各ストツパーピンに伝達
   するための伝動部材を介して、これら摺動軸とス
   トツパーピンとが相互に連結されている椅子の枕
   部傾動装置。