JPH0110913Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は電子機器等に用いられる変圧器の取
付け装置に関する。

例えば、テレビジヨンなどでは、電源変圧器の
漏れ磁束が受像管に入ると、電子ビームがこの磁
束の変化によつて振られ、ラスタの揺れを生じ
る。このため、変圧器の巻線外周には、銅板のシ
ヨートリングを巻装し、更に、より効果的な磁気
遮へい効果を得るために、変圧器の鉄心外周に、
けい素鋼板や鉄板の遮へい枠を２重に巻装してい
る。

また、この様に、シヨートリングや遮へい枠を
巻装した変圧器は、例えば取付板に起立した係止
片間に挾持する様に保持され、かつこの取付板
が、テレビジヨンや音響機器などのシヤーシにね
じ止めするなどして固定される。

しかしながら、これらの係止片は、従来、変圧
器鉄心の各側面に沿う方向に切り起こされ、その
係止片面を変圧器の各側面に当接させることによ
つて、変圧器を保持する構成となつているため、
その保持方向に対して係止片に倒れを生じ易いと
いう問題があり、積層方向に緩んだ場合には、変
圧器としての電磁変換効率の低下を招くという欠
点が生じる。

これに対し、鉄心の緩みを防止するために、係
止片長を十分にとる方法が考えられるが、この場
合には、その係止片が巻線や鉄心に巻装したシヨ
ートリングや遮へい板の邪魔になるという問題を
生じてしまう。

この考案はかかる従来の問題点に着目して成さ
れたものであり、変圧器を載置する取付板の一対
向部位に、変圧器鉄心の積層方向に交差する方向
に第１の係止片を切り起こすとともに、他の対向
部位にも上記第１の係止片と同方向に変圧器鉄心
の略々積層幅に亘つて第２の係止片を起立し、こ
の第２の係止片の基部に変圧器を保持する止バン
ドの両端が係合する長孔を設けた構成としたこと
によつて、上記変圧器を上記各係止片間に嵌挿し
たとき、鉄心の保持を相互に緩みを生じさせるこ
となく確実に行わしめるとともに、第１の係止片
がシヨートリングの邪魔にならずに、変圧器の保
持を安定かつ堅牢に行う変圧器の取付け装置を提
供することを目的とするものである。

以下に、この考案の実施例を図面について具体
的に説明する。

第１図は変圧器を載置する取付板１を示す。こ
の取付板１は加工性の良い金属板、例えば鉄板を
打ち抜いて構成される。この取付板１は四隅部に
取付孔２が各一個宛穿設される。この取付孔２は
取付板１をテレビジヨン等のシヤーシなどへのね
じ固定に用いられる。３は上記取付孔２付近に切
り起こした四個の第１の係止片で、これら各係止
片３は全長が比較的短かく、図上では高さに略々
等しい寸法となつている。また、これらの係止片
３は、取付板１上に載置する変圧器鉄心のけい素
鋼板の積層方向に対して、交差（図では直交）す
る方向に切り起こされている。このため、各係止
片３の縁面３ａが鉄心に対峙する様になる。

４は上記取付板１の一の対向部位に切り起こし
た第２の係止片で、上記第１の係止片３よりも全
長が長く、けい素鋼板の略々積層方向長に選定さ
れている。この第２の係止片４は第１の係止片３
と同一方向に切り起こされ、これら両係止片３，
４間に変圧器鉄心を保持する様になつている。

５は第２の係止片４の基部に穿設した長孔であ
り、この長孔５には、変圧器鉄心の上面および両
側面を保持する止めバンド６端を挿入し、かつ折
り曲げて係止する様になつている。なお、これら
の長孔５は係止片４の基部以外の部位に設けるこ
とができる。

一方、７は変圧器で、EI型のけい素鋼板を積
層した鉄心８と、この鉄心８に絶縁紙を介して巻
装した巻線９と、該巻線９および鉄心８の正面、
背面、上下面を覆う銅板のシヨートリング１０
と、このシヨートリング１０に交差し、かつ鉄心
８の両側面および上下面を覆う遮へい帯１１とか
らなる。なお、この遮へい帯１１は鉄板からな
り、鉄心８の側面と略々等しい幅となつている。
１２は巻線タツプ部材であり、絶縁材からなり、
上記シヨートリング１０によつて覆われている。

次に、かかる変圧器７をこの実施例の取付装置
に取り付ける場合について述べる。

先ず、変圧器７を、その鉄心８の積層方向面
が、第１の係止片３の縁面３ａに対峙する様に、
しかも第２の係止片４間に鉄心８の両端面が一定
間隙を残して係合する様に、取付板１上に嵌合す
る。こうすることにより、変圧器７を取付板１上
にワンタツチで簡単に保持させることができる。

続いて、止めバンド６を変圧器７の上面および
両側面を沿わせ、その両端部を上記一定間隙を介
して上記長孔５に挿入し、さらにその両端を引張
りながら折曲し、第２図に示す様に、長孔５縁に
係合する。こうすることにより、変圧器７を、止
めバンド６によつて取付板１上に確実に一体化で
き、これら相互の位置決めも確実となつて、変圧
器７のシヤーシへの位置決めも正確となる。

この様にして、取付板１上に保持された変圧器
７は、正面、背面が第１の係止片３によつて保持
され、両側面が第２の係止片４によつて保持され
るが、上記第１の係止片３は鉄心８の積層方向に
対して、直交する方向に切り起こされているため
鉄心８側から力が加わつても倒れを生じることが
なく、鉄心８の積層に緩みを生ぜず、安定した電
磁変換特性が得られる。

また、上記第１の係止片３は上記鉄心８の下方
両側にその厚さ分だけ接触するものであるから、
それらの係止片３がシヨートリング１０の邪魔に
なる様なこともなくなるものである。

以上詳細に説明した様に、この考案によれば、
変圧器を載置する取付板の一対向部位に、変圧器
鉄心の積層方向に交差する第１の係止片を切り起
こし、上記取付板の他の対向部位には第１の係止
片と同方向に変圧器鉄心の略々積層幅に亘つて第
２の係止片を起立し、この第２の係止片に変圧器
を取付板側に保持するための止めバンドの両端を
係合する長孔を設けた構成としたので、上記各係
止片間および止めバンドにより変圧器を安定保持
できるものである。特に、上記第１の係止片は鉄
心の倒れを生じない方向に起立しているため、鉄
心の積層が緩むことがないものである。また、シ
ヨートリングを持つた変圧器の保持にも、この第
１の係止片が支障となることがないという利点が
得られるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の取付装置の斜視図、第２図
は変圧器の取付け装置への取付状態を示す斜視図
である。 １……取付板、３……第１の係止片、４……第
２の係止片、５……長孔、６……止めバンド、７
……変圧器、８……鉄心、１０……シヨートリン
グ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変圧器を載置する取付板の一対向部位に、変圧
   器鉄心の積層方向に交差する第１の係止片を切り
   起こし、上記取付板の他の対向部位には第１の係
   止片と同方向に、変圧器鉄心の略々積層幅に亘つ
   て第２の係止片を起立し、この第２の係止片に
   は、上記変圧器鉄心を取付板側に保持するため
   の、止めバンド両端を係合する長孔を設けたこと
   を特徴とする変圧器の取付け装置。