JPH0115945Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車における固定側部材と可動側部
材との間に介装する緩衝装置に関する。

一般に自動車において、例えばボンネツトを閉
じた際の衝撃力を緩衝すると共に、前記ボンネツ
トとフロントボデイとの間に生じた隙間等を吸収
するための緩衝装置が前記フロントボデイ前部に
設けられている。

ところで従来、前記したような緩衝装置は第６
図に示したように、中心部に固定側部材或いは可
動側部材のどちらか一方に固定する取付ねじ体の
支持孔をもつた円筒状の弾性体を形成して、前記
支持孔の先端側から、その半径方向外方が下方に
向つて傾斜する如く成したものが使用されていた
のである。

しかしながら、従来の緩衝装置の構造による
と、緩衝機能を発揮させるためには、前記緩衝装
置を構成する弾性体に適度な剛性をもたせる必要
があり、またこのように弾性体に適度な剛性をも
たせた場合には、前記弾性体が変形を起こしにく
くなり、該弾性体からは十分なたわみ代を得るこ
とは困難となり、従つて固定側部材と可動側部材
との間に大きな隙間が生じた場合などは、該隙間
を前記撓み代によつて吸収するようなことは全く
できなかつたのである。

本考案はこのような問題に鑑みて考案したもの
で、目的とするところは極めて簡単な構造であり
ながら、極めて大きな撓み代を得ることのでき
る、緩衝機能の著しく向上した自動車の緩衝装置
を提供するにある。

即ち本考案は、中心部に固定側部材と可動側部
材との各部材の一方に固定する取付ねじ体の支持
孔をもつた円筒状の弾性体を形成して、該弾性体
の外周に、環状溝を設けると共に、前記支持孔の
先端側を、前記弾性体の頂面に向つて大径となる
円錐形状として、前記弾性体を、前記ねじ体によ
り前記頂面が前記部材の他方に対向するごとく一
方に固定したことを特徴とするものである。

以下本考案にかゝる自動車の緩衝装置を図に示
す実施例に基づいて説明する。

図において１はボンネツト、２はエンジンルー
ムで、該エンジンルーム２前方におけるフロント
ボデイ前部３の左右両側部附近に緩衝装置４を取
付けるのである。

前記緩衝装置４は、フロントボデイ前部３に固
定する取付ねじ体８の支持孔５をもつた円筒状
で、かつ衝撃力を緩衝するための適度な剛性を有
した弾性体６からなり、該弾性体６の中央部にお
ける外周には、環状溝７を設けると共に、前記支
持孔５の先端側を前記弾性体６の頂面に向つて、
大径となる円錐形状とするのである。

また１０は前記支持孔５と同一の内径を有した
挿通孔１１を設けた座金であつて、該座金１０は
前記弾性体６に形成された支持孔５の上端部に予
め埋込んでおくのである。

本考案の自動車の緩衝装置は以上の構成からな
るもので、前記緩衝装置４をボンネツト１とフロ
ントボデイ前部３との間に取付けるのであつて、
その取付け方法は図示の如くねじ体８を前記弾性
体６に埋込められた座金１０及び該弾性体６に形
成された支持孔５に挿入し、さらに前記ねじ体８
をフロントボデイ前部３に穿設された取付孔（図
示せず）に螺締して、前記弾性体４の頂面をボン
ネツト１に対向する如く、前記弾性体６を前記フ
ロントボデイ前部３に取付けるのである。

而してフロントボデイ前部３に取付けられた弾
性体６は、その中央部における外周に環状溝７が
設けられているために、この弾性体６は第４図に
示したように極めて大きな撓み代８を得ることが
できるのである。

即ち、前記弾性体６の頂面が前記ボンネツト１
により押圧されると、この弾性体６は前記ボンネ
ツト１の押圧によつて弾性変形を生じると共に、
前記弾性体６の中央部における外周には環状溝７
が設けられているために、前記弾性体６の頂面部
分から中央部分が前記押圧によつて半径方向外方
へと押拡げられるように変形を起こし、この半径
方向外方への変形と前記弾性変形とにより、前記
弾性体６は全体として極めて大きな撓み代８を得
ることができるのである。

従つて、第５図に示したようにフロントボデイ
前部３に対するボンネツト１の取付けに誤差があ
るような場合に、前記ボンネツト１とフロントボ
デイ前部３の左右両側部における隙間が大きくか
つ又くい違いを起していても、前記弾性体６が極
めて大きな撓み代８を得ることができるために、
前記ボンネツト１と前記フロントボデイ前部３と
の間に生じた隙間は前記弾性体６の撓み代８によ
つて、確実に吸収されるのである。

尚、実施例においては、前記弾性体６をフロン
トボデイ前部３に固定したのであるが、弾性体６
をボンネツト１の裏面に取付けても良く、また前
記緩衝装置４はシート（図示せず）と前記シート
固定部材との間等に介装すれば前記シートの取付
けが極めて容易に行なえるのである。

以上説明した如く、本考案は中心部に固定側部
材と可動側部材との一方に固定する取付ねじ体の
支持孔をもつた円筒状の弾性体を形成して、該弾
性体の外周に、環状溝を設けると共に、前記支持
孔の先端側を、前記弾性体の頂面に向つて大径と
なる円錐形状として、前記弾性体を前記ねじ体に
より前記頂面が前記部材の他方に対向するごとく
一方に固定したものであるから、極めて簡単な構
造でありながら、適度な剛性と極めて大きな撓み
代の得られる弾性体により、固定側部材と可動側
部材との間に生じた隙間等を確実に吸収すること
のできる、緩衝機能の著しく向上した自動車の緩
衝装置を提供するに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は緩衝
装置をボデイに取付けた状態を示す斜視図、第２
図は弾性体の平面図、第３図は弾性体の縦断面
図、第４図は弾性体の変形した状態を示す縦断面
図、第５図は緩衝装置をボデイに取付けた状態を
示す要部拡大断面図、第６図は従来例を示す縦断
面図である。 １……ボンネツト、３……フロントボデイ前
部、４……緩衝装置、５……支持孔、６……弾性
体、７……環状溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定側部材と可動側部材との間に介装する緩衝
   装置であつて、中心部に、前記各部材の一方に固
   定する取付ねじ体の支持孔をもつた円筒状の弾性
   体を形成して、該弾性体の外周に、環状溝を設け
   ると共に、前記支持孔の先端側を、前記弾性体の
   頂面に向つて大径となる円錐形状として前記弾性
   体を、前記ねじ体により、前記頂面が前記部材の
   他方に対向するごとく一方に固定したことを特徴
   とする自動車の緩衝装置。