JP7714397B2 - 電力取引演算装置、該方法および該プログラム - Google Patents

電力取引演算装置、該方法および該プログラム

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Description

本発明は、電力取引の内容を求める電力取引演算装置、電力取引演算方法および電力取引演算プログラムに関する。
電力小売りの自由化により、様々な業種の企業が参入し、発電部門と小売り部門との間で電力を取引する卸電力市場および小売り部門と需要者との間で電力を取引する小売電力市場が形成され、電力が取引されている。この電力取引において、最適取引量を決定するシステムが例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された最適取引量決定システムは、電力取引における最適取引量を決定するシステムであって、発電量に応じて発電手段による発電にかかる発電費用を算出するための発電費用算出情報を記憶する第1の記憶部と、前記電力取引による取引量に応じた取引額を算出するための取引額算出情報を記憶する第2の記憶部と、前記発電費用算出情報および前記取引額算出情報に基づいて、電力需要量の予測値に応じた前記発電費用と前記電力需要量の予測値から前記最適取引量を減算した電力量に応じた前記発電費用との差額である削減額を算出し、前記削減額と前記最適取引量に応じた前記取引額である支出額との差額である利益額を算出する利益額算出部と、前記利益額が最大となるように買い取引に係る前記最適取引量を決定する最適取引量決定部と、を備える。
特許第6520142号公報
ところで、前記特許文献1に開示された最適取引量決定システムは、発電側の利益を最大化している。市場には、電力需要者も参加しているが、前記特許文献1では、電力需要者が考慮されていない。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、需給(需要と供給の双方)を考慮して電力取引の内容を求めることができる電力取引演算装置、電力取引演算方法および電力取引演算プログラムを提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる電力取引演算装置は、複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量および前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価を求める電力取引演算装置であって、前記複数の調達電力量および売電単価を含む第1変数の関数として表される、前記電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求める。好ましくは、電力取引演算装置は、複数の調達先に対応する複数の調達電力量および複数の電力需要者に販売する際の売電単価を含む第1変数の関数として表される、前記複数の調達先から調達した電力を前記複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求める。好ましくは、上述の電力取引演算装置において、前記複数の調達電力量および前記売電単価にのうちの少なくとも1つに設定された所定の制約条件の下に、前記複数の調達電力量および前記売電単価が求められる。
このような電力取引演算装置は、小売り側利益額および需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように各調達電力量および売電単価を求めるので、電力小売り事業者および電力需要者の需給の双方を考慮して電力取引の内容を決定できる。
他の一態様では、上述の電力取引演算装置において、前記目的関数は、前記小売り側利益額と前記需要側総利益額とを乗算した式で表される。
このような電力取引演算装置は、目的関数の微分演算で前記目的関数が最大となる各調達電力量および売電単価を求めることができる。
他の一態様では、これら上述の電力取引演算装置において、前記小売り側利益額は、前記売電単価から、前記複数の調達先における平均調達単価と送電にかかる送電単価と前記電力小売り事業者の経費単価とを減算し、前記減算結果に総調達電力量を乗算した式で表され、前記平均調達単価は、前記複数の調達電力量それぞれに前記複数の調達先それぞれの各調達単価を乗算した各乗算結果の総和を、総調達電力量で除算した式で表される。好ましくは、上述の電力取引演算装置において、前記経費は、電力小売り事業者が事業を運営するためにかかる運営経費(人件費および事務費等)および再生エネルギー賦課金を含む。
これによれば、一具体例の演算式を備えた電力取引演算装置が提供できる。
他の一態様では、これら上述の電力取引演算装置において、前記需要側総利益額は、現在の売電単価と前記目的関数を最大にすることによって求められる売電単価との差額に前記電力需要者の需要予測電力量を乗算し、前記複数の電力需要者それぞれについての前記乗算の結果を総和した式で表され、前記複数の電力需要者それぞれの各需要予測電力量の総和は、前記複数の調達電力量の総和に等しい。
これによれば、一具体例の演算式を備えた電力取引演算装置が提供できる。
他の一態様では、上述の電力取引演算装置において、前記電力需要者の需要予測電力量は、複数の気温範囲ごとに予め作成された、気温と需要電力量との対応関係を表す複数の需要予測情報のなかから、前記需要予測電力量を予測する際の予測の気温に対応する需要予測情報を用いることによって、前記予測の気温に応じた需要電力量である。
このような電力取引演算装置は、複数の気温範囲ごとに予め作成された複数の需要予測情報を用いるので、季節ごとに適切に需要予測電力量を求めることができる。
本発明の他の一態様にかかる電力取引演算方法は、複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量および前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価を求める、コンピュータによって実行される電力取引演算方法であって、前記複数の調達電力量および売電単価を含む第1変数の関数として表される、前記電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求める。
本発明の他の一態様にかかる電力取引演算プログラムは、複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量および前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価を求める電力取引演算プログラムであって、コンピュータに、前記複数の調達電力量および売電単価を含む第1変数の関数として表される、前記電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求めさせるためのプログラムである。
このような電力取引演算方法および電力取引演算プログラムは、小売り側利益額および需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように各調達電力量および売電単価を求めるので、電力小売り事業者および電力需要者の需給の双方を考慮して電力取引の内容を決定できる。
本発明にかかる電力取引演算装置、電力取引演算方法および電力取引演算プログラムは、需給の双方を考慮して電力取引の内容を求めることができる。
実施形態における電力取引演算装置の構成を示すブロック図である。 前記電力取引演算装置の目的関数を説明するための図である。 前記電力取引演算装置の動作を示すフローチャートである。 電力調整設備を備える電力系統を説明するための図である。 前記電力調整設備の制御の動作を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
実施形態における電力取引演算装置は、複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量および前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価を求める装置である。この電力取引演算装置は、前記複数の調達電力量および前記売電単価を含む第1変数の関数として表される、前記電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求めるものである。以下、このような電力取引演算装置ならびにこれに実装される電力取引演算方法および電力取引演算プログラムについて、より具体的に説明する。
図1は、実施形態における電力取引演算装置の構成を示すブロック図である。図2は、前記電力取引演算装置の目的関数を説明するための図である。
実施形態における電力取引演算装置Dは、例えば、図1に示すように、制御処理部11と、入力部12と、出力部13と、インターフェース部(IF部)14と、記憶部15とを備える。
入力部12は、制御処理部11に接続され、例えば演算開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、例えば、現在の売電単価や送電単価や経費単価等の、電力取引演算装置Dの稼働を行う上で必要な各種データを電力取引演算装置Dに入力する装置であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ、キーボードおよびマウス等である。出力部13は、制御処理部11に接続され、制御処理部11の制御に従って、入力部12から入力されたコマンドやデータ、および、電力取引演算装置Dによって求められた各調達電力量や売電単価等を出力する装置であり、例えばCRTディスプレイ、LCD(液晶表示装置)および有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
なお、入力部12および出力部13は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部12は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部13は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として電力取引演算装置Dに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い電力取引演算装置Dが提供される。
IF部14は、制御処理部11に接続され、制御処理部11の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、および、USB規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部14は、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
記憶部15は、制御処理部11に接続され、制御処理部11の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、電力取引演算装置Dの各部12~15を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、電力需要者の需要電力量を需要予測電力量として予測する需要予測プログラムや、複数の調達先から調達(購入)する複数の調達電力量および電力需要者に電力を販売する際の売電単価を含む第1変数の関数として表される、電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求める電力取引演算プログラム等が含まれる。前記各種の所定のデータには、例えば入力部12から入力された現在の売電単価や送電単価や経費単価等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部15は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部15は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部11のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部15は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
記憶部15は、複数の需要予測情報を記憶する需要予測情報記憶部151を機能的に備える。前記複数の需要予測情報は、複数の気温範囲ごとに予め作成された、気温と需要電力量との対応関係を表す複数の情報である。前記複数の需要予測情報は、例えば気温15[℃]以上22[℃]未満の春秋用の需要予測情報、気温22[℃]以上の夏用の需要予測情報、および、気温15[℃]未満の冬用の需要予測情報を含む。前記複数の需要予測情報は、前記複数の電力需要者ごとに予め作成されてもよい。このような各需要予測情報は、例えば、過去の複数年に亘る複数の過去実績データに基づいて適宜に作成される。
制御処理部11は、電力取引演算装置Dの各部12~15を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、小売り側利益額および需要側総利益額を説明変数とする目的関数に基づいて複数の調達先における各調達電力量および電力小売り事業者の売電単価を求めるための回路である。制御処理部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部11は、その制御処理プログラムが実行されることによって、制御部111、需要予測部112および電力取引演算部113を機能的に備える。
制御部111は、当該電力取引演算装置Dの各部12~15を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、電力取引演算装置Dの全体制御を司るものである。
需要予測部112は、需要予測情報記憶部151に記憶されている複数の需要予測情報のなかから、需要予測電力量を予測する際の予測の気温に対応する需要予測情報を用いることによって、前記予測の気温に応じた需要電力量を前記需要予測電力量として求めるものである。前記需要予測電力量を予測する際の前記予測の気温は、例えば、入力部12から入力される。あるいは、例えば、電力取引演算装置Dは、気温を計測する温度センサをさらに備え、前記予測の気温は、前記温度センサから取得されてよい。あるいは、例えば、各電力需要者4(図2に示す例では第1ないし第3電力需要者4-1~4-3)の各箇所に、IF部14を介して電力取引演算装置Dと通信可能に接続される各温度センサが配置され、前記予測の気温は、これら各温度センサから取得されてよい。この場合では、各電力需要者4ごとに、需要予測電力量が求められ得る。なお、前記複数の需要予測情報が前記複数の電力需要者4ごとに作成されている場合には、需要予測電力量を予測する対象の電力需要者4に対応する複数の需要予測情報から選択されてよい。
電力取引演算部113は、複数の調達先から調達(購入)する複数の調達電力量および複数の電力需要者に販売する際の売電単価を含む第1変数の関数として表される、電力小売り事業者における利益額である小売り側利益額、および、前記売電単価を含む第2変数の関数として表される、前記複数の電力需要者における各利益額の総額である需要側総利益額を説明変数とする目的関数が最大となるように、前記複数の調達電力量および前記売電単価を求めるものである。
前記複数iの調達先1(1-i、iは正整数)は、発電部門や卸市場等の電力を仕入れることができる仕入れ先であり、例えば、図2に示すように、例えば自社発電所等の第1調達先1-1、例えば電力の供給を受ける契約を締結している契約発電所等の第2調達先1-2、および、例えば卸電力取引所等の第3調達先1-3等である。図2に示す例では、i=1、2、3である。
前記電力小売り事業者3は、複数iの調達先1から調達した電力を複数jの電力需要者4(4-j、jは正整数)に販売(小売り)する事業者である。電力小売り事業者3は、電力を送配電する送電事業者2の配電系統を介して複数iの調達先1から複数jの電力需要者4へ給電する。
小売り側利益額uesは、小売り事業者3の売電単価(小売値)Pemから、前記複数iの調達先1における平均調達単価(平均卸値単価)Peiavと送電にかかる送電単価Pesと前記電力小売り事業者3の経費単価Pecとを減算し、前記減算結果(Pem-(Peiav-Pes-Pec))に総調達電力量metotalを乗算した式で表される(ues=((Pem-(Peiav-Pes-Pec))×metotal)。前記経費は、電力小売り事業者3が事業を運営するためにかかる運営経費(人件費および事務費等)Pcおよび再生エネルギー賦課金Prを含む。
前記平均調達単価Peiavは、前記複数iの調達電力量meiそれぞれに前記複数iの調達先1それぞれの各調達単価Peiを乗算した各乗算結果の総和(Σ(mei×Pei)、Σはiについて総和を求める)を、総調達電力量metotal(=Σmei)で除算した式で表される(Peiav=Σ(mei×Pei)/metotal)。図2に示す例では、Peiav=(me1×Pe1+me2×Pe2+me3×Pe3/metotalである。
したがって、ues=((Pem-((Σ(mei×Pei)/Σmei)-Pes-Pec))×Σmei)となり、前記小売り側利益額uesは、複数の調達電力量meiおよび売電単価Pemを含む第1変数の関数として表されている。
需要側総利益額ujは、現在の売電単価Pe0と前記目的関数を最大にすることによって求められる売電単価Pemとの差額(Pe0-Pem)に前記電力需要者4の需要予測電力量Mejを乗算し、前記複数jの電力需要者4それぞれについての前記乗算の結果を総和した式で表される(uj=Σ((Pe0-Pem)×Mej)、Σはjについて総和を求める)。図2に示す例では、j=1、2、3であり、uj=((Pe0-Pem)×Me1+(Pe0-Pem)×Me2+(Pe0-Pem)×Me3である。
したがって、需要側総利益額ujは、電力需要者4に販売する際の売電単価Pemを含む第2変数の関数として表されている。
ここで、電力に関する同時同量の原則から、前記複数jの電力需要者4それぞれの各需要予測電力量Mejの総和ΣMejは、前記複数iの調達電力量meiの総和Σmei(=metotal)に等しい。
そして、本実施形態では、前記目的関数utは、前記小売り側利益額uesと前記需要側総利益額ujとを乗算した式で表される(ut=ues×uj)。
電力取引演算部113は、このような目的関数ut=ues×ujが最大となるように、前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemを求める。例えば、目的関数utの微分により目的関数utの増加か減少かを判定して目的関数utの最大値を求める公知の最適化手法が用いられる。あるいは、例えば、前記目的関数utに対し、前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemそれぞれについて、1つを変数として扱うと共に残余を固定として扱う前記変数の偏微分により求めた各偏微分式=0の連立方程式を解くことによって、最大値(極大値)およびそれを与える前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemが求められる。
なお、この前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemを求める際に、前記複数の調達電力量mejや前記売電単価Pemに、所定の制約条件が設定されてもよい。すなわち、電力取引演算部113は、前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemにのうちの少なくとも1つに設定された所定の制約条件の下に、前記複数の調達電力量mejおよび前記売電単価Pemを求める。例えば、前記制約条件として、Pe0-Pem>0が設定される。これにより需要側総利益額uj>0となり、電力需要者の利益が保証される。あるいは、例えば、前記制約条件として、調達電力量mej>0、j=1、2、・・・が設定される。これにより全ての調達先1から電力が調達されることになり、一般的に、高い調達単価Peiとなる再生エネルギーの事業者も調達先1となり得、前記再生エネルギーの事業者における事業継続が見込める。
これら制御処理部11、入力部12、出力部13、IF部14および記憶部15は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、前記電力取引演算装置の動作を示すフローチャートである。
このような構成の電力取引演算装置Dは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部11には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部111、需要予測部112および電力取引演算部113が機能的に構成される。
図3において、演算開始の指示を入力部12で受け付けると、電力取引演算装置Dは、制御処理部11の制御部111によって、諸データの入力を促すメッセージを出力部13に表示し、ユーザ(オペレータ)の入力により入力部12やIF部14から前記諸データを取得し、記憶部15に記憶する(S1)。ユーザは、前記メッセージの表示により、前記諸データとして、需要予測電力量を予測する際の予測の気温、各調達先1の各調達単価Pei、送電単価Pes、電力小売り事業者3の経費単価Pecおよび現在の売電単価Pe0を例えば入力部12に入力する。
次に、電力取引演算装置Dは、制御処理部11の需要予測部112によって、需要予測情報記憶部151に記憶されている複数の需要予測情報および処理S1で取得した前記予測の気温に基づいて、各電力需要者4の各需要予測電力量Mejを求め、記憶部15に記憶する(S2)。
次に、電力取引演算装置Dは、制御処理部11の電力取引演算部113によって、処理S1で取得した諸データPei、Pes、Pec、Pe0および処理S2で求めた各需要予測電力量Mejに基づいて目的関数ut=((Pem-((Σ(mei×Pei)/Σmei)-Pes-Pec))×Σmei)×Σ((Pe0-Pem)×Mej)、Σmei=ΣMejを生成し、この目的関数utが最大となるように、各調達電力量mejおよび売電単価Pemを電力取引の内容として求め、記憶部15に記憶する(S3)。
次に、電力取引演算装置Dは、制御処理部11の制御部111によって、処理S3で求めた各調達電力量mejおよび売電単価Pemを電力取引の内容として出力部13に出力する(S4)。なお、必要に応じて前記電力取引の内容は、IF部14を介して外部の機器へ出力されてもよい。
次に、電力取引演算装置Dは、制御処理部11の制御部111によって、本処理の終了か否かを判定する(S5)。例えば、制御部111は、終了か継続かを問い合わせるメッセージを出力部13に表示し、ユーザにより入力部12に終了が入力された場合には、制御部111は、前記判定の結果として本処理の終了と判定し(Yes)、本処理を終了し、一方、ユーザにより入力部12に継続が入力された場合には、制御部111は、前記判定の結果として本処理の終了ではない判定し(No)、処理を処理S1に戻す。
以上説明したように、実施形態における電力取引演算装置Dならびにこれに実装された電力取引演算方法および電力取引演算プログラムは、小売り側利益額uesおよび需要側総利益額ujを説明変数とする目的関数utが最大となるように各調達電力量meiおよび売電単価Pemを求めるので、電力小売り事業者3および電力需要者4の需給の双方を考慮して電力取引の内容を決定できる。電力供給側の利益でだけでなく、電力需要側の利益を考慮することで、安定的に電力取引の契約が継続され、市場が継続的に形成され得る。
上記電力取引演算装置D、電力取引演算方法および電力取引演算プログラムは、目的関数の微分演算で前記目的関数が最大となる各調達電力量および売電単価を求めることができる。
ここで、上述では、調達先1が例えば自社発電所や契約発電所や卸電力取引所等の第1ないし第3調達先1-1~1-3であるが、調達先1に自社の電力調整設備が含まれ、前記電力調整設備の制御について紹介する。
図4は、電力調整設備を備える電力系統を説明するための図である。図5は、前記電力調整設備の制御の動作を示すフローチャートである。
図4に示す送配システムSは、発電する自社発電所1-1、契約発電所1-2、再生エネルギー発電所1-4、既存発電会社の発電所(他の発電所)1-5および自社電力調整設備1-6と、電力を送配電する電力系統NTと、電力を消費する第1需要者4-1、第2需要者4-2、第3需要者4-3および一般電力需要者5と、これらの電力を測定する第1ないし第7電力計PM-1~PM-7とを備える。
自社発電所1-1は、第1電力計PM-1を介して電力系統NTに接続される。第1電力計MP-1の測定値は、me1とされる。契約発電所1-2は、第2電力計PM-2を介して電力系統NTに接続される。第2電力計MP-2の測定値は、me1とされる。再生エネルギー発電所1-4は、第3電力計PM-3を介して電力系統NTに接続される。第3電力計MP-3の測定値は、me4とされる。既存発電会社の発電所1-5は、電力系統NTに接続され、図略の電力計によって測定される既存発電会社の発電所1-5の総電力値は、me5とされる。自社電力調整設備1-6は、第4電力計PM-4を介して電力系統NTに接続される。第4電力計MP-4の測定値は、me6とされる。第1需要者4-1は、第5電力計PM-5を介して電力系統NTに接続される。より正確には、左記は、「第1需要者4-1の電気設備(家庭やビル等の屋内配線等)は、第5電力計PM-5を介して電力系統NTに接続される」であるが、以下同様に、簡略して記載する。第5電力計MP-5の測定値は、Me1とされる。第2需要者4-2は、第6電力計PM-6を介して電力系統NTに接続される。第6電力計MP-6の測定値は、Me2とされる。第3需要者4-3は、第7電力計PM-7を介して電力系統NTに接続される。第7電力計MP-7の測定値は、Me3とされる。一般電力需要者5は、電力系統NTに接続され、図略の電力計によって測定される一般電力需要者5の総電力値は、Me4とされる。自社発電設備1-1および自社電力調整設備1-6それぞれは、電力小売り事業者3の制御装置CONと通信可能に接続され、自社発電設備1-1および自社電力調整設備1-6それぞれと電力小売り事業者3の制御装置CONとは、各発電量(測定値)me1、me6および制御指令を表す運転情報それぞれを送受信する。自社発電設備1-1および自社電力調整設備1-6それぞれは、各運転情報に基づき運転(制御)される。
電力系統NTは、総発電量me1+me2+me4+me5+me6と総需要量(総消費電力量)Me1+Me2+Me3+Me4とがバランスするように運営されるが、電力小売り事業者3の扱う需給バランスが崩れると(me1+me2+me3≠Me1+Me2+Me3)、送電事業者2の電力系統NTに負荷がかかり、これにより電力小売り事業者3は、送電事業者2にペナルティー費を支払う必要が生じる。このため、電力小売り事業者3の扱う需給バランスを維持するように、自社電力調整設備1-6の発電量が制御装置CONによって制御される。
自社電力調整設備1-6は、例えば、エンジンによってジェネレータ(発電機)を駆動するエンジン発電機や、充放電する2次電池を備える蓄電池システムや、水素の貯蔵および発電を行う水素システム等である。前記エンジン発電機は、需給バランスが崩れ、me1+me2+me3<Me1+Me2+Me3の場合に、発電によって不足発電量(=Me1+Me2+Me3-(me1+me2+me3))を補う。前記蓄電池システムは、需給バランスが崩れ、me1+me2+me3<Me1+Me2+Me3の場合に、放電によって前記不足発電量を補う。me1+me2+me3>Me1+Me2+Me3の場合には、余剰電力(=me1+me2+me3-(Me1+Me2+Me3))で、蓄電池システムは、充電を行ってよい。前記水素システムは、需給バランスが崩れ、me1+me2+me3<Me1+Me2+Me3の場合に、水素によって発電することによって前記不足発電量を補う。水素発電では、例えば燃料電池によって発電が実施される。あるいは、例えば水素の燃焼エネルギーによりタービンを駆動することで発電が実施される。me1+me2+me3>Me1+Me2+Me3の場合には、前記余剰電力で、水素システムは、水の電気分解により水素を生成し、この生成した水素を貯蔵してよい。
このような送配システムSでは、自社電力調整設備1-6に関し、図5において、制御装置CONは、まず、各ポイントの各電力計PM-1、PM-4~PM-7から各測定値me1、me6、Me1~Me3を取得する(S11)。なお、契約発電所1-2で調達する電力量me2および卸電力取引所1-3で調達する電力量me3は、予め決まっている固定値であるので、取得されない。
次に、制御装置CONは、自社に関し、需給バランス(供給電力量me1+me2+me3+me6=電力需要量Me1+Me2+Me3)しているか否かを判定する(S12)。この判定の結果、前記需給バランスしている場合(me1+me2+me3+me6=Me1+Me2+Me3)(Yes)には、制御装置CONは、自社電力調整設備1-6の発電を現状で維持し(S13)、次に、処理S17を実行する。一方、前記判定の結果、前記需給バランスしていない場合(me1+me2+me3+me6≠Me1+Me2+Me3)(No)には、制御装置CONは、余剰電力(供給電力量me1+me2+me3+me6>電力需要量Me1+Me2+Me3)が生じているか否かを判定する(S14)。この判定の結果、前記余剰電力が生じている場合(me1+me2+me3+me6>Me1+Me2+Me3)(Yes)には、制御装置CONは、予め設定された所定の電力量△Wだけ低減するように自社電力調整設備1-6を制御し、これによって自社電力調整設備1-6の発電出力を低下させ(-△W)(S15)、次に、処理S17を実行する。一方、前記判定の結果、前記余剰電力が生じていない場合、すなわち、電力不足の場合(me1+me2+me3+me6<Me1+Me2+Me3)(No)には、制御装置CONは、予め設定された所定の電力量△Wだけ増加するように自社電力調整設備1-6を制御し、これによって自社電力調整設備1-6の発電出力を上昇させ(+△W)(S16)、次に、処理S17を実行する。
処理S17では、制御装置CONは、制御の終了で有るか否かを判定する。この判定の結果、制御の終了である場合(Yes)には、制御装置CONは、本処理を終了し、一方、前記判定の結果、制御の終了ではない場合(No)には、制御装置CONは、処理を処理S11に戻す。
このように自社電力調整設備1-6が電力小売り事業者3の扱う需給バランスに応じて制御される。これによって送電事業者2の電力系統NTにかかる負荷を回避し、ペナルティー費の支払いが回避できる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
D 電力取引演算装置
1 制御処理部
2 入力部
3 出力部
4 インターフェース部(IF部)
5 記憶部
11 制御部
12 需要予測部
13 電力取引演算部
51 需要予測情報記憶部

Claims (3)

  1. 複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量meiおよび前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価Pemを求める電力取引演算装置であって、
    複数の気温範囲ごとの複数の、気温と需要電力量との対応関係を表す需要予測情報を記憶する需要予測情報記憶部と
    需要予測電力量Mejを予測する際の予測の気温、前記複数iの調達先の各調達単価Pei、送電単価Pes、前記電力小売り事業者の経費単価Pecおよび現在の売電単価Pe0が入力される入力部と
    前記需要予測情報記憶部に記憶されている複数の需要予測情報および前記入力部に入力された前記予測の気温に基づいて、前記複数jの電力需要者における複数jの需要予測電力量Mejを求める需要予測部と
    前記入力部に入力された前記複数iの調達先の各調達単価Pei、前記送電単価Pes、前記電力小売り事業者の経費単価Pecおよび現在の売電単価Pe0、および、前記需要予測部で求めた前記複数jの電力需要者における複数jの需要予測電力量Mejに基づいて、目的関数ut=((Pem-((Σ(mei×Pei)/Σmei)-Pes-Pec))×Σmei)×Σ((Pe0-Pem)×Mej)、Σmei=ΣMejが最大となるように、前記複数の調達電力量meiおよび前記売電単価Pemを求める電力取引演算部と
    前記電力取引演算部で求めた各調達電力量meiおよび売電単価Pemを電力取引の内容として出力する出力部とを備える
    電力取引演算装置。
  2. 複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量meiおよび前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価Pemを求める、コンピュータによって実行される電力取引演算方法であって、
    需要予測電力量Mejを予測する際の予測の気温、前記複数iの調達先の各調達単価Pei、送電単価Pes、前記電力小売り事業者の経費単価Pecおよび現在の売電単価Pe0を入力する入力工程と
    複数の気温範囲ごとの複数の、気温と需要電力量との対応関係を表す需要予測情報および前記入力工程で入力された前記予測の気温に基づいて、前記複数jの電力需要者における複数jの需要予測電力量Mejを求める需要予測工程と
    前記入力工程で入力された前記複数iの調達先の各調達単価Pei、前記送電単価Pes、前記電力小売り事業者の経費単価Pecおよび現在の売電単価Pe0、および、前記需要予測工程で求めた前記複数jの電力需要者における複数jの需要予測電力量Mejに基づいて、目的関数ut=((Pem-((Σ(mei×Pei)/Σmei)-Pes-Pec))×Σmei)×Σ((Pe0-Pem)×Mej)、Σmei=ΣMejが最大となるように、前記複数の調達電力量meiおよび前記売電単価Pemを求める電力取引演算工程と
    前記電力取引演算工程で求めた各調達電力量meiおよび売電単価Pemを電力取引の内容として出力する出力工程とを備える
    電力取引演算方法。
  3. 複数の調達先から調達した電力を複数の電力需要者に販売する電力小売り事業者における前記複数の調達先に対応する複数の調達電力量meiおよび前記複数の電力需要者に販売する際の売電単価Pemを求める電力取引演算プログラムであって、
    コンピュータを、請求項1に記載の電力取引演算装置として機能させるための電力取引演算プログラム。
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