JP2014136826A - 複合ニッケル微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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勝弘 山田
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Abstract

【課題】 ニッケル微粒子の焼結時の熱収縮を抑制し、焼結開始温度を高める。
【解決手段】 複合ニッケル微粒子100は、ニッケル元素を含有するマトリックス部1と、該マトリックス部1に固定されたアナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子10と、を備えている。マトリックス部1は、例えば球状、疑似球状等の形状の微粒子であり、主成分としてニッケル元素を含有する。金属酸化物微粒子10は、マトリックス部1に固着した状態で存在し、好ましくは、マトリックス部1にほぼ均一な分布で固着している。複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径は、20nm〜150nmの範囲内が好ましく、金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径は、例えば5nm〜15nmの範囲内が好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐焼結性が改善された複合ニッケル微粒子及びその製造方法に関し、より詳しくは、例えば積層セラミックスコンデンサ(MLCC)の内部電極材料などの用途に利用できる複合ニッケル微粒子及びその製造方法に関する。
MLCCは、セラミックス誘電体と内部電極とを交互に層状に重ねて圧着し、焼成して一体化させたものである。このようなMLCCの内部電極を形成する際には、内部電極材料である金属ニッケル微粒子をペースト化したのち、これをセラミックス基板上に印刷する。次いで、乾燥、積層及び圧着した後、通常、酸素雰囲気下で約250〜400℃に加熱して有機物を除去するための脱バインダー処理を行なう。このような加熱処理を行なうことによって、金属ニッケル微粒子は酸化され、それにより体積膨張が起きる。さらにその後、還元性雰囲気下で高温(例えばチタン酸バリウム系セラミックス誘電体では約1200〜1400℃)で焼結を行なうが、この焼結により、一旦酸化された金属ニッケル微粒子が還元されるとともに、体積の収縮が生じる。
このように、MLCCの製造工程では、酸化反応や還元反応によって金属ニッケル微粒子が膨張・収縮して体積変化が生じる。また、セラミックス誘電体も焼結により膨張・収縮し、体積変化が生じる。ところが、金属ニッケル微粒子とセラミックス誘電体とでは、焼結時における膨張・収縮による体積変化の挙動が異なる。すなわち、金属ニッケル微粒子の焼結開始温度(約500℃)とセラミックス誘電体の焼結開始温度(約1000℃)が大きく異なるために、デラミネーションやクラック等の欠陥を生じるおそれがある。
近年、MLCCにおいて小型化・高容量化が進み、内部電極の薄膜化が求められるに伴って金属ニッケル微粒子もナノサイズのものが求められている。しかし、サイズ効果の影響によって、金属ニッケル微粒子が小粒径化していくとより低温で収縮する傾向が強くなる。特に、金属ニッケル微粒子がナノサイズになると、サイズ効果によって上記デラミネーションやクラック等の欠陥が発生しやすくなる。従って、例えば150nm以下の粒径を有する金属ニッケル微粒子の焼結時の熱収縮を抑制し、焼結開始温度を高める工夫が求められている。
金属微粒子の焼結時の熱収縮を抑制し、焼結開始温度を高める(つまり、耐焼結性を改善する)ため、例えば特許文献1では、ニッケルを母相とし、その内部にチタン酸バリウム(BaTiO)などのペロブスカイト構造の金属酸化物からなる誘電体粒子を複数含有する誘電体粒子含有ニッケル微粒子が提案されている。この特許文献1の誘電体粒子含有ニッケル微粒子において、誘電体粒子の一次粒子径は、誘電体粒子含有ニッケル微粒子の一次粒子径の1/4以下であり、誘電体粒子含有ニッケル微粒子に含有されている誘電体粒子のうち、ニッケル母相から誘電体粒子の一部が突出している部分の高さは誘電体粒子の一次粒子径の1/2以下である、とされている。この特許文献1で提案されている誘電体粒子含有ニッケル微粒子は、誘電体粒子を母相のニッケルに埋包した状態で固定しているため、誘電体粒子が脱離しにくい、という特徴を有していると考えられる。しかし、特許文献1では、母相のニッケル表面における誘電体粒子の分布(すなわち、誘電体粒子をニッケル母相の表面に均等な分布で固定するか)については、注意が払われていない。
ところで、MLCCの電極材料ではないが、例えば、非特許文献1では、高濃度ゾルゲル法を用いてニオブ(Nb)をアナターゼ型酸化チタン(TiO)にドープしたNbドープTiO(Ti1−xNb)のナノ粒子は、有機溶媒中で高い分散性を有することが報告されている。
特開2008−63653号公報
藤吉国孝ら、「高濃度ゾルゲル法を用いたNbドープTiO2ナノ粒子の合成と分散液の調製」福岡県工業技術センター研究報告 No.22(2012)
本発明の目的は、ニッケル微粒子の焼結時の熱収縮を抑制し、焼結開始温度を高めることである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ニッケル微粒子の耐焼結性を向上させるために、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を、ニッケル微粒子に複合化することが有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の複合ニッケル微粒子は、ニッケル元素を含有するマトリックス部と、該マトリックス部に固定されたアナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と、を備えている。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記複合ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径が20nm〜150nmの範囲内にあり、前記金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径が5nm〜15nmの範囲内にあってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、全質量に対して金属換算の金属元素を90質量%以上含有するものであってもよく、金属換算の金属元素の全質量に対し、ニッケル元素を95質量%以上、チタン元素を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、ニッケル元素に対し、チタン元素を0.1〜5.6質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記金属酸化物微粒子が、希土類金属又はアルカリ土類金属の元素を含むものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、金属換算の金属元素の全質量に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素の合計が0.1〜5.0質量%の範囲内にあってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、ニッケル元素に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素の合計が0.1〜5.6質量%の範囲内にあってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子は、前記マトリックス部の表面に、硫黄含有化合物又は硫黄元素が被覆されていてもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子において、前記マトリックス部は、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させて得られるものであってもよく、前記金属酸化物微粒子は、前記ニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させる過程において固定されたものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、ニッケル元素を含有するマトリックス部と、該マトリックス部に固定された金属酸化物微粒子と、を備えた複合ニッケル微粒子の製造方法である。本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、下記の工程Ia〜Ic;
Ia)ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物を加熱してニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
Ib)アナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させた金属酸化物の分散液を準備する工程、
Ic)前記錯化反応液と前記金属酸化物微粒子の分散液を混合して得られる混合物を加熱して、前記錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、ニッケル元素を含有するマトリックス部を形成するとともに、前記金属酸化物微粒子を前記マトリックス部に固定させて、複合ニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
を備えていてもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属酸化物微粒子の平均粒子径が5nm〜15nmの範囲内であってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属酸化物微粒子が、チタン元素を30〜60質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属酸化物微粒子が、希土類金属及び/又はアルカリ土類金属の元素を含むものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属酸化物微粒子が、希土類金属及び/又はアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素を合計で0.1〜5.0質量%の範囲内で含有するものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記金属酸化物微粒子が、前記ニッケル塩に含まれるニッケル元素100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内で添加されるものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記複合ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径が、20nm〜150nmの範囲内であってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記工程Icにおける加熱が、マイクロ波照射によるものであってもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法は、前記工程Icで得られた複合ニッケル微粒子のスラリーに、硫黄含有化合物を更に添加することによって、前記マトリックス部の表面に、硫黄含有化合物又は硫黄元素により被覆された複合ニッケル微粒子を得る工程を備えていてもよい。
本発明の複合ニッケル微粒子によれば、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子が、ニッケル微粒子に固定化されているため、焼結時に複合ニッケル微粒子の急激な収縮を効果的に抑制できる。従って、例えば積層セラミックコンデンサの製造過程で、焼結時のデラミネーションやクラック等の欠陥の発生を防ぐことができる。このような複合ニッケル微粒子は、積層セラミックコンデンサの内部電極の材料などの用途に好適に用いることができる。
また、本発明の複合ニッケル微粒子の製造方法によれば、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子が高い分散性を保持した状態の分散液を、マトリックス部を合成するための錯化反応液に混合し、加熱する。これによって、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子が比較的均一な分布でマトリクス部に固定されるため、耐焼結性に優れた複合ニッケル微粒子を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る複合ニッケル微粒子の模式図である。 実施例1−1で得られた複合ニッケル微粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)写真である。 実施例1−1で得られた複合ニッケル微粒子のXPS(X線光電子分光分析)のチャートを示す図面である。 比較例1で得られたニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例1−1〜1−3で得られた複合ニッケル微粒子及び比較例1で得られた金属ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例2−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1で得られた複合ニッケル微粒子のXPS(X線光電子分光分析)のチャートを示す図面である。 実施例2−1〜2−3で得られた複合ニッケル微粒子及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例1−1、2−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例1で得られた金属ニッケル微粒子及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例3−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 参考例2で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、3−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子、参考例1で得られた混合粉末及び参考例2で得られた複合ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例4−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、4−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例5−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例1−1、5−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例1で得られた金属ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例6−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、6−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例7−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、7−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例8−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、8−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例9−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、9−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例10−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例1−1、10−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例1で得られた金属ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例11−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、11−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例12−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、12−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。 実施例13−1で得られた複合ニッケル微粒子のSEM(走査型電子顕微鏡)写真である。 実施例2−1、13−1で得られた複合ニッケル微粒子、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子の熱機械分析(TMA)の測定結果である。
[複合ニッケル微粒子]
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、ニッケル元素を含有するマトリックス部1と、該マトリックス部1に固定されたアナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子10と、を備えている。
<マトリックス部>
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100において、マトリックス部1は、例えば球状、疑似球状等の形状の微粒子であり、主成分としてニッケル元素を含有する。マトリックス部1は、ニッケル以外の元素を含有するものできる。ニッケル以外の金属としては、例えば、チタン、コバルト、銅、クロム、マンガン、鉄、アルミニウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、ジルコニウム、スズ、タングステン、モリブデン、バナジウム、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、シリコン、アルミニウム、リン等の卑金属、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、ネオジウム、ニオブ、ホロニウム、ディスプロヂウム、イットリウム等の貴金属、希土類金属を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上含有していてもよく、また水素、炭素、窒素、硫黄、ボロン等の金属元素以外の元素を含有していてもよいし、これらの合金であってもよい。
マトリックス部1は、後述するように、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させて得られるものであることが好ましい。そして、金属酸化物微粒子は、ニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させる過程において固定されたものであることが好ましい。
マトリックス部1の表面は、硫黄含有化合物又は硫黄元素によって被覆されていることが好ましい。硫黄含有化合物又は硫黄元素による被覆は、後述するように、複合ニッケル微粒子100に硫黄粉末又は硫黄含有化合物を添加することによって可能となる。
<金属酸化物微粒子>
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100において、金属酸化物微粒子10は、アナターゼ型酸化チタンを含有する。アナターゼ型酸化チタンは、結晶性が高く、アナターゼ型酸化チタンを含む金属酸化物微粒子10を固定化した複合ニッケル微粒子100は、分散性に優れる。酸化チタンの結晶構造がルチル型やブルッカイト型の場合は高い分散効果は得られない。また、後述する製造方法によって、アナターゼ型酸化チタンが高分散状態にある分散液をマトリックス部1の原料となるニッケル塩及び有機アミンを含む混合物に添加すると、マトリックス部1の表面において、金属酸化物微粒子10がほぼ均等な分布で固定されるので、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を向上させることができる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100において、金属酸化物微粒子10は、チタン以外の遷移金属元素を含むことが好ましい。そのような遷移金属元素としては、例えば、スカンジウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛等の第一遷移元素(3d遷移元素);イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム等の第二遷移元素(4d遷移元素);セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等の第三遷移元素(4f遷移元素)などを挙げることができる。これらの中でも、希土類金属元素を含むことがより好ましい。希土類金属元素としては、例えばスカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムなどを挙げることができる。これらの遷移金属元素は2種以上を含有することもできる。これらの遷移金属元素は、ドープ元素としてアナターゼ型酸化チタン結晶に固溶し、金属酸化物微粒子10の複合化による複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を促進させる働きを有する。
また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100において、金属酸化物微粒子10は、アルカリ土類金属元素を含有することが好ましい。アルカリ土類金属元素としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウム等を挙げることができる。これらのアルカリ土類金属元素は、2種以上を含有することもできるし、上記遷移金属元素とともに含有してもよい。これらのアルカリ土類金属元素は、ドープ元素としてアナターゼ型酸化チタン結晶に固溶し、金属酸化物微粒子10の複合化による複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を促進させる働きを有する。
<複合ニッケル微粒子の形態>
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100において、金属酸化物微粒子10は、マトリックス部1に固定化された状態で存在し、好ましくは、マトリックス部1にほぼ均等な分布で固定化されている。ここで、「固定化」とは、金属酸化物微粒子10がマトリックス部1に固着している状態であり、金属酸化物微粒子10の一部分もしくは全体がマトリックス部1に埋包された状態を含む。金属酸化物微粒子10が、マトリックス部1に固定化された状態で存在することによって、金属酸化物微粒子10が脱離しにくくなり、良好な耐焼結性を発揮できる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径は、20nm〜150nmの範囲内が好ましく、40〜150nmの範囲内がより好ましい。ここで、「複合ニッケル微粒子100の一次粒子」とは、マトリックス部1と、そこに固定化された金属酸化物微粒子10との両方を含む状態を意味する。複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径が20nmを下回ると、比表面積が増大し、表面自由エネルギーの増大により焼結開始温度が低温化し、凝集粒子が増大する。また、複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径が20nmを下回ると、誘電体層とのデラミネーションが激しくなることから例えばMLCCの内部電極材料としての実用性を欠くとともに、脱バインダー時の加熱で複合ニッケル微粒子100同士が凝集又溶融しやすくなり、また酸素を取り込みやすくなるため、複合ニッケル微粒子100の体積膨張や収縮変化が大きくなる。一方、MLCCの内部電極材料として、従来は、平均粒子径が200nm以上の複合ニッケル微粒子100が使用されていたが、内部電極層の薄膜化に伴い150nm以下の平均粒子径の複合ニッケル微粒子100が求められている。すなわち、複合ニッケル微粒子100の平均粒子径が150nmを上回ると、最小径の粒子及び最大径の粒子の分布幅が大きくなり、薄膜化したMLCCの内部電極材料に利用した場合に、巨大粒子の存在によりショート不良を起こしやすい。
また、金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径は、例えば5nm〜15nmの範囲内にあることが好ましく、5nm〜10nmの範囲内がより好ましい。金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径が5nmを下回ると、耐焼結性を改善する効果が十分に得られなくなる。また、金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径が15nmを超えると、金属酸化物微粒子10の吸着サイト減少に伴う金属酸化物微粒子10の固定数量の減少や、マトリックス部1への不均一な固定化(固定ムラ)の原因となる。また、金属酸化物微粒子10をマトリックス部1に固定しやすくするため、複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径と金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径の関係(平均粒子径の比)を考慮することが好ましい。かかる観点から、例えば、複合ニッケル微粒子100の一次粒子の平均粒子径は、金属酸化物微粒子10の一次粒子の平均粒子径に対して、3倍以上とすることが好ましく、4倍以上とすることがより好ましい。
なお、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、粒子径の変動係数(CV)が0.25以下であることが好ましい。変動係数を0.25以下とすることで、MLCCの製造過程で、ペースト塗布後の乾燥塗膜の表面平滑性が得られやすい。
<組成>
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、全質量に対して金属換算の金属元素を90質量%以上含有することが好ましい。複合ニッケル微粒子100中の金属元素の含有量が90質量%未満であると、電気抵抗が大きくなり、例えばMLCCの内部電極材料用途として好ましくない。なお、以下の説明において、各種元素の含有量は、複合ニッケル微粒子100の元素分析により確認することができる。
また、複合ニッケル微粒子100は、金属換算の金属元素の全質量に対し、ニッケル元素を95質量%以上含有することが好ましく、95〜97質量%の範囲内とすることがより好ましい。金属換算の金属元素の全質量に対するニッケル元素の含有量が95質量%未満であると、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、金属換算の金属元素の全質量に対し、チタン元素を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することが好ましく、2.0〜4.0質量%の範囲内とすることがより好ましい。金属換算の金属元素の全質量に対するチタン元素の含有量が、0.1質量%未満であると、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を改善する効果が不十分になる傾向があり、5.0質量%を超えると、逆に焼結時に体積変化が生じやすくなる傾向がある。
また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、ニッケル元素に対し、チタン元素を0.1〜5.6質量%の範囲内で含有することが好ましく、2.0〜4.5質量%の範囲内とすることがより好ましい。ニッケル元素に対するチタン元素の含有量が、0.1質量%未満であると、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を改善する効果が不十分になる傾向があり、5.6質量%を超えると、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、該複合ニッケル微粒子100中に含有される金属換算の金属元素の全質量に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素が合計で0.1〜5.0質量%の範囲内にあることが好ましく、2.0〜4.0質量%の範囲内とすることがより好ましい。金属換算の金属元素の全質量に対する希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素の合計が0.1質量%未満であると、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を改善する効果が不十分になる傾向があり、5.0質量%を超えると、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、複合ニッケル微粒子100中に含有するニッケル元素に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素との合計が0.1〜5.6質量%の範囲内にあることが好ましく、2.0〜4.5質量%の範囲内とすることがより好ましい。ニッケル元素に対する希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素との合計が0.1質量%未満であると、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を改善する効果が不十分になる傾向があり、5.6質量%を超えると、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、酸素元素を含有していてもよい。複合ニッケル微粒子100における酸素元素の含有量は、例えば、0.2〜2.5質量%の範囲内であり、好ましくは0.5〜2.0質量%の範囲内がよい。酸素元素の含有量が、0.2質量%未満であると、複合ニッケル微粒子100の表面活性を抑制する効果が不十分になる傾向があり、2.5質量%を超えると、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100は、硫黄元素を含有していてもよい。複合ニッケル微粒子100の硫黄元素の量は、複合ニッケル微粒子100に対し、好ましくは0.15〜0.60質量%の範囲内であり、より好ましくは0.2〜0.45質量%の範囲内である。複合ニッケル微粒子100の表面に存在する硫黄元素は、焼結時の熱収縮を効果的に抑制する作用を有する。
[複合ニッケル微粒子の製造方法]
次に、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100の製造方法について説明する。複合ニッケル微粒子100は、例えば、気相法や液相法などの方法により得られるが、その製造方法については特に限定されない。気相法は液相法に比べて製造コストが高価になりがちであるので、液相法を適用することが有利である。液相法のなかでも、粒子径分布が狭い複合ニッケル微粒子100を短時間で容易に製造する方法として、下記の工程Ia〜Icを備える方法が好ましい。
工程Ia)ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物を加熱してニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程(錯化反応液生成工程):
ニッケル塩(ニッケル前駆体)としては、例えば塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、炭酸ニッケル、カルボン酸ニッケル、Ni(acac)(β−ジケトナト錯体)、ステアリン酸ニッケル等を挙げることができる。例えば、塩化ニッケル六水和物(NiCl・6HO)は、錯体であるtrans―[NiCl(HO)]と、それに弱く結合した2個の水分子からなり、6個の水分子のうち4個のみが直接ニッケルと結合した構造を有している。このような構造のニッケル六水和物の水分子は容易にアミンなどによって置換され得るため、アミンと混合することで容易にアミン錯体を形成することができる。ニッケル前駆体の一部もしくは全部として塩化ニッケル(II)を用いることで、結晶性が高い金属ニッケルを生成することができる。
また、ニッケル塩として、還元過程での解離温度(分解温度)が比較的低いカルボン酸ニッケルを用いることも好ましい。カルボン酸ニッケルとしては、例えば炭素数が1〜12のカルボン酸ニッケルを用いることができる。カルボン酸ニッケルは、カルボキシ基が1つのモノカルボン酸であってもよく、カルボキシ基が2つ以上のカルボン酸であってもよい。また、非環式カルボン酸であってもよく、環式カルボン酸であってもよい。好ましいカルボン酸ニッケルとして、例えばギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等を用いることができる。
ニッケル塩は、任意の有機溶媒に溶解させた状態で使用することが好ましい。有機溶媒は、ニッケル塩を溶解できるものであれば、特に限定されず、例えばエチレングリコール、アルコール類、有機アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、金属塩に対して還元作用があるエチレングリコール、アルコール類、有機アミン類等の有機溶媒が好ましい。
有機アミンとしては、1級の有機アミン(以下、「1級アミン」と略称する。)が好ましい。この1級アミンは、ニッケル塩との混合物を溶解することにより、ニッケルイオンとの錯体を形成することができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)に対する還元能を効果的に発揮しやすく、加熱による還元温度が高温のニッケル塩に対して有利に使用できる。1級アミンは、ニッケルイオンとの錯体を形成できるものであれば、特に限定するものではなく、常温で固体又は液体のものが使用できる。ここで、常温とは、20℃±15℃をいう。
常温で液体の1級アミンは、ニッケル錯体を形成する際の有機溶媒としても機能する。なお、常温で固体の1級の有機アミンであっても、加熱によって液体であるか、又は有機溶媒を用いて溶解するものであれば、特に問題はない。
1級アミンは、芳香族1級アミンであってもよいが、反応液におけるニッケル錯体形成の容易性の観点からは脂肪族1級アミンが好適である。脂肪族1級アミンは、例えばその炭素鎖の長さを調整することによって生成する複合ニッケル微粒子100の粒径を制御することができる。複合ニッケル微粒子100の粒径を制御する観点から、脂肪族1級アミンは、その炭素数が6〜20程度のものから選択して用いることが好適である。炭素数が多いほど得られる複合ニッケル微粒子100の粒径が小さくなる。このようなアミンとして、例えばオクチルアミン、トリオクチルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ミリスチルアミン、ラウリルアミン等を挙げることができる。
1級アミンは、還元反応後に、生成した複合ニッケル微粒子100の固体成分と溶剤または未反応の1級アミン等を分離する洗浄工程における処理操作の容易性の観点からは室温で液体のものが好ましい。更に、1級アミンは、ニッケル錯体を還元して複合ニッケル微粒子100を得るときの反応制御の容易性の観点から、還元温度より沸点が高いものが好ましい。1級アミンの量は、ニッケル塩1molに対して2mol以上用いることが好ましく、2.2mol以上用いることがより好ましい。1級アミンの量が2mol未満では、得られる複合ニッケル微粒子100の粒子径の制御が困難となり、粒子径がばらつきやすくなる。また、1級アミンの量の上限は特にはないが、例えば生産性の観点からは20mol以下とすることが好ましい。
均一溶液での反応をより効率的に進行させるために、1級アミンとは別の有機溶媒を新たに添加してもよい。使用できる有機溶媒としては、1級アミンとニッケルイオンとの錯形成を阻害しないものであれば、特に限定するものではなく、例えば炭素数4〜30のエーテル系有機溶媒、炭素数7〜30の飽和又は不飽和の炭化水素系有機溶媒、炭素数8〜18のアルコール系有機溶媒等を使用することができる。また、マイクロ波照射による加熱条件下でも使用を可能とする観点から、使用する有機溶媒は、沸点が170℃以上のものを選択することが好ましく、より好ましくは200〜300℃の範囲内にあるものを選択することがよい。このような有機溶媒の具体例としては、例えばテトラエチレングリコール、n−オクチルエーテル等が挙げられる。
錯形成反応は室温に於いても進行することができるが、十分且つ、より効率の良い錯形成反応を行うために、例えば100℃〜165℃の範囲内に加熱して反応を行うことが好ましい。この加熱は、後に続くニッケル錯体(又はニッケルイオン)の加熱還元の過程と確実に分離し、前記の錯形成反応を完結させるという観点から、上記上限を適宜設定することができる。なお、この加熱の方法は、特に制限されず、例えばオイルバスなどの熱媒体による加熱であっても、マイクロ波照射による加熱であってもよい。
工程Ib)アナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させた金属酸化物の分散液を準備する工程(金属酸化物分散液調製工程):
本工程で使用するアナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子の平均粒子径は、例えば5nm〜15nmの範囲内にあることが好ましく、5nm〜10nmの範囲内がより好ましい。使用する金属酸化物微粒子の平均粒子径は、マトリックス部1に固定化された後の状態でも同じ粒子径となるため、上記のとおり、5nmを下回ると、耐焼結性を改善する効果が十分に得られなくなる傾向となり、15nmを超えると、金属酸化物微粒子の吸着サイト減少に伴う金属酸化物微粒子の固定数量の減少や、マトリックス部への不均一な固定化(固定ムラ)の原因となる。
本工程Ibで用いる金属酸化物微粒子は、チタン元素を30〜60質量%の範囲内で含有することが好ましい。金属酸化物微粒子におけるチタン元素の含有量が30質量%未満では、チタン元素の含有量が少ないため、酸化チタン由来のアナターゼ型を保持しにくく、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性の改善効果が十分に得られず、60重量%は、酸化チタンに該当し、これを超える量のチタン元素の含有はない。
また、本工程Ibで用いる金属酸化物微粒子は、希土類金属などの遷移金属及び/又はアルカリ土類金属の元素を含むことが好ましい。この場合、金属酸化物微粒子は、遷移金属及び/又はアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素を合計で0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することがより好ましい。金属酸化物微粒子における遷移金属及び/又はアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素との合計の含有量が0.1質量%未満では、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性の改善効果が十分に得られず、5.0質量%を超える場合は、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。これらの遷移金属元素及び/又はアルカリ土類金属は、ドープ元素としてアナターゼ型酸化チタン結晶に固溶し、複合ニッケル微粒子100の耐焼結性を促進させる働きを有する。
また、本工程Ibで用いる金属酸化物微粒子は、工程Iaのニッケル塩に含まれるニッケル元素100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内とすることが好ましい。ニッケル元素100重量部に対する金属酸化物微粒子の量が0.1重量部未満では、金属酸化物微粒子10の複合化による耐焼結性の改善効果が不十分となり、10重量部を超える場合は、電気抵抗が大きくなり、電極特性に悪影響を及ぼす傾向となる。
本工程Ibでは、金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させて金属酸化物微粒子の分散液を調製する。本工程においては、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子が高分散した状態の分散液を調製することが重要である。金属酸化物微粒子を高分散状態にしておくことによって、次の工程Icで、生成するマトリックス部1にほぼ均等な分布で金属酸化物微粒子10を固定化することが可能になる。これに対し、例えば工程Icで粉末の金属酸化物微粒子をそのまま添加すると、高分散状態が維持できず、金属酸化物微粒子同士が凝集(又は凝結)している状態のままマトリックス部1へ固定されることや、金属酸化物微粒子の分散ムラによるマトリックス部1への不均一な固定化(固定ムラ)、あるいは吸着サイト減少に伴う金属酸化物微粒子の固定量の減少により、耐焼結性の改善効果が十分に得られず好ましくない。ここで、高分散状態とは、良好な分散安定性を有する状態を意味し、例えば動的光散乱法による金属酸化物微粒子の粒度分布を測定して算出される分散粒子径(二次粒子の平均粒子径)が、分散液を作製した直後と、作製直後の分散液を温度約20℃、湿度約60%の雰囲気下で30日間静置した後とで、殆ど変化ない状態をいう。金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させる方法は、特に制限なく、例えば撹拌等の手法によって金属酸化物微粒子のスラリーを調製することができる。ここで、有機溶媒としては、金属酸化物微粒子を分散できるものであり、かつ錯化反応液と混合可能な溶媒であれば特に限定されない。有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、アルコール類、有機アミン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン等が挙げられるが、錯化反応液の調製に1級アミン等の有機アミンを用いる場合は、本工程でも有機アミンを用いることが好ましい。
工程Ic)工程Iaで得た錯化反応液と、工程Ibで得た金属酸化物微粒子の分散液を混合して得られる混合物を加熱して、錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、ニッケル元素を含有するマトリックス部1を形成するとともに、金属酸化物微粒子10を前記マトリックス部1に固定させて、複合ニッケル微粒子100のスラリーを得る工程(複合ニッケル微粒子スラリー生成工程):
本工程では、工程Iaでニッケル塩と有機溶媒との錯形成反応によって得られた錯化反応液と、工程Icで金属酸化物微粒子の分散液を混合して得られる混合物を加熱する。これによって、錯化反応液中のニッケルイオンを還元して金属ニッケルを主成分とするマトリックス部1を生成させるとともに、金属酸化物微粒子10をマトリックス部1に固定化させて、複合ニッケル微粒子100のスラリーを得ることができる。本工程における加熱の方法は、特に制限はなく、例えばヒーターによる加熱でもよく、マイクロ波照射による加熱でもよいが、マイクロ波照射によることが好ましい。なお、マイクロ波の使用波長は、特に限定するものではなく、例えば2.45GHzである。加熱温度は、得られる複合ニッケル微粒子100の形状のばらつきを抑制するという観点から、好ましくは170℃以上、より好ましくは180℃以上とすることがよい。加熱温度の上限は特にないが、処理を効率的に行う観点からは例えば270℃以下とすることが好適である。
マイクロ波照射による錯化反応液の加熱は、該反応液内の均一加熱を可能とし、かつエネルギーを媒体に直接与えることができるため、急速加熱を行なうことができる。これにより、反応液全体を所望の温度に均一にすることができ、ニッケル錯体(又はニッケルイオン)の還元、核生成、核成長各々の過程を溶液全体において同時に生じさせ、結果として粒子径分布の狭い単分散なマトリックス部1の粒子を短時間で容易に製造することができる。従って、マイクロ波照射による加熱は、特に、平均粒子径が20〜150nmの範囲内にある複合ニッケル微粒子100を製造するのに好適である。このマトリックス部1の生成過程で、金属酸化物微粒子がマトリックス部1に取り込まれ、好ましくはマトリックス部1に部分的に埋包された状態でマトリックス部1に固定化される。
均一な粒子径を有する複合ニッケル微粒子100を生成させるには、錯化反応液生成工程の加熱温度を特定の範囲内で調整し、複合ニッケル微粒子スラリー生成工程における加熱温度よりも確実に低くしておくことで、粒径・形状の整った粒子が生成し易い。例えば、錯化反応液生成工程で加熱温度が高すぎるとニッケル錯体の生成とニッケル(0価)への還元反応が同時に進行し異種の金属種が発生することで、複合ニッケル微粒子スラリー生成工程での粒子形状の整った粒子の生成が困難となるおそれがある。また、複合ニッケル微粒子スラリー生成工程の加熱温度が低すぎるとニッケル(0価)への還元反応速度が遅くなり核の発生が少なくなるため粒子が大きくなるだけでなく、複合ニッケル微粒子100の収率の点からも好ましくはない。
複合ニッケル微粒子スラリー生成工程においては、必要に応じ、前述した有機溶媒を加えてもよい。なお、前記したように、錯形成反応に使用する1級アミンを有機溶媒としてそのまま用いることが好ましい。
上記にようにして複合ニッケル微粒子100を製造することができるが、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100の製造方法は、上記Ia〜Ic工程以外に、任意の工程を含むことが可能であり、例えば、以下の工程Id及び/又は工程Ieを含むことができる。
工程Id)複合ニッケル微粒子単離工程:
本工程では、工程Icで得られた複合ニッケル微粒子スラリーを、例えば、静置分離し、上澄み液を取り除いた後、適当な溶媒を用いて洗浄し、乾燥することで、複合ニッケル微粒子100が得られる。
工程Ie)硫黄成分添加工程:
本工程では、前記工程Icで得られた複合ニッケル微粒子100のスラリーに、硫黄粉末又は硫黄含有化合物を更に添加することによって、マトリックス部1の表面が、硫黄含有化合物又は硫黄元素により被覆された複合ニッケル微粒子100を得る。この場合、硫黄含有化合物としてニッケル原子と化学結合を可能とする硫黄原子を含む官能基を有する硫黄含有有機化合物を用いることが好ましい。硫黄粉末又は硫黄含有化合物の添加は、工程Icの還元反応に続く、複合ニッケル微粒子スラリーの状態で添加してもよく、又は還元反応によって得られる複合ニッケル微粒子スラリーから、一旦、複合ニッケル微粒子100を単離した後に、複合ニッケル微粒子100を液中に分散させてスラリーの状態としてから添加してもよい。工程の簡略化の観点から、硫黄粉末又は硫黄含有化合物の添加は、工程Icの還元反応に続く、複合ニッケル微粒子スラリーの状態で添加することが好ましい。
硫黄含有有機化合物は、硫黄原子を分子内に含有する有機化合物であるが、このような有機化合物として、例えばチオール系化合物、スルフィド系化合物、チオフェン系化合物、スルホキシド系化合物、スルホン系化合物、チオケトン系化合物、スルフラン系化合物などが挙げられる。このなかでもチオール系化合物(メルカプト基を含有)、スルフィド系化合物(スルフィド基、又はジスルフィド基を含有)は、硫黄原子の活性が高いために、反応性に優れており、複合ニッケル微粒子100の表面をNi−Sの化学結合で被覆することができ、例えば複合ニッケル微粒子100の急激な加熱によっても、複合ニッケル微粒子100の表面酸化を抑えることができるので好ましい。また、複合ニッケル微粒子100の分散性を向上させるために、脂肪族系の硫黄含有有機化合物が好ましい。
メルカプト基を含有する硫黄含有有機化合物としては、複合ニッケル微粒子100の分散性の向上のために、炭化水素基を有する脂肪族チオール化合物が好ましく、より好ましくは炭素数1〜18の範囲内にある脂肪族チオール化合物がよい。
スルフィド基を含有する硫黄含有有機化合物としては、複合ニッケル微粒子100の分散性の向上のために、炭化水素基を有する脂肪族メチルスルフィド化合物が好ましく、より好ましくは炭素数2〜18の範囲内にある脂肪族メチルスルフィド化合物がよい。このような脂肪族メチルスルフィド化合物は、R−S−CHで表される。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基から選ばれる1価の置換基である。
ジスルフィド基を含有する硫黄含有有機化合物としては、複合ニッケル微粒子100の分散性の向上のために、炭化水素基を有する脂肪族ジスルフィド化合物が好ましく、より好ましくは炭素数2〜40の範囲内にある脂肪族ジスルフィド化合物がよい。このような脂肪族ジスルフィド化合物は、R−S−S―R’で表される。ここで、R、R’は独立に炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基から選ばれる1価の置換基である。
脂肪族系の硫黄含有有機化合物の好ましい具体例としては、例えばメチルチオール、エチルチオール、プロピルチオール、ブチルチオール、ヘプチルチオール、ヘキシルチオール、オクチルチオール、ノニルチオール、デシルチオール(デカンチオール)、ウンデシルチオール、ドデシルチオール(ドデカンチオール)、テトラデシルチオール(テトラデカンチオール)、ヘキサデカンチオール、オクタデシルチオール、tert−ドデシルメルカプタン、シクロヘキシルチオール、ベンジルチオール、エチルフェニルチオール、2−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、2−メルカプトメチル−1,4−ジチアン、1−メルカプト−2,3−エピチオプロパン、1−メルカプトメチルチオ−2,3−エピチオプロパン、1−メルカプトエチルチオ−2,3−エピチオプロパン、3−メルカプトチエタン、2−メルカプトチエタン、3−メルカプトメチルチオチエタン、2−メルカプトメチルチオチエタン、3−メルカプトエチルチオチエタン、2−メルカプトエチルチオチエタン、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等の1価の脂肪族チオール化合物、1,1−メタンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2−メチルシクロヘキサン−2,3−ジチオール、1,1−ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、チオリンゴ酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2−メルカプトアセテート)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、エチレングリコールビス(2−メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンビス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパンビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、1,1,1,1−テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2−メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3−メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2−ビス(2−メルカプトエチルチオ)エタン、1,2−ビス(3−メルカプトプロピル)エタン、1,3−ビス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,3−ビス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,3−ビス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、4,8−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、4,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、5,7−ジメルカプトメチル−1,11−ジメルカプト−3,6,9−トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2−メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3−メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、ビス(1,3−ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5−ジメルカプト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(メルカプトメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ジメルカプトメチル−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)ジスルフィド、4−メルカプトメチル−1,8−ジメルカプト−3,6−ジチアオクタン、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(2−メルカプトアセテート)、ヒドロキシプロピルジスルフィドビス(3−メルカプトプロピオネート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(2−メルカプトアセテート)、2−メルカプトエチルエーテルビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(2−メルカプトアセテート)、1,4−ジチアン−2,5−ジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−チオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、4,4−ジチオジブチル酸ビス(2−メルカプトエチルエステル)、チオジグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオグリコール酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2,3−ジメルカプトプロピルエステル)等の脂肪族ポリチオール化合物、ドデシルメチルスルフィド、n−デシルスルフィドなどの脂肪族スルフィド、デカンジスルフィドなどの脂肪族ジスルフィドが挙げられる。なお、これらは特に限定されるものではなく、単独又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
硫黄含有有機化合物の添加量は、複合ニッケル微粒子100のマトリックス部1の表面積を考慮して決定されるものであり、仕込み時の金属ニッケル塩のニッケル元素100質量部に対して硫黄元素として、例えば0.01〜1質量部の範囲内、好ましくは0.05〜0.8質量部の範囲内となるようにすればよい。
本実施の形態の複合ニッケル微粒子100によれば、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子10が、ニッケルを主成分とするマトリックス部1に固定化されているため、焼結時に複合ニッケル微粒子100の急激な収縮を効果的に抑制できる。従って、例えば積層セラミックコンデンサの製造過程で、焼結時のデラミネーションやクラック等の欠陥の発生を防ぐことができる。このような複合ニッケル微粒子100は、積層セラミックコンデンサの内部電極の材料などの用途に好適に用いることができる。
また、本実施の形態の複合ニッケル微粒子100の製造方法によれば、アナターゼ型の酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子が高い分散性を保持した状態の分散液を、マトリックス部1を合成するための錯化反応液に混合し、加熱することによって、金属酸化物微粒子10が比較的均一な状態でマトリクス部1に固定されるため、耐焼結性に優れた複合ニッケル微粒子100を得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりのない限り各種測定、評価は下記によるものである。
[平均粒子径の測定]
SEM(走査電子顕微鏡)により試料の写真を撮影して、その中から無作為に200個を抽出してそれぞれの面積を求め、真球に換算したときの粒子径を個数基準として一次粒子の平均粒子径を算出した。また、CV値(変動係数)は、(標準偏差)÷(平均粒子径)によって算出した。なお、CV値が小さいほど、粒子径がより均一であることを示す。
[熱機械分析(TMA)、熱重量分析(TGA)、5%熱収縮温度]
試料を5Φ×2mmの円柱状成型器に入れ、プレス成型して得られる成型体を作製し、窒素ガス(水素ガス3%含有)の雰囲気下で、熱機械分析(TMA)および熱重量分析(TGA)を行った。また、熱機械分析装置(TMA)により測定される5%熱収縮の温度を5%熱収縮温度とした。
(実施例1−1)
<錯化反応液の調製>
60.0gの酢酸ニッケル四水和物(0.24mol)に690gのオレイルアミン(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって錯化反応液1a’(ニッケルイオンの濃度;2wt%)を得た。
<マトリックス部の形成及び金属酸化物微粒子の固定>
得られた錯化反応液1a’に、ゾルゲル法で合成した酸化チタンニオブの微粒子(組成;Ti0.9Nb0.12 、分子量;84.37、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;51.1wt%、ニオブ元素;11.0wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)を加えた後、マイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分間保持することによって、複合ニッケル微粒子1aのスラリーを得た。
<洗浄及び乾燥>
得られた複合ニッケル微粒子1aのスラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて3回洗浄した後、70℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して複合ニッケル微粒子1aを得た。この複合ニッケル微粒子1aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子1aの元素分析;C;1.9、O;3.1、S;<0.1(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子1aの平均粒子径;70nm、CV値;0.15。
3)複合ニッケル微粒子1a中の金属換算の金属元素の全質量(以下、「金属成分」と記すことがある);95wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.6wt%含有、チタン元素を2.84wt%含有、ニオブ元素を0.54wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子1aのTEM(Transmission Electron Microscope、透過型電子顕微鏡)写真を図2Aに示す。図2Aより、平均粒子径が60nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンニオブの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。更に、複合ニッケル微粒子1aのXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)を測定した結果を図2Bに示す。図2B中、(a)はニッケル、(b)は酸素、(c)はチタン、(d)は炭素、(e)はニオブの測定結果である。図2Bより、TiとNbのピークが検出されたことから、マトリックス部のニッケル表面に酸化チタンニオブが存在していることが確認できる。
(実施例1−2)
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの添加量を50g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、3重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)としたこと以外、実施例1−1と同様にして、複合ニッケル微粒子1bを得た。
(実施例1−3)
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの添加量を25g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、1.5重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)とした以外、実施例1−1と同様にして、複合ニッケル微粒子1cを得た。
比較例1
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーを加えなかったこと以外、実施例1−1と同様にして、金属ニッケル微粒子1d(平均粒子径;90nm、CV値;0.15)を得た。この元素分析の結果、C;0.8、O;1.3、S;<0.1(単位は質量%)であった。また、金属ニッケル微粒子1dのSEM(Scanning Electron Microscope、走査型電子顕微鏡)写真を図3に示す。
実施例1−1〜1−3で得られた複合ニッケル微粒子1a〜1c、及び比較例1で得られた金属ニッケル微粒子1dのTMAの結果をまとめて図4に示す。
図4から、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子1a〜1c(実施例1−1〜1−3)は、金属ニッケル微粒子1d(比較例1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、しかも急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。また、これらの効果は酸化チタンニオブの微粒子の添加量の増加とともに向上することも確認できる。
(実施例2−1)
<錯化反応液の調製>
60.0gの酢酸ニッケル四水和物(0.24mol)に690gのオレイルアミン(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって錯化反応液2a’(ニッケルイオンの濃度;2wt%)を得た。
<マトリックス部の形成及び金属酸化物微粒子の固定>
得られた錯化反応液2a’に、ゾルゲル法で合成した酸化チタンニオブの微粒子(組成;Ti0.9Nb0.12、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;51.1wt%、ニオブ元素;11.0wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)を加えた後、マイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分間保持した後、この温度を保持した状態で、0.45gの1−ドデカンチオールを添加することによって、複合ニッケル微粒子2aのスラリーを得た。
<洗浄及び乾燥>
得られた複合ニッケル微粒子2aのスラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて3回洗浄した後、70℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して複合ニッケル微粒子2aを得た。この複合ニッケル微粒子2aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子2aの元素分析;C;1.6、O;3.4、S;0.4(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子2aの平均粒子径;70nm、CV値;0.19。
3)複合ニッケル微粒子2a中の金属成分;94.6wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.0wt%含有、チタン元素を3.36wt%含有、ニオブ元素を0.64wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子2aのSEM写真を図5に示す。図5より、平均粒子径が60nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンニオブの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。更に、複合ニッケル微粒子2aのXPSを測定した結果を図6に示す。図6中、(a)はニッケル、(b)は酸素、(c)はチタン、(d)は炭素、(e)はニオブの測定結果である。図6より、TiとNbのピークが検出されたことから、マトリックス部のニッケル表面に酸化チタンニオブが存在していることが確認できる。
(実施例2−2)
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの添加量を50g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、3重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)としたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子2bを得た。
(実施例2−3)
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの添加量を25g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、1.5重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)としたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子2cを得た。
比較例2
酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーを加えなかったこと以外、実施例2−1と同様にして、硫黄被覆ニッケル微粒子2d(平均粒子径;90nm、CV値;0.17)を得た。この元素分析の結果、C;0.6、O;1.6、S;0.43(単位は質量%)であった。
実施例2−1〜2−3で得られた複合ニッケル微粒子2a〜2c、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図7に示す。
図7から、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子2a〜2c(実施例2−1〜2−3)は、硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、しかも急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。また、これらの効果は酸化チタンニオブの微粒子の添加量の増加とともに向上することも確認できる。
図8は、複合ニッケル微粒子1a(実施例1−1)、複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)、金属ニッケル微粒子1d(比較例1)、及び硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)のTMAの結果を示す。
図8から、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定し、更に硫黄化合物(又は硫黄元素)をマトリックス部に被覆した複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)は、硫黄化合物被覆なしの複合ニッケル微粒子1a(実施例1−1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、しかも急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例3−1)
<錯化反応液の調製>
60.0gの酢酸ニッケル四水和物(0.24mol)に690gのオレイルアミン(2.58mol)を加え、窒素フロー下で140℃、20分間加熱することによって錯化反応液3a’(ニッケルイオンの濃度;2wt%)を得た。
<マトリックス部の形成及び金属酸化物微粒子の固定>
得られた錯化反応液3a’にマイクロ波を照射して250℃まで加熱し、その温度を5分間保持した後、この温度を保持した状態で、0.45gの1−ドデカンチオール及びゾルゲル法で合成した酸化チタンニオブの微粒子(組成;Ti0.9Nb0.12 、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;51.1wt%、ニオブ元素;11.0wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)を添加することによって、複合ニッケル微粒子3aのスラリーを得た。
<洗浄及び乾燥>
得られた複合ニッケル微粒子3aのスラリーを静置分離し、上澄み液を取り除いた後、トルエンとメタノールを用いて3回洗浄した後、70℃に維持される真空乾燥機で6時間乾燥して複合ニッケル微粒子3aを得た。この複合ニッケル微粒子3aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子3aの元素分析;C;1.5、O;2.7、S;0.38(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子3aの平均粒子径;90nm、CV値;0.18。
3)複合ニッケル微粒子3a中の金属成分;95.4wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を95.5wt%含有、チタン元素を3.83wt%含有、ニオブ元素を0.67wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子3aのSEM写真を図9に示す。図9より、平均粒子径が80nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンニオブの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
参考例1
比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dに、仕込みニッケル元素100重量部に対し、酸化チタンニオブの微粒子(組成;Ti0.9Nb0.12 、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;51.1wt%、ニオブ元素;11.0wt%)が6重量部になるように、粉末状の酸化チタンニオブの微粒子を添加し、イソプロパノール中での超音波ホモジナイザーによる5分間撹拌後、乾燥して混合粉末3dを得た。
参考例2
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子をオレイルアミンのスラリー(固形分濃度;1wt%)の100gの添加の代わりに、酸化チタンニオブの微粒子(組成;Ti0.9Nb0.12 、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;51.1wt%、ニオブ元素;11.0wt%)の粉末(乾燥)の1g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンニオブの微粒子を含有)を添加したこと以外、実施例1−1と同様にして、複合ニッケル微粒子4dを得た。この微粒子のSEM写真を図10に示す。
実施例2−1、3−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、3a、比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2d、参考例1で得られた混合粉末3d、及び参考例2で得られた複合ニッケル微粒子4dのTMAの結果をまとめて図11に示す。
図11から、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)は、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定していない混合粉末3d(参考例1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、熱収縮も緩やかであることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
また、マトリックス部の形成後に酸化チタンニオブの微粒子を固定した複合ニッケル微粒子3a(実施例3−1)は、酸化チタンニオブの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)やマトリックス部に固定していない混合粉末3d(参考例1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、しかも急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できるが、マトリックス部の形成段階で酸化チタンニオブの微粒子を添加し固定した複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)に比べるとやや低いことが確認できる。なお、酸化チタンニオブの微粒子の粉末で添加して得られた参考例2の複合ニッケル微粒子4dの耐焼結性は、混合粉末3d(参考例1)と同等であることが確認される。
(実施例4−1)
実施例2−1におけるマイクロ波照射による加熱の代わりに、マントルヒーターによる加熱としたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子4a(平均粒子径;70nm、CV値;0.17)を得た。
複合ニッケル微粒子4aのSEM写真を図12に示す。図12より、やや未反応と考えられる錯化反応液由来の不純物が多いながらも、平均粒子径が60nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンニオブの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、4−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、4a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図13に示す。
図13から、マントルヒーターによる加熱により得られた複合ニッケル微粒子4a(実施例4−1)は、マイクロ波照射による加熱により得られた複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)と同等の耐焼結性であることが確認できる。
(実施例5−1)
実施例1−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンの微粒子(組成;TiO2 、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;60.0wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例1−1と同様にして、複合ニッケル微粒子5aを得た。この複合ニッケル微粒子5aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子5aの元素分析;C;1.8、O;3.0、S;<0.1(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子5aの平均粒子径;90nm、CV値;0.21。
3)複合ニッケル微粒子5a中の金属成分;95.2wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.1wt%含有、チタン元素を3.9wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子5aのSEM写真を図14に示す。図14より、平均粒子径が80nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例1−1、5−1で得られた複合ニッケル微粒子1a、5a、及び比較例1で得られた金属ニッケル微粒子1dのTMAの結果をまとめて図15に示す。
図15から、酸化チタンの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子5a(実施例5−1)は、金属ニッケル微粒子1d(比較例1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、しかも急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例6−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンの微粒子(組成;TiO2 、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;60.0wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子6aを得た。この複合ニッケル微粒子6aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子6aの元素分析;C;1.5、O;2.9、S;0.36(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子6aの平均粒子径;90nm、CV値;0.18。
3)複合ニッケル微粒子6a中の金属成分;95.2wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.7wt%含有、チタン元素を3.4wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子6aのSEM写真を図16に示す。図16より、平均粒子径が80nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、6−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、6a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図17に示す。
各微粒子の5%熱収縮温度は、複合ニッケル微粒子2a;514℃、硫黄被覆ニッケル微粒子2d;400℃、複合ニッケル微粒子6a;400℃である。
図17から、酸化チタンの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子6a(実施例6−1)は、酸化チタンの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度は同等であるが、急激な熱収縮が抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できるが、酸化チタンニオブの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子2a(実施例2−1)に比べるとやや低いことが確認できる。また、酸化チタンニオブの微粒子と酸化チタンの微粒子とのTMAの比較から、複合ニッケル微粒子の耐焼結性は、固定される金属酸化物微粒子の種類から影響を受けることが確認できる。
(実施例7−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンタンタルの微粒子(組成;Ti0.95Ta0.052 、分子量;86.52、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;52.6wt%、タンタル元素;10.5wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンタンタルの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子7aを得た。この複合ニッケル微粒子7aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子7aの元素分析;C;1.8、O;3.3、S;0.42(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子7aの平均粒子径;92nm、CV値;0.22。
3)複合ニッケル微粒子7a中の金属成分;94.5wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.7wt%含有、チタン元素を2.75wt%含有、タンタル元素を0.55wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子7aのSEM写真を図18に示す。図18より、平均粒子径が82nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンタンタルの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、7−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、7a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図19に示す。図19から、酸化チタンタンタルの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子7a(実施例7−1)は、酸化チタンタンタルの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例8−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンイットリウムの微粒子(組成;Ti0.950.052 、分子量;81.92、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;55.5wt%、イットリウム元素;5.4wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量部の酸化チタンイットリウムの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子8aを得た。この複合ニッケル微粒子8aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子8aの元素分析;C;1.6、O;2.7、S;0.41(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子8aの平均粒子径;70nm、CV値;0.16。
3)複合ニッケル微粒子8a中の金属成分;95.3wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を96.0wt%含有、チタン元素を3.64wt%含有、イットリウム元素を0.36wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子8aのSEM写真を図20に示す。図20より、平均粒子径が60nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンイットリウムの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、8−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、8a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図21に示す。図21から、酸化チタンイットリウムの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子8a(実施例8−1)は、酸化チタンイットリウムの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例9−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンジスプロシウムの微粒子(組成;Ti0.95Dy0.052 分子量:85.60、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;53.1wt%、ジスプロシウム元素;9.5wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子9aを得た。この複合ニッケル微粒子9aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子9aの元素分析;C;2.1、O;3.0、S;0.34(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子9aの平均粒子径;92nm、CV値;0.21。
3)複合ニッケル微粒子9a中の金属成分;95.3wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を95.6wt%含有、チタン元素を3.74wt%含有、ジスプロシウム元素を0.67wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子9aのSEM写真を図22に示す。図22より、平均粒子径が82nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンジスプロシウムの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、9−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、9a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図23に示す。図23から、酸化チタンジスプロシウムの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子9a(実施例9−1)は、酸化チタンジスプロシウムの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例10−1)
実施例1−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンマンガンの微粒子(組成;Ti0.95Mn0.052 分子量:80.22、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;56.7wt%、マンガン元素;3.4wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例1−1と同様にして、複合ニッケル微粒子10aを得た。この複合ニッケル微粒子10aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子10aの元素分析;C;2.1、O;2.8、S;<0.1(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子10aの平均粒子径;80nm、CV値;0.18。
3)複合ニッケル微粒子10a中の金属成分;95.1wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を95.0wt%含有、チタン元素を4.6wt%含有、マンガン元素を0.28wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子10aのSEM写真を図24に示す。図24より、平均粒子径が70nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンマンガンの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例1−1、10−1で得られた複合ニッケル微粒子1a、10a、及び比較例1で得られた金属ニッケル微粒子1dのTMAの結果をまとめて図25に示す。図25から、酸化チタンの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子10a(実施例10−1)は、酸化チタンマンガンの微粒子を含有しない金属ニッケル微粒子1d(比較例1)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例11−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンマンガンの微粒子(組成;Ti0.95Mn0.052 分子量:80.22、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;56.7wt%、マンガン元素;3.4wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子11aを得た。この複合ニッケル微粒子11aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子11aの元素分析;C;1.7、O;3.2、S;0.36(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子11aの平均粒子径;115nm、CV値;0.22。
3)複合ニッケル微粒子11a中の金属成分;94.7wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を95.2wt%含有、チタン元素を4.5wt%含有、マンガン元素を0.27wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子11aのSEM写真を図26に示す。図26より、平均粒子径が105nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンマンガンの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、11−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、11a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図27に示す。図27から、酸化チタンの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子11a(実施例11−1)は、酸化チタンマンガンの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例12−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンマグネシウムの微粒子(組成;Ti0.95Mg0.052 分子量:78.70、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;57.8wt%、マグネシウム元素;1.5wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子12aを得た。この複合ニッケル微粒子12aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子12aの元素分析;C;1.7、O;2.5、S;0.42(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子12aの平均粒子径;102nm、CV値;0.21。
3)複合ニッケル微粒子12a中の金属成分;95.2wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を94.8wt%含有、チタン元素を5.0wt%含有、マグネシウム元素を0.2wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子12aのSEM写真を図28に示す。図28より、平均粒子径が92nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンマグネシウムの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、12−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、12a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図29に示す。図29から、酸化チタンマグネシウムの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子12a(実施例12−1)は、酸化チタンマグネシウムの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
(実施例13−1)
実施例2−1における酸化チタンニオブの微粒子のオレイルアミンのスラリーの100gを加えたことの代わりに、ゾルゲル法で合成した酸化チタンバナジウムの微粒子(組成;Ti0.950.052 分子量:80.02、アナターゼ型、平均粒子径;10nm、チタン元素;56.8wt%、バナジウム元素;3.2wt%)をオレイルアミンに分散させたスラリー(固形分濃度;1wt%)の100g(仕込みニッケル元素100重量部に対し、6重量の酸化チタンの微粒子を含有)を加えたこと以外、実施例2−1と同様にして、複合ニッケル微粒子13aを得た。この複合ニッケル微粒子13aの特徴は、次のとおりであった。
1)複合ニッケル微粒子13aの元素分析;C;1.8、O;3.1、S;0.35(単位は質量%)。
2)複合ニッケル微粒子13aの平均粒子径;81nm、CV値;0.18。
3)複合ニッケル微粒子13a中の金属成分;94.7wt%、全金属成分に対し、ニッケル元素を95.0wt%含有、チタン元素を4.7wt%含有、バナジウム元素を0.3wt%含有。
また、複合ニッケル微粒子13aのSEM写真を図30に示す。図30より、平均粒子径が71nmのマトリックス部と平均粒子径が10nmの酸化チタンバナジウムの微粒子とが複合体を形成していることが確認できる。
実施例2−1、13−1で得られた複合ニッケル微粒子2a、13a、及び比較例2で得られた硫黄被覆ニッケル微粒子2dのTMAの結果をまとめて図31に示す。図31から、酸化チタンバナジウムの微粒子をマトリックス部に固定した複合ニッケル微粒子13a(実施例13−1)は、酸化チタンバナジウムの微粒子を含有しない硫黄被覆ニッケル微粒子2d(比較例2)に比べて、5%熱収縮温度が高く、急激な熱収縮も抑えられていることから、耐焼結性が向上していることが確認できる。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
1…マトリックス部、10…金属酸化物微粒子、100…複合ニッケル微粒子

Claims (18)

  1. ニッケル元素を含有するマトリックス部と、該マトリックス部に固定されたアナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子と、を備えた複合ニッケル微粒子。
  2. 前記複合ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径は20nm〜150nmの範囲内にあり、前記金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は5nm〜15nmの範囲内にある請求項1に記載の複合ニッケル微粒子。
  3. 全質量に対して金属換算の金属元素を90質量%以上含有するとともに、金属換算の金属元素の全質量に対し、ニッケル元素を95質量%以上、チタン元素を0.1〜5.0質量%の範囲内で含有する請求項1又は2に記載の複合ニッケル微粒子。
  4. ニッケル元素に対し、チタン元素を0.1〜5.6質量%の範囲内で含有する請求項3に記載の複合ニッケル微粒子。
  5. 前記金属酸化物微粒子が、希土類金属又はアルカリ土類金属の元素を含むものである請求項3に記載の複合ニッケル微粒子。
  6. 前記複合ニッケル微粒子中の金属換算の金属元素の全質量に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素の合計が0.1〜5.0質量%の範囲内にある請求項5に記載の複合ニッケル微粒子。
  7. 前記複合ニッケル微粒子中のニッケル元素に対し、希土類金属及びアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素の合計が0.1〜5.6質量%の範囲内にある請求項6に記載の複合ニッケル微粒子。
  8. 前記マトリックス部の表面に、硫黄含有化合物又は硫黄元素が被覆されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子。
  9. 前記マトリックス部は、ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物から、湿式還元法によりニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させて得られるものであり、前記金属酸化物微粒子は、前記ニッケルイオンを還元して金属ニッケルを析出させる過程において固定されたものである請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子。
  10. ニッケル元素を含有するマトリックス部と、該マトリックス部に固定された金属酸化物微粒子と、を備えた複合ニッケル微粒子の製造方法であって、
    下記の工程Ia〜Ic;
    Ia)ニッケル塩及び有機アミンを含む混合物を加熱してニッケル錯体を生成させた錯化反応液を得る工程、
    Ib)アナターゼ型酸化チタンを含有する金属酸化物微粒子を有機溶媒に分散させた金属酸化物の分散液を準備する工程、
    Ic)前記錯化反応液と前記金属酸化物微粒子の分散液を混合して得られる混合物を加熱して、前記錯化反応液中のニッケルイオンを還元し、ニッケル元素を含有するマトリックス部を形成するとともに、前記金属酸化物微粒子を前記マトリックス部に固定させて、複合ニッケル微粒子のスラリーを得る工程、
    を備えている複合ニッケル微粒子の製造方法。
  11. 前記金属酸化物微粒子の平均粒子径が5nm〜15nmの範囲内である請求項10に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  12. 前記金属酸化物微粒子が、チタン元素を30〜60質量%の範囲内で含有するものである請求項10又は11に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  13. 前記金属酸化物微粒子が、希土類金属及び/又はアルカリ土類金属の元素を含むものである請求項10〜12のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  14. 前記金属酸化物微粒子が、希土類金属及び/又はアルカリ土類金属の元素の少なくとも1種とチタン元素を合計で0.1〜5.0質量%の範囲内で含有するものである請求項13に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  15. 前記金属酸化物微粒子が、前記ニッケル塩に含まれるニッケル元素100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内で添加される請求項10〜14のいずれか1項の記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  16. 前記複合ニッケル微粒子の一次粒子の平均粒子径が、20nm〜150nmの範囲内である請求項10〜15のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  17. 前記工程Icにおける加熱が、マイクロ波照射によるものである請求項10〜16のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
  18. 前記工程Icで得られた複合ニッケル微粒子のスラリーに、硫黄含有化合物を更に添加することによって、前記マトリックス部の表面に、硫黄含有化合物又は硫黄元素により被覆された複合ニッケル微粒子を得る工程を備えている請求項10〜17のいずれか1項に記載の複合ニッケル微粒子の製造方法。
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