以下に、本発明に係る電子制御ユニットについて、図面を用いて説明する。なお、以下では、二輪のモータサイクル用のブレーキシステムの液圧制御ユニットについて説明しているが、本発明に係る電子制御ユニットは、二輪のモータサイクル以外の他の鞍乗り型車両(例えば、三輪のモータサイクル、バギー車、自転車等)に用いられるものであってもよい。なお、鞍乗り型車両は、ライダーが跨って乗車する車両を意味し、スクーター等も含む。また、本発明に係る電子制御ユニットは、液圧制御ユニット以外の電子制御ユニット(例えば、エンジン制御ユニット、サスペンション制御ユニット等)であってもよい。
また、以下では、前輪制動機構及び後輪制動機構が、それぞれ1つずつである場合を説明しているが、前輪制動機構及び後輪制動機構の少なくとも一方が複数であってもよく、また、前輪制動機構及び後輪制動機構の一方が設けられていなくてもよい。また、以下では、各制動機構に主流路、副流路及び供給流路が設けられている場合を説明しているが、各制動機構の流路から供給流路が省略されていてもよい。
また、以下で説明する構成等は一例であり、本発明に係る電子制御ユニットは、そのような構成等である場合に限定されない。
また、以下では、同一の又は類似する説明を適宜簡略化又は省略している。また、各図において、同一の又は類似する部材又は部分については、符号を付すことを省略しているか、又は同一の符号を付している。また、細かい構造については、適宜図示を簡略化又は省略している。
<ブレーキシステムの構成>
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るブレーキシステム10の概略構成について説明する。
図1は、ブレーキシステム10が搭載されるモータサイクル100の概略構成を示す模式図である。図2は、ブレーキシステム10の概略構成を示す模式図である。
図1及び図2に示されるように、ブレーキシステム10は、モータサイクル100に搭載される。モータサイクル100は、胴体1と、胴体1に旋回自在に保持されているハンドル2と、胴体1にハンドル2と共に旋回自在に保持されている前輪3と、胴体1に回動自在に保持されている後輪4とを備える。モータサイクル100は、例えば、エンジン(図示省略)を備えており、当該エンジンから出力される動力を用いて走行する。なお、モータサイクル100は、モータから出力される動力を用いて走行するものであってもよい。
ブレーキシステム10は、第1ブレーキ操作部11と、少なくとも第1ブレーキ操作部11に連動して前輪3を制動する前輪制動機構12と、第2ブレーキ操作部13と、少なくとも第2ブレーキ操作部13に連動して後輪4を制動する後輪制動機構14とを備える。また、ブレーキシステム10は、液圧制御ユニット5を備え、前輪制動機構12の一部及び後輪制動機構14の一部は、当該液圧制御ユニット5に含まれる。液圧制御ユニット5は、前輪制動機構12によって前輪3に付与される制動力、及び、後輪制動機構14によって後輪4に付与される制動力を制御する機能を担う電子制御ユニットである。
第1ブレーキ操作部11は、ハンドル2に設けられており、ライダーの手によって操作される。第1ブレーキ操作部11は、例えば、ブレーキレバーである。第2ブレーキ操作部13は、胴体1の下部に設けられており、ライダーの足によって操作される。第2ブレーキ操作部13は、例えば、ブレーキペダルである。
前輪制動機構12及び後輪制動機構14のそれぞれは、ピストン(図示省略)を内蔵しているマスタシリンダ21と、マスタシリンダ21に付設されているリザーバ22と、胴体1に保持され、ブレーキパッド(図示省略)を有しているブレーキキャリパ23と、ブレーキキャリパ23に設けられているホイールシリンダ24と、マスタシリンダ21のブレーキ液をホイールシリンダ24に流通させる主流路25と、ホイールシリンダ24のブレーキ液を逃がす副流路26と、マスタシリンダ21のブレーキ液を副流路26に供給する供給流路27とを備える。
主流路25には、込め弁(EV)31が設けられている。副流路26は、主流路25のうちの、込め弁31に対するホイールシリンダ24側とマスタシリンダ21側との間をバイパスする。副流路26には、上流側から順に、弛め弁(AV)32と、アキュムレータ33と、ポンプ34とが設けられている。主流路25のうちの、マスタシリンダ21側の端部と、副流路26の下流側端部が接続される箇所との間には、第1弁(USV)35が設けられている。供給流路27は、マスタシリンダ21と、副流路26のうちのポンプ34の吸込側との間を連通させる。供給流路27には、第2弁(HSV)36が設けられている。また、液圧制御ユニット5には、ポンプ34を駆動するモータ37が設けられている。モータ37が回転駆動されることによって、ポンプ34のプランジャ(図示省略)が押圧され、ポンプ34によるブレーキ液の吸引及び吐出が行われる。
込め弁31は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。弛め弁32は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。第1弁35は、例えば、非通電状態で開き、通電状態で閉じる電磁弁である。第2弁36は、例えば、非通電状態で閉じ、通電状態で開く電磁弁である。
主流路25、副流路26及び供給流路27は、基体511の内部に形成される。込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36は、モータサイクル100に生じさせるブレーキ液圧を制御するためのコンポーネントに相当し、基体511に組み込まれる。基体511及び当該基体511に組み込まれる上記のコンポーネントは、液圧制御ユニット5の液圧制御機構51に含まれる。液圧制御機構51の動作は、後述する電子回路ユニット53によって制御される。これにより、前輪制動機構12によって前輪3に付与される制動力、及び、後輪制動機構14によって後輪4に付与される制動力が制御される。
通常状態(つまり、後述されるABS動作又は自動制動動作等が実行されない状態)では、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。これにより、マスタシリンダ21からホイールシリンダ24へ、副流路26及び供給流路27を介さずに、主流路25を介して、ブレーキ液が流動する状態となる。この状態で、第1ブレーキ操作部11が操作されると、前輪制動機構12において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増大し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が前輪3のロータ3aに押し付けられて、前輪3に制動力が付与される。また、第2ブレーキ操作部13が操作されると、後輪制動機構14において、マスタシリンダ21のピストン(図示省略)が押し込まれてホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増大し、ブレーキキャリパ23のブレーキパッド(図示省略)が後輪4のロータ4aに押し付けられて、後輪4に制動力が付与される。
ABS動作は、例えば、車輪(具体的には、前輪3又は後輪4)にロック又はロックの可能性が生じた場合に実行され、当該車輪に付与される制動力をライダーによるブレーキ操作部(具体的には、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13)の操作によらずに減少させる動作である。
例えば、ABS動作が実行されている状態では、まず、込め弁31が閉鎖され、弛め弁32が開放され、第1弁35が開放され、第2弁36が閉鎖される。これにより、主流路25とホイールシリンダ24との間でのブレーキ液の流動が停止し、ホイールシリンダ24から副流路26へブレーキ液が流動可能な状態となる。ゆえに、ホイールシリンダ24からアキュムレータ33にブレーキ液が流れ込み、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が減少し、車輪に付与される制動力が減少する。アキュムレータ33に流れ込んだブレーキ液は、ポンプ34が駆動されることによって、副流路26を介して主流路25に戻される。
そして、上記の状態から込め弁31及び弛め弁32の双方が閉鎖されることにより、主流路25及び副流路26とホイールシリンダ24との間でのブレーキ液の流動が停止し、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が維持されて車輪に付与される制動力が維持される。その後、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖されることにより、主流路25とホイールシリンダ24との間でのブレーキ液の流動が再開し、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増大し、車輪に付与される制動力が増大する。
自動制動動作は、例えば、モータサイクル100の旋回時等にモータサイクル100の姿勢を安定化する必要が生じた場合に実行され、車輪(具体的には、前輪3又は後輪4)に付与される制動力をライダーによるブレーキ操作部(具体的には、第1ブレーキ操作部11又は第2ブレーキ操作部13)の操作によらずに生じさせる動作である。
例えば、自動制動動作が実行されている状態では、込め弁31が開放され、弛め弁32が閉鎖され、第1弁35が閉鎖され、第2弁36が開放される。これにより、マスタシリンダ21からホイールシリンダ24へ、供給流路27及び副流路26を介して、ブレーキ液が流動する状態となる。その状態で、ポンプ34が駆動されることにより、ホイールシリンダ24のブレーキ液の液圧が増大し、車輪を制動する制動力が生じる。
<液圧制御ユニットの構成>
図3を参照して、本発明の実施形態に係る液圧制御ユニット5の構成について、より詳細に説明する。
図3は、液圧制御ユニット5を示す概略断面図である。
図3に示されるように、液圧制御ユニット5は、液圧制御機構51と、樹脂製の筐体52と、電子回路ユニット53とを備える。
液圧制御機構51は、上述したように、金属製の基体511及び当該基体511に組み込まれたコンポーネント(具体的には、込め弁31、弛め弁32、アキュムレータ33、ポンプ34、第1弁35及び第2弁36(図2を参照))を含む。また、基体511の内部には、主流路25、副流路26及び供給流路27(図2を参照)が形成されている。
基体511は、金属材料によって形成されており、例えば、略直方体形状を有する。基体511の外面(具体的には、筐体52に覆われていない面)には、各流路と連通している複数のポート(図示省略)が形成されており、各ポートに、マスタシリンダ21又はホイールシリンダ24(図2を参照)と接続されているブレーキ液管が取り付けられる。
基体511には、電子回路ユニット53の制御対象として、モータ37と、複数の駆動コイル38とが設けられている。駆動コイル38は、基体511に組み込まれた込め弁31、弛め弁32、第1弁35及び第2弁36の各電磁弁を駆動する。
なお、基体511は、1つの部材によって形成されていてもよく、複数の部材によって形成されていてもよい。また、基体511が複数の部材によって形成されている場合、各コンポーネントは、互いに異なる部材に分かれて設けられていてもよい。
筐体52は、樹脂材料によって形成されており、例えば、中空の略直方体形状を有する。筐体52は、基体511に取り付けられており、電子回路ユニット53を収容する。
筐体52は、本体部521と、蓋部522とを含む。本体部521がボルト54によって基体511に固定されており、蓋部522が本体部521に取り付けられている。本体部521と蓋部522によって画成される空間内に電子回路ユニット53が収容される。
具体的には、本体部521は、基体511側と逆側に底部を有し基体511側に開口している四角筒形状に形成されている。本体部521の底部には、貫通孔523が形成されている。なお、図3では、2つの貫通孔523a,523bが貫通孔523の例として示されているが、貫通孔523の数は2以外であってもよい。基体511には、各貫通孔523と同軸上にネジ穴512(具体的には、貫通孔523aに対して設けられるネジ穴512a、及び、貫通孔523bに対して設けられるネジ穴512b)が形成されている。ボルト54aが本体部521の貫通孔523aに挿通されて基体511のネジ穴512aに螺合され、ボルト54bが本体部521の貫通孔523bに挿通されて基体511のネジ穴512bに螺合されている。それにより、本体部521が基体511に固定される。基体511に設けられているモータ37の一部、及び、各駆動コイル38の一部は、筐体52の本体部521により覆われる。
また、蓋部522は、本体部521側と逆側に底部を有し本体部521側に開口している四角筒形状に形成されている。蓋部522の開口部が本体部521の底部に取り付けられる。それにより、本体部521と蓋部522との間に、電子回路ユニット53を収容するための空間が形成される。なお、本体部521を基体511に固定する各ボルト54の頭部541は、本体部521と蓋部522との間の空間内において、本体部521の底部と接触している。
電子回路ユニット53は、基板531と、当該基板531の配線に実装された複数の電子部品532を含む。図3では、2つの電子部品532a,532bが電子部品532の例として示されているが、実際には、より多くの電子部品532が基板531に実装されている。
基板531は、プリント基板であり、絶縁体の平板状部材と、当該平板状部材に施された導体の配線(パターン)とを含む。電子部品532a,532bは、はんだ付等によって基板531の配線に施されたランドに電気的に接続されており、基板531の配線とともに電子回路を形成する。電子部品532は、電子回路を形成する部品であればよく、能動素子、受動素子及びその他の部品のいずれであってもよい。電子部品532aは、基板531の基体511側の面に実装されている。電子部品532bは、基板531の基体511側と逆側の面に実装されている。また、基板531には、モータ37の端子371、及び、各駆動コイル38の端子381が電気的に接続されている。
本実施形態に係る液圧制御ユニット5では、電子部品532は、金属部材である基体511に、ペルチェ素子55を介して熱伝導可能に接続されている。ペルチェ素子55は、当該ペルチェ素子55の一方の面から他方の面に伝熱させることができる。ペルチェ素子55による伝熱は、ペルチェ素子55に電力が供給されることによって生じる。このように伝熱が生じる効果は、ペルチェ効果と呼ばれている。ペルチェ効果を利用することによって、電子部品532からペルチェ素子55を介して基体511に伝熱させることができる。ペルチェ素子55は、放熱用の他の部材(例えば、放熱フィン等)と比較して、小型であるので、モータサイクル100において、限られた搭載スペースを有効に活用して、電子回路ユニット53から発せられる熱を外部に放熱させることができる。
液圧制御ユニット5において、具体的には、ペルチェ素子55は、電子部品532a,532bの各々に対して設けられており、ペルチェ素子55と基体511とは、ボルト54を介して熱伝導可能に接続されている。
電子部品532aは、ペルチェ素子55aの一方の面(具体的には、基体511側と逆側の面)と熱伝導性接着剤によって接着されている。熱伝導性接着剤は、比較的高い熱伝導率を有する放熱用の接着剤である。ペルチェ素子55aの他方の面(具体的には、基体511側の面)は、ボルト54aの頭部541aと熱伝導性接着剤によって接着されている。ゆえに、電子部品532aから発せられる熱は、ペルチェ素子55a及びボルト54aを通って基体511に伝えられる。
電子部品532bは、基板531における電子部品532bが実装される部分(具体的には、電子部品532bと対向する部分)に形成されている放熱用ビア533を介してペルチェ素子55bと熱伝導可能に接続されている。放熱用ビア533は、導通用ビアと同様に、基板531を貫通するビア(つまり、基板531の一方の面から他方の面に亘って金属部が形成された孔)である。ただし、放熱用ビア533は、導通のために設けられる導通用ビアと異なり、電子回路ユニット53の放熱のために設けられる。電子回路ユニット53の放熱性を効果的に向上させる観点では、放熱用ビア533の金属部の横断面積は、導通用ビアの金属部の横断面積と比較して大きいことが好ましい。例えば、放熱用ビア533では、基板531に形成される貫通孔に銅等の金属が充填されていることが好ましい。
基板531における放熱用ビア533が形成されている部分のうちの電子部品532bが実装される面と逆側の面(具体的には、基体511側の面)は、ペルチェ素子55bの一方の面(具体的には、基体511側と逆側の面)と熱伝導性接着剤によって接着されている。ペルチェ素子55bとボルト54bの頭部541bとの間には、金属製のスペーサ56が介在している。ペルチェ素子55bの他方の面(具体的には、基体511側の面)は、スペーサ56と熱伝導性接着剤によって接着されている。スペーサ56は、ボルト54bの頭部541bと熱伝導性接着剤によって接着されている。ゆえに、電子部品532bから発せられる熱は、ペルチェ素子55b、スペーサ56及びボルト54bを通って基体511に伝えられる。
なお、上記では、図3を参照して、電子部品532と基体511との間の伝熱経路の例を説明したが、電子部品532と基体511との間の伝熱経路は上記の例に限定されない。具体的には、上記の例で電子部品532と基体511との間の伝熱経路を形成する部材のうち、隣り合う部材間に他の部材が追加されてもよい。例えば、電子部品532aとペルチェ素子55aとの間、又は、ペルチェ素子55aとボルト54aとの間に金属製の部材が追加されてもよい。また、上記の例で電子部品532と基体511との間の伝熱経路を形成する部材のうちの一部の部材が省略されてもよい。例えば、ペルチェ素子55bとボルト54bとの間のスペーサ56が省略され、ペルチェ素子55bとボルト54bとが熱伝導性接着剤によって接着されていてもよい。
また、上記では、図3を参照して、液圧制御ユニット5の構成について説明したが、本発明に係る液圧制御ユニットは、図3の例に限定されない。例えば、本発明に係る液圧制御ユニットは、図3に示される液圧制御ユニット5に対して、構成要素が追加されたもの(例えば、基体511の外面に放熱フィンが設けられているもの等)であってもよい。
<液圧制御ユニットの動作>
図4~図8を参照して、本発明の実施形態に係る液圧制御ユニット5の動作について説明する。
図4は、液圧制御ユニット5の電子回路の概略構成である。
図4に示されるように、液圧制御ユニット5は、ペルチェ素子55と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)101と、マイクロコントローラ102と、温度センサ103と、AND回路104と、OR回路105とを含み、液圧制御ユニット5の外部のバッテリ6と接続されている。なお、図4では、理解を容易にするために、ペルチェ素子55を示す1つのブロックのみが示されているが、例えば、各ペルチェ素子55は、互いに直列に接続されている。マイクロコントローラ102は、本発明に係る制御部の一例に相当する。以下では、バッテリ6の電圧が12[V]である例を説明するが、バッテリ6の電圧はこの例に限定されない。
ASIC101は、配線L1及び配線L2を介して、バッテリ6と接続されている。したがって、配線L1を介してASIC101に電力が供給される。配線L2には、スイッチS1が設けられている。スイッチS1は、イグニッションスイッチの操作に応じて開閉する。具体的には、イグニッションスイッチがONの場合にスイッチS1が閉じ、イグニッションスイッチがOFFの場合にスイッチS1が開く。ASIC101は、配線L3を介して、マイクロコントローラ102に電力を供給する。ASIC101は、配線L1から配線L2に電流が流れること、及び、配線L2から配線L1に電流が流れることを抑制する機能を有する。ASIC101は、配線L3と接続されている配線L4を介して、温度センサ103に電力を供給する。
温度センサ103は、電子部品532の温度を検出する。なお、温度センサ103により検出される物理量は、電子部品532の代表的な温度に相当するものであればよく、例えば、複数の電子部品532のいずれか1つの温度、各電子部品532の温度の平均値、又は、電子回路ユニット53における電子部品532の近傍の部分の温度等であってもよい。温度センサ103は、配線L5を介して、検出結果をマイクロコントローラ102に出力する。
マイクロコントローラ102は、配線L6を介して、電子部品532の温度に応じて変化する信号TempoutをOR回路105に出力する。また、マイクロコントローラ102は、配線L7を介して、後述する電圧Vaに応じて変化する信号VaoutをAND回路104に出力する。
配線L2におけるスイッチS1とASIC101との間の部分には、配線L8が接続されている。配線L8は、AND回路104と接続されている。AND回路104の出力は、配線L9を介して、OR回路105に入力される。
配線L1には、配線L10が接続されている。配線L10は、ペルチェ素子55と接続されている。配線L10には、スイッチS2が設けられている。スイッチS2は、OR回路105の出力に応じて開閉する。配線L10におけるペルチェ素子55とスイッチS2との間の部分には、抵抗R1及び抵抗R2が接続されている。抵抗R1及び抵抗R2は、互いに直列に接続されている。ペルチェ素子55の発電電圧Vpは、抵抗R1及び抵抗R2の抵抗分割により、抵抗R1と抵抗R2との接続部分において電圧Vaとなる。
例えば、抵抗R1が600[kΩ]であり、抵抗R2が100[kΩ]である場合、電圧Vaは、発電電圧Vpの7分の1(つまり、1/7)となる。ゆえに、発電電圧Vpが10[V]の場合、電圧Vaは約1.4[V]となり、発電電圧Vpが15[V]の場合、電圧Vaは約2.1[V]となる。以下では、抵抗R1が600[kΩ]であり、抵抗R2が100[kΩ]である例を説明するが、抵抗R1,R2の抵抗値はこの例に限定されない。
抵抗R1と抵抗R2との接続部分の電圧Vaは、配線L11を介して、OR回路105に入力される。また、抵抗R1と抵抗R2との接続部分の電圧Vaは、配線L11に接続されている配線L12を介して、マイクロコントローラ102に入力される。
以下、AND回路104及びOR回路105における入出力電圧を高電圧(1)と低電圧(0)の2値に分類して説明する。高電圧は基準値より高い電圧を意味し、低電圧は基準値より低い電圧を意味する。以下では、基準値が2[V]である例を説明するが、基準値はこの例に限定されない。
AND回路104は、配線L7からの入力電圧、及び、配線L8からの入力電圧のいずれもが高電圧であった場合に、OR回路105に高電圧を出力する。一方、AND回路104は、配線L7からの入力電圧、及び、配線L8からの入力電圧の少なくとも1つが低電圧であった場合に、OR回路105に低電圧を出力する。
OR回路105は、配線L6からの入力電圧、配線L9からの入力電圧、及び、配線L11からの入力電圧の少なくとも1つが高電圧であった場合に、スイッチS2に高電圧を出力する。一方、OR回路105は、配線L6からの入力電圧、配線L9からの入力電圧、及び、配線L11からの入力電圧のいずれもが低電圧であった場合に、スイッチS2に低電圧を出力する。スイッチS2に高電圧が入力された場合、スイッチS2は閉じ、スイッチS2に低電圧が入力された場合、スイッチS2は開く。
マイクロコントローラ102は、AND回路104及びOR回路105の動作を制御してスイッチS2を開閉することによって、ペルチェ素子55の動作を制御する。
上述したように、マイクロコントローラ102は、OR回路105に対して信号Tempoutを出力する。信号Tempoutは、電子部品532の温度が基準温度より高い場合に高電圧となり、電子部品532の温度が基準温度より低い場合に低電圧となる。基準温度は、電子部品532を冷却する必要が生じる程度に高い温度である。
上述したように、マイクロコントローラ102は、AND回路104に対して信号Vaoutを出力する。信号Vaoutは、電圧Vaが閾値より高い場合に高電圧となり、電圧Vaが閾値より低い場合に低電圧となる。閾値は、ペルチェ素子55の発電電圧Vpがバッテリ6の電圧よりも低いもののバッテリ6の電圧に到達する可能性が高いと判断し得る値に設定される。発電電圧Vpがバッテリ6の電圧である12[V]の場合、電圧Vaは約1.7[V]となる。よって、閾値は、例えば、1.7[V]より低いが、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧に到達する可能性が高くなるような値(例えば、1.5[V])である。以下では、閾値が1.5[V]である例を説明するが、閾値はこの例に限定されない。
マイクロコントローラ102は、上記の処理を行うことによって、伝熱制御及び給電制御を実行することができる。
伝熱制御は、ペルチェ素子55に電力を供給することによって電子部品532から基体511へ向かう方向に伝熱させる制御である。具体的には、モータサイクル100の運転中に、電子部品532の温度が基準温度より高い状態である場合に、伝熱制御が実行される。
給電制御は、ペルチェ素子55の発電電力を給電対象(具体的には、マイクロコントローラ102及びバッテリ6)に供給する制御である。ペルチェ素子55では、当該ペルチェ素子55の一方の面と他方の面との間での温度差が生じると、起電力が生じる。このように温度差によって起電力が生じる効果は、ゼーベック効果と呼ばれている。モータサイクル100の運転中には、ペルチェ素子55の一方の面と他方の面との間での温度差は比較的小さい。一方、モータサイクル100の停車中には、例えば、直射日光の影響により、ペルチェ素子55の一方の面と他方の面との間での温度差が比較的大きくなる場合がある。ゆえに、具体的には、モータサイクル100の停車中に、ペルチェ素子55の発電電圧Vpが基準電圧より高い状態である場合に、給電制御が実行される。基準電圧は、発電電力を給電対象に安定的に供給し得る程度に高い電圧であり、例えば、バッテリ6の電圧よりも高い値(例えば、14.5V程度)である。以下では、基準電圧が14.5[V]である例を説明するが、基準電圧はこの例に限定されない。
図5は、モータサイクル100の運転中において電子部品532の温度が基準温度より低い状態である場合の電子回路の動作例を示す模式図である。
図5に示されるように、モータサイクル100の運転中には、イグニッションスイッチがONとなっているので、スイッチS1は閉じている。また、モータサイクル100の運転中には、上述したように、ペルチェ素子55の一方の面と他方の面との間での温度差は比較的小さい。ゆえに、発電電圧Vpは、例えば、2[V]程度となるので、電圧Vaは0.3[V]程度となる。よって、配線L8からAND回路104への入力電圧は高電圧であるものの、配線L7からAND回路104への入力電圧(つまり、信号Vaoutの電圧)は低電圧となる。それにより、AND回路104の出力は低電圧となる。つまり、配線L9からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。また、電圧Vaは0.3[V]程度となり閾値(つまり、1.5[V])より低いので、配線L11からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。
ここで、電子部品532の温度が基準温度より低いので、配線L6からOR回路105への入力電圧(つまり、信号Tempoutの電圧)は低電圧となる。ゆえに、配線L6からOR回路105への入力電圧、配線L9からOR回路105への入力電圧、及び、配線L11からOR回路105への入力電圧のいずれもが低電圧となるので、OR回路105からスイッチS2に低電圧が出力される。よって、スイッチS2は開いた状態となる。
上記のように、モータサイクル100の運転中において電子部品532の温度が基準温度より低い状態である場合には、スイッチS2が開いた状態となる。また、図5で矢印によって示されるように、バッテリ6からマイクロコントローラ102及び温度センサ103へ電力が供給される。
図6は、モータサイクル100の運転中において電子部品532の温度が基準温度より高い状態である場合の電子回路の動作例を示す模式図である。
図6に示される例では、モータサイクル100が運転中であり、図5に示される例と同様に、イグニッションスイッチがONとなっているので、スイッチS1は閉じている。また、図5に示される例と同様に、電圧Vaは0.3[V]程度となり閾値(つまり、1.5[V])より低いので、配線L8からAND回路104への入力電圧は高電圧であるものの、信号Vaoutの電圧は低電圧となる。それにより、AND回路104の出力は低電圧となり、配線L9からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。また、電圧Vaは0.3[V]程度となるので、配線L11からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。
ここで、図5に示される例と異なり、電子部品532の温度が基準温度より高いので、配線L6からOR回路105への入力電圧(つまり、信号Tempoutの電圧)は高電圧となる。ゆえに、配線L6からOR回路105への入力電圧、配線L9からOR回路105への入力電圧、及び、配線L11からOR回路105への入力電圧のうち、配線L6からの入力電圧が高電圧となるので、OR回路105からスイッチS2に高電圧が出力される。よって、スイッチS2は閉じた状態となる。
上記のように、モータサイクル100の運転中において電子部品532の温度が基準温度より高い状態である場合には、スイッチS2が閉じた状態となる。また、ペルチェ素子55の発電電圧Vpは、バッテリ6の電圧よりも低い。ゆえに、図6で矢印によって示されるように、バッテリ6からマイクロコントローラ102及び温度センサ103へ電力が供給されることに加えて、バッテリ6からペルチェ素子55にも電力が供給される(つまり、伝熱制御が実行される)。それにより、電子部品532から基体511へ向かう方向に伝熱が生じ、電子回路ユニット53から発せられる熱が外部に放熱される。よって、電子部品532が冷却される。
ここで、伝熱制御において、ペルチェ素子55に供給される電力が大きいほど、ペルチェ素子55を介して輸送される単位時間あたりの熱量が大きくなる。つまり、電子回路ユニット53の放熱性を向上させることができる。ゆえに、電子回路ユニット53の放熱性を電子部品532の温度に応じて適切に変化させる観点では、マイクロコントローラ102は、伝熱制御において、電子部品532の温度が高いほど、ペルチェ素子55に供給する電力を大きくすることが好ましい。
図7は、モータサイクル100の停車中においてペルチェ素子55の発電電圧Vpが基準電圧より低い状態である場合の電子回路の動作例を示す模式図である。
図7に示されるように、モータサイクル100の停車中には、イグニッションスイッチがOFFとなっているので、スイッチS1は開いている。ゆえに、配線L8からAND回路104への入力電圧は低電圧となるので、AND回路104の出力は低電圧となる。つまり、配線L9からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。また、モータサイクル100の停車中には、基本的に、電子部品532の温度は基準温度より低いので、配線L6からOR回路105への入力電圧(つまり、信号Tempoutの電圧)は低電圧となる。
ここで、図7に示される例では、発電電圧Vpは、基準電圧(つまり、14.5[V])よりも低く、例えば、10[V]程度である。この場合、電圧Vaは1.4[V]程度となるので、配線L11からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。ゆえに、配線L6からOR回路105への入力電圧、配線L9からOR回路105への入力電圧、及び、配線L11からOR回路105への入力電圧のいずれもが低電圧となるので、OR回路105からスイッチS2に低電圧が出力される。よって、スイッチS2は開いた状態となる。
上記のように、モータサイクル100の停車中においてペルチェ素子55の発電電圧Vpが基準電圧より低い状態である場合には、スイッチS2が開いた状態となる。また、図7で矢印によって示されるように、バッテリ6からマイクロコントローラ102及び温度センサ103へ電力が供給される。
図8は、モータサイクル100の停車中においてペルチェ素子55の発電電圧Vpが基準電圧より高い状態である場合の電子回路の動作例を示す模式図である。
図8に示される例では、モータサイクル100が停車中であるので、図7に示される例と同様に、イグニッションスイッチがOFFとなっているので、スイッチS1は開いている。ゆえに、配線L8からAND回路104への入力電圧は低電圧となるので、AND回路104の出力は低電圧となる。つまり、配線L9からOR回路105への入力電圧は低電圧となる。また、モータサイクル100の停車中には、基本的に、電子部品532の温度は基準温度より低いので、配線L6からOR回路105への入力電圧(つまり、信号Tempoutの電圧)は低電圧となる。
ここで、図8に示される例では、図7に示される例と異なり、発電電圧Vpは、基準電圧(つまり、14.5[V])よりも高く、例えば、15[V]程度である。この場合、電圧Vaは2.1[V]程度となるので、配線L11からOR回路105への入力電圧は高電圧となる。ゆえに、配線L6からOR回路105への入力電圧、配線L9からOR回路105への入力電圧、及び、配線L11からOR回路105への入力電圧のうち、配線L11からの入力電圧が高電圧となるので、OR回路105からスイッチS2に高電圧が出力される。よって、スイッチS2は閉じた状態となる。
上記のように、モータサイクル100の停車中においてペルチェ素子55の発電電圧Vpが基準電圧より高い状態である場合には、スイッチS2が閉じた状態となる。また、ペルチェ素子55の発電電圧Vpは、バッテリ6の電圧よりも高い。ゆえに、図8で矢印によって示されるように、ペルチェ素子55の発電電力が、ペルチェ素子55から給電対象であるマイクロコントローラ102及びバッテリ6に供給される(つまり、給電制御が実行される)。それにより、バッテリ6の電力を用いずにマイクロコントローラ102の消費電力を賄うことができ、さらに、バッテリ6を充電することができる。
ところで、モータサイクル100の運転中に、ペルチェ素子55の一方の面と他方の面との間での温度差が増大することによって、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧を超える状況が考えられる。ここで、モータサイクル100の運転中において、モータサイクル100の停車中には電力が供給されない供給先(例えば、モータ37及び駆動コイル38)に電力を供給する必要が生じる。ゆえに、モータサイクル100の停車中と比較して、マイクロコントローラ102の消費電力が大きくなる。よって、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧を超えた場合に、給電制御が実行されると、ペルチェ素子55の発電電力がマイクロコントローラ102の消費電力に対して不足してしまうおそれがある。そこで、マイクロコントローラ102へ供給される電力が不足することを抑制する観点では、マイクロコントローラ102は、モータサイクル100の運転中に、給電制御を禁止することが好ましい。
例えば、モータサイクル100の運転中において、電子部品532の温度が基準温度より低い状態である場合であっても、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧の近傍の11[V]程度まで上昇した場合、液圧制御ユニット5の電子回路は図6と同様の状態となる。具体的には、モータサイクル100が運転中であるので、イグニッションスイッチがONとなっているので、スイッチS1は閉じている。ゆえに、配線L8からAND回路104への入力電圧は高電圧となる。
ここで、発電電圧Vpが11[V]程度であるので、電圧Vaは1.6[V]程度となる。ゆえに、電圧Vaが当該電圧Vaの閾値(つまり、1.5[V])より高いので、信号Vaoutの電圧は高電圧となる。それにより、配線L7からAND回路104への入力電圧、及び、配線L8からAND回路104への入力電圧のいずれもが高電圧となるので、AND回路104の出力は高電圧となる。よって、配線L6からOR回路105への入力電圧、配線L9からOR回路105への入力電圧、及び、配線L11からOR回路105への入力電圧のうち、配線L9からの入力電圧が高電圧となるので、OR回路105からスイッチS2に高電圧が出力される。したがって、スイッチS2は閉じた状態となる。
上記のように、モータサイクル100の運転中において、電子部品532の温度が基準温度より低い状態である場合であっても、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧の近傍の11[V]程度まで上昇した場合(具体的には、発電電圧Vpが閾値より高い場合)には、スイッチS2が閉じた状態となる。それにより、バッテリ6からペルチェ素子55に電力が供給される(つまり、伝熱制御が実行される)。それにより、発電電圧Vpがバッテリ6の電圧を超えることが抑制されるので、ペルチェ素子55の発電電力がマイクロコントローラ102に供給されることが抑制される。なお、この場合、電子部品532から基体511へ向かう方向への伝熱は、図6に示される例と比較して小さな程度ではあるものの生じる。
なお、上記では、本発明に係る制御部としてマイクロコントローラ102が設けられる例を説明したが、本発明に係る制御部の一部又は全ては、ファームウェア等の更新可能なもので構成されてもよく、CPU等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。本発明に係る制御部は、例えば、1つであってもよく、また、複数に分かれていてもよい。
<液圧制御ユニットの効果>
本発明の実施形態に係る液圧制御ユニット5の効果について説明する。
液圧制御ユニット5では、電子部品532は、金属部材(例えば、基体511)に、ペルチェ素子55を介して熱伝導可能に接続されている。それにより、モータサイクル100において、限られた搭載スペースを有効に活用して、電子回路ユニット53から発せられる熱を外部に放熱させることができる。ゆえに、モータサイクル100において、液圧制御ユニット5の大型化を抑制しつつ、電子回路ユニット53の放熱性を向上させることができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、電子回路ユニット53を収容する樹脂製の筐体52と、筐体52が取り付けられ、電子回路ユニット53の制御対象(例えば、モータ37及び駆動コイル38)が設けられている金属製の基体511と、を備え、上記の金属部材は、基体511である。それにより、電子回路ユニット53から発せられる熱を金属製の基体511に伝え、当該基体511から外部に放熱させることができる。
なお、本発明に係る液圧制御ユニットにおける金属部材(つまり、電子部品532とペルチェ素子55を介して熱伝導可能に接続される金属製の部材)は、基体511以外の部材であってもよい。例えば、本発明に係る液圧制御ユニットは、筐体52が金属製であり、電子回路ユニット53から発せられる熱を筐体52に伝え、当該筐体52から外部に放熱させるものであってもよい。そのようなものである場合に、基体511と筐体52とが分離された構成であり、その筐体52内に電子回路ユニット53が収容されていてもよい。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、筐体52には、貫通孔523が形成されており、基体511には、ネジ穴512が形成されており、筐体52は、貫通孔523に挿通されてネジ穴512に螺合されるボルト54によって、基体511に固定されており、ペルチェ素子55と基体511とは、ボルト54を介して熱伝導可能に接続されている。それにより、電子部品532から発せられる熱を、ペルチェ素子55及びボルト54を通って基体511に伝えることができる。ゆえに、電子回路ユニット53から発せられる熱を基体511から外部に放熱させることを適切に実現することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、基板531における電子部品532bが実装される部分には、基板531を貫通する放熱用ビア533が設けられており、電子部品532bとペルチェ素子55bとは、放熱用ビア533を介して熱伝導可能に接続されている。それにより、基板531の基体511側と逆側の面に実装されている電子部品532bから発せられる熱を基体511から外部に放熱させることを適切に実現することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、放熱用ビア533の金属部の横断面積は、基板531の導通用ビアの金属部の横断面積と比較して、大きい。それにより、放熱用ビア533における熱抵抗を低減することができる。ゆえに、放熱用ビア533における熱伝導を促進させることができる。よって、電子回路ユニット53の放熱性を効果的に向上させる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、ペルチェ素子55の動作を制御する制御部としてのマイクロコントローラ102を備え、マイクロコントローラ102は、ペルチェ素子55に電力を供給することによって電子部品532から金属部材へ向かう方向に伝熱させる伝熱制御を実行する。それにより、電子回路ユニット53から発せられる熱を外部に放熱させることを、ペルチェ素子55を利用して適切に実現することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、制御部としてのマイクロコントローラ102は、モータサイクル100の運転中に、電子部品532の温度が基準温度より高い状態である場合に、伝熱制御を実行する。それにより、電子部品532を冷却する必要の有無に応じて伝熱制御を適切に実行することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、制御部としてのマイクロコントローラ102は、伝熱制御において、電子部品532の温度が高いほど、ペルチェ素子55に供給する電力を大きくする。それにより、ペルチェ素子55を介して輸送される単位時間あたりの熱量を電子部品532の温度に応じて変化させることができる。ゆえに、電子回路ユニット53の放熱性を電子部品532の温度に応じて適切に変化させることができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、制御部としてのマイクロコントローラ102は、ペルチェ素子55の発電電力を給電対象(例えば、マイクロコントローラ102及びバッテリ6)に供給する給電制御を実行する。それにより、ペルチェ素子55内における温度差に起因して生じるペルチェ素子55の発電電力を有効利用することができる。ゆえに、電費を向上させることができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、制御部としてのマイクロコントローラ102は、モータサイクル100の停車中に、ペルチェ素子55の発電電圧が基準電圧より高い状態である場合に、給電制御を実行する。それにより、ペルチェ素子55の発電電力を給電対象に安定的に供給することができる場合に、給電制御を実行することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、制御部としてのマイクロコントローラ102は、モータサイクル100の運転中に、給電制御を禁止する。それにより、モータサイクル100の運転中に、ペルチェ素子55の発電電力がマイクロコントローラ102に供給されることを抑制することができるので、マイクロコントローラ102へ供給される電力が不足することを抑制することができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、給電対象は、制御部としてのマイクロコントローラ102を含む。それにより、バッテリ6の電力を用いずにマイクロコントローラ102の消費電力をペルチェ素子55の発電電力によって賄うことができる。
好ましくは、液圧制御ユニット5では、給電対象は、液圧制御ユニット5の外部のバッテリ6を含む。それにより、バッテリ6をペルチェ素子55の発電電力によって充電することができる。
本発明は実施形態の説明に限定されない。例えば、実施形態の一部のみが実施されてもよい。