JPH0111542Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車エンジンなどの動力装置と車
体フレームとの間に設けられ動力装置が発生する
振動を吸収するための振動吸収装置に関する。

自動車の乗心地の重要課題であるアイドル振動
（高振動数小振幅）と加減速時トルク反力によつ
て発生するシヨツク（低振動数大振幅）との低減
を両立するために、従来からエンジンと車体との
間に第１図に示すように、ばね特性を非線形にし
た振動吸収部材を設けている。振動吸収部材は第
２図に示すように、内筒ａと外筒ｂとからなる２
重管構造をなし、内筒ａと外筒ｂとの間に板状の
ゴムｃを架設している。そして、上記内筒ａをエ
ンジン側に固定し、外筒ｂを車体側に固定して上
記ゴムｃによつて振動を吸収するようにしている
が、大型エンジンなどのように大トルクを発生す
るエンジンに対してはゴムｃだけでは吸収しきれ
ずにシヨツクが発生している。これを解決するた
めに第３図に示すように、上部マウントゴムｄと
下部マウントゴムｅとによつて液室ｆ，ｇを形成
し、これら液室ｆ，ｇ間にオリフイスｈを設けて
ｉを車体側、ｊをエンジン側にそれぞれ固定した
ものもあるが、これは液体がオリフイスｈを通過
するときに発生する減衰力を利用してシヨツクを
吸収するものであり、大きな振幅が発生するとき
はオリフイスの作用によつて減衰力が発生するが
微小変位時にはオリフイスｈの流路抵抗によつて
液体が通過せず、ばね定数が大きくなり振動伝達
力が大きくなつてしまう。

この考案は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、アクセル開度、エ
ンジン回転数、車速、クラツチ接合速度およびニ
ユートラル位置などによつて生じるトルクの大小
に応じて減衰力を変化させ、振動エネルギを吸収
することができる振動吸収装置を提供しようとす
るものである。

以下、この考案を図面に示す一実施例にもとづ
いて説明する。第４図および第５図は車体フレー
ム１に対して動力装置２を搭載した状態を示すも
のである。動力装置２はエンジン本体３、クラツ
チハウジング４およびトランスミツシヨンハウジ
ング５からなり、エンジン本体３には第１、第２
および第３の振動吸収装置６，７，８が、トラン
スミツシヨンハウジング５には第４の振動吸収装
置９が設けられている。そして、上記動力装置２
は第１〜第４の振動吸収装置６〜９によつて車体
フレーム１に取付けられ、動力装置２の振動を減
衰して車体フレーム１への伝達力を軽減させてい
る。

上記第１〜第４の振動吸収装置６〜９は同一構
造であるため、その１つについて説明すると第６
図に示すように構成されている。すなわち、１０
はケーシングで、これは両端部が開放された筒状
の基部１１と同基部１１の両端部を閉塞する一対
のゴムからなり、それぞれの内面にゴムストツパ
１２ａ，１２ａを突設した一対の弾性体１２，１
２によつて形成されている。このケーシング１０
の上記基部１１には支持孔１３，１３が穿設され
ていて、これら支持孔１３，１３間には仕切板１
４が架設され、ケーシング１０内を第１の液室１
５と第２の液室１６とに区画している。そして、
この第１の液室１５および第２の液室１６にはそ
れぞれ液体１７が収容されており、この液体１７
は基部１１と弾性体１２，１２とによつて液密に
封入されている。さらに、上記仕切板１４には第
１の液室１５と第２の液室１６とを連通するため
の流路としての複数個の小孔からなるオリフイス
１８…が板厚方向に穿設されている。また、仕切
板１４の長手方向には上記オリフイス１８…と直
交する軸受孔１９が穿設されている。そして、こ
の軸受孔１９には弁体としてのスプール２０が軸
方向スライド自在に挿入されている。このスプー
ル２０は棒状体からなり、その軸部にはオリフイ
ス１８の間隔に対応して小径部２０ａ…と大径部
２０ｂ…とが交互に設けられ、弁部２１を形成し
ている。さらに、このスプール２０の先端部には
リターンスプリング２２が設けられ、末端部には
駆動源としてのソレノイド２３が直結されてい
る。そして、このソレノイド２３はセンサ２４か
ら入力される信号にもとづいてソレノイド２３を
制御する制御部２５に接続されている。このセン
サ２４はスロツトルセンサ、エンジンパルスセン
サ、車速センサ、ニユートラルセンサおよびクラ
ツチセンサからなり、これらセンサによつてトル
ク反力を検知し、その検知信号すなわちトルク反
力の大小によつて制御部２５がソレノイド２３を
制御し、上記仕切板１４のオリフイス１８を開閉
調節するようになつている。さらに、上記仕切板
１４のオリフイス１８…と対応しない部分には連
通路としてのパイプ２６が貫通して設けられ、オ
リフイス１８…がスプール２０によつて全閉され
ても第１の液室１５と第２の液室１６とをパイプ
２６を介して連通するようになつている。また、
上記ケーシング１０の基部１１は車体フレーム１
に取付けられ、弾性体１２，１２はその弾性体１
２，１２に埋設したセンタボス２７，２７に固定
したブラケツト２８を介して動力装置２に取付け
られている。

しかして、アイドル振動（高振動数小振幅）た
とえば低速走行時や高速高回転時には大きなトル
ク反力は発生しないため、センサ２４からの入力
信号によつて制御部２５がソレノイド２３を消磁
してスプール２０をリターンスプリング２２の復
元力によつて後退させ、オリフイス１８…とスプ
ール２０の小径部２０ａ…に対向させるとオリフ
イス１８…は開口し、動力装置２から伝達される
振動は弾性体１２，１２によつて吸収される。さ
らに、弾性体１２，１２が下方に弾性変形する
と、第１の液室１５内の液体１７はオリフイス１
８…を介して第２の液室１６に導びかれ、上方へ
弾性変形すると、第２の液室１６内の液体１７は
オリフイス１８…を介して第１の液室１５に導び
かれる。したがつて、弾性体１２，１２に加わつ
た振動は液体１７がオリフイス１８…を通過する
ときに減衰され、ケーシング１０を介して車体フ
レーム１に伝達される振動を軽減することができ
る。

また、シヨツク（低振動数大振幅）たとえば減
速時やクラツチ急接合時には大きなトルク反力が
発生するため、センサ２４がこれを検知し、制御
部２５に検知信号を入力する。したがつて、制御
部２５がソレノイド２３を駆動してスプール２０
を前進させると、スプール２０の大径部２０ｂ…
がオリフイス１８…に対向し、オリフイス１８…
は全閉される。したがつて、弾性体１２，１２に
伝達される動力装置２からの振動は弾性体１２，
１２に伝達しこれを大きく弾性変形させる。この
ため、第１の液室１５内の液体１７はパイプ２６
の小通路を通過するとき大きく減衰されることに
なり、車体フレーム１へのシヨツクを低減するこ
とができる。

したがつて、動力装置２の振動エネルギは第７
図に示すように、弾性体１２，１２による吸収力
イとオリフイス１８またはパイプ２６による減衰
力ロとによつて車体フレーム１への伝達力を軽減
することができる。

なお、上記一実施例においては、仕切板１４に
パイプ２６を設け、オリフイス１８…の全閉時に
液体１７がパイプ２６の小通路を通過させるよう
に構成したが、パイプ２６に限定されず、仕切板
１４に貫通孔を穿設してもよく、また、ケーシン
グ１０の基部１１を動力装置２に、弾性体１２を
車体フレーム１に取付けてもよい。

この考案は以上説明したように、内部に液体を
収容したケーシング内を仕切板によつて第１の液
室と第２の液室とに区画し、この仕切板に流路お
よび同流路の流通面積を変更せしめる弁体を設
け、上記ケーシングに動力装置のトルクを受けて
弾性変形する弾性体を設け、ケーシングを車体フ
レームに取付けるように構成したから、動力装置
から発生する振動エネルギを弾性体と液体が流路
を通過するときに発生する減衰力とによつて吸収
することができ、車体フレームへの伝達力を大幅
に軽減することができる。しかも、スプールを駆
動する駆動源を動力装置のトルクの大小を検知
し、その入力信号にもとづいて制御し、オリフイ
スの開閉と連通路によつて開度を可変するように
したから、トルクの大小に応じた振動吸収が自動
的に行なえるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の振動吸収部材の特性を示すグラ
フ図、第２図は従来の振動吸収部材の構造を示す
断面図、第３図は従来の液体封入式振動吸収部材
の断面図、第４図はこの考案の一実施例を示す斜
視図、第５図は同じく平面図、第６図は同じく振
動吸収装置の断面図、第７図は同じく特性を示す
グラフ図である。 １……車体フレーム、２……動力装置、１０…
…ケーシング、１１……基部、１２……弾性体、
１４……仕切板、１５……第１の液室、１６……
第２の液室、１７……液体、１８……オリフイ
ス、２０……スプール、２３……ソレノイド（駆
動源）、２５……制御部、２６……パイプ（連通
路）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両端部が解放された筒状の基部と同基部の上記
   両端部を閉塞し自身と上記基部とで液体が収容さ
   れる液室を形成する一対の弾性体とから成るケー
   シング、上記基部に設けられ同ケーシングの内部
   を第１の液室と第２の液室とに区画する仕切板、
   同仕切室に設けられ上記第１の液室と第２の液室
   とを連通する第１の流路、同第１の流路を開閉せ
   しめる弁体、同弁体を駆動する駆動源、同駆動源
   を制御する制御部からなり、上記基部が車体フレ
   ームもしくは同車体フレームに搭載された動力装
   置のいずれか一方に、上記弾性体が車体フレーム
   もしくは同車体フレームのいずれか他方にそれぞ
   れ取付けられ上記動力装置が発生する振動を吸収
   する振動吸収装置において、上記第１の液室と第
   ２の液室とを常時連通する第２の流路を設けたこ
   とを特徴とする振動吸収装置。