以下、例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示される地図管理装置1は、自車両Vの車載機器に格納された地図情報の更新を促す通知を行う。自車両Vは、ドライバが運転操作を行うことが可能な車両である。地図情報の更新を促す通知は、例えば、自車両Vの乗員(ドライバ等)に対して行われる。この通知を受け取った乗員は、車載機器に格納された地図情報の更新を行う。または、通知を受け取った乗員は、自車両Vのディーラー等に対して地図情報の更新を依頼する。なお、車載機器に格納された地図情報は、例えば、自車両Vの経路案内、及び自車両Vの走行の制御等、各種の制御に用いられ得る。本実施形態において、地図情報は、車載機器としての地図記憶装置Aに記憶(格納)されている。
地図記憶装置Aに記憶された地図情報には、道路形状及び道路種別を含む道路情報と、速度標識情報とが含まれている。なお、道路種別には、例えば一般道路及び高速道路等の種別が含まれていてもよい。速度標識情報とは、道路に設置された速度標識の情報である。
地図管理装置1は、車載カメラ2、通知機器3、及び処理ECU[Electronic Control Unit]4を備えている。車載カメラ2は、自車両Vの周囲を撮像可能なカメラである。通知機器3は、自車両Vの乗員に対して各種の通知(報知)を行うための機器である。通知機器3としては、例えば、メータパネルに設けられたモニタ等を用いることができる。
処理ECU4は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。処理ECU4は、例えば、ROMに記録されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。処理ECU4は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。処理ECU4は、機能的には、画像認識部(認識部)11、傾向判定部(第3判定部)12、渋滞判定部(第4判定部)13、認識判定部(第1判定部)14、車速判定部(第2判定部)15、及び通知部16を備えている。
画像認識部11は、車載カメラ2が撮像した撮像画像に基づいて、自車両Vの走行する道路の道路形状、自車両Vの走行する道路の道路種別、及び自車両Vの走行する道路に設置された速度標識の少なくともいずれかを認識する。画像認識部11は、周知の画像処理技術に基づいて、撮像画像から各種の情報を認識することができる。例えば、画像認識部11は、道路に設置された標識の認識結果(標識の色、速度標識が示す速度等)に基づいて、道路種別を認識することができる。なお、本実施形態において、画像認識部11は、撮像画像に基づいて少なくとも速度標識を認識している。
傾向判定部12は、ドライバによる自車両Vの運転操作の傾向を判定する。ここでは、傾向判定部12は、ドライバによる自車両Vの速度操作の傾向を判定する。具体的には、傾向判定部12は、画像認識部11で認識された速度標識が示す速度と自車両Vの平均速度との差分が、予め定められた第1速度閾値以内であるか否かを判定する。また、傾向判定部12は、地図情報に含まれる速度標識情報と自車両Vの平均速度との差分が、第1速度閾値以内であるか否かを判定する。この第1速度閾値は、一例として、10km/hであってもよい。また、自車両Vの速度としては、自車両Vに設けられた車速センサの検出結果等が用いられてもよい。
このように、傾向判定部12は、認識された速度標識又は地図情報に含まれる速度標識情報の速度に対して、ドライバが常習的に自車両Vを速い速度又は遅い速度で走行させるか、または、認識された速度標識又は地図情報に含まれる速度標識情報の速度とほぼ同じ速度で走行させるかを判定する。
渋滞判定部13は、自車両Vが渋滞した道路を走行しているか否かを判定する。具体的には、渋滞判定部13は、自車両Vの速度が予め定められた第2速度閾値以下の状態が予め定められた所定期間継続したか否かを判定する。この第2速度閾値は、一例として、30km/hであってもよい。
認識判定部14は、画像認識部11で認識された認識情報と、地図記憶装置Aに記憶された地図情報との差異の有無を判定する。この認識情報は、画像認識部11で認識された道路形状、道路種別、及び速度標識の少なくともいずれかの情報を含んでいる。認識情報と地図情報とに差異がある場合、地図情報の更新が必要である可能性があるといえる。
車速判定部15は、自車両Vの速度と、地図記憶装置Aに記憶された地図情報に含まれる速度標識情報との差異の有無を判定する。自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異がある場合、地図情報の更新が必要である可能性があるといえる。より詳細には、車速判定部15は、差異の有無を、画像認識部11で認識された速度標識が示す速度も考慮して判定する。
ここでは、車速判定部15は、自車両Vの速度が、地図情報に含まれる速度標識情報が示す速度よりも画像認識部11で認識された速度標識が示す速度に近い場合、自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異があると判定する。つまり、ここでは車速判定部15は、地図情報に誤りがあるか否かを判定している。
なお、自車両Vの速度と画像認識部11で認識された速度標識が示す速度との差分が、予め定められた第3速度閾値を超える場合がある。この場合、車速判定部15は、自車両Vの速度が、速度標識情報が示す速度よりも画像認識部11で認識された速度標識が示す速度に近くても、自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異があると判定しない。この第3速度閾値は、一例として、10km/hであってもよい。つまり、ここでは車速判定部15は、一時的な速度超過又は減速の場合を除外している。
通知部16は、認識判定部14において差異があると判定されかつ車速判定部15において差異があると判定された回数をカウントする。通知部16は、カウントした回数が予め定められた判定回数閾値以上となった場合、通知機器3を用いて地図情報の更新を促す通知を行う。
なお、傾向判定部12によって差分が第1速度閾値以内ではないと判定されている場合がある。この場合、通知部16は、認識判定部14において差異があると判定されかつ車速判定部15において差異があると判定されたとしても、回数をカウントしない。つまり、通知部16は、常習的な速度超過又は減速の場合を、回数のカウント対象から除外する。
また、渋滞判定部13によって自車両Vの速度が第2速度閾値以下の状態が所定期間継続したと判定されている場合がある。この場合、通知部16は、認識判定部14において差異があると判定されかつ車速判定部15において差異があると判定されたとしても、回数をカウントしない。つまり、通知部16は、渋滞の場合を、回数のカウント対象から除外する。
上述した傾向判定部12~通知部16の各判定及び処理は、自車両VのイグニッションがON状態となってている間、繰り返し実行される。通知部16は、カウントしている回数が判定回数閾値以上となった場合、例えば次に自車両VのイグニッションがON状態となったときに、通知機器3を用いて地図情報の更新を促す通知を行ってもよい。通知部16がカウントする回数は、例えば、地図情報の更新が行われた場合にリセットされてもよい。
次に、地図管理装置1において行われる地図情報の更新通知処理の流れについて説明する。なお、図2に示されるフローチャートは、自車両VのイグニッションがON状態となったときに開始される。また、処理がエンドに至った場合、所定時間後に再びスタートから処理が開始される。図2に示されるように、傾向判定部12は、画像認識部11で認識された速度標識が示す速度と自車両Vの平均速度との差分が第1速度閾値以内であるか否か、または、地図情報に含まれる速度標識情報と自車両Vの平均速度との差分が第1速度閾値以内であるか否かを判定する(S101)。つまり、傾向判定部12は、ドライバによる自車両Vの速度の操作の傾向を判定する。
S101の判定条件を満たさない場合(S101:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。S101の判定条件を満たす場合(S101:YES)、渋滞判定部13は、自車両Vの速度が第2速度閾値以下の状態が所定期間継続したか否かを判定する(S102)。つまり、渋滞判定部13は、自車両Vが渋滞した道路を走行しているか否かを判定する。S102の判定条件を満たさない場合(S102:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
S102の判定条件を満たす場合(S102:YES)、認識判定部14は、画像認識部11で認識された認識情報と、地図記憶装置Aに記憶された地図情報とに差異があるか否かを判定する(S103)。つまり、認識判定部14は、地図情報の鮮度(情報が新しいか否か)を判定する。S103の判定条件を満たさない場合(S103:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
S103の判定条件を満たす場合(S103:YES)、車速判定部15は、自車両Vの速度が、地図情報に含まれる速度標識情報が示す速度よりも画像認識部11で認識された速度標識が示す速度に近いか否かを判定する(S104)。つまり、車速判定部15は、地図情報に誤りがあるか否かを判定する。S104の判定条件を満たさない場合(S104:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
S104の判定条件を満たす場合(S104:YES)、車速判定部15は、自車両Vの速度と画像認識部11で認識された速度標識が示す速度との差分が、予め定められた第3速度閾値以内であるか否かを判定する(S105)。つまり、車速判定部15は、一時的な速度超過又は減速の場合を除外するための判定を行う。S105の判定条件を満たさない場合(S105:NO)、一時的な速度超過又は減速の場合であると考えられる。この場合、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
S105の判定条件を満たす場合(S105:YES)、車速判定部15は、自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異があると判定する。そして、通知部16は、認識判定部14において差異があると判定されかつ車速判定部15において差異があると判定された回数をカウントする(S106)。つまり、通知部16は、S106の処理に至った回数をカウントする。カウントした回数が判定回数閾値以上でない場合(S106:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
カウントした回数が判定回数閾値以上である場合(S106:YES)、通知部16は、通知機器3を用いて地図情報の更新を促す通知を行う(S107)。
以上のように、通知部16は、認識判定部14において差異があると判定されかつ車速判定部15において差異があると判定された回数が判定回数閾値以上となった場合、地図情報の更新を促す通知を行う。つまり、通知部16は、画像認識部11の認識結果(認識情報)と記憶された地図情報とに差異がありかつ記憶された地図情報と自車両Vの速度とが不一致である回数が判定回数閾値以上の場合、更新を促す通知を行う。このように、地図管理装置1は、画像認識部11の認識結果(認識情報)、記憶された地図情報、及び自車両Vの速度に基づいて通知の要否を判定する。これにより、地図管理装置1は、地図情報の更新の要否をより精度よく判定し、更新を促す通知を行うことができる。
傾向判定部12は、認識された速度標識又は地図情報に含まれる速度標識情報の速度に対して、ドライバが常習的に自車両Vを速い速度又は遅い速度で走行させるか否かを判定する。常習的な速度超過又は減速の場合、通知部16は、認識判定部14及び車速判定部15において差異があると判定されても回数をカウントしない。これにより、地図管理装置1は、ドライバによる速度操作の傾向に起因して、地図情報の更新が必要であると誤判定することを抑制できる。
渋滞判定部13は、自車両Vの速度が第2速度閾値以下の状態が所定期間継続したか否かを判定する。つまり、渋滞判定部13は、自車両Vが渋滞した道路を走行しているか否かを判定する。道路が渋滞している場合、道路標識に従った速度での走行が困難となり易い。このため、渋滞した道路を走行中の場合、通知部16は、認識判定部14及び車速判定部15において差異があると判定されても回数をカウントしない。これにより、地図管理装置1は、渋滞中の道路を走行する自車両Vの速度に起因して、地図情報の更新が必要であると誤判定することを抑制できる。
車速判定部15は、自車両Vの速度が、地図情報に含まれる速度標識情報が示す速度よりも画像認識部11で認識された速度標識が示す速度に近い場合、自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異があると判定する。つまり、ここでは車速判定部15は、地図情報に誤りがあるか否かを判定している。これにより、地図管理装置1は、地図情報の更新の要否をより精度よく判定することができる。
また、自車両Vの速度と画像認識部11で認識された速度標識が示す速度との差分が、第3速度閾値を超える場合がある。この場合、車速判定部15は、自車両Vの速度が、速度標識情報が示す速度よりも画像認識部11で認識された速度標識が示す速度に近くても、自車両Vの速度と地図情報に含まれる速度標識情報とに差異があると判定しない。つまり、ここでは車速判定部15は、一時的な速度超過又は減速の場合を判定の対象から除外する。これにより、地図管理装置1は、一時的な速度超過又は減速の影響を除外して、地図情報の更新の要否をより精度よく判定することができる。
このように、地図管理装置1は、複数の条件に基づいて判定を行うことにより、画像認識部11が速度標識を誤認識した場合、渋滞の場合、及びドライバによる速度操作の傾向等による誤判定を抑制できる。これにより、地図管理装置1は、地図情報の更新の要否をより精度よく判定し、更新が必要なタイミングで通知を行うことができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、地図管理装置1は、自車両Vの外部に設置された地図管理センターと連携して、地図情報の更新の通知を行ってもよい。なお、地図管理センターは、新設された道路の情報を含む地図情報を記憶している。地図管理センターは、自車両Vに搭載された地図管理装置1と、無線通信により通信を行うことができる。また、地図管理装置1には、地図管理センターと情報の送受信を行う通信部をさらに備えている。
地図管理装置1が地図管理センターと連携して地図情報の更新の通知を行う場合の処理の流れについて、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3に示されるフローチャートは、図2に示されるフローチャートに対して、S105A~S105Cの処理が追加されている。S105A~S105C以外の各ステップの処理内容は図2に示される処理内容と同様である。このため、S105A~S105Cの処理内容を中心に説明する。
図3に示されるように、S105の判定条件を満たす場合(S105:YES)、地図管理装置1に設けられた通信部は、地図管理センターへ情報を送信する(S105A)。ここでは、通信部は、例えばS105の判定結果(自車両Vの速度、撮像画像から認識された速度標識の認識結果)等の情報を地図管理センターへ送信することができる。これにより、地図管理センターは、地図管理装置1から取得した情報に基づいて、例えば、どの地点で、どの程度、実際の道路状況と記憶された地図情報とに差異があると判定されたか否か等の情報処理を行うことができる。情報が送信された後、通知部16は、S106の処理を行う。
S105の判定条件を満たさない場合(S105:NO)、地図管理装置1に設けられた通信部は、S105Aの処理と同様に地図管理センターへ情報を送信する(S105B)。情報の送信後、通信部は、地図管理センターから道路が新設されたか否かの情報を取得する。ここで、S105の判定条件を満たさない場合とは、速度の差分が第3速度閾値(一例として10km/h)を超えており、そもそも道路種別が変わったことが想定され得る。例えば、道路種別が変わったこととは、元々一般道が設けられていたがこれが無くなり、高速道路や速度域の高いバイパス道路が新たに設けられた等の場合が挙げられる。つまり、道路が新設された場合には、地図記憶装置Aに格納された地図情報の更新が必要となる。
通知部16は、通信部によって取得された情報が、道路が新設されたことを示す情報であるか否かを判定する(S105C)。道路が新設された情報である場合(S105C:YES)、通知部16は、S106の処理を行う。道路が新設された情報でない場合(S105C:NO)、地図管理装置1は、所定時間後に再びS101から処理を開始する。
このように、地図管理装置1は、地図管理センターから道路が新設されたか否かの情報を用いて地図情報の更新の要否を判定する。これにより、地図管理装置1は、自車両Vの速度と認識された速度標識が示す速度との差分が第3速度閾値を超えた場合に、一時的な速度超過又は減速に起因するものであるか、道路の新設に起因するものであるかを判定することができる。これにより、地図管理装置1は、地図情報の更新の要否をより精度よく判定し、更新を促す通知を行うことができる。
また、地図管理センターと連携している場合、例えば、通知部16は、地図情報の更新を促す通知を行う際に、地域が特定できる場合には更新対象となる地域の具体的名称を通知してもよい。例えば、通知部16は、「これまでの走行データより、〇〇地域の地図情報の更新を推奨します。お近くの販売店やディーラー、もしくはホームページをご確認下さい。」等の表示を行うことができる。また、通知部16は、地図情報の更新を促す通知を行う際に、差異があると判定された回数、更新によって改善される改善代等も併せて通知してもよい。例えば、通知部16は、「更新によって、制限速度の表示が30%改善される可能性があります。」等の表示を併せて行うことができる。
他の例として、画像認識部11は、速度標識に代えて一時停止の標識を認識してもよい。一時停止の標識がある場合、自車両Vの速度は一時的に0km/hとなる。つまり、一時停止の標識は自車両Vの速度を規定しており、一時停止の標識を速度標識と同様に取り扱うことができる。これにより、地図管理装置1は、速度標識に代えて一時停止の標識の認識結果を用いて、地図情報の更新の要否の判定を行ってもよい。