JP2014028991A - 複合ニッケル微粒子及びその製造方法 - Google Patents

複合ニッケル微粒子及びその製造方法 Download PDF

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勝弘 山田
Kazuto Okamura
一人 岡村
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Abstract

【課題】粒子の凝集や融着を抑制しつつ、耐焼結性及び分散性を向上させた複合ニッケル微粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 平均粒子径が30〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下である複合ニッケル微粒子。この複合ニッケル微粒子は、金属ニッケル微粒子を硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下、有機溶媒中で熱処理した後、さらにリン含有有機化合物により表面を被覆して得られるものであり、硫黄元素を0.1〜0.5質量%の範囲内、炭素元素を0.3〜1.5質量%の範囲内、リン元素を0.01〜0.2質量%の範囲内で含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、焼結性及び分散性に優れた複合ニッケル微粒子及びその製造方法に関し、より詳しくは、例えば積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の内部電極形成用などの導電ペーストに好適に利用できる複合ニッケル微粒子及びその製造方法に関する。
MLCCは、セラミックス誘電体と内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものである。このようなMLCCの内部電極を形成する際には、内部電極材料であるニッケル微粒子をペースト化したのち、これをセラミックス基板上に印刷する。次いで、乾燥、積層及び圧着した後、通常、酸素雰囲気下で約250〜400℃に加熱して有機物を除去するための脱バインダー処理を行なう。このような加熱処理を行なうことによって、ニッケル微粒子は酸化され、それにより体積膨張が起きる。さらにその後、還元性雰囲気下で高温(例えばチタン酸バリウム系セラミックス誘電体では約1200〜1400℃)で焼結を行なうが、この焼結により、一旦酸化されたニッケル微粒子が還元されるとともに、体積の収縮が生じる。
このように、MLCCの製造工程では、酸化反応や還元反応によってニッケル微粒子が膨張・収縮して体積変化が生じる。また、セラミックス誘電体も焼結により膨張・収縮し、体積変化が生じる。ところが、ニッケル微粒子とセラミックス誘電体とでは、焼結時における膨張・収縮による体積変化の挙動が異なるため、デラミネーションやクラック等の欠陥を生じるおそれがある。
このような問題を解決する手段として、ニッケル粉末を水に分散させてリン酸化物を添加して表面修飾したニッケル粉末を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。このようなニッケル粉末は、平均粒子径が100nmオーダーになると優れた分散性が得られにくい懸念がある。また、200〜300℃の温度で熱処理したニッケル粉末の表面をチオ尿素で処理したニッケル粉末が提案されている(特許文献2参照)。この方法によると、熱処理により、ニッケル粉末同士の凝結が進行し、分散性が低下するため、ニッケル粉末を用いて導電性ペーストを作製したときに、平滑性の高い塗膜を得ることができず、導電性ペーストによる被覆性が低下したり、焼成時にデラミネーションが発生したりする懸念がある。
特開2000−345203号公報 国際公開WO2005−123307号パンフレット
本発明の目的は、粒子の凝集や融着を抑制しつつ、耐焼結性及び分散性を向上させた複合ニッケル微粒子及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ニッケル微粒子の酸化・還元処理時における熱挙動に着目し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合ニッケル微粒子は、平均粒子径が30〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下であり、金属ニッケル微粒子を硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下、有機溶媒中で熱処理した後、さらにリン含有有機化合物により表面を被覆して得られるものである。この複合ニッケル微粒子は、硫黄元素を0.1〜0.5質量%の範囲内、炭素元素を0.3〜1.5質量%の範囲内、リン元素を0.01〜0.2質量%の範囲内で含有する。
本発明の複合ニッケル微粒子は、硫黄元素とリン元素の合計が0.3〜0.5質量%の範囲内であってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、酸素元素を0.5〜2.0質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記硫黄含有化合物が、硫黄含有有機化合物であってもよい。この場合、前記硫黄含有有機化合物が、メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物であってもよいし、脂肪族チオール化合物であってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記リン含有有機化合物が、リン酸モノエステル又はリン酸ジエステルであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記金属ニッケル微粒子が、1級アミンで被覆されたものであってもよい。この場合、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する1級アミンが、脂肪族1級アミンであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、次の工程A〜C;
A)金属ニッケル微粒子と有機溶媒とを含有するスラリーを準備する工程、
B)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、硫黄含有化合物又は硫黄元素を添加し、該硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下で前記金属ニッケル微粒子を熱処理して、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
C)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、リン含有有機化合物を添加し、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
を備えている。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記工程Bの後に前記工程Cを行なってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記硫黄含有化合物が、硫黄含有有機化合物であってもよい。この場合、前記硫黄含有有機化合物が、メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物又は脂肪族チオール化合物であってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記リン含有有機化合物が、リン酸モノエステル又はリン酸ジエステルであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属ニッケル微粒子が、次の工程I及びII;
I)前記金属ニッケル微粒子の前駆体であるニッケル塩を1級アミンの有機溶媒に溶解して、ニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
II)前記錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱して、前記金属ニッケル微粒子を得る工程、
を含む方法により調製されたものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、硫黄元素、炭素元素及びリン元素を含有し、その含有量が制御されていることにより、平均粒子径が150nm以下であるにもかかわらず熱収縮に対する抑制効果が顕著に発揮される。また、本発明の複合ニッケル微粒子は、凝集が抑制されており、しかも焼結時のニッケル微粒子の内部への急激な酸化を抑制することができるので、低温での熱収縮が抑制されて耐焼結性に優れている。このような複合ニッケル微粒子は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の材料として好適に用いることができる。
[複合ニッケル微粒子]
本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、平均粒子径が30〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(CV;標準偏差/平均粒子径)が0.2以下である。この複合ニッケル微粒子は、金属ニッケル微粒子を、硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下、有機溶媒中で熱処理した後、さらにリン含有有機化合物により被覆処理して得られるものであり、硫黄元素を0.1〜0.5質量%の範囲内、炭素元素を0.3〜1.5質量%の範囲内、リン元素を0.01〜0.2質量%の範囲内で含有する。
本実施の形態に係る複合ニッケル微粒子は、その平均粒子径が30〜150nmの範囲内、好ましくは40〜120nmの範囲内、より好ましくは50〜100nmの範囲内がよい。複合ニッケル微粒子の平均粒子径が30nm未満であると、例えばMLCCの製造における脱バインダー時の加熱で複合ニッケル微粒子同士が凝集又溶融しやすくなり、また酸素を取り込みやすくなるため、複合ニッケル微粒子の体積膨張や収縮変化が大きくなる。一方、複合ニッケル微粒子の平均粒子径が150nmを超えると、最小径の粒子及び最大径の粒子の分布幅が大きくなり、複合ニッケル微粒子をMLCCの電極に利用した場合に、巨大粒子の存在によりショート不良を起こしやすい。
本実施の形態に係る複合ニッケル微粒子は、粒子径の変動係数(CV)が0.2以下である。変動係数を0.2以下とすることで、ペースト塗布後の乾燥塗膜の表面平滑性が得られやすい。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、ニッケル元素とともに、ニッケル以外の元素を含有していてもよい。ニッケル元素の含有量は使用目的に応じて適宜選択すればよいが、ニッケル元素の量を、複合ニッケル微粒子100質量部に対し、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上とすることがよい。ニッケル以外の金属としては、例えば、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム。シリコン、アルミニウム、リン等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、ネオジウム、ニオブ、ホロニウム、ディスプロヂウム、イットリウム等の貴金属、希土類金属を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよく、合金であってもよい。また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、硫黄、炭素、リンを必須とする限り、水素、窒素、ボロン等の金属元素以外の元素を含有していてもよい。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、金属ニッケル微粒子に硫黄含有化合物又は硫黄元素を添加し、有機溶媒中で熱処理する工程を経て得られるものである。硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加によって、金属ニッケル微粒子の表面の少なくとも一部分に硫黄含有化合物又は硫黄元素由来の硫黄成分が物理的に吸着又は付着した状態、あるいは化学的に結合した状態になる。添加時又は添加後の熱処理によって、硫黄成分が物理的に吸着又は化学的に結合した状態を確実にし、金属ニッケル微粒子の表面の少なくとも一部分に、硫化ニッケルの被覆層を形成した状態となる。このような被覆状態とすることで、金属ニッケル微粒子の表面活性を抑制し、リン含有有機化合物による過度な被覆を抑制する。また、硫化ニッケルの被覆層は、複合ニッケル微粒子の表面活性を抑制し、脱バインダー工程におけるバインダーの低温燃焼又は熱分解を抑制することができる。硫黄含有化合物又は硫黄元素の被覆の状態は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)などにより確認することができる。また、被覆層の厚みは特に制限されないが、例えば2〜5nm程度とすることが好ましい。
硫黄含有化合物又は硫黄元素で被覆された金属ニッケル微粒子は、金属ニッケル微粒子同士の凝集を抑制した状態で、個々の金属ニッケル微粒子の表面にムラのない被覆を可能とするために、有機溶媒中で熱処理される。このようにして得られる被覆状態は、例えば島状の被覆であっても、表面全体に亘って、ムラがなく、均一なものになると考えられる。また、硫黄含有化合物又は硫黄元素による被覆処理前の金属ニッケル微粒子の有機溶媒中での分散性向上の観点から、金属ニッケル微粒子は1級アミンで被覆されたものが好ましい。1級アミンの被覆についは後で説明する。
複合ニッケル微粒子の硫黄元素の量(硫黄含有化合物の状態で含有されるものも含む)は、複合ニッケル微粒子に対し、0.1〜0.5質量%の範囲内、好ましくは0.2〜0.4質量%の範囲内で含有することがよい。硫黄元素が0.1質量%未満では、酸素雰囲気下での加熱における複合ニッケル微粒子の酸化抑制効果が低下し、0.5質量%を超えると、還元雰囲気下での硫化水素ガスの発生に伴う粒子の膨れの原因となる。
また、複合ニッケル微粒子の炭素元素の量は、複合ニッケル微粒子に対し、0.3〜1.5質量%の範囲内とすることがよい。この炭素元素の量は、複合ニッケル微粒子の元素分析により確認することができる。炭素元素は、複合ニッケル微粒子の表面に存在する有機化合物に由来するものであるが、炭素元素の一部が複合ニッケル微粒子の内部に存在していてもよい。複合ニッケル微粒子の表面に存在する炭素元素は、複合ニッケル微粒子の凝集を抑制し、分散性向上に寄与し、複合ニッケル微粒子に含有する酸素元素の還元を促進させる。炭素元素が0.3質量%未満では、複合ニッケル微粒子の凝集が生じやすくなり、1.5質量%を超えると、焼結時に炭化して残炭となり、これがガス化することによって粒子の膨れの原因となる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、リン含有有機化合物により被覆処理されている。複合ニッケル微粒子におけるリン元素の含有量は0.01〜0.2質量%の範囲内がよい。リン元素の含有量が0.01質量%未満であると、酸素雰囲気下での加熱における複合ニッケル微粒子の酸化抑制効果が低下し、0.2質量%を超えると、焼結時に体積膨張が生じやすくなり、膨れの原因となる。このリン含有量は、複合ニッケル粒子の元素分析により確認することができるが、リン元素(リン含有有機化合物中に含まれているもの)は、複合ニッケル微粒子の表面に存在するものである。また、リン含有有機化合物の被覆により、有機溶媒中での複合ニッケル微粒子の分散性が向上する。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子において、金属ニッケル微粒子を被覆している硫黄元素(ここでは、硫黄含有化合物の状態で含有されるものも含む)とリン含有有機化合物の相互の関係は明らかではないが、硫黄元素(上記意味で用いる)とリン含有有機化合物は、それぞれが直接、金属ニッケル微粒子に吸着ないし結合しているものと考えられる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子における硫黄元素は、複合ニッケル微粒子の表面に部分的に存在する硫黄含有化合物又は硫黄元素に由来するが、硫黄含有化合物又は硫黄元素の被覆の厚みが、平均粒子径の大小によらず殆ど大差がないのに対し、複合ニッケル微粒子の平均粒子径が小さくなるにつれ、硫黄元素の含有量が高くなる傾向がある。すなわち、複合ニッケル微粒子の平均粒子径が小さいほど、その総表面積(全ての複合ニッケル微粒子の合計の表面積)が大きいので、複合ニッケル微粒子全体に占める硫黄元素の含有量が相対的に大きくなることによるものと考えられる。このような知見をもとに、硫黄元素の含有量を0.1〜0.5質量%の範囲内、好ましくは0.2〜0.4質量%の範囲内とし、リン元素の含有量を0.01〜0.2質量%の範囲内としたうえで、硫黄元素とリン元素の合計の含有量を好ましくは0.3〜0.5質量%の範囲内とすることによって、熱収縮抑制効果と分散性向上効果を両立できる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、酸素元素を0.5〜2.0質量%の範囲内で含有することが好ましい。酸素元素の含有量が、上記範囲内であると、複合ニッケル微粒子の表面活性及び体積変化を抑制しやすい。
[複合ニッケル微粒子の製造方法]
次に、本実施の形態の複合ニッケル微粒子の製造方法について説明する。本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、次の工程A〜C;
A)金属ニッケル微粒子と有機溶媒とを含有するスラリーを準備する工程、
B)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、硫黄含有化合物又は硫黄元素を添加し、該硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下で前記金属ニッケル微粒子を熱処理して、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
C)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、リン含有有機化合物を添加し、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
を実施することにより製造できる。
(工程A)
工程Aでは、金属ニッケル微粒子と有機溶媒とを含有するスラリーを準備する。まず、金属ニッケル微粒子の製造方法について説明する。
金属ニッケル微粒子は、公知の方法により製造することができる。例えば、気相法又は液相法により金属ニッケル微粒子を製造することができるが、気相法は液相法に比べて製造コストが高価になりがちであるので、液相法を適用することは有利である。
液相法のなかでも、粒子径分布が狭い金属ニッケル微粒子を短時間で容易に製造する方法として、下記の工程I及びII;
I)金属ニッケル微粒子の前駆体であるニッケル塩を1級アミンの有機溶媒に溶解して、ニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
II)前記錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱して、前記金属ニッケル微粒子を得る工程、
を具えることが好ましい。
ニッケル塩の種類は特に限定されず、例えば水酸化ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、カルボン酸ニッケル、Ni(acac)(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等が挙げられるが、この中でも、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いカルボン酸ニッケルを用いることが有利である。
1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級の有機アミンであっても、加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する金属ニッケル微粒子の粒径を制御することができる。金属ニッケル微粒子の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる金属ニッケル微粒子の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。
1級アミンは、還元反応後の生成した金属ニッケル微粒子の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元して金属ニッケル微粒子を得るときの反応制御の容易性の観点からは還元温度より沸点が高いものが好ましい。1級アミンの量は、ニッケル塩1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られる金属ニッケル微粒子の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
1級アミンは、有機溶媒として反応を進行させることができるが、均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、例えば100℃〜165℃の範囲内に加熱して反応を行う。この加熱は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)のマイクロ波照射による加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記上限を適宜設定することができる。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
工程IIでは、ニッケル塩と1級アミンとの錯形成反応によって得られた錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱し、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して金属ニッケル微粒子の有機溶媒のスラリーを得る。マイクロ波照射によって加熱する温度は、得られる金属ニッケル微粒子の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を能率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。
マイクロ波照射による錯化反応液の加熱は、該反応液内の均一加熱を可能とし、かつエネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒子径分布の狭い単分散な粒子を短時間で容易に製造することができる。特に、平均粒子径が30〜150nmの範囲内にある金属ニッケル微粒子を製造するのに好適である。
均一な粒径を有する金属ニッケル微粒子を生成させるには、錯化反応液生成工程の加熱温度を特定の範囲内で調整し、マイクロ波照射による加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、粒子形状の整った金属ニッケル微粒子の生成が困難となるおそれがある。また、マイクロ波照射による加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、粒子の大きさが不揃いになり、金属ニッケル微粒子の収率の点からも好ましくはない。
工程IIにおいて得られる金属ニッケル微粒子のスラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、金属ニッケル微粒子が得られる。
上記のようにして金属ニッケル微粒子を製造することができるが、例えば金属ニッケル微粒子をスラリーの状態で有機溶媒中に所定時間保持することや、金属ニッケル微粒子のスラリーを低酸素状態で乾燥させることなどによって、金属ニッケル微粒子の表面に所定の水酸化物又は酸化物の被膜を形成することができる。
(工程B)
工程Bでは、工程A又は工程Cで得られたスラリーに、硫黄含有化合物又は硫黄元素を添加する。そして、硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下で金属ニッケル微粒子を熱処理して、金属ニッケル微粒子の表面を被覆する。
硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加において、使用する硫黄含有化合物は、複合ニッケル微粒子に含有する炭素元素を制御する観点から、ニッケル原子と化学結合を可能とする硫黄原子を含む官能基を有する硫黄含有有機化合物を用いることが好ましい。硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加は、反応液のマイクロ波照射による還元反応に続く、金属ニッケル微粒子スラリーの状態で添加してもよく、又は還元反応によって得られる金属ニッケル微粒子スラリーから、一旦、金属ニッケル微粒子を単離した後に、金属ニッケル微粒子を液中に分散させてスラリーの状態としてから、添加してもよい。工程の簡略化の観点から、硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加は、反応液のマイクロ波照射による還元反応に続く、金属ニッケル微粒子スラリーの状態で添加することが好ましい。
硫黄含有有機化合物は、硫黄原子を分子内に含有する有機化合物であるが、このような有機化合物として、例えばチオール系化合物、スルフィド系化合物、チオフェン系化合物、スルホキシド系化合物、スルホン系化合物、チオケトン系化合物、スルフラン系化合物などが挙げられる。このなかでもチオール系化合物(メルカプト基を含有)、スルフィド系化合物(スルフィド基、又はジスルフィド基を含有)は、硫黄原子の活性が高いために、反応性に優れており、金属ニッケル微粒子の表面をNi−Sの化学結合で被覆することができ、例えば金属ニッケル微粒子の急激な加熱によっても、金属ニッケル微粒子の表面酸化を抑えることができるので好ましい。また、金属ニッケル微粒子の分散性を向上させるために、脂肪族系の硫黄含有有機化合物が好ましい。
メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物としては、金属ニッケル微粒子の分散性の向上のために、炭化水素基を有する脂肪族チオール化合物が好ましく、より好ましくは炭素数1〜18の範囲内にある脂肪族チオール化合物がよい。具体例としては、例えばメチルチオール、エチルチオール、プロピルチオール、ブチルチオール、ヘプチルチオール、ヘキシルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール(デカンチオール)、ウンデシルチオール、ドデシルチオール(ドデカンチオール)、テトラデシルチオール(テトラデカンチオール)、ヘキサデカンチオール、オクタデシルチオール、tert−ドデシルメルカプタン、シクロヘキシルチオール、ベンジルチオール、エチルフェニルチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2−メルカプトメチル−1,4−ジチアン、1−メルカプト−2,3−エピチオプロパン、1−メルカプトメチルチオ−2,3−エピチオプロパン、1−メルカプトエチルチオ−2,3−エピチオプロパン、3−メルカプトチエタン、2−メルカプトチエタン、3−メルカプトメチルチオチエタン、2−メルカプトメチルチオチエタン、3−メルカプトエチルチオチエタン、2−メルカプトエチルチオチエタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等の1価の脂肪族チオール化合物、1,1−メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,1,1−テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等の脂肪族ポリチオール化合物が挙げられる。なお、これらは特に限定されるものではなく、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
硫黄含有化合物の添加量は、金属ニッケル微粒子の表面積を考慮して決定されるものであり、仕込み時のニッケル塩のニッケル元素100質量部に対して硫黄元素として、例えば0.1〜2質量部の範囲内、好ましくは0.2〜1質量部の範囲内となるようにすればよい。
硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加によって、室温においても、硫黄含有化合物又は硫黄元素で被覆された金属ニッケル微粒子(以下、「硫黄被覆ニッケル微粒子」と記すことがある)を得ることができるが、金属ニッケル微粒子の表面に所定量の硫黄元素(硫黄含有化合物の状態で存在する硫黄元素を含む)を被覆させるために、熱処理を行う。熱処理は、硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加と同時に行ってもよいし、あるいは硫黄含有化合物又は硫黄元素の添加後に行ってもよい。また、熱処理は、好ましくは100℃〜300℃の範囲内で、1分〜1時間の範囲内がよい。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよく、特に限定されない。なお、上記のとおり、硫黄含有化合物又は硫黄元素は、工程IIにおける錯化反応液のマイクロ波照射による還元反応に引き続き、金属ニッケル微粒子スラリーに添加することが好ましい。また、金属ニッケル微粒子の表面に硫化ニッケルの形成を容易にし、更に、硫黄をニッケル粒子表面に均一に処理するという観点から、還元反応の直後に該スラリーが加熱された状態で添加することがより好ましい。
(工程C)
工程Cでは、工程A又は工程Bで得られたスラリーに、リン含有有機化合物を添加し、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する。
リン含有有機化合物は、リン原子を分子内の含有する有機化合物であるが、このような有機化合物として、例えばトリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン、下記一般式(1)で表されるリン酸モノエステル、又は下記一般式(2)で表されるリン酸ジエステルが挙げられる。
Figure 2014028991
上記式(1)又は(2)中、Y、Y、Yはそれぞれ独立して、炭素数1〜18の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、X、X、Xはそれぞれ独立して、−(OCHCH−、−{OCH(CH)CH−を示し、nは0〜18を示す。
リン含有有機化合物は、複合ニッケル微粒子の表面被覆の活性を高めるという観点から、ヒドロキシル基を有するリン酸モノエステル又はリン酸ジエステルが好ましい。
また、リン含有有機化合物は、複合ニッケル微粒子の分散性を向上させるという観点から、一般式(1)又は(2)におけるY、Y、Yは、アルキル基として炭素数4〜18のアルキル基が好ましく、アリール基としてフェニル基が好ましく、アルキルアリール基として炭素数1〜3のアルキル基を有するフェニル基(特にトリル基)が好ましく、アリールアルキル基としてはフェニルアルキル基(特にアルキル基は炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。また、X、X、Xは−(OCHCH−が好ましく、nは1〜10、特に2〜5が好ましい。
リン酸含有有機化合物の分子量は、分散安定性及び粘度の適正化の観点から、300〜700が好ましい。
上記一般式(1)又は(2)で表されるリン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物は、市販のものが入手可能であり、例えばクローダジャパン社製のN3A(商品名)、同N10A(商品名)、川研ファインケミカル社製のLTP−2(商品名)、日本ルーブリゾール社製のSolsperse41000(商品名)、ビッグケミー・ジャパン社製のDISPERBYK−102(商品名)等が挙げられる。
本実施の形態で用いるリン含有有機化合物の添加量は、金属ニッケル微粒子100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲内、好ましくは0.5〜5質量部の範囲内がよい。添加量が上記下限未満では分散性又は熱収縮抑制効果が低下する傾向があり、上記上限を超えると、リンが過剰に付着して熱処理工程において膨れを生じる傾向がある。
本実施の形態で用いるリン含有有機化合物は、単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本実施の形態において、リン含有有機化合物の適用方法は、特に制限はなく、例えば、a)硫黄被覆ニッケル微粒子を液相法で合成した後で液相中に所定量のリン含有有機化合物を添加する方法、b)高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ビーズミル分散機などの分散機を用いて硫黄被覆ニッケル微粒子を機械的に解砕し、その解砕の前又は後に、所定量のリン含有有機化合物を添加する方法など、様々な方法が挙げられる。なお、機械的に解砕する場合には、金属ニッケル微粒子の表面に存在する硫黄被覆の状態、あるいは酸化物被膜又は水酸化物被膜の状態を解砕前後で、できるだけ変化させないようにするという観点から、硫黄被覆ニッケル微粒子を有機溶媒によるスラリーの状態で予め解砕処理することが好ましい。水系のスラリーでは、酸化物又は水酸化物の被膜状態が変化しやすいので、好ましくない。
硫黄被覆ニッケル微粒子の有機溶媒によるスラリーは、例えば、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄した後、有機溶媒を加えることによって調製することができる。有機溶媒として、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数3〜18のアルコール系、炭素数3〜18のケトン系、炭素数3〜18のエステル系溶媒等を使用することができる。なお、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒の代わりに用いることもできる。
有機溶媒は、好ましくはアルコール系有機溶媒がよい。このようなアルコール系有機溶媒の好ましい具体例としては、メタノール、1−オクタノール、イソプロパノール、テトラエチレングリコール等が挙げられる。
以上の工程A〜Cにより、本実施の形態の複合ニッケル微粒子を製造できる。なお、この製造方法においては、所定量の硫黄成分及びリン成分が被覆されれば、工程Bと工程Cの順序は特に制限されないが、工程の簡便さの観点から、熱処理を必須とする工程Bを経由した後に工程Cを行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[平均粒子径の測定]
SEM(走査型電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの粒子径を求め、平均粒子径を算出した。また、Cv値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、Cv値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[5%熱収縮温度の測定]
試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
[膨れの評価]
膨れの評価は、TMAを用いて測定し、測定中に収縮挙動のみの場合、「膨れなし」と評価し、高温時、特に700℃以上で膨張挙動が見られた場合、「膨れあり」と評価した。
[熱重量分析(TGA)の微分ピーク温度]
熱重量分析(TGA)の微分ピーク温度は、サンプルの45重量部、ジヒドロターピニルアセテートの58重量部及びエチルセルロースの2重量部で作製したペーストを乾燥後、窒素下でTGAを測定し、その減少率の微分から燃焼のピーク温度を算出し、そのピーク温度位置を微分ピーク温度とした。この微分ピーク温度により、複合ニッケル微粒子をMLCCの製造に用いる場合の脱バインダー工程での挙動(脱バインダー挙動)を評価することが可能であり、微分ピーク温度が高い程、脱バインダー挙動が良好であることを示している。
[分散性の評価]
分散性の評価は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、商品名;LA−950V2)を用いて行った。サンプルをジヒドロターピニルアセテート溶媒に分散させたスラリー溶液(固形分濃度10wt%)を所定の濃度に希釈して、前記粒子径分布測定装置内にて超音波で5分間分散させ、体積分布の測定を行い、粒度分布の結果にて分散性の比較評価を行った。
(実施例1)
690.0gのオレイルアミン(2.58mol)に60.0gの酢酸ニッケル四水和物(0.24mol)を加え、窒素フロー下で150℃、3時間撹拌することによって、酢酸ニッケルのアミン錯体を形成させた。
次いで、上記アミン錯体を含む溶液を、マイクロ波を用いて250℃まで加熱し、その温度を5分間保持することによって、ニッケル微粒子1aを含むスラリーを得た。
得られたニッケル微粒子スラリーに、0.4gのドデカンチオ−ルを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、再度、マイクロ波を照射して250℃で5分間加熱することによって、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー1bを得た。
得られた硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー1bに、100〜175℃で0.5gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N10A、重量平均分子量;約600)を溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを10分間かけて添加後、1時間撹拌し、室温まで徐冷した。さらに、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄し、真空乾燥機で乾燥した後、複合ニッケル微粒子1cを得た。
得られた複合ニッケル微粒子1cの平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;1.2、P;0.08、S;0.28、O;1.0(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子1cの5%熱収縮温度は460℃、TGAの微分ピーク温度は340℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;170nmであった。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1における0.5gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N10A、重量平均分子量;約600)を使用したことの代わりに、0.2gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N3A、重量平均分子量;約400)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、複合ニッケル微粒子2cを得た。
得られた複合ニッケル微粒子2cの平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;1.0、P;0.05、S;0.27、O;1.4(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子2cの5%熱収縮温度は425℃、TGAの微分ピーク温度は330℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;130nmであった。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1における0.4gのドデカンチオ−ルを使用したことの代わりに、0.5gのドデカンチオールを使用したこと、及び0.5gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N10A、重量平均分子量;約600)を使用したことの代わりに、0.3gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N3A、重量平均分子量;約400)を使用したこと以外、実施例1と同様にして、複合ニッケル微粒子3cを得た。
得られた複合ニッケル微粒子3cの平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;1.0、P;0.08、S;0.30、O;1.3(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子3cの5%熱収縮温度は440℃、TGAの微分ピーク温度は330℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;110nmであった。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1と同様にして、アミン錯体を形成させた後、ニッケル微粒子4aを含むスラリーを得、得られたスラリーに、0.5gのヘキサデカンチオールを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、再度、マイクロ波を照射して250℃で5分間加熱することによって、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー4bを得た。
得られた硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー4bを分取して静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて3回洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄後、硫黄被覆ニッケル微粒子をイソプロパノールに分散させたスラリー溶液4b’(固形分濃度10wt%)を調製した。
得られたスラリー溶液4b’の10gを分取し、これに0.4gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N3A、重量平均分子量;約400)を添加し、超音波により30分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、真空乾燥機で乾燥した後、複合ニッケル微粒子4cを得た。
得られた複合ニッケル微粒子4cの平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;1.4、P;0.10、S;0.30、O;1.5(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子4cの5%熱収縮温度は495℃、TGAの微分ピーク温度は325℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;150nmであった。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1と同様にして、アミン錯体を形成させた後、ニッケル微粒子5aを含むスラリーを得、得られたスラリーに、0.5gのドデカンチオールを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、再度、マイクロ波を照射して250℃で5分間加熱することによって、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー5bを得た。
得られた硫黄被覆ニッケル微粒子スラリー5bを分取して静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて3回洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄後、硫黄被覆ニッケル微粒子をイソプロパノールに分散させたスラリー溶液5b’(固形分濃度10wt%)を調製した。
得られたスラリー溶液5b’の10gを分取し、これに0.7gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N3A、重量平均分子量;約400)を添加し、超音波により30分間撹拌した後、イソプロパノールで洗浄し、真空乾燥機で乾燥した後、複合ニッケル微粒子5cを得た。
得られた複合ニッケル微粒子5cの平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;1.0、P;0.15、S;0.32、O;1.4(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子5cの5%熱収縮温度は425℃、TGAの微分ピーク温度は330℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;130nmであった。結果を表1に示す。
比較例1
ドデカンチオール及びリン酸ジエステルのいずれも使用しなかったこと以外、実施例1と同様にして、ニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;0.7、P;0、S;0、O;1.0(単位は質量%)であった。また、ニッケル微粒子の5%熱収縮温度は285℃、TGAの微分ピーク温度は220℃、230℃及び260℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;530nmであった。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様にして、アミン錯体を形成させた後、ニッケル微粒子を含むスラリーを得た。得られたスラリーに、0.4gのドデカンチオールを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、再度、マイクロ波を照射して250℃で5分間加熱することによって、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリーを得た。この硫黄被覆ニッケル微粒子スラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄し、真空乾燥機で乾燥することによって硫黄被覆ニッケル微粒子を得た。得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;0.6、P;0、S;0.48、O;1.1(単位は質量%)であった。また、硫黄被覆ニッケル微粒子の5%熱収縮温度は380℃、TGAの微分ピーク温度は330℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;310nmであった。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1と同様にして、アミン錯体を形成させた後、ニッケル微粒子を含むスラリーを得、得られたスラリーに、0.4gのドデカンチオ−ルを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、室温で5分間撹拌した。このスラリーに、室温で0.7gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N10A、重量平均分子量;約600)を溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを10分間かけて添加後、1時間撹拌した。さらに、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄し、真空乾燥機で乾燥した後、ニッケル微粒子を得た。得られたニッケル微粒子の平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;0.9、P;0.09、S;0.03、O;1.2(単位は質量%)であった。また、ニッケル微粒子の5%熱収縮温度は400℃、TGAの微分ピーク温度は220℃、230℃及び260℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;135nmであった。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1と同様にして、アミン錯体を形成させた後、ニッケル微粒子を含むスラリーを得、得られたニッケル微粒子スラリーに、0.6gのヘキサデカンチオ−ルを溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを添加して、再度、マイクロ波を照射して250℃で5分間加熱することによって、硫黄被覆ニッケル微粒子スラリーを得た。
得られた硫黄被覆ニッケル微粒子スラリーに、100〜175℃で5gのリン酸ジエステル(クローダジャパン社製、商品名;N3A、重量平均分子量;約400)を溶解したオレイルアミン溶液の10.0gを10分間かけて添加後、1時間撹拌し、室温まで徐冷した。さらに、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、メタノールとトルエンの体積比率が1:4の混合溶媒を用いて洗浄し、更にイソプロパノールを用いて洗浄し、真空乾燥機で乾燥した後、複合ニッケル微粒子を得た。
得られた複合ニッケル微粒子の平均粒子径は60nm(CV値;0.16)であり、元素分析の結果、C;0.9、P;0.45、S;0.35、O;1.3(単位は質量%)であった。また、複合ニッケル微粒子の5%熱収縮温度は585℃、TGAの微分ピーク温度は330℃であり、粒度分布の測定の結果、D50;185nmであった。結果を表1に示す。
以上の結果をまとめて、表1に示す。
Figure 2014028991
表1から、実施例1〜5では、リン含有有機化合物の添加及びチオール処理の併用により、それぞれを単独使用した場合に比べて、複合ニッケル微粒子の熱収縮抑制効果の向上が認められた。すなわち、リン含有有機化合物及びチオールを併用することによって、リン含有有機化合物及びチオールをそれぞれ単独で使用した場合に比べ、それぞれについて、より少ない量で使用した場合でも、熱収縮に対して明らかに顕著な抑制効果が得られることが確認できた。一方、リン含有有機化合物及びチオールのいずれも使用しなかった比較例1は、分散性、熱収縮、及び脱バインダー挙動が不良であった。比較例2は、チオールが存在するので、脱バインダー挙動がよいが、リン含有有機化合物を使用していないので熱収縮に関しては改善が必要であった。比較例3は、リン含有有機化合物の効果はあるものの、チオール添加後の熱処理が無いために、硫黄の効果が現れていない。比較例4は、リン含有量が過剰なため、膨れが発生し、デラミネーションの原因となるほか、誘電率も低下すると考えられる。
以上のように、本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、硫黄元素、炭素元素及びリン元素を含有し、その含有量が制御されていることにより、平均粒子径が150nm以下であるにもかかわらず熱収縮に対する抑制効果が顕著に発揮される。また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子は、凝集が抑制されており、しかも焼結時のニッケル微粒子の内部への急激な酸化を抑制することができるので、低温での熱収縮が抑制されて耐焼結性に優れている。このような複合ニッケル微粒子は、例えば積層セラミックコンデンサの内部電極の材料として好適に用いることができる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明の複合ニッケル微粒子は、MLCCの内部電極形成以外にも、例えばインクジェット法により電極や配線などの金属層を形成するために使用される導電性ペースト材料などの用途にも用いることができる。

Claims (16)

  1. 平均粒子径が30〜150nmの範囲内であり、粒子径の変動係数(標準偏差/平均粒子径)が0.2以下である複合ニッケル微粒子であって、
    金属ニッケル微粒子を硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下、有機溶媒中で熱処理した後、さらにリン含有有機化合物により表面を被覆して得られるものであり、
    硫黄元素を0.1〜0.5質量%の範囲内、炭素元素を0.3〜1.5質量%の範囲内、リン元素を0.01〜0.2質量%の範囲内で含有することを特徴とする複合ニッケル微粒子。
  2. 前記複合ニッケル微粒子における硫黄元素とリン元素の合計が0.3〜0.5質量%の範囲内である請求項1に記載の複合ニッケル微粒子。
  3. 前記複合ニッケル微粒子は、酸素元素を0.5〜2.0質量%の範囲内で含有する請求項1又は2に記載の複合ニッケル微粒子。
  4. 前記硫黄含有化合物が、硫黄含有有機化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合ニッケル粒子。
  5. 前記硫黄含有有機化合物が、メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物である請求項4に記載の複合ニッケル微粒子。
  6. 前記硫黄含有有機化合物が、脂肪族チオール化合物である請求項4に記載の複合ニッケル微粒子。
  7. 前記リン含有有機化合物が、リン酸モノエステル又はリン酸ジエステルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子。
  8. 前記金属ニッケル微粒子が、1級アミンで被覆されたものである請求項1に記載の複合ニッケル微粒子。
  9. 前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する1級アミンが、脂肪族1級アミンである請求項8に記載の複合ニッケル微粒子。
  10. 次の工程A〜C;
    A)金属ニッケル微粒子と有機溶媒とを含有するスラリーを準備する工程、
    B)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、硫黄含有化合物又は硫黄元素を添加し、該硫黄含有化合物又は硫黄元素の存在下で前記金属ニッケル微粒子を熱処理して、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
    C)前記金属ニッケル微粒子のスラリーに、リン含有有機化合物を添加し、前記金属ニッケル微粒子の表面を被覆する工程、
    を備える複合ニッケル微粒子の製造方法。
  11. 前記工程Bの後に前記工程Cを行う請求項10に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  12. 前記硫黄含有化合物が、硫黄含有有機化合物である請求項10又は11に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  13. 前記硫黄含有有機化合物が、メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物である請求項12に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  14. 前記硫黄含有有機化合物が、脂肪族チオール化合物である請求項12に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  15. 前記リン含有有機化合物が、リン酸モノエステル又はリン酸ジエステルである請求項10又は11に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  16. 前記金属ニッケル微粒子が、
    次の工程I及びII;
    I)前記金属ニッケル微粒子の前駆体であるニッケル塩を1級アミンの有機溶媒に溶解して、ニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
    II)前記錯化反応液を、マイクロ波照射によって加熱して、前記金属ニッケル微粒子を得る工程、
    を含む方法により調製されたものである、請求項10又は11に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
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