以下、軌道回路監視装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、軌道回路監視装置の一実施形態の監視対象である軌道回路の一例を示す概略構成図である。
この図1に示されている軌道回路L1は、鉄道における在線状態を検知するための、鉄道レールL1aを含む回路である。鉄道レールL1aは、駅ST1を通る場内区間A2と、場内区間A2で挟まれた閉塞区間A1に分割される。場内区間A2と閉塞区間A1との境界には信号機SG1が設置されている。また、閉塞区間A1は、更に複数の区間A11に分割されている。各区間A11には区間レールL11が設けられており、隣り合う区間A11の相互間では区間レールL11が互いに電気的に分割されている。また、各区間A11の区間レールL11には、第1の電源E11から商用周波数で2V~3Vの第1の交流電圧が印加される。そして、区間A11を列車が通過する在線時には、列車の車軸によって区間レールL11が電気的に短絡されて当該区間レールL11の電圧が「0」になる。
他方、区間レールL11の近傍には、第1の交流電圧と同じ商用周波数で100V~120Vの第2の交流電圧が第2の電源E12から印加される局部配電線L12が設置されている。また、区間レールL11は、在線状態を検出するための軌道リレーL13における軌道コイルL131に接続され、局部配電線L12は、この軌道リレーL13における局部コイルL132に接続されている。
軌道回路L1では、在線時に区間レールL11の電圧が「0」になることを受けて軌道リレーL13が動作することで区間A11に列車が在線していることが検知される。また、軌道回路L1では、軌道コイルL131及び局部コイルL132の相互間における電圧の位相差が求められる。区間レールL11の電圧が「0」ではなく、且つ、軌道コイルL131が局部コイルL132に対して遅れ位相である場合に、当該区間A11には列車が在線していないが、進行方向の前方側の区間A11に列車が在線している前方在線であることが検知される。また、区間レールL11の電圧が「0」ではなく、且つ、軌道コイルL131が局部コイルL132に対して進み位相である場合に、当該区間A11にも進行方向の前方側の区間A11にも列車が在線していない非在線であることが検知される。
そして、軌道回路監視装置1は、軌道コイルL131及び局部コイルL132の電圧、即ち、区間レールL11の電圧V11及び局部配電線L12の電圧V12が入力され、これらの電圧V11,V12に基づいて軌道回路L1を監視する装置となっている。
図2は、図1に示されている軌道回路監視装置を示す概略構成図である。
軌道回路監視装置1は、図1に示された軌道回路L1を監視する装置であり、軌道電圧処理部11と、局部電圧処理部12と、MPU13と、RS485伝送部14と、電源部15と、発振子16と、リセットIC17と、を備えている。
軌道電圧処理部11は、図1に示された区間レールL11の電圧V11が入力され、当該電圧V11に対する信号処理を行う。
軌道電圧処理部11は、軌道用降圧回路111と、軌道用絶縁アンプ112と、第1の軌道用LPF113と、第1の軌道用HPF114と、第2の軌道用LPF115と、第2の軌道用HPF116と、軌道用反転増幅器117と、を備えている。軌道用降圧回路111は、入力された区間レールL11の電圧V11を0.99倍に降圧する回路である。軌道用絶縁アンプ112は、降圧された電圧を、軌道用降圧回路111側とは電気的に絶縁しつつ後段側へと伝達する回路である。また、この軌道用絶縁アンプ112は、入力された電圧に所定の直流オフセットを加える。この直流オフセットは、軌道電圧処理部11で最終的に得られる軌道電圧V111が常に正の値となるオフセット値に調整されている。第1の軌道用LPF113は、入力された電圧について、所定周波数(例えば219Hz)以下を通過させるローパスフィルタである。第1の軌道用LPF113の後段側に設けられた第1の軌道用HPF114は、入力された電圧について、所定周波数(例えば9.99Hz)以上を通過させるハイパスフィルタである。
また、軌道電圧処理部11には、軌道電圧V111をMPU13に伝える2つのルートが設けられている。一方は、第2の軌道用LPF115、第2の軌道用HPF116、及び軌道用反転増幅器117を介して得られる軌道電圧V111をMPU13に伝えるルートとなっている。他方は、軌道用反転増幅器117のみを介して得られる軌道電圧V111をMPU13に伝えるルートとなっている。第2の軌道用LPF115は、入力された電圧について、所定周波数(例えば66.32Hz)以下を通過させるローパスフィルタである。第2の軌道用HPF116は、入力された電圧について、所定周波数(例えば33.66Hz)以上を通過させるハイパスフィルタである。軌道用反転増幅器117は、上述の2つのルートそれぞれの最終段に設けられ、入力された電圧について、所定倍(例えば5倍)に増幅して軌道電圧V111を得てMPU13に伝える反転増幅回路である。
局部電圧処理部12は、図1に示された局部配電線L12の電圧V12が入力され、当該電圧V12に対する信号処理を行う。
局部電圧処理部12は、局部用降圧回路121と、局部用絶縁アンプ122と、局部用LPF123と、局部用HPF124と、局部用反転増幅器125と、を備えている。局部用降圧回路121は、入力された局部配電線L12の電圧V12を0.06倍に降圧する回路である。局部用絶縁アンプ122は、降圧された電圧を、局部用降圧回路121側とは電気的に絶縁しつつ後段側へと伝達する回路である。また、この局部用絶縁アンプ122は、入力された電圧に所定の直流オフセットを加える。この直流オフセットは、局部電圧処理部12で最終的に得られる局部電圧V121が常に正の値となるオフセット値に調整されている。局部用LPF123は、入力された電圧について、所定周波数(例えば219Hz)以下を通過させるローパスフィルタである。局部用LPF123の後段側に設けられた局部用HPF124は、入力された電圧について、所定周波数(例えば9.99Hz)以上を通過させるハイパスフィルタである。局部用反転増幅器125は、局部電圧処理部12の最終段に設けられ、入力された電圧について、所定倍(例えば0,75倍)に増幅して局部電圧V121を得てMPU13に伝える反転増幅回路である。
MPU13は、CPU(Central Processing Unit)等を有するマイクロプロセッサである。MPU13は、後述する各種動作等を内蔵するメモリに記憶されたプログラムにより実行する。また、MPU13は、ADコンバータ131,132,133と、UART134,135と、を備えている。
ADコンバータ131は、局部電圧処理部12における局部用反転増幅器125からの局部電圧V121の直流オフセット付きの交流波形が入力され、アナログ信号をデジタル信号に変換する。ADコンバータ132は、軌道電圧処理部11において軌道用反転増幅器117のみを経るルートからの軌道電圧V111の直流オフセット付きの交流波形が入力され、アナログ信号をデジタル信号に変換する。ADコンバータ133は、軌道電圧処理部11において第2の軌道用LPF115、第2の軌道用HPF116、及び軌道用反転増幅器117を経るルートからの軌道電圧V111の直流オフセット付きの交流波形が入力される。ADコンバータ133は、このように入力された交流波形のアナログ信号をデジタル信号に変換する。
UART134は、RS485伝送部14へ送信するパラレルデータをシリアルデータに変換し、RS485伝送部14から受信したシリアルデータをパラレルデータに変換するインターフェース回路である。UART134は、MPU13で演算された軌道回路L1の状態を表す状態情報をシリアルデータとして出力する。また、UART134は、RS485伝送部14が受信した軌道回路L1の監視に関する各種指示信号等が入力されパラレルデータとしてMPU13内に出力する。UART135は、各種設定用のPC3とシリアル通信するためにパラレルデータをシリアルデータに変換する。また、PC3から受信したシリアルデータをパラレルデータに変換する。
RS485伝送部14は、UART134から入力された情報等を外部機器2に出力する。また、RS485伝送部14は、外部機器2から入力された各種指示信号等をUART134に出力する。本実施形態では、軌道回路監視装置1と外部機器2との間はRS485規格により通信を行っているが、RS485規格に限らず、有線、無線を問わず他の通信規格であってもよい。
電源部15は、電源4から供給された電力を軌道回路監視装置1の各ブロックが必要とする電圧等に変換して供給する。
発振子16は、例えば水晶発振子により構成され、MPU13が動作するためのクロック信号を生成する。
リセットIC17は、電源4の出力電圧がMPU13の動作電圧以上になったことを監視し、MPU13へのリセット信号を解除することでMPU13を起動させる周知の回路である。
外部機器2は、軌道回路監視装置1が出力した情報を受信する。外部機器2は、RS485伝送部21と、マイコン回路22と、を備えている。RS485伝送部21は、軌道回路監視装置1から出力された情報を受信する。マイコン回路22は、マイクロプロセッサ等を備え、軌道回路監視装置1から受信した情報に基づいて、例えば内部への蓄積や監視センター等への送信等の処理を行う。
PC3は、軌道回路監視装置1の各種設定用の端末等となるコンピュータである。PC3は、設定等の必要な際に接続される。電源4は、軌道回路監視装置1へ電力(例えば直流5V)を供給する。
本実施形態では、以上に説明した軌道回路監視装置1において、以下に説明する機能ブロックが構築される。
図3は、図1に示されている軌道回路監視装置が有する機能ブロックを示す模式図である。
本実施形態の軌道回路監視装置1は、軌道電圧取得部1Aと、局部電圧取得部1Bと、位相差算出部1Cと、状態変化検出部1Dと、期間設定部1Eと、識別処理部1Fと、情報生成部1Gと、情報出力部1Hと、を備えている。
軌道電圧取得部1Aは、軌道電圧処理部11、及びMPU13のADコンバータ132,133によって構築される機能ブロックである。軌道電圧取得部1Aは、区間レールL11の電圧V11に基づいて軌道電圧V111を取得する。この軌道電圧取得部1Aは、軌道電圧V111として、直流化され、増幅され、更にデジタル値に変換されたものを取得する。
局部電圧取得部1Bは、局部電圧処理部12、及びMPU13のADコンバータ131によって構築される機能ブロックである。局部電圧取得部1Bは、局部配電線L12の電圧V12に基づいて局部電圧V121を取得する。この局部電圧取得部1Bも、局部電圧V121として、直流化され、増幅され、更にデジタル値に変換されたものを取得する。
ここで、本実施形態では、上述したように区間レールL11には、第1の電源E11から商用周波数の第1の交流電圧が印加される。また、局部配電線L12には、第2の電源E12から、第1の交流電圧と同じ商用周波数の第2の交流電圧が印加される。第1の交流電圧及び第2の交流電圧の周期は、日本における2種類の商用電源の周波数の周期である1/50秒周期と1/60秒周期の中から選択された一の周期となる。このとき、軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bは、各々、上述した2つの周期の最小公倍数の整数倍をサンプリング時間とし、当該サンプリング時間中おける一定間隔毎のサンプリング値に基づいて、軌道電圧V111及び局部電圧V121を取得する。具体的には、1/50秒周期と1/60秒周期の最小公倍数である100m秒の整数倍(ここでは1倍)である100m秒がサンプリング時間として採用されている。そして、この100m秒の間に、0.2m秒間隔で得られる500個のサンプリング値から軌道電圧V111及び局部電圧V121が軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bで取得される。軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bでは、MPU13のADコンバータ131,132,133でデジタル値に変換された軌道電圧V111及び局部電圧V121が100m秒間隔で順次に取得される。取得された軌道電圧V111及び局部電圧V121は、MPU13の内部メモリに記憶される。尚、本実施形態では、50Hz、60Hzの周期の最小の公倍数である100m秒をサンプリング時間に設定したが、公倍数であれば最小である必要はない。サンプリング時間の基準を100m秒の整数倍に設定することにより、50Hz地域では5波形分の倍数、60Hz地域では6波形分の倍数のデータを処理することができる。そのため測定データにおける波形の山欠け等がなく測定が可能となり、両者の周波数の相違による影響を除外できる。また、ここではサンプリング周期は0.2m秒に設定したが、これは使用するMPUの能力、必要とする測定精度、特に後述の位相差算出の為の局部交差時刻、軌道交差時刻、入力される交流電圧の周波数などから適宜選択される。短いサンプリング周期とすることにより更に分解能を上げることができるが、使用するMPU、ADコンバータ等を高速動作に適したものにしなければならず、測定精度、経済性などから設定する。
位相差算出部1Cは、MPU13の動作によって構築される機能ブロックであり、軌道電圧V111と局部電圧V121との位相差を算出する。算出された位相差は、MPU13の内部メモリに記憶される。
状態変化検出部1Dは、MPU13の動作によって構築される機能ブロックであり、軌道電圧V111及び上記の位相差に基づいて区間A11における在線状態の変化を検出する。
期間設定部1Eは、MPU13の動作によって構築される機能ブロックであり、状態変化検出部1Dで検出された状態変化の発生時点に基づいて、当該状態変化に伴って軌道電圧V111が不安定となる不安定期間を設定する。
識別処理部1Fは、MPU13の動作によって構築される機能ブロックである。この識別処理部1Fは、上述したようにMPU13の内部メモリに記憶された軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差について、不安定期間の期間中のものか否かを識別する。
情報生成部1Gは、MPU13の動作によって構築される機能ブロックである。この情報生成部1Gは、上記の軌道電圧V111、局部電圧V121、位相差、及び識別処理部1Fによる識別結果、に基づいて軌道回路L1の状態を表す状態情報を生成する。本実施形態では、情報生成部1Gが、内部メモリに記憶されている軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差のうち、不安定期間の期間中のものではないと判定されたものに基づいて、軌道回路L1に異常が生じているか否かを判定する。そして、状態情報として、軌道回路L1の異常に関する判定結果を含む情報を生成する。更に言えば、本実施形態では、内部メモリに記憶されている軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差のうち不安定期間の直前のものに基づいて異常判定が行われる。この判定は、軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差を所定の判定閾値と比較すること等によって行われる。そして、情報生成部1Gは、状態情報として、軌道回路L1の異常に関する判定結果を含む情報を生成する。具体的には、判定に用いた不安定期間の直前の軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差と判定結果とを含む情報が軌道回路L1の状態情報として生成される。生成された状態情報は、MPU13の内部メモリにおける、上記の軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差とは別の記憶領域に記憶される。
情報出力部1Hは、MPU13におけるUART134及びRS485伝送部14によって構築される機能ブロックであり、情報生成部1Gで生成された状態情報を出力する。本実施形態では、外部機器2からの指示に応じてMPU13の内部メモリから状態情報を読み出して外部機器2へと出力する。
次に、上述した構成の軌道回路監視装置1の動作について図4~図8を参照して説明する。
図4は、図1~図3に示されている軌道回路監視装置における軌道電圧及び局部電圧の取得から軌道回路の状態情報の生成に至るまでの処理の流れを表した模式的なフローチャートである。
電源が投入されて軌道回路監視装置1が起動すると、まず、軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bによる取得処理S11が実行されて、軌道電圧V111及び局部電圧V121がサンプリング時間毎に取得されてMPU13の内部メモリに記憶される。
次に、位相差算出部1Cが、軌道電圧V111と局部電圧V121との位相差を算出する位相差算出処理S12を実行する。位相差算出処理S12では、位相差が次のように算出される。
図5は、図4に示されている位相差算出処理において位相差が算出される様子を示す模式図である。
この図5には、0.2m秒間隔で取得される軌道電圧V111のプロット点を結んだ、当該軌道電圧V111の時間変化が描く線GL1が電圧変化の中点電圧V112(例えば軌道電圧V111の振幅の中央値)とともに図示されている。また、局部電圧V121についても、0.2m秒間隔で取得される局部電圧V121のプロット点を結んだ、当該局部電圧V121の時間変化が描く線GL2が電圧変化の中点電圧V122(例えば局部電圧V121の振幅の中央値)とともに図示されている。そして、本実施形態では、位相差が次のようにして算出される。
先ず、局部電圧V121の時間変化が描く線GL2が電圧変化の中点電圧V122と交差する局部交差時刻T12が求められる。この局部交差時刻T12は、局部電圧取得部1Bで順次に取得された局部電圧V121のうち電圧変化の中点電圧V122を相互間に挟んで取得された一対の電圧V123を用いた線形補間法によって算出される。
また、軌道電圧V111の時間変化が描く線GL1が電圧変化の中点電圧V112と交差する軌道交差時刻T11が求められる。この軌道交差時刻T11は、軌道電圧取得部1Aで順次に取得された軌道電圧V111のうち電圧変化の中点電圧V112を次のように挟んで取得された一対の電圧V113を用いた線形補間法によって算出される。ここにいう一対の電圧V113とは、局部交差時刻T12における局部電圧V121の増減変化と同じ方向について中点電圧V112を相互間に挟んで取得された一対の電圧である。
図4に示されている位相差算出処理S12では、このようにして軌道交差時刻T11及び局部交差時刻T12が求められると、局部交差時刻T12に対する軌道交差時刻T11の時間差Δtが算出される。また、局部交差時刻T12よりも前に、局部電圧V121の時間変化が描く線GL2が、当該局部交差時刻T12における局部電圧V121の増減変化と同じ方向について電圧変化の中点電圧V122と交差する時刻が求められる。この時刻と局部交差時刻T12との時間差から局部電圧V121の周期Tが算出される。尚、この周期Tは、局部電圧V121の元になった局部配電線L12への印加電圧(第2の電源E12からの第2の交流電圧)の周期と略同じとなるので、当該周期を位相差の算出に用いることとしてもよい。
局部交差時刻T12に対する軌道交差時刻T11の時間差Δt、及び局部電圧V121の周期T、が求められると、位相差θは、θ=(360/T)×Δtという式を用いて算出される。このようにして算出されたθが-符号の場合に、前方在線に対応した遅れ位相となり、+符号の場合に非在線に対応した進み位相となる。また、在線時には、軌道電圧V111がフラットになるので位相差は算出不能となり、この場合には位相差θが「0°」とされる。
図4に示されている位相差算出処理S12において上述のように位相差θが算出されると、軌道電圧V111及び位相差θに基づいて区間A11における在線状態の変化を検出する状態変化検出処理S13が状態変化検出部1Dによって実行される。
図6は、図1~図3に示されている軌道回路の一区間における在線状態の時間変化と、それに伴う軌道電圧、局部電圧、及び位相差における時間変化の一例を示すタイムチャートである。
図6の例は、複数の区間A11のうちの一の区間A11を例に挙げ、時間経過とともに列車が進行することで在線状態が、非在線、在線、前方在線、非在線の順で変化する例である。即ち、前方側の区間A11及び一の区間A11に列車が存在していない非在線から、当該一の区間A11に列車が進入して在線となり、列車が前方側の区間A11へと移動して前方在線となり、更に列車が次の区間A11へと移動して非在線となる例が示されている。
状態変化検出処理S13では、上記のような在線状態の変化が、取得処理S11で取得された軌道電圧V111及び位相差算出処理S12で算出された位相差θに基づいて把握される。
図6に示されているように、取得処理S11で取得される軌道電圧V111は交流電圧である。区間A11が非在線のときには、軌道電圧V111は、図1に示されている第1の電源E11からの第1の交流電圧に応じた交流電圧となる。この軌道電圧V111は、区間A11が在線になると区間レールL11が短絡されて振幅が0Vとなり、前方在線になると波形が反転した交流電圧となる。そして、区間A11が前方在線から非在線に変化すると波形が更に反転して軌道電圧V111は元の交流電圧に戻る。取得処理S11では、列車が進行するにつれてこのように波形が変化する軌道電圧V111が取得される。状態変化検出処理S13では、まず、このような軌道電圧V111の振幅V111aが算出される。振幅V111aは、非在線と前方在線では略同値(図6及び図7では一例として1.2V)となり、在線では0Vとなる。また、前方在線から非在線への変化時には、図1に示されている軌道リレーL13での切替動作に応じて瞬間的に0Vとなる。
ここで、取得処理S11で取得される局部電圧V121も交流電圧であるが、区間レールL11とは別に設置された局部配電線L12の電圧であるので、局部電圧V121は列車の進行の影響は受けず、一定の交流電圧の波形が維持される。このため、局部電圧V121は、図5を参照して説明したように位相差θの算出における基準として用いられる。
状態変化検出処理S13では、後述の状態情報の生成に供するために、この局部電圧V121についても、その振幅V121aが算出される。波形が変化しない局部電圧V121の振幅V121aは略一定(図6及び図7では一例として110V)の値となる。
このような振幅V111a,V121aの算出の後、状態変化検出処理S13では、在線状態の把握が行われる。この把握に、軌道電圧V111の振幅V111aと、位相差算出処理S12で算出された位相差θとが用いられる。局部電圧V121に対する軌道電圧V111の位相差θは、図6に示されているように、非在線では+90°の進み位相となり、在線では0°となり、前方在線では-90°の遅れ位相となる。状態変化検出処理S13では、まず、軌道電圧V111の振幅V111aが0Vで位相差θが0°であるか否かによって、区間A11が在線であるか否かが判定される。また、軌道電圧V111の振幅V111aが0Vを超える有値で位相差θの符号が+の進み位相であるか否かによって、区間A11が非在線であるか否かが判定される。更に、軌道電圧V111の振幅V111aが0Vを超える有値で位相差θの符号が-の遅れ位相であるか否かによって、区間A11が前方在線であるか否かが判定される。
このようにして把握される在線状態が、前回の軌道電圧V111の振幅V111aと位相差θに基づいて把握された在線状態と異なっている場合に、在線状態が変化した旨が検出される。更に、在線状態の変化が検出された場合、当該変化に至るまでの軌道電圧V111の振幅V111aの変化線が、所定の閾値V111bと交差する時点が状態変化の発生時点ST11として算出される。
図4のフローチャートでは、状態変化検出処理S13において在線状態が変化した旨が検出されると(YES判定)、次に、期間設定部1Eによる期間設定処理S14が実行される。期間設定処理S14では、状態変化検出処理S13で検出された状態変化の発生時点ST11に基づいて、当該状態変化に伴って軌道電圧V111が不安定となる不安定期間T1が設定される。
図7は、図4に示されている期間設定処理において不安定期間が設定される様子を示す模式図である。この図7の例では、在線状態が非在線→在線→前方在線→非在線に変化する際に不安定期間T1が設定される様子が、軌道電圧V111の振幅V111a及び位相差θの変化とともに示されている。また、図7には、全過程を通して略一定値となる局部電圧V121の振幅V121aも示されている。
ここで、上述した図6の例では、状態変化の発生時点ST11の算出に用いる軌道電圧V111の振幅V111aに対する閾値V111bとして、全過程を通して略一定の閾値V111bが示されている。この図6の閾値V111bは、図示の簡略化のために模式的に示したものであり、本実施形態では、厳密には、図7に示されているように2つの閾値V111b-1,V111b-2が用いられる。即ち、軌道電圧V111の振幅V111aが有値から「0」へと変化する際には、有値寄りの閾値V111b-1が用いられる。他方、軌道電圧V111の振幅V111aが「0」から有値へと変化する際には、「0」寄りの閾値V111b-2が用いられる。
上述の状態変化検出処理S13において軌道電圧V111の振幅V111aが有値から「0」又は「0」から有値への状態変化が検出され、当該状態変化の発生時点ST11が算出されると、期間設定処理S14において不安定期間T1の設定が行われる。期間設定処理S14では、状態変化の発生時点ST11を始点とした所定長さの期間T11が不安定期間T1として設定されるとともに、状態変化の発生時点ST11を終点とした所定長さの期間T12も不安定期間T1に加えられる。即ち、期間設定処理S14では、状態変化の発生時点ST11を挟んだ前後2つの期間T11,T12を合わせた期間が不安定期間T1として設定される。ここでいう不安定期間の所定長さとは、在線状態切替り最中のことであり、これは軌道リレーL13の反応速度、レール~車輪間の接触抵抗、閉塞区間の長さなどにより影響されるものであり、軌道電圧V111の振幅変化の時定数(立上り時間、立下り時間)などを考慮し予め設定される。
ここで、在線状態の変化の際には、軌道電圧V111の振幅V111aが瞬間的に「0」へと変化した後に有値へと変化する場合がある。図7には、このような変化の例が図中右寄りに示されている。
この場合、まず、「0」への変化時点、即ち見かけ上の在線への状態変化の発生時点ST21を始点とした期間T11と、発生時点ST21を終点とした期間T12とを合わせた不安定期間T1が設定される。ここで、図7には、一旦設定された不安定期間T1において、最初の状態変化の発生時点ST21以降の設定期間が延長される様子が、発生時点ST21以降の時間経過を表すグラフG11によって模式的に示されている。
グラフG11に示されているように、一度設定された不安定期間T1の期間中に、「0」から有値への状態変化が新たに検出されると、この新たな状態変化の発生時点ST22に基づいて不安定期間T1が延長される。この延長は、新たな状態変化の発生時点ST22を始点として新たな期間T11が設定し直されることによってなされる。これにより、最初の状態変化の発生時点ST21以降の期間が延長され、最初の状態変化の発生時点ST21前の期間T12と、発生時点ST21以降の延長された期間T21と、を合わせた新たな不安定期間T2が設定される。
尚、図7では、非在線→在線→前方在線の状態変化についても、状態変化の発生時点ST11以降の時間経過がグラフG11において示されている。グラフG11では、状態変化の発生時点ST11に設定された期間T11は、前方在線→非在線における状態変化の例のような延長を経ることなく満了することとなっている。
ここで、状態変化の際には、軌道電圧V111の振幅V111aの瞬間的な「0」への変化が、図7に示されているように1回ではなく、複数回に亘って繰り返される場合がある。
図8は、軌道電圧の振幅の瞬間的な「0」への変化が複数回に亘って繰り返される場合に不安定期間が設定される様子を示す模式図である。この図8にも、最初の状態変化の発生時点ST31以降の時間経過を表すグラフG21が示されている。
この図8には、軌道電圧V111の振幅V111aが、瞬間的な「0」への変化を4回に亘って繰り返す例が、局部電圧V121の振幅V121a、及び位相差θの変化とともに示されている。また、図8には、最初の状態変化の発生時点ST31以降の時間経過を表すグラフG21も示されている。
この例では、まず、有値→「0」という最初の状態変化の発生時点ST31を始点とした期間T11が設定される。続いて、その期間T11の満了前の「0」→有値という状態変化の発生時点ST32を始点として期間T11が設定し直され、以降、同様の設定のし直しによる期間延長が繰り返される。その結果、不安定期間T3は、最初の状態変化の発生時点ST31から最後の状態変化の発生時点ST33の後の期間T11の満了までの期間T31と、最初の状態変化の発生時点ST31前の期間T12とを合わせた期間となる。
ここで、本実施形態では、不安定期間T3における最初の状態変化が検出されてからの経過時間、即ち当該状態変化の発生時点ST31以降の期間T31と所定のタイムアウト閾値との比較に基づいて、在線状態に関する信号異常が生じているか否かが判定される。図8のグラフG21には、最初の状態変化の発生時点ST31以降の期間T31と所定のタイムアウト閾値とが比較される様子が最下段に示されている。この図8の例では、最初の状態変化の発生時点ST31以降の期間T31は、当該期間T31の満了前にタイムアウト閾値に達している。これは、在線状態が落ち着くことなく状態変化が短期間に繰り返されるという信号異常が生じていることを意味しており、図4に示されている期間設定処理S14ではこのような場合に在線状態に関する信号異常が生じている旨の判定を下す。このタイムアウト閾値は、あまりにも長くすると検出したい信号異常を検出できず、逆にあまりにも短いと通常起こり得るであろう状態変化でさえも異常と判定してしまう。その為、どこまでを許容範囲とするか、発生頻度、設置場所等に応じて予め設定することができる。
図4に示されているフローチャートの処理では、以上に説明した期間設定処理S14が終了すると、次に図3に示されている識別処理部1Fによって識別処理S15が実行される。この識別処理S15では、取得処理S11で取得された軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差算出処理S12で算出された位相差θについて、期間設定処理S14で設定された不安定期間の期間中に取得されたものか否かが識別される。このときの識別は、不安定期間が設定される前のものも含めて、MPU13の内部メモリに記憶されているものに対して行われる。
識別処理S15の終了後、図3に示されている情報生成部1Gによって、軌道電圧V111、局部電圧V121、位相差θ、及び識別処理部1Fによる識別結果、に基づいて軌道回路L1の状態を表す状態情報を生成する情報生成処理S16が実行される。
この情報生成処理S16では、期間設定処理S14で設定された不安定期間の直前の軌道電圧V111、局部電圧V121、位相差θと判定閾値との比較等によって軌道回路L1の異常が生じているか否かが判定される。そして、判定に用いた不安定期間の直前の軌道電圧V111、局部電圧V121、位相差θ、及び判定結果を含む情報が軌道回路L1の状態情報として生成される。生成された状態情報は、MPU13の内部メモリにおける、軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θとは別の記憶領域に記憶される。また、本実施形態では、状態変化検出処理S13で把握された在線状態や、期間設定処理S14でタイムアウトによる信号異常が判定された場合の当該異常を表す状態情報も記憶される。
情報生成処理S16の終了後、処理が取得処理S11に戻って以降の処理が繰り返される。また、状態変化検出処理S13で状態変化が検出されなかった場合(NO判定)にも、処理が取得処理S11に戻って以降の処理が繰り返される。図1~図3に示されている軌道回路監視装置1では、以上に説明した図4のフローチャートで表される処理が、電源が遮断されるまで実行され続ける。この処理によって、軌道回路L1の状態情報が次のように生成されることとなる。
図9は、図4のフローチャートで表される処理によって軌道回路の状態情報が生成される様子を、図6に示されているタイムチャートに応じて示す図である。
上述のように、図4のフローチャートで表される処理では、在線状態が変化する度に不安定期間が設定され、その不安定期間の直前の軌道電圧V111等に基づいて軌道回路L1の状態情報J11が生成される。図9に示されているように、状態情報J11には、在線状態J111、軌道電圧V111の振幅V111a、局部電圧V121の振幅V121a、及び位相差θが含まれている。そして、在線状態の変化に応じて設定された不安定期間の直前の軌道電圧V111の振幅V111a等に基づいて状態情報J11が生成される。このときに生成された状態情報J11は、次に在線状態が変化するまでMPU13の内部メモリに保持される。そして、状態変化を契機に新たに状態情報J11が生成されると、この新たな状態情報J11によって内部メモリの記憶内容が更新される。また、本実施形態では、軌道回路L1の異常が判定された場合やタイムアウトによる信号異常が判定された場合には、当該異常を表す状態情報が生成されて記憶される。
本実施形態では、このように生成されて記憶される軌道回路L1の状態情報J11が、図2に示されている外部機器2からの読出し要求に応じ、図3に示されている情報出力部1Hによって出力される。
図10は、図3に示されている情報出力部が読出し要求に応じて信号機の状態情報を出力する処理の流れを表した模式的なフローチャートである。
このフローチャートの処理は、軌道回路監視装置1に電源が投入されて起動すると開始される。すると、まず、各要素のイニシャライズS21が行われ、その後、図1に示されている外部機器2から読出し要求が送られてきたか否かを判定する判定待機状態S22となる。外部機器2からの読出し要求が無い場合(NO判定)には、判定待機状態S22が続けられる。そして、外部機器2から読出し要求が送られてくると(YES判定)、その時点で、MPU13の内部メモリに記憶されている状態情報についての情報出力処理S23が実行される。このとき、軌道回路L1の異常や在線状態に関する信号異常を表す状態情報が生成されている場合には、この状態情報も一緒に出力される。
また、本実施形態では、不安定期間の期間中に取得されて軌道回路L1の異常判定に使われることのなかった軌道電圧V111の振幅V111a、局部電圧V121の振幅V121a、及び位相差θが、状態情報とは別のメモリ領域に保管されている。そして、情報出力部1Hによる情報出力処理S23では、そのような不安定期間の期間中の軌道電圧V111の振幅V111a等についても出力が可能となっている。外部機器2からの読出し要求において、このような情報の出力が要求されている場合には、情報出力処理S23において、軌道回路L1の異常や在線状態に関する信号異常を表す状態情報と一緒に、要求された不安定期間の期間中の情報も出力されることとなる。
以上に説明した軌道回路監視装置1によれば、軌道回路L1における在線状態の変化の発生時点に基づいて不安定期間が設定される。そして、軌道回路L1の異常検知に使われる軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θについて不安定期間の期間中に取得されたものか否かが識別される。これにより、軌道電圧V111の変動が想定される不安定期間の軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θを除いた異常検知等が可能となる。そして、異常検知に関する判定閾値を厳密に設定して検知精度の低下を抑えたとしても、在線状態の変化時の軌道電圧V111の変動による軌道回路L1の異常の誤検知を抑制することができる。
ここで、本実施形態では、期間設定部1Eが、一度設定した不安定期間の期間中に状態変化検出部1Dにおいて新たな在線状態の変化が検出された場合には、その新たな在線状態の変化の発生時点に基づいて不安定期間を延長する。この構成によれば、在線状態の変化が繰り返される場合に不安定期間が延長されるので、複数回の変化を経て在線状態が変化する場合においても軌道回路L1の異常の誤検知を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、期間設定部1Eが、延長後の不安定期間において最初の在線状態の変化が検出されてからの経過時間と所定のタイムアウト閾値との比較に基づいて、在線状態に関する信号異常が生じているか否かを判定する。そして、情報生成部1Gが、状態情報に加えて、信号異常に関する判定結果を含む情報も生成する。在線状態の変化が余りにも長く続く場合には、軌道回路L1に在線状態に関する信号異常が生じている可能性が高い。上記の構成によれば、このような切替え異常が判定されて状態情報に反映されるので、軌道回路L1の異常に関する検知精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、情報生成部1Gが、不安定期間の期間中に取得されたものではないと判定された軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θに基づいて軌道回路L1の異常が生じているか否かを判定する。そして、状態情報として、軌道回路L1の異常に関する判定結果を含む情報を生成する。この構成によれば、不安定期間の期間中に取得されたものではないと判定された軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θに基づく異常判定の判定結果そのものが状態情報に反映されるので、情報の受取り側における処理負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、期間設定部1Eが、在線状態の変化の発生時点を始点とした所定長さの期間を不安定期間として設定する。この構成によれば、在線状態の変化に伴う軌道電圧V111の変動が生じる可能性が高い在線状態の変化の発生後の一定期間が不安定期間として設定されるので、軌道電圧V111の変動による軌道回路L1の異常の誤検知を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、期間設定部1Eは、在線状態の変化の発生時点を終点とした所定長さの期間も不安定期間に加える。この構成によれば、在線状態の変化の発生前の一定期間についても、予備変動的な軌道電圧V111の変動が生じる可能性を考慮して不安定期間に加えられるので、軌道回路L1の異常の誤検知を一層効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bは、各々、軌道回路L1への交流電源として想定される複数の周期の最小公倍数の整数倍をサンプリング時間としている。そして、軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bは、当該サンプリング時間中おける一定間隔毎のサンプリング値に基づいて軌道電圧V111及び局部電圧V121を取得する。この構成によれば、1/50秒周期及び1/60秒周期等といった複数の周期の最小公倍数の整数倍であるサンプリング時間中おける一定間隔毎のサンプリング値に基づいて軌道電圧V111及び局部電圧V121が取得される。これにより、サンプリング時間が軌道回路L1の電源周波数の周期と一致するので、両者の不一致に起因する誤差等が抑えられてサンプリング精度を向上させることができる。
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の軌道回路監視装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、軌道回路の一例として、区間レールL11と局部配電線L12とが軌道リレーL13を介して連結され、当該軌道リレーL13によって在線状態を検知する軌道回路L1が例示されている。しかしながら、軌道回路はこれに限るものではなく、区間レールの電圧と局部配電線の電圧とに基づいて在線状態を検知するための回路であれば、その具体的な回路構成を問うものではない。
また、上述の実施形態では、状態変化検出部の一例として、軌道電圧V111及び位相差θに基づいて在線状態の変化を検出する状態変化検出部1Dが例示されている。しかしながら、状態変化検出部はこれに限るものではない。状態変化検出部は、在線状態の変化の検出が可能であるのならば、軌道電圧V111及び位相差θのうちの一方のみに基づいて在線状態の変化を検出するものであってもよい。また、上述の実施形態では、在線状態の変化の検出に軌道電圧V111を用いるに当たって、その振幅V111aを用いる手法が例示されている。しかしながら、在線状態の変化の検出に軌道電圧V111を用いる手法はこれに限るものではなく、例えば軌道電圧の実効値を用いるもの等であってもよい。
また、上述の実施形態では、情報生成部の一例として、軌道回路L1の状態情報を生成してMPU13の内部メモリに記憶するとともに、その記憶内容を適宜に更新する情報生成部1Gが例示されている。しかしながら、情報生成部はこれに限るものではなく、内部メモリの記憶内容を更新するのではなく、生成した状態情報を内部メモリに記憶させて蓄積させるもの等であってもよい。
また、上述の実施形態では、期間設定部の一例として、不安定期間の期間中における新たな在線状態の変化の発生時点に基づいて不安定期間を延長する期間設定部1Eが例示されている。しかしながら、期間設定部はこれに限るものではなく、不安定期間の延長は行わないものとしてもよい。ただし、不安定期間を延長することで、複数回の途中変化を経て在線状態が変化する場合においても軌道回路L1の異常の誤検知を効果的に抑制することができる点は上述した通りである。
また、上述の実施形態では、期間設定部の一例として、最初の在線状態の変化が検出されてからの経過時間と所定のタイムアウト閾値との比較に基づいて、軌道回路L1における信号異常が生じているか否かを判定する期間設定部1Eが例示されている。しかしながら、期間設定部はこれに限るものではなく、タイムアウトによる異常判定は行わずに不安定期間の延長を行うものであってもよい。ただし、不安定期間の延長とともにタイムアウトによる異常判定も行うことで、軌道回路L1の異常に関する検知精度を向上させることができる点は上述した通りである。
また、上述の実施形態では、情報生成部の一例として、不安定期間の期間中のものを除いた軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θに基づいて軌道回路L1に異常が生じているか否かを判定する情報生成部1Gが例示されている。この情報生成部1Gは、軌道回路L1に異常に関する判定結果を含む状態情報を生成する。しかしながら、情報生成部はこれに限るものではなく、軌道回路L1の異常判定は行わず、例えば、そのような異常判定に用いる軌道電圧V111、局部電圧V121、及び位相差θのみを含む状態情報を生成するもの等であってもよい。ただし、情報生成部において軌道回路L1の異常判定も行って、その判定結果を含む状態情報を生成することで、情報の受取り側における処理負担を軽減することができる点は上述した通りである。
また、上述の実施形態では、期間設定部で設定される不安定期間の一例として、在線状態の変化の発生時点を始点とした所定長さの期間と、在線状態の変化の発生時点を終点とした所定長さの期間と、を合わせた期間が例示されている。しかしながら、不安定期間はこのような期間に限るものではなく、在線状態の変化の発生時点に基づいて設定される、当該在線状態の変化に伴って軌道電圧が不安定となる期間であれば、その具体的な期間態様を問うものではない。ただし、在線状態の変化の発生時点を始点とした所定長さの期間や在線状態の変化の発生時点を終点とした所定長さの期間を不安的期間として採用することで、状態変動による軌道回路L1の異常の誤検知を効果的に抑制することができる点は上述した通りである。
また、上述の実施形態では、軌道電圧取得部及び局部電圧取得部の各一例として、次のような例示が行われている。即ち、日本における2種類の商用電源の周波数の周期の最小公倍数の整数倍であるサンプリング時間中おける一定間隔毎のサンプリング値に基づいて軌道電圧V111や局部電圧V121を取得する軌道電圧取得部1A及び局部電圧取得部1Bが例示されている。しかしながら、軌道電圧取得部及び局部電圧取得部はこれに限るものではなく、サンプリング時間等といった具体的な取得態様を問うものではない。ただし、上記のような複数の周波数の周期の最小公倍数の整数倍であるサンプリング時間中おける一定間隔毎のサンプリング値に基づいて軌道電圧V111や局部電圧V121を取得することで、サンプリング精度を向上させることができる点は上述した通りである。尚、サンプリング時間の設定の元となる周波数の周期は、日本における2種類の商用電源の周波数の周期に限るものではなく、例えば海外の商用電源の周波数の周期等というように、軌道回路の設置場所等に応じて適宜に設定されるものである。