JP7542914B2 - 保護部材付きウェーハの製造方法、ウェーハの加工方法、及び、保護部材 - Google Patents

保護部材付きウェーハの製造方法、ウェーハの加工方法、及び、保護部材 Download PDF

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Description

本発明は、半導体デバイスが形成されたウェーハの一方の面側に、ウェーハを保護する保護部材を密着させて保護部材付きウェーハを製造する、保護部材付きウェーハの製造方法と、保護部材付きウェーハを加工するウェーハの加工方法と、ウェーハを保護する保護部材と、に関する。
半導体ウェーハ、樹脂パッケージ基板、セラミックス基板、ガラス基板など各種の板状の被加工物を、研削装置で研削して薄化したり、切削ブレードやレーザービームで分割したりする場合、被加工物はチャックテーブルで吸引保持される。
被加工物の被保持面側がチャックテーブルの保持面と接触することによる被加工物の損傷、汚染等を防ぐ目的や、被加工物が複数のチップに分割された後に全てのチップを一括して搬送する目的の下に、通常、被加工物の被保持面側には、粘着テープ(保護部材)が貼り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2013-21017号公報
粘着テープは、一般的に、樹脂製の基材層と、樹脂製の粘着剤で形成された糊層と、の積層構造を有する。粘着テープの糊層を被保持面側に密着させて貼り付けると、粘着テープを剥離する際に、粘着剤の残渣が被加工物に残るという問題がある。
また、糊層がクッションとして作用することで、加工中に被加工物が振動しやすくなり、その結果、被加工物に欠けが生じたり、分割後のチップが飛散したりする問題がある。これに対して、糊層を無くして基材層のみとした場合、基材層に含まれているナトリウム等の金属がデバイスに侵入し、デバイスの動作不良が生じる可能性がある。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、保護部材の剥離後における粘着剤の残渣と、加工時における被加工物の振動と、を低減し、且つ、保護部材に含まれる金属によるデバイスの汚染を低減することを目的とする。
本発明の一態様によれば、円盤状のウェーハの一方の面と他方の面とのうち半導体デバイスが形成された該ウェーハの該一方の面側に該ウェーハを保護する保護部材を密着させて保護部材付きウェーハを製造する、保護部材付きウェーハの製造方法であって、支持テーブルの支持面に、板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状であり、且つ、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂を供給する樹脂供給ステップと、該熱可塑性樹脂を加熱して軟化又は溶融させながら、該熱可塑性樹脂を該支持面に沿って押し広げてシート状の保護部材を形成する保護部材形成ステップと、加熱したシート状の該保護部材の一方の面側と、該ウェーハの該一方の面側と、を互いに密着させ、該保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップと、を備える保護部材付きウェーハの製造方法が提供される。
好ましくは、該熱可塑性樹脂はポリオレフィンである。
また、好ましくは、保護部材付きウェーハの製造方法は、該保護部材付きウェーハ形成ステップの後に、該保護部材を冷却する保護部材冷却ステップを更に備える。
本発明の他の態様によれば、一方の面側に半導体デバイスが形成された円盤状のウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、支持テーブルの支持面に、板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状であり、且つ、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂を供給する樹脂供給ステップと、該熱可塑性樹脂を加熱して軟化又は溶融させながら、該熱可塑性樹脂を該支持面に沿って押し広げてシート状の保護部材を形成する保護部材形成ステップと、加熱したシート状の該保護部材の一方の面側と、該ウェーハの該一方の面側と、を互いに密着させ、保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップと、を経て形成された該保護部材付きウェーハの、該保護部材をチャックテーブルで保持した状態で該ウェーハを加工する加工ステップと、該加工ステップの後、該保護部材を該ウェーハから剥離する剥離ステップと、を備えるウェーハの加工方法が提供される。
本発明の一態様に係る保護部材付きウェーハの製造方法で使用される保護部材は、熱可塑性樹脂を加熱して軟化又は溶融させながら押し広げることにより形成されたものであり、糊層を有しない。それゆえ、ウェーハに密着させた保護部材をウェーハから剥離しても、接着剤の残渣がウェーハに残ることはない。また、保護部材が糊層を有しないので、糊層を有する保護部材を使用する場合に比べて、加工中におけるウェーハの振動を低減できる。
加えて、保護部材が糊層を有さないので、保護部材はウェーハと直接接することとなる。それゆえ、仮に、保護部材がナトリウム及び亜鉛を含有する場合、ウェーハが汚染される可能性がある。しかし、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂で保護部材を形成することにより、ウェーハに保護部材を密着させても、ナトリウム及び亜鉛による汚染の恐れが無く、これらの金属に起因するデバイスの動作不良も生じない。
ウェーハの一例を示す斜視図である。 樹脂供給ステップを説明する図である。 図3(A)は押圧体を降下させる様子を示す図であり、図3(B)は熱可塑性樹脂を加熱しながら押圧する様子を示す図である。 支持面から保護部材を剥離する様子を示す図である。 保護部材貼付ユニット等の一部断面側面図である。 保護部材をウェーハに密着させる様子を示す図である。 図7(A)は押圧体で保護部材を表面側に更に密着させる様子を示す図であり、図7(B)は保護部材付きウェーハを冷却する様子を示す図である。 保護部材を切り取る様子を示す図である。 研削装置等を示す図である。 切削装置等を示す図である。 レーザー加工装置等を示す図である。 図12(A)は分割前のウェーハから保護部材を剥離する剥離ステップを示す図であり、図12(B)は分割後のウェーハを保護部材から剥離する剥離ステップを示す図である。 ウェーハの加工方法を示すフロー図である。 図14(A)は粉状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(B)はリング状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(C)は複数のタブレット状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(D)は膜状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(E)は複数のブロック状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(F)は複数の紐状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(G)は1つの紐状の熱可塑性樹脂を示す図であり、図14(H)は1つのブロック状の熱可塑性樹脂を示す図である。 図15(A)は流動体状の熱可塑性樹脂を供給する様子を示す図であり、図15(B)は流動体状の熱可塑性樹脂を滴下する様子を示す図である。 保護部材をウェーハに密着させる変形例を示す図である。 第2の実施形態に係る保護部材付きウェーハ形成ステップを示す図である。 第2の実施形態に係る研削ステップを示す図である。 第2の実施形態に係る切削ステップを示す図である。 第2の実施形態に係るレーザービーム照射ステップを示す図である。 図21(A)は第3の実施形態に係る保護部材形成ステップを示す図であり、図21(B)は第3の実施形態に係る保護部材付きウェーハ形成ステップを示す図である。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、第1の実施形態で加工対象となる円盤状のウェーハ11について説明する。図1は、ウェーハ11の一例を示す斜視図である。
ウェーハ11は、Si(シリコン)、SiC(炭化シリコン)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)等の半導体材料で形成されている。ウェーハ11の表面11aには、複数の分割予定ライン13が格子状に設定されている。
複数の分割予定ライン13で区画された表面(一方の面)11a側の各領域には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等のデバイス(半導体デバイス)15が形成されている。各デバイス15には、複数のバンプ17が設けられている。
複数のバンプ17の各々は、金、銀、銅等の金属材料で形成されている。各バンプ17は、デバイス15と電気的に接続されており、デバイス15の略平坦な上面よりも、例えば、約100μmだけ突出している。
複数のデバイス15が配置されているウェーハ11の中央領域は、デバイス領域19aであり、デバイス領域19aの外周部は、デバイス15、バンプ17等を有さず、且つ、デバイス領域19aに比べて平坦な外周余剰領域19bで囲まれている。
なお、ウェーハ11の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば、ウェーハ11は、他の半導体、LiNbO、LiTaO等の複酸化物、サファイア、ガラス、セラミックス等の材料で形成されていてもよい。
ウェーハ11を加工する際には、表面11a側を保護するために表面11a側に保護部材23(図3(B)等参照)を密着させて貼り付ける。図2から図8を用いて、保護部材付きウェーハの製造方法について説明する。
図2は、矩形状の支持テーブル2の略平坦な支持面2a上に、熱可塑性樹脂21を供給する樹脂供給ステップS10を説明する図である。支持テーブル2は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属で形成されており、支持テーブル2の内部には、発熱体2b(図3(A)等参照)が設けられている。
発熱体2bは、例えば、金属又はセラミックスで形成された抵抗加熱式であるが、抵抗加熱式に限定されるものではなく、誘導加熱、誘電加熱等の任意の方式で熱を発してもよい。本明細書で使用される他の発熱体についても同様である。
支持テーブル2の支持面2aは、離型剤で被覆されている。離型剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene, PTFE)等のフッ素系樹脂層(不図示)が用いられる。
支持面2aを離型剤で被覆することで、支持面2a上に供給される熱可塑性樹脂21と、支持テーブル2を構成する金属材料と、の直接接触を防ぐことができ、更に、熱可塑性樹脂21で形成された保護部材23を支持面2aから剥離しやすくなるという利点がある。
樹脂供給ステップS10では、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂21(以下、単に、熱可塑性樹脂21)が使用される。熱可塑性樹脂21としては、例えば、下記の材料が使用される。
アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ビニル系樹脂、ポリアセタール、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(1-ブテン)等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン-6、ナイロン-6,6、ポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレン、エーテルポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フッ素樹脂、エチレン-不飽和カルボン酸共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル-無水マレイン酸三元共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化樹脂、並びに、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等から選択される一種又は二種以上。
なお、上記のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体を構成する不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、及び、無水イタコン酸等が例示される。ここで、エチレン-不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンと不飽和カルボン酸との2元共重合体のみならず、更に他の単量体が共重合された多元共重合体を包含するものである。エチレン-不飽和カルボン酸共重合体に共重合されていてもよい上記他の単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステルなどが例示される。
なお、加工の容易性等の観点から、熱可塑性樹脂21の融点を、40℃以上120℃以下、好ましくは50℃以上100℃以下とし、熱可塑性樹脂21の軟化点を、30℃以上80℃以下、好ましくは40℃以上70℃以下とすることが望ましい。
樹脂供給ステップS10では、任意の形態の熱可塑性樹脂21が、支持面2a上に供給される。図2に示す例では、円盤状(板状)の熱可塑性樹脂21が支持面2a上に配置される。この熱可塑性樹脂21から、シート状の保護部材23を形成する(保護部材形成ステップS20)。
保護部材形成ステップS20では、熱可塑性樹脂21を加熱して軟化又は溶融させながら、押圧体4で熱可塑性樹脂21を押圧する(図3(B)参照)。図3(A)は、押圧体4を降下させる様子を示す図であり、図3(B)は、押圧体4で熱可塑性樹脂21を加熱しながら押圧する様子を示す図である。
押圧体4は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属で形成されており、内蔵された発熱体4bを有する。押圧体4の底面は、略平坦な押圧面4aである。押圧面4aは、支持面2aと同様に、離型剤で被覆されている。
それゆえ、熱可塑性樹脂21と、押圧体4を構成する金属材料と、の直接接触を防ぐことができると共に、熱可塑性樹脂21から形成された保護部材23を、押圧面4aから剥離しやすくなる。
熱可塑性樹脂21を加熱して押圧する際には、発熱体2b及び発熱体4bを加熱し、支持面2a及び押圧面4aをそれぞれ、40℃以上120℃以下(より好ましくは50℃以上100℃以下)とする。
次いで、加熱により軟化又は溶融した熱可塑性樹脂21を押圧体4で押圧すると、熱可塑性樹脂21は、支持面2aに沿って押し広げられ、略円形の保護部材23となる。この様に、1回の押圧プロセスで1枚の保護部材23が形成される。
保護部材23は、例えば、ウェーハ11の径よりも大きい所定の径を有する。形成時の条件に応じて若干のばらつきが生じるが、保護部材23は、例えば、80μm以上200μm以下の所定の厚さを有する。
保護部材形成ステップS20の後、例えば作業者が、支持面2aから保護部材23を剥離する。なお、吸着パッドを有する搬送アーム(不図示)等を用いて、支持面2aから保護部材23を剥離してもよい。図4は、支持面2aから保護部材23を剥離する様子を示す図である。
剥離された保護部材23は、保護部材貼付ユニット10へ搬送され、上述のウェーハ11の表面11a側に貼り付けられる(保護部材付きウェーハ形成ステップS30)。ここで、図5を参照して、保護部材貼付ユニット10について説明する。
図5は、保護部材貼付ユニット10等の一部断面側面図である。保護部材貼付ユニット10は、ステンレス鋼等の金属で形成され、上方に開口部を有する凹状の下部本体10aを有する。下部本体10aの開口部の内側には、保護部材23を支持可能な環状板10bが設けられている。
環状板10bの下方には、円盤状のチャックテーブル12が設けられている。チャックテーブル12は、金属製の枠体14aを有する。枠体14aの上部には、円盤状の凹部が形成されており、この凹部には、多孔質セラミックスで形成された円盤状のポーラス板14bが固定されている。
ポーラス板14bは、枠体14aに形成されている流路14d等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)に接続している。枠体14a及びポーラス板14bの上面は、面一となり略平坦な保持面12aを構成している。
ポーラス板14bの上面には、環状溝14cが形成されている。環状溝14cは、ウェーハ11の径よりも大きな所定の内径を有しており、切り刃24c(図8参照)の逃げ溝として機能する。
下部本体10aの底部には、排気部16が設けられている。排気部16は、一端が下部本体10a内の空間に接続された円筒状の排気路16aを有する。排気路16aの他端には、エジェクタ等の吸引源16bが接続されている。
下部本体10aの上方には、下方に開口部を有する凹状の上部本体10cが配置される。上部本体10cは、下部本体10aの開口部と略同じ形状の開口部を有する。上部本体10cは、下部本体10aに対して相対的に昇降可能であり、各開口部が重なる様に下部本体10a上に上部本体10cを配置すると、外部から遮断された空間が形成される。
上部本体10cの頂部には、排気部18が設けられている。排気部18は、一端が上部本体10c内の空間に接続された円筒状の排気路18aを有する。排気路18aの他端には、エジェクタ等の吸引源18bが接続されている。
上部本体10cの頂部のうち排気部18と異なる位置には、給気部20が設けられている。給気部20は、一端が上部本体10c内の空間に接続された円筒状の給気路20aを有する。また、給気路20aには、電磁弁20bが設けられている。
なお、図5では省略しているが、上部本体10cの凹部には円盤状の押圧体22(図7参照)が配置されている。押圧体22は、ステンレス等の金属で形成されており、略平坦な押圧面22aを有する。押圧面22aは、離型剤で被覆されている。
押圧体22の内部には、発熱体22bが設けられている。押圧体22の上部には、押圧体22を上下方向に移動させるボールネジ式の上下移動機構(不図示)が連結されている。下部本体10aの外側には、切断機構24(図8参照)が配置されている。
切断機構24は、不図示の移動機構により、下部本体10aの上方に移動可能である。切断機構24は、保持面12aと略平行に配置された棒状の腕部24aを有する。腕部24aの上方には、モータ等の回転駆動源(不図示)が配置されており、回転駆動源の出力軸24bは、保持面12aに直交する向き(例えば、鉛直方向)と略平行に配置されている。
出力軸24bの下部は、腕部24aの一端と他端との間において、腕部24aに連結されており、腕部24aの一端部には、切り刃24cが連結されている。保護部材付きウェーハ形成ステップS30では、まず、保持面12aでウェーハ11の裏面(他方の面)11b側を吸引保持する。
そして、例えばシート搬送装置(不図示)を用いて保護部材23を搬送し、環状板10b上に載置する。このとき、保護部材23は、図5に示す様に、表面11aと接触しない態様で環状板10bに支持される。
例えば、保護部材23の外周部を押え部材(不図示)で環状板10bへ押え付けることで、保護部材23は、表面11aと接触しない態様で支持される。なお、押え部材を用いることに代えて、環状板10bの開口の大きさを小さくしてもよい。
具体的には、環状板10bの内周端によって規定される開口径が環状溝14cよりも僅かに大きくなる様に、環状板10bの開口を小さくしてもよい。保護部材23を載置した後、下部本体10a上に上部本体10cを配置して外部から遮断された空間を形成し、吸引源16b、18bをそれぞれ動作させる。
これにより、保護部材23及び下部本体10aで構成される第1空間10dと、保護部材23及び上部本体10cで構成される第2空間10eと、を各々1000Pa程度に減圧する。
減圧後、吸引源16b、18bの動作を停止し、第1空間10dの減圧状態を維持したまま、電磁弁20bを開状態とすることで、上部本体10cを大気開放する。これにより、上部本体10cの凹部内の気圧が急上昇して大気圧となり、気圧差により保護部材23が表面11a側へ押圧される。
押圧により、表面11a側の凹凸形状に倣う様に保護部材23を変形させて、保護部材23を表面11a側に密着させることができる。図6は、気圧差を利用して保護部材23をウェーハ11に密着させる様子を示す図である。
次いで、押圧体22を保護部材23の上方へ移動させ、加熱された押圧面22aで保護部材23を表面11a側に押圧する(図7(A)参照)。図7(A)は、押圧体22で保護部材23を表面11a側に更に密着させる様子を示す図である。
例えば、押圧体22を30℃以上80℃以下の所定の温度とし、0.2MPa以上0.8MPa以下の所定の圧力で、30秒程度押圧する。加熱及び押圧により軟化した保護部材23の一面(一方の面)23a側を表面11a側に密着させることで、表面11a側に保護部材23が貼り付けられる。
一面23a側は、保護部材23とウェーハ11との界面における空気等が除去される態様で、ウェーハ11に密着させられ、保護部材23は、大気圧によりウェーハ11に固定された状態となる。この様にして、保護部材付きウェーハ25が形成される。なお、保護部材23とウェーハ11との界面に空気を入れれば、ウェーハ11から保護部材23を容易に剥離できる。
保護部材付きウェーハ形成ステップS30の後、押圧体22を退避させ、下部本体10aを上方に移動させる。その後、自然空冷方式、強制空冷方式等により、保護部材23を冷却する(保護部材冷却ステップS40)。なお、保護部材冷却ステップS40では、冷却水を用いた水冷、ペルチェ素子等により保護部材23を冷却してもよい。
図7(B)は、保護部材付きウェーハ25を冷却する様子を示す図である。保護部材23を冷却することで、加熱時に比べて保護部材23が硬くなり、保護部材23の形状変化が抑制される。
本実施形態では、保護部材冷却ステップS40の後、切り刃24cを環状溝14cに切り込んだ状態で、出力軸24bを回転させる。これにより、保護部材23をウェーハ11と略同じ径に切り取る。図8は、保護部材23を切り取る様子を示す図である。
次に、保護部材付きウェーハ25のウェーハ11を加工する加工方法について説明する。なお、以下では、ウェーハ11と略同じ径に切り取られた保護部材23側をチャックテーブル(図9等参照)で吸引保持した状態で、ウェーハ11を加工する(加工ステップS50)。
まず、加工ステップS50の第1例として、研削装置30を用いた研削ステップを説明する。図9は、研削装置30等を示す図である。研削装置30は、チャックテーブル32を備えている。
チャックテーブル32の底部は、モータ等の回転機構(不図示)と連結されており、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転可能である。チャックテーブル32の上面は、チャックテーブル12と同様に負圧が発生する保持面32aとなっている。
保持面32aに対向するように、チャックテーブル32の上方には研削機構34が配置されている。研削機構34は、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転するスピンドル36を備えている。
スピンドル36の上方の一部は、スピンドルハウジング(不図示)内において回転可能な態様で収容されている。スピンドルハウジングには、昇降機構(不図示)が連結されており、昇降機構の移動に伴いスピンドル36も昇降する。
スピンドル36の下端側には、円盤状のホイールマウント38が固定されている。ホイールマウント38の下面には、ホイールマウント38と略同径の円環状の研削ホイール40が装着されている。
研削ホイール40は、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料で形成された円環状のホイール基台42を備えている。ホイール基台42の下面には複数の研削砥石44が設けられている。
各々の研削砥石44は、略直方体形状を有する。複数の研削砥石44は、ホイール基台42の下面の周方向において、隣り合う研削砥石44同士の間に間隙が設けられる態様で配列されている。
研削砥石44は、例えば、金属、セラミックス、樹脂等の結合材に、ダイヤモンド、cBN(cubic boron nitride)等の砥粒を混合して形成される。ただし、結合材や砥粒に制限はなく、研削砥石44の仕様に応じて適宜選択される。
保持面32aの上方のうち、研削機構34と異なる位置には、研削液46を供給するノズル48が配置されている。研削ステップ(加工ステップS50)では、まず、保護部材23を介してウェーハ11の表面11a側を保持面32aで吸引保持する。
次いで、チャックテーブル32とスピンドル36とを、それぞれ所定の方向に回転させながら、ノズル48から研削液46を供給する。スピンドル36を降下させ、裏面11b側に研削砥石44が押し当てられると、裏面11b側が研削される。
次に、加工ステップS50の第2例として、切削装置50を用いた切削ステップを説明する。図10は、切削装置50等を示す図である。切削装置50は、チャックテーブル52を備えている。
チャックテーブル52は、モータ等の回転機構(不図示)と連結されており、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転可能である。チャックテーブル52の下方には、テーブル移動機構(不図示)が設けられている。テーブル移動機構によって、チャックテーブル52は、回転機構と共に、加工送り方向(切削装置50のX軸方向)に移動可能である。
チャックテーブル52の上面は、チャックテーブル12と同様に負圧が発生する保持面52aとなっている。保持面52aの上方には、切削ユニット54が配置されている。切削ユニット54は、割り出し送り方向(切削装置50のY軸方向)と略平行に配置された円柱状のスピンドル56を有する。
スピンドル56の一部は、筒状のスピンドルハウジング(不図示)により回転可能な態様で収容されている。スピンドル56の一端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結される。
スピンドル56の他端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレード58が装着されている。図10に示す切削ブレード58は、円環状の切り刃を有するハブレス型(ワッシャー型)であるが、これに限定されず、ハブ型であってもよい。
切削ステップ(加工ステップS50)では、まず、保護部材23を介してウェーハ11の表面11a側を保持面52aで吸引保持する。次いで、チャックテーブル52の回転角度を調整して、分割予定ライン13をX軸方向と略平行に位置付ける。
そして、高速に回転させた切削ブレード58の切り刃を、1つの分割予定ライン13の延長線上に配置し、切削ブレード58の下端を保持面52aと裏面11bとの間の所定高さに位置付ける。
この状態で、切削ブレード58とチャックテーブル52とを加工送り方向に相対的に移動させると、ウェーハ11の分割予定ライン13が加工送り方向に沿って切削される。図10では、ウェーハ11が厚さ方向で部分的に切削される状態(所謂ハーフカット)を示す。但し、ウェーハ11を厚さ方向で切断する様に切削してもよい(所謂フルカット)。
次に、加工ステップS50の第3例として、レーザー加工装置60を用いたレーザービーム照射ステップを説明する。図11は、レーザー加工装置60等を示す図である。レーザー加工装置60は、チャックテーブル62を備えている。
チャックテーブル62は、モータ等の回転機構(不図示)と連結されており、Z軸方向に概ね平行な回転軸の周りに回転可能である。チャックテーブル62の下方には、テーブル移動機構(不図示)が設けられている。
テーブル移動機構は、回転機構と共にチャックテーブル62を、加工送り方向(レーザー加工装置60のX軸方向)及び割り出し送り方向(レーザー加工装置60のY軸方向)に移動させる。
チャックテーブル62の上面は、チャックテーブル12と同様に負圧が発生する保持面62aとなっている。保持面62aの上方には、パルス状のレーザービームLを照射するレーザービーム照射ユニット64が配置されている。
レーザービーム照射ユニット64は、Nd:YAG、Nd:YVO等で形成されたロッド状のレーザー媒質を含むレーザー発振器(不図示)を有する。レーザー発振器から出射されたレーザービームLは、集光レンズ等を含む所定の光学系(不図示)を経て、保持面62aに向かって略垂直に照射される。
図11では、レーザービームLが、ウェーハ11を透過する波長を有する例を示す。レーザービーム照射ステップ(加工ステップS50)では、まず、保護部材23を介してウェーハ11の表面11a側を保持面62aで吸引保持する。
次に、チャックテーブル62の回転角度を調整して、分割予定ライン13をX軸方向と略平行に位置付ける。そして、レーザービームLの集光点をウェーハ11の内部に位置付けた状態で、集光点とチャックテーブル62とを加工送り方向に沿って相対的に移動させる。
集光点近傍では多光子吸収が生じることで、ウェーハ11の集光点近傍のみが加工される。これにより、図11に示す様に、分割予定ライン13に沿って比較的脆弱な改質領域11cが形成される。
なお、レーザービームLは、ウェーハ11を透過する波長に代えて、ウェーハ11に吸収される波長を有してもよい。この場合、レーザービームLの集光点を裏面11bに位置付けた状態で、集光点を分割予定ライン13に沿って移動させることで、ウェーハ11をアブレーション加工できる。
加工ステップS50の後、保護部材23をウェーハ11の表面11a側から剥離する(剥離ステップS60)。図12(A)は、分割前のウェーハ11から保護部材23を剥離する剥離ステップS60を示す図である。
図12(A)に示す例では、金属製の環状フレーム27の開口部を塞ぐ様に、環状フレーム27の一面に貼り付けられた保護テープ29の中央部に、裏面11b側を貼り付け、次いで、保護部材23を加熱しながら、表面11a側から保護部材23を剥離する。
保護部材23は、表面11a側に密着しているだけなので、例えば、ウェーハ11の縁部において、表面11aと一面23aとの間に隙間を形成して空気を入れれば、保護部材23を表面11a側から容易に剥離できる。
剥離ステップS60では、例えば、30℃以上80℃以下に保護部材23を加熱してもよい。加熱することで保護部材23が柔軟になるので、保護部材23を剥離しやすくなる。剥離作業は、オペレーターが行っても、専用の剥離装置(不図示)を用いて行ってもよい。
なお、剥離ステップS60で使用される転写用の保護テープ29は、上述の熱可塑性樹脂21で形成されてもよく、樹脂製の基材層及び糊層を有する通常の粘着テープであってもよい。
図12(B)は、分割後のウェーハ11を保護部材23から剥離する剥離ステップS60を示す図である。この他にも、分割前のウェーハ11を保護テープ29に貼り替えること無く、分割前のウェーハ11から保護部材23を剥離してもよい。
ところで、ウェーハ11が複数のチップ(例えば、WL-CSP(Wafer Level Chip Size Package)等のデバイスチップ)31に分割されている場合、チャックテーブル(不図示)で保護部材23を吸引保持し、ピックアップ装置(不図示)で各チップ31の裏面11b側を吸引して搬送する。
なお、保護部材23を加熱した状態で、チップ31を保護部材23から剥離してもよい。図13は、保護部材付きウェーハ25の製造方法を含む、ウェーハ11の加工方法を示すフロー図である。
本実施形態の保護部材23は、熱可塑性樹脂21を加熱して軟化又は溶融させながら押し広げることにより形成されたものであり、糊層を有しない。それゆえ、ウェーハ11に密着させた保護部材23をウェーハ11から剥離しても、接着剤の残渣がウェーハ11に残ることはない。また、保護部材23が糊層を有しないので、糊層を有する保護部材に比べて、加工中におけるウェーハ11の振動を低減できる。
加えて、保護部材23が糊層を有さないので、保護部材23はウェーハ11と直接接することとなる。それゆえ、仮に、保護部材がナトリウム及び亜鉛を含有する場合、ウェーハ11が汚染されてしまう。
基材層及び糊層を有する通常の粘着テープでは、数wt%程度のナトリウムや亜鉛が、検出されることがある。ナトリウム、亜鉛等の金属は、コシがある(即ち、しなやかさ及び丈夫さを有する)粘着テープを製造するために基材層に意図的に添加されていると推測される。それゆえ、通常の粘着テープをウェーハ11に貼着すると、ウェーハ11はナトリウム等により汚染される可能性がある。
しかし、本実施形態では、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂21で保護部材23を形成する。それゆえ、ウェーハ11に保護部材23を密着させても、ナトリウム及び亜鉛による汚染の恐れが無く、これらの金属に起因するデバイス15の動作不良も生じない。
本実施形態の熱可塑性樹脂21及び保護部材23は、そもそも、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない。このことは、例えば、ICP-MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)等を用いて熱可塑性樹脂21及び保護部材23を分析しても、ナトリウム及び亜鉛が検出限界以下であることを意味する。
ところで、樹脂供給ステップS10において支持面2aに供給される熱可塑性樹脂21の形態は、板状に限定されない。図14(A)から図14(H)では、支持面2aに供給される種々の形態の熱可塑性樹脂21を示す。
図14(A)は、粉状の熱可塑性樹脂21を示す図であり、図14(B)は、リング状(塊状)の熱可塑性樹脂21を示す図であり、図14(C)は、複数のタブレット状(粒状)の熱可塑性樹脂21を示す図である。また、図14(D)は、図2に示す板状の熱可塑性樹脂21に比べて薄い膜状の熱可塑性樹脂21を示す図である。
なお、熱可塑性樹脂21が膜状又は板状である場合、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない第1の熱可塑性樹脂層(以下、第1層)と、第1層とは異なる材料で形成され第1層よりも硬い第2の熱可塑性樹脂層(以下、第2層)と、を有する積層体で、保護部材23を構成してもよい。
例えば、第1層を上述のポリオレフィン(PO)で形成し、且つ、第2層をポリエチレンテレフタレート(PET)で形成する。但し、第1層及び第2層の材料は、この例に限定されるものではない。また、保護部材23は、3層以上で形成されてもよい。
第1層がナトリウム及び亜鉛のいずれも含んでおらず、且つ、比較的柔らかい層である場合、第1層は、保護部材23の一面23a側に位置し、第2層は、一面23aとは反対側に位置する。
図14(E)は、複数のブロック状(塊状)の熱可塑性樹脂21を示す図であり、図14(F)は、複数の紐状の熱可塑性樹脂21を示す図であり、図14(G)は、1つの紐状の熱可塑性樹脂21を示す図である。
図14(H)は1つのブロック状(塊状)の熱可塑性樹脂21を示す図である。図14(H)に示す例では、角柱状の熱可塑性樹脂21の塊の一部を切断することで、直方体形状の熱可塑性樹脂21が支持面2aに供給される。
この他にも、流動体状(液体状)の熱可塑性樹脂21が支持面2aに供給されてもよい。図15(A)は、加熱押圧ユニット66を用いて流動体状の熱可塑性樹脂21を供給する様子を示す図である。加熱押圧ユニット66は、円筒状の加熱部68を有する。
加熱部68には、発熱体(不図示)が内蔵されている。この加熱部68の貫通開口には、円柱状(塊状)の熱可塑性樹脂21が挿入される。円筒の長手方向は、支持面2aに対して略垂直に配置されており、加熱部68の貫通開口の上部には、貫通開口と略同径の押圧体70が配置されている。
加熱部68の貫通開口に固体の熱可塑性樹脂21を挿入して融点以上に加熱した状態で、押圧体70で熱可塑性樹脂21を下方に押し出せば、流動体状の熱可塑性樹脂21が支持面2aに供給される。
加熱部68及び押圧体70の材料は、金属又はセラミックスで形成されてよい。この場合、加熱部68及び押圧体70のうち少なくとも熱可塑性樹脂21と接触する部分は、上述の離型剤で被覆される。
なお、加熱押圧ユニット66に代えて、図15(B)に示す様に、流動体状の熱可塑性樹脂21を支持面2aの上方から支持面2aへ滴下してもよい。図15(B)は、流動体状の樹脂を供給する樹脂供給装置72から支持面2aへ流動体状の熱可塑性樹脂21を滴下する様子を示す図である。
ところで、保護部材23をウェーハ11に密着させる場合には、保護部材23ではなくウェーハ11を押圧してもよい。例えば、保護部材貼付ユニット10で生じる気圧差を利用して、保護部材23をウェーハ11に密着させた後、ウェーハ11を円盤状の支持テーブル74へ搬送する(図16参照)。
支持テーブル74は、保護部材23の径よりも大きな径を有する円形の支持面74aを有する。なお、支持面74aは、離型剤で被覆されており、支持テーブル74には、発熱体74bが内蔵されている。支持テーブル74の上方には、円盤状の押圧体76が配置されている。
押圧体76は、ウェーハ11よりも大きな径を有し、ウェーハ11に接する円形の押圧面76aを有する。なお、押圧体76には、発熱体76bが内蔵されており、押圧体76の上部には、押圧体76を上下に移動させるボールネジ式の上下移動機構(不図示)が連結されている。
保護部材23をウェーハ11に更に密着させる際には、発熱体74b及び76bを加熱した状態で、裏面11bが上方に露出する様に支持テーブル74で支持されたウェーハ11の裏面11b側を押圧体76で押圧する。
図16は、押圧体76でウェーハ11を押圧することにより、保護部材23をウェーハ11に密着させる変形例を示す図である。なお、ウェーハ11を押圧するとき、支持テーブル74の発熱体74bを加熱しない、又は、発熱体74bを設けないとしてもよい。
比較的硬質なウェーハ11側に配置された発熱体76bのみを加熱することで、保護部材23の過剰な変形を抑制しつつ、且つ、保護部材23とウェーハ11等との密着を確保できる。これにより、保護部材付きウェーハ25を形成することもできる。
ところで、保護部材貼付ユニット10で生じる気圧差を利用して保護部材23をウェーハ11に密着させること無く、支持テーブル74及び押圧体76のみを用いて、保護部材23をウェーハ11に密着させてもよい。この場合も、支持テーブル74の発熱体74bを加熱しない、又は、発熱体74bを設けないとしてもよい。
なお、保護部材23をウェーハ11に密着させた後、図8に示す切断機構24を用いて、保護部材23をウェーハ11の外周部に沿って切断してもよい。次に、図17等を用いて第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、フレームユニット形成装置80を用いて、金属製の環状フレーム27の一面と、ウェーハ11の表面11a側と、に上述の保護部材23の一面23a側を貼り付けて、フレームユニット33(保護部材付きウェーハ25)を形成する。
フレームユニット形成装置80は、チャックテーブル82を有する。チャックテーブル82は、金属製の枠体84を有する。枠体84は、円形の中央部に凹部を有しており、この凹部には多孔質セラミックスで形成された円盤状のポーラス板86が固定されている。
枠体84の中央部の上面と、ポーラス板86の上面と、は面一になっており、略平坦な保持面82aを形成している。保持面82aの径は、ウェーハ11の径よりも大きく、環状フレーム27の開口径よりも小さい値に設定されている。
保持面82aの外周部には、保持面82aよりも所定の高さだけ低く且つ略平坦な環状の支持面84aが形成されている。保持面82aと、支持面84aと、の高さの差は、環状フレーム27の厚さからウェーハ11の厚さを差し引いた値と、略等しくなる様に調整されている。
枠体84の凹部の下方には、上述の流路14dに対応する流路84bが形成されている。また、枠体84の内部には、発熱体84cが設けられている。保持面82a及び支持面84aの上方には、図16に示す押圧体76が配置されている。押圧体76の上部には、押圧体76を上下方向に移動させるボールネジ式の上下移動機構(不図示)が連結されている。
フレームユニット33を形成する場合には、上述のS10及びS20を順次行い、次いで、保持面82aにウェーハ11を配置し、支持面84a上に環状フレーム27を配置する。
その後、押圧体76を下方に移動させ、保護部材23を介して、表面11a側及び環状フレーム27の一面側を、押圧体76で加熱及び押圧する。このとき、枠体84の発熱体84cも加熱する。これにより、保護部材23をウェーハ11及び環状フレーム27に密着させる。
図17は、第2の実施形態に係る保護部材付きウェーハ形成ステップS30を示す図である。なお、保護部材23と密着する環状フレーム27の一面側には、保護部材23と密着しやすくなる様に、凹凸が形成されていてもよい。
ところで、押圧する際に、押圧体76の発熱体76bを加熱せず、枠体84の発熱体84cのみを加熱してもよい。保護部材23側に配置された発熱体76bを加熱せず、比較的硬質なウェーハ11及び環状フレーム27側に配置された発熱体84cを加熱することで、保護部材23の過剰な変形を抑制しつつ、保護部材23とウェーハ11等との密着を確保できる。
保護部材付きウェーハ形成ステップS30の後、第1の実施形態と同様に、保護部材冷却ステップS40が行われる。なお、保護部材23が環状フレーム27の径よりも大きい場合、保護部材冷却ステップS40の後、環状フレーム27からはみ出す余分な保護部材23を切り取ってもよい。
次に、ウェーハ11をフレームユニット33の状態で加工する加工ステップS50について説明する。第2の実施形態における加工ステップS50の第1例として、研削ステップを説明する。図18は、第2の実施形態に係る研削ステップを示す図である。
研削装置88の構成は、図9に示す研削装置30と略同じである。但し、研削装置88のチャックテーブル32の側部には、環状フレーム27を挟持するための複数のクランプ90が、チャックテーブル32の周方向の異なる位置に設けられている。係る点が、研削装置30と異なる。
研削ステップでは、保護部材23を介して表面11a側を保持面32aで吸引保持し、環状フレーム27を複数のクランプ90で挟持した後、第1の実施形態の研削ステップと同様にして、裏面11b側を研削する。
次に、第2の実施形態における加工ステップS50の第2例として、切削ステップを説明する。図19は、第2の実施形態に係る切削ステップを示す図である。
切削装置92の構成は、図10に示す切削装置50と略同じである。但し、切削装置92のチャックテーブル52の側部には、複数のクランプ90がチャックテーブル52の周方向の異なる位置に設けられている。係る点が、切削装置50と異なる。
切削ステップでは、保護部材23を介して表面11a側を保持面52aで吸引保持し、環状フレーム27を複数のクランプ90で挟持した後、第1の実施形態の切削ステップと同様にして、ウェーハ11を切削する。図19では、ウェーハ11がフルカットされる例を示すが、ウェーハ11はハーフカットされてもよい。
次に、第2の実施形態における加工ステップS50の第3例として、レーザービーム照射ステップを説明する。図20は、第2の実施形態に係るレーザービーム照射ステップを示す図である。
レーザー加工装置94の構成は、図11に示すレーザー加工装置60と略同じである。但し、レーザー加工装置94のチャックテーブル62の側部には、複数のクランプ90がチャックテーブル62の周方向の異なる位置に設けられている。係る点が、レーザー加工装置60と異なる。
レーザービーム照射ステップでは、保護部材23を介して表面11a側を保持面62aで吸引保持し、環状フレーム27を複数のクランプ90で挟持した後、第1の実施形態のレーザービーム照射ステップと同様にして、ウェーハ11に改質領域11cを形成する。なお、ウェーハ11に吸収される波長を有するレーザービームを用いてウェーハ11をアブレーション加工してもよい。
加工ステップS50の後、保護部材23をウェーハ11の表面11a側から剥離する(剥離ステップS60)。剥離ステップS60では、図12(A)に示す様に、ウェーハ11を保護テープ29に貼り付け、次いで、表面11a側の保護部材23を剥離してよい。また、図12(B)に示す様に、分割後のウェーハ11を保護部材23から剥離してもよい。
本実施形態の保護部材23も糊層を有しないので、保護部材23をウェーハ11から剥離しても、接着剤の残渣がウェーハ11に残ることはない。また、保護部材23が糊層を有しないので、糊層を有する保護部材に比べて、加工中におけるウェーハ11の振動を低減できる。
加えて、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂21で保護部材23を形成するので、ウェーハ11に保護部材23を密着させても、ナトリウム及び亜鉛による汚染の恐れが無く、これらの金属に起因するデバイス15の動作不良も生じない。
次に、第3の実施形態に係る保護部材23について説明する。第3の実施形態では、円盤状の薄膜部23b(シート状の領域)と、薄膜部23bの外周部を囲む様に薄膜部23bと一体に形成された環状凸部23cと、を有する保護部材23を形成する。
第3の実施形態に係る支持テーブル2(図21(A)参照)は、ウェーハ11の径よりも大きな径を有する円形の中央支持面2aを有する。中央支持面2aの外周部には、中央支持面2aを囲む様に環状凹部2aが設けられている。
また、環状凹部2aの外周部には、環状凹部2aを囲む様に外周支持面2aが設けられている。中央支持面2a及び外周支持面2aの高さは略同じであり、環状凹部2aは、中央支持面2a及び外周支持面2aに対して窪んでいる。
環状凹部2aの深さは、例えば、上述の環状フレーム27の厚さと略同じに調整される。なお、中央支持面2a、環状凹部2a及び外周支持面2aは、離型剤で被覆されている。
薄膜部23b及び環状凸部23cを有する保護部材23を形成する場合には、中央支持面2a(及び環状凹部2a)上に、上述の熱可塑性樹脂21を供給する(樹脂供給ステップS10)。
次いで、発熱体2b及び発熱体4bを加熱し、支持面2a及び押圧面4aをそれぞれ、40℃以上120℃以下(より好ましくは50℃以上100℃以下)とする。そして、加熱により軟化又は溶融した熱可塑性樹脂21を押圧体4で押圧することで保護部材23を形成する(保護部材形成ステップS20)。
図21(A)は、第3の実施形態に係る保護部材形成ステップS20を示す図である。保護部材形成ステップS20では、保護部材23のうち中央支持面2aと接する面が、ウェーハ11の表面11aと密着する一面23aとなる。
なお、第3の実施形態に係る保護部材形成ステップS20では、金属等の硬質材料で形成された環状の芯材(不図示)を環状凹部2a内に配置してもよい。芯材と保護部材23とを一体成形することで、環状凸部23cの強度を向上できる。
保護部材形成ステップS20の後、上述の保護部材貼付ユニット10で生じる気圧差を利用して、薄膜部23bの一面23a側を表面11a側に密着させた後、フレームユニット形成装置100(図21(B)参照)を用いて、一面23a側に表面11a側を密着させる(保護部材付きウェーハ形成ステップS30)。
図21(B)は、第3の実施形態に係る保護部材付きウェーハ形成ステップS30を示す図である。フレームユニット形成装置100は円盤状のチャックテーブル102を有する。チャックテーブル102は、金属で形成された円盤状の枠体104を有する。
枠体104の上面は、保護部材23の径よりも大きな径を有する。枠体104は、円形の中央部に凹部を有しており、この凹部には多孔質セラミックスで形成された円盤状のポーラス板106が固定されている。
枠体104の凹部の下方には、上述の流路14dに対応する流路104aが形成されている。また、枠体104の内部には、発熱体104bが設けられている。枠体104の上面と、ポーラス板106の上面と、は面一になっており、略平坦な保持面102aを形成している。
保持面102aの上方には、円盤状の押圧体108が配置されている。押圧体108は、ウェーハ11よりも大きく、且つ、環状凸部23cの内径よりも小さな径を有し、ウェーハ11に接する円形の押圧面108aを有する。
なお、押圧体108には、発熱体108bが内蔵されており、押圧体108の上部には、押圧体108を上下に移動させるボールネジ式の上下移動機構(不図示)が連結されている。
保護部材23をウェーハ11に更に密着させる際には、発熱体104b及び108bを加熱した状態で、裏面11bが上方に露出する様にチャックテーブル102で支持されたウェーハ11の裏面11b側を押圧体108で押圧する。
なお、このとき、チャックテーブル102の発熱体104bを加熱しない(又は、そもそも、発熱体104bを設けない)としてもよい。比較的硬質なウェーハ11側に配置された発熱体108bのみを加熱することで、保護部材23の過剰な変形を抑制しつつ、保護部材23とウェーハ11等との密着を確保できる。
ところで、保護部材貼付ユニット10を用いて保護部材23をウェーハ11に密着させること無く、フレームユニット形成装置100のみを用いて、保護部材23をウェーハ11に密着させて保護部材付きウェーハ25を形成してもよい。この場合も、発熱体104bを加熱しない、又は、発熱体104bを設けないとしてもよい。
保護部材付きウェーハ形成ステップS30の後、保護部材冷却ステップS40を経て、加工ステップS50(研削ステップ(図18参照)、切削ステップ(図19参照)及びレーザービーム照射ステップ(図20参照))が行われる。その後、ウェーハ11から保護部材23を剥離する(剥離ステップS60)。
本実施形態の保護部材23も糊層を有しないので、保護部材23をウェーハ11から剥離しても、接着剤の残渣がウェーハ11に残ることはない。また、保護部材23が糊層を有しないので、糊層を有する保護部材に比べて、加工中におけるウェーハ11の振動を低減できる。
加えて、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂21で保護部材23を形成するので、ウェーハ11に保護部材23を密着させても、ナトリウム及び亜鉛による汚染の恐れが無く、これらの金属に起因するデバイス15の動作不良も生じない。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。一例において、熱可塑性樹脂21は、無機材料又は有機材料で形成され、且つ、熱可塑性樹脂21よりも熱膨張係数が小さいフィラーを含んでもよい。
無機材料としては、溶融シリカ、結晶性シリカ等が用いられる。熱可塑性樹脂21にフィラーを混合させることにより、冷却時の保護部材23の収縮を低減できるので、保護部材23に密着しているウェーハ11の撓み、変形等を防止できる。
熱可塑性樹脂21には、フィラー等の充填剤に加えて、(1)酸化防止剤、(2)光による劣化(変質)を防止するための光安定剤、(3)染料、顔料、蛍光剤と樹脂とを接着するためのバインダー樹脂、(4)帯電防止剤、(5)フィラー等の無機材料と有機材料との相溶性を向上させるためのシランカップリング剤、(6)離型剤、(7)剥離性を促進するための界面活性剤、(8)保護部材23の有無、厚さ等を検出したり、保護部材23の剥離後の残渣を確認したりするための、染料、顔料又は蛍光剤、(9)紫外線吸収剤等の種々の配合剤を添加してもよい。
また、熱可塑性樹脂21には、充填剤及び配合剤のいずれかに加えて、又は、これらに代えて、熱可塑性樹脂21とは異なる各種の熱可塑性樹脂を添加してもよい。この場合、熱可塑性樹脂21は、熱可塑性樹脂組成物となって、保護部材23を形成する。
2:支持テーブル、2a:支持面
2a:中央支持面、2a:環状凹部、2a:外周支持面、2b:発熱体
4:押圧体、4a:押圧面、4b:発熱体
10:保護部材貼付ユニット、10a:下部本体、10b:環状板、10c:上部本体
10d:第1空間、10e:第2空間
11:ウェーハ、11a:表面、11b:裏面、11c:改質領域
12:チャックテーブル、12a:保持面
13:分割予定ライン
14a:枠体、14b:ポーラス板、14c:環状溝、14d:流路
15:デバイス
16:排気部、16a:排気路、16b:吸引源
17:バンプ
18:排気部、18a:排気路、18b:吸引源
19a:デバイス領域、19b:外周余剰領域
20:給気部、20a:給気路、20b:電磁弁
21:熱可塑性樹脂
22:押圧体、22a:押圧面、22b:発熱体
23:保護部材、23a:一面、23b:薄膜部、23c:環状凸部
24:切断機構、24a:腕部、24b:出力軸、24c:切り刃
25:保護部材付きウェーハ、27:環状フレーム、29:保護テープ
30:研削装置
31:チップ
32:チャックテーブル、32a:保持面
33:フレームユニット
34:研削機構、36:スピンドル、38:ホイールマウント、40:研削ホイール
42:ホイール基台、44:研削砥石、46:研削液、48:ノズル
50:切削装置、52:チャックテーブル、52a:保持面
54:切削ユニット、56:スピンドル、58:切削ブレード
60:レーザー加工装置、62:チャックテーブル、62a:保持面
64:レーザービーム照射ユニット
66:加熱押圧ユニット、68:加熱部、70:押圧体、72:樹脂供給装置
74:支持テーブル、74a:支持面、74b:発熱体
76:押圧体、76a:押圧面、76b:発熱体
80:フレームユニット形成装置、82:チャックテーブル、82a:保持面
84:枠体、84a:支持面、84b:流路、84c:発熱体、86:ポーラス板
88:研削装置、90:クランプ、92:切削装置、94:レーザー加工装置
100:フレームユニット形成装置、102:チャックテーブル、102a:保持面
104:枠体、104a:流路、104b:発熱体、106:ポーラス板
108:押圧体、108a:押圧面、108b:発熱体
L:レーザービーム

Claims (4)

  1. 円盤状のウェーハの一方の面と他方の面とのうち半導体デバイスが形成された該ウェーハの該一方の面側に該ウェーハを保護する保護部材を密着させて保護部材付きウェーハを製造する、保護部材付きウェーハの製造方法であって、
    支持テーブルの支持面に、板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状であり、且つ、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂を供給する樹脂供給ステップと、
    該熱可塑性樹脂を加熱して軟化又は溶融させながら、該熱可塑性樹脂を該支持面に沿って押し広げてシート状の該保護部材を形成する保護部材形成ステップと、
    加熱したシート状の該保護部材の一方の面側と、該ウェーハの該一方の面側と、を互いに密着させ、該保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップと、を備えることを特徴とする保護部材付きウェーハの製造方法。
  2. 該熱可塑性樹脂はポリオレフィンであることを特徴とする請求項1に記載の保護部材付きウェーハの製造方法。
  3. 該保護部材付きウェーハ形成ステップの後に、該保護部材を冷却する保護部材冷却ステップを更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の保護部材付きウェーハの製造方法。
  4. 一方の面側に半導体デバイスが形成された円盤状のウェーハを加工するウェーハの加工方法であって、
    支持テーブルの支持面に、板状、粉状、塊状、紐状、粒状、膜状又は流動体状であり、且つ、ナトリウム及び亜鉛のいずれも含まない熱可塑性樹脂を供給する樹脂供給ステップと、該熱可塑性樹脂を加熱して軟化又は溶融させながら、該熱可塑性樹脂を該支持面に沿って押し広げてシート状の保護部材を形成する保護部材形成ステップと、加熱したシート状の該保護部材の一方の面側と、該ウェーハの該一方の面側と、を互いに密着させ、保護部材付きウェーハを形成する保護部材付きウェーハ形成ステップと、を経て形成された該保護部材付きウェーハの、該保護部材をチャックテーブルで保持した状態で該ウェーハを加工する加工ステップと、
    該加工ステップの後、該保護部材を該ウェーハから剥離する剥離ステップと、を備えることを特徴とするウェーハの加工方法。
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