JP7589481B2 - ニッケル粒子、ニッケル粒子の表面処理方法およびニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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〈表面処理対象となるニッケル粒子〉
表面処理の対象となるニッケル粒子としては、湿式法や乾式法等の製法を問わずに種々のニッケル粉末を使用することができる。例えば、CVD法、蒸発急冷法、ニッケル塩やニッケル水酸化物等を用いた水素還元法等のいわゆる乾式法によるニッケル粉末を、処理対象のニッケル粒子として用いることができる。また、ニッケル塩溶液に対してヒドラジン等の還元剤を用いた湿式還元法等のいわゆる湿式法によるニッケル粉末を、処理対象のニッケル粒子として用いることができる。その中でも、湿式還元法等のいわゆる湿式法によるニッケル粉は、球状で粒子径のバラつきが小さいことから、MLCC用の材料として好適である。
ニッケル粒子の表面処理方法は、ニッケル粒子と、リンを含有するルイス塩基とを混合する混合工程を含む。混合工程により、ニッケル粒子の表面を、リンを含有するルイス塩基で表面処理することができる。
前記ルイス塩基を用いてニッケル粒子を表面処理する方法としては、アルコールを含む各種溶剤を媒体とした湿式混合により、ニッケル粒子とルイス塩基とを接触させる方法が挙げられる。即ち、アルコールを含む各種溶剤にニッケル粒子を分散したニッケルスラリーと、リンを含有するルイス塩基とを、アルコールを含む各種溶剤中に添加混合してスラリーとすることにより、ニッケル粒子の粒子表面を均一に処理することができる。
表面処理に使用する化合物としては、リンを含有するルイス塩基を使用する。本発明による表面処理方法によって、リンを含有するルイス塩基の孤立電子対がニッケル粒子の表面に電子を与え配位結合した構造をとることが考えられる。リンを含有するルイス塩基化合物は、ニッケル粒子の表面に効率的に吸着し、配位結合することが可能であり、ニッケル粒子の凝集による粗大粒子の発生を抑制することができる。
式(3)中、rは1~5の自然数であり、R5は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R6は、炭素数が1~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。
表面処理対象となるニッケル粒子を分散してスラリー化させるための溶剤、およびリンを含有するルイス塩基を溶解させる溶剤としては、ニッケル粒子を分散させることができ、前記ルイス塩基が溶解可能なものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、イソボルニルプロピオナート、イソボルニルイソブチレート、ミネラルスピリット、0号ソルベント、ブチルカルビトール、酢酸イソブチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、ヘキサン、エタノール、ノナン、ノナノール、デカノール等が挙げられる。さらには、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等を用いることもでき、具体的には、ジメチルオクタン、エチルメチルシクロヘキサン、メチルプロピルシクロヘプタン、トリメチルヘキサン、ブチルシクロヘキサン、トリデカン、テトラデカン、メチルノナン、エチルメチルヘプタン、トリメチルデカン、ペンチルシクロヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トルエン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で、あるいは2種以上を併せて用いることができる。
〈乾燥工程〉
次に、ニッケル粉末の製造方法について説明する。本方法では、上記したニッケル粒子の表面処理方法に記載の混合工程後、表面処理されたニッケル粒子を乾燥させる乾燥工程を含む。
本発明のニッケル粉末の製造方法では、乾燥工程の前に、洗浄・ろ過工程を行ってもよい。具体的には、上記したニッケル粒子の表面処理方法を実施した後は、ルイス塩基により表面処理されたニッケル粒子が分散したスラリーが得られるため、まず、このスラリーを、吸引ろ過器を用いて減圧ろ過する。そして、ろ過によってろ紙に残ったニッケル粒子を上記の溶剤と混合し、周速2~5m/秒の条件で0.5~3時間撹拌して洗浄する。この洗浄作業とろ過作業を繰り返して、未反応のルイス塩基や不純物をニッケル粒子から除去することができる。さらに、得られたろ液の赤外分光分析を行い、未反応のルイス塩基が検出されないことを確認し、洗浄作業を終了することが出来る。
また、本発明のニッケル粉末の製造方法では、乾燥工程の後に、解砕・分級工程を行ってもよい。例えば、乾燥工程による乾燥凝集によってニッケル粒子が弱い力で凝集した場合には、製造工程の途中や最後に解砕工程を設け、ニッケル粒子を解砕することができる。例えば、スパイラルジェット解砕処理、カウンタージェットミル解砕処理等の乾式解砕方法や、高圧流体衝突解砕処理等の湿式解砕方法、その他の汎用の解砕方法を適用することが可能である。
次に、本発明のルイス塩基含有ニッケル粒子について、説明する。当該ニッケル粒子は、例えば上記した本発明のニッケル粒子の表面処理方法や、ニッケル粉末の製造方法によって得ることができる。ただし、製造方法はこれらに限定されない。
式(3)中、rは1~5の自然数であり、R5は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R6は、炭素数が1~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。
ニッケル粒子10gをジヒドロターピネオール100gに加え、スリーワンモータにソフト十字形状の撹拌羽根を取り付け、周速8m/秒の条件となるように300rpmで1時間撹拌してニッケルスラリーを得た。この条件の撹拌を維持したまま、ニッケルスラリーへ、ジヒドロターピネオール10gにルイス塩基として前述の構造式(1)で示されるリン酸ポリエステル(DISPERBYK111(ビックケミージャパン社製))0.05gを溶解させたルイス塩基溶液を2ml/分の速度で滴下した。その後、撹拌条件を変えずに室温25℃で3時間撹拌し、表面処理したニッケル粒子のスラリーを得た。このスラリーを吸引ろ過により固液分離し、分離したニッケル粒子にジヒドロターピネオール100gを加えてスラリー化する作業を3回繰り返してニッケル粒子を洗浄した。洗浄後に吸引ろ過により固液分離し、分離したニッケル粒子を窒素雰囲気下、120℃で乾燥処理することで、目的とする表面処理後のニッケル粒子の粉末を得た。
ルイス塩基溶液を滴下する工程を除き、実施例1と同様の条件とした。すなわち、ルイス塩基は使用せずに、ニッケル粒子のスラリー化、固液分離、洗浄、乾燥処理を、実施例1と同様に行った。
実施例1および比較例1で原料として使用したニッケル粒子そのものを、比較例2とした。すなわち、比較例1とは異なり、ニッケル粒子のスラリー化、固液分離、洗浄、乾燥処理のいずれも行わなかった。
〈ニッケル粒子表面の炭素量の評価〉
炭素量は、炭素・硫黄分析装置(LECO社製CS844)により測定した。
吸引ろ過により固液分離後のジヒドロターピネオールおよび、ニッケル粒子を洗浄後のジヒドロターピネオールを回収し、これらを分析のための濃度調製のためにメタノールで希釈し、液体クロマトグラフィー-質量分析装置(アジレント社製1290 infinity2-アジレント社製6530))により、表面処理に消費されなかったルイス塩基の含有量を定量化した。この値を用いて、以下に示す式(4)、式(5)から表面処理後のニッケル粒子に含まれるルイス塩基含有量を算出した。
表面処理後のNi粒子に含まれるルイス塩基量
=(使用したルイス塩基全量-表面処理に消費されなかったルイス塩基量) ・・・(4)
表面処理後のNi粒子に含まれるルイス塩基含有量(質量%)
=(表面処理後のNi粒子に含まれるルイス塩基量/表面処理後のNi粒子量)×100 ・・・(5)
ニッケル粒子の平均粒径は、ニッケル粉末の走査電子顕微鏡(SEM、JSM-6360、日本電子製)を用いた観察像(SEM像)の画像解析の結果から求めた粒径を測定し、数平均の粒径として算出した。
表面処理操作後のニッケル粉末を、100mlのハイベッセル容器(近畿容器株式会社製BHB-100)に入れ、常温で大気雰囲気下1日放置後の実施例1、比較例1のニッケル粒子について、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM-6360、日本電子製)を用い、倍率5000倍のSEM像の写真を得た。そして、画像解析ソフトMac-View(株式会社マウンテック製)を用いて、得られたSEM像の写真内の粒子形状の全様が見える粒子の面積と個数を計測し、これらから各粒子の直径を求め、直径が0.8μm以上、および1.2μm以上のものを粗大粒子としてカウントした。そして、ニッケル粉末中に含まれる粗大粒子の含有量(粒径0.8μmを超える場合、および、粒径1.2μmを超える場合)を初期値として求めた。
以上のとおり、本発明のニッケル粒子であれば、リンを含有するルイス塩基によって表面処理されていることにより、保管中の酸化による粗大粒子の発生が抑制されることは、明らかである。
Claims (5)
- 硫黄元素を含まず、リンを含有するルイス塩基がニッケル粒子の表面に存在しており、
前記ルイス塩基と前記ニッケル粒子との質量比が、0.16~3.0:100であり、
前記ルイス塩基が、下記式(1)で示すリン酸エステル、ポリリン酸エステル、(2)で示すリン酸エステル、リン酸ポリエステルの単独または2種以上である、ルイス塩基含有ニッケル粒子。
(式(1)中、nは1~5の自然数であり、R 1 は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R 2 は、炭素数が7~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。
式(2)中、mは1~5の自然数であり、R 3 は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R 4 は、炭素数が7~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。) - 前記ルイス塩基がニッケル粒子の表面に配位結合する、請求項1に記載のルイス塩基含有ニッケル粒子。
- 数平均粒径が0.03μm~0.4μmであり、
粒径が0.8μmを超える粒子の含有量が400質量ppm以下であり、
粒径が1.2μmを超える粒子の含有量が200質量ppm以下である、請求項1または2に記載のルイス塩基含有ニッケル粒子。 - ニッケル粒子と、リンを含有するルイス塩基とを混合する混合工程を含み、
前記ルイス塩基が、下記式(1)で示すリン酸エステル、ポリリン酸エステル、(2)で示すリン酸エステル、リン酸ポリエステルの単独または2種以上である、請求項1に記載のルイス塩基含有ニッケル粒子の表面処理方法。
(式(1)中、nは1~5の自然数であり、R 1 は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R 2 は、炭素数が7~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。
式(2)中、mは1~5の自然数であり、R 3 は、Hまたは炭素数が7~15のアルキル基を示し、R 4 は、炭素数が7~15のアルキル基または式(A)で示すtert-ブチル基を示す。) - 請求項4に記載の混合工程後、表面処理されたニッケル粒子を乾燥させる乾燥工程を含む、ニッケル粉末の製造方法。
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