JPH01111883A

JPH01111883A - 溶接性、耐食性および塗装性能にすぐれた容器用表面処理鋼板の製造法

Info

Publication number: JPH01111883A
Application number: JP62267628A
Authority: JP
Inventors: Yukinobu Higuchi; 樋口　征順; Tomoya Oga; 大賀　智也; Noritsugu Miyake; 三宅　紀次; Tooru Chijiki; 亨千々木; Hirobumi Nakano; 寛文中野
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 1987-10-24
Filing date: 1987-10-24
Publication date: 1989-04-28

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は電気抵抗溶接性にすぐれ、また飲料缶、一般缶
などに要求される耐食性、塗料密着性、塗装後耐食性等
の塗装性能にすぐれた性能を示す容器用鋼板の製造法に
関するものである。

〔従来技術〕

近年、飲料缶、食品缶の製缶方式や缶デザイン等は著し
く進歩かつ多様化し、これらに適応する容器用素材は低
価格で高性能なものが要求されている。

就中、電気抵抗溶接法の製缶方式、例えばパードロニッ
ク溶接製缶法は、材料歩留シが高く、接合時の強度が高
く接合不良に基づく漏洩缶発生率が極めて少なく、各種
形状のデザイン缶に適用される等多くの利点があ）広く
使用され始めている。

この溶接製缶素材には、従来からＳｎ付着量が＃１０以
上（Ｓｎ付着Ｊｉ　１．１２７７ｍ”　）　、好ましく
は＃２５以上（Ｓｎ付着１ｋ　Ｏ，２８９７ｍ２）のＳ
ｎメツキ鋼板が使用されてきた。

しかしながら、その経済性追求の観点から、Ｓｎ付着量
の減少によるコストダウンを計ることが種種検討されて
いる。しかし、Ｓｎ付着量の減少により溶接性や耐食性
などが低下する。そこで、塗装焼付は後フ’）−Ｓｎ（
焼付は時のめっきＳｎ層と素材との加熱拡散により合金
化されない残留Ｓｎ）層を残留させ溶接性を向上せしめ
、かつ耐食性、塗装性能のすぐれた低Ｓｎ付着量型表面
処理鋼板の開発が強く望まれている。

これらに対処する方法として、例えば鋼板表面にＮｉ系
下地処理層、Ｓｎめっき層、クロメート被覆層を順に設
けた容器用Ｎｉ系下地処理低Ｓｎ付着量型・表面処理鋼
板の製造技術がある（特開昭５７−２３０９１号公報、
特開昭５８−３７１９４号公報、特開昭５９−４１４９
５号公報、特開昭６０−１７１００号公報）。

このような表面処理鋼板は、Ｎｉ系下地処理によりＳｎ
の均一被覆性を著しく増加し、さらに塗装焼付処理（１
６０〜２２０℃で１０〜６０分間）、或いはＳｎメツキ
後の加熱溶融処理（リフロー処理ともいう。）により生
成される５ｎ−Ｎｉの合金層が均一緻密に生成し、ピン
ホールが減少するなどによって耐食性向上が期待できる
。

また、Ｎｉ−Ｆｅ合金層とＳｎとの間に生成される合金
層が均一微細なため塗装焼付等の加熱処理を受けた場合
、Ｓｎ拡散合金層の生成が抑制され、合金化されないフ
ＩＪ−Ｓｎ（金属Ｓｎ　）層が形成され溶接性が得られ
るなどの利点がある。

また、低Ｓｎ付着量型・表面処理鋼板の製造法として、
鋼板表面にＰ含有合金系下地処理層、Ｓｎめっき層、ク
ロメート被膜層を順に設けた表面処理鋼板の製造技術が
ある（特開昭５７−１０１６９４号公報）。これは、下
地処理層に設けたＦｅ−Ｐ、Ｎｉ　−Ｐ　、　Ｆｅ　−
Ｎｉ−Ｐ合金層の効果によって、塗装焼付は時原板素材
とめっき層Ｓｎとの拡散合金層の生成を抑制して合金化
されないフ’）−Ｓｎ層を形成し、溶接性と耐食性を向
上する。

〔発明の解決しようとする問題点〕

しかしながら、これらの容器用鋼板を詳細に検討してみ
るに、必ずしも充分な性能が確保されているとは云い難
い。

近年さらに製缶コストの低減化が要求され、また製缶技
術の進歩とあいまって、容器用素材の薄手化が要求され
ている。

ところが前記した低Ｓｎ付着量型素材は、フリーＳｎ層
の残存量が充分でないため、溶接性を劣化し、良好な溶
接部外観と溶接強度が得られる溶接電流範囲が著しく狭
くなる等の問題があった。

また、缶体が薄手化される事による穿孔缶発生の危険性
から、従来以上に耐食寿命のすぐれた低Ｓｎ付着量型の
容器用素材の開発が必要に々った。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、これらの問題点すなわちＮｉ系下地被覆層と
Ｓｎめっき被覆層を有する低Ｓｎ付着量型の容器用素材
の前記問題点を解決するもので、本発明者らは鋼板表面
にＮｉ　、　Ｎｌ　−Ｆｅ　、　Ｎｉ−Ｓｎ等のＮｉ系
下地層、その上に適正量のリン又はリン化合物を付着し
、さらにＮｉ系下地処理表面へのＳｎめっき層を不均一
に電着せしめ加熱溶融処理するとリン又はリン化合物の
７ラツクス効果の作用によって、均一かつ緻密なＮｉ−
Ｓｎ或いはＮｉ　−Ｓｎ−Ｆｅ系合金層の生成によるＳ
ｎめつき層ピンホール減少と電着時にＳｎめつき層の厚
く付着された部分に合金化されないフリーＳｎ層の部分
を多く残存せしめる事を実験から知見した。本発明は、
この知見に基いて構成したものである。

而して、本発明の要旨は、鋼板表面に片面当りのＮｉ付
着量が５〜１００勢へ２のＮｉ下地めっき層、Ｎｉ−Ｆ
ｅ合金めっき層、Ｎｉ−Ｓｎ合金めっき層、或いはＮｉ
−Ｓｎ−Ｆｅ合金層を設けた後、１〜１００　ｉＰ／Ｉ
ＩのＰＯ４イオンを含有する水溶液中で電解処理或いは
浸漬処理により片面当夛の付着量がＰ換算で０．５〜３
０１１９７ｍ”のリン又はリン化合物を設けた表面に片
面当りの付着量が３００〜３０００　Ｗ／ｆｉ２のＳｎ
めっき層を設けてリフロー処理し、しかる後片面当りの
付着量がＣｒ換算量で１〜３０　ｍｇ／ｍ”のクロメー
ト被膜層を設ける溶接性、耐食性、塗装性能にすぐれた
容器用素材の製造法である。このような製造法の中で鋼
板表面のＮｉ系下地処理表面をＰＯ２イオンを含有する
水溶液中で処理するとリン又はリン化合物が付着する。

リン又はリン化合物が多く付着し九部分は、次のＳｎめ
っき過程において、Ｓｎの電析量が少なく、またその他
の少々く付着した部分はＳｎの電析量が多く電析される
。

さらにＳｎめっき後の加熱溶融処理において、Ｎｌ系下
地処理層とＳｎめっき層の界面では、リン或いはリン化
合物が溶融Ｓｎに対してすぐれたフラックス効果を有す
るため、Ｎｉ系下地処理層と溶融Ｓｎ層が均一緻密な合
金層を形成する。その結果、Ｓｎ付着量の少ない部分は
ぎンホールの極めて減少したＳｎ被覆層が生成され、ま
たＳｎ付着量の多い部分は合金化されないフリーＳｎ層
が多く残存した状態に維持されＳｎの全面被覆層が形成
される。

さらに、塗装焼付は処理を行なった場合でも、Ｓｎ合金
層が極めて緻密であり、地鉄と合金層、或いは合金層と
フＩ）　−Ｓｎ層との拡散反応抑制効果とフＩ）−Ｓｎ
層の残存効果があいまって、フリーＳｎ層が多く残存す
る部分が生成される。

この効果の一例を第１表及び第１図に示す。この例は、
鋼板表面に２０　’Ｉｒ　Ｎｉ−Ｆｅ合全会下地処理層
片面当ｊ）　２００　”９７ｍ”　（Ｎｉ付着量として
片面ａ　ｌ）　４０　ｍｇ／ｍ２　）設け、２５シ４の
リン酸−リン酸ソーダ溶液中で電流密度が１０　Ａ／ｄ
ｍ”の陽極電解処理を施して１片面当１）　２．６　ｍ
ｇ／ｍ２のリン系付着物を付着せしめ、該表面にＳｎめ
っき層量を種程変化させるめっき処理を施した後、Ｓｎ
めっき浴の希釈溶液を７ラツクスにして用い、２５０℃
で１．５秒間リフロー処理したものである。一方、比較
材は前記のうちリン酸系浴処理を行なわないで、Ｓｎめ
っき後リフロー処理したものを示す。これらの評価材に
ついて１．塗装焼付は処理を想定した２０５℃×１０分
間の加熱処理を３回縁シ返して、合金層の生成量の測定
結果（第１表）と、フリーＳｎ残存量が多く生成されて
いる部分の割合を第１図に示す。

この結果から、リン酸系処理効果により塗装焼付は処理
後においても合金層の拡散と成長が抑制されるとともに
、フリーＳｎ付着量の多い部分が多く残存される事が明
らかである。

従って、フリーＳｎ付着量の大なる部分が多く形成され
ている事により、電気抵抗溶接の際の加圧下で電極との
接触面積が７！７−Ｓｎ＃の多量残存効果により増加す
るために、電極と素材との界面接触抵抗が低下し、溶接
性を著しく向上せしめる結果となる。なお、第１図は本
発明の方法による評価材の塗装焼付は処理を想定した熱
処理後のフリーＳｎ残存量の多い部分の面積割合（チ）
を示したもので、その評価法として、ＣＭＡ（Ｃｏｍｐ
ｕｔｅｒａｉｄｅｄ　Ｍｉｅｒｏ　Ａｎａｌｙｚｅｒ　
）によりビーム径２μで５００Ｘ５００点のＳｎのｃｐ
ｓを測定し、そのｃｐｓをＳｎ付着量に換算しＳｎ付着
量１０００−一以上の面積率を求めた。さらに缶体成形
時の加工、例えば巻き締め加工部において、疵付き部は
、フリーＳｎ付着量が多いと防止される。また、フリー
Ｓｎ付着量が多くなる程、被膜層欠陥部の防食作用が大
きくなシ、缶体の耐食性寿命を著しく向上する。

以下に本発明の方法について詳細に説明する。

本発明において通常の製鋼工程から、圧延、焼鈍工程を
経て製造された鋼板或いは焼鈍工程後に更に冷間圧延さ
れた鋼板（所謂、ＺＣＲ材）が使用され、さらに該鋼板
は、脱脂、酸洗等通常のめっき工程前の表面清浄化工程
を経てＮｌ系の下地処理が施される。

この工程における脱脂、酸洗等の諸条件は特に規制され
るものではないが、酸洗工程において通常行なわれる陰
極電解酸洗、陽極電解酸洗、浸漬酸洗或いはこれらの組
み合わせ酸洗のうち、特に５〜３０チのＨ２ＳＯ４浴を
用いた陽極電解酸洗或いは陰極または浸漬酸洗後の最終
過程において陽極電解酸洗を行なうのが好ましい。

これは陽極電解酸洗によって、鋼板表面が不働態化され
、Ｓｎめっき後のりフロー処理によって、原板素材から
鉄のＮｉ系下地処理或いはＳｎめっき金属への供給、又
はこれら金属の鋼素材への侵入を抑制する効果が得られ
るので特に好ましい。すなわち、リフロー処理後のＮｉ
−Ｓｎ或いはＮｌ−Ｓｎ−Ｆｓ合金層の生成量を減少す
る効果が得られる。

このような前処理が行なわれた後に、Ｎｉめっき、Ｎｉ
−Ｆｅ合金めっき、Ｎｉ−Ｓｎ合金めっきが鋼板表面に
施される。これらのＮｉ系下地めっき方法については、
特に規制されるものではなく、通常行なわれているめっ
き方法が採用される。而して、本発明の効果を得るため
には、その付着量特にＮｉの付着量が規制される。

これら下地処理層のＮｉ付着量が片面当９５℃省２未満
では、リフロー処理後に生成される均一緻密なＮｉ−Ｓ
ｎ或いはＮｌ　−５ｎ−Ｆｅ合金層の生成効果によるＳ
ｎめっき被覆層のピンホール減少効果等のＮｉ系下地処
理層の作用効果が得られない。

また、その下地被覆層のＮｉ付着量が１００”ｉ／ｌｎ
２を越える場合には、リフロー処理によって生成される
合金層の均一緻密性の向上によ、るピンホール減少効果
等が飽和するとともに、その後のりフロー処理時、塗装
焼付時においてＮｉやＳｎとの拡散反応が促進され、フ
リーＳｎ残存効果が著しく減少し、溶接性、耐食性等の
性能を劣化する。

従って、　Ｎｉ系下地処理層のＮｉ付着量は片面当シ５
〜１００η侃２、好ましくは１０〜８０１グ／ｍ”であ
る。また、この時の合金層の厚さは付着量で片面当りの
付着量で５００■／？７Ｌ”以下が好ましい。

すなわち、５００　ｔａｐ／ｌｎ”を越える付着量の場
合、缶体の加工時にこれらの合金層がクラックの発生源
になシ耐食性を劣化する傾向にあるので、特に３００η
／ｍ”以下が望ましい。なお、これらのＮｉ系下地処理
層を設ける方法としては、鋼板表面にＮｉ　、　Ｎｉ−
Ｆｅ合金、Ｎｉ−Ｓｎ合金層として電気めっき法により
施してもよいし、又これらのＮｉ系下地層を設けてから
還元性雰囲気等の非酸化性雰囲気で加熱拡散処理を施し
た処理層、さらＫは上記の電気めっき層の２種以上或い
は拡散処理層と電気めっき層との２種以上の複層めつき
等どのような方法でもよい。或いはこれらの下地処理層
に電極、めっき浴中に含有される不純物Ｃｏ　、　Ｓ等
が複合化された場合も本発明の効果を損なうものではな
い。

このようにしてＮｉ系下地処理が施された後、ＰＯ】−
イオンを含有する水溶液中で、電解処理或いは浸漬処理
によって片面当りの付着量がＰ換算で０．５〜３０　ｍ
ｇ／ｍ”のリン又はリン化合物のＮｉ系下地処理層を施
す。

とのＰＯ４イオン含有水溶液処理によυ、Ｎｌ。

Ｎｉ　−Ｆｅ　、　Ｎｉ−Ｓｎ下地被覆層或いはこれら
の拡散層リン又はリン化合物を付着せしめられる事によ
って、Ｓｎめっきの電析が不均一に行なわれ、Ｓｎめっ
き量の多い部分、少ない部分が不均一に形成されると同
時に、Ｓｎめつき層被覆後のりフロー処理時に、これら
のリン又はリン化合物がフラックス効果を示して下地処
理層とＳｎとの拡散合金層を極めて緻密に形成する効果
とあいまって、リフロー処理後の残存フＩＪ−Ｓｎ［−
が多く残存する効果が得られ、電析時のＳｎめっき量の
大なる部分が多く存在する効果と併せ得られ、同−Ｓｎ
めっき景でもアトランダムに７’）−Ｓｎ付着量の大な
る部分が多く生成される。またこの時生成される極めて
緻密なＮｉ−Ｓｎ或いはＮｉ−Ｓｎ−Ｆ・合金層が加熱
塗装・焼付は処理に対してもバリヤー効果を有し、合金
化されないフリーＳｎの残存量が多くなる効果が得られ
る。

その結果として。

■　フ！Ｊ−Ｓｎ残存量の増加が電気抵抗溶接時におけ
る電極と素材表面の界面接触抵抗及び素材と素材間の接
触抵抗を低減して溶接性の向上、特に適正溶接電流範囲
を広める。

■　フ’）−Ｓｎ残存量の増加は、耐食性能に対しても
、該フリーＳｎ層による下地Ｎｉ−Ｓｎ或いはＮｌ　−
Ｓｎ−Ｆｅ合金層に対する犠牲防食能の向上或いは缶内
容物によっては鋼素地に対する犠牲防食能の向上により
、めっき層欠陥部における腐食を軽減する事によって、
その耐食寿命を向上する。また、フリーＳｎ層は軟質金
属である性質から、巻き締め加工等の缶体製造時におけ
る疵付き部の耐食性、耐錆性能の向上する効果がある。

而して、このような効果を得る方法として、１〜１００
１−／ｌのＰＯチーイオンを含有する水溶液を用いて、
Ｎｉ系下地処理層の表面に０．５〜３００１ｑ／／Ｉｒ
Ｌ２のリン又はリン化合物が付着せしめることが必要で
、この処理方法については特に規制されないが、以下の
様な方法を採用するとよい。

例えば、ＰＯ４イオン含有水溶液は、リン酸、リン酸ア
ンモン、リン酸ナトリウム、リン酸アルミ等のリン酸イ
オンを含有するリン酸塩、フィチン酸等のミオイノシト
ールのリン酸エステル或いはこれらの金層塩の一種又は
二種以上が混合してなる水溶液が主として用いられる。

尚、（Ｐ　ｎｏ３ｎ＋１　）　（ｎ＋２　）−イオンを
含有するピロリン酸等のプリリン酸、及びこれらの塩か
らなる水溶液を用いても、これらの水溶液は経時により
分解されてＰＯ電−イオンが形成されるので使用しても
何ら差支えない。

これらの水溶液を用いて、電解又は浸漬処理が施される
が、この処理法は特に規制されないが、例えば次の様な
方法で行なうとよい。

電解処理法は、陰極電解処理、陽極電解処理、或いはこ
れらの組み合わせ処理が、浴温２０℃〜８０℃、電流密
度１〜５０　Ａ／ｄｍ”　、好ましくは５〜３０Ａ／ｄ
ｍ２の範囲で、処理時間０．５〜１０秒間、好ましくは
１°〜５秒間処理される。また、浸漬処理法としては、
浴温２０℃〜８０℃でスゲレイ或いは浸漬処理によｊＤ
ｏ、５〜１０秒、好ましくは１〜５秒間の処理が行なわ
れる。

而して、これらの処理方法によって、ＩＭ〜１００１−
／ｌのＰＯ４イオン含有水溶液を用いて、Ｎｉ　、　Ｎ
ｉ−Ｆｅ合金等のＮｉ系下地処理層表面に対して、Ｐ換
算量でリン又はリン化合物として片面当シ０．５〜３０
■／ｍ２付着せしめる事が、本発明の目的を達成するた
めに重要である。

リン又はリン化合物の付着量が０．５　ｍｇ／ｒｎ２未
満では、該処理に続いて行なわれるＳｎめっき層の不均
一電着によるＳｎめっき層量の多い部分の生成及び続い
て行なわれる加熱溶融処理によって、極めて緻密なＮｉ
−Ｓｎ或いはＮｉ−Ｓｎ−Ｆｅ系合金層の生成によるフ
リーＳｎの残存による本発明の目的とする性能向上効果
が得られない。従って、これらの付着量はＰ換算量で０
．５　ｔｒｅｙ／ｍ２以上、好ましくはＩ　７９７ｍ”
以上である。また、これらの付着量がＰ換算量で３０　
ｍｇ／ｌｎ”を越える場合には、Ｓｎ被覆層の密着性が
劣化する傾向がみられ、缶体の巻き締め加工等によって
Ｓｎ被覆層が剥離する問題が生じるので好ましくない。

従って、これらの付着量の上限はＰ付着量として、３０
　ｒｍｇ／ｍ２以下、好ましくは２０　ｍｇ／ｌｎ２以
下である。

而して、該方法と比較して、下地処理層にＮｉ−Ｐ　、
　Ｎｉ　−Ｆｅ−Ｐ等のＰを含有せしめたＮｉ系の下地
処理層を設ける方法は１合金層として設ける場合にはＰ
含有量を制御するためのめっき浴の調整等煩雑であり、
また非金属であるＰを合金層として電析せしめる場合、
下地処理層自体にピンホールが生成され易すくなシ耐食
性劣化の問題を生じる等の欠点がみられる。

従って、本方法のように、Ｎｉ系の下地処理層を設けて
から、ＰＯ４イオン含有水溶液を用いて処理を行なう方
法は、下地にピンホールの少ないＮｌ系下地処理層を容
易に生成せしめる事が可能であシ、また下地処理層表面
にリン又はリン化合物を所定量設ける事が容易等の利点
が得られる。

又、これらリン系付着物の作用によるＳｎめっき層が不
均一にめっき層量の多い部分、少ない部分等アトランダ
ムに電析せしめる効果、リフロー処理時の溶融Ｓｎ’に
対するフラックス効果は、下地合金層としてリンが含有
される場合には、得られにくい。

次いで、これらのリン又はリン化合物をＮｉ系下地処理
層表面に付着せしめられた後、そのまま或いは水洗後に
、片面当りの付着量で３００〜３０００　ｔｍｇ／ｍ”
のＳｎめっき層を施す。Ｓｎめっき方法は、通常行なわ
れている方法でよく、フェロスタン浴、ハロダン浴或い
はホウフッ化Ｓｎめっき浴等が用いられる。

而して、このＳｎめっき層の付着量が３００ｍｇ／ｍ”
未満では、本発明の効果によるリフロー処理及び塗装焼
付は処理後のフＩＪ−Ｓｎ層の残存量が少なく、本発明
が目的の溶接性及び耐食性能の向上効果が得られない。

従って、Ｓｎめっき被覆層の付着量は３００ηＩＷＬ２
以上、好ましくは７５０１１ｖ／４２以上である。

一方、Ｓｎめっき層量が３０００シ侃２を越える場合に
は、溶接性、耐食性向上効果が飽和するとともに、塗装
されて使用される場合において、軟質金属であるフ’）
−Ｓｎｉ量が多く残存し逼るために塗膜硬度が劣る傾向
にあり、塗膜に擦過疵やプント疵がつき易すく、塗装後
耐食性等が劣る傾向にある。従って、Ｓｎめっき被覆層
の付着量が３０００塾４２以下、好ましくは２０００４
４２以下である。

このＳｎめっき被覆層が設けられてから、本発明におい
ては、リフロー処理が施される。このリフロー処理によ
って、下地Ｎｉ系被覆層とその表面に施されたリン又は
リン化合物の効果によって、極めて緻密なＮｉ−Ｓｎ合
金或いはＮｉ　−５ｎ−Ｆｅ合金が形成される事によっ
て、前記したように、本発明の目的とする作用効果が得
られる。

リフロー処理条件については特に規定するものではなく
、例えばＳｎめっき後水洗して、該表面をそのまま或い
は水溶液フラックスを塗布して、大気中或いは非酸化性
雰囲気（例えばＮ２雰囲気）中で２４０〜３５０℃、好
ましくは２５０〜３００℃でＳｎめっき層が溶融され、
表面にリン又はリン化合物を有するＮｉ　、　Ｎｉ　−
Ｆｅ　、　Ｎｉ　−Ｓｎ合金等のＮｉ系下地被覆層と均
一緻密な合金層が形成される。

次いで、リフロー処理後に水洗によ層表面の残査物を除
去し、或いは炭酸アンモン、炭酸ソーダー等でめっき層
表面の酸化膜等を予備除去してから、塗装性能向上のた
めにクロメート処理が行なわれる。該クロメート被膜は
缶用塗料の密着性向上、缶外面に対しては貯蔵時の塗膜
下に浸入した場合の糸状錆等の耐錆性の向上或いは缶内
面に対しては缶内容物中の水溶液等が塗膜を透過して塗
膜下で腐食が進行するいわゆるアンダーカッティングコ
ロジ！／を防止するのに大きな効果が得られる。このよ
うにして、クロメート被膜が形成されている事により、
長期間にわたシ、塗膜の密着性が劣化せず、良好な耐食
性、耐錆性が保持される。

クロメート被膜は又、Ｓ化合物を含む食品、例えば魚肉
、畜産物等の場合にみられる鋼板表面の黒変、即ち硫化
黒変を防止する効果が大きい。かくの如く、クロメート
被膜は、特に塗装して用いられる場合には性能向上に有
効であるが、溶接にとっては有害である。ここでいうク
ロメート被膜は、水和酸化クロム単一の被膜即ち本来の
クロメート被膜と、今一つは下層に金属Ｃｒ、その上に
水利酸化クロムの２層よシ成る被膜の２つの場合を指し
ている。水利酸化クロム被膜は電気的には絶縁体であシ
ミ気抵抗も高く、金属クロムは電気抵抗及び融点が高い
ので、いづれも溶接性を劣化せしめる傾向にある。

而して、本発明においては、金属クロム換算でクロム付
着量が片面当りＩＱ−３０■／？７Ｌ２、好ましくは５
〜２０■／ＭＬ”が選定される。

、°゛即ち、Ｃｒ付着量が１叩／ＷＬ”未満では、塗料密着性
の向上、アンダーカッティングコロジオン等の塗膜下腐
食の防止等に効果が得られないので１キ／ｌ’ｎ”以上
のＣｒ付着量が、好ましくは５■廓２以上のクロメート
被膜が形成される。又、３０■／ＷＬ”をこえると接触
抵抗の増加が著しくなるので、溶接電流を増加する必要
があシ、散りの発生が生じ易くなるなど溶接範囲がせま
しなるので溶接性が劣化する。そのために、Ｃｒ付着量
は３０シ菊２以下、好ましくは２０　Ｗ／ｆｉ”以下が
よい。

クロメート処理は、クロム酸、各種のクロム酸のＮａ　
、　Ｋあるいはアンモニア塩の水溶液による浸漬、スプ
レィ処理、陰極電解処理等、何れの方法で行なっても良
いが、陰極電解処理が優れている。就中、ＣｒＯｓにＳ
０４イオン、Ｆイオン（錯イオンを含む）おるいはそれ
等の混合物を添加した水溶液中で陰極電解処理する方法
が最も優れている。Ｃｒ　Ｏｓの濃度は２０〜１００ｉ
Ｉ／ｌの範囲で充分であるが特に規制する必要はない。

添加する陰イオンの量は、６Ｉｉｉ［ｉのクロムイオン
濃度の１／３００〜１／２５好ましくは１／２００〜１
１５０の濃度の時、最良のクロメート被膜が得られる。

陰イオン濃度がＣｒの１／３００以下では、均質かつ均
一で、塗装性能に大きく影響する所の良質のクロメート
被膜が得難くなる。１／２５以上では、生成するクロメ
ート被膜中に取シ込まれる陰イオンの量が多くなシ被膜
の性能が劣化する。浴温は特に規制する必要がないが、
３０〜７０℃の範囲が作業性の面から適当である。陰極
電解電流密度は５〜１００Ａ／ｄｍ”の範囲で充分であ
る。処理時間は、前記処理条件の任意の組合せにおいて
、クロメート付着量が前記に示した様に、１〜３０η／
ｍ”の範囲になる様に設定する。

特に、本発明においては、ＣｒＯ３溶液に５ｏ４−２又
はＦ−イオンを上記範囲で添加し、電流密度’　５０　
Ａ／ｄｍ”　〜１００　Ａ／ｄｍ”で０．２秒以下の短
時間処理を行なうのが好ましい。

この処理により、第１図に示す様に、金属Ｃｒ層がＳｎ
メツキ層上に５〜１５１１９／ｌｎ”析出し、その上層
に水利酸化クロムからなる二層クロムが生成される。こ
の水利酸化クロム層は、電解処理後の溶液中での浸漬時
間の調整或いは別に設けられた処理タンクでの濃度の異
なるＣ　ｒ　Ｏ５−陰イオン系浴での溶解処理等によっ
てその被膜量が調整される。

この金属Ｃｒ層の析出がＳｎ表面上に均一に行なわれる
事によって、塗装性能の向上が著しく、特にＳｎメツキ
後にメルト処理を施してこれらのクロメート系処理を施
したものが更に一段と塗装性能の向上が著しい。

これは、容器用素材として使用される場合に、クエン酸
等の有機酸の水溶液が含有される腐食環境では、塗膜を
通して侵入してくる腐食水溶液に対してＳｎ金属の塗膜
下での腐食の進行が比較的著しいために、析出金属Ｃｒ
凰を設けて腐食水溶液がＳｎ金属表面に到達するのを抑
制できるので好ましい。而して、上記付着量の範囲にお
いて、−この二層型クロメート被膜における金属Ｃｒ層
とオキサイドクロム層の比が０．６≦オキサイドクロム
／金属クロム≦３の範囲が好ましい。

即ち、金属Ｃｒ量に比して、Ｃｒ　　クロムを主成分と
する水利酸化クロムを主体とするオキサイドクロムの量
が少ない場合、オキサイドクロムの金属クロムに対する
均一被覆性が劣るため、塗料の密着性が劣る傾向にある
。また金属Ｃｒ層に比して、オキサイドクロム層の量が
多い場合、オキサイドクロム層中に含有される陰イオン
、Ｃｒ　　イオンが多くなり、塗装後高温の腐食環境に
曝された場合等にこれら陰イオンの溶出により、塗膜下
で微小フクレ（所謂、ブリスター）が発生し易くなるの
で好ましくない。

従って、オキサイドクロムと金属クロムの構成比率を上
記の如＜０，６〜３倍、好ましくは１．０〜２．５倍の
範囲に設定するのが好ましい。

また、メルト処理を行なった場合に、極く微量のＮｌ金
属がＳｎメツキ層表面に拡散して析出するため、上記被
膜構成のクロメート系処理において塗膜の密着性向上が
著しく、塗膜下腐食の進行が抑制されるので特に好まし
い。処理浴に添加される陰イオンとしては硫酸、硫酸ク
ロム、弗化アンモン、弗化ンーグーの化合物などの形態
でクロム酸浴中に添加される。

以上、説明したようにＮｉ系下地処理層を設け、該表面
にリン系付着物を設けて、Ｓｎめっき、リフロー処理お
よ゛びクロメート処理を特定の条件下で行なう事によっ
て、溶接性、耐食性、塗装性能にすぐれた容器用表面処
理鋼板が得られる。本発明の素材については、主として
溶接缶用素材として使用する場合について説明を行なっ
たが、該素材の特性を活用して絞シ缶或いは缶蓋等信の
用途に使用しても何ら差支えない。

さらに、また本発明の方法を使用用途によっては、鋼板
の片面のみに適用し、他面はＳｎめっき被覆層或いはＮ
ｉ系下地処理層とＳｎめっき被覆層を設けて使用しても
よい。例えば、ＤＩ製缶法のように外面の潤滑性が要求
されるために、フリーＳｎ層が片面に多く要求される用
途或いは缶径の小さな溶接缶の製缶に対して、電極径の
小さな缶内面側に対応す面の接触抵抗の低減が特に要求
されるためにフリーＳｎ層量が内面側に相当する面に多
く要求される用途等に適用される場合が挙げられる。

（実施例）以下に本発明の実施例について述べる。

電解脱脂を行なって表面清浄化処理を施した０、１８ｍ
板厚の冷延鋼板表面に対して、硫酸浴を用いて電解酸洗
（カソード酸洗、アノード酸洗及びこれらの組み合わせ
酸洗）を行なった後、Ｎｉ。

Ｎｉ−Ｆｅ合金、　Ｎｉ−８ｔＬ合金めつき或いはこれ
らを還元性雰囲気で焼鈍を行なって、各々所定量のＮｌ
系下地処理層を設けた。次いで、第２表に示すように、
ＰＯ４３−イオンを含有する水溶液中で本発明の処理を
行ない、所定量のリン系付着物を形成せしめ、Ｓｎめっ
きを行なって、リフロー処理を行なった。

その後、クロメート処理を行なって、本発明の評価材を
製造した。

又、比較材として、上記製造過程において、ｐｏ４＝イ
オン系処理全処理ない場合について、はぼ同様の付着量
を有するＮｉ系下地処理層、Ｓｎめっき被覆層及びクロ
メート被覆層を設けた製品等を主体に検討した。

尚、評価試験及び評価方法は以下の基準に拠って実施し
、その評価結果を第２表に示す。

（１）有効・多量Ｓｎの生成状況本発明の方法による評価材及び比較材について、塗装焼
付は処理を想定して２０５℃で１０分間の加熱処理を３
回縁シ返した。

該処理の後評価材及び比較材の表面Ｓｎ付着量の分布状
況をＣ，Ｍ、Ａ　　　　　　　　”当彊押刊〒今を用い
て調査し、以下の評価基準により相対的評価を行なった
。

すなわち、各評価材及び比較材について、Ｓｎ付着量の
分布状況を各々、（ａ）０〜５００　ｍ９／ｍ２未満、
（ｂ）　５００〜１０００ｍ９／ｍ２未満、（ｅ）　１
０００〜１５■ｍｔｉ／ｍ”未満、（ｄ）　１５００〜
２０００ｍ９７ｍ２未満、（ｅ）　２０００〜２５００
ｍ９７ｍ２未満、（ｆ）　２５００〜３０００ｍ９７ｍ
”未満、（ｇ）　３０００〜３５００ｍ９／ｍ２未満、
（ｈ）３５００■／ｍ　２以上の範囲に区分して、各付
着量に対応するカウント数の面積率の測定により行なっ
た０而して、マクロ的にほぼ同一のＳｎめっき被覆層量の評
価材と比較材について、溶接性と耐食性に対して有効に
機能する１　０００ｍ９／ｍ”以上のＳｎ付着量の存在
する面積塞ヲ比較検討して、以下の評価基準に拠りて相
対的に評価を行なった。

◎・・・１０００７ｎ９／ｍ”以上のＳｎ付着量の存在
する面積率が比較に比べて２０％以上多く存在する場合 ○・・・上記の面積率が１０係以上〜２０係未満の割合
で多く存在する場合 Δ・・・上記の面積率が５係以上〜１０幅未溝の割合で
多く存在する場合 ×・・・１０００　ｍ９／　ｍ”以上のＳｎ付着量の存
在する面積率が比較材と比べて同等又は５ｃＩ）未満し
か多く存在しない場合（２）溶接性２１０°Ｃで１０分の焼付け２＠、次いで１９０℃で１
０分の塗装焼付は処理を行なって、浴接スピード４５　
ｍ　／ｍｉｎ　、溶接部ラップ巾０．５ｍ、加圧力４５
ｋｌｉｌの条件で、溶接缶の製造評価テストを行ない、
その溶接性の評価を行なった・すなわち、溶接部の強度
が母材の強度と同等以上の溶接強度が得られる電流値と
溶接部から溶融金、属の浴出、飛び出し等の溶接欠陥（
所謂、６チリ、等の溶接・欠陥）が生成しない電流値を
各々測定して、その電流値の範囲を適性溶接電流範囲と
して、その溶接性を評価した。

◎・・・適性溶接電流範囲４５０Ａ以上○・・・　　　
　Ｉ　　　　　　３５０Ａ以上〜４５０Ａ未満△・・・
　　　　＃　　　　　　２５０Ａ以上〜３５０Ａ未満×
・・・　　　ＩＩ　　　　　２５０Ａ未満（３）耐食性
の評価棟材の耐食性評価として、以下の評価法および評価基準
でその耐食性能を評価した。

０評価法の０．１８ｍ板厚の５０Ｘ５０ｍの評価材に対して地鉄に
達するスクラッチ疵を入れ、Ｎ２がス雰囲気中の（１，
５幅クエン酸＋０．２５幅ＮａＣｔ）水溶液中に浸漬し
て、スクラッチ部からの孔食が発生するまでの日数を測
定して、その耐食寿命の評価を行なった。

◎・・・腐食試験１５日以上で孔食発生○・・・　〃　
　　１２日以上〜１４日以内に孔食発生Δ・・・　〃　
　　　８日以上〜１１日以内に孔食発生×・・・　Ｉ　
　　７日以内に孔食発生。評価法■ 絞シ比２で円筒成形加工を行ない、加工を受けた場合の
耐錆性能を以下の試験法にょシ評価した。

すなわち、−５℃の冷凍庫（３０分）→湿気槽（４９”
Ｃ、ＲＨ≧９８係で６０分）→室内放置（２４時間）を
１サイクルとしたサイクル発錆試験を５サイクル行ない
、その赤錆発生状況を観察、以下の評価基準によりその
耐錆性能を相対的に評価した。

◎・・・赤錆発生率５ｑｂ未満 ○・・・　　〃　　５係以上〜１５％未満△・・・　　
〃　　１５％以上〜２５係未満×・・・　　１　２５係
以上（４）塗装性能製缶用エポキシフェノール（フェノール・リッチ）塗料
を片面当りの乾燥重量として５５ｍ９／ｌ１ｍ”となる
ようテスト材の試験面に塗布し、２０５℃で１θ分焼付
けを行ないさらに１８０℃で２０分間の空焼金行なった
。該試料について、以下の各評価法によりその塗装性能
の評価を行なった。

Ｏ評価法の塗膜評価面に地鉄に達するスクラッチ疵を入れ、腐食液
として市販の（クエン酸−食塩−添加剤）飲料中に浸漬
し、Ｎ２ガス雰囲気中で５５℃で２１日間浸漬試験を行
ない、スクラッチ部からのＦｅ溶出量及び該試験後の塗
膜面に対してセロテープ剥離を行ない、塗膜の剥離状況
を調査した（評価試料面は５０Ｘ５０ｍで端面裏面はシ
ー／Ｉ／）。

尚、評価基準は以下の方法により、その塗装性能（腐食
液中での経時後の塗料密着性及び塗装後耐食性）を相対
的に評価した。

◎・・・Ｆｅ溶出量１５ｐｐｍ未満で、スクラッチ部か
らの塗膜剥離中０．１０ｍｍ未満 ○・・・Ｆｅ溶出量１５　ｐｐｍ以上〜２０　ｐｐｍ未
満で、スクラッチ部からの塗膜剥離中０．１０ｗ以上〜
０．２０ｍ＋未満 Δ・・・Ｆｅ溶出量１５　ｐｐｍ以上〜２０　ｐｐｍ未
満で、スクラッチ部からの塗膜剥離中０．２０■以上〜
０．３０ｍ未満 ×・・・Ｆｅ溶出量２０　ｐｐｍ以上或いはスクラッチ
部からの塗膜剥離中０．２０ｍ以上０評価法■及び◎ 溶接部を除いて、前記の如き塗装を施したテスト材を用
いて、電気抵抗シーム溶接法による溶接缶を製造した。

この溶接缶の溶接部に沿って巾３０鵡、長さ１００■の
評価テスト材を切シ出し、端面及び裏面をシールし、テ
スト材に地鉄に達するスクラッチ疵を入れ、溶接部近傍
の熱影響を受は易い部分の塗装性能を評価した。

評価試験は、該テスト材を（１，５４クエン酸十〇、３
’３６ＮａＣｔ）水溶液中にＣＯ２ガス雰囲気で２７℃
、１６８時間浸漬し、スクラッチ部の穿孔腐食深さ（評
価法■）及び塗膜のセロテープ剥離による剥離状況（評
価法■）の調査を行ない、各々以下の評価基準でその相
対評価を行なった。

Ｏ評価法■ ◎・・・最大穿孔腐食深さが０．１０＋ｓ＋未満○・・
・最大穿孔腐食深さが０．１０−以上〜０．１５■未満 Δ−＝　　　　　　Ｉ　　　　　　Ｏ，１５ｍ以上〜０
．２０ｏ＋未満 ×・・・　　　　ｔｒ　　　　　Ｏ，２０咽以上Ｏ評価
法◎ ◎・・・スクラッチ部からの塗膜の剥離中０．１０籠以
下で、平面部での塗膜の剥離なし ○・・・スクラッチ部からの塗膜の剥離中０．１５ｍｍ
以下で、平面部で直径約２酬以下の点状剥離が３点以下 Δ・・・スクラッチ部からの塗膜の剥離中０．１５ｍ超
〜０．２０―以下で、平面部で直径約２鴫以下の点状剥
離が４〜８点以下 ×・・・スクラッチ部からの塗膜剥離中０．２０ｍ超酸
いは平面部での点状剥離可成シ発生以下余白（発明の効果）本発明は上述したように、Ｎｉ系下地処理層表面にリン
系付着物を設け、更にＳｎめっき、リフロー処理および
クロメート処理１に％定の条件下で行うことにより溶接
性、耐食性、塗装性能にすぐれた容器用表面処理鋼板が
得られ、その工業的効果は甚大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法による評価材の塗装焼付は処理を
想定した熱処理後のフ’Ｊ−Ｓｎ残存量の多い部分の面
積割合（係）を示した図である。

Claims

【特許請求の範囲】

１、鋼板表面に片面当りのＮｉ付着量が５〜１００ｍｇ
／ｍ＾２のＮｉ下地めっき層、Ｎｉ−Ｆｅ合金めっき層
、Ｎｉ−Ｓｎ合金めっき層或いはＮｉ−Ｓｎ−Ｆｅ合金
層を設けた後、１〜１００ｇ／ｌのＰＯ＿４＾３＾−イ
オンを含有する水溶液中で電解処理或いは浸漬処理によ
り片面当りの付着量がＰ換算で０．５〜３０ｍｇ／ｍ＾
２のリン又はリン化合物を設け、続いて片面当りの付着
量が３００〜３０００ｍｇ／ｍ＾２のＳｎめっき層を設
けてリフロー処理し、しかる後片面当りの付着量がＣｒ
換算量で１〜３０ｍｇ／ｍ＾２のクロメート被膜層を設
ける事を特徴とする溶接性、耐食性、塗装性能にすぐれ
た容器用表面処理鋼板の製造法。