最初に、本発明の実施の形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施の形態に係る電力管理装置は、対象期間において使用するために調達する予定の電力量である第1の電力量または前記対象期間において使用するために調達された電力量である第2の電力量に基づいて、前記対象期間における複数の需要家の電力消費に関するスケジュールを作成する作成部と、前記作成部によって作成された前記スケジュールに関する情報を各前記需要家に対応する需要家装置へ送信する送信部とを備える。
このような構成により、たとえば、調達済みの電力量または調達予定の電力量と、需要家に供給する電力量とが一致するように、電力消費に関するスケジュールを作成し、作成したスケジュールに従った電力消費を行うように各需要家に要求することができる。したがって、調達した電力量と供給する電力量との不一致を抑えることができる。
(2)好ましくは、前記電力管理装置は、さらに、前記送信部によって送信された前記情報に対する応答を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記応答に基づいて、前記第1の電力量を補正するか、または前記対象期間において使用するために調達する電力量を前記第2の電力量から補正する補正処理を行う補正処理部とを備える。
このような構成により、たとえば、需要家が上記スケジュールに従った電力消費を行う予定であるか否かがわかるので、当該需要家において消費される電力量を正確に把握することができる。そして、把握した電力量に基づいて、調達予定の電力量の補正、または、調達済みの電力量の一部売却もしくは電力量の追加調達を行うことができるため、調達した電力量と供給する電力量との不一致をより効果的に抑えることができる。
(3)好ましくは、前記スケジュールは、前記需要家の施設における機器の動作内容を含み、前記需要家装置は、前記送信部から受信した前記情報に基づいて、前記機器を制御可能である。
このような構成により、たとえば、需要家の施設における機器をスケジュールに沿って確実に動作させることができる。
(4)好ましくは、各前記需要家は、複数のグループに分類されており、前記作成部は、前記グループごとに前記スケジュールを作成し、前記送信部は、同じ前記グループに属する前記需要家に対応する前記需要家装置へ同じ前記スケジュールに関する前記情報を送信する。
このような構成により、各需要家が分類されたグループごとに、適切なスケジュールを作成し、実行させることができる。
(5)より好ましくは、前記複数のグループは、電力からエネルギーを蓄積可能な蓄積装置を有する前記需要家の1または複数のグループと、前記蓄積装置を有しない前記需要家の1または複数のグループとを含む。
このような構成により、たとえば、蓄積装置の動作内容を示すスケジュールを作成することができる。
(6)好ましくは、前記電力管理装置の管理対象となる前記需要家には、前記電力管理装置が作成する前記スケジュールに従うことが要求される契約を結んでいる第1の需要家と、前記スケジュールに従うことが要求される契約を結んでいない第2の需要家とが含まれる。
このような構成により、たとえば、スケジュールに従うことが要求される需要家に選択的に上記スケジュールを送信することができる。
(7)より好ましくは、前記電力管理装置は、さらに、前記第1の需要家および前記第2の需要家の別に基づいて、対象期間において使用するために調達する電力量を算出する電力量算出部を備える。
このような構成により、たとえば、第1の需要家と第2の需要家とで、通常使用する電力量が異なるような場合に、消費される電力量をより正確に把握することができる。
(8)より好ましくは、前記電力管理装置の管理対象となる前記需要家には、前記電力管理装置が作成する前記スケジュールに従うことが要求される契約を結んでいる第1の需要家と、前記スケジュールに従うことが要求されない契約を結んでいる第2の需要家とが含まれ、前記補正部は、前記スケジュールに従わない旨を応答した前記第1の需要家を、前記第2の需要家とみなして前記補正処理を行う。
このような構成により、たとえば、単に契約の有無に基づいて上記補正処理を行う場合に比べて、より適切な上記補正処理を行うことができる。
(9)より好ましくは、前記第2の電力量の取引単価と、前記補正処理の対象となる電力の取引単価とが異なる、請求項8に記載の電力管理装置。
このような構成により、たとえば、取引単位が変動する市場環境において電力量の取引を行うことができる。
(10)好ましくは、前記第1の電力量または前記第2の電力量は、少なくとも前記各需要家の消費電力の統計値に基づいて設定される。
このような構成により、各需要家の過去の電力消費の傾向等に基づいて、各需要家において消費される電力量をより正確に把握することができる。
(11)好ましくは、前記スケジュールは、前記需要家の施設における機器の動作内容を含み、前記電力管理装置は、さらに、前記スケジュールが含む前記動作内容に沿って前記機器を動作させなかった前記需要家をペナルティーの対象として選択する選択部を備える。
このように、スケジュールに沿って機器を動作させなかった需要家にペナルティーを与えることが可能な構成により、スケジュールに従う需要家を増やすことができる。
(12)本発明の実施の形態に係る電力管理プログラムは、電力管理装置において用いられる電力管理プログラムであって、コンピュータを、対象期間において使用するために調達する予定の電力量である第1の電力量または前記対象期間において使用するために調達された電力量である第2の電力量に基づいて、前記対象期間における複数の需要家の電力消費に関するスケジュールを作成する作成部と、前記作成部によって作成された前記スケジュールに関する情報を各前記需要家に対応する需要家装置へ送信する送信部として機能させるためのプログラムである。
このような構成により、たとえば、調達済みの電力量または調達予定の電力量と、需要家に供給する電力量とが一致するように、電力消費に関するスケジュールを作成し、作成したスケジュールに従った電力消費を行うように各需要家に要求することができる。したがって、調達した電力量と供給する電力量との不一致を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<第1の実施の形態>
図1〜図5は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムが適用される電力システムの一例について説明するための図である。
図1を参照して、電力システム100において、小売事業者3は、発電事業者1が発電した電力を送配電事業者2経由で調達する。小売事業者3は、調達した電力を自己と契約した需要家4へ供給する。小売事業者3が調達する電力の量は、たとえば、図示しない卸電力市場において購入した量である。
図2を参照して、たとえば、小売事業者3が、対象期間において需要家4へ供給する予定で100の電力量を調達していたとする。この場合において、需要家4の対象期間における消費電力量が100であったとき、小売事業者3は事前に調達した100の電力量を需要家4へ供給する。
ここで、需要家4の対象期間における消費電力量が100を上回った場合、送配電事業者2が不足分の電力量を需要家4へ供給する。具体的には、図3を参照して、小売事業者3が調達していた100の電力量を上回る120の電力量を需要家4が消費した場合、送配電事業者2が不足分の20の電力量を需要家4へ供給する。
たとえば、小売事業者3が対象期間において計画値同時同量を達成できなかった場合、当該小売事業者3にはペナルティーが与えられる。ここで、計画値同時同量とは、たとえば、小売事業者3が調達した電力量と、需要家4において消費される電力量つまり小売事業者3が需要家4へ供給する電力量とを一致させることである。以下、小売事業者3が調達した電力量と、需要家4において消費される電力量とが一致しない状態をインバランスとも称する。
計画値同時同量を達成できなかった場合のペナルティーについて、以下に説明する。図4を参照して、小売事業者3が調達した電力量より需要家4の消費電力量が少なかった場合、つまり小売事業者3において電力量が余剰となった場合、小売事業者3は、余剰となった電力量を所定価格で売却することができる。ただし、余剰となった電力のうち、調達した電力量の3%を上回った分については、たとえば送配電事業者2に無料で引き取られる。
一方、小売事業者3が調達した電力量より需要家4の消費電力量が多かった場合、つまり需要家4に供給する電力量が不足した場合、上述のように、不足分の電力量は送配電事業者2が需要家4へ供給する。そして、小売事業者3は、送配電事業者2にインバランス料金を支払う。ここで、電力量の不足分が、小売事業者3が事前に調達した電力量の3%以下である場合、インバランス料金は比較的安価である。これに対して、電力量の不足分が、小売事業者3が事前に調達した電力量の3%を上回る場合、インバランス料金は高額となる。
また、小売事業者3は、卸電力市場における取引によって、対象期間に需要家4へ供給するための電力を調達する。卸電力市場には、翌日に使用される電力の取引を行うスポット市場、および約1時間後に使用される電力の取引を行う1時間前市場等、複数種類の市場が存在する。
小売事業者3は、たとえば、需要家4への電力量の供給計画を所定のタイミングで送配電事業者2へ提出する。具体的には、図5を参照して、たとえば、小売事業者3は、スポット市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画である1日前計画を送配電事業者2へ提出する。また、小売事業者3は、1時間前市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画である1時間前計画を送配電事業者2へ提出する。
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムの構成を示す図である。
図6を参照して、電力管理システム101は、複数の需要家装置11と、複数の機器14と、発電事業サーバ21と、送配電事業サーバ22と、電力管理装置23と、市場サーバ25とを備える。
1つの需要家装置11および複数の機器14が、一般家庭等の需要施設10において設置される。需要施設10は、需要家4によって使用される。
需要家装置11および各機器14は、電力管理装置23の管理対象である複数の需要施設10においてそれぞれ設置される。たとえば、需要家装置11は、HEMS(Home Energy Management System)におけるゲートウェイ装置であり、機器14は、空調機器、照明機器または給湯器等である。
発電事業サーバ21は、たとえば発電事業者1によって運用され、ネットワーク8経由で他の装置と接続される。
送配電事業サーバ22は、たとえば送配電事業者2によって運用され、ネットワーク8経由で他の装置と接続される。
電力管理装置23は、たとえば発電事業者1によって運用され、ネットワーク8経由で他の装置と接続される。
市場サーバ25は、たとえば卸電力市場5の管理者によって運用され、ネットワーク8経由で他の装置と接続される。
たとえば、発電事業サーバ21および電力管理装置23は、市場サーバ25と通信することにより、発電事業者1および小売事業者3の卸電力市場5における電力量の取引に関する処理を行う。
電力管理装置23は、各需要家4の電力消費のパターンおよび電力消費に関する統計値、ならびに気象予報情報に基づいて、各需要施設10の全体の1時間毎の消費電力量を予測する。以下、対象期間における1時間毎の、各需要施設10の全体の消費電力量を時間毎総量Ttとも称する。
卸電力市場5においては、たとえば、未来において消費される予定の1時間毎の電力量を取引することが可能である。電力管理装置23は、予測した時間毎総量Ttに基づいて、対象期間における1時間毎の電力量を卸電力市場5において調達する。
以下、卸電力市場5において調達する予定の1時間ごとの電力量を時間毎調達予定量Ctとも称する。
たとえば、時間毎調達予定量Ctは、以下の式(1)で表される。ただし、Tatは上述の時間毎総量Ttの予測値であり、Btは卸電力市場5における電力量の単価に応じて決定される電力量の追加購入分である。たとえば、電力管理装置23は、卸電力市場5における電力量の単価が安いほど、追加購入分Btを大きく設定する。
Ct=Tat+Bt ・・・(1)
具体的には、電力管理装置23は、市場サーバ25と通信することにより、卸電力市場5におけるスポット市場において、時間毎調達予定量Ctと等しい電力量を調達する。
以下、卸電力市場5において調達した1時間毎の電力量を時間毎調達量Ptとも称する。
電力管理装置23は、対象期間における時間毎調達量Ptに基づいて、需要施設10における各機器14の動作内容を規定するスケジュールYを作成する。スケジュールYについては後述する。
電力管理装置23は、作成したスケジュールYを各需要施設10における需要家装置11に通知することにより、スケジュールYに従うこと、すなわち各機器14をスケジュールYに従って動作させることを需要家4に要求する。
需要家4は、需要家装置11が通知された当該スケジュールYを確認し、当該スケジュールYに従うか否かを判断する。需要家4は、電力管理装置23からの要求に対する応答として、当該スケジュールYに従うか否かの判断結果を需要家装置11から電力管理装置23に通知する。
以下、スケジュールYに従う旨の応答を行った需要家4を参加需要家Pとも称し、スケジュールYに従わない旨の応答を行った需要家4を不参加需要家Nとも称する。
参加需要家Pの需要施設10においては、たとえば、需要家装置11が各機器14をスケジュールYに沿って自動制御する。そして、たとえば後日、スケジュールYに従ったことに対する対価が参加需要家Pに与えられる。
ここで、電力管理装置23が需要家4にスケジュールYに従うことを要求し、スケジュールYに従った需要家4が対価を取得する仕組みをDRプログラムとも称する。
需要家4は、たとえば、小売事業者3と所定の契約を結んだ場合に、DRプログラムの適用を受けることが可能となる。以下、小売事業者3と当該契約を結んだ需要家4を契約需要家Kとも称し、当該契約を結んでいない需要家4を未契約需要家Mとも称する。
すなわち、電力管理装置23の管理対象となる需要家4には、スケジュールYに従うことが要求される契約を結んでいる契約需要家Kと、スケジュールYに従うことが要求される契約を結んでいない未契約需要家Mとが含まれる。
図7〜図9は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおいて電力管理装置が作成するスケジュールYについて説明するための図である。
図7を参照して、電力管理装置23は、各契約需要家Kをグループg1、グループg2およびグループg3のいずれか1つに予め分類する。
具体的には、電力管理装置23は、需要施設10において設置された機器14の種類に基づいて、各契約需要家Kをグループg1〜g3のいずれかに分類する。
たとえば、電力管理装置23は、需要施設10において電力貯蔵用の蓄電装置を備え、かつ給湯器を備えない契約需要家Kをグループg1に分類する。また、たとえば、電力管理装置23は、需要施設10において電力貯蔵用の蓄電装置および給湯器の両方を備える契約需要家Kをグループg2に分類する。また、たとえば、電力管理装置23は、需要施設10において電力貯蔵用の蓄電装置、および給湯器のいずれも備えない需要家4をグループg3に分類する。
すなわち、グループg1〜g3は、電力貯蔵用の蓄電装置すなわち電力からエネルギーを蓄積可能な蓄積装置を有する契約需要家Kのグループと、当該蓄電装置を有しない契約需要家Kのグループとを含む。なお、電力管理装置23は、各契約需要家Kを3つのグループのいずれかに分類する構成に限らず、2つのグループのいずれかに分類する構成であってもよいし、4つ以上のグループのいずれかに分類する構成であってもよい。具体的には、たとえば、電力管理装置23は、電力貯蔵用の蓄電装置および給湯器のいずれも備えない需要家4をより細かくグループ分けしてもよい。
次に、図8を参照して、電力管理装置23は、スケジュールYを作成する際、まず、時間毎調達量Ptを契約需要家K全体および未契約需要家M全体に割り当てる。具体的には、たとえば、電力管理装置23は、契約需要家Kの数および未契約需要家Mの数の割合に基づいて、時間毎調達量Ptのうちの契約需要家K全体に割り当てる量と未契約需要家M全体に割り当てる量とを決定する。
以下、時間毎調達量Ptのうち、契約需要家K全体に割り当てた分を時間毎割当量Akとも称し、未契約需要家M全体に割り当てた分を時間毎割当量Amとも称する。
電力管理装置23は、時間毎割当量Akに基づいて、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。
図9は、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYの一例を示している。たとえば、スケジュールYは、需要施設10における1時間刻みの機器14の動作内容を規定している。ここでは、スケジュールYは、各機器14の動作の有無を規定している。
電力管理装置23は、たとえば、時間毎割当量Akが、各契約需要家Kの全体において過不足なく消費されるように、グループg1〜g3のそれぞれに対応するスケジュールYを作成する。たとえば、電力管理装置23は、線形計画法等の最適化手法を用いて各スケジュールYを作成する。
スケジュールYに従う旨の応答を行った契約需要家Kすなわち参加需要家Pの需要施設10においては、たとえば、上述のように、需要家装置11が各機器14をスケジュールYに沿って自動制御する。
したがって、参加需要家Pの需要施設10においては、スケジュールYに沿った電力消費が行われる。つまり、参加需要家Pの需要施設10においては、対象期間の到来より前に、対象期間における1時間毎の消費電力量が確定する。以下、消費されることが確定した、1時間ごとの電力量を時間毎確定量Dtとも称する。
再び図6を参照して、電力管理装置23は、各契約需要家Kに提示したスケジュールYおよび各契約需要家Kの応答に基づいて、時間毎確定量Dtを算出する。
次に、電力管理装置23は、たとえば、各需要家4の電力消費のパターンおよび電力消費に関する統計値、ならびに気象予報情報に基づいて、対象期間における、各未契約需要家Mおよび各不参加需要家Nの全体の1時間毎の消費電力量を予測する。以下、予測された、1時間毎の当該消費電力量を時間毎予測量Otとも称する。
そして、電力管理装置23は、対象期間における時間毎予測量Otに、対応する時間の時間毎確定量Dtを加えることにより、時間毎総量Ttの予測値を算出し直す。以下、算出し直した時間毎総量Ttの予測値を時間毎総予測量Rtとも称する。
すなわち、時間毎総予測量Rtは、以下の式(2)で表される。だたし、Dtは時間毎確定量Dtであり、Otは時間毎予測量Otである。
Rt=Dt+Ot ・・・(2)
スケジュールYに従う旨の応答をした契約需要家Kすなわち参加需要家Pが多いほど時間毎総予測量Rtにおける時間毎確定量Dtの割合が大きくなる。したがって、電力管理装置23は、参加需要家Pが多いほど、正確な時間毎総予測量Rtを算出することができる。
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおける、参加需要家Pの数とインバランスのリスクとの関係を示す図である。
図10を参照して、参加需要家Pが多いほど、すなわち契約需要家Kにおける参加需要家Pの割合が大きいほど、正確な時間毎総予測量Rtを算出することができるため、インバランスのリスクを抑えることができる。具体的には、状態1から状態3のうち、最も参加需要家Pの少ない状態1が最もインバランスのリスクが高く、次に参加需要家Pが少ない状態2が次にインバランスのリスクが高く、最も参加需要家Pの多い状態3が最もインバランスのリスクが低い。
図11は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおける、インバランスのリスクについて説明するための図である。
図11は、調達済みの電力量である時間毎調達量Ptと時間毎総予測量Rtとを比較して示している。
図11を参照して、時間毎総予測量Rtより時間毎調達量Ptの方が大きい場合、対象の時間において、供給可能な電力が余剰となる可能性が高い。したがって、電力管理装置23は、時間毎調達量Ptおよび時間毎総予測量Rtの差分である電力量SAを卸電力市場5において売却する。
具体的には、電力管理装置23は、スポット市場で調達した時間毎調達量Ptのうち、電力量SAを売却することにより、時間毎調達量Ptの補正処理H1を行う。
また、たとえば、時間毎総予測量Rtより時間毎調達量Ptの方が少ない場合、対象の時間において供給可能な電力が不足する可能性が高い。したがって、電力管理装置23は、時間毎調達量Ptに対する時間毎総予測量Rtの不足分を卸電力市場5において購入する。
具体的には、電力管理装置23は、時間毎調達量Ptに追加して、不足することが予想される分の電力量を購入することにより、時間毎調達量Ptの補正処理H1を行う。
このように、電力管理装置23は、補正処理H1を行うことで、インバランスの発生を抑えることができる。なお、電力管理装置23は、補正処理H1を行うことによって、時間毎総予測量Rtと時間毎調達量Ptとを一致させる構成に限らず、時間毎総予測量Rtと時間毎調達量Ptとを同等にする構成であればよい。
図12は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおける電力管理処理を示すシーケンス図である。
電力管理システムにおける各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
電力管理システム101は、たとえば複数の需要家装置11を備えるが、ここでは、代表的に1個の需要家装置11について示す。
図12を参照して、まず、電力管理装置23は、各需要家4の電力消費のパターンおよび電力消費に関する統計値、ならびに気象予報情報等に基づいて、時間毎総量Ttを予測する(ステップS11)。なお、電力管理装置23は、たとえば、契約需要家Kの数および未契約需要家Mの数の割合等にさらに基づいて、時間毎総量Ttを予測する構成であってもよい。
次に、電力管理装置23は、市場サーバ25と通信を行うことにより、対象期間に需要施設10において使用される予定の電力量を卸電力市場5において調達する(ステップS12)。具体的には、電力管理装置23は、卸電力市場5のスポット市場において、対象期間における1時間毎の電力量を調達する。
次に、電力管理装置23は、スポット市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画を示す1日前計画情報を送配電事業サーバ22へ送信する。
次に、電力管理装置23は、スポット市場において調達した1時間ごとの電力量すなわち時間毎調達量Ptに基づいて、需要施設10における各機器14の動作内容を規定するスケジュールYを作成する(ステップS14)。具体的には、電力管理装置23は、事前に分類されたグループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。
次に、電力管理装置23は、スケジュールYに関する情報であるスケジュール情報を対応の需要家装置11へ送信する(ステップS15)。たとえば、スケジュール情報は、送信先の需要家装置11に対応するスケジュールYを含み、当該スケジュールYに従うことを要求する情報である。
次に、需要家装置11は、電力管理装置23からスケジュール情報を受信して、受信したスケジュール情報が示すスケジュールYをディスプレイ等に表示する。需要家4は、当該ディスプレイに表示されたスケジュールYを確認し、需要家装置11を操作してスケジュールYに従うか否かを当該需要家装置11に入力する。
次に、需要家装置11は、需要家4による操作を受付け(ステップS16)、受け付けた操作内容に基づいて、スケジュールYに従うか否かを示すスケジュール応答を電力管理装置23へ送信する(ステップS17)。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11から受信したスケジュール応答に基づいて、時間毎総予測量Rtを算出する(ステップS18)。
次に、電力管理装置23は、算出した時間毎総予測量Rtに基づいて、時間毎調達量Ptの補正処理H1を行う(ステップS19)。具体的には、電力管理装置23は、市場サーバ25と通信することにより、1時間前市場において、時間毎調達量Ptの一部を売却するか、または時間毎調達量Ptに追加して電力量を購入する。ここで、スポット市場における電力量の取引単価と1時間前市場における電力量の取引単価とは異なることがある。
次に、電力管理装置23は、卸電力市場5における1時間前市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画を示す1時間前計画情報を送配電事業サーバ22へ送信する(ステップS20)。
なお、電力管理装置23は、たとえば、卸電力市場5における1時間前市場の閉場前に、時間毎総予測量Rtに基づいて再度スケジュールYを作成し、作成したスケジュールYに関するスケジュール情報を需要家装置11へ送信する構成であってもよい。この場合も、同様に、需要家装置11は、電力管理装置23からスケジュール情報を受信して表示した後、需要家4の操作を受付け、需要家4の操作に応じた内容のスケジュール応答を電力管理装置23へ送信する。電力管理装置23は、需要家装置11から受信したスケジュール応答に基づいて、時間毎総予測量Rtを再度算出する。そして、電力管理装置23は、算出した時間毎総予測量Rtに基づいて、時間毎調達量Ptの補正処理H1を行う。
次に、電力管理装置23は、スケジュールYに従う旨のスケジュール応答を自己へ送信した需要家装置11、すなわち参加需要家Pの需要家装置11に対応する制御情報を作成する。具体的には、電力管理装置23は、当該需要家装置11へ送信したスケジュール情報(ステップS15)の内容に基づいて、各機器14を動作させるための制御情報を作成する。そして、電力管理装置23は、たとえば対象期間になると、作成した制御情報を需要家装置11へ送信する(ステップS21)。
次に、需要家装置11は、電力管理装置23から制御情報を受信して、受信した制御情報に基づいて、自己の需要施設10における機器14を制御する(ステップS22)。
次に、需要家装置11は、たとえば対象期間の終了後、各機器14がスケジュールYに沿って動作したか否かを示す報告情報を電力管理装置23へ送信する(ステップS23)。たとえば、機器14がスケジュールYに沿った動作を行っている最中に、需要家4が当該機器14を手動で停止した等の場合、報告情報は、当該機器14がスケジュールYに沿った動作を行わなかった旨を示す。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11から報告情報を受信して、受信した報告情報に基づいて、対価が与えられるべき需要家4を選択する選択処理を行う(ステップS24)。具体的には、たとえば、電力管理装置23は、各機器14がスケジュールYに沿った動作を行った需要施設10の需要家4を、対価が与えられるべき需要家4として選択する。電力管理装置23が選択した需要家4には、後日、発電事業者1から対価が与えられる。
なお、電力管理装置23は、受信した報告情報に基づいて、ペナルティーを与えるべき需要家4を選択する選択処理を行う構成であってもよい。具体的には、たとえば、電力管理装置23は、少なくとも一部の機器14がスケジュールYに沿った動作を行わなかった需要施設10の需要家4を、ペナルティーが与えられるべき需要家4として選択する。
また、電力管理装置23は、制御情報(ステップS21)を需要家装置11へ送信しない構成であってもよい。この場合、たとえば、参加需要家Pの需要家装置11は、対象期間になると、電力管理装置23から受信したスケジュール情報(ステップS15)に基づいて、自己の需要施設10における機器14を自発的に制御する。
図13は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおけるキャンセル時処理を示すシーケンス図である。
図13は、需要家4が、スケジュールYに従う旨の応答を行った後に当該応答を取り消す処理を行う場合、すなわち、参加需要家Pが予定を変更し、スケジュールYに従わない旨の意思表示を行う場合について示している。
図13を参照して、ステップS111〜S119の動作は、図12におけるステップS11〜S19の動作と同様である。
次に、需要家4は、スケジュールYに従う旨の応答を取り消すための操作を需要家装置11に対して行う。
次に、需要家装置11は、需要家4による操作を受け付け(ステップS120)、受け付けた操作内容に基づいて、スケジュールYに従う旨の応答を取り消すためのキャンセル情報を電力管理装置23へ送信する(ステップS121)。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11からキャンセル情報を受信すると、時間毎総予測量Rtを再度算出する(ステップS122)。具体的には、電力管理装置23は、キャンセル情報の送信元の需要家装置11に対応する需要家4を不参加需要家Nとみなして、時間毎確定量Dtと時間毎予測量Otとを再度算出する。そして、電力管理装置23は、算出した時間毎確定量Dtと時間毎予測量Otとに基づいて、時間毎総予測量Rtを算出する。
次に、電力管理装置23は、時間毎総予測量Rtに基づいて、時間毎調達量Ptに対する再度の補正処理H1を行う(ステップS123)。
具体的には、たとえば、電力管理装置23は、時間毎調達量Ptおよび時間毎総予測量Rtの差分である電力量SAを1時間前市場において売却する。あるいは、電力管理装置23は、時間毎調達量Ptに対する時間毎総予測量Rtの不足分を1時間前市場において購入する。
ステップS124〜S128の動作は、図12に示すステップS20〜S24の動作と同様である。
なお、電力管理装置23は、たとえば、需要家装置11からキャンセル情報を受信した時点で既に1時間前市場が閉場している場合、補正処理H1を行わない。
図14は、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置の構成を示す図である。
図14を参照して、電力管理装置23は、取得部30と、作成部31と、補正処理部32と、電力量算出部33と、記憶部34と、送信部35と、処理部(選択部)36とを備える。
記憶部34は、たとえば、各需要家4の電力消費のパターンを示す情報、電力消費に関する統計値を示す情報、気象予報情報、および需要家4が契約需要家Kであるか未契約需要家Mであるか等の情報を記憶している。また、記憶部34は、各契約需要家Kがグループg1〜g3のいずれに属するのかを示す情報を記憶している。
電力量算出部33は、たとえば、各需要家4の電力消費のパターンおよび電力消費に関する統計値、ならびに気象予報情報に基づいて、スポット市場において調達すべき、対象期間において使用するための電力量を算出する。
なお、電力量算出部33は、契約需要家Kおよび未契約需要家Mの別に基づいて、対象期間において使用するために調達する電力量を算出する構成であってもよい。具体的には、たとえば、電力量算出部33は、契約需要家Kの電力消費に関する統計値、および未契約需要家Mの電力消費に関する統計値に基づいて、スポット市場において調達する電力量を算出する。
処理部36は、送信部35経由で市場サーバ25へ情報を送信し、取得部30経由で市場サーバ25から情報を取得することにより、電力量算出部33によって算出された、対象期間において使用するための電力量を調達するための処理を行う。
作成部31は、対象期間において使用するために調達された電力量である時間毎調達量Ptに基づいて、複数の需要家4、具体的には、複数の契約需要家Kの対象期間における電力消費に関するスケジュールであるスケジュールYを作成する。
具体的には、作成部31は、時間毎調達量Ptを契約需要家K全体および未契約需要家M全体に割り当てる。そして、作成部31は、時間毎調達量Ptのうち、契約需要家Kに割り当てた分である時間毎割当量Akに基づいて、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。
より具体的には、たとえば、作成部31は、時間毎割当量Akが、各契約需要家Kの全体において過不足なく消費されるように、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。たとえば、同じグループに属する需要家4に対応するスケジュールYは同じ内容である。
処理部36は、作成部31によって作成されたスケジュールYに関するスケジュール情報を作成する。送信部35は、処理部36が作成したスケジュール情報を、対応の需要家装置11へ送信する。
具体的には、送信部35は、同じグループに属する各需要家4に対応する需要家装置11へ同じスケジュールYに関するスケジュール情報を送信する。
取得部30は、スケジュール情報に対する応答を示すスケジュール応答を各需要家装置11から取得し、取得したスケジュール応答を処理部36へ出力する。
補正処理部32は、処理部36が受けたスケジュール応答に基づいて、対象期間において使用するために調達する電力量を調達済みの電力量つまり現在の時間毎調達量Ptから補正する補正処理H1を行う。
具体的には、補正処理部32は、処理部36が受けたスケジュール応答および作成部31が作成したスケジュールYに基づいて、時間毎確定量Dtを算出する。また、補正処理部32は、各未契約需要家Mならびに各不参加需要家Nの全体における1時間毎の総消費電力量の予測値である時間毎予測量Otを算出する。このとき、たとえば、補正処理部32は、不参加需要家Nを、元々スケジュール情報の送信対象でない未契約需要家Mとみなして時間毎予測量Otを算出する。
補正処理部32は、時間毎確定量Dtおよび時間毎予測量Otに基づいて時間毎総予測量Rtを算出し、算出した時間毎総予測量Rtと時間毎調達量Ptとの比較結果に基づいて、時間毎調達量Ptの補正処理H1を行う。より具体的には、補正処理部32は、当該比較結果に基づいて、1時間前市場において売却する電力量または追加購入する電力量を決定し、決定した電力量を処理部36に通知する。
処理部36は、補正処理部32からの通知に基づいて、送信部35経由で市場サーバ25へ情報を送信し、取得部30経由で市場サーバ25から情報を取得することにより、1時間前市場において電力量を売却する処理または追加購入する売買処理を行う。
処理部36は、たとえば、各参加需要家Pの需要家装置11に対応する制御情報を作成し、作成した制御情報を送信部35経由で対応の需要家装置11へ送信する。
具体的には、処理部36は、需要家装置11へ送信したスケジュール情報の内容に基づいて、当該需要家装置11に対応する各機器14を動作させるための制御情報を作成し、作成した制御情報を送信部35経由で当該需要家装置11へ送信する。
また、処理部36は、各需要家装置11から送信された報告情報を取得部30経由で取得し、取得した各報告情報に基づいて、対価が与えられるべき需要家4を選択する選択処理を行う。なお、処理部36は、スケジュールYに沿って機器14を動作させなかった需要家4をペナルティーの対象として選択する選択処理を行う構成であってもよい。
なお、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システム101では、電力管理装置23は、対象期間における1時間毎の、各需要施設10の全体の消費電力量を予測し、予測結果に基づいて各種処理を行う構成であるとしたが、これ限定するものはない。たとえば、電力管理装置23は、対象期間における30分ごとの各需要施設10の全体の消費電力量を予測し、予測結果に基づいて各種処理を行う構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システム101では、需要施設10における機器14の動作内容を1時間刻みで規定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。具体的には、たとえば、スケジュールYは、機器14の動作内容を2時間刻みで規定する構成であってもよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システム101では、需要家装置11は、HEMSにおけるゲートウェイ装置であるとしたが、これに限定するものではない。具体的には、たとえば、需要家装置11は、参加需要家Pが使用する携帯端末装置等であってもよい。この場合、たとえば、参加需要家Pは、対象期間においてスケジュールYに沿って機器14の制御を手動で行う。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システム101では、電力管理装置23は、補正処理H1を行う構成であるとしたが、これに限定するものではなく、補正処理H1を行わない構成であってもよい。この場合、たとえば、電力管理装置23は、補正処理部32を備えない。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システム101では、電力管理装置23は、対象期間において使用するための電力量を算出する構成であるとしたが、これに限定するものではなく、当該電力量を他の装置から通知される構成であってもよい。この場合、たとえば、電力管理装置23は、電力量算出部33を備えない。
ところで、小売事業者による電力量の供給先は、比較的少数の一般家庭等であるため、工場等の大口需要家に比べて、使用される電力量を正確に予測することは困難である。
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、作成部31は、対象期間において使用するために調達された電力量である時間毎調達量Ptに基づいて、対象期間における複数の需要家4の電力消費に関するスケジュールであるスケジュールYを作成する。送信部35は、作成部31によって作成されたスケジュールYに関する情報を各需要家4に対応する需要家装置11へ送信する。
このような構成により、たとえば、調達済みの電力量と需要家4に供給する電力量とが一致するように、電力消費に関するスケジュールYを作成し、作成したスケジュールYに従った電力消費を行うように各需要家4に要求することができる。
したがって、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、調達した電力量と供給する電力量との不一致を抑えることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、取得部30は、送信部35によって送信された情報に対する応答を取得する。補正処理部32は、取得部30によって取得された応答に基づいて、対象期間において使用するために調達する電力量を上記時間毎調達量Ptから補正する補正処理H1を行う。
このような構成により、たとえば、需要家4がスケジュールYに従った電力消費を行う予定であるか否かがわかるので、当該需要家4において消費される電力量を正確に把握することができる。そして、把握した電力量に基づいて、調達済みの電力量の一部売却もしくは電力量の追加調達を行うことができるため、調達した電力量と供給する電力量との不一致をより効果的に抑えることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおいて、スケジュールYは、需要家4の施設における機器14の動作内容を含む。需要家装置11は、送信部35から受信したスケジュールYに関する情報に基づいて、機器14を制御可能である。
このような構成により、たとえば、需要家4の施設における機器14をスケジュールYに沿って確実に動作させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムにおいて、各需要家4は、複数のグループに分類されている。作成部31は、このグループごとにスケジュールYを作成する。送信部35は、同じグループに属する需要家4に対応する需要家装置11へ同じスケジュールYに関する情報を送信する。
このような構成により、各需要家4が分類されたグループごとに、適切なスケジュールYを作成し、実行させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムおいて、上記複数のグループは、電力からエネルギーを蓄積可能な蓄積装置を有する需要家4の1または複数のグループと、当該蓄積装置を有しない需要家4の1または複数のグループとを含む。
このような構成により、たとえば、蓄積装置の動作内容を示すスケジュールYを作成することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムでは、需要家4には、電力管理装置23が作成するスケジュールYに従うことが要求される契約を結んでいる契約需要家Kと、スケジュールYに従うことが要求される契約を結んでいない未契約需要家Mとが含まれる。
このような構成により、たとえば、スケジュールYに従うことが要求される需要家4に選択的にスケジュールYを送信することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、電力量算出部33は、契約需要家Kおよび未契約需要家Mの別に基づいて、対象期間において使用するために調達する電力量を算出する。
このような構成により、たとえば、契約需要家Kと未契約需要家Mとで、通常使用する電力量が異なるような場合に、消費される電力量をより正確に把握することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、補正処理部32は、スケジュールYに従わない旨を応答した契約需要家Kを、未契約需要家Mとみなして補正処理H1を行う。
このような構成により、たとえば、単に契約の有無に基づいて補正処理H1を行う場合に比べて、より適切な補正処理H1を行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムでは、時間毎調達量Ptを確保した際の取引単価と、補正処理の対象となる電力の取引単価とが異なる。
このような構成により、たとえば、取引単位が変動する市場環境において電力量の取引を行うことができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理システムでは、時間毎調達量Ptは、少なくとも各需要家4の消費電力の統計値に基づいて設定される。
このような構成により、各需要家4の過去の電力消費の傾向等に基づいて、各需要家4において消費される電力量をより正確に把握することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る電力管理装置では、処理部36は、スケジュールYが含む動作内容に沿って機器14を動作させなかった需要家4をペナルティーの対象として選択する。
このように、スケジュールYに沿って機器14を動作させなかった需要家4にペナルティーを与えることが可能な構成により、スケジュールYに従う需要家4を増やすことができる。
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る電力管理システムと比べて、電力量の調達前に調達予定の電力量を補正する電力管理システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る電力管理システムと同様である。
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理システムにおける電力管理処理を示すシーケンス図である。
電力管理システム101は、たとえば複数の需要家装置11を備えるが、ここでは、代表的に1個の需要家装置11について示す。
図15を参照して、まず、電力管理装置23は、各需要家4の電力消費のパターンおよび電力消費に関する統計値、ならびに気象予報情報に基づいて、時間毎総量Ttを予測する(ステップS31)。
次に、電力管理装置23は、予測した時間毎総量Ttに基づいて、対象期間において使用するために調達する予定の電力量である時間毎調達予定量Ctを決定する(ステップS32)。
次に、電力管理装置23は、時間毎調達予定量Ctに基づいて、グループg1〜g3のそれぞれに対応するスケジュールYを作成する(ステップS33)。具体的には、電力管理装置23は、時間毎調達予定量Ctを契約需要家K全体および未契約需要家M全体に割り当てる。そして、電力管理装置23は、時間毎調達予定量Ctのうち、契約需要家K全体に割り当てた分が各契約需要家Kの需要施設10の全体において過不足なく消費されるように、グループg1〜g3のそれぞれに対応するスケジュールYを作成する。
次に、電力管理装置23は、スケジュールYに関する情報であるスケジュール情報を対応の需要家装置11へ送信する(ステップS34)。具体的には、たとえば、スケジュール情報は、送信先の需要家装置11に対応するスケジュールYを含み、当該スケジュールYに従うことを要求する情報である。
次に、需要家装置11は、電力管理装置23からスケジュール情報を受信して、受信したスケジュール情報が示すスケジュールYをディスプレイ等に表示する。需要家4は、当該ディスプレイに表示されたスケジュールYを確認し、需要家装置11を操作してスケジュールYに従うか否かを当該需要家装置11に入力する。
次に、需要家装置11は、需要家4による操作を受付け(ステップS35)、受け付けた操作内容に基づいて、スケジュールYに従うか否かを示すスケジュール応答を電力管理装置23へ送信する(ステップS36)。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11から受信したスケジュール応答に基づいて、時間毎総予測量Rtを算出する(ステップS37)。具体的には、電力管理装置23は、消費されることが確定した1時間ごとの電力量である時間毎確定量Dtと、各未契約需要家Mならびに各不参加需要家N全体における、1時間毎の総消費電力量の予測値である時間毎予測量Otとに基づいて、時間毎総量Ttを予測し直す。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11から受信したスケジュール応答に基づいて、時間毎調達予定量Ctを補正する補正処理H2を行う(ステップS38)。具体的には、電力管理装置23は、算出し直した時間毎総予測量Rtに基づいて、時間毎調達予定量Ctを補正する。
次に、電力管理装置23は、時間毎調達予定量Ctと等しい電力量をスポット市場において調達する(ステップS39)。
次に、電力管理装置23は、スポット市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画を示す1日前計画情報を送配電事業サーバ22へ送信する。
なお、電力管理装置23は、スポット市場において対象期間における1時間毎の電力量を調達する構成に限らず、たとえば、1時間前市場において当該電力量を調達する構成であってもよい。この場合、電力管理装置23は、1時間前市場の閉場後、対象期間における電力量の供給計画を示す1時間前計画情報を送配電事業サーバ22へ送信する。
次に、電力管理装置23は、スケジュールYに従う旨のスケジュール応答を自己へ送信した需要家装置11、すなわち参加需要家Pの需要家装置11に対応する制御情報を作成する。そして、電力管理装置23は、たとえば対象期間になると、作成した制御情報を需要家装置11へ送信する(ステップS41)。
次に、需要家装置11は、電力管理装置23から制御情報を受信して、受信した制御情報に基づいて、自己の需要施設10における機器14を制御する(ステップS42)。
次に、需要家装置11は、たとえば対象期間の終了後、各機器14がスケジュールYに沿って動作したか否かを示す報告情報を電力管理装置23へ送信する(ステップS43)。
次に、電力管理装置23は、需要家装置11から報告情報を受信して、たとえば、対価が与えられるべき需要家4を選択する選択処理を行う(ステップS44)。
図16は、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理装置の構成を示す図である。
図16を参照して、電力量算出部33は、記憶部34の記憶する各種情報に基づいて、対象期間において使用するために調達する予定の電力量である時間毎調達予定量Ctを算出する。
作成部31は、電力量算出部33が算出した時間毎調達予定量Ctに基づいて、複数の契約需要家Kの対象期間における電力消費に関するスケジュールであるスケジュールYを作成する。
具体的には、作成部31は、時間毎調達予定量Ctを契約需要家K全体および未契約需要家M全体に割り当てる。そして、作成部31は、時間毎調達予定量Ctのうち、契約需要家Kに割り当てた分である時間毎割当量Akに基づいて、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。
より具体的には、たとえば、作成部31は、時間毎割当量Akが、各契約需要家Kの需要施設10の全体において過不足なく消費されるように、グループg1〜g3の各々についてのスケジュールYを作成する。
処理部36は、作成部31によって作成されたスケジュールYに関するスケジュール情報を作成する。送信部35は、処理部36が作成したスケジュール情報を、対応の需要家装置11へ送信する。
具体的には、送信部35は、同じグループに属する各需要家4に対応する需要家装置11へ同じスケジュールYに関するスケジュール情報を送信する。
取得部30は、スケジュール情報に対する応答を示すスケジュール応答を各需要家装置11から取得し、取得したスケジュール応答を処理部36へ出力する。
補正処理部32は、処理部36が受けたスケジュール応答に基づいて、時間毎調達予定量Ctを補正する補正処理H2を行う。
具体的には、補正処理部32は、処理部36が受けたスケジュール応答および作成部31が作成したスケジュールYに基づいて、時間毎確定量Dtを算出する。また、補正処理部32は、各未契約需要家Mならびに各不参加需要家Nの全体における1時間毎の総消費電力量の予測値である時間毎予測量Otを算出する。
補正処理部32は、時間毎確定量Dtおよび時間毎予測量Otに基づいて時間毎総予測量Rtを算出し、算出した時間毎総予測量Rtと時間毎調達予定量Ctとの比較結果に基づいて、時間毎調達予定量Ctの補正処理H2を行う。
具体的には、補正処理部32は、時間毎調達予定量Ctが時間毎総予測量Rtより大きい場合、時間毎調達予定量Ctが時間毎総予測量Rtと同等になるように時間毎調達予定量Ctを増加させる。また、補正処理部32は、時間毎調達予定量Ctが時間毎総予測量Rtより小さい場合、時間毎調達予定量Ctが時間毎総予測量Rtと同等になるように時間毎調達予定量Ctを減少させる。補正処理部32は、たとえば、補正処理H2を行った後の時間毎調達予定量Ctを処理部36に通知する。
処理部36は、補正処理部32からの通知に基づいて、送信部35経由で市場サーバ25へ情報を送信し、取得部30経由で市場サーバ25から情報を取得することにより、スポット市場において時間毎調達予定量Ctと等しい電力量を調達する売買処理を行う。
処理部36は、たとえば、参加需要家Pの需要家装置11に対応する制御情報を作成し、作成した制御情報を送信部35経由で需要家装置11へ送信する。具体的には、処理部36は、当該需要家装置11へ送信したスケジュール情報の内容に基づいて、各機器14を動作させるための制御情報を作成し、作成した制御情報を送信部35経由で需要家装置11へ送信する。
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理装置では、作成部31は、対象期間において使用するために調達する予定の電力量である時間毎調達予定量Ctに基づいて、対象期間における複数の需要家4の電力消費に関するスケジュールYを作成する。送信部35は、作成部31によって作成されたスケジュールYに関する情報を各需要家4に対応する需要家装置11へ送信する。
このような構成により、たとえば、調達予定の電力量と、需要家4に供給する電力量とが一致するように、電力消費に関するスケジュールYを作成し、作成したスケジュールYに従った電力消費を行うように各需要家4に要求することができる。
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理装置では、調達した電力量と供給する電力量との不一致を抑えることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理装置では、取得部30は、送信部35によって送信された情報に対する応答を取得する。補正処理部32は、取得部30によって取得された応答に基づいて、時間毎調達予定量Ctを補正する補正処理H2を行う。
このような構成により、たとえば、需要家4がスケジュールYに従った電力消費を行う予定であるか否かがわかるので、当該需要家4において消費される電力量を正確に把握することができる。そして、把握した電力量に基づいて、調達予定の電力量の補正を行うことができるため、調達した電力量と供給する電力量との不一致をより効果的に抑えることができる。
また、本発明の第2の実施の形態に係る電力管理システムでは、時間毎調達予定量Ctは、少なくとも各需要家4の消費電力の統計値に基づいて設定される。
このような構成により、各需要家4の過去の電力消費の傾向等に基づいて、各需要家4において消費される電力量をより正確に把握することができる。
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る電力管理装置と同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
対象期間において使用するために調達する予定の電力量である第1の電力量または前記対象期間において使用するために調達された電力量である第2の電力量に基づいて、前記対象期間における複数の需要家の電力消費に関するスケジュールを作成する作成部と、
前記作成部によって作成された前記スケジュールに関する情報を各前記需要家に対応する需要家装置へ送信する送信部とを備え、
卸電力市場における電力量の取引を管理する市場サーバと通信することによって電力量の調達を行うことが可能な、電力管理装置。