JP7528223B2 - 機上現像型平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法 - Google Patents
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Description
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
上記の環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化、無処理化が指向されている。簡易な作製方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
本開示において、このような機上現像に用いることができる平版印刷版原版を、「機上現像型平版印刷版原版」という。
特許文献1には、画像記録層に下記式(1)で表される発色性化合物を含む平版印刷版原版が記載されている。
特許文献2:米国特許出願公開第2009/0269699号明細書
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、又は、平版印刷方法を提供することである。
<1> 波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を2つ以上有し、エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、上記露光を行った部分における上記露光前と上記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である機上現像型平版印刷版原版。
<2> 赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bを含み、上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長とが異なり、エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、上記露光を行った部分における上記露光前と上記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である機上現像型平版印刷版原版。
<3> 支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、上記赤外線吸収剤A、及び、上記赤外線吸収剤Bを含む<2>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<4> 支持体と、画像記録層と、最外層と、をこの順で有し、上記画像記録層が、赤外線吸収剤Aを含み、上記最外層が、赤外線吸収剤Bを含む<2>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<5> 上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長が、830nm超である<2>~<4>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<6> 上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長が、830nm以下である<2>~<5>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<7> 上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長の差が、5nm~50nmである<2>~<6>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<8> 上記赤外線吸収剤Bが、赤外線露光に起因して分解する分解型赤外線吸収剤である<2>~<7>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<9> 上記分解型赤外線吸収剤が、下記式1-1で表される化合物である<8>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<13> 上記画像記録層が、電子供与型重合開始剤を含む<3>又は<4>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<14> 上記赤外線吸収剤AのHOMO-上記電子供与型重合開始剤のHOMOの値が、0.60eV以下である<13>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<15> 上記赤外線吸収剤AのHOMOが、-5.30eV以下である<2>~<14>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<16> 上記赤外線吸収剤Aが、下記式1で表される化合物を含む<2>~<15>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
-X 式2
式2中、Xは、ハロゲン原子、-C(=O)-X2-R11、-C(=O)-NR12R13、-O-C(=O)-R14、-CN、-SO2NR15R16、又は、パーフルオロアルキル基を表し、X2は、単結合又は酸素原子を表し、R11及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、R12、R13、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
なお、R17は、アルキル基又はアリール基を表す。
<18> 式1におけるAr1及びAr2の少なくとも一方に、臭素原子を有する<16>又は<17>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<19> 上記電子供与型重合開始剤のHOMOが、-5.90eVより大きい<13>又は<14>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<20> 上記画像記録層が、電子受容型重合開始剤を含む<3>又は<4>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<21> 上記電子受容型重合開始剤が、オニウム塩化合物である<20>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<22> 上記電子受容型重合開始剤が、下記式(II)で表される化合物を含む<20>又は<21>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<24> 上記酸発色剤が、下記式(Le-8)で表される化合物を含む<23>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<26> 上記酸発色剤が、下記式(Le-10)で表される化合物を含む<23>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<28> 上記酸発色剤が、下記式(Le-11)で表される化合物を含む<23>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<30> 上記画像記録層が、重合性化合物を含む<3>、<4>及び<23>~<29>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<31> 上記重合性化合物が、2官能以下の重合性化合物を含む<30>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<32> 上記重合性化合物が、7官能以上の重合性化合物を含む<30>又は<31>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<33> 上記支持体と、上記画像記録層と、最外層と、をこの順で有する<3>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<34> 上記最外層が、疎水性ポリマーを含む<4>、<29>又は<33>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<35> 上記疎水性ポリマーが、疎水性ポリマー粒子である<34>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<36> 上記支持体が、アルミニウム板と、上記アルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有し、上記陽極酸化皮膜が、上記アルミニウム板よりも上記画像記録層側に位置し、上記陽極酸化皮膜が、上記画像記録層側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有し、上記マイクロポアの上記陽極酸化皮膜表面における平均径が、10nmを超え100nm以下である<3>又は<4>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<37> 上記マイクロポアが、上記陽極酸化皮膜表面から深さ10nm~1,000nmの位置までのびる大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20nm~2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径が、15nm~100nmであり、上記小径孔部の上記連通位置における平均径が、13nm以下である<36>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<38> <1>~<37>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インク及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む平版印刷版の作製方法。
<39> <1>~<37>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インク及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む平版印刷方法。
また、本開示の他の実施形態によれば、上記機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法又は平版印刷版の印刷方法を提供することができる。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
特に限定しない限りにおいて、本開示において組成物中の各成分、又は、ポリマー中の各構成単位は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
更に、本開示において組成物中の各成分、又は、ポリマー中の各構成単位の量は、組成物中に各成分、又は、ポリマー中の各構成単位に該当する物質又は構成単位が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質、又は、ポリマー中に存在する該当する複数の各構成単位の合計量を意味する。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
また、本開示において、化学構造式における「*」は、他の構造との結合位置を表す。
以下、本開示を詳細に説明する。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版(単に「平版印刷版原版」ともいう。)の第一の実施態様は、波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を2つ以上有し、エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、上記露光を行った部分における上記露光前と上記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版の第二の実施態様は、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bを含み、上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長とが異なり、エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、上記露光を行った部分における上記露光前と上記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である。
また、本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、ネガ型平版印刷版原版であることが好ましい。
本発明者らが鋭意検討した結果、経時後における露光部の視認性(単に「経時視認性」ともいう。)、及び、保存安定性に優れる平版印刷版原版を提供することができることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を2つ以上有するか、又は、最大吸収波長が互いに異なる赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Bを含むことにより、互いの極大又は最大吸収波長における吸収が、暗重合を抑制するとともに、露光時に生じる発色の経時による劣化も抑制することにより、経時後における露光部の視認性、及び、保存安定性に優れると推定している。
平版印刷版において、版の印刷可能な枚数が多いことを、「耐刷性に優れる」という。紫外線硬化型インキ(UVインキ)を用いた場合の耐刷性を、以下、「UV耐刷性」ともいう。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、上記明度変化ΔLが、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、5.0以上であることが好ましく、5.0~20.0であることが特に好ましい。
平版印刷版原版を、波長830nmの赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム グラフィックシステムズ(株)製Luxel PLATESETTER T-9800により、出力99.5%、外面ドラム回転数220rpm、解像度2,400dpi(dots per inch、1inch=25.4mm)の条件(エネルギー密度110mJ/cm2)で露光する。露光は25℃、50%RHの環境下で行う。
露光した平版印刷版原版を25℃70%RHの条件にて24保管し、保管前後の平版印刷版原版の明度変化を測定する。測定には、X-Rite社製分光測色計eXactを用いる。L*a*b*表色系のL*値(明度)を用い、露光後の露光部のL*値と露光前の露光部のL*値との差の絶対値を明度変化ΔLとする。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版の第二の実施態様は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を2つ以上有することが好ましく、波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を3つ以上有することがより好ましく、波長760nm~900nmの範囲において、極大吸収波長を3つ以上10以下有することが更に好ましい。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版の第一の実施態様は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bを含むことが好ましく、上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長とが異なることがより好ましい。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bをいずれの層に含んでいてもよく、また、別々の層にそれぞれ含んでいてもよいが、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、上記赤外線吸収剤A、及び、上記赤外線吸収剤Bを含むか、又は、支持体と、画像記録層と、最外層と、をこの順で有し、上記画像記録層が、赤外線吸収剤Aを含み、上記最外層が、赤外線吸収剤Bを含むことが好ましい。
また、本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、UV耐刷性の観点からは、支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、上記赤外線吸収剤A、及び、上記赤外線吸収剤Bを含むことはより好ましく、保存安定性の観点からは、支持体と、画像記録層と、最外層と、をこの順で有し、上記画像記録層が、赤外線吸収剤Aを含み、上記最外層が、赤外線吸収剤Bを含むことがより好ましい。
更に、本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、上記画像記録層が、赤外線吸収剤Cを更に含み、上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Cの最大吸収波長とがいずれも異なることが好ましく、支持体と、画像記録層と、最外層と、をこの順で有し、上記画像記録層が、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bを含み、上記最外層が、赤外線吸収剤Cを含むことが特に好ましい。
また、最外層は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、少なくとも1種の分解型赤外線吸収剤を含むことが好ましい。
更に、上記分解型赤外線吸収剤は、上記分解により発色する分解発色型赤外線吸収剤であることが好ましい。
なお、本開示において、赤外線吸収剤における発色とは、赤外線露光前よりも、赤外線露光後に可視光領域(400nm以上750nm未満の波長域)における吸収が増加することを示す。例えば、赤外線吸収剤における発色には、赤外線露光前よりも、赤外線露光後において、可視光領域よりも低波長領域の吸収が可視光領域に長波長化することも包含する。
また、上記赤外線吸収剤Bは、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、赤外線露光に起因して分解する分解型赤外線吸収剤であることが好ましい。
更に、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、上記赤外線吸収剤Aが、非分解型赤外線吸収剤又は分解型赤外線吸収剤であり、かつ上記赤外線吸収剤Bが、分解型赤外線吸収剤であることが好ましく、上記赤外線吸収剤Aが、非分解型赤外線吸収剤であり、かつ上記赤外線吸収剤Bが、分解型赤外線吸収剤であることがより好ましい。
また、上記最外層が赤外線吸収剤を含む場合、上記最外層に含まれる赤外線吸収剤は、分解型赤外線吸収剤であることが好ましい。
上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、830nm以下であることが好ましく、760nm~830nmであることがより好ましく、760nm~820nmであることが更に好ましく、765nm~810nmであることが特に好ましい。
また、上記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と上記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長の差は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、5nm以上であることが好ましく、5nm~50nmであることがより好ましく、10nm~50nmであることが更に好ましく、20nm~50nmであることが特に好ましい。
まず、計算対象となる化合物における遊離の対イオンは計算対象から除外する。例えば、カチオン性の一電子受容型重合開始剤、カチオン性の赤外線吸収剤では対アニオンを、アニオン性の一電子供与型重合開始剤では対カチオンをそれぞれ計算対象から除外する。ここでいう遊離とは、対象とする化合物とその対イオンが共有結合で連結されていないことを意味する。
量子化学計算ソフトウェアGaussian09を用い、構造最適化はDFT(B3LYP/6-31G(d))で行う。
MO(分子軌道)エネルギー計算は、上記構造最適化で得た構造でDFT(B3LYP/6-31+G(d,p)/CPCM(solvent=methanol))で行う。
上記MOエネルギー計算で得られたMOエネルギーEbare(単位:hartree)を以下の公式により、本開示においてHOMO及びLUMOの値として用いるEscaled(単位:eV)へ変換する。
Escaled=0.823168×27.2114×Ebare-1.07634
なお、27.2114は単にhartreeをeVに変換するための係数であり、0.823168と-1.07634とは調節係数であり、計算対象となる化合物のHOMOとLUMOとを計算が実測の値に合うように定める。
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体上に形成された画像記録層を有することが好ましい。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、重合性化合物、重合開始剤、赤外線吸収剤(例えば、赤外線吸収剤A若しくは赤外線吸収剤Bのみ、又は、赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Bを含む)を含むことが好ましい。
本開示に用いられる画像記録層は、ネガ型画像記録層であることが好ましく、水溶性又は水分散性のネガ型画像記録層であることがより好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版は、機上現像性の観点から、画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかにより除去可能であることが好ましい。
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版は、画像記録層に、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
また、上記画像記録層は、赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bだけでなく、これら以外の、赤外線吸収剤C、赤外線吸収剤D等を更に含んでいてもよい。
なお、本明細書において、特に断りなく、単に「赤外線吸収剤」という場合は、赤外線吸収剤A、赤外線吸収剤B、赤外線吸収剤C、赤外線吸収剤D等の全てについて述べるものとする。
赤外線吸収剤として用いられる染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
また、特開平5-5005号公報の段落0008~0009、特開2001-222101号公報の段落0022~0025に記載の化合物も好ましく使用することができる。
顔料としては、特開2008-195018号公報の段落0072~0076に記載の化合物が好ましい。
上記赤外線吸収剤として、分解型赤外線吸収剤を用いることにより、上記赤外線吸収剤又はその分解物が重合を促進し、また、上記赤外線吸収剤の分解物と重合性化合物とが相互作用することにより、UV耐刷性に優れると推定している。
上記分解型赤外線吸収剤は、赤外線露光により、赤外線を吸収し、分解して、発色する機能を有する赤外線吸収剤であることが好ましい。
以降、分解型赤外線吸収剤が、赤外線露光により、赤外線を吸収し、分解して形成される発色した化合物を、「分解型赤外線吸収剤の発色体」ともいう。
また、分解型赤外線吸収剤は、赤外線露光により、赤外線を吸収し、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有することが好ましい。
上記分解型赤外線吸収剤は、赤外線波長域(波長750nm~1mm)の少なくとも1部の光を吸収し、分解するものであればよいが、750nm~1,400nmの波長域に極大吸収波長を有する赤外線吸収剤であることが好ましく、760nm~900nmの波長域に極大吸収波長を有する赤外線吸収剤であることがより好ましい。
より具体的には、分解型赤外線吸収剤は、赤外線露光に起因して分解し、500nm~600nmの波長域に極大吸収波長を有する化合物を生成する化合物であることが好ましい。
-X 式2
式2中、Xは、ハロゲン原子、-C(=O)-X2-R11、-C(=O)-NR12R13、-O-C(=O)-R14、-CN、-SO2NR15R16、又は、パーフルオロアルキル基を表し、X2は、単結合又は酸素原子を表し、R11及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、R12、R13、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
また、式1においては、Ar1及びAr2の少なくとも一方に、上記式2で表される基を有し、耐刷性、及び、視認性の観点から、Ar1及びAr2の両方に、上記式2で表される基を有することが好ましい。
R11及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、炭素数1~12のアルキル基であることがより好ましい。
R12、R13、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1~12のアルキル基であることが更に好ましい。
R17は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、炭素数1~12のアルキル基であることがより好ましい。
また、A1は、UV版飛び抑制性、GLV適性及びUV耐刷性の観点からは、-Xであることが好ましく、ハロゲン原子であることがより好ましく、塩素原子、又は、臭素原子であることが更に好ましく、塩素原子であることが特に好ましい。
R9及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基又はアリールスルホニル基を表し、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12のアリール基であることが好ましく、炭素数1~12のアルキル基であることがより好ましい。
X1は酸素原子又は硫黄原子を表し、L1が炭化水素基又はヘテロアリール基である場合は、硫黄原子であることが好ましく、L1が熱若しくは赤外線露光によりX1との結合が開裂する基であることが好ましい。
L1は炭化水素基、ヘテロアリール基、又は、熱若しくは赤外線露光によりX1との結合が開裂する基を表し、耐刷性の観点からは、炭化水素基又はヘテロアリール基が好ましく、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましく、ヘテロアリール基が更に好ましい。
また、L1は、視認性及び経時における退色抑制性の観点からは、熱若しくは赤外線露光によりX1との結合が開裂する基が好ましい。
熱若しくは赤外線露光によりX1との結合が開裂する基については、後述する。
R18及びR19はそれぞれ独立に、アリール基を表し、炭素数6~20のアリール基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
R20は炭化水素基又はヘテロアリール基を表し、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、ヘテロアリール基がより好ましい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び、2-ノルボルニル基を挙げられる。
これらアルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好ましい。
また、上記アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
上記アリール基としては具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、p-トリル基、p-クロロフェニル基、p-フルオロフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ジメチルアミノフェニル基、p-メチルチオフェニル基、p-フェニルチオフェニル基等が挙げられる。
これらアリール基の中で、フェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ジメチルアミノフェニル基、又は、ナフチル基が好ましい。
R1及びR2が連結して環を形成する場合、好ましい環員数は5又は6員環が好ましく、6員環がより好ましい。また、R1及びR2が連結して形成される環は、エチレン性不飽和結合を有していてもよい炭化水素環であることが好ましい。
R0は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、アルキル基であることが好ましい。
また、R7及びR8はそれぞれ独立に、直鎖アルキル基又は末端にスルホネート基を有するアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基又は末端にスルホネート基を有するブチル基であることがより好ましい。
また、上記スルホネート基の対カチオンは、式1中の窒素原子上のカチオンであってもよいし、アルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンであってもよい。
更に、式1で表される化合物の水溶性をさせる観点から、R7及びR8はそれぞれ独立に、アニオン構造を有するアルキル基であることが好ましく、カルボキシレート基又はスルホネート基を有するアルキル基であることがより好ましく、末端にスルホネート基を注するアルキル基であることが更に好ましい。
また、式1で表される化合物の極大吸収波長を長波長化し、また、視認性及び平版印刷版における耐刷性の観点から、R7及びR8はそれぞれ独立に、芳香環を有するアルキル基であることが好ましく、末端に芳香環を有するアルキル基であることがより好ましく、2-フェニルエチル基、2-ナフタレニルエチル基、又は、2-(9-アントラセニル)エチル基であることが特に好ましい。
更に、式1で表される化合物は、経時安定性、UV版飛び抑制性、GLV適性及びUV耐刷性の観点から、ハロゲン原子を2つ以上有することがより好ましく、ハロゲン原子を3つ以上有することが更に好ましく、ハロゲン原子を3つ以上6つ以下有することが特に好ましい。
また、上記ハロゲン原子としては、塩素原子、又は、臭素原子が好ましく挙げられる。
更にまた、式1で表される化合物は、経時安定性、UV版飛び抑制性、GLV適性及びUV耐刷性の観点から、Ar1及びAr2の少なくとも1方に、ハロゲン原子を有することが好ましく、Ar1及びAr2の少なくとも1方に、塩素原子、又は、臭素原子を有することがより好ましく、Ar1及びAr2の少なくとも1方に、臭素原子を有することが特に好ましい。
中でも、Zaは、耐刷性及び視認性の観点から、炭素原子を含む有機アニオンであることが好ましく、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンであることがより好ましく、スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンであることが更に好ましく、スルホンイミドアニオンであることが特に好ましい。
R1~R8、R0、A1、Ar1、Ar2、Y1及びY2は、アニオン構造やカチオン構造を有していてもよく、R1~R8、R0、A1、Ar1、Ar2、Y1及びY2の全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンであるが、例えば、R1~R8、R0、A1、Ar1、Ar2、Y1及びY2に2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
また、式1において、Za以外の部分が電荷的に中性であれば、Zaはなくともよい。
また、スルホンイミドアニオンとしては、ビスアリールスルホンイミドアニオンが好ましい。
スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンの具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Etはエチル基を、それぞれ表す。
R10及びR13におけるアルケニル基の炭素数は、1~30であることが好ましく、1~15であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましい。
R10~R18がアリール基である場合の好ましい態様は、R0におけるアリール基の好ましい態様と同様である。
また、式(1-1)におけるR10がアルキル基である場合、上記アルキル基は、α位にアリールチオ基又はアルキルオキシカルボニル基を有するアルキル基であることが好ましい。
式(1-1)におけるR10が-OR14である場合、R14は、アルキル基であることが好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることがより好ましく、イソプロピル基又はt-ブチル基であることが更に好ましく、t-ブチル基であることが特に好ましい。
また、視認性の観点から、式(1-2)におけるR12は、-C(=O)OR14、-OC(=O)OR14又はハロゲン原子であることが好ましく、-C(=O)OR14又は-OC(=O)OR14であることがより好ましい。式(1-2)におけるR12が-C(=O)OR14又は-OC(=O)OR14である場合、R14は、アルキル基であることが好ましい。
また、R11におけるアルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~10のアルキル基であることがより好ましい。
更に、R11におけるアルキル基は、分岐を有するアルキル基、又は、シクロアルキル基であることが好ましく、第二級又は第三級アルキル基、又は、シクロアルキル基であることがより好ましく、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又は、t-ブチル基であることが更に好ましい。
また、視認性の観点から、式(1-3)におけるR13は、アリール基、アルコキシ基又はオニウム基であることが好ましく、p-ジメチルアミノフェニル基又はピリジニウム基であることがより好ましく、ピリジニウム基であることが更に好ましい。
R13におけるオニウム基としては、ピリジニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等が挙げられる。オニウム基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられるが、アルキル基、アリール基及びこれらを組み合わせた基であることが好ましい。
中でも、ピリジニウム基が好ましく、N-アルキル-3-ピリジニウム基、N-ベンジル-3-ピリジニウム基、N-(アルコキシポリアルキレンオキシアルキル)-3-ピリジニウム基、N-アルコキシカルボニルメチル-3-ピリジニウム基、N-アルキル-4-ピリジニウム基、N-ベンジル-4-ピリジニウム基、N-(アルコキシポリアルキレンオキシアルキル)-4-ピリジニウム基、N-アルコキシカルボニルメチル-4-ピリジニウム基、又は、N-アルキル-3,5-ジメチル-4-ピリジニウム基がより好ましく、N-アルキル-3-ピリジニウム基、又は、N-アルキル-4-ピリジニウム基が更に好ましく、N-メチル-3-ピリジニウム基、N-オクチル-3-ピリジニウム基、N-メチル-4-ピリジニウム基、又は、N-オクチル-4-ピリジニウム基が特に好ましく、N-オクチル-3-ピリジニウム基、又は、N-オクチル-4-ピリジニウム基が最も好ましい。
また、R13がピリジニウム基である場合、対アニオンとしては、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、p-トルエンスルホネートイオン、又は、ヘキサフルオロホスフェートイオンが好ましい。
視認性の観点から、式(1-5)におけるR10は、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、p-メチルフェニル基であることが更に好ましい。
視認性の観点から、式(1-6)におけるR10はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、メチル基又はフェニル基であることがより好ましい。
視認性の観点から、式(1-7)におけるZ1は、電荷を中和する対イオンであればよく、化合物全体として、上記Zaに含まれてもよい。
Z1は、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、又は、過塩素酸塩イオンであることが好ましく、p-トルエンスルホネートイオン、又は、ヘキサフルオロホスフェートイオンであることがより好ましい。
R19及びR20におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルコキシ基、及び、末端アルコキシポリアルキレンオキシ基が好ましく挙げられる。
R19は、炭素数1~12のアルキル基であることが好ましく、炭素数1~12の直鎖アルキル基であることがより好ましく、炭素数1~8の直鎖アルキル基であることが更に好ましく、メチル基又はn-オクチル基であることが特に好ましい。
R20は、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~8の分岐アルキル基であることがより好ましく、イソプロピル基又はt-ブチル基であることが更に好ましく、イソプロピル基であることが特に好ましい。
Za’は、電荷を中和する対イオンであればよく、化合物全体として、上記Zaに含まれてもよい。
Za’は、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、又は、過塩素酸塩イオンであることが好ましく、p-トルエンスルホネートイオン、又は、ヘキサフルオロホスフェートイオンであることがより好ましい。
分解型赤外線吸収剤としては、露光部の視認性を高める観点から、下記式1-1で表される化合物であることがより好ましい。
以下、式2-1で表される基、式3-1で表される基、及び式4-1で表される基についてそれぞれ説明する。
R20で表されるアルキル基としては、炭素数1~30のアルキル基が好ましく、炭素数1~15のアルキル基がより好ましく、炭素数1~10のアルキル基が更に好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
R20で表されるアリール基としては、炭素数6~30のアリール基が好ましく、炭素数6~20のアリール基がより好ましく、炭素数6~12のアリール基が更に好ましい。
R20としては、視認性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
更に、分解性、及び、視認性の観点から、R20で表されるアルキル基としては、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3~6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又はtert-ブチル基が特に好ましく、tert-ブチル基が最も好ましい。
R30で表されるアルキル基及びアリール基としては、式2-1中のR20で表されるアルキル基及びアリール基と同様であり、好ましい態様も同様である。
また、分解性、及び、視認性の観点から、R30で表されるアルキル基としては、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3~6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又はtert-ブチル基が特に好ましく、tert-ブチル基が最も好ましい。
更に、分解性、及び、視認性の観点から、R30で表されるアルキル基は、置換アルキル基であることが好ましく、フルオロ置換アルキル基であることがより好ましく、パーフルオロアルキル基であることが更に好ましく、トリフルオロメチル基であることが特に好ましい。
R41又はR42で表されるアルキル基及びアリール基としては、式2-1中のR20で表されるアルキル基及びアリール基と同様であり、好ましい態様も同様である。
R41としては、分解性、及び、視認性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
R42としては、分解性、及び、視認性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
分解性、及び、視認性の観点から、R42で表されるアルキル基としては、第二級アルキル基又は第三級アルキル基であることが好ましく、第三級アルキル基であることが好ましい。
また、分解性、及び、視認性の観点から、R42で表されるアルキル基としては、炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3~10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3~6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又は、tert-ブチル基が特に好ましく、tert-ブチル基が最も好ましい。
Zbは、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、又は過塩素酸塩イオンが好ましく、テトラフルオロボレートイオンがより好ましい。
また、-NR10-におけるR10は、アルキル基が好ましい。R10で表されるアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましい。また、R10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
アルキル基の中では、メチル基又はシクロヘキシル基が好ましい。
-NR10-におけるR10がアリール基の場合、炭素数6~30のアリール基が好ましく、炭素数6~20のアリール基がより好ましく、炭素数6~12のアリール基が更に好ましい。また、これらアリール基は、置換基を有していてもよい。
Ra~Reで表される炭化水素基は、炭素数1~30の炭化水素基が好ましく、炭素数1~15の炭化水素基がより好ましく、炭素数1~10の炭化水素基が更に好ましい。
上記炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、アルキル基が特に好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルブチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び、2-ノルボルニル基が挙げられる。
アルキル基の中で、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
置換基の例としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
中でも、Lが結合する炭素原子と結合する炭素原子に結合するR11及びR13は、アルキル基が好ましく、両者が連結して環を形成することがより好ましい。上記形成される環としては、単環であってもよく、多環であってもよい。形成される環として、具体的には、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等の単環、及び、インデン環、インドール環等の多環が挙げられる。
また、A1 +が結合する炭素原子に結合するR12はR15又はR16(好ましくはR16)と連結して環を形成することが好ましく、A2が結合する炭素原子に結合するR14はR17又はR18(好ましくはR18)と連結して環を形成することが好ましい。
また、R16は、A1 +が結合する炭素原子に結合するR12と連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドリウム環、ピリリウム環、チオピリリウム環、ベンゾオキサゾリン環、又はベンゾイミダゾリン環が好ましく、露光部の視認性を高める観点から、インドリウム環がより好ましい。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
式1-1において、n14は1であり、R18は、-Ra(即ち炭化水素基)であることが好ましい。
また、R18は、A2が結合する炭素原子に結合するR14と連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドール環、ピラン環、チオピラン環、ベンゾオキサゾール環、又はベンゾイミダゾール環が好ましく、露光部の視認性を高める観点から、インドール環がより好ましい。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
式1-1におけるR16及びR18は同一の基であることが好ましく、それぞれが環を形成する場合、A1 +及びA2を除き、同一の構造の環を形成することが好ましい。
R15又はR17で表される置換アルキル基としては、下記式(a1)~式(a4)のいずれかで表される基が挙げられる。
nW1は1~10が好ましく、1~5がより好ましく、1~3が特に好ましい。
RW1で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、又はn-ブチル基、tert-ブチル基が好ましく、メチル基、又はエチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
RW5で表されるアルキル基は、RW1で表されるアルキル基と同様であり、好ましい態様もRW1で表されるアルキル基の好ましい態様と同様である。
式(a3)において、2つ存在するMは同じでも異なってもよい。
式(a2)におけるCO2M、式(a2)におけるPO3M2、及び式(a4)におけるSO3Mは、いずれもMが解離したアニオン構造を有していてもよい。アニオン構造の対カチオンは、A1 +であってもよいし、式1-1中のR1-Lに含まれうるカチオンであってもよい。
式1-1におけるA1及びA2は同一の原子であることが好ましい。
R11~R18及びR1-Lの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンとなる。但し、R11~R18及びR1-Lは、アニオン構造又はカチオン構造を有していてもよく、例えば、R11~R18及びR1-Lに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
なお、式1-1で表されるシアニン色素が、Zaを除き、化合物の全体において電荷的に中性な構造であれば、Zaは必要ない。
Zaが対アニオンである場合、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p-トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、テトラフルオロボレートイオンが好ましい。
Zaが対カチオンである場合、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、又はスルホニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンがより好ましい。
より具体的には、R19及びR21は、水素原子、又は-Raであることが好ましい。
また、R20及びR22は、水素原子、-Ra、-ORb、又は-CNであることが好ましい。
R19~R22で表される-Raとしては、アルキル基、又はアルケニル基が好ましい。
R19~R22のすべてが-Raである場合、R19とR20及びR21とR22が連結して単環又は多環を形成することが好ましい。
R19とR20又はR21とR22が連結して形成される環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
R23とR24が連結して形成される環としては、単環であってもよく、多環であってもよい。形成される環として、具体的には、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等の単環、及び、インデン環等の多環が挙げられる。
無置換アルキル基としては、炭素数1~4の無置換アルキル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
W1及びW2で表される置換アルキル基としては、式1-1における式(a1)~式(a4)のいずれかで表される基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
また、W1及びW2はそれぞれ独立に、機上現像性の観点から、置換基を有するアルキル基であり、かつ、上記置換基として、-OCH2CH2-、スルホ基、スルホ基の塩、カルボキシ基、又は、カルボキシ基の塩を少なくとも有する基であることが好ましい。
R19~R22、R23~R24、Rd1~Rd4、W1、W2、及び、R1-Lの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンとなる。但し、R19~R22、R23~R24、Rd1~Rd4、W1、W2、及び、R1-Lは、アニオン構造又はカチオン構造を有していてもよく、例えば、R19~R22、R23~R24、Rd1~Rd4、W1、W2、及び、R1-Lに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
なお、式1-2で表される化合物が、Zaを除き、化合物の全体において電荷的に中性な構造であれば、Zaは必要ない。
Zaが対アニオンである場合の例は、式1-1におけるZaと同様であり、好ましい態様も同様である。また、Zaが対カチオンである場合の例も、式1-1におけるZaと同様であり、好ましい態様も同様である。
特に、分解性、及び、視認性の観点から、式1-3、式1-5、及び式1-6のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
式1-7におけるR25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
また、分解型赤外線吸収剤であるシアニン色素としては、国際公開第2019/219560号に記載の赤外線吸収性化合物を好適に用いることができる。
上記画像記録層中の赤外線吸収剤の総含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%~10.0質量%が好ましく、0.5質量%~5.0質量%がより好ましい。
上記画像記録層が赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Bを含む場合、上記画像記録層中の赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Bの含有量はそれぞれ独立に、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%~8.0質量%が好ましく、0.5質量%~4.5質量%がより好ましい。
また、上記画像記録層が赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Bを含む場合、上記画像記録層中の赤外線吸収剤Aの含有量は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、赤外線吸収剤Bの含有量以上であることが好ましく、赤外線吸収剤Bの含有量よりも多いことがより好ましく、赤外線吸収剤Bの含有量よりも1.2質量倍~2.5質量倍多いことが特に好ましい。
更に、上記最外層が赤外線吸収剤を含む場合、上記画像記録層中の赤外線吸収剤の総含有量は、経時視認性、保存安定性、及び、UV耐刷性の観点から、上記最外層中の赤外線吸収剤の総含有量以上であることが好ましく、上記最外層中の赤外線吸収剤の総含有量よりも多いことがより好ましい。
本開示における画像記録層は、重合性化合物を含むことが好ましい。
本開示において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物をいう。
重合性基としては、特に限定されず公知の重合性基であればよいが、エチレン性不飽和基であることが好ましい。また、重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよいが、ラジカル重合性基であることが好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルフェニル基、ビニル基等が挙げられ、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、50以上2,500未満であることが好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物であることがより好ましい。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体若しくはオリゴマー、又は、それらの混合物などの化学的形態をもつ。
中でも、上記重合性化合物としては、UV耐刷性の観点から、3官能以上の重合性化合物を含むことが好ましく、7官能以上の重合性化合物を含むことがより好ましく、10官能以上の重合性化合物を含むことが更に好ましい。また、上記重合性化合物は、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、3官能以上(好ましくは7官能以上、より好ましくは10官能以上)のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、3官能以上(好ましくは7官能以上、より好ましくは10官能以上)の(メタ)アクリレート化合物を含むことが更に好ましい。
2官能以下の重合性化合物(好ましくは2官能重合性化合物)の含有量は、耐刷性、機上現像性、及び、汚れ抑制性の観点から、上記画像記録層における重合性化合物の全質量に対し、5質量%~100質量%であることが好ましく、10質量%~100質量%であることがより好ましく、15質量%~100質量%であることが特に好ましい。
画像記録層に含まれる重合性化合物としては、オリゴマーである重合性化合物(以下、単に「オリゴマー」ともいう。)を含有することが好ましい。
本開示においてオリゴマーとは、分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)が600以上10,000以下であり、かつ、重合性基を少なくとも1つ含む重合性化合物を表す。
耐薬品性、UV耐刷性に優れる観点から、オリゴマーの分子量としては、1,000以上5,000以下であることが好ましい。
また、オリゴマーにおける重合性基の上限値は、特に制限はないが、重合性基の数は20以下であることが好ましい。
なお、オリゴマーを製造する過程で生じる可能性のある、ポリマー成分を含有していてもよい。
本開示においてエポキシ残基とは、エポキシ基により形成される構造を指し、例えば酸基(カルボン酸基等)とエポキシ基との反応により得られる構造と同様の構造を意味する。
L1~L4としては、それぞれ独立に、炭素数2~20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2~10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4~8のアルキレン基であることが更に好ましい。また、上記アルキレン基は、分岐又は環構造を有していてもよいが、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
例えば、酸基を有するポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物を反応させて得られたポリウレタンオリゴマーに、エポキシ基及び重合性基を有する化合物を反応させることにより、ウレタン結合を有する化合物を得てもよい。
また、エポキシ残基を有する化合物における重合性基の数は、2~6であることが好ましく、2~3であることがより好ましい。
上記エポキシ残基を有する化合物としては、例えば、エポキシ基を有する化合物にアクリル酸を反応することにより得ることができる。
オリゴマーとしては、市販品を用いてもよく、UA510H、UA-306H、UA-306I、UA-306T(いずれも共栄社化学(株)製)、UV-1700B、UV-6300B、UV7620EA(いずれも日本合成化学工業(株)製)、U-15HA(新中村化学工業(株)製)、EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL885、EBECRYL800、EBECRYL3416、EBECRYL860(いずれもダイセルオルネクス(株)製)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
重合性化合物は、上記オリゴマー以外の重合性化合物を更に含んでいてもよい。
オリゴマー以外の重合性化合物としては、耐薬品性の観点から、低分子重合性化合物であることが好ましい。低分子重合性化合物としては、単量体、2量体、3量体又は、それらの混合物などの化学的形態であってもよい。
また、低分子重合性化合物としては、耐薬品性の観点から、エチレン性不飽和基を3つ以上有する重合性化合物、及びイソシアヌル環構造を有する重合性化合物からなる群より選ばれる少なくとも一方の重合性化合物であることが好ましい。
低分子重合性化合物の分子量としては、耐薬品性、UV耐刷性及び機上現像カスの抑制性に優れる観点から、100以上600未満であることが好ましく、300以上600未満であることがより好ましく、400以上600未満であることが更に好ましい。
中でも、画像記録層は、UV耐刷性の観点から、2種以上の重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物の含有量(重合性化合物を2種以上含む場合は、重合性化合物の総含有量)は、画像記録層の全質量に対して、5質量%~75質量%であることが好ましく、10質量%~70質量%であることがより好ましく、15質量%~60質量%であることが更に好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層は、重合開始剤を含むことが好ましい。
また、重合開始剤としては、感度、耐刷性、機上現像性、及び、着肉性の観点から、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましく、電子受容型重合開始剤、及び、電子供与型重合開始剤を含むことがより好ましい。
上記画像記録層は、重合開始剤として、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましい。
電子受容型重合開始剤は、赤外線露光により赤外線吸収剤の電子が励起した際に、分子間電子移動で一電子を受容することにより、ラジカル等の重合開始種を発生する化合物である。
本開示に用いられる電子受容型重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカルやカチオン等の重合開始種を発生する化合物であって、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを適宜選択して用いることができる。
電子受容型重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、オニウム塩化合物がより好ましい。
また、電子受容型重合開始剤としては、赤外線感光性重合開始剤であることが好ましい。
電子受容型ラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物が挙げられる。
(b)カルボニル化合物としては、例えば、特開2008-195018号公報の段落0024に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8-108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008-195018号公報の段落0025に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008-195018号公報の段落0026に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、例えば、2,6-ビス(4-アジドベンジリデン)-4-メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008-195018号公報の段落0027に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、例えば、特開昭61-166544号、特開2002-328465号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008-195018号公報の段落0028~0030に記載の化合物が好ましい。
これら化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれに限定されるものではない。
スルホンアミドアニオンとしては、アリールスルホンアミドアニオンが好ましい。
また、スルホンイミドアニオンとしては、ビスアリールスルホンイミドアニオンが好ましい。
スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンの具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Etはエチル基を、それぞれ表す。
また、式(II)において、RAとしては、感度と保存安定性とのバランスに優れる観点から、アミド基で置換されているアリール基が好ましい。
また、下限としては、-3.80eV以上であることが好ましく、-3.60eV以上であることがより好ましい。
電子受容型重合開始剤の含有量は、画像記録層の全質量に対して、0.1質量%~50質量%であることが好ましく、0.5質量%~30質量%であることがより好ましく、0.8質量%~20質量%であることが特に好ましい。
重合開始剤は、平版印刷版における耐薬品性、及び、UV耐刷性の向上に寄与する観点から、電子供与型重合開始剤を含むことが好ましく、電子供与型重合開始剤及び上記電子供与型重合開始剤の両方を含むことがより好ましい。
電子供与型重合開始剤としては、例えば、以下の5種類が挙げられる。
(i)アルキル又はアリールアート錯体:酸化的に炭素-ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、ボレート塩化合物等が挙げられる。
(ii)アミノ酢酸化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC-X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシ基、トリメチルシリル基又はベンジル基が好ましい。具体的には、N-フェニルグリシン類(フェニル基に置換基を有していてもよい。)、N-フェニルイミノジ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。
(iii)含硫黄化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を硫黄原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。具体的には、フェニルチオ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。
(iv)含錫化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。
(v)スルフィン酸塩類:酸化により活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。
ボレート塩化合物が有する対カチオンとしては、特に制限はないが、アルカリ金属イオン、又は、テトラアルキルアンモニウムイオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又は、テトラブチルアンモニウムイオンであることがより好ましい。
また、上限としては、-5.00eV以下であることが好ましく、-5.40eV以下であることがより好ましい。
Z+で表される対カチオンとしては、Na+、K+、N+(Bu)4等が挙げられる。上記Buはn-ブチル基を表す。
また、Z+で表される対カチオンとしては、上記電子受容型重合開始剤におけるオニウムイオンも好適にあげられる。
また、上記画像記録層は、上記電子供与型重合開始剤として、ボレート塩化合物を含むことが好ましく、上記電子供与型重合開始剤として、ボレート塩化合物を含み、かつ上記赤外線吸収剤AのHOMO-上記ボレート塩化合物のHOMOの値が、0.70eV以下であることがより好ましい。
上記各HOMOは、後述する方法にて算出するものとする。
電子供与型重合開始剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%~30質量%が好ましく、0.05質量%~25質量%がより好ましく、0.1質量%~20質量%が更に好ましい。
具体的には、例えば、上記オニウム塩化合物が、オニウムイオンと、上記電子供与型重合開始剤におけるアニオン(例えば、テトラフェニルボレートアニオン)との塩である態様が挙げられる。また、より好ましくは、上記ヨードニウム塩化合物におけるヨードニウムカチオン(例えば、ジ-p-トリルヨードニウムカチオン)と、上記電子供与型重合開始剤におけるボレートアニオンとが塩を形成した、ヨードニウムボレート塩化合物が挙げられる。
上記電子受容型重合開始剤と上記電子供与型重合開始剤とが塩を形成している態様の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
本開示における画像記録層は、上記電子供与型重合開始剤と、上記電子受容型重合開始剤と、上記赤外線吸収剤と、を含み、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが-6.0eV以上であり、かつ、上記電子受容型重合開始剤のLUMOが-3.0eV以下であることが好ましい。
上記電子供与型重合開始剤のHOMO、及び、上記電子受容型重合開始剤のLUMOのより好ましい態様は、それぞれ上述の通りである。
本開示における画像記録層において、上記電子供与型重合開始剤と、上記赤外線吸収剤の少なくとも1種(好ましくは赤外線吸収剤A)と、上記電子受容型重合開始剤とは、例えば、下記化学式に記載のようにエネルギーの受け渡しを行っていると推測される。
そのため、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが-6.0eV以上であり、かつ、上記電子受容型重合開始剤のLUMOが-3.0eV以下であれば、ラジカルの発生効率が向上するため、耐薬品性及びUV耐刷性により優れやすいと考えられる。
また、UV耐刷性及び耐薬品性の観点から、上記電子受容型重合開始剤のLUMO-上記赤外線吸収剤の少なくとも1種(好ましくは赤外線吸収剤A)のLUMOの値は、1.00eV以下であることが好ましく、0.700eV以下であることがより好ましい。また、同様の観点から、上記電子受容型重合開始剤のLUMO-上記赤外線吸収剤の少なくとも1種(好ましくは赤外線吸収剤A)のLUMOの値は、-0.200eV以上であることが好ましく、-0.100eV以上であることがより好ましい。
また、同様の観点から、上記電子受容型重合開始剤のLUMO-上記赤外線吸収剤の少なくとも1種(好ましくは赤外線吸収剤A)のLUMOの値は、1.00eV~-0.200eVであることが好ましく、0.700eV~-0.100eVであることがより好ましい。なお、マイナスの値は、上記赤外線吸収剤の少なくとも1種(好ましくは赤外線吸収剤A)のLUMOが、上記電子受容型重合開始剤のLUMOよりも高くなることを意味する。
上記画像記録層は、UV耐刷性の観点から、粒子を含むことが好ましい。
粒子としては、有機粒子であっても、無機粒子であってもよいが、UV耐刷性の観点から、有機粒子を含むことが好ましく、ポリマー粒子を含むことがより好ましい。
無機粒子としては、公知の無機粒子を用いることができ、シリカ粒子、チタニア粒子等の金属酸化物粒子を好適に用いることができる。
また、ポリマー粒子は、UV耐刷性、及び、機上現像性の観点から、熱可塑性樹脂粒子であることが好ましい。
熱可塑性樹脂粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は0.01μm~3.0μmが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環を複数有している化合物が好ましい。
上記活性水素を有する化合物としては、ポリオール化合物、又は、ポリアミン化合物が好ましく、ポリオール化合物がより好ましく、プロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる樹脂の粒子としては、特開2012-206495号公報の段落0032~0095に記載のポリマー粒子が好ましく挙げられる。
上記疎水性主鎖としては、アクリル樹脂鎖が好ましく挙げられる。
上記ペンダントシアノ基の例としては、-[CH2CH(C≡N)]-又は-[CH2C(CH3)(C≡N)]-が好ましく挙げられる。
また、上記ペンダントシアノ基を有する構成ユニットは、エチレン系不飽和型モノマー、例えば、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルから、又は、これらの組み合わせから容易に誘導することができる。
また、上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシド構造の繰り返し数は、10~100であることが好ましく、25~75であることがより好ましく、40~50であることが更に好ましい。
疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含む樹脂の粒子としては、特表2008-503365号公報の段落0039~0068に記載のものが好ましく挙げられる。
上記親水性基としては、親水性を有する構造であれば、特に制限はないが、カルボキシ基等の酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、ポリアルキレンオキシド構造等が挙げられる。
中でも、機上現像性、及び、UV耐刷性の観点から、ポリアルキレンオキシド構造が好ましく、ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、又は、ポリエチレン/プロピレンオキシド構造がより好ましい。
また、機上現像性、及び、機上現像時の現像カス抑制性の観点からは、上記ポリアルキレンオキシド構造として、ポリプロピレンオキシド構造を有することが好ましく、ポリエチレンオキシド構造及びポリプロピレンオキシド構造を有することがより好ましい。
また、上記親水性基としては、耐刷性、着肉性、及び、機上現像性の観点から、シアノ基を有する構成単位、又は、下記式Zで表される基を含むことが好ましく、下記式(AN)で表される構成単位、又は、下記式Zで表される基を含むことがより好ましく、下記式Zで表される基を含むことが特に好ましい。
*-Q-W-Y 式Z
式Z中、Qは二価の連結基を表し、Wは親水性構造を有する二価の基又は疎水性構造を有する二価の基を表し、Yは親水性構造を有する一価の基又は疎水性構造を有する一価の基を表し、W及びYのいずれかは親水性構造を有し、*は他の構造との結合部位を表す。
シアノ基は、通常、シアノ基を有する化合物(モノマー)を用いて、シアノ基を含む構成単位として樹脂に導入されることが好ましい。シアノ基を有する化合物としては、アクリロニトリル化合物が挙げられ、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。
シアノ基を有する構成単位としては、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位であることが好ましく、(メタ)アクリロニトリルにより形成される構成単位、すなわち、上記式(AN)で表される構成単位がより好ましい。
上記ポリマーが、シアノ基を有する構成単位を有するポリマーを含む場合、シアノ基を有する構成単位を有するポリマーにおけるシアノ基を有する構成単位、好ましくは上記式(AN)で表される構成単位の含有量は、UV耐刷性の観点から、シアノ基を有する構成単位を有するポリマーの全質量に対し、5質量%~90質量%であることが好ましく、20質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~60質量%であることが特に好ましい。
また、上記式ZにおけるQは、アルキレン基、アリーレン基、エステル結合、アミド結合、又は、これらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、フェニレン基、エステル結合、又は、アミド結合であることがより好ましい。
上記式ZのWにおける疎水性構造を有する二価の基は、-RWA-、-O-RWA-O-、-RWN-RWA-NRW-、-OC(=O)-RWA-O-、又は、-OC(=O)-RWA-O-であることが好ましい。なお、RWAはそれぞれ独立に、炭素数6~120の直鎖、分岐若しくは環状アルキレン基、炭素数6~120のハロアルキレン基、炭素数6~120のアリーレン基、炭素数6~120のアルカーリレン基(アルキルアリール基から水素原子を1つ除いた二価の基)、又は、炭素数6~120のアラルキレン基を表す。
上記式ZのYにおける疎水性構造を有する一価の基は、炭素数6~120の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、炭素数6~120のハロアルキル基、炭素数6~120のアリール基、炭素数7~120のアルカーリル基(アルキルアリール基)、炭素数7~120のアラルキル基、-ORWB、-C(=O)ORWB、又は、-OC(=O)RWBであることが好ましい。RWBは、炭素数6~20を有するアルキル基を表す。
更に、上記ポリマー粒子は、耐刷性の観点から、親水性基及び重合性基を有するポリマー粒子を含むことが好まし
上記重合性基は、カチオン重合性基であっても、ラジカル重合性基であってもよいが、反応性の観点からは、ラジカル重合性基であることが好ましい。
上記重合性基としては、重合可能な基であれば特に制限はないが、反応性の観点から、エチレン性不飽和基が好ましく、ビニルフェニル基(スチリル基)、(メタ)アクリロキシ基、又は、(メタ)アクリルアミド基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基が特に好ましい。
また、重合性基を有するポリマー粒子におけるポリマーは、重合性基を有する構成単位を有することが好ましい。
更に、高分子反応によりポリマー粒子表面に重合性基を導入してもよい。
下記に示すように、上記式(Iso)で表されるイソシアネート化合物と水とを反応させると、水によりイソシアネート基の一部が加水分解し、アミノ基が生じ、生じたアミノ基とイソシアネート基とが反応し、ウレア結合が生成し、二量体が形成される。また、下記反応が繰り返され、ウレア結合を有する樹脂が形成される。
また、下記反応において、アルコール化合物、アミン化合物等のイソシアネート基と反応性を有する化合物(活性水素を有する化合物)を添加することにより、アルコール化合物、アミン化合物等の構造をウレア結合を有する樹脂に導入することもできる。
上記活性水素を有する化合物としては、上述したミクロゲルにおいて記載したものが好ましく挙げられる。
熱可塑性樹脂粒子に含まれる熱可塑性樹脂は、特に制限はなく、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、それらの共重合体等が挙げられる。熱可塑性樹脂はラテックス状態であってもよい。
本開示に係る熱可塑性樹脂は、後述する露光工程において生成された熱により、熱可塑性樹脂が溶融又は軟化することで、記録層を形成する疎水性の膜の一部又は全部を形成する樹脂であることが好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、芳香環にビニル基が結合した構造を有する化合物であればよいが、スチレン化合物、ビニルナフタレン化合物等が挙げられ、スチレン化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン化合物としては、スチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、β-メチルスチレン、p-メチル-β-メチルスチレン、α-メチルスチレン、及びp-メトキシ-β-メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましく挙げられる。
ビニルナフタレン化合物としては、1-ビニルナフタレン、メチル-1-ビニルナフタレン、β-メチル-1-ビニルナフタレン、4-メチル-1-ビニルナフタレン、4-メトキシ-1-ビニルナフタレン等が挙げられ、1-ビニルナフタレンが好ましく挙げられる。
式A1中、RA1及びRA2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、いずれも水素原子であることが更に好ましい。
式A1中、Arはベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
式A1中、RA3はアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基又はメトキシ基であることが更に好ましい。
式A1中、RA3が複数存在する場合、複数のRA3は同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
式A1中、nは0~2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
シアノ基は、通常、シアノ基を有する化合物(モノマー)を用いて、シアノ基を含む構成単位として樹脂Aに導入されることが好ましい。シアノ基を有する化合物としては、アクリロニトリル化合物が挙げられ、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。
シアノ基を有する構成単位としては、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位であることが好ましく、(メタ)アクリロニトリルにより形成される構成単位がより好ましい。
式B1中、RB1は水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
N-ビニル複素環化合物としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロール、N-ビニルフェノチアジン、N-ビニルコハク酸イミド、N-ビニルフタルイミド、N-ビニルカプロラクタム、及びN-ビニルイミダゾールが挙げられ、N-ビニルピロリドンが好ましい。
式C1中、ArNにより表される複素環構造は、ピロリドン環、カルバゾール環、ピロール環、フェノチアジン環、スクシンイミド環、フタルイミド環、カプロラクタム環、及びイミダゾール環であることが好ましく、ピロリドン環であることがより好ましい。
また、ArNにより表される複素環構造は公知の置換基を有していてもよい。
具体的には、熱可塑性樹脂における酸性基を有する構成単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
また、熱可塑性樹脂の酸価は、160mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることが更に好ましい。上記酸価の下限は特に限定されず、0mgKOH/gであってもよい。
本開示において、酸価はJIS K0070:1992に準拠した測定法により求められる。
上記疎水性基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
疎水性基を含む構成単位としては、アルキル(メタ)アクリレート化合物、アリール(メタ)アクリレート化合物、又は、アラルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位がより好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。アルキル(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アリール(メタ)アクリレート化合物におけるアリール基の炭素数は、6~20であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。また、上記アリール基は公知の置換基を有していてもよい。アリール(メタ)アクリレート化合物としては、フェニル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
上記アラルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアルキル基の炭素数は、1~10であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。また、上記アラルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアリール基の炭素数は、6~20であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。アラルキル(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
親水性基としては、親水性を有する構造であれば、特に制限はないが、カルボキシ基等の酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、ポリアルキレンオキシド構造等が挙げられる。
上記親水性基としては、UV耐刷性及び機上現像性の観点から、ポリアルキレンオキシド構造を有する基、ポリエステル構造を有する基、又は、スルホン酸基であることが好ましく、ポリアルキレンオキシド構造を有する基、又は、スルホン酸基であることがより好ましく、ポリアルキレンオキシド構造を有する基であることが更に好ましい。
また、機上現像性の観点からは、上記親水性基の中でもポリアルキレンオキシド構造として、ポリプロピレンオキシド構造を有することが好ましく、ポリエチレンオキシド構造及びポリプロピレンオキシド構造を有することがより好ましい。
上記ポリアルキレンオキシド構造におけるアルキレンオキシド構造の数は、機上現像性の観点から、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、5~200であることが更に好ましく、8~150であることが特に好ましい。
上記親水性基としては、-OH、-CN、-CONR1R2、-NR2COR1(R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は、アリール基を表す。R1とR2とは結合して環を形成してもよい。)-NR3R4、-N+R3R4R5X-(R3~R5は、それぞれ独立して炭素数1~8のアルキル基を表し、X-はカウンターアニオンを表す)、下記式POにより表される基、上記の熱可塑性樹脂粒子に含まれる熱可塑性樹脂が好ましく有する親水性基等が挙げられる。
これら親水性基の中でも、-CONR1R2又は式POにより表される基が好ましく、式POにより表される基がより好ましい。
式PO中、LPはそれぞれ独立に、エチレン基、1-メチルエチレン基又は2-メチルエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
式PO中、RPは水素原子又は炭素数1~18のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
式PO中、nは1~10の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。
アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4-メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2-ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、クロロブチルビニルエーテル、クロロエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、などが挙げられる。
熱可塑性樹脂粒子が2種以上の熱可塑性樹脂を含む場合には、後述するFOX式により求められた値を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度という。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行なう。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される樹脂のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を作成する。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
1つ目の熱可塑性樹脂のTgをTg1(K)、熱可塑性樹脂粒子における熱可塑性樹脂成分の合計質量に対する1つ目の熱可塑性樹脂の質量分率をW1とし、2つ目のTgをTg2(K)とし、熱可塑性樹脂粒子における熱可塑性樹脂成分の合計質量に対する2つ目の樹脂の質量分率をW2としたときに、熱可塑性樹脂粒子のTg0(K)は、以下のFOX式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
また、熱可塑性樹脂粒子が3種の樹脂を含むか、含まれる熱可塑性樹脂種の異なる3種の熱可塑性樹脂粒子が前処理液に含有される場合、熱可塑性樹脂粒子のTgは、n個目の樹脂のTgをTgn(K)、熱可塑性樹脂粒子における樹脂成分の合計質量に対するn個目の樹脂の質量分率をWnとしたときに、上記と同様、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+(W3/Tg3)・・・+(Wn/Tgn)
例えば、スチレン化合物と、アクリロニトリル化合物と、必要に応じて上記N-ビニル複素環化合物、上記エチレン性不飽和基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、上記酸性基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、上記疎水性基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、及び、上記その他の構成単位の形成に用いられる化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、とを、公知の方法により重合することにより得られる。
また、上記具体例に示す各化合物の重量平均分子量は、上述の熱可塑性樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲に従って、適宜変更可能である。
本開示における上記粒子の平均一次粒径は、光散乱法により測定するか、又は、粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で粒子の粒径を総計で5,000個測定し、平均値を算出するものとする。なお、非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を有する球形粒子の粒径値を粒径とする。
また、本開示における平均粒径は、特に断りのない限り、体積平均粒径であるものとする。
また、上記画像記録層における粒子、特にポリマー粒子の含有量は、機上現像性、及び、UV耐刷性の観点から、上記画像記録層の全質量に対し、5質量%~90質量%が好ましく、10質量%~90質量%であることがより好ましく、20質量%~90質量%であることが更に好ましく、50質量%~90質量%であることが特に好ましい。
また、上記画像記録層におけるポリマー粒子の含有量は、機上現像性、及び、UV耐刷性の観点から、上記画像記録層の分子量3,000以上の成分の全質量に対し、20質量%~100質量%が好ましく、35質量%~100質量%であることがより好ましく、50質量%~100質量%であることが更に好ましく、80質量%~100質量%であることが特に好ましい。
画像記録層は、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
上記熱可塑性樹脂粒子、及び、上記ポリマー粒子は、上記他のバインダーポリマーに該当しない。すなわち、他のバインダーポリマーは、粒子形状ではない重合体である。
他のバインダーポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、又は、ポリウレタン樹脂が好ましい。
機上現像用バインダーポリマーとしては、アルキレンオキシド鎖を有するバインダーポリマーが好ましい。アルキレンオキシド鎖を有するバインダーポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)部位を主鎖に有していても側鎖に有していてもよい。また、ポリ(アルキレンオキシド)を側鎖に有するグラフトポリマーでも、ポリ(アルキレンオキシド)含有繰返し単位で構成されるブロックと(アルキレンオキシド)非含有繰返し単位で構成されるブロックとのブロックコポリマーでもよい。
ポリ(アルキレンオキシド)部位を主鎖に有する場合は、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)部位を側鎖に有する場合の主鎖のポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられ、特に(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基(スチリル基)などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルフェニル基(スチリル基)が重合反応性の観点でより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するポリマーとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。これらの基は併用してもよい。
また、バインダーポリマーのガラス転移温度の上限としては、画像記録層への水の浸み込みやすさの観点から、200℃が好ましく、120℃以下がより好ましい。
特に、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基を、ブチルアルデヒドでアセタール化(即ち、ブチラール化)したポリビニルブチラールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基をアルデヒドにてアセタール化することで、下記(a)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Rとしては、水素原子、アルキル基等の他、後述するエチレン性不飽和基が挙げられる。
なお、アセタール化度とは、アセタール基が結合しているエチレン基量(上記(a)で表される構成単位に含まれる主鎖のエチレン基量)を、主鎖の全エチレン基量で除して求めたモル分率を百分率で示した値である。
また、後述のポリビニルアセタールの各構成単位の含有量においても、同様である。
ここで、ポリビニルアセタールが有するエチレン性不飽和基としては特に制限はなく、反応性、機上現像性、及び耐刷性の観点から、ビニルフェニル基(スチリル基)、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基、及び(メタ)アクリルアミド基からなる群より選ばれた少なくとも1種の基であることがより好ましく、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基等が好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位としては、上述のアセタール環を有する構成単位であってもよいし、アセタール環を有する構成単位以外の構成単位であってもよい。
中でも、露光時の架橋密度増加の観点から、ポリビニルアセタールは、アセタール環にエチレン性不飽和基が導入された化合物であることが好ましい。即ち、上述の(a)で表される構成単位において、Rにエチレン性不飽和基を有することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する構成単位としては、下記(b)で表される構成単位が挙げられる。
その他の構成単位としては、例えば、アセチル基を有する構成単位、具体的には、以下(c)で表される構成単位が挙げられる。
即ち、1H NMR測定によって、アセタールのメチル又はメチレン部位、アクリレート基のメチル部位、水酸基及びアセチル基のメチル部位のプロトンピーク面積比からmol含有率を算出する。
ここで、本開示における「溶解度パラメータ(単位:(MPa)1/2)」は、ハンセン(Hansen)溶解度パラメータを用いるものとする。
ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものであるが、本開示においては溶解度パラメータ(以降、SP値ともいう)をδ(単位:(MPa)1/2)で表し、下記式を用いて算出される値を用いる。
δ(MPa)1/2=(δd2+δp2+δh2)1/2
なお、この分散項δd、極性項δp、及び水素結合項δhは、ハンセンやその研究後継者らにより多く求められており、Polymer Handbook (fourth edition)、VII-698~711に詳しく掲載されている。また、ハンセンの溶解度パラメータの値の詳細については、Charles M.Hansen著の文献「Hansen Solubility Parameters; A Users Handbook (CRC Press,2007)」に記載されている。
本開示において、化合物の部分構造におけるハンセン溶解度パラメータは、コンピュータソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP ver.4.1.07)」を用いることにより、その化学構造から推算した値を用いることもできる。
また、本開示においては、化合物が付加重合型、重縮合型等のポリマーである場合は、モノマー単位ごとのSP値をモル分率で掛け合わせた総量で示し、化合物がモノマー単位を有しない低分子化合物である場合は、化合物全体のSP値とする。
なお、本開示において、ポリマーのSP値は、ポリマーの分子構造からPolymer Handbook (fourth edition)に記載のHoy法により計算してもよい。
下記構造中、「l」は50mol%~90mol%であり、「m」は0.5mol%~10質量%であり、「n」は5mol%~50mol%であり、「o」は1mol%~15mol%である。
ポリビニルアセタールの市販品としては、積水化学工業(株)のエスレックシリーズ(具体的には、エスレック BX-L,BX-1,BX-5,BL-7Z,BM-1,BM-5,BH-6,BH-3等)が挙げられる。
バインダーポリマーは、画像記録層中に任意な量で含有させることができるが、バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%~90質量%であることが好ましく、5質量%~80質量%であることがより好ましい。
また、本開示における画像記録層が他のバインダーポリマーを含む場合、上記熱可塑性樹脂粒子と他のバインダーポリマーとの合計質量に対する他のバインダーポリマーの含有量は、0質量%を超え99質量%以下であることが好ましく、20質量%~95質量%であることがより好ましく、40質量%~90質量%であることが更に好ましい。
上記画像記録層は、発色剤を含むことが好ましく、酸発色剤を含むことがより好ましい。
本開示で用いられる「発色剤」とは、光や酸等の刺激により発色又は消色し画像記録層の色を変化させる性質を有する化合物を意味し、また、「酸発色剤」とは、電子受容性化合物(例えば酸等のプロトン)を受容した状態で加熱することにより、発色又は消色し画像記録層の色を変化させる性質を有する化合物を意味する。酸発色剤としては、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触した時に、速やかにこれらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物が好ましい。
発色後の色素の色相としては、可視性の観点から、緑、青又は黒であることが好ましい。
上記ロイコ色素としては、ロイコ構造を有する色素であれば、特に制限はないが、スピロ構造を有することが好ましく、スピロラクトン環構造を有することがより好ましい。
また、上記ロイコ色素としては、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素であることが好ましい。
更に、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素は、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、下記式(Le-1)~式(Le-3)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、下記式(Le-2)で表される化合物であることがより好ましい。
また、上記ERGにおける電子供与性基としては、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、少なくとも1つのオルト位に置換基を有するアリール基又は少なくとも1つのオルト位に置換基を有するヘテロアリール基を有する二置換アミノ基であることが好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有し、かつパラ位に電子供与性基を有するフェニル基を有する二置換アミノ基であることがより好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有し、かつパラ位に電子供与性基を有するフェニル基とアリール基又はヘテロアリール基とを有するアミノ基であることが更に好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有し、かつパラ位に電子供与性基を有するフェニル基と電子供与性基を有するアリール基又は電子供与性基を有するヘテロアリール基とを有するアミノ基であることが特に好ましい。
なお、本開示において、フェニル基以外のアリール基又はヘテロアリール基におけるオルト位は、アリール基又はヘテロアリール基の他の構造との結合位置を1位とした場合の上記1位の隣の結合位置(例えば、2位等)を言うものとする。
更に、上記アリール基又はヘテロアリール基が有する電子供与性基としては、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、モノアルキルモノヘテロアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、モノアリールモノヘテロアリールアミノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、又は、アルキル基であることが好ましく、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、又は、アルキル基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
式(Le-2)又は式(Le-3)におけるX5~X10はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、モノアルキルモノヘテロアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、モノアリールモノヘテロアリールアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、ヘテロアリーロキシカルボニル基又はシアノ基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又は、アリーロキシ基であることがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又は、アリール基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(Le-1)~式(Le-3)におけるY1及びY2は、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、少なくとも1方がCであることが好ましく、Y1及びY2の両方がCであることがより好ましい。
式(Le-1)~式(Le-3)におけるRa1は、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
式(Le-1)~式(Le-3)におけるRb1~Rb4はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(Le-7)又は式(Le-9)におけるRa1~Ra4はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
式(Le-7)~式(Le-9)におけるRb1~Rb4はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基が置換したアリール基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
式(Le-8)におけるRc1及びRc2はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、フェニル基、又は、アルキルフェニル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
また、式(Le-8)におけるRc1及びRc2はそれぞれ独立に、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、少なくとも1つのオルト位に置換基を有するアリール基、又は、少なくとも1つのオルト位に置換基を有するヘテロアリール基であることが好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有するアリール基であることがより好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有するフェニル基であることが更に好ましく、少なくとも1つのオルト位に置換基を有し、かつパラ位に電子供与性基を有するフェニル基であることが特に好ましい。Rc1及びRc2における上記置換基としては、後述する置換基が挙げられる。
また、式(Le-8)において、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、X1~X4が水素原子であり、Y1及びY2がCであることが好ましい。
更に、式(Le-8)において、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、Rb1及びRb2がそれぞれ独立に、アルキル基又はアルコキシ基が置換したアリール基であることが好ましい。
更にまた、式(Le-8)において、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、Rb1及びRb2がそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましく、アリール基であることがより好ましく、電子供与性基を有するアリール基であることが更に好ましく、パラ位に電子供与性基を有するフェニル基であることが特に好ましい。
また、Rb1、Rb2、Rc1及びRc2における上記電子供与性基としては、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロアリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、モノアルキルモノヘテロアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ジヘテロアリールアミノ基、モノアリールモノヘテロアリールアミノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、又は、アルキル基であることが好ましく、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロアリーロキシ基、又は、アルキル基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
式(Le-10)におけるAr2は、式(Le-7)~式(Le-9)におけるRc1及びRc2と同義であり、好ましい態様も同様である。
式(Le-11)におけるn11は、1~3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
また、式(Le-1)~式(Le-9)又は式(Le-11)におけるアルキル基の炭素数は、1~20であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~4であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
式(Le-1)~式(Le-11)におけるアリール基の炭素数は、6~20であることが好ましく、6~10であることがより好ましく、6~8であることが特に好ましい。
式(Le-1)~式(Le-11)におけるアリール基として具体的には、置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、及び、フェナントレニル基等が挙げられる。
式(Le-1)~式(Le-11)におけるヘテロアリール基として具体的には、置換基を有していてもよい、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、及び、チオフェニル基等が挙げられる。
発色剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%~10質量%であることが好ましく、1質量%~5質量%であることがより好ましい。
計算プログラムはGaussian16を用い、計算レベルは密度汎関数法(B3LYP/6-31+G**)、溶媒効果はSCRF法(溶媒:Methanol)として、水素引き抜きによる成長ラジカルとの反応について、反応物と生成物のエンタルピーを各々計算し、両者の差をとることにより、反応エンタルピー計算を実施する。
計算を実行して最適化された構造のエネルギー(単位:hartree)から、反応物の生成エンタルピー(成長ラジカルとLeucoDye-Hのエネルギーの和)、及び、生成物の生成エンタルピー(水素付加された成長ラジカルとLeucoDye-radicalのエネルギーの和)を求め、生成物の生成エンタルピーから反応物の生成エンタルピーを差し引いた値を水素引抜きエンタルピーとする。単位は、1hartree=627.51kcal/molとして換算する。
複数の合成ルートによって、所望の色素化合物を得ることが可能である。
同様にして、他のロイコ色素の合成も実施することができる。
なお、パラジウム(Pd)触媒及びその配位子は、適宜適切に市販されている触媒及び配位子を選択することで、良好な反応性と収率で目的物が得られる。
<<ジアリールアミンDAA1合成>>
なお、dppfは、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを表す。
1H NMR (CDCl3) δ=2.22(s, 3H), 3.77(s, 3H), 3.78(s, 3H), 5.00(br, 1H), 6.69(dd, J=3.2 and 8.8Hz, 1H), 6.76-6.82(m, 5H), 7.02(d, J=8.8Hz, 1H).
80℃まで降温したのち、蒸留水50mLを加え、酢酸エチル80mLを用いて抽出した。有機層は飽和食塩水で洗浄し、得られた油層からエバポレーターを用いて溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、白色粉体としてS-16を1.92g得た。収率90.5%であった。
1H NMR (DMSO, 400 MHz):δ=7.95 (d, J=7.4Hz, 1H), 7.77 (td, J = 7.5, 1.0Hz, 1H), 7.68(td, J=7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.30(d, J=7.5 Hz, 1H), 7.08(m, 6H), 6.89(m, 6H), 6.82(dd, J=8.8, 2.9 Hz, 2H), 6.47(d, J=8.9 Hz, 2H), 6.32(dd, J=8.8, 2.6 Hz, 2H), 6.21(d, J=2.4 Hz, 2H), 3.75(s, 6H), 3.72(s, 6H), 2.04(s, 6H)、ESI(posi): calcd forC50H42N2O7 [M+H]+ 783.3,found 783、Tm:240℃
<<中間体ML-1の合成>>
本開示において用いられる画像記録層は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、平版印刷版におけるUV耐刷性の向上に寄与する。
連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、沸点(揮発し難さ)の観点で炭素数7以上のチオール化合物がより好ましく、芳香環上にメルカプト基を有する化合物(芳香族チオール化合物)が更に好ましい。上記チオール化合物は単官能チオール化合物であることが好ましい。
連鎖移動剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%~50質量%が好ましく、0.05質量%~40質量%がより好ましく、0.1質量%~30質量%が更に好ましい。
画像記録層は、インキ着肉性を向上させるために、感脂化剤を更に含有することが好ましい。
感脂化剤は、SP値が18.0未満であることが好ましく、14~18未満であることがより好ましく、15~17であることが更に好ましく、16~16.9であることが特に好ましい。
また、感脂化剤は、分子量(分子量分布があるときは、重量平均分子量)が2,000以上の化合物であってもよく、分子量が2,000未満の化合物であってもよい。
ハンセン(Hansen)溶解度パラメーターは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメーターを、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものであるが、本開示においてはSP値をδ(単位:(MPa)1/2)で表し、下記式を用いて算出される値を用いる。
δ(MPa)1/2=(δd2+δp2+δh2)1/2
なお、この分散項δd、極性項δp、及び、水素結合項δhは、ハンセンやその研究後継者らにより多く求められており、Polymer Handbook (fourth edition)、VII-698~711に詳しく掲載されている。
また本開示において、ポリマーのSP値は、ポリマーの分子構造からPolymer Handbook fourth editionに記載のHoy法により計算する。
特に、最外層に無機層状化合物を含有させる場合、これら化合物は、無機層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機層状化合物による印刷途中の着肉性低下を抑制することができる。
オニウム塩化合物としては、ホスホニウム化合物、アンモニウム化合物、スルホニウム化合物等が挙げられ、オニウム塩化合物としては、上記観点から、ホスホニウム化合物及びアンモニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1つが好ましい。
また、後述する、現像促進剤又は電子受容型重合開始剤におけるオニウム塩化合物はSP値が18を超える化合物であり、感脂化剤には含まれない。
中でも、第四級アンモニウム塩類及びピリジニウム塩類が好ましい。
具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p-トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008-284858号公報の段落0021~0037に記載の化合物、特開2009-90645号公報の段落0030~0057に記載の化合物等が挙げられる。
(1)2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p-トルエンスルホナート/3,6-ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90、Mw4.5万)
(2)2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6-ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(3)2-(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p-トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70、Mw4.5万)
(4)2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2-エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(5)2-(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60、Mw7.0万)
(6)2-(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6-ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比25/75、Mw6.5万)
(7)2-(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6-ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.5万)
(8)2-(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13-エチル-5,8,11-トリオキサ-1-ヘプタデカンスルホナート/3,6-ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw7.5万)
本開示において用いられる画像記録層の好ましい態様の一つは、感脂化剤として、2種以上の化合物を含有する態様である。
具体的には、本開示において用いられる画像記録層は、機上現像性及び着肉性を両立させる観点から、感脂化剤としては、ホスホニウム化合物と、含窒素低分子化合物と、アンモニウム基含有ポリマーと、を併用することが好ましく、ホスホニウム化合物と、第四級アンモニウム塩類と、アンモニウム基含有ポリマーと、を併用することがより好ましい。
本開示において用いられる画像記録層は、現像促進剤を更に含むことが好ましい。
現像促進剤は、SP値の極性項の値が6.0~26.0であることが好ましく、6.2~24.0であることがより好ましく、6.3~23.5であることが更に好ましく、6.4~22.0であることが特に好ましい。
δp[cal/cm3]はHansen 溶解度パラメーター双極子間力項、V[cal/cm3]はモル体積、μ[D]は双極子モーメントである。δpとしては、一般的にはHansenとBeerbowerによって簡素化された下記式が用いられている
本開示において、親水性とは、SP値の極性項の値が6.0~26.0であることをいい、親水性高分子化合物とは分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が3,000以上の化合物をいい、親水性低分子化合物とは分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が3,000未満の化合物をいう。
セルロース化合物としては、セルロース、又は、セルロースの少なくとも一部が変性された化合物(変性セルロース化合物)が挙げられ、変性セルロース化合物が好ましい。
変性セルロース化合物としては、セルロースのヒドロキシ基の少なくとも一部が、アルキル基及びヒドロキシアルキル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基により置換された化合物が好ましく挙げられる。
上記セルロースのヒドロキシ基の少なくとも一部が、アルキル基及びヒドロキシアルキル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種の基により置換された化合物の置換度は、0.1~6.0であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
変性セルロース化合物としては、アルキルセルロース化合物又はヒドロキシアルキルセルロース化合物が好ましく、ヒドロキシアルキルセルロース化合物がより好ましい。
アルキルセルロース化合物としては、メチルセルロースが好ましく挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロース化合物としては、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく挙げられる。
ポリオール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
有機アミン化合物としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等及びその塩が挙げられる。
有機スルホン酸化合物としては、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等及びその塩が挙げられ、アルキル基の炭素数が1~10のアルキルスルホン酸が好ましく挙げられる。
有機スルファミン化合物としては、アルキルスルファミン酸等及びその塩が挙げられる。
有機硫酸化合物としては、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等及びその塩が挙げられる。
有機ホスホン酸化合物としては、フェニルホスホン酸等及びその塩、が挙げられる。
有機カルボン酸化合物としては、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸等及びその塩が挙げられる。
ベタイン化合物としては、ホスホベタイン化合物、スルホベタイン化合物、カルボキシベタイン化合物等が挙げられ、トリメチルグリシンが好ましく挙げられる。
環状構造としては、特に限定されないが、ヒドロキシ基の少なくとも一部が置換されていてもよいグルコース環、イソシアヌル環、ヘテロ原子を有していてもよい芳香環、ヘテロ原子を有していてもよい脂肪族環等が挙げられ、グルコース環又はイソシアヌル環が好ましく挙げられる。
グルコース環を有する化合物としては、上述のセルロース化合物が挙げられる。
イソシアヌル環を有する化合物としては、上述のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
芳香環を有する化合物としては、上述のトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
脂肪族環を有する化合物としては、上述のアルキル硫酸であって、アルキル基が環構造を有する化合物等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有し、かつ、環状構造を有する化合物としては、上述のセルロース化合物、及び、上述のトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートが好ましく挙げられる。
オニウム塩化合物としては、アンモニウム化合物、スルホニウム化合物等が挙げられ、アンモニウム化合物が好ましい。
オニウム塩化合物である現像促進剤としては、トリメチルグリシン等が挙げられる。
また、上記電子受容型重合開始剤におけるオニウム塩化合物はSP値の極性項の値が6.0~26.0ではない化合物であり、現像促進剤には含まれない。
本開示において用いられる画像記録層の好ましい態様の一つは、現像促進剤として、2種以上の化合物を含有する態様である。
具体的には、本開示において用いられる画像記録層は、機上現像性及び着肉性の観点から、現像促進剤として、上記ポリオール化合物及び上記ベタイン化合物、上記ベタイン化合物及び上記有機スルホン酸化合物、又は、上記ポリオール化合物及び上記有機スルホン酸化合物を含むことが好ましい。
画像記録層には、その他の成分として、界面活性剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機層状化合物等を含有することができる。具体的には、特開2008-284817号公報の段落0114~段落0159の記載を参照することができる。
本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層は、例えば、特開2008-195018号公報の段落0142~段落0143に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.3g/m2~3.0g/m2が好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。具体的には、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン(2-ブタノン)、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメーチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-1-プロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピルアセテート、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。塗布液中の固形分濃度は1質量%~50質量%であることが好ましい。
塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性を得る観点から、0.3g/m2~3.0g/m2が好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層の膜厚は、0.1μm~3.0μmであることが好ましく、0.3μm~2.0μmであることがより好ましい。
本開示において、平版印刷版原版における各層の膜厚は、平版印刷版原版の表面に対して垂直な方向に切断した切片を作製し、上記切片の断面を走査型顕微鏡(SEM)により観察することにより確認される。
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体を有する。
支持体としては、公知の平版印刷版原版用支持体から適宜選択して用いることができる。
支持体としては、親水性表面を有する支持体(以下、「親水性支持体」ともいう。)が好ましい。
更に、上記マイクロポアが、上記陽極酸化皮膜表面から深さ10nm~1,000nmの位置までのびる大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20nm~2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径が、15nm~100nmであり、上記小径孔部の上記連通位置における平均径が、13nm以下であることが好ましい。
アルミニウム支持体12aは、アルミニウム板18とアルミニウムの陽極酸化皮膜20a(以後、単に「陽極酸化皮膜20a」とも称する)とをこの順で積層した積層構造を有する。なお、アルミニウム支持体12a中の陽極酸化皮膜20aが、アルミニウム板18よりも画像記録層側に位置する。つまり、本開示に係る平版印刷版原版は、アルミニウム板上に、陽極酸化皮膜、画像記録層、及び水溶性樹脂層をこの順で少なくとも有することが好ましい。
以下、陽極酸化被膜20aの好ましい態様について説明する。
陽極酸化皮膜20aは、陽極酸化処理によってアルミニウム板18の表面に作製される皮膜であって、この皮膜は、皮膜表面に略垂直であり、かつ、個々が均一に分布した極微細なマイクロポア22aを有する。マイクロポア22aは、画像記録層側の陽極酸化皮膜20a表面(アルミニウム板18側とは反対側の陽極酸化皮膜20a表面)から厚み方向(アルミニウム板18側)に沿ってのびる。
平均径が10nmを超える場合、耐刷性及び画像視認性に優れる。また、平均径が100nm以下である場合、耐刷性に優れる。
マイクロポア22aの平均径は、陽極酸化皮膜20a表面を倍率15万倍の電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)でN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400nm×600nmの範囲に存在するマイクロポアの径(直径)を50箇所測定し、平均した値である。
なお、マイクロポア22aの形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
例えば、図2に示すように、アルミニウム支持体12bが、アルミニウム板18と、大径孔部24と小径孔部26とから構成されるマイクロポア22bを有する陽極酸化皮膜20bとを含む形態であってもよい。
例えば、陽極酸化皮膜20b中のマイクロポア22bは、陽極酸化皮膜表面から深さ10nm~1000nm(深さD:図2参照)の位置までのびる大径孔部24と、大径孔部24の底部と連通し、連通位置から更に深さ20nm~2,000nmの位置までのびる小径孔部26とから構成される。具体的には、例えば、特開2019-162855号公報の段落0107~0114に記載の態様を使用することができる。
本開示に用いられる支持体の製造方法としては、例えば、以下の工程を順番に実施する製造方法が好ましい。
・粗面化処理工程:アルミニウム板に粗面化処理を施す工程
・陽極酸化処理工程:粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程
・ポアワイド処理工程:陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させ、陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程
以下、各工程の手順について詳述する。
粗面化処理工程は、アルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施す工程である。本工程は、後述する陽極酸化処理工程の前に実施されることが好ましいが、アルミニウム板の表面がすでに好ましい表面形状を有していれば、特に実施しなくてもよい。特開2019-162855号公報の段落0086~0101に記載された方法で行うことができる。
陽極酸化処理工程の手順は、上述したマイクロポアが得られれば特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
陽極酸化処理工程においては、硫酸、リン酸、及び、シュウ酸等の水溶液を電解浴として用いることができる。例えば、硫酸の濃度は、100g/L~300g/Lが挙げられる。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、例えば、液温5℃~70℃(好ましくは10℃~60℃)、電流密度0.5A/dm2~60A/dm2(好ましくは1A/dm2~60A/dm2)、電圧1V~100V(好ましくは5V~50V)、電解時間1秒~100秒(好ましくは5秒~60秒)、及び、皮膜量0.1g/m2~5g/m2(好ましくは0.2g/m2~3g/m2)が挙げられる。
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により得られたアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させることにより行うことができる。接触させる方法は特に制限されず、例えば、浸せき法及びスプレー法が挙げられる。
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある。)を有することが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性の低下を抑制しながら現像性を向上させることに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合に、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ効果も有する。
支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、-PO3H2、-OPO3H2、-CONHSO2-、-SO2NHSO2-、-COCH2COCH3が好ましい。親水性基としては、スルホ基又はその塩、カルボキシ基の塩が好ましい。架橋性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基などが好ましい。
ポリマーは、ポリマーの極性置換基と、上記極性置換基と対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
より好ましいものとして、特開2005-125749号及び特開2006-188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層に用いられるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、1万~30万がより好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層の、支持体側とは反対の側の面上に最外層(「保護層」又は「オーバーコート層」と呼ばれることもある。)を有していてもよい。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、支持体と、画像記録層と、最外層とをこの順で有することが好ましい。
上記最外層の膜厚は、上記画像記録層の膜厚よりも厚いことが好ましい。
最外層は酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有していてもよい。
本開示において、水溶性ポリマーとは、70℃、100gの純水に対して1g以上溶解し、かつ、70℃、100gの純水に対して1gのポリマーが溶解した溶液を25℃に冷却しても析出しないポリマーをいう。
最外層において用いられる水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005-250216号公報及び特開2006-259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
上記けん化度は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。けん化度の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記けん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従い測定される。
また、最外層の一態様として、ポリビニルアルコールと、ポリエチレングリコールとを含む態様も好ましく挙げられる。
疎水性ポリマーとは、125℃、100gの純水に対し5g未満で溶解するか、又は、溶解しないポリマーをいう。
疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等)、これらの樹脂の原料モノマーを組み合わせた共重合体等が挙げられる。
また、疎水性ポリマーとしては、ポリビニリデンクロライド樹脂を含むことが好ましい。
更に、疎水性ポリマーとしては、スチレン-アクリル共重合体(スチレンアクリル樹脂ともいう。)を含むことが好ましい。
更にまた、疎水性ポリマーは、機上現像性の観点から、疎水性ポリマー粒子であることが好ましい。
疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率の上限としては、例えば、90面積%が挙げられる。
疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率は、以下のようにして測定することができる。
アルバック・ファイ社製PHI nano TOFII型飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF-SIMS)を用い、最外層表面に加速電圧30kVでBiイオンビーム(一次イオン)を照射し、表面から放出される疎水部(即ち、疎水性ポリマーによる領域)に相当するイオン(二次イオン)のピークを測定することで、疎水部のマッピングを行い、100μm2あたりに占める疎水部の面積を測定し、疎水部の占有面積率を求め、これを「疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率」とする。
例えば、疎水性ポリマーがアクリル樹脂である場合は、C6H13O-のピークにより測定を行う。また、疎水性ポリマーがポリ塩化ビニリデンである場合は、C2H2Cl+のピークにより測定を行う。
上記占有面積率は、疎水性ポリマーの添加量等によって、調整しうる。
最外層に含まれる赤外線吸収剤は、赤外線吸収剤Aであっても、赤外線吸収剤Bであっても、これら以外の赤外線吸収剤Cであってもよいが、経時視認性、及び、保存安定性の観点から、赤外線吸収剤A及び赤外線吸収剤Cよりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、赤外線吸収剤Cであることがより好ましい。
赤外線吸収剤としては、画像記録層において上述したものが好適に挙げられる。
最外層中の赤外線吸収剤の含有量は、経時視認性、及び、保存安定性の観点から、最外層の全質量に対し、0.10質量%~50質量%が好ましく、0.50質量%~30質量%がより好ましく、1.0質量%~20質量%が更に好ましい。
発色剤としては、画像記録層において上述したものが好適に挙げられる。
最外層中の発色剤の含有量は、発色性の観点から、最外層の全質量に対し、0.10質量%~50質量%が好ましく、0.50質量%~30質量%がより好ましく、1.0質量%~20質量%が更に好ましい。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2-5D4O10(OH,F,O)2〔ただし、Aは、K、Na、Caのいずれか、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
本開示に係る平版印刷版原版における最外層の膜厚は、0.1μm~5.0μmであることが好ましく、0.3μm~4.0μmであることがより好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版における最外層の膜厚は、上記画像記録層の膜厚に対し、1.1倍~5.0倍であることが好ましく、1.5倍~3.0倍であることがより好ましい。
その他の層としては、特に制限はなく、公知の層を有することができる。例えば、支持体の画像記録層側とは反対側には、必要に応じてバックコート層が設けられていてもよい。
本開示に係る平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を作製することができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程(以下、「機上現像工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る機上現像型平版印刷版原版を画像様に露光する工程(露光工程)と、印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して印刷機上で非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程(機上現像工程)と、得られた平版印刷版により印刷する工程(印刷工程)と、を含むことが好ましい。
更に、本開示に係る平版印刷版の作製方法は、機上現像型平版印刷版原版を赤外線レーザーによって画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含み、上記機上現像型平版印刷版原版が、支持体、及び、上記支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、開始剤、赤外線吸収剤、及び、発色体前駆体を含み、上記画像記録層が、下記式Lを満たす平版印刷版の作製方法であることが好ましい。
2.0≦L1-L0 式L
式L中、L1は、上記画像記録層の視認性を表し、L0は、上記発色体前駆体を除いた以外は上記画像記録層と同一である層の視認性を表す。
また、本開示に係る平版印刷方法についても、これらの態様にそれぞれ、上記印刷工程を更に含む態様が好ましく挙げられる。
以下、平版印刷版の作製方法における露光工程及び機上現像工程について説明するが、本開示に係る平版印刷版の作製方法における露光工程と、本開示に係る平版印刷方法における露光工程とは同様の工程であり、本開示に係る平版印刷版の作製方法における機上現像工程と、本開示に係る平版印刷方法における機上現像工程とは同様の工程である。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程を含むことが好ましい。本開示に係る平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光されることが好ましい。
光源の波長は750nm~1,400nmが好ましく用いられる。波長750nm~1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10mJ/cm2~300mJ/cm2であるのが好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、及びフラットベッド方式等のいずれでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する機上現像工程を含むことが好ましい。
以下に、機上現像方式について説明する。
機上現像方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で油性インキと水性成分とを供給し、非画像部の画像記録層が除去されて平版印刷版が作製されることが好ましい。
すなわち、平版印刷版原版を画像露光後、何らの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、油性インキと水性成分とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された油性インキ及び水性成分のいずれか又は両方によって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、油性インキでもよく、水性成分でもよいが、水性成分が除去された画像記録層の成分によって汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキ及び湿し水が好適に用いられる。
本開示に係る平版印刷方法は、平版印刷版に印刷インキを供給して記録媒体を印刷する印刷工程を含む。
印刷インキとしては、特に制限はなく、所望に応じ、種々の公知のインキを用いることができる。また、印刷インキとしては、油性インキ又は紫外線硬化型インキ(UVインキ)が好ましく挙げられる。
また、上記印刷工程においては、必要に応じ、湿し水を供給してもよい。
また、上記印刷工程は、印刷機を停止することなく、上記機上現像工程に連続して行われてもよい。
記録媒体としては、特に制限はなく、所望に応じ、公知の記録媒体を用いることができる。
<支持体の準備>
(a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/m2であった。
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dm2であった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dm2であり、電解処理は112.5C/dm2ずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/m2であった。その後、水洗処理を行った。
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化処理装置610を用いて、第1段階の陽極酸化処理(第1陽極酸化処理ともいう)を行った。具体的には、下記表1に示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて第1陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
以下、図3に示す陽極酸化処理装置610について説明する。
図3に示す陽極酸化処理装置610において、アルミニウム板616は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液618が貯溜された給電槽612にてアルミニウム板616は給電電極620によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板616は、給電槽612においてローラ622によって上方に搬送され、ニップローラ624によって下方に方向変換された後、電解液626が貯溜された電解処理槽614に向けて搬送され、ローラ628によって水平方向に方向転換される。次いで、アルミニウム板616は、電解電極630によって(-)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽614を出たアルミニウム板616は後工程に搬送される。陽極酸化装置610において、ローラ622、ニップローラ624、及びローラ628によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板616は、給電槽612と電解処理槽614との槽間部において、上記ローラ622、624及び628により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極620と電解電極630とは、直流電源634に接続されている。
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に下記表1に示す条件で浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化処理装置610を用いて、第2段階の陽極酸化処理(第2陽極酸化処理ともいう)を行った。具体的には、下記表1に示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて第2陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
得られた支持体の、マイクロポアの陽極酸化皮膜表面のL*a*b*表色系における明度L*、マイクロポアにおける大径孔部の酸化皮膜表面における平均径及び深さ、マイクロポアにおける小径孔部の連通位置における平均径(nm)及び深さ、大径孔部及び小径孔部の深さ(nm)、マイクロポア密度、並びに、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(皮膜厚ともいう)を、表2にまとめて示す。
なお、表1中、第1陽極酸化処理欄の皮膜量(AD)量と第2陽極酸化処理欄の皮膜量(AD)とは、各処理で得られた皮膜量を表す。なお、使用される電解液は、表1中の成分を含む水溶液である。
得られた支持体上に、下記組成の下塗り層塗布液を乾燥塗布量が0.1g/m2になるよう塗布して、下塗り層を形成した。
・下塗り層用化合物(下記U-1、11%水溶液):0.10502部
・グルコン酸ナトリウム:0.0700部
・界面活性剤(エマレックス(登録商標) 710、日本エマルジョン(株)):0.00159部
・防腐剤(バイオホープL、ケイ・アイ化成(株)):0.00149部
・水:3.29000部
下塗り層上に、下記画像記録層塗布液をバー塗布し、120℃で40秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量1.0g/m2の画像記録層を形成した。
下記に示す各成分を、1-メトキシ-2-プロパノール(MFG):メチルエチルケトン(MEK):メタノール=4:4:1(質量比)の混合溶媒で溶解又は分散し、固形分が6質量%になるように調製し、画像記録層塗布液を作製した。
・表3に記載の赤外線吸収剤1種又は2種:乾燥後に含有量が表3に記載の量となる量
・重合開始剤IA-1(下記化合物、LUMO=-3.02eV):100質量部
・電子供与型重合開始剤TPB(テトラフェニルホウ酸ナトリウム、HOMO=-5.90eV):20質量部
・重合性化合物M-1(ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、U-10HA(官能基数:10)、新中村化学工業(株)製):500質量部
・重合性化合物M-2(2官能メタクリレート化合物、AZ Electronics社製FST 510(1モル当量の2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2モル当量のヒドロキシエチルメタクリレートの反応生成物あって、下記構造の化合物のメチルエチルケトン82質量%溶液)):250質量部
・重合性化合物M-3(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、下記構造の化合物、新中村化学工業(株)製BPE-80N):250質量部
・表3に記載の発色剤(実施例1~20並びに比較例1及び2ではS-1、下記化合物):25質量部
・アニオン界面活性剤A-1(下記構造の化合物):25質量部
・フッ素系界面活性剤W-1(下記構造の化合物、重量平均分子量:13,000):5質量部
実施例15~20及び23~28では、画像記録層上に、下記最外層塗布液をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.41g/m2の最外層を形成した。
以上の工程を経て、各実施例比較例の平版印刷版原版を得た。
下記に示す各成分を、イオン交換水で溶解又は分散し、固形分が20質量%になるように調製し、最外層塗布液を作製した。
・表3に記載の赤外線吸収剤:乾燥後に含有量が表3に記載の量となる量
・水溶性ポリマー(ポリビニルアルコール、(株)クラレ製Mowiol 4-88):250質量部
・疎水性ポリマー(ポリ塩化ビニリデン水性ディスパージョン、Solvin社製Diofan(登録商標) A50):250質量部
・界面活性剤(ノニオン界面活性剤、BASF社製Lutensol(登録商標) A8):10質量部
(1)視認性の評価
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにより、出力11.5W、外面ドラム回転数220rpm、解像度2,400dpiの条件で露光した。露光は25℃、50%RHの環境下で行った。
露光直後の平版印刷版原版(初期の平版印刷版原版ともいう)と、露光後の平版印刷版原版を25℃、70%RHの条件で24時間保管した後の平版印刷版原版(経時後の平版印刷版原版ともいう)と、のそれぞれについて発色を測定した。測定は、コニカミノルタ(株)製分光測色計CM2600dとオペレーションソフトCM-S100Wとを用い、SCE(正反射光除去)方式で行った。視認性(視認性)は、L*a*b*表色系のL*値(明度)を用い、露光部のL*値と未露光部のL*値との差ΔLにより評価した。ΔLの値が大きい程、視認性が優れるといえる。結果を表3に記載した。
-評価基準-
3:ΔLが5.0以上である
2:ΔLが3.0以上5.0未満である
1:ΔLが3.0未満である
上記のようにして作製した平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載のKodak社製Magnus800 Quantumにて、出力27W、外面ドラム回転数450rpm、解像度2,400dpi(dot per inch、1inchは2.54cm)の条件で露光(照射エネルギー110mJ/cm2相当)した。露光画像にはベタ画像、及び、AMスクリーン(Amplitude Modulation Screen)50%網点のチャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、菊判サイズのハイデルベルグ社製印刷機SX-74のシリンダーに取り付けた。本印刷機には、不織布フィルターと温度制御装置を内蔵する容量100Lの湿し水循環タンクを接続した。湿し水S-Z1(富士フイルム(株)製)2.0%の湿し水80Lを循環装置内に仕込み、印刷インキとしてT&K UV OFS K-HS墨GE-M((株)T&K TOKA製)を用い、標準の自動印刷スタート方法で湿し水とインキを供給した後、毎時10,000枚の印刷速度で特菱アート紙(連量:76.5kg、三菱製紙(株)製)に200枚印刷を行った。
上記機上現像において、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数(以降、機上現像枚数ともいう)を求めた。機上現像枚数が少ないほど、機上現像性が良好であるといえる。
上記の機上現像枚数の測定を、調液及び塗布を2日間で実施し、版を作製してから60℃60%RHの条件で3日間保管した後の平版印刷版原版(経時後の平版印刷版原版ともいう)と、に対して行った。
-評価基準(4段階評価)-
4:機上現像枚数が20枚以下
3:機上現像枚数が20枚超30枚以下
2:機上現像枚数が30枚超50枚以下
1:機上現像回数が50枚超
上記のようにして作製した平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載のKodak社製Magnus800 Quantumにて、出力27W、外面ドラム回転数450rpm、解像度2,400dpiの条件で露光(照射エネルギー110mJ/cm2相当)した。露光画像にはベタ画像、及び、AMスクリーン10%網点のチャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、菊判サイズのハイデルベルグ社製印刷機SX-74のシリンダーに取り付けた。本印刷機には、不織布フィルターと温度制御装置を内蔵する容量100Lの湿し水循環タンクを接続した。湿し水S-Z1(富士フイルム(株)製)2.0%の湿し水80Lを循環装置内に仕込み、印刷インキとしてT&K UV OFS K-HS墨GE-M((株)T&K TOKA製)を用い、標準の自動印刷スタート方法で湿し水とインキを供給した後、毎時10,000枚の印刷速度で特菱アート(連量:76.5kg、三菱製紙(株)製)紙に500枚印刷を行った。
続けて、更に印刷を行った。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像部が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるAMスクリーン10%網点の網点面積率をグレタグ濃度計(GretagMacbeth社製)で計測した値が、印刷500枚目の計測値よりも3%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。
印刷枚数が5万枚の場合を100とする相対耐刷性により以下の基準で評価した。数値が大きいほど、耐刷性が良好である。評価結果は表3に記載した。
相対耐刷性=(対象平版印刷版原版の印刷枚数)/50,000×100
-評価基準-
3:相対耐刷性の値が90を超える
2:相対耐刷性の値が80を超え90以下である
1:相対耐刷性の値が80以下である
IR dye-1:分解発色型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=770nm
IR dye-2:分解発色型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=830nm
IR dye-3:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=794nm
IR dye-4:分解発色型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=800nm
IR dye-5:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=844nm
IR dye-6:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=812nm
IR dye-7:分解発色型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=830nm
IR dye-8:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=819nm
IR dye-9:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=805nm
IR dye-10:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=803nm
IR dye-11:非分解型赤外線吸収剤、下記構造の化合物、λmax=791nm
S-17:上述したS-17
また、実施例に係る平版印刷版原版は、UV耐刷性にも優れた平版印刷版が得られることが分かる。
下記成分を混合し、下塗り層塗布液1を調製した。
・下塗り層用化合物(上記U-1、11%水溶液):0.0788部
・ヒドロキシエチルジイミノ二酢酸:0.0280部
・エチレンジアミン四酢酸ナトリウム・4水和物:0.0499部
・界面活性剤(エマレックス(登録商標) 710、日本エマルジョン(株)):0.0016部
・防腐剤(バイオホープL、ケイ・アイ化成(株)):0.0015部
・水:2.8701部
下記成分を混合し、下塗り層塗布液2を調製した。
・下塗り層用化合物(上記U-1、11%水溶液):0.0788部
・グルコン酸ナトリウム:0.0700部
・界面活性剤(エマレックス(登録商標) 710、日本エマルジョン(株)):0.0016部
・防腐剤(バイオホープL、ケイ・アイ化成(株)):0.0015部
・水:2.8780部
下記成分を混合し、画像記録層塗布液1を調製した。
・表4に記載の赤外線吸収剤2種:乾燥後に含有量が表4に記載の量となる量
・発色剤(S-22):0.0120部
・発色剤(S-16):0.0300部
・電子受容型重合開始剤(IA-1):0.0981部
・電子供与型重合開始剤(TPB):0.0270部
・重合性化合物(下記M-4):0.3536部
・トリクレシルホスフェート:0.0450部
・アニオン界面活性剤(A-1):0.0162部
・フッ素系界面活性剤(W-1):0.0042部
・2-ブタノン:5.3155部
・1-メトキシ-2-プロパノール:2.8825部
・メタノール:2.3391部
・ミクロゲル液1:2.8779部
タケネートD-160N(ポリイソシアネート トリメチロールプロパンアダクト体、三井化学(株)製、4.7部)、アロニックスM-403(東亞合成(株)製、タケネートD-160NのNCO価とアロニックスM-403の水酸基価が1:1となる量)、t-ブチルベンゾキノン(0.02部)、及びメチルエチルケトン(11.5部)の混合溶液を65℃に加熱した。反応溶液に、ネオスタンU-600(ビスマス系重縮合触媒、日東化成(株)製、0.11部)を加え、65℃で4時間加熱した。反応溶液を室温(25℃)まで冷却し、メチルエチルケトンを加えることで、固形分が50質量%のウレタンアクリレート(M-4)溶液を合成した。リサイクル型GPC(機器:LC908-C60、カラム:JAIGEL-1H-40及び2H-40(日本分析工業(株)製))を用いて、テトラヒドロフラン(THF)の溶離液にて、ウレタンアクリレート溶液の分子量分画を実施した。重量平均分子量は20,000であった。
-油相成分の調製-
多官能イソシアネート化合物(PM-200:万華化学社製):6.66gと、三井化学(株)製の「タケネート(登録商標)D-116N(トリメチロールプロパン(TMP)とm-キシリレンジイソシアネート(XDI)とポリエチレングリコールモノメチルエーテル(EO90)との付加物(下記構造)」の50質量%酢酸エチル溶液:5.46gと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(SR-399、サートマー社製)の65質量%酢酸エチル溶液:11.24gと、酢酸エチル:14.47gと、竹本油脂(株)製のパイオニン(登録商標)A-41-C:0.45gを混合し、室温(25℃)で15分撹拌して油相成分を得た。
水相成分として、蒸留水47.2gを準備した。
油相成分に水相成分を添加して混合し、得られた混合物を、ホモジナイザーを用いて12,000rpmで16分間乳化させて乳化物を得た。
得られた乳化物に蒸留水16.8gを添加し、得られた液体を室温で10分撹拌した。
次いで、撹拌後の液体を45℃に加熱し、液温を45℃に保持した状態で4時間撹拌することにより、上記液体から酢酸エチルを留去した。次いで、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン-オクチル酸塩(U-CAT SA102、サンアプロ(株)製)の10質量%水溶液5.12gを加え、室温で30分撹拌し、45℃で24時間静置した。蒸留水で、固形分濃度を20質量%になるように調整し、ミクロゲル1の水分散液が得られた。ミクロゲル1の体積平均粒径はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-920((株)堀場製作所製)により測定したところ、165nmであった。
下記成分を混合し、画像記録層塗布液2を調製した。
・表4に記載の赤外線吸収剤2種:乾燥後に含有量が表4に記載の量となる量
・発色剤(S-22(上述したS-22)):0.0120部
・発色剤(S-16(上述したS-16)):0.0300部
・電子受容型重合開始剤(IA-1):0.0981部
・電子供与型重合開始剤(TPB):0.0270部
・重合性化合物(M-4):0.3536部
・トリクレシルホスフェート:0.0125部
・アニオン界面活性剤(A-1):0.0162部
・パイオニンA-41-C(竹本油脂(株)製、70%メタノール溶液):0.0081部
・フッ素系界面活性剤(W-1):0.0042部
・2-ブタノン:5.3155部
・1-メトキシ-2-プロパノール:2.8825部
・メタノール:2.3391部
・ミクロゲル液1:2.8779部
下記成分を混合し、最外層塗布液1を調製した。
・水:1.0161部
・メトローズSM04(メチルセルロース、信越化学工業(株)製、メトキシ置換度=1.8):0.0600部
・FS-102(スチレン-アクリル樹脂、日本ペイント・インダストリアルコーティングス(株)製、Tg=103℃、17%水分散液):0.1177部
・ラピゾールA-80(アニオン界面活性剤、日油(株)製、80%水溶液):0.0063部
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用し、
最外層塗布液の代わりに最外層塗布液1を使用した以外は、実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液2を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用し、
最外層塗布液の代わりに最外層塗布液1を使用した以外は、実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液2を使用し、
最外層塗布液の代わりに最外層塗布液1を使用した以外は、実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表4に示す。
また、実施例に係る平版印刷版原版は、UV耐刷性にも優れた平版印刷版が得られることが分かる。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用し、加えて、発色剤の種類をS-23(上述したS-23)に変更し、
更に、最外層塗布液の代わりに最外層塗布液1を使用した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用し、加えて、発色剤の種類をS-23に変更し、
更に、最外層塗布を実施していない以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用し、加えて、発色剤の種類をS-23に変更した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用、加えて、重合開始剤の種類を下記IA-6に変更し、更に、発色剤の種類をS-23に変更した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液1を使用、加えて、重合開始剤の種類を上記IA-6に変更し、更に、発色剤の種類をS-23に変更した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表5に示す。
また、実施例に係る平版印刷版原版は、UV耐刷性にも優れた平版印刷版が得られることが分かる。
下記成分を混合し、画像記録層塗布液1を調製した。
・表6に記載の赤外線吸収剤2種:乾燥後に含有量が表6に記載の量となる量
・発色剤(S-22(上述したS-22)):0.0600部
・発色剤(S-16(上述したS-16)):0.0300部
・電子受容型重合開始剤(IA-1):0.0981部
・電子供与型重合開始剤(TPB):0.0270部
・重合性化合物(下記M-4):0.3536部
・トリクレシルホスフェート:0.0450部
・アニオン界面活性剤(A-1):0.0162部
・フッ素系界面活性剤(W-1):0.0042部
・2-ブタノン:5.3155部
・1-メトキシ-2-プロパノール:2.8825部
・メタノール:2.3391部
・ミクロゲル液1:2.8779部
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液3を使用した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液3を使用し、
更に、最外層塗布液に赤外線吸収剤を添加しなかった以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液3を使用し、
更に、最外層塗布を実施していない以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液3を使用した以外は、
実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
下塗り層塗布液の代わりに下塗り層塗布液1を使用し、
画像記録層塗布液の代わりに画像記録層塗布液3を使用し、加えて、発色剤S-16をS-23に変更した以外は、実施例15と同様にして、平版印刷版原版を作製し、評価を行った。評価結果を表6に示す。
また、実施例に係る平版印刷版原版は、UV耐刷性にも優れた平版印刷版が得られることが分かる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (21)
- 赤外線吸収剤A、及び、赤外線吸収剤Bを含み、
前記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長が830nmを超え、前記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長が830nm以下であり、
前記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と前記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長の差が5nm~50nmであり、
エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、前記露光を行った部分における前記露光前と前記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である
機上現像型平版印刷版原版。 - 支持体上に画像記録層を有し、
前記画像記録層が、前記赤外線吸収剤A、及び、前記赤外線吸収剤Bを含む請求項1に記載の機上現像型平版印刷版原版。 - 支持体と、画像記録層と、最外層と、をこの順で有し、
前記画像記録層が、赤外線吸収剤Aを含み、
前記最外層が、赤外線吸収剤Bを含む請求項1に記載の機上現像型平版印刷版原版。 - 支持体上に画像記録層を有し、
前記画像記録層が、赤外線吸収剤A、赤外線吸収剤B、及び、酸発色剤を含み、
前記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と前記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長とが異なり、
前記酸発色剤が、下記式(Le-8)で表される化合物を含み、
エネルギー密度110mJ/cm2にて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、前記露光を行った部分における前記露光前と前記露光後25℃70%RHの条件にて24時間保管後との明度変化ΔLが、3.0以上である、
機上現像型平版印刷版原版。
式(Le-8)中、X1~X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はジアルキルアニリノ基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、C又はNを表し、Y1がNである場合は、X1は存在せず、Y2がNである場合は、X4は存在せず、Rb1及びRb2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rc1及びRc2はそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロアリール基を表す。 - 前記赤外線吸収剤Bが、赤外線露光に起因して分解する分解型赤外線吸収剤である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記分解型赤外線吸収剤が、下記式1-1で表される化合物である請求項5に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式1-1中、R1は下記式2-1~式4-1のいずれかで表される基を表し、R11~R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、-Ra、-ORb、-SRc、又は-NRdReを表し、Ra~Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、A1、A2及び複数のR11~R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A1及びA2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は、窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0~5の整数を表し、ただし、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子、又は、-N(R10)-を表し、R10は、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
式2-1~式4-1中、R20、R30、R41及びR42はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Zbは電荷を中和する対イオンを表し、波線は、前記式1-1中のLで表される基との結合部位を表す。 - 前記分解型赤外線吸収剤が、下記式1-2で表される化合物である請求項6に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式1-2中、R1は前記式2-1~式4-1のいずれかで表される基を表し、R19~R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、-Ra、-ORb、-CN、-SRc、又は、-NRdReを表し、R23及びR24はそれぞれ独立に、-Raを表し、Ra~Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R23とR24は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、-N(R10)-を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1~Rd4、W1及びW2は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。 - 前記分解型赤外線吸収剤が、下記式1-3~式1-7のいずれかで表される化合物である請求項6又は請求項7に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式1-3~式1-7中、R1は前記式2-1~式4-1のいずれかで表される基を表し、R19~R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、-Ra、-ORb、-CN、-SRc、又は、-NRdReを表し、R25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は-Raを表し、Ra~Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R25とR26は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、-N(R10)-を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1~Rd4、W1及びW2はそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。 - 前記画像記録層が、電子供与型重合開始剤を含む請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記赤外線吸収剤AのHOMO-前記電子供与型重合開始剤のHOMOの値が、0.60eV以下である請求項9に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記赤外線吸収剤AのHOMOが、-5.30eV以下である請求項2~請求項10のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記赤外線吸収剤Aが、下記式1で表される化合物を含む請求項2~請求項11のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式1中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R1及びR2は互いに連結して環を形成してもよく、R3~R6はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R7及びR8はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、-NR0-又はジアルキルメチレン基を表し、R0は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、後述する式2で表される基を有していてもよいベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表し、A1は、-NR9R10、-X1-L1又は後述する式2で表される基を表し、R9及びR10はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基又はアリールスルホニル基を表し、X1は酸素原子又は硫黄原子を表し、L1は炭化水素基、ヘテロアリール基、又は、熱若しくは赤外線露光によりX1との結合が開裂する基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表し、Ar1及びAr2の少なくとも一方に、下記式2で表される基を有する。
-X 式2
式2中、Xは、ハロゲン原子、-C(=O)-X2-R11、-C(=O)-NR12R13、-O-C(=O)-R14、-CN、-SO2NR15R16、又は、パーフルオロアルキル基を表し、X2は、単結合又は酸素原子を表し、R11及びR14はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、R12、R13、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。 - 前記式2のXが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は-C(=O)OR17である請求項12に記載の機上現像型平版印刷版原版。
なお、R17は、アルキル基又はアリール基を表す。 - 前記画像記録層が電子受容型重合開始剤を含み、前記電子受容型重合開始剤が、下記式(II)で表される化合物を含む請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式(II)中、XAはハロゲン原子を表し、RAはアリール基を表す。 - 前記画像記録層が、酸発色剤を含む請求項2又は請求項3に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 前記酸発色剤が、下記式(Le-8)で表される化合物を含む請求項15に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式(Le-8)中、X1~X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はジアルキルアニリノ基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、C又はNを表し、Y1がNである場合は、X1は存在せず、Y2がNである場合は、X4は存在せず、Rb1及びRb2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rc1及びRc2はそれぞれ独立に、アリール基又はヘテロアリール基を表す。 - 前記酸発色剤が、下記式(Le-11)で表される化合物を含む請求項15に記載の機上現像型平版印刷版原版。
式(Le-11)中、ERGはそれぞれ独立に、電子供与性基を表し、n11は、1~5の整数を表し、X1~X4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はジアルキルアニリノ基を表し、X5~X10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の
有機基を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立に、C又はNを表し、Y1がNである場合は、X1は存在せず、Y2がNである場合は、X4は存在せず、Ra1は、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表し、Rb2及びRb4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。 - 前記画像記録層が、赤外線吸収剤Cを更に含み、
前記赤外線吸収剤Aの最大吸収波長と前記赤外線吸収剤Bの最大吸収波長と前記赤外線吸収剤Cの最大吸収波長とがいずれも異なる請求項2又は請求項3に記載の機上現像型平版印刷版原版。 - 前記最外層が、疎水性ポリマーを含む請求項3に記載の機上現像型平版印刷版原版。
- 請求項1~請求項19のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
印刷機上で印刷インク及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む
平版印刷版の作製方法。 - 請求項1~請求項19のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
印刷機上で印刷インク及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、
得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む
平版印刷方法。
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