JP7502835B2 - 基材上に収率よく空孔を形成する技術のためのコアシェル鋳型分子・粒子 - Google Patents

基材上に収率よく空孔を形成する技術のためのコアシェル鋳型分子・粒子 Download PDF

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Description

本開示は、検出対象を基材上で感度良く検出する技術に関する。より具体的には、本開示は、測定技術におけるコアシェル鋳型分子・粒子およびその応用、検出対象の分析用センサ作製用基材およびその製造方法、検出対象の分析用センサおよびその製造方法、ならびに検出対象の分析法に関する。
エクソソーム等の小型細胞外小胞(Small Extracellular Vesicles;sEVs)は細胞から放出される小胞体の一つであり、直径20~200nmの脂質二重膜小胞である。小型細胞外小胞は、その内部にタンパク質、及びmiRNA、mRNAなどの核酸を内包するとともに、その表面にもタンパク質を有している。小型細胞外小胞はこのような物質に特徴づけられているため、小型細胞外小胞の特徴を解析することで、分泌した細胞がどのような細胞であるかを推測できると考えられている。また、小型細胞外小胞は様々な体液中で存在が確認されており、比較的容易に採取することができる。
癌細胞から分泌される小型細胞外小胞は腫瘍由来の物質を含んでいる。したがって、体液中の小型細胞外小胞に含まれる物質を解析することで癌の診断を行うことができると期待されている。さらに、小型細胞外小胞は細胞によって能動的に分泌されるものであることから、がんの早期段階であっても何らかの特徴を呈していることが予想されている。
本発明者らは、鋭意研究した結果、簡易に、感度よく、分析および検査をすることができる分析用センサ、およびそのための分析用センサ作製用基材、さらにはこの基材を作製するのに使用される粒子ならびに関連する技術を開発し、完成させた。
本開示は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目A1)
粒子コアと
該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な相互作用で該粒子コアと一体化している修飾物質と、
を含む粒子。
(項目A1A)
粒子コアと
該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質と、
を含む粒子。
(項目A1B)
分析用センサ作製用基材の製造のための粒子であって、該粒子は
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化している修飾物質とから構成される、粒子。
(項目A1B-2)
分析用センサ作製用基材の製造のための粒子であって、該粒子は
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質とから構成される、粒子。
(項目A1C)
前記修飾物質は、前記コアと共有結合で結合しているモノマーではない、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A1D)
前記修飾物質は、1種または複数種含まれる、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A2)
前記修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A3)
前記修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A3-1)
前記修飾物質は、重合性官能基を有する、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A3A)
前記修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つを有する、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A3A-1)
前記修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4A)
前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4B)
前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4C)
前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4D)
前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4)
前記粒子コアを損傷しない条件で分離可能な相互作用が、非共有結合である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A4A)
前記粒子コアまたは粒子コアコアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合が、非共有結合である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A5)
前記相互作用が、静電相互作用である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A5A)
前記分子間の化学結合が、静電相互作用である、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A6)
粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目A7)
粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、前記項目のいずれか一項に記載の粒子。
<B)分析用センサ作製用基材製造用のポリマーまとわりついた鋳型粒子=用途>
(項目B1)
前記項目のいずれか一項に記載の粒子と、
基材と、
必要に応じて、ポリマーマトリックスの原料と
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目B1A)
基材と、
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化している修飾物質とから構成される粒子と、
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目B1B)
基材と、
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質とから構成される粒子と、
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目B1)
基材と、
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化している修飾物質とから構成される粒子と、
必要に応じて、ポリマーマトリックスの原料と
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目B1C)
基材と、
粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質とから構成される粒子と、
必要に応じて、ポリマーマトリックスの原料と
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目B2)
前記項目のいずれか一項に記載の粒子の、分析用センサ作製用基材を製造するための使用。
(項目B3)
前記項目のいずれか一項に記載の粒子を作製する方法であって、
A)粒子コアを提供する工程と、
B)分析用センサ作製用基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化し得る修飾物質を提供する工程と、
C)該粒子コアと該修飾物質とを、該粒子コアと該修飾物質とが該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用によって一体化されるような条件に供する工程と
を包含する、方法。
(項目B3A)
前記項目のいずれか一項に記載の粒子を作製する方法であって、
A)粒子コアを提供する工程と、
B)分析用センサ作製用基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化し得る修飾物質を提供する工程と、
C)該粒子コアと該修飾物質とを、該粒子コアと該修飾物質とが該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合によって一体化されるような条件に供する工程と
を包含する、方法。
<C)A)を使った測定基材製造方法。>
(項目C1)
分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)前記項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、
D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目C2)
分析用センサを製造するための方法であって、
A)前記項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)必要に応じて、該粒子が配置された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、
D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場を形成する工程と
F)測定用に必要な物質を前記足場に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目C3)
前記工程Eにおいて、該基材から該粒子が解離する条件が、可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件である、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目C4)
前記工程Eの後に、足場内の前記可逆的結合基を、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基またはシグナル物質の結合用基に変換する工程を含む、前記項目のいずれか一項に記載の方法。
<D)C)でできた基材、センサ>
(項目DX)
前記項目のいずれか一項で製造された分析用センサ作製用基材。
(項目DX2)
前記項目のいずれか一項で製造された分析用センサ。
(項目D1)
A)基材と、
B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された結合用基と
を有する、分析用センサ作製用基材。
(項目D2)
A)基材と、
B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された、シグナル物質の結合用基またはシグナル物質と
D)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基と
を有する、分析用センサ。
(項目D3)
前記ポリマーマトリックスの清浄度が95%以上である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D4)
前記基材中の該足場の規格値が、80%以上である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5)
前記基材上に、該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化している1種または複数種の修飾物質に由来する置換基が結合されている、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5)
前記基材上に、該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している1種または複数種の修飾物質に由来する置換基が結合されている、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5-1)
前記修飾物質に由来する置換基が、アミノ基、酸性基、配位結合性基、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、ボロニル基、cis-ジオール基、チオール基、ビオチン基、デスチオビオチン基、ペプチドリガンドまたは可逆的連結基である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5A)
前記アミノ基が、1~4級アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヒドラジド、グアニジン、またはアミジンである、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5B)
前記酸性基が、カルボキシ基、スルホン酸基、またはリン酸基である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5C)
前記配位結合性基が、NTA基、またはHis-tagである、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5D)
前記ペプチドリガンドが、グルタチオン基、またはRGD基である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D5E)
前記可逆的連結基が、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ボロン酸環状エステル、カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、またはシリル基である、前記項目のいずれか一項に記載の基材またはセンサ。
(項目D6)
A)基材と、
B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された該基材を損傷しない条件で分離可能な相互作用で該コアと一体化している修飾物質に由来する置換基と
D)該足場に配置されたシグナル物質の結合用基またはシグナル物質と
E)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基と
を有する、分析用センサ。
(項目D6A)
A)基材と、
B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質に由来する置換基と
D)該足場に配置されたシグナル物質の結合用基またはシグナル物質と
E)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基と
を有する、分析用センサ。
<E)ダイレクト型基材>
(項目E1)
ダイレクト型分析用センサ製造用基材であって、
A)基材と
B)前記項目のいずれか一項に記載の粒子と
C)必要に応じて、該基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスとD)必要に応じて、最表層に、ブロッキング剤と
を含む、
ダイレクト型分析用センサ作製用基材。
(項目E2)
ダイレクト型分析用センサであって、
A)基材と
B)前記項目のいずれか一項に記載の粒子と
C)必要に応じて、該基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスとD)必要に応じて該粒子上に、特異的結合性分子の結合用基、およびシグナル物質の結合用基またはシグナル物質と
を有する、ダイレクト型分析用センサ。
(項目E3)
ダイレクト型分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)前記項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、
D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
を包含する、方法。
(項目E4)
ダイレクト型分析用センサを製造するための方法であって、
A)前記項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、
D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、
F)必要に応じて測定用に必要な物質を該粒子に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目1)
(A)粒子コアと
(B)修飾物質とを含む
(C)粒子であって、
該粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コア上の官能基含有部分を含み、
該修飾物質は、(B-1)該粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、
該粒子コアと該修飾物質とが、該第一官能基含有部分と第一可能基の分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している、
粒子。
(項目1A)
前記(A1)粒子コアコアは、無機材料または有機材料である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目1AA)
前記(A1)粒子コアコアは、金属(金、銀、プラチナ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)など)、金属の酸化物(酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルトなど)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、およびそれらの複合化合物、ハイドロキシアパタイト、二酸化珪素(シリカ)、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、ポリスチレン、ポリエチレンイミンである、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目1B)
前記(A2)官能基含有部分は、酸性基、塩基性基、芳香族基、アルキル基、ポリヒスチジン(His)タグ、金属錯体、ビオチン、マレイミド基、アクリル酸エステル基などの電子不足の不飽和炭素基、ヨードアセトアミド基、チオール基、ピリジルジスルフィド基、ラジカル付加系クリックケミストリーのためのアルケン(ビニルスルホン)・アルキン基、ネイティブ・ケミカル・ライゲーション法のためのチオエステル基、アミノ基、カルボニル基、アルデヒド基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸活性エステル基、ボロニル基、cisジオール基、(糖基)、(チオ)ラクトン基、アルキン基もしくはその誘導体またはアジド基である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目1C)
前記(B-1)第一官能基は、塩基性基、酸性基、芳香族基、アルキル基、ポリヒスチジン(His)タグ、金属錯体、ビオチン、マレイミド基、アクリル酸エステル基などの電子不足の不飽和炭素基、ヨードアセトアミド基、チオール基、ピリジルジスルフィド基、ラジカル付加系クリックケミストリーのためのアルケン(ビニルスルホン)・アルキン基、ネイティブ・ケミカル・ライゲーション法のためのチオエステル基、アミノ基、カルボニル基、アルデヒド基、水酸基、フェノール性水酸基、カルボン酸活性エステル基、ボロニル基、cisジオール基、(糖基)、(チオ)ラクトン基、アルキン基もしくはその誘導体またはアジド基である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。

(項目1D)
前記(B-2)第二官能基は、アミノ基、カルボキシ基、カルボン酸活性エステル基、金属錯体(Ni-NTA基等)、チオール基、ピリジルジスルフィド基、ジスルフィド基、マレイミド基、ハロゲン化アセトアミド基、アジド基、アルキン基(またはその誘導体基)、ビオチン(またはその構造類似体)、アビジン(Avidin,Neutravidin,Streptavidin)、cisジオール基、ボロニル基、または(チオ)ラクトン基である、項目1に記載の粒子。
(項目1E)
前記(A2)官能基含有部分と前記(B-1)第一官能基とは、以下の表における左右を同一とする組み合わせである、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。

(項目1F)
前記(A2)官能基含有部分と前記(B-1)第一官能基とは、以下の表における左右を同一とする組み合わせである、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。


(項目1G)
前記(A2)官能基含有部分と前記(B-1)第一官能基とは、以下の表における左右を同一とする組み合わせである、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。

(項目1H)
前記(A2)官能基含有部分が、酸性基であり、前記(B-1)第一官能基が、塩基性基である、項目1に記載の粒子。

(項目2)
分析用センサ作製用基材の製造のための先行する項目のいずれか一項記載の粒子。
(項目3)
前記修飾物質は、1種または複数種含まれる、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目4)
前記修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目5)
前記修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目6)
前記修飾物質は、重合性官能基を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目7)
前記修飾物質は、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つをさらに有する、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目8)
前記修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目9)
前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目10)
前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目11)
前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目12)
前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目13)
前記分離可能な分子間の化学結合が、非共有結合である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目14)
前記非共有結合が、静電相互作用である、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目15)
粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目16)
粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、先行する項目のいずれか一項に記載の粒子。
(項目17)
先行する項目のいずれか一項に記載の粒子と、
基材と、
を含む、分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目18)
ポリマーマトリックスの原料をさらに含む、先行する項目のいずれか一項に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
(項目19)
先行する項目のいずれか一項に記載の粒子の、分析用センサ作製用基材を製造するための使用。
(項目20)
先行する項目のいずれか一項に記載の粒子を作製する方法であって、
A)粒子コアを提供する工程と、
B)分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化し得る修飾物質を提供する工程と、
C)該粒子コアと該修飾物質とを、該粒子コアと該修飾物質とが分離可能な分子間の化学結合によって一体化されるような条件に供する工程と
を包含する、方法。
(項目21)
分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場を形成する工程とを
包含する、方法。
(項目22)
前記粒子が固定された前記基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記ポリマーマトリックスが重合する条件に前記基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
分析用センサを製造するための方法であって、
A)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
C)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場を形成する工程と
D)測定用に必要な物質を前記足場に結合させる工程とを
包含する、方法。
(項目25)
前記粒子が配置された前記基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記ポリマーマトリックスが重合する条件に前記基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記工程Cにおいて、該基材から該粒子が解離する条件が、可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件である、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記工程Cの後に、足場内の前記可逆的結合基を、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基またはシグナル物質の結合用基に変換する工程を含む、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
A)基材と、
B)該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された結合用基と
を有する、分析用センサ作製用基材。
(項目30)
A)基材と、
B)該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基と
を有する、分析用センサ。
(項目31)
前記ポリマーマトリックスの清浄度が95%以上である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目32)
前記基材中の該足場の規格値が、80%以上である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目33)
前記基材上に、分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している1種または複数種の修飾物質に由来する置換基が結合されている、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目34)
前記修飾物質に由来する置換基が、アミノ基、酸性基、配位結合性基、カルボニル基、アルデヒド基、ケトン基、ボロニル基、cis-ジオール基、チオール基、ビオチン基、デスチオビオチン基、ペプチドリガンドまたは可逆的連結基である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目35)
前記アミノ基が、1~4級アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヒドラジド、グアニジン、またはアミジンである、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目36)
前記酸性基が、カルボキシ基、スルホン酸基、またはリン酸基である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目37)
前記配位結合性基が、NTA基、またはHis-tagである、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目38)
前記ペプチドリガンドが、グルタチオン基、またはRGD基である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目39)
前記可逆的連結基が、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ボロン酸環状エステル、カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、またはシリル基である、先行する項目のいずれか一項に記載の基材または先行する項目のいずれか一項に記載のセンサ。
(項目40)
A)基材と、
B)該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場を有する、ポリマーマトリックスと、
C)該足場に配置された分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質に由来する置換基と
D)該足場に配置されたシグナル物質の結合用基またはシグナル物質と
E)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基と
を有する、分析用センサ。
(項目41)
ダイレクト型基材型分析用センサ製造用基材であって、
A)基材と
B)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子と
を含む、
ダイレクト型基材型分析用センサ作製用基材。
(項目42)
前記基材に配置され該粒子が配置されているポリマーマトリックスをさらに含む、
先行する項目のいずれか一項に記載のダイレクト型基材型分析用センサ作製用基材。
(項目43)
最表層に、ブロッキング剤をさらに含む、
先行する項目のいずれか一項に記載のダイレクト型基材型分析用センサ作製用基材。
(項目44)
ダイレクト型基材型分析用センサであって、
A)基材と
B)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子と
を有する、ダイレクト型基材型分析用センサ。
(項目45)
前記基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスをさらに有する、先行する項目のいずれか一項に記載のダイレクト型基材型分析用センサ。
(項目46)
最表層に、ブロッキング剤をさらに有する、先行する項目のいずれか一項に記載のダイレクト型基材型分析用センサ。
(項目47)
前記粒子上に、特異的結合性分子の結合用基、およびシグナル物質の結合用基またはシグナル物質をさらに有する、先行する項目のいずれか一項に記載のダイレクト型基材型分析用センサ。
(項目48)
ダイレクト型分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
A)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
を包含する、方法。
(項目49)
前記粒子が固定された前記基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
ダイレクト型分析用センサを製造するための方法であって、
A)先行する項目のいずれか一項に記載の粒子を提供する工程と
B)該粒子を基材に配置する工程と、
包含する、方法。
(項目52)
前記粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
測定用に必要な物質を該粒子に結合させる工程をさらに包含する、先行する項目のいずれか一項に記載の方法。
本明細書において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本開示に関する技術を利用することで、分子インプリンティング技術を用いた細胞外小胞検出のための足場(例えば、凹部または凸部)を作製する技術において、投入する鋳型物質に対する足場(例えば、凹部または凸部)形成率が飛躍的に向上し、単位面積当たりの足場(例えば、凹部または凸部)数の増加による感度上昇が期待される。また、鋳型物質の除去が従来法に比べて格段に容易となり、基材間の揺らぎも抑えられることから、プロセス的にもメリットがある。本開示の手法は、再現性良く高感度なセンサ基材を作製するために重要な基盤技術と位置付けられる。
図1-1はポリマーE2のNMRチャートを示す。 図1-2はポリマーE3のNMRチャートを示す。 図1-3はポリマーE4のNMRチャートを示す。 図1-4は、シリカ粒子とポリマーE2からE4とが一体化した粒子のDLS測定結果を示す。 図1-5は、シリカ粒子とポリマーE2からE4とが一体化した粒子のZ-電位測定結果を示す。 図1-6は、シリカ粒子とポリマー(E2-0)とが一体化した粒子のDLS測定結果およびZ-potential測定結果を示す。 図2は、実施例2の粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図3は、蛍光観察結果を用いたハイブリッドセルカウント解析結果を示す。 図4は、分析用センサのB型肝炎ウイルスとの吸着実験の結果を示す。 図5は、分析用センサのナノボディまたはフルボディとの吸着実験の結果を示す。 図6-1は、実施例7の粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図6-2は、実施例7の基材上へのポリマー層重合後の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図6-3は、実施例7の基材のシリカナノ粒子除去後の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図6-4は、実施例7の基材上のシリカナノ粒子および蛍光性カチオンポリマーの蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図6-5は、ダイレクト型センシングチップを用いたエクソソーム濃度依存の蛍光強度変化の結果を示す。 図7-1は、実施例8の粒子固定化基材の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図7-2は、ふっ化水素アンモニウム処理後の蛍光顕微鏡での観察画像を示す。 図7-3は、ふっ化水素アンモニウム処理後の基材の膜厚測定結果を示す。 図7-4は、実施例8の分析用センサを用いたエクソソーム検出結果を示す。 図8は、実施例9の分析用センサを用いた、エクソソーム濃度依存の蛍光強度変化の結果を示す。 図9は、His-Tagポリマーとシリカナノ粒子の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像を示す。 図10は、カチオンシリカナノ粒子とアニオンポリマーEx8の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。 図11は、生分解性ナノ粒子を用いた粒子を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。 図12-1は、シリカナノ粒子と芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。 図12-2は、ポリスチレンナノ粒子と芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20の複合体を固定化した基板の蛍光顕微鏡画像を示す。 図13は、DLSによる表面Z電位測定の結果を示す。 図14は、実施例16における固定化して重合後の蛍光顕微鏡画像を示す。 図15は、実施例16におけるコア粒子除去後の蛍光顕微鏡画像を示す。 図16は、His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子の固定化した基板の蛍光顕微鏡画像およびSEM画像を示す。 図17は、粒子を用いずに作製したセンサの基材表面の蛍光強度変化を示す。
以下に、本開示をさらに詳細に説明する。
本開示の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の表現(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」等)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本開示中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本開示(定義を含めて)が優先する。
(定義)
最初に本明細書において使用される用語および一般的な技術を説明する。
本明細書において「粒子コア」とは、分析用センサにおいて基材に設けられる足場(例えば、凹部または凸部)の形成のための鋳型となる構造を持つ基本的な物質をいい、分子インプリントにおける鋳型として用いることができる限度において特に限定されず、無機粒子および有機粒子が含まれる。サイズがnmの範囲にある場合は、ナノ粒子コアということがあるが、本明細書においては厳密には区別されず、ナノ粒子コアといった場合も、特にサイズを限定することを意図して論じることでない限り、より大きなあるいはより小さなコア構造をもつものも除外しないことが理解される。粒子コアは(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コア上の官能基含有部分を含む。
本明細書において「粒子コアコア」とは、粒子コアを構成するコアをいい、これを官能基含有部分とで粒子コアを構成する。粒子コアコアの例としては、表1AのA1楡一挙されている。具体的には、粒子コアコアとしては、例えば、無機粒子としては、金属(金、銀、プラチナ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)など)、金属の酸化物(酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルトなど)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、およびそれらの複合化合物、ならびに、ハイドロキシアパタイト等が挙げられ、好ましくは、二酸化珪素(シリカ)が挙げられる。また、有機粒子としては、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、ポリスチレン、ポリエチレンイミン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において粒子コアコア上の「官能基含有部分」とは、粒子コアコアの上に存在する官能基を含む部分であり、官能基含有部分は粒子コアコアに所望の性質を付与するために修飾するものである。官能基含有部分の例は、表1AのA2に記載されており、官能基含有部分と第一官能基の好ましい組み合わせは、表1Aの左右に列挙される官能基同士であり得る。
粒子コアのサイズとしては、最終的な分析用センサにおいて意図される標的に依拠して変動することができ、約1nm~約100μm、約1nm~約20nm、約20nm~約500nm、約50nm~約200nm、約100nm~約500nm、約1μm~約10μm、約10μm~約100μmなどを挙げることができるが、これに限定されない。
本明細書において、「粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基」とは、粒子コアと官能基含有部分を介して結合する能力を付与する任意の官能基をいう。第一官能基の例は、表1AのB1に記載されており、官能基含有部分との好ましい組み合わせは、表1Aの左右に列挙される官能基同士であり得る。本明細書では、分子間の化学結合とは、相互作用ということがあり、他に言及しない限り、これらは同じ意味で用いられる。
本明細書において、「分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基」とは、分析用センサで所望される性質を付与する任意の官能基をいい、分析用センサで所望される性質を付与する基をいい、例えば、シグナル基、標的物質に結合することができる結合基が包含される。第二官能基の例は、表1A-4のB2に記載されている。
粒子コア上の官能基の具体例としては、下記表1A-4に示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「修飾物質」とは、分析用センサまたは分析用センサ製造用基材において、意図される機能を直接または間接的に付与するための持つ物質であり、そのような機能付与のため、種々の官能基を含みうるか、あるいは構造内に様々な官能基を含むことができるか、またはシグナル基を有するような構造をしている。本明細書において、修飾物質は、有利には、粒子コアと分子間の化学結合可能な物質であり、好ましくは、基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で粒子コアと一体化することができるか、粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で粒子コアと一体化することができるかおよび/または粒子コアと分子間の化学結合が可能な物質である。修飾物質は(B0)修飾物質コアと(B-1)本開示の粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基および/または(B2)分析用センサで所望される性質を付与する第二の官能基を含む。第一および第二官能基の具体例としては、上記表3Aに示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。修飾物質としては、以下が代表的であり、より詳細には、本開示の他の場所において詳述されている。ポリイソプロピルアクリルアミド共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド共重合体、ポリ乳酸誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル共重合体、ポリヒドトキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、キトサン誘導体、およびポリリジン誘導体ならびにこれらの組合せ等が挙げられるが、これらに限定されない。また1種または複数種の修飾物質が、粒子コアと一体化してもよい。
本明細書において「粒子コアを損傷しない条件で分離可能」とは、修飾物質について言及するとき、修飾物質と粒子コアとの間の分子間の化学結合は分離し得るが、粒子コアは、実質的に損傷しない任意の条件をいう。この場合、代表的には、粒子コアコアが、実質的に損傷しない条件であれば実質的粒子コアが損傷しない条件であるといえる。ここで、粒子コアは、使用される分析用センサにおいて検出に実質的な支障がなければ実質的に損傷しないと理解される。好ましくは、粒子コアを基材上に配置し、粒子コアを損傷することなく、粒子コアと基材との分子間の化学結合を切断し、粒子コアと基材を分離することができる。ナノ粒子を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合としては、例えば、静電相互作用などの非共有結合、ジスルフィド結合等の共有結合等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「基材を損傷しない条件で分離可能」とは、修飾物質について言及するとき、修飾物質と粒子コアとの間の分子間の化学結合は分離し得るが、修飾物質の使用が意図される分析用センサの基材は実質的に損傷しない任意の条件をいう。ここで、基材は、使用される分析用センサにおいて検出に実質的な支障がなければ実質的に損傷しないと理解される。好ましくは、粒子コアを基材上に配置し、基材を損傷することなく、粒子コアと基材との分子間の化学結合を切断し、粒子コアと基材を分離することができることをいう。基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合としては、例えば、静電相互作用などの非共有結合、ジスルフィド結合等の共有結合が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「粒子コアを損傷しない条件で分離可能」と「基材を損傷しない条件で分離可能」として同じ条件が用いられることがあり得ることを当業者は理解する。
本明細書において「一体化」とは、一般に、物質同士がひとまとまとまりになっていることをいい、修飾物質と粒子コアについて言及するとき、分析用センサまたは分析用センサ製造用基材の製造における環境において、「粒子コアを損傷しない条件で分離可能」および/または「基材を損傷しない条件で分離可能」な条件に供する場合以外に解離しない状態ならびに/あるいは分子間の化学結合にあればどのような作用によって一体化してもよい。そのような作用として、共有結合または非共有結合を挙げることができる。
本明細書において「非共有結合」とは、共有結合ではない分子間の化学結合により物質同士が分子間の化学結合している任意の結合または相互作用をいう。例えば、水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「基」とは、別途指定されない限り、一価基を意味する。一価基でない例としては、アルキレン基(2価)等が挙げられる。また、本明細書において使用される場合、「基」なる用語を省略する場合もある。
本明細書において「可逆的連結基」とは、切断(開裂)および結合が可逆的である直接結合又は二価以上の基をいう。具体例としては、下記表2Aの1-3に示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「分子間の化学結合が可能な…官能基」とは、異なる分子間での結合をすることができる官能基をいう。具体例としては、下記表3Aに示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「重合性官能基」とは他の重合可能な官能基と重合し、ポリマーを形成することができる官能基をいう。例えば、ビニル基、アリル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アクリルアミド基等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「基材に結合可能な置換基」とは基材上にある置換基と共有結合または非共有結合することにより基材上に配置可能にすることができる基をいう。例えば、上記表2Aに示す基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書において「基材」とは、分析用センサの土台となる物質をいう。基材の材料は、例えば、金属、金属酸化物、ガラス、紙(セルロース)、二酸化ケイ素、シリコンおよび樹脂ならびにこれらの組合せからなる群から選択される材料であってよい。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、チタン、タングステン、およびモリブデン等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、および塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「ポリマーマトリックス」とはマトリクスを形成するポリマーを言い、通常モノマーが重合してできた物質をいう。有利には、マトリクスは、本開示の分析用センサまたは分析用センサ用基材において配置されるとき、センサに適している形状および構造を有していればどのような形状または構造であってもよい。マトリクスの形状または構造は、例えば薄膜状または球状(粒子状)である。マトリックスの好ましい構成としては、標的以外のものの吸着をできるだけ抑制するため、生体適合性の高いものが主成分である。
本明細書において「ポリマーマトリックスの原料」とは、反応させることによってポリマーマトリックスを形成することができる原料をいう。一般に、ポリマーマトリックスを形成するためには、少なくとも1種のモノマーと少なくとも1種の適切な重合開始剤とを含むことで十分であるが、これら以外にも、例えば、追加のモノマー(一部重合していてもよい)、追加の重合開始剤、架橋剤、RAFT剤、触媒、還元剤または溶媒等を含むことができる。モノマーとしては、スチレン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられるが、これらに限定されない。重合開始剤としては、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、α-ブロモイソ酪酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、および(トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。RAFT剤としては、ベンゾジチオ酸ベンジル、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒としては、CuBr等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤としては、アスコルビン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒としては、一般的に溶媒として知られているものから特に制限なく選択され、例えば純水、緩衝液、MeOH、EtOH、DMAおよびDMF等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「分析用センサ」とは標的物質を特異的に認識し、分析することができるセンサをいう。
本明細書において「分析用センサ作製用基材」とは、分析用センサの作製をするための任意の基材を言い、形状および材質は分析用センサに適切な限り任意のものを使用することができる。好ましくは、分析用センサ作製用基材は、足場(例えば、凹部または凸部)を有する基材であり、ここで、足場(例えば、凹部または凸部)に特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基を修飾することによって、ユーザが、検出対象をより一層感度高く検出可能なセンサへ簡便にカスタマイズできるように構成されていることが有利である。本明細書において「分析用センサ作製用基材」は「測定基材」ともいう。
本明細書において「分子インプリントポリマー」とは、分子インプリント技術に用いられる任意のポリマーをいい(Takeuchi.T et. al. Chromatography, 2016, 37 (2), 43-64.を参照)、好ましくは、標的物質またはその誘導体と機能性モノマーの複合体を共有結合および/または非共有結合にて形成し,架橋剤とともに重合した後,標的物質を除去することで得られる標的物質に対する結合空間を持つ物質認識材料をいう。
本明細書において「分子に…少なくとも一部適合する」とは、分析用センサにおいて用いられる場合に、対象となる分子の検出または分析を実質的に可能とするような形状および/または構造を有することをいう。
本明細書において「足場」とは、本開示の分析用センサにおいて用いられる場合、測定用に必要な物質を結合させ安定化させるための部分をいい、凹部であったり、凸部であったりし、結合基(可逆的結合基、特異的結合性分子の結合基、シグナル物質の結合用基等)を固定しあるいは安定化させることができる。
本明細書において「凹部」とは、本開示の分析用センサにおいて用いられる場合、標的を捕捉するように形成される空隙または空孔を言い、好ましくは、分析用センサにおいて形成されるポリマーマトリックス上に形成される空孔部をいう。
本明細書において「最表層」とは、本開示のセンサまたはセンサ作製用基材において、もっとも表にある層をいい、基材またはポリマーマトリックスあるいはこれらに追加の物質でコーティングがされている場合はそのような追加の物質を指し得る。
本明細書において「ダイレクト型基材」とは、本開示の分析用センサにおいて用いられる場合、標的を捕捉するように形成される修飾物質をまとわりつかせたコア粒子またはコア粒子を有する基材をいい、好ましくは、分析用センサにおいて形成されるポリマーマトリックス上に形成される、修飾物質をまとわりつかせたコア粒子またはコア粒子を有する基材である。ダイレクト型基材は、凸型に形成された基材、キューブ状のコアを用いてそのコアの高さ以上までポリマーマトリックスを形成させた基材を含みうるがこれに限定されない。
本明細書において「ポリマーマトリックスが重合する条件」または「ポリマーマトリックスの原料が重合する条件」とは、ポリマーマトリックスの原料が存在する場合、ポリマーマトリックスを重合することができる条件をいう。
本明細書において「機能性モノマー」とは、重合されたときに、作製されるポリマーまたは当該ポリマーを用いるセンサまたは基材において、何らかの機能を付与し得る官能基を言い、例えば、分子間の化学結合基として塩基性基、酸性基、置換または無置換の芳香族基およびボロニル基等を有するモノマーが挙げられる。塩基性基としては、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換の含窒素芳香族基、アミジノ基、およびグアニジノ基等が挙げられるが、これらに限定されない。酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基およびリン酸基等が挙げられるが、これらに限定されない。置換または無置換の芳香族基としては、置換または無置換のアリール基、および置換または無置換のアリーレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「基材から粒子が解離する条件」とは、基材上に配置されていた粒子を基材と粒子との分子間の化学結合を切断することにより、基材と粒子を剥離することができる条件をいう。例えば、加温、冷却、pHの調製(酸処理、アルカリ処理)、界面活性剤含有溶液での洗浄、超音波照射、光照射、振盪、および還元処理を挙げることができる。
本明細書において「測定用に必要な物質」とは標的物質を捕捉し、検出することができる物質をいう。例えば、捕捉剤、標識等があげられる。捕捉剤とは、測定対象を捕捉するための任意の薬剤を言い、例えば、抗体、抗体断片、抗体ミメティック、核酸アプタマー(DNA、RNA、ペプチド核酸、人工核酸含む)、リン脂質認識タンパク質、およびレクチンを挙げることができる。
本明細書において「シグナル物質」とは、標的物質を検出することができる物質をいう。例えば、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質等が挙げられる。検出容易性等の観点から、シグナル物質としては蛍光物質であることが好ましい。例えば、蛍光物質・蛍光物質ペアまたは蛍光物質・消光物質ペアを導入することで、標的物質の結合をForster共鳴エネルギー移動(FRET)の阻害(または促進)によって検出することができる。また、酵素カスケードを形成する異種酵素を導入することで、酵素カスケード阻害を検出することで、標的物質を検出することができる。
本明細書において「標識」とは、目的となる分子または物質を他から識別するための存在(例えば、物質、エネルギー、電磁波など)をいう。そのような標識方法としては、RI(ラジオアイソトープ)法、蛍光法、ビオチン法、化学発光法等を挙げることができる。本明細書において、マーカーまたはそれを捕捉する因子または手段を複数(2以上)、蛍光法によって標識する場合には、蛍光発光極大波長が互いに異なる蛍光物質によって標識を行う。蛍光発光極大波長の差は、10nm以上であることが好ましい。リガンドを標識する場合、機能に影響を与えないものならば何れも用いることができるが、蛍光物質としては、AlexaTMFluor BODIPY、ATTO、量子ドット(QDot)および蛍光タンパク質(GFP, YFP, mCherryなど)が例示される。AlexaTMFluorは、クマリン、ローダミン、フルオレセイン、シアニンなどを修飾して得られた水溶性の蛍光色素であり、広範囲の蛍光波長に対応したシリーズであり、他の該当波長の蛍光色素に比べ、非常に安定で、明るく、またpH感受性が低い。蛍光極大波長が10nm以上ある蛍光色素の組み合わせとしては、AlexaTM555とAlexaTM633の組み合わせ、AlexaTM488とAlexaTM555の組み合わせ等を挙げることができる。核酸を標識する場合は、その塩基部分と結合できるものであれば何れも用いることができるが、シアニン色素(例えば、CyDyeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G試薬、2-アセチルアミノフルオレン(AAF)、AAIF(AAFのヨウ素誘導体)等を使用することが好ましい。蛍光発光極大波長の差が10nm以上である蛍光物質としては、例えば、Cy5とローダミン6G試薬との組み合わせ、Cy3とフルオレセインとの組み合わせ、ローダミン6G試薬とフルオレセインとの組み合わせ等を挙げることができる。本開示では、このような標識を利用して、使用される検出手段に検出され得るように目的とする対象を改変することができる。そのような改変は、当該分野において公知であり、当業者は標識におよび目的とする対象に応じて適宜そのような方法を実施することができる。
本明細書において「可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件」とは可逆的連結基を切断させたのちに、切断された、同じ可逆的連結基または異なる可逆的連結基を結合させ新たな可逆的連結基を作製する条件をいう。
本明細書において「標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基」とは、標的物質に対して特異的に結合することができる特異的結合性分子を結合することができる基をいう。標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基は、例えば、表2Aの2-1に挙げられる結合性官能基があげられる。

本明細書において「シグナル物質の結合用基」とはシグナル物質を修飾することができる基をいう。シグナル物質としては、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質等が挙げられる。検出容易性等の観点から、シグナル物質としては蛍光物質であることが好ましい。シグナル物質の結合用基は、例えば、表3Aの2-1に挙げられる結合性官能基があげられる。
本明細書において「分析用センサで所望される性質」とは、分析用センサにおいて用いられる場合に、標的物質に結合することができる、および/またはシグナル物質と結合できる性質を含む。
本明細書において「洗浄度」とは、基板上に配置された粒子が、洗浄後、除去された割合をいう。洗浄度を測定する方法は、例えば、蛍光標識(FITC)をしたシリカナノ粒子を用いて、洗浄後、除去されたか観察する方法または走査型電子顕微鏡で残存シリカを観察する方法等が挙げられる。洗浄度としては95%以上が好ましい。
本明細書において「規格値」とは、基材上に固定された鋳型粒子数に対する、鋳型粒子除去前または鋳型粒子除去後に蛍光分子の導入された足場(例えば、凹部または凸部)の割合をいう。規格値としては80%以上が好ましい。
本明細書において「修飾物質に由来する置換基」とは修飾物質上に存在する置換基または修飾物質に由来する置換基が反応し変化し得る構造を含む基をいう。例えば、アミノ基(1~4級、脂肪族、芳香族、ピリジン、ヒドラジド、グアニジン、アミジン)、酸性基(カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基)、配位結合性基(NTA基、His-tag等)、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基)、ボロニル基、cis-ジオール基(含カテコール、糖鎖構造)、チオール基、ビオチン基、デスチオビオチン基、ペプチドリガンド(グルタチオン基、RGD基)、、および基可逆結合基(ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ボロン酸環状エステル、カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、シリル基)などが代表的な置換基である。また1種または複数種の修飾物質に由来する置換基を有してもよい。
本明細書において「ダイレクト型分析用センサ作製用基材」とは、基材上に粒子と必要に応じてポリマーマトリックスとを含み、配置された粒子上に測定用に必要な物質を修飾することができる基材をいう。
本明細書において「ブロッキング剤」とは、ポリマーマトリックス以外の非特異吸着を妨げる物質をいう。例えば、ブロッキング剤は、BSA(ウシ血清アルブミン)といったタンパク質やProtein Free Blocking BufferといったNon-Proteinのものが挙げられるが、これらに限定されない。
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本開示中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
<修飾物質一体化粒子>
1つの局面において、本開示は、粒子コアと該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質とを含む粒子を提供する。
1つの局面において、本開示は、(A)粒子コアと(B)修飾物質とを含む(C)粒子を提供する、ここで該粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コア上の官能基含有部分を含み、該修飾物質は、(B-1)該粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、該粒子コアと該修飾物質とが、該分離可能な官能基を介して分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している。
別の局面において、分析用センサ作製用基材の製造のための粒子であって、該粒子は、粒子コアと、該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質とから構成される、粒子を提供する。
別の局面において、分析用センサ作製用基材の製造のための粒子であって、該粒子は、粒子コアと、分子間の化学結合で該コアと一体化している修飾物質とから構成される、粒子を提供する。
本開示の粒子の実施形態において、修飾物質は、粒子コアと非共有結合による分子間の化学結合により一体化している任意の物質であり得、ならびに/あるいは、粒子コアと一体化し得る任意のポリマーであり得る。
本開示の粒子の一つの実施形態では、修飾物質は、粒子コアと共有結合で結合し得るモノマーではない。
1つの実施形態において、粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合は、非共有結合または一部の共有結合を含む。本開示において好ましい共有結合かどうかは、粒子コアを損傷しない条件で粒子コアと修飾物質とを分離しようとしたときに、共有結合が分離し得る条件が少なくとも1つはある場合があるかを確認することで判定することができる。すなわち、すくなくとも1つの粒子コアを損傷しない条件が見いだせれば、その共有結合は、当該粒子コアと修飾物質との組合せにおいて、採用される共有結合に包含される。
1つの実施形態において、基材(例えば、分析用センサ作製用基材)を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合は、非共有結合または一部の共有結合を含む。本開示において好ましい共有結合かどうかは、意図する基材を損傷しない条件で粒子コアと修飾物質とを分離しようとしたときに、共有結合が分離し得る条件が少なくとも1つはある場合があるかを確認することで判定することができる。すなわち、すくなくとも1つの意図する基材を損傷しない条件が見いだせれば、その共有結合は、当該粒子コアと修飾物質との組合せにおいて、採用される共有結合に包含される。
本開示の粒子のような鋳型物質は、形成しようとする足場(例えば、凹部または凸部)に合わせて様々な官能基を導入することができることが有利である。従来は、これらの官能基を特定の強固な共有結合で導入する必要があり、鋳型物質の作製は、手間と労力を要した。本開示では、予め必要な官能基を修飾物質として一体化し、その修飾物質をコアとなる物質に測定用基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で纏わりつかせシェルを形成させるコア-シェル型鋳型分子を提供する。このコア-シェル型鋳型分子は、周りにポリマーマトリックスを形成するときは、安定に基材上に固定化されているが、ポリマーマトリックス形成後、従来は鋳型物質を溶解させるほどの強い条件で洗浄を行わない限り除去できなかった鋳型物質が、数分の洗浄で除去可能となる。
本開示において使用される粒子コアは、分子インプリントにおける鋳型として用いることができる限度において特に限定されず、人工的に製造された無機粒子及び有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、金属(金、銀、プラチナ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)など)、金属の酸化物(酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルトなど)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、およびそれらの複合化合物、ならびに、ハイドロキシアパタイト等が挙げられ、好ましくは、二酸化珪素(シリカ)が挙げられる。また、有機粒子としては、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、ポリスチレン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
本開示において使用される修飾物質は粒子コアと分子間の化学結合可能な物質であり、構造内に様々な官能基を含むことができる物質が例示される。該官能基としては、アミノ基(1~4級、脂肪族、芳香族、ピリジン、ヒドラジド、グアニジン、アミジン)、酸性基(カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基)、配位結合性基(NTA基、His-tag等)、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基)、ボロニル基、cis-ジオール基(含カテコール、糖鎖構造)、チオール基、ビオチン基、デスチオビオチン基、ペプチドリガンド(グルタチオン基、RGD基)、および基可逆結合基(ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ボロン酸環状エステル、カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、シリル基)等が挙げられる。
修飾物質の合成は以下のように実施することができる:モノマー、RAFT剤、重合開始剤、および溶媒をもちいて、RAFT重合を行い、ポリマーを合成した。ポリマー内の一級アミノ基とメタクリル酸の縮合によって修飾物質を合成する。または以下の方法によっても、修飾物質の合成を実施することができる:シスタミン等の分子内に可逆的連結基および粒子コアと分子間の化学結合可能な基を有する化合物に、重合性官能基を修飾することによって、修飾物質を合成する。
本開示の粒子は、修飾物質が一体化粒子である。本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子は、粒子コアと、修飾物質を分子間の化学結合し得る条件に供して一体化することで提供することができる。例えば、以下のように実施することができる。
1)粒子コアの分散液、および修飾物質を混合し、撹拌し、反応後、本開示の粒子を精製する。
2)粒子コアの分散液、および修飾物質を混合し、撹拌し、反応後、遠心分離して、溶液中の反応物を除去し、本開示の粒子を精製する。
3)粒子コアを基材上に配置し、そこに修飾物質を添加する。または
4)基材上に修飾物質を固定(吸着)させて、そこに粒子コアを添加し、さらに修飾物質を添加する。
粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で結合させるには、非共有結合により修飾物質と粒子コアを一体化させるか、またはポリマーである修飾物質を共有結合により結合させることによって可能となる。
1つの実施形態において、修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む。1つの実施形態において、基材に結合可能な置換基は、共有結合または非共有結合により、基材上に存在する官能基と分子間の化学結合をすることができる。1つの実施形態において、非共有結合は静電相互作用であってよい。1つの実施形態において、基材に結合可能な置換基は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、および第4級アミン等のカチオン性の官能基であってよい。
1つの実施形態において、修飾物質は、重合性官能基を有する。1つの実施形態において、重合性官能基は、ビニル基、アリル基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリルアミド基であってよく、好ましくは(メタ)アクリロイル基であってよい。
1つの実施形態において、修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質、または可逆的連結基を有する。
1つの実施形態において、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基は、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基であってよく、好ましくはビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基であってよい。1つの実施形態において、シグナル物質の結合用基は、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基であってよく、好ましくはビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ルまたはピリジルジスルフィド基であってよい。1つの実施形態において、シグナル物質は、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素であってよく、好ましくは蛍光分子であってよい。1つの実施形態において、可逆的連結基は、ジスルフィド結合、ボロン酸cisジオールエステル、ボロン酸環状エステル結合、イミノ結合基、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、アビジン-ビオチン結合、アセタール基、配位結合、水素結合、または疎水結合であってよく、好ましくはジスルフィド結合、または配位結合であってよい。
1つの実施形態において、粒子コアは、無機粒子または有機粒子である。1つの実施形態において、無機粒子としては、金属(金、銀、プラチナ、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)など)、金属の酸化物(酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルトなど)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、窒化物、フッ化物、硫化物、ホウ化物、およびそれらの複合化合物、ならびに、ハイドロキシアパタイトであってもよく、好ましくは、二酸化珪素(シリカ)であってもよい。1つの実施形態において、有機粒子は、ラテックス硬化物、デキストラン、キトサン、ポリ乳酸、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid)ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)、ポリスチレン、ポリエチレンイミンであってもよい。
1つの実施形態において、粒子コアは、混ぜることにより修飾物質と一体化することができる。
<分析用センサ作製用基材用粒子製造>
1つの局面において、本開示は、本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子、基材、ならびにポリマーマトリックスの原料を含む、分析用センサ作製用基材の製造キットを提供する。
ここで、粒子としては、修飾物質一体化粒子の項などにある任意の実施形態を採用することができる。基材としては、意図する分析に適切な材料であれば、どのような物質を使用してもよい。基材の材料は、例えば、金属、ガラス、二酸化ケイ素、シリコンおよび樹脂ならびにこれらの組合せからなる群から選択される材料であってよい。金属としては、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、およびモリブデン等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、および塩化ビニル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。
ポリマーマトリックスの原料は、意図する分析に適切な材料であれば、どのような物質を使用してもよい。ポリマーマトリックスの原料は、一般に、ポリマーマトリックスを形成するためには、少なくとも1種のモノマーと少なくとも1種の適切な重合開始剤とを含むことで十分であるが、これら以外にも、例えば、追加のモノマー(一部重合していてもよい)、追加の重合開始剤、架橋剤、RAFT剤、触媒、還元剤または溶媒等を含むことができる。モノマーとしては、スチレン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等が挙げられるが、これらに限定されない。重合開始剤としては、2,2´-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、α-ブロモイソ酪酸エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤は、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、および(トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ポリ)エチレングリコールジメタクリレート等が挙げられるが、これらに限定されない。RAFT剤としては、ベンゾジチオ酸ベンジル、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン等が挙げられるが、これらに限定されない。触媒としては、CuBr等が挙げられるが、これらに限定されない。還元剤としては、アスコルビン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒としては、一般的に溶媒として知られているものから特に制限なく選択され、例えば純水、緩衝液、MeOH、EtOH、DMAおよびDMF等が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの実施形態において、本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子は、分析用センサ作製用基材を製造するために使用することができる。
1つの実施形態において、本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を作製する方法を提供する。この方法はA)粒子コアを提供する工程と、B)該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を提供する工程と、C)該粒子コアと該修飾物質とを一体化されるような条件に供する工程を包含する。ここで一体化の条件は有利には、該粒子コアと該修飾物質とが該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合であり得る。この粒子が分析用センサまたは分析用センサ作製用基材のために用いられる場合は、一体化の条件は有利には基材と修飾物質とが該基材を損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合であり得る。粒子コアおよび修飾物質ならびに一体化される条件については、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの実施形態において、本開示の粒子コアおよび該粒子コアを分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を作製する方法を提供する。この方法はA)粒子コアを提供する工程と、B)該粒子コアを分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を提供する工程と、C)該粒子コアと該修飾物質とを一体化されるような条件に供する工程を包含する。ここで一体化の条件は有利には、該粒子コアと該修飾物質とが該基材を分子間の化学結合であり得る。この粒子が分析用センサまたは分析用センサ作製用基材のために用いられる場合は、一体化の条件は有利には基材と修飾物質とが分子間の化学結合であり得る。粒子コアおよび修飾物質ならびに一体化される条件については、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>
別の局面において、本開示は、分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程とを包含する。粒子コア、修飾物質、一体化については、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
別の局面において、本開示は、分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程とを包含する。粒子コア、修飾物質、一体化については、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、粒子コアの分散液、および修飾物質を混合し、撹拌し、反応後、本開示の粒子を精製する。本開示の粒子は本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
本開示の粒子コアおよび該粒子コアを分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、粒子コアの分散液、および修飾物質を混合し、撹拌し、反応後、本開示の粒子を精製する。本開示の粒子は本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
本開示において、粒子を基材に配置する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、本開示の粒子を溶液中に分散し、基材上に滴下して、静置することにより配置する。
本開示において、粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、重合性モノマーを加え、修飾物質由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質として提供することによって実施することができる。
本開示において、ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、重合性モノマーを加え、修飾物質由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質とし、重合開始性基を重合性開始剤として、本開示の粒子の表面の一部に対するポリマーを合成する。これによって、足場(例えば、凹部または凸部)を有する基材表面を形成することができる。
本開示において、基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程は、任意の工程によって実施することができ、例えば、可逆的連結基を開裂させて、本開示の粒子を除去することができる。
別の局面において、本開示は、分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程と、F)測定用に必要な物質を前記足場(例えば、凹部または凸部)に結合させる工程とを包含する。この方法は、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
別の局面において、本開示は、分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程と、F)測定用に必要な物質を前記足場(例えば、凹部または凸部)に結合させる工程とを包含する。この方法は、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
一つの実施形態では、工程Eにおいて、該基材から該粒子が解離する条件は、可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件である。
別の実施形態では、本開示の方法は、工程Eの後に、足場(例えば、凹部または凸部)
内の前記可逆的結合基を、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基に変換する工程を含む。
一つの実施形態では、測定用に必要な物質を前記足場(例えば、凹部または凸部)に結合させる工程は、任意の方法で実施することができ、例えば、還元により足場(例えば、凹部または凸部)内に生成させた開裂した可逆的連結基に対して、特異的結合性分子の結合用基またはシグナル物質の結合用基を修飾することにより実施することができる。
<分析用センサ作製用基材>
別の局面において、本開示は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程とを包含する方法で製造された分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
別の局面において、本開示は、A)本開示の粒子コアおよび分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、E)該基材から該粒子が解離する条件に供することにより足場(例えば、凹部または凸部)を形成する工程とを包含する方法で製造された分析用センサ作製用基材を提供する。この基材は、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの実施形態において、本開示は、A)基材と、B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場(例えば、凹部または凸部)を有する、ポリマーマトリックスと、C)該足場(例えば、凹部または凸部)に配置された結合用基とを有する、分析用センサ作製用基材を提供する。
別の局面において、本開示は、A)基材と、B)必要に応じて、該基材上に配置されたポリマーマトリックスであって、該ポリマーマトリックスは対象分子に少なくとも一部適合する足場(例えば、凹部または凸部)を有する、ポリマーマトリックスと、C)必要に応じて、該足場(例えば、凹部または凸部)に配置されたシグナル物質の結合用基またはシグナル物質と、D)検出対象となる分子に結合する特異的結合性分子の結合用基とを有する、分析用センサを提供する。このセンサは、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
一つの実施形態では、本開示において使用されるポリマーマトリックスの清浄度が95%以上(フッ酸では達成できない程度)であることが好ましい。フッ酸でのシリカ粒子除去が不十分である場合には、基材表面の元素分析(EDX)を行うことで洗浄度が不十分であることの評価ができる。あるいは、さらに好ましくは清浄度に加え、足場(例えば、凹部または凸部)の機能化の歩留まりで製造法による区別ができる場合がある。洗浄度の好ましい数値としては、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上などを挙げることができる。
1つの実施形態において、本開示は、本開示の基材中の該足場(例えば、凹部または凸部)の規格値が80%以上を有する測定基材を提供する。本明細書において、上記「規格値」は、基材上に固定された鋳型粒子数を母数として、鋳型粒子除去後に蛍光分子(または蛍光分子修飾されたアビジン)の導入された足場(例えば、凹部または凸部)の数の割合をいう。規格値の好ましい数値としては、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上などを挙げることができる。
1つの実施形態において、本開示は、基材上に、修飾物質に由来する置換基)が結合されている測定基材を提供する。1つの実施形態において、修飾物質に由来する置換基が、(アミノ基(1~4級、脂肪族、芳香族、ピリジン、ヒドラジド、グアニジン、アミジン)、酸性基(カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基)、配位結合性基(NTA基、His-tag等)、カルボニル基(アルデヒド基、ケトン基)、ボロニル基、cis-ジオール基(含カテコール、糖鎖構造)、チオール基、ビオチン基、デスチオビオチン基、ペプチドリガンド(グルタチオン基、RGD基)、可逆結合基(ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ボロン酸環状エステル)、化学的に比較的簡単に切断可能な共有結合(カルボン酸エステル、カルボン酸チオエステル、シリル基)である測定基材を提供する。
<E)ダイレクト型基材>
別の局面において、本開示は、ダイレクト型分析用センサ製造用基材を提供する。このダイレクト型分析用センサ製造用基材は、A)基材と、B)本開示の粒子とC)該基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスとを含む。このダイレクト型基材は、驚くべきことにそのままセンサとして用いることができる。また、この基材は、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの局面において、本開示は、ダイレクト型分析用センサを提供する。このダイレクト型分析用センサは、A)基材と、B)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子と、C)必要に応じて、該基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスと、D)必要に応じて、最表層に、ブロッキング剤と、E)必要に応じて、該粒子上に測定用に必要な物質とを含む。このセンサは、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの局面において、本開示は、ダイレクト型分析用センサを提供する。このダイレクト型分析用センサは、A)基材と、B)本開示の粒子コアおよび分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子と、C)必要に応じて、該基材に配置され、該粒子が配置されているポリマーマトリックスと、D)必要に応じて、最表層に、ブロッキング剤と、E)必要に応じて、該粒子上に測定用に必要な物質とを含む。このセンサは、本開示における他の個所、例えば<修飾物質一体化粒子>、<分析用センサ作製用基材用粒子製造>、<分析用センサ作製用基材および分析用センサ製造>などの項に記載される任意の実施形態を採用することができることが理解される。
1つの実施形態において、ブロッキング剤は、BSA(ウシ血清アルブミン)といったタンパク質およびProtein Free Blocking BufferといったNon-Proteinであってもよく、好ましくは、Protein Free Blocking Bufferであってもよい。
1つの実施形態において、測定用に必要な物質は、特異的結合性分子の結合用基、シグナル物質の結合用基またはシグナル物質を有する物質である。1つの実施形態において、特異的結合性分子の結合用基は、アミノ基、カルボキシル基、糖基(cisジオール基)、ボロニル基、チオ―ル基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、またはヒドロキシル基であっもよく、好ましくは、糖基(cisジオール基)またはチオ―ル基であってもよい。1つの実施形態において、シグナル物質の結合用基は、アミノ基、カルボキシル基、糖基(cisジオール基)、ボロニル基、チオ―ル基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、またはヒドロキシル基であり、好ましくは、糖基(cisジオール基)またはチオ―ル基であってもよい。1つの実施形態において、シグナル物質は、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素であり、好ましくは、蛍光分子であってもよい。
1つの実施形態において、本開示は、ダイレクト型分析用センサ作製用基材を製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程とを包含する。
1つの実施形態において、本開示は、ダイレクト型分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび該粒子コアを損傷しない条件で分離可能な分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、F)必要に応じて測定用に必要な物質を該粒子に結合させる工程とを包含する。
1つの実施形態において、本開示は、ダイレクト型分析用センサを製造するための方法を提供する。この方法は、A)本開示の粒子コアおよび分子間の化学結合で該粒子コアと一体化している修飾物質を含む粒子を提供する工程と、B)該粒子を基材に配置する工程と、C)必要に応じて、該粒子が固定された該基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程と、D)必要に応じて、該ポリマーマトリックスが重合する条件に該基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程と、F)必要に応じて測定用に必要な物質を該粒子に結合させる工程とを包含する。
(作り方)
分析用センサを製造するための工程は、以下のように実施することができる。粒子コアの分散液、および修飾物質を混合し、撹拌し、反応後、、本開示の粒子を精製する。本開示の粒子を溶液中に分散し、基材上に滴下して、静置することにより配置する。重合性モノマーを加え、修飾物質由来の重合性官能基および重合性モノマーを基質として提供する。重合開始性基を重合性開始剤として用い、本開示の粒子の表面の一部に対するポリマーを合成する。これによって、足場(例えば、凹部または凸部)を有する基材表面を形成する。可逆的連結基を開裂させて、本開示の粒子を除去する。足場(例えば、凹部または凸部)内に生成させた開裂した可逆的連結基に対して、特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基を修飾する。
(用途)
本発明の分析用センサは、検出対象のセンシングに用いられる。より具体的な用途としては、特異的結合性基の種類に応じて決定されるが、例えば、腎機能、肝機能、炎症の有無又は程度;腫瘍の有無又は程度等に基づく診断目的又は治療モニタリング等の目的で用いることができる。本発明の技術は、分子インプリンティングを用いた空孔形成を基盤技術としたすべてのセンシングチップ作製に適用可能で、センシングサチップの大量生産には必要不可決となる。
本開示の分析用センサは、以下の用途で用いることができる。
測定対象のin vivo/in vitroイメージングや、治療への応用
人体または環境中のウイルスセンサおよび
食品、農作物、家畜等の分析
に利用することができる。
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本開示に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本実施例では、本開示の化合物の製造、用途に関する実施例を説明する。
なお、細胞の顕微鏡観察にはCKX31 (OLYMPUS, Tokyo, Japan)、遠心分離器にはKUBOTA2 800 (KUBOTA, Tokyo, Japan)、インキュベーターにはCO2 WATER JACKETED INCUBATOR (Thermo Fisher Scientific Inc, Massachusetts, USA)、オートクレーブにはKS-243 (TOMY SEIKO Co,Ltd., Tokyo, Japan)、クリーンベンチにはバイオクリーンベンチ(ORIENTAL GIKEN INC, Tokyo, Japan)をそれぞれ使用した。エクソソーム濃度測定にはqNano Gold (Izon Science Ltd., Christchurch, New Zealand)を使用した。また、金基材のUVオゾン処理にはUV Ozone Cleaner (BioForce Nanosciences, Inc.)、蛍光測定にはSIC自動分注装置(SYSTEM INSTRUMENTS Co.,Ltd., Tokyo, Japan) つき蛍光顕微鏡(Olympus Corporation, Tokyo, Japan) および分光学ソフトウェアとしてAndor SOLIS (Andor Technology Ltd, Belfast, Northern Ireland)を用いた。
また、MALDI-TOF-MS にはMALDI-TOF/MS (MALDI-7090、島津製作所)を、解析ソフトは(MALDI Solutions、島津製作所)、キャリブレーションはprotein calibration standard I (ブルカー)を用いた。マトリックスにはシナピン酸を用いた。CD スペクトルにはJ- 725 型円二色性分散計(日本分光, Tokyo, Japan) を用いた。Buffer調製のために卓上pH メーターF-52(HORIBA, Kyoto, JAPAN)によりpH を測定した。蛍光スペクトル測定は、日立ハイテクノロジー製の蛍光分光光度計(Fluorescence spectrophotometer)F-2500 (Tokyo,Japan)を使用して行った。限外濾過に使用した限外濾過膜はアミコンウルトラ-4(10kDa)を使用した。吸収スペクトル測定にはThermo ScientificTM Nano drop TM One 超微量紫外可視分光光度計(Thermo Fisher)を用いた。作製した粒子の平均粒子径および多分散指数(PDI)はZETASIZER NANO-ZS MAL500735 (Malvern, UK)にて動的光散乱法(Dynamic Light Scattering, DLS)により測定し、解析ソフトとしてZetasizer software を用いた。TEM解析には透過型電子顕微鏡(JEM-1230、日本電子製) を用いた。
(実施例1:修飾物質の合成)
1-1.実験操作
1-1-1.ポリマーの合成
1-1-1.ポリマーE2の合成
表1―1に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマー(E2-0)を得た。(収量:100 mg)
得られたポリマーの100 mgをジクロロメタン/ジオキサン=1/1 (v/v)溶液(10 mL)に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル92 mg (0.5 mmol)、トリエチルアミン (TEA) 140 μL (1.0 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶媒をエバポレーターで減圧留去し、残渣に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでポリマーE2を得た。(収量:101 mg)
得られたポリマーE2についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-1)
1-1-2. ポリマーE3の合成
表1―2に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:105 mg)
このポリマーをジクロロメタン(10 mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル110 mg (0.6 mmol)、トリエチルアミン(TEA) 140 μL (1.0 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでポリマーE3を得た。(収量:115 mg)得られたポリマーをジクロロメタン(6 mL)中に分散させ、そこにジオキサン中4 N HCl 1.0 mLを添加し氷冷下で2時間撹拌した。その後室温でさらに一晩撹拌した。反応後溶液にヘキサンを添加し生じた沈殿を回収した。回収した沈殿に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加し、沈殿を洗浄した。回収した沈殿を真空乾燥させた。(収量:105 mg)
得られたポリマーE4についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-2)
1-1-3. ポリマーE4の合成
表1-3に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:70 mg)
得られたポリマーをジクロロメタン(10 mL)中に分散させ、そこにジオキサン中4 N HCl 1.0 mLを添加し氷冷下で2時間撹拌した。その後室温でさらに一晩撹拌した。反応後溶液にヘキサンを添加し生じた沈殿を回収した。回収した沈殿に少量のジクロロメタンを添加し、さらに過剰量のヘキサンを添加し、沈殿を洗浄した。回収した沈殿を真空乾燥させた。その後、このポリマーをジクロロメタン(10 mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル73 mg (0.4 mmol)、トリエチルアミン(TEA) 84 μL (0.6 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでE4を得た。(収量:62 mg)
得られたE4についてはH-NMR(in DMSO-d6)(AVANCE-500, Bruker)から組成を推定した。(図1-3)
1.1.3. ポリマーF1の合成
表1-4に示したレシピの試薬をDMF(2 mL)に溶解させ脱気アルゴン置換を行った後、オイルバス(75 ℃)中にて24時間重合反応を行った。反応後の溶液を冷却し、空気に触れさせることで反応を停止させた後、反応溶液をジエチルエーテル中に滴下させることで沈殿を生じさせ、この沈殿を回収した。この操作を2回繰り返した。回収した沈殿を真空乾燥させることでポリマーを得た。(収量:105.7mg)
得られたポリマーをジクロロメタン(5 mL)中に分散させ、そこにメタクリル酸 N-スクシンイミジル34.1 mg (0.19 mmol)、トリエチルアミン(TEA) 38.9 μL (0.28 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。反応後の溶液に過剰量のヘキサンを添加することで生じた沈殿を回収した(この操作を2回行った。)。得られた沈殿を真空乾燥させることでF1を得た。(収量:19.1mg)
ポリマー(AN1)の合成
Boc-cystamine metacrylamide 64 mg、t-butyl acrylate 29μL、NIPAm 68 mg をDMF 1.8 mLに溶解させ、最後にRAFT剤(2-Cyano-2-[(dodecylsulfanylthiocarbonyl)sulfanyl]propane)8.6mg、開始剤(AIBN)2.1mgが溶解したDMF 0.2 mLを添加し、脱気アルゴン置換を行って溶存酸素を取り除いた。この後75 ℃に設定したオイルバス中で重合反応を行った(24 h)。反応後、反応液を過剰量のジエチルエーテル中に滴下し、沈殿を回収した。(収量:51 mg)
得られたポリマーをジクロロメタン(5 mL)に溶解させ氷冷下で撹拌した。そこにトリフルオロ酢酸1.5 mLを添加し遮光下で一晩撹拌させた。反応後、ジエチルエーテルを添加し生じた沈殿を回収し、得られた沈殿をジエチルエーテルで洗浄した。(収量: 22 mg)
得られたポリマーをジクロロメタンに分散させそこにN-succucinimydyl methacrylate 15 mg (0.08 mmol)、トリエチルアミン 17 μL (0.12 mmol)を加え、一晩室温撹拌させた。反応液にジエチルエーテルを添加し、生じた沈殿を回収した。この沈殿を少量のジクロロメタンに溶解させ、そこに過剰量のヘキサンを添加することで沈殿させた。この操作を2回繰り返し、真空乾燥させることで目的のポリマー(AN1)を得た。(収量: 16 mg)
(実施例1-2:粒子へのポリマーの結合(非共有結合))
1-2-1. E3コンジュゲートシリカNPの合成
シリカナノ粒子分散液(2.0×1012 個/mL) 100 μL、ポリマーE3水溶液(2.0 mg/mL) 500 μL、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)水溶液(12.5 mM) 400 μLを混合しサーモシェーカーで25℃、1000 rpmで12時間撹拌した。反応後、遠心分離(25 ℃, 10,000 g, 15 min)×5にて溶液中の反応物を除去した。各上澄み液はUV-vis測定(NanoDrop)で確認した。
同様の手順に従い、ポリマーE2、ポリマーE4をシリカ粒子と一体化させた。
1-2-2.結果
1-2-2-1. DLSおよびZ電位測定
シリカナノ粒子分散液(2.0×1012 個/mL) 20 μL、各種カチオン性ポリマー水溶液(2.0 mg/mL) 100 μL、純水 80 μLを混合しvortexでよく撹拌した。この溶液を純水で100倍に希釈し、DLSおよびZ-電位測定サンプルとした。測定機器にはZetasizer pro (Marvern Panalytical, UK)を用いた。
DLSによる粒径測定の結果(図1-4および表1-5)とZ-電位測定の結果(図1-5及び表1-5)から作製したカチオン性ポリマーはシリカナノ粒子状に吸着しその表面特性を負に帯電している状態から正に帯電している状態へ変化させることができることが示された。またこのシリカナノ粒子にポリマーを吸着させる前後で粒径の大きな変化は観察されなかったことから、ポリマー吸着後もシリカナノ粒子は単分散性を維持していることが示された。
1-1. ポリマー(E101)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)を得る。
1-2. ポリマー(E101)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E101)水溶液(2 mg/mL)と表面に塩基性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
2-1. ポリマー(E102)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E102)を得る。
2-2. ポリマー(E102)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E102)水溶液(2 mg/mL)と表面にベンゼン環等疎水性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールのみ、またはウンデカンチオールとの混合SAMで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
3-1. ポリマー(E103)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E103)を得る。
3-2. ポリマー(E103)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E103)水溶液(2 mg/mL)と表面にベンゼン環やアルキル鎖など疎水性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールのみ、またはウンデカンチオールとの混合SAMで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
4-1. ポリマー(E104)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E104)を得る。
4-2. ポリマー(E104)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E104)水溶液(2 mg/mL)と表面にHis-tag等配位結合可能な基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M NHSが溶解したCHClに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をCHClで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E104)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
5-1. ポリマー(E105)合成

ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)-NHS(E112)を得る。
前項で作製したポリマー10 mg、TEA 28 μLをDMF(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここに合成ペプチド(N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したもの。) 3 mg を加え更に一晩撹拌する。反応後少量のCHClを添加し、その後過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせる。沈殿を回収し、そこに少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させ、ポリマー(E105)を得る。
5-2. ポリマー(E105)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E105)水溶液(2 mg/mL)と表面にNTA基など配位結合可能な基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を1 mM N-[5-(4-Isothiocyanatobenzyl)amido-1-carboxypentyl]iminodiacetic acidが溶解したDMSOに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をDMSO、EtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E105)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
6-1. ポリマー(E106)合成
ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E101)-NHS(E112)を得る。
前項で作製したポリマー10 mgを50 mM 炭酸緩衝液(pH 8.5)(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここにAvidin 3 mgを加え更に一晩撹拌する。反応液を100 kDa対応の透析膜に入れリン酸緩衝液(pH 7.4)中で透析を行う。透析後、限外ろ過で濃縮を行い目的とするポリマー(E106)の溶液を得る。
6-2. ポリマー(E106)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E106)水溶液(2 mg/mL)と表面にビオチンまたはその誘導体を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をリン酸緩衝液で適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 Mビオチンが溶解したDMSOに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をDMSO、EtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E105)-粒子コア混合溶液40 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をリン酸緩衝液で洗浄し、粒子固定化基板を得る。
7-1. ポリマー(E107)合成

ポリマーレシピ:

上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E107)を得る。
7-2. ポリマー(E107)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E107)水溶液(2 mg/mL)と表面にAvidinを修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をPBSで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M NHSが溶解したCHClに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をCHClで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上に1 mg/mLのAvidin溶液を滴下し、1時間静置する。反応後リン酸緩衝液で基板を洗浄する。この基板上にポリマー(E107)-粒子コア混合溶液を滴下し、1時間静置する。その後基板をリン酸緩衝液で洗浄し、粒子固定化基板を得る。
8-1. ポリマー(E108)合成

ポリマー(E3) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、3-mercaptopropionic acid 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E108)を得る。
8-2. ポリマー(E106)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E108)水溶液(2 mg/mL)と表面にマレイミド基、ピリジルジスルフィド基等チオール反応活性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 3-maleimidopropionic acid または3-(2-pyridyldithio)propionic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E108)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
9-1. ポリマー(E109)合成

ポリマー(E3) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、3-maleimidopropionic acid 34 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E108)を得る。
9-2. ポリマー(E109)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E109)水溶液(2 mg/mL)と表面にチオール基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 3-mercaptopropionic acid が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E109)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
10-1. ポリマー(E110)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E110)を得る。
10-2. ポリマー(E110)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E110)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上にポリマー(E110)-粒子コア混合溶液を滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
11-1. ポリマー(E111)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
得られたポリマーをCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4 N HCl in dioxaneを1 mL添加しさらに一晩撹拌する。反応液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿に少量のCHClを加え、さらに過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を洗浄し、その後真空乾燥させ、ポリマー(E111)を得る。
11-2. ポリマー(E111)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E111)水溶液(2 mg/mL)と表面にアルデヒド基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上を0.1 M EDC、0.05 M 4-formylbenzoic acid が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E111)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
12-1. ポリマー(E112)合成

ポリマー(E101) 100 mg、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E112)を得る。
12-2. ポリマー(E112)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E112)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液一晩静置した後DMFで80倍に希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールと1-Decanaminium, 10-mercapto-N,N,N-trimethyl-, chlorideで修飾された金基板上にポリマー(E112)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
13-1. ポリマー(E113)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E113)を得る。
13-2. ポリマー(E111)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E113)水溶液(2 mg/mL)と表面にフェニルボロン酸基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板を0.1 M EDC、0.05 M 4-carboxyphenylboronic acid (または3-fluoro-4-carboxyphneyl boronic acid)が溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E113)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
14-1. ポリマー(E114)合成


ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E114)を得る。
14-2. ポリマー(E114)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E114)水溶液(2 mg/mL)と表面にcis-ジオール構造を有する基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をTEA、α-D-マンノピラノシルフェニルイソチオシアネートが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E114)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
15-1. ポリマー(E115)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E115)を得る。
15-2. ポリマー(E115)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E114)水溶液(2 mg/mL)と表面にアミノ基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、3-(2-pyridyldithio)propionic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E115)-粒子コア混合溶液4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
16-1. ポリマー(E116)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 27 mg (0.15 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E116)を得る。
16-2. ポリマー(E116)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E116)水溶液(2 mg/mL)と表面にアルキン基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。そこに硫酸銅、アスコルビン酸ナトリウムを加え1時間撹拌する。反応後、遠心分離で溶液を純水に置換する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、4-(3-Butyn-1-yldithio)butanoic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E116)-粒子コア混合溶液(硫酸銅およびアスコルビン酸含有) 4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
17-1. ポリマー(E116)合成


ポリマー(E112)、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにプロパルギルアミン11 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E117)を得る。
17-2. ポリマー(E117)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E117)水溶液(2 mg/mL)と表面にアジド基を修飾した粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。そこに硫酸銅、アスコルビン酸ナトリウムを加え1時間撹拌する。反応後、遠心分離で溶液を純水に置換する。この溶液をDMFで適宜希釈する。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとアミノ-EG6ウンデカンチオール塩酸塩で修飾された金基板をEDC、3-[(2-Azidoethyl)dithio]propanoic acidが溶解したDMFに浸漬させ1時間静置する。反応後の基板をEtOHで洗浄し、窒素ブローで乾燥させる。この基板上にポリマー(E117)-粒子コア混合溶液(硫酸銅およびアスコルビン酸含有) 4 μLを滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
18-1. ポリマー(E201)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-(2-Aminoethyl)methacrylamide 25 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E201)を得る。
18-2. ポリマー(E201)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E201)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
19-1. ポリマー(E202)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー10 mg、TEA 28 μLをDMF(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここに合成ペプチド(N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したもの。) 3 mg を加え更に一晩撹拌する。反応後少量のCHClを添加し、その後過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせる。沈殿を回収し、そこに少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマーをMeOHに溶解させ、そこにNi錯体化したL-Lysine, N2,N2-bis(carboxymethyl)-N6-(2-methyl-1-oxo-2-propen-1-yl)-を加え撹拌する。CHClを添加し析出した沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E202)を得る。
19-2. ポリマー(E202)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E202)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
20-1. ポリマー(E203)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4-Methacryloyloxybenzoic acid 40 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E203)を得る。
20-2. ポリマー(E203)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E203)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
21-1. ポリマー(E204)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4-(2-Methacrylamidoethylcarbamoyl)-3-fluorophenylboronic acid 59 mg (0.2 mmol)を添加し一晩(14 h)撹拌させる。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E204)を得る。
21-2. ポリマー(E204)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E204)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
22-1. ポリマー(E205)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 40 mg (0.2 mmol)、NHS 22 mg (0.2 mmol)を加え更に一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー10 mgを50 mM 炭酸緩衝液(pH 8.5)(1 mL)に溶解させ撹拌する。ここにAvidin 3 mgを加え更に一晩撹拌する。反応液を100 kDa対応の透析膜に入れリン酸緩衝液(pH 7.4)中で透析を行う。透析後、限外ろ過で濃縮を行う。その後、biotin monomer ((3aS,4S,6aR)-Hexahydro-2-oxo-N-[3-[(1-oxo-2-propen-1-yl)amino]propyl]-1H-thieno[3,4-d]imidazole-4-pentanamide)を結合させることで目的とするポリマー(E205)を得る。
22-2. ポリマー(E205)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E205)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
23-1. ポリマー(E206)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 38 mg (0.2 mmol)、4-[4-[1-(Methacryloyloxy)ethyl]-2-methoxy-5-nitrophenoxy]butanoic acid 73 mg (0.2 mmol)を添加し一晩遮光下で撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E206)を得る。
23-2. ポリマー(E206)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E206)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、遮光下で1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
24-1. ポリマー(E207)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
前項で作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにEDC 38 mg (0.2 mmol)、化合物A (下図参照) 92 mg (0.2 mmol)を添加し一晩遮光下で撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、ポリマー(E207)を得る。
24-2. ポリマー(E207)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E207)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、遮光下で1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
25-1. ポリマー(E301-E312)合成

ポリマーレシピ:
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行う。(20 h)。重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収する。残渣に少量のCHClを添加し、更に過剰量のn-hexaneを加え沈殿を洗浄した後、真空乾燥させる。
作製したポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこにN-succinimidyl methacrylate 36 mg (0.2 mmol)を添加し一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させる。
ポリマーをCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに4 N HCl in dioxaneを1 mL添加しさらに一晩撹拌する。反応液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿に少量のCH2Cl2を加え、さらに過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を洗浄し、その後真空乾燥させる。
ポリマー、TEA 140 μL (1.0 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌する。そこに右の表の化合物のいずれか0.25 mmol、*EDC 20 mg (0.1 mmol)を加え一晩撹拌する。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収する。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ、目的のポリマー(E301-E312)を得る。
*E304-E309, E311-E312合成時に使用
(実施例1-3:粒子へのポリマーの結合)
ポリマー(E2-0)-シリカナノ粒子複合体(RM)の合成

純水(500 μL)中にシリカナノ粒子(200 nm, 末端COOH) 4.0×1011 particles/mL、E2-0 2.0 mg/mL、DMT-MM 10 mMとなるように混合し、サーモシェーカーで25 ℃、1,000 rpm、15時間振盪した。反応後、純水500 μLを加え、遠心分離(25℃、1,000 rpm、15 min)で粒子を沈殿させ、上澄み900 μLを除去した。この操作を計5回行い、粒子の精製を行った。得られた粒子の粒径、表面電荷についてDLS測定を行った結果を図1-6に示す。
平均粒径(Z-Average)は232 nm (pdi:0.022)、表面電荷(Z-potential)は+55.3 mVであったことから、粒子の単分散性を維持しつつ、表面電荷が大きく正に変化したことからポリマーが修飾されたことを確認した。
25-2. ポリマー(E301)-粒子コア複合体形成と基板上への固定化
ポリマー(E301)水溶液(2 mg/mL)と表面に酸性性基を有する粒子コア分散液を1/1, v/vで混合する。この溶液をDMFで80倍に希釈する。この溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置する。その後基板をEtOHで洗浄し、粒子固定化基板を得る。
(実施例2:測定基材の作製)
2-1.実験
2-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
2-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE2(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表2-1に示した個数になるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表2-1に示す。
2-1-3. 粒子固定化基材上でのシリカナノ粒子インプリントポリマーの合成
表2-2に示す組成にてプレポリマー溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて25℃で18時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
前述の基材を100 mM トリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩溶液(メタノール:純水=1:1)に浸漬し、超音波処理を5min行うことでシリカナノ粒子を除去し、ポリマー薄膜表層に空孔を形成させた。
2-2.結果
2-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図2に示す。いずれの条件でも基材上にシリカナノ粒子由来の蛍光を確認できたことから、基材上にシリカナノ粒子(ポリマー複合体)が固定化されていることを確認できた。
また60倍対物レンズでの蛍光観察とハイブリッドセルカウントを用いて解析を行った結果を図3に示す。図3より、滴下個数の増大と共に基材上のシリカナノ粒子個数が増加する傾向にあることが分かった。また画像から明らかに単分散であると判断できる図2のNo.4・No.5において、輝点の面積が2μmを上回るものはほとんど存在しなかったため、これを超える輝点面積を有するものは凝集体であると判断できる。この数値を境界値とすることで、境界値2μmを超える輝点が発生するNo.4(3×10個/4μL)以上で凝集が発生し、No.5(1×10個/4μL)以下では凝集が発生していないということを数値で客観的に表現可能であり、また基材に滴下する個数によって基材上の粒子様態を制御可能であった。
(実施例3)アニオン性ポリマーとカチオン性シリカナノ粒子による粒子固定化基材の作製
アミンを導入したカチオン性のシリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とE2合成時におけるカチオン性モノマーN-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドの代わりに、アニオン性モノマーである2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アクリルアミドフェニルボロン酸、モノアクリロイルエチルホスフェート、2-(トリフルオロメチル)アクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸などの内のいずれかを共重合したアニオン性ポリマー(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させる。
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表2-2に示す個数をなるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置する。DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得る。
この粒子固定化基材を用いて作製したセンサーを、従前の方法により評価することで、アニオン性ポリマーとカチオン性シリカナノ粒子による粒子固定化基材によってもセンサーが作製可能なことを実証する。
(実施例4:B型肝炎模倣粒子のセンシング)
4.1.シスタミンと重合官能基とを静電的相互作用で吸着させたシリカ粒子の作製
ローダミン標識シリカナノ粒子(官能基なし・200 nm) 5 mg/mL、シスタミン塩酸塩500 μM、2-[2-N-(メタクリロイル)アミノエチルジチオ]エチルアミン(重合性官能基)500 μMになるように純水500 μLに加えた。その後、振とう(25 ℃,1400 rpm, 1 h)することでシスタミン、重合官能基を非共有結合的に吸着させたシリカ粒子を作製した。その後、遠心分離(4000 G,10 min)を1回行い上澄み400 μLを採取し、エタノール400 μLを加えることで分散媒をエタノールに置換した。
4-1-2.センサチップの作製
・SAMの作製
金スパッタガラス基材(9.8 mm×4.3mm)をEtOHで洗浄後UVオゾン処理(20 min)を行い、金基材表面の有機物を分解した。その後、1 mM 11-メルカプトウンデカン酸EtOH溶液に基材を浸漬させ静置(30℃,18 h)し、SAMを作製した。基材をEtOH、純水で洗浄、Nガンで乾燥後、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド塩酸塩(EDC) 0.2 M、N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS) 0.05M水溶液に浸漬させ静置(4℃, 30 min)し、冷水(4℃)で洗浄した。N ガンで乾燥後、N-(2-アミノエチル)-2-ブロモ-2-メチル-プロプロピオンアミド塩酸塩5 mM , β-アラニン5 mMを溶解したNaHCO 100mM溶液(pH 8.0)に浸漬して静置(r.t.,2 h)してSAMにブロモ基、カルボキシ基を導入した。
4-1-3.シリカ粒子の固定化
基材を純水で洗浄、Nガンで乾燥後、PCRチューブに入れ、50 μg/mLシスタミン吸着シリカ、20 mM 4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4- 4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)含有EtOH溶液270 μL加えて振とう(25℃,300 rpm,18 h)することでシリカ粒子を固定化した。
4-1-4.MPC薄膜の作製
表3-1のレシピに従い、表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)によって基材上にポリマー薄膜を合成した。グローブボックス内に各試薬と脱気したEtOH、純水を用意しL-アスコルビン酸以外をEtOHに溶解し、L-アスコルビン酸は純水に溶解し、重合溶液を調製した。基材は2 mLチューブに2枚ガラス面が向かい合うように入れた。重合は Ar雰囲気下で25℃、18時間、500 rpmで振とうしながら行った。
4-1-5.シリカ粒子の切り出し
重合後、基材を純水で洗浄、Nガンで乾燥し、2 mLチューブに純水1 mLとともに入れた。超音波洗浄(High, Level 4.5)を5 min×3回行うことでポリマー薄膜からシリカ粒子を切り出した。切り出し後の基材を10 mM トリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩(TCEP)水溶液に浸漬して還元(25℃,1 h,1000 rpm)した。100 μM Alexa Fluor(登録商標) 647 C マレイミドと100 μM N-[5-(3´-マレイミドプロピルアミド)-1-カルボキシペンチル]イミノ二酢酸, 二ナトリウム塩(マレイミド-C3-NTA) 20.5% DMSO含有リン酸緩衝液(PBS, 10 mMリン酸塩, 140 mM NaCl, pH7.4)溶液 33 μLを基材上に滴下し静置(r.t., 1 h)した。
純水で洗浄、Nガンで乾燥後、4 mM NiCl水溶液35 μLを基材上に滴下し静置(室温, 15min)した。純水で洗浄、Nガンで乾燥後、100 μM His-taggedプロテイン G PBS溶液を滴下して静置(r.t., 30 min)することでHis-taggedプロテイン Gを固定化した。純水で洗浄、Nガンで乾燥後、10 μg/mL Anti-HBs Pre-S1 antibodyのPBS溶液を滴下して静置(r.t., 30 min)することで基材に抗体を導入した。Anti-HBs Pre-S1はB型肝炎ウイルス表面抗原のPre-S1ドメインを認識するモノクローナル抗体である。Pre-S1ドメインは、B型肝炎ウイルスが肝細胞を認識する際に重要な役割を果たす。
4-1-6.B型肝炎ウイルス(HBV)のモデルであるバイオナノカプセルのセンシング
HBV模倣粒子PBS溶液の濃度は0.01、0.05、0.1、0.5、1、10、100 ng/mLとした。蛍光顕微鏡の測定条件は、フィルタは、励起波長604-644 nm, 蛍光波長672-712 nm、対物レンズは5倍、露光時間は0.1 sec、光量は25 %、光源は水銀ランプである。測定には抗体導入・未導入の基材を用いた。また、抗体導入基材に関しては事前に抗体を反応させ、膜上の抗原タンパク質をフリーの抗体であらかじめ中和したHBV模倣粒子を用いた測定も行った。フリーの抗体で中和したHBV模倣粒子は、2 μg/mLのHBV模倣粒子PBS(10 mM リン酸塩,140 mM NaCl,pH7.4)溶液100 μLと100 μg/mLのAnti-HBs Pre-S1 PBS(10 mM リン酸塩,140 mM NaCl, pH7.4)溶液を4℃で1 hインキュベートして、作製した。結果は図4にまとめた。
4-2.結果
4-2-1.エクソソームセンシング空孔の抗体を変えることでB型肝炎ウイルスが測定可能なことが示唆された。
(実施例5:SARS-CoV-2(COVID-19原因ウイルス)模倣粒子のセンシング)
Sタンパク質発現エクソソームは、SARS-CoV-2とサイズが同様であり、ウイルス活性をもたないことから、SARS-CoV-2ウイルスの模倣粒子として用い、SIC自動分注装置つき蛍光顕微鏡によりセンシングを行った。
5-1-1.センサチップの作製
・SAMの作製
金スパッタガラス基材(9.8 mm×4.3mm)をEtOHで洗浄後UVオゾン処理(20 min)を行い、金基材表面の有機物を分解した。その後、0.5 mM 11-メルカプトウンデカン酸、0.5 mM 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールEtOH溶液に基材を浸漬させ静置(30℃,18 h)し、自己組織化単分子膜(SAM)を作製した。基材をEtOH、純水で洗浄、Nガンで乾燥後、保存した。
5-1-2.シリカ粒子の固定化
固定化するシリカナノ粒子は、B型肝炎模倣粒子のセンシング基材と同じものを用いた。基材を純水で洗浄、Nガンで乾燥後、PCRチューブに入れ、50 μg/mLシスタミン吸着シリカ、20 mM DMT-MM含有EtOH溶液270 μL加えて振とう(25℃,300 rpm,18 h)することでシリカ粒子を固定化した。
5-1-3.MPC薄膜の作製
以下のレシピに従い、表面開始原子移動ラジカル重合(SI-ATRP)によって基材上にポリマー薄膜を合成した。グローブボックス内に各試薬と脱気したEtOH、純水を用意しL-アスコルビン酸以外をEtOHに溶解し、L-アスコルビン酸は純水に溶解し、重合溶液を調製した。基材は2 mLチューブに2枚ガラス面が向かい合うように入れた。重合は Ar雰囲気下で25℃、18時間、500 rpmで振とうしながら行った。
5-1-4.シリカ粒子の切り出し
重合後、基材を純水で洗浄、Nガンで乾燥し、2 mLチューブに純水1 mLとともに入れた。超音波洗浄(High, Level 4.5)を5 min×3回行うことでポリマー薄膜からシリカ粒子を切り出した。
5-1-5.蛍光分子および抗体の導入
切り出し後の基材を10 mM TCEP水溶液に浸漬して還元(25℃,1 h,1000 rpm)した。100 μM Alexa Fluor(登録商標) 647 C マレイミドおよび100 μM マレイミド-C3-NTA 20.5% DMSO含有PBS(10 mM リン酸,140 mM NaCl,pH7.4)溶液 33 μLを基材上に滴下し静置(r.t.,1 h)した。純水で洗浄、Nガンで乾燥後、4 mM NiCl水溶液35 μLを基材上に滴下し静置(r.t, 15min)した。フルボディ抗体導入基材については純水で洗浄、Nガンで乾燥後、10 μM His-taggedプロテイン G in PBS(10 mM リン酸,140 mM NaCl,pH7.4)溶液を滴下して静置(r.t.,30 min)することでHis-taggedプロテイン Gを固定化した。純水で洗浄、Nガンで乾燥後、0.3 μM 抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質モノクローナル抗体(ハカレル lot A-2-5A12) PBS(10 mM リン酸,140 mM NaCl,pH7.4)溶液を滴下して静置(r.t.,1 h)することで基材にフルボディ抗体を導入した。また、自作のナノボディ導入基材は、Ni錯体形成後、0.3 μM Covid VHH (H1-H4-Cmyc-His) PBS溶液を滴下して静置(r.t,30 min)することで基材にナノボディを導入した。
5-1-6.吸着実験
SIC自動分注装置つき蛍光顕微鏡を用いてSタンパク質発現エクソソーム捕捉実験を行った。実験に用いたSタンパク質発現エクソソームPBS(10 mM リン酸,140 mM NaCl,pH7.4)溶液の濃度は0、0.01、0.05、0.1、0.5、1、10、100 ng/mLとした。蛍光顕微鏡の測定条件は、フィルタはCy5(励起波長604-644 nm,蛍光波長672-712 nm)、対物レンズは5倍、露光時間は0.2 sec、光量は12 %、光源は水銀ランプである。基材中心部の範囲で測定 した。自動分注装置のシーケンスは、1.チップ取り付け、2.サンプル吸引(100 μL)、3.反応(1 min,25℃)、4.全吐出、5.10 mM PBS(140 mM NaCl,pH7.4)吸引 150μL、6.測定位置keep(以降 2→6 の繰り返し)である。
5-2.結果
5-2-1.測定の結果、ナノボディの方がフルボディの抗体を用いるより感度よくセンシングできることが分かった。(図5)
(実施例6:粒子へのポリマーの結合(共有結合)
6.1.シリカ粒子の修飾と重合
エタノール800μLにシリカ粒子(plane, red, 200nm,50mg/mL) 39.6μl(1.98mg)、純水60.4μl 、2M HCl 100μl、3-(トリエトキシシリル)プロピル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート) 20.6μlを添加した。ボルテックスにて混合後、転倒混和させ25℃、19h反応させた。反応後のシリカ粒子は純水で遠心洗浄後、エタノールに再分散させた。
このBr修飾シリカ粒子1mL(1.98mg/mL)を、表5-1の配合となるよう混合し、ATRPを25℃、16.5h行い、シリカ表面に一級アミンを含むMPCポリマーブラシを合成した。重合後のポリマーブラシ修飾シリカ粒子は、50%エタノール水溶液にて遠心洗浄を行った後、超音波にて分散させた。
洗浄後のポリマーブラシ修飾シリカ粒子を表5-2の配合となるよう混合し、25℃、1000rpm、1h反応させることでシリカ粒子表面のポリマーブラシにジスルフィド結合を介して重合官能基(メタクリロイル基)と反応性官能基(カルボキシル基)をそれぞれ導入した。反応後の重合性ポリマーブラシ修飾シリカ粒子は、50%エタノール水溶液にて遠心洗浄を行った。
6.2.基板への固定化
・金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールの1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。重合開始基を修飾した基板に、表5-3の配合となるよう混合したプレポリマー溶液を接触させてATRPを25℃、20h行い、金基板表面に一級アミンを含むMPCポリマーブラシを合成した。重合後の基板は、エタノールと純水で洗浄した。
粒子の固定化
重合性シリカ粒子分散液(3.3μg/mL)と縮合剤(5mM、DMT-MM)を50%エタノール水溶液にて混合し、基材に滴下した(25℃、1時間)。その後EtOH、純水の順で基材を洗浄し、ポリマーブラシ上のカルボキシル基と基板表面のアミノ基が共有結合した粒子固定化基材を得た。
6.3.粒子バリエーション
ポリマーブラシ修飾シリカ粒子分散液(1mg/mL、50%エタノール水溶液)に表5-4の試薬を配合し重合することで、シリカ粒子表面のポリマーブラシ末端のBr基をアジド(N)基に変換し、アジド化ポリマーブラシ修飾シリカ粒子を作製した。重合後は純水・メタノールを用いて遠心洗浄を行った。
続いてアジド化ポリマーブラシ修飾シリカ粒子(1 mg/mL、80μL)にメタノール80μLと3mM DBCO-amine溶液(DMSO、20μL)を添加し、25℃、1時間反応させることでアジド基をアミノ基に変換し、アミノ化ポリマーブラシ修飾シリカ粒子を作製した。反応後は50%エタノール水溶液を用いて遠心洗浄を行った。このアミノ化ポリマーブラシ修飾シリカ粒子を、縮合剤存在下で表面にカルボキシル基を有する基材と接触させることで、共有結合による粒子固定化基板を得ることができる。
(実施例7:ポリマー残留センサー)
7.蛍光性カチオンポリマーを用いた検討
7-1.実験
7-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O処理を15 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6 ウンデカンチオールを1:1で混合した1 mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOH、純水で基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
7-1-2.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーF1(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表6-1となるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
DMF、EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施し、ソフトウェア(ハイブリッドセルカウント)を用いた解析を行った。それぞれの測定条件を表6-1に示す。
7-1-3. 粒子固定化基材上でのシリカナノ粒子インプリントポリマーの合成
表6-2に示す組成にてプレポリマー溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて25℃で18時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
前述の基材をメタノール:純水=1:1の溶液に浸漬し、超音波処理を0.5 min行うことでシリカナノ粒子を除去し、ポリマー薄膜表層に空孔を形成させた。
7-1-4. ダイレクト型分析用センサ基材(ダイレクト型センシングチップ)の作製

7-1-3にて基材上にポリマー層を形成させた後、50 mM トリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩水溶液に浸漬させ、25℃、1h反応させることで粒子表面カチオンポリマーを還元してチオール基を生成した。
チオール基に対して、100μM ビオチン-PEG11-マレイミド溶液(10% DMSO含有10mM リン酸バッファー(pH 7.4))を滴下し、25℃、1時間反応させることでビオチンを修飾した。反応後の基材は純水で洗浄した。
ビオチンを修飾した基材に、1 μM ストレプトアビジン溶液(140 mM NaCl含有10mM リン酸バッファー(pH 7.4):PBS)を滴下し、25℃、1時間反応させることでストレプトアビジンを修飾した。反応後の基材はPBSで洗浄した。
ストレプトアビジンを修飾した基材に、0.1 μM Antibody- ビオチン コンジュゲート溶液(PBS)を滴下し、25℃、1時間反応させることで抗体とカチオンポリマー由来の蛍光分子を有する分析用センサ基材(ダイレクト型センシングチップ)を得た。反応後の基材はPBSで洗浄した。
7-1-5.分析用センサ基材(ダイレクト型センシングチップ)の評価
7-1-4で得られたセンシングチップを、深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
1. チップ取付
2. 150 μL PBSを吸引・吐出を10回繰り返して基材・チップ内部を洗浄
3. サンプル(PC3由来エクソソーム)吸引100μL
4. 反応1 min(25℃)
5. サンプルを吐出
6. 10 mM PBS(140 mM NaCl, pH7.4)吸引 150μL
7. 測定(対物レンズx5、cy3フィルタ、lamp強度12、露光時間 0.5 sec)
7-2.結果
7-2-1.粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマーF1の複合体について、Zeta Sizerによる粒径・表面Z電位測定を実施した結果を表.6-3に示す。複合体の形成前後において表面Z電位がネガティブからポジティブになっていることから、シリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマーF1が複合体を形成していることが確認でき、また粒径とPDIから粒子は凝集しておらず、分散性を損なっていないことが確認できた。
また蛍光顕微鏡での観察結果を図.6-1に示す。いずれのサンプルでもシリカナノ粒子由来の緑色蛍光と蛍光性カチオンポリマー由来の赤色蛍光が確認できたことから、シリカナノ粒子-蛍光性カチオンポリマー複合体が基材上に固定化されたことを確認できた。
7-2-2.シリカナノ粒子除去後の蛍光性カチオンポリマーF1確認
シリカナノ粒子-蛍光性カチオンポリマー複合体の固定化後の基材上へのポリマー層重合後の蛍光顕微鏡での観察結果と重合後のシリカナノ粒子除去後の蛍光顕微鏡での観察結果をそれぞれ図6-2と図6-3に示す。
図6-2より、重合後も基材上にシリカナノ粒子と蛍光性カチオンポリマー由来の蛍光を確認できていたが、シリカナノ粒子除去後の図6-3からはシリカナノ粒子由来の緑色蛍光が確認できなくなった一方で蛍光性カチオンポリマー由来の赤色蛍光が確認できた。このことから、実験操作によってシリカナノ粒子を除去した後も蛍光性カチオンポリマーが基材上に作製したポリマー層(シリカナノ粒子除去後の空孔内)に残存していることが確認できた。
7-2-3.ダイレクト型分析用センサ基材の評価
図6-4より、シリカナノ粒子由来の緑色蛍光とカチオンポリマー由来の赤色蛍光が確認できたことから、ダイレクト型センシングチップがこれらの要素を基材上に有することが確認できた。この基材を用いたエクソソームセンシング実験の結果を図.6-5に示す。この結果からエクソソーム添加による蛍光分子(ローダミンB)の増蛍光が確認され、ダイレクト型センシングチップがエクソソーム検出能を有することが確認できた。
(実施例8)
8.鋳型粒子固定化における非共有結合型と共有結合型の比較検討
8-1-1.金基材の表面修飾
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をEtOHでリンスした後、UV-O3処理を20 min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。
1 mM 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール溶液(EtOH)と1 mM Carboxy-EG6 ウンデカンチオール溶液(EtOH)を1:1で混合したEtOH溶液(終濃度はそれぞれ0.5 mM)を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOHで基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。
8-1-2.粒子固定化基材の作製
8-1-2-1.共有結合型粒子固定化基材の作製
E3 コンジュゲートシリカ NPシリカナノ粒子(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)をDMFにて希釈し、そこに5mMとなるようDMT-MMを添加した溶液を、基材面積に対して表7-1となるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施した。それぞれの測定条件を表7-1に示す。
8-2-2.非共有結合型粒子固定化基材の作製
シリカナノ粒子分散液(粒径200nm、粒子濃度:2.0×1011個/mL)とポリマーE2(1.0mg/mL)を前述の終濃度にて水中で混合し複合体を形成させた。
DMFにて上記の複合体溶液を希釈し、複合体を固定化する基材面積に対して表7-2に示した個数となるように滴下(4μL)し、25℃で1時間静置した。
EtOH、純水の順で基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施した。それぞれの測定条件を表.7-2に示す
8-1-3. 粒子固定化基材上でのシリカナノ粒子インプリントポリマーの合成
表.7-3に示す組成にて、プレポリマー溶液とアスコルビン酸溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて混合し、25℃で20時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
8-1-4.シリカ粒子の切り出し
前述の基材(共有結合型、非共有結合型)に30 mM ふっ化水素アンモニウム水溶液を滴下し、シリカナノ粒子を除去した。シリカ粒子除去後の基材を、50 mM トリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩)溶液(純水:メタノール=1:1)に浸漬させ、40℃、1h反応させることで、還元によりシリカ粒子除去後の空孔内にチオール基を生成させた。
シリカ除去後の基材の評価は蛍光顕微鏡(KEYENCE、BZ-800)にて実施した。それぞれの測定条件を表7-4,表7-5に示す。
8-1-5.空孔内の後修飾
還元により空孔内に生成させたチオール基に対して、100μM ビオチン-PEG11-マレイミド溶液(10% DMSO 含有10mMリン酸バッファー(pH 7.4))を滴下し、25℃、1時間反応させることでビオチンを修飾した。反応後の基材は純水で洗浄した。
ビオチンを修飾した基材に、1μM ストレプトアビジン溶液(140mM NaCl含有10mM リン酸バッファー(pH 7.4):PBS)を滴下し、25℃、1時間反応させることでストレプトアビジンを修飾した。反応後の基材はPBSで洗浄した。
ストレプトアビジンを修飾した基材に、0.1 μM mixed ビオチン溶液(PBS、Antibody-ビオチンコンジュゲート:Cy5-PEG-ビオチンコンジュゲート=1:1)を滴下し、25℃、1時間反応させることで抗体と蛍光分子を導入したセンシングチップを得た。反応後の基材はPBSで洗浄した。
8-1-6.センシングチップの評価
8-1-5で得られたセンシングチップを、深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
1. チップ取付
2. 150 μL PBSを吸引・吐出を10回繰り返して基材・チップ内部を洗浄
3. サンプル(PC3由来エクソソーム)吸引100μL
4. 反応1 min(25℃)
5. サンプルを吐出
6. 10 mM PBS(140 mM NaCl, pH7.4)吸引 150μL
7. 測定(対物レンズx5、cy5フィルタ、lamp強度12、露光時間 0.5 sec)
7-2.結果
8-2-1.粒子固定化基材の作製
蛍光顕微鏡での観察結果を図.7-1に示す。いずれの条件でも基材上にシリカナノ粒子由来の蛍光を確認できたことから、基材上にシリカナノ粒子が固定化されていることを確認できた。ふっ化水素アンモニウム処理後の蛍光顕微鏡での観察結果を図.7-2に示す。いずれの条件でも基材上にシリカナノ粒子由来の蛍光がほぼ確認できず、ふっ化水素アンモニウム処理にてシリカナノ粒子が除去されていることを確認できた。
ふっ化水素アンモニウム処理後のエリプソでの膜厚測定結果を図.7-3に示す。共有結合型については、形成される膜厚は1nm前後であった。非共有結合型については9-10nm前後と測定された。
8-2-3.空孔内の後修飾
還元により空孔内に生成させたチオール基に対して、100μMビオチン-PEG11-マレイミド溶液(10% DMSO 含有10mM リン酸バッファー(pH 7.4))を滴下し、25℃、1時間反応させることでbiotinを修飾した。反応後の基材は純水で洗浄した。
ビオチンを修飾した基材に、1 μM ストレプトアビジン溶液(140 mM NaCl含有10mM リン酸バッファー (pH 7.4):PBS)を滴下し、25℃、1時間反応させることでストレプトアビジンを修飾した。反応後の基材はPBSで洗浄した。
ストレプトアビジンを修飾した基材に、0.1μM mixed Biotin溶液(PBS、Antibody-ビオチンコンジュゲート:Cy5-PEG-ビオチンコンジュゲート=1 : 1 )を滴下し、25℃、1時間反応させることで抗体と蛍光分子を導入したセンシングチップを得た。反応後の基材はPBSで洗浄した。
8-2-4.センシングチップの評価
非共有結合型により作製した凹型センシングチップを用いてエクソソームの認識能評価を行った結果を以下に示す。この結果より、基材に1×10個/4μLの濃度で粒子固定化を実施したセンシングチップでエクソソーム認識による蛍光分子の蛍光強度変化が最も大きく、1×10個/4μL、1×10個/4μL、1×10個/4μL、1×10個/4μLの順で蛍光強度変化が大きくなった。
最も変化の小さい1×10個/4μLでは基材上の認識空孔が低密度であるために感度が低くなったと考えられ、また1×10個/4μL、1×10個/4μLでは蛍光バックグラウンドが高くなることで相対蛍光強度の変化が小さくなったと考えられる。
以上から、基材表面の認識空孔密度をコントロールすることで、エクソソーム認識能(検出感度)が向上させることができた。(図7-4)
(実施例9)
末端にピリジルジスルフィドが導入されたアミンポリマー(PD-NIPAM-Amine)を用いた蛍光導入
(実験操作)
(基板上にSAM形成)
0.5 mM 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール, 0.5 mM カルボキシ-EG6 ウンデカンチオール EtOH溶液に金基板を浸漬(30℃, 20 h)しSAMを形成した。
(粒子の調製)
COOH導入シリカ粒子(粒子コア、200 nm) 水懸濁液とまとわりつかせるポリマー
水溶液との終濃度が、それぞれ1.67 mg/mLと0.1 mg/mLになるように混合し、直ちにDMFで250倍希釈し、溶液を4μL基板に滴下(3.2×10 個/4 μL) (25℃, 1h) した。
(ポリマーマトリックス合成)
コアシェル粒子を固定化した基板をEtOHで洗浄後、原子移動ラジカル重合によって、以下の表の原料を用いて薄膜を形成(40℃, 18 h)した。
(粒子コアの除去)
エタノール、純水で洗浄後、酢酸とエタノールを1:1で混合した溶液に基板を浸漬させ、5分間超音波洗浄器(Bransonic)にかけた。
(共重合されたポリマーを除去)
100 mM TCEP水溶液とメタノールを1:1で混合した溶液に浸漬させサーモシェーカーで40℃, 1 h, 1000 rpmで撹拌した。
(ビオチンとPD-NIPAM-Amineの導入)
100 μM ビオチン-PEG11-マレイミドin PB (10% DMSO)と0.15 mg/mL PD-NIPAM-アミン水溶液を1:1で混合した溶液を基板に30 μL滴下した。(25℃, 1 h)
(PD-NIPAM-Amineへの蛍光分子(ATTO647)の導入)
100 μM ATTO 647 NHS in 0.1 M 重炭酸ナトリウムバッファー pH8.0 (10% DMSO)を基板に30 μL滴下(25℃, 1 h)した。
(ストレプトアビジンの導入)
0.1 μM ストレプトアビジン in PBSを30 μL滴下(25℃, 30 min)した。
(ビオチン化抗体(Anti CD9抗体)の導入)
0.1 μM ビオチン-PEG12-Anti CD9 in PBS (25℃, 30 min)を調製し、基板を前記PBS中で保管。SIC自動分注装置つき蛍光顕微鏡で以下の条件で蛍光測定を行った
蛍光顕微鏡
カメラ: Zyla4.2
フィルタ: Cy5
対物レンズ: ×5
露光時間: 0.5 sec
光量: 12%
光源: 水銀ランプ
自動分注装置のシークエンス
1.チップ取付
2.150 μL PBSを吸引して吐出を10回
3.サンプル(PC3由来エクソソーム)吸引100μL
4. 反応1 min(25℃)
5. 全吐出
6. 10 mM PBS(140 mM NaCl, pH7.4)吸引 150μL
7. 測定位置keep 3~7の繰り返し
(ビオチン-PEG12-Anti CD9とビオチン化 Rabbit IgGとの比較)
ビオチン-PEG12-Anti CD9とビオチン化 Rabbit IgGとを比較した結果を図8にまとめた。
(考察)
PC3由来のエクソソームの表面抗原CD9を認識する抗CD9抗体を導入した場合は、蛍光応答がエクソソーム濃度依存的に観察されたが、PC3由来のエクソソームの表面抗原を認識しないRabbit IgGを導入した場合には、エクソソーム濃度依存的な応答は見られなかった。これは、形成した分子インプリント足場(例えば、凹部または凸部)内に結合性分子とシグナル物質が配置され、結合性分子が選択的に標的を捕捉し、その捕捉挙動をシグナル物質が読み出していることを示している。
(実施例10:His-Tagポリマーとシリカナノ粒子の複合化)

上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加した。撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:70 ℃)で重合を行った(17 h)。(撹拌速度は300 rpm)
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させた。反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。沈殿をdiethyl etherで洗浄し真空乾燥させた。
得られたポリマー 5 mg、His-tag (N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。)4 mg、pyridyldithioethyl-PEG3-methacrylamide 3.5 mg、TEA 2.8 μLをDMF (0.3 mL)に溶解させ9時間撹拌した。反応液にCHCl、n-hexaneを加え生じた沈殿を回収し、真空乾燥させポリマー(E11His)を得た。
iii) E11His
2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとNTA-SAM formation regentで修飾された金基板上に、4mM NiCl水溶液を滴下し静置(室温,15min)後、基板を純水で洗浄した。シリカナノ粒子(200 nm, COOH末端)とE11His水溶液との混合溶液(シリカ濃度2.0×1011 particles/mL、ポリマー濃度 1 mg/mL)をDMFで4、400倍に希釈した。これらの溶液4 μLをNiClと反応後の金基板上に滴下し、1時間静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した。結果を図9に示す。
(実施例11:カチオンシリカナノ粒子+アニオンポリマーEx8)
1.アニオンポリマーEx8の合成方法

表Cのレシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させた(最終液量:1 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加し、撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:70 ℃)で重合を行った。(16 h)。
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させ、反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。回収した沈殿をdiethyl etherで洗浄した後、真空乾燥させポリマーを得た。
得られたポリマー、TEA 70 μL (0.5 mmol)をCHClに溶解させ、氷冷下で撹拌し、そこにN-succinimidyl methacrylate 54 mg (0.3 mmol)を添加し一晩撹拌した。その後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収した。この沈殿を少量のCHClに再溶解させ過剰量のn-hexaneを加えて沈殿を生じさせ、この沈殿を回収し、真空乾燥させ目的のポリマー(Ex8)を得た。
収量:120 mg
2.シリカナノ粒子とポリマーの複合
シリカ(Red-plane、200 nm、50 mg/mL) 1.98 mg (39.6μL)と純水 60.4μL (total 100 uL)を混合し、1.5 mLエッペンに入れておいたEtOH 800 uL中に添加後、さらに2M HCl 100 uL 、APTES 15 uL を入れ、25℃ サーモシェーカー 1000rpm 20hで反応させた。反応後、エタノールにて遠心洗浄(5000rpm 10 min×3)した。
作製したシリカナノ粒子分散液(NH末端, 200nm、4.0×1011particles/mL、50mM炭酸バッファー(pH8.0))20μLと、Ex8炭酸バッファー溶液(2 mg/mL) 20μLを混合し、25℃で15分静置した。
3.DLS測定
2の複合体を純水で100倍希釈し、DLSを用いて粒子径およびZ-potentialを測定した。
4.基板への固定化
2の複合体をDMFで80倍に希釈した。2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール:アミノ-EG6ウンデカンチオール(1:1vol)で修飾した金基板上に4μL滴下し、25℃で1h静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡およびSEMで表面を観察した(図10)。

DLSによる粒子径測定の結果と、Z-potential測定の結果から、アニオン性ポリマーがシリカナノ粒子に吸着し、表面が正に帯電している状態から負に帯電している状態へと変化したことが示唆された。また、粒子径に大きな変化がないことから、ポリマー吸着後も分散性を保っていることが示された。
(結果)
図10の観察結果より、シリカナノ粒子に由来する蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからアニオンポリマーEx8とカチオンシリカナノ粒子を複合しても、カチオンポリマーEx8とアニオンシリカナノ粒子の場合と同様、単分散で、凝集しておらず、単層に基板へ粒子を固定できることが示された。
(実施例12:カチオン性ナノ粒子+アニオンポリマー)

(使用したシリカナノ粒子)
・ E2-0 conju red-COOH silica (RM)200 nm
4.0x1011 個/ml
(ポリマー溶液)
・ポリマー終濃度 0.87 mg/mL (10mM PB, pH7.47)
(アニオンシリカ)
・シリカナノ粒子分散液とポリマーAN-1を混合し複合体を形成させた。(シリカ終濃度 1.0x1011個/ml、ポリマー終濃度 0.435 mg/mL (5mM PB))
DMFにて上記の複合体溶液を4,40,400,4000倍希釈し、複合体を固定化する基材に対して4μL滴下し、25℃で1時間静置した。エタノールで基材を洗浄し、粒子固定化基材を得た。
(ポリマーマトリックス合成)
ATRPによって薄膜を形成(25℃, 20 h)
(粒子コアの除去元)
50% 酢酸/MeOHを1.5mLチューブに300μL入れ、基板1枚ずつ浸漬させ、超音波処理を8分行った後、純水で洗浄した。
(S-S還元切断)
50 mMトリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩50% MeOH水溶液中に入れ40℃ 、1h反応させた。反応後の基材は純水で洗浄した。
(蛍光色素の導入)
50 μM Alexa647-C2-Maleimide 、50 μM Maleimido-C3-NTA (5% DMSO 10mM PB(7.4))溶液を基板に30 μL滴下し25℃、1h静置して反応後、純水で洗浄した。
深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
シーケンス
1. チップ取付/ PBS吸引(150μL)し、抗体固定化前の画像取得
2. Ni錯体形成
4 mM NiCl (水溶液)吸引100μL , 反応5 min(25℃)
Wash 純水 x4回 150 μLを吸引して吐出
3.His-taggedプロテインG固定化
1μM His-taggedプロテインG (PBS, abcam)吸引100μL , 反応10 min(25℃)
Wash
0.01% tween(登録商標)20 PBS x2回、 PBS x2回
150 μLを吸引して吐出
4. 抗体固定化
100 nM Anti-CD9 (市販品)(PBS)吸引100μL , 反応10 min(25℃)
Wash
0.01% tween(登録商標)20 PBS x2回、 PBS x2回
150 μLを吸引して吐出
5.バックグラウンド(F0: 0.1% BSA, 100mM PB(pH7.0), 0.15M NaCl) 5回測定
6. Exosome吸着
0,3,30,300,1000fMに調整したSKBR3培養上清エクソソーム(0.1% BSA, 100mM PB(pH7.0), 0.15M NaCl)
サンプル(SKBR3由来エクソソーム)吸引100μL、反応5 min(25℃)
画像取得
蛍光顕微鏡
カメラ: Zyla4.2
フィルタ: Cy5
(励起波長604-644 nm, 蛍光波長672-712 nm)
対物レンズ: ×5
露光時間: 0.5 sec
光量: 12%
光源: 水銀ランプ
0.01% tween(登録商標)20 PBS 150 μLを吸引して吐出
1~6繰り返し
(結果)
カチオン表面の基材にアニオンポリマー修飾シリカ粒子を用いて作製したセンシングチップについても、 10fMのSK-BR3細胞株由来のエクソソーム添加により、約5%の相対蛍光強度変化が確認できた。
(実施例13:生分解性ナノ粒子:ポリ乳酸/グリコール酸共重合体(PGLA))
(基板上にSAM形成)
0.5 mM 2-(2-bromoisobutyryloxy) undecyl thiol, 0.5 mM Carboxy-EG6 undecane thiol EtOH溶液に金基板を浸漬しSAMを形成する (30℃, 20 h)
(粒子の調製)
蛍光性カルボキシ化PGLA ナノ粒子(200 nm) 水懸濁液を超音波(Lv2)1min後、ナノ粒子とE2ポリマー水溶液の終濃度が2×1011 particles/mLと1 mg/mLになるように混合し、EtOHで80倍希釈した溶液4 μLを基板に滴下(1.0×10 particles/4 μL) (25℃, 1h) 静置後EtOHで3回洗浄した。
(SEM観察・蛍光観察)
E2ポリマー水溶液が1 mg/mLになるように混合した後、EtOHで希釈し4 μLを基板に滴下(1.0×10 particles/4 μL) (25℃, 1h) 静置後EtOHで3回洗浄。
EtOH中で基板上の蛍光観察を行った(キーエンスBZ-X800、励起波長470±20 nm/蛍光波長525±25 nm)。その後、真空乾燥して、金スパッタ後、走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察した。(図11)
(結果)
シリカナノ粒子やポリスチレンナノ粒子と遜色ない様態を示し、この方法が、あらゆるコア粒子に適用可能であることが分かった。
(実施例14:シリカナノ粒子+芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20)
1. E2P20合成方法

芳香族成分(フェニル基)を含むカチオンポリマーE2P20は、以下のように合成した。
上記レシピの化合物をシュレンクフラスコ(25 mL)に入れDMFに溶解させる(最終液量:2 mL)。RAFT剤および開始剤は最後に添加した。撹拌子を入れた後、脱気アルゴン置換し、オイルバス(設定温度:75 ℃)で重合を行った(24 h)。(撹拌速度は300 rpm)
重合後、シュレンクフラスコを氷冷、空気を入れることで反応を停止させた。反応溶液を多量のdiethyl etherに添加し、生じた沈殿を回収した。沈殿をdiethyl etherで洗浄し真空乾燥させた。
前項で作製したポリマー, TEA 42 μLをCHClに溶解(または分散)させ、撹拌した。そこにN-succinimidyl methacrylate 37 mg を添加し一晩撹拌した。反応後、反応溶液にn-hexaneを添加し生じた沈殿を回収した。沈殿にMeOH、CHCl、n-hexaneを加え生じた沈殿を回収し、真空乾燥させ目的のポリマー(E2P20)を得た。
収量:110 mg
2.シリカナノ粒子とポリマーの複合
シリカナノ粒子水分散液(COOH末端, 200nm, Lot.0921940-03、4.0×1011particles/mL) 40μLと 、
E2P20水溶液(2 mg/mL) 40μLを混合し、25℃で15分静置して、シリカナノ粒子とE2P20 の複合体を形成した。
3.DLS測定
シリカナノ粒子とE2P20 の複合体を純水で100倍希釈し、DLSを用いて粒子径およびZ-potentialを測定した。
4.基板への固定化
シリカナノ粒子とE2P20 の複合体をDMFで80倍に希釈し、 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール:カルボキシ-EG6ウンデカンチオール(1:1)で修飾した金基板上に4μL滴下し、25℃で1h静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡およびSEMで表面を観察した。
DLSによる粒子径測定の結果と、Z-potential測定の結果から、カチオン性ポリマーがシリカナノ粒子に吸着し、表面が負に帯電している状態から正に帯電している状態へと変化したことが示唆された。また、粒子径に大きな変化がないことから、ポリマー吸着後も分散性を保っていることが示された。
(結果)
図12-1に示す観察結果より、シリカナノ粒子に由来する蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからE2に芳香族成分(フェニル基)を導入したE2P20は、E2の場合と同様、シリカナノ粒子と複合化して基板上に固定化した際、単分散で、凝集しておらず、単層に基板へ固定できることが示された。
(実施例15:ポリスチレンナノ粒子+芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20)
実施例14におけるシリカナノ粒子の代わりにポリスチレンナノ粒子を用いて芳香族成分を含むカチオンポリマーE2P20を複合化した。

ポリスチレン(PS)ナノ粒子(250 nm, COOH末端, 2.0×1012 particles/mL) 20 μLとE2P20水溶液(2 mg/mL) 20 μLと混合し、この溶液をDMFで40、400、4000、40000倍に希釈した。これらの溶液4 μLを2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EGウンデカンチオールで修飾された金基板上に滴下し、1時間静置した。その後表面をEtOHで洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した。(図12-2)
(結果)
シリカナノ粒子の場合と同様、ポリスチレンナノ粒子をもちいても、滴下する粒子数に依らず、蛍光輝点が単分散で、凝集しておらず、単層に分布していることが観察された。このことからカチオンポリマーに芳香族成分を導入しても単分散で、凝集しておらず、単層に粒子を固定できることが示された。
(実施例16:負電荷コアコアを有する粒子の作製)


1.DEAED修飾シリカナノ粒子の作製
シリカナノ粒子(2.0×1011particles/mL)を超音波処理(High, Level4.5, 5min)し、Diethylaminoethyl-Dextran:DEAED(1.0 mg/mL)と前記濃度を終濃度として水中で混合した。これに超音波処理(High, Level4.5, 5min)を施し、静電相互作用により粒子最表面にDEAEDを修飾した。余分な遊離DEAEDは遠心分離(5000rpm , 5min)により除去した。
2.CMDの修飾
DEAED修飾シリカナノ粒子(2.0×1011particles/mL)を超音波処理(High, Level4.5, 5min)により分散させ、Carboxymethyl-Dextran:CMD(1.0 mg/mL)と前記濃度を終濃度として水中で混合した。これに超音波処理(High, Level4.5, 5min)を施し、静電相互作用により粒子最表面にCMDを修飾した。余分な遊離CMDは遠心分離(5000rpm , 5min)により除去した。
3.E2Bの修飾
CMD修飾粒子(2.0×1011particles/mL)を超音波処理(High, Level4.5, 5min)により分散させ、カチオンポリマー:E2(1.0 mg/mL)と前記濃度を終濃度として水中で混合した。これに超音波処理(High, Level4.5, 5min)を施し、静電相互作用により粒子最表面にE2を修飾した
→ 各ステップごとにDLS測定によって粒子径と表面Z電位を測定した。
DLS測定は各粒子濃度が10particles/mLオーダーになるように純水で希釈して測定した
(装置 : ゼータサイザーアドバンスUltra(Malvern社製))
(負電荷コアコアを有する粒子の評価)
DLSによる表面Z電位測定の結果を図13に示す、ポリマー修飾ステップごとに表面Z電位の正負が反転しており、コア粒子に電荷の異なるポリマーが複数堆積した粒子が得られていることが分かった。
(基板への固定化)
基板上へSAM形成
1 mM 2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオール溶液(EtOH)と1 mM Carboxy-EG6 ウンデカンチオール溶液(EtOH)を1:1で混合したEtOH溶液(終濃度はそれぞれ0.5 mM)を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOHで基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。粒子の固定化
複数ポリマーで被覆した粒子の原液(25mg/mL, 3×1012 particles/mL)をDMFで1×10 particles/4μLになるように希釈し、基板上に4μL滴下した。
25℃で1時間静置し、基板上に粒子を固定化した後、EtOHで基板を洗浄した。
(重合・コア粒子除去)
重合
表Gに示すレシピでプレポリマー溶液を作製し、脱気後にアルゴン雰囲気化で基板を入れたPCRチューブに分注し、25℃, 20h, 500rpmで重合を行った。
表Gポリマーマトリクスレシピ:

水洗
重合後、基板をシャーレに取り出し、過剰の純水を加えて一晩ゆっくりと撹拌して余分なMPCポリマーを除去した。
図14は固定化して重合後の蛍光顕微鏡画像を示す。
単一ポリマーを用いた場合と同様、凝集はなく、均一に固定化されて重合されていることが分かった。
コア粒子除去
基板を1.5mLエッペンチューブに入れ、洗浄液(1M NaCl in 50mM 炭酸バッファー(pH 9.0))を500μL分注し、80℃, 1h, 250rpmで穏やかに撹拌して粒子を除去した。その後、基板を純水で洗浄した。
重合後とコア粒子除去後の基板表面を蛍光顕微鏡(BZ-800)にて観察した。観察条件は対物レンズ倍率4倍、フィルタ:TRITC、露光時間1秒および対物レンズ倍率60倍、フィルタ:TRITC、露光時間0.02秒とした。
その結果、複数ポリマーで被覆した粒子でも凝集なく基板上に固定化されていること、また洗浄液によりコア粒子が基板上から除去されていることを確認した。(図15)
(実施例17:粒子除去後の空孔への蛍光分子と錯体形成部位の導入)
(カチオンポリマーE2の還元と洗浄)
コア粒子除去後の基板に0.5mM TCEP-HCl水溶液を30μL滴下し、25℃, 10min静置してジスルフィド結合を還元した。その後、基板を純水に浸漬しての洗浄を2回行った。
続いて還元後の基板を1.5mLエッペンチューブに入れ、洗浄液(1M NaCl in 50mM 炭酸バッファー(pH 9.0))を500μL分注し、80℃, 0.5h, 250rpmで穏やかに撹拌して基板上に残存するカチオンポリマーを除去した。その後、基板を純水で洗浄した。
(生成したチオール基への蛍光分子と錯体形成部位の導入)
基板に50 μM Alexa647-C2-Maleimide 、50 μM Maleimido-C3-NTA (5% DMSO 10mM PB(7.4))溶液を20μL滴下し、遮光下で25℃, 1h静置してチオール基とマレイミド基の反応により基板に蛍光分子と錯体形成部位を導入した。その後、基板をDMSOに浸漬しての洗浄を2回、純水に浸漬しての洗浄を2回行った。
(空孔内への抗体導入とエクソソーム検出)
(NTA-Ni錯体)
基板に4mM NiCl水溶液を20μL滴下し、遮光下で25℃, 15min静置してNTA-Ni錯体を形成させた。その後、基板を純水に浸漬しての洗浄を2回行った。
(His-taggedプロテインGの結合)
基板に1μM His-taggedプロテインG in 10mM PBS(pH 7.4)を20μL滴下し、遮光下で 25℃, 1h静置することでNTA-Niとの錯体形成によってHis-taggedプロテインGを導入した。その後、基板をPBSに浸漬しての洗浄を2回行った
(anti-CD9の結合)
基板に0.3μM anti-CD9 in 10mM PBS(pH 7.4)を20μL滴下し、遮光下で 25℃, 1h静置することでHis-taggedプロテインGに抗体を導入した。その後、基板をPBSに浸漬しての洗浄を2回行った
吸着実験
深江化成製の扁平ピペットチップに基板を挿入し、自動分注装置付き蛍光顕微鏡を用いて蛍光測定によりエクソソームの検出実験を実施した。蛍光顕微鏡の測定条件については、フィルタはCy5、対物レンズは5倍、露光時間は0.5秒、光量は12%、光源は水銀ランプとした。また試料は10mM リン酸バッファー(140mM NaCl, pH7.4)に溶解させて所定の濃度に調整した。
(結果)
PC3由来エクソソーム濃度 1fMに対して5%程度の相対蛍光強度変化が認められた。修飾物質コアに複数のポリマーを用いて作製しても、単一ポリマーを用いた場合と同様の応答を示すことが分かった
(比較例1:国際公開第2018/221271号およびToshifumi Takeuchi et al., J. Am. Chem. Soc.,2020年03月10日,Vol.142,Page.6617-6624の条件でのシリカナノ粒子凝集固定化)
1.シリカナノ粒子へのHis-tagとチオール基の導入
蛍光性シリカナノ粒子(red-COOH, 200nm, Lot.0442240-01)を25mg/mL(3.0×1012part./mL)になるよう水で調整した。シリカナノ粒子水懸濁液1mLへ、50mM His-tag (N末端から6つのヒスチジンが結合し、3つのグリシンが結合し、C末端にリジンが結合したものにおいてC末端のカルボキシル基がアミド化された構造をしているものである。)水溶液10μLと 50mM 2-aminoethanthiol-HCl水溶液10μL, 50mM DMT-MM水溶液10μLを添加し、サーモシェーカーを用いて25℃において1000rpmで19時間反応させて、シリカナノ粒子にHis-tagとチオール基を導入した。
2. 基板の作製
0.5 mM 2-(2-bromoisobutyryloxy) undecyl thiol, 0.5 mM Amino-EG6 undecane thiolのEtOH溶液に金基板を浸漬し、基板表面にアミノ基とブロモ基を導入する (30℃, 20 h)
3.基板上にNTAを導入し、ニッケル錯体を形成
アミノ基とブロモ基を導入した基板へ5mM Isothiocyanobenzyl-NTAのDMSO溶液を80μLを滴下し、25℃、2時間静置した。DMSOで2回、純水で2回ずつ洗浄し、Nドライした。4mM NiCl水溶液30μLを滴下し、25℃で15分静置し、純水で3回洗浄してNTAのNi錯体を形成した。
4. His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子の固定化
His-tagとチオール基を導入したシリカナノ粒子を、溶媒をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)として、表の通りの濃度で,上記基板に50 μL滴下し、25℃で1時間静置した。PBSで3回ずつ基板を洗浄し、蛍光顕微鏡(Keyence BZ-800)およびSEMで基板表面を観察した。(図16)

図16の観察結果より、部分的に単体のシリカ粒子もみられるが、大部分が凝集している様子が観察された。このことからシリカナノ粒子へHistagを修飾し基板へ固定化すると、単分散で、凝集しておらず、単層に固定化できないことが示された。
(比較例2:粒子を用いずに作製したセンサの感度)

(基板上にSAM形成)
金基材(9.8 mm×4.3 mm)をUV-O処理を20min実施し、基材表面のクリーンアップを行った。EtOH溶媒中で2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)ウンデシルチオールとカルボキシ-EG6ウンデカンチオールを1:1で混合した1mM EtOH溶液を調製し、この溶液に前述の金基材を浸漬させた。30℃、20時間静置した後にEtOHで基材を洗浄し、金基材表面に自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer:SAM)を形成させた。ポリマーE2水溶液(1mg/mL)をDMFにて80倍希釈し、SAMを形成させた基材に対して4μL滴下し、25℃で1時間静置した。エタノールで基材を洗浄した。
(ポリマーマトリックス合成)
プレポリマー溶液とアスコルビン酸溶液を作製し、凍結脱気にて溶存酸素を除去した後、グローブボックス内にて混合し、25℃で20時間重合を行った。重合後の基材は純水で洗浄した。
(酢酸処理)
50% MeOH, 50% 酢酸溶液中に入れ、超音波処理を5 min行った後、純水で洗浄した。
(S-S還元切断)
0.5 mMトリス(2-カルボキシエチル) ホスフィン塩酸塩)水溶液をサーモシェーカー中に入れ40℃ 、5min予熱後、酢酸処理後の基材をいれ40℃ 、 1min反応させた。反応後の基材は純水で洗浄した。
(蛍光、NTA導入)
50μM Maleimido-C3-NTA, 50μM Alexa 647-C2-maleimide の20%DMSO含有10mMPB(pH7.4) 溶液を30μL滴下し25℃、1h静置して反応後、DMSOと純水で洗浄した。
(His-taggedプロテインG、抗体導入)
4 mM NiCl水溶液30 μLを基材上に滴下し静置(25℃,15min)した。反応後の基材は純水で洗浄した。1 μM His-taggedプロテインGのPBS溶液を30 μL滴下し25℃で1時間静置することでHis-taggedプロテインGを固定化した。His-taggedプロテインG固定化後の基材はPBS洗浄した。
0.1 μM Anti-CD9のPBS溶液をを30 μL滴下し25℃で1時間静置することで基材に抗体を導入した。抗体導入後の基材はPBS洗浄した。
深江化成製の扁平型ピペットチップ内に装着し、蛍光顕微鏡付き自動分注装置にて基材表面の蛍光強度変化を測定した。
PC3エクソソーム粒子PBS溶液の濃度は0.03、0.3、3、30 fMとした。
1. チップ取付
2. 150 μL PBSを吸引してF0測定x5
3. サンプル(PC3由来エクソソーム)吸引100μL
4. 反応5 min(25℃)
5. 全吐出
6. 10 mM PBS(140 mM NaCl, pH7.4)吸引 150μL
7. 自動測定
蛍光顕微鏡
カメラ: Zyla4.2
フィルタ: Cy5
(励起波長604-644 nm, 蛍光波長672-712 nm)
対物レンズ: ×5
露光時間: 0.5 sec
光量: 12%
光源: 水銀ランプ
8. 3~7の繰り返し
(結果)
結果を図17に示す。シリカ粒子コアを用いない空孔未形成の基材において、エクソソームに対する応答はなかった。
(実施例18:動物における診断例)
獣医が確定診断したがんや内臓疾患の犬や猫の血液を採取して、エクソソームを測定する。完治後に、再度エクソソームを測定して、その違いを観察することで、犬や猫のがんや内臓疾患が検出可能か検討する。
本開示の分析用センサの用途
人以外の使用
1.愛玩動物(ネコ、イヌ、鳥類など)の動物のがんを含む疾病の検査
2.家畜(ウシ、ウマ、ブタ、ニワトリなど)の保有する感染症原因ウイルスや感染性タンパク質(プリオンなど)、その他の病原性/感染性因子の検出
3.有害動物(鳥類、コウモリ、キツネ、マングース、アライグマ等)の保有する感染症原因ウイルスや感染性タンパク質(プリオンなど)、その他の病原性/感染性因子の検出
4.水産物の品質や鮮度チェック
5.農産物の品質や鮮度チェック
6.植物や樹木などの病原菌・ウイルスチェック
(実施例19:臨床応用例)
臨床実験実施病院の臨床研究審査委員会の承認を得た臨床研究にて、患者様の同意の下、がん検出の有無は全摘手術前後のセンサの応答の違いを観察することで、本センサにより、がんの検出が可能かどうか検討する。継続的に観察して、がんの転移や再発のチェックが可能かどうか検討する。薬物療法の治療効果は、投薬前後でのセンサ応答の違いで評価できるかどうか検討する。生活習慣病は、摂取食物とセンサ応答の関係から診断可能かどうか検討する。また、センサ応答から、がん細胞表面抗原の存在を推定し、コンパニオン診断が可能かどうか検討する。さらに、細胞を用いる治療における細胞の品質管理をセンサ応答から可能かどうか検討する。
本開示の分析用センサの用途
がんの検査
がんの手術の際の摘出残しチェック
がんの転移や再発のチェック
薬物療法の治療効果
生活習慣病の検査
投薬のためのコンパニオン診断
細胞工学における細胞の品質管理
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本開示に記載されているのと同様にその内容が本開示に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本開示で提供される技術は、分子インプリンティングを用いた空孔形成を基盤技術としたすべてのセンシングチップ作製に適用可能で、センシングサチップの大量生には必要不可決となり、検査分析技術を利用するあらゆる分野(診断を含む)において利用することができる。

Claims (65)

  1. 子と、基材と、
    を含む、分析用センサ作製用基材の製造キットであって、該粒子は、
    (A)粒子コアと
    (B)修飾物質と
    を含み、
    該(A)粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コアコア上の官能基含有部分を含み、
    該(B)修飾物質は、(B-1)該粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、
    該(A)粒子コアと該(B)修飾物質とが、該官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合で該(A)粒子コアと一体化しており、
    該(A2)官能基含有部分が、酸性基であり、該(B-1)第一官能基が、塩基性基であり、
    該分子間の化学結合が、非共有結合である、
    キット
  2. ポリマーマトリックスの原料をさらに含む、請求項に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  3. 前記(B)修飾物質は、1種または複数種含まれる、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  4. 前記(B)修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  5. 前記(B)修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  6. 前記(B)修飾物質は、重合性官能基を有する、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  7. 前記(B)修飾物質は、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つをさらに有する、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  8. 前記(B)修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  9. 前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、請求項8に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  10. 前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ― ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項8に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  11. 前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項8に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  12. 前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、請求項8に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  13. 前記非共有結合が、静電相互作用である、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  14. 前記(A)粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、請求項1に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  15. 前記(A)粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、請求項14に記載の分析用センサ作製用基材の製造キット。
  16. 子の、分析用センサ作製用基材を製造するための使用であって、該粒子は、
    (A)粒子コアと
    (B)修飾物質と
    を含み、
    該(A)粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コアコア上の官能基含有部分を含み、
    該(B)修飾物質は、(B-1)該(A)粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、
    該(A)粒子コアと該(B)修飾物質とが、該官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合で該(A)粒子コアと一体化しており、
    該(A2)官能基含有部分が、酸性基であり、該(B-1)第一官能基が、塩基性基であり、
    該分子間の化学結合が、非共有結合である、
    使用
  17. 前記(B)修飾物質は、1種または複数種含まれる、請求項16に記載の使用。
  18. 前記(B)修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、請求項16に記載の使用。
  19. 前記(B)修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、請求項16に記載の使用。
  20. 前記(B)修飾物質は、重合性官能基を有する、請求項16に記載の使用。
  21. 前記(B)修飾物質は、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つをさらに有する、請求項16に記載の使用。
  22. 前記(B)修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、請求項16に記載の使用。
  23. 前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、請求項22に記載の使用。
  24. 前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ― ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項22に記載の使用。
  25. 前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項22に記載の使用。
  26. 前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、請求項22に記載の使用。
  27. 前記非共有結合が、静電相互作用である、請求項16に記載の使用。
  28. 前記(A)粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、請求項16に記載の使用。
  29. 前記(A)粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、請求項28に記載の使用。
  30. 分析用センサ作製用基材を製造するための方法であって、
    )粒子を提供する工程であって、該粒子は、
    (A)粒子コアと
    (B)修飾物質と
    を含み、
    該(A)粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コアコア上の官能基含有部分を含み、
    該(B)修飾物質は、(B-1)該粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、
    該(A)粒子コアと該(B)修飾物質とが、該官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合で該(A)粒子コアと一体化しており、
    該(A2)官能基含有部分が、酸性基であり、該(B-1)第一官能基が、塩基性基であり、
    該分子間の化学結合が、非共有結合である、
    工程と、
    B)該粒子を基材に配置する工程と、
    C)該粒子が配置された該基材官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合が解離する条件に供することにより、該(B)修飾物質を備える足場を形成する工程と
    を包含する、方法。
  31. 前記粒子が固定された前記基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、請求項0に記載の方法。
  32. 前記ポリマーマトリックスが重合する条件に前記基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  33. 前記工程Cにおいて、前記基材から前記粒子が解離する条件が、可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件である、請求項0に記載の方法。
  34. 前記工程Cの後に、足場内の前記可逆的結合基を、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基またはシグナル物質の結合用基に変換する工程を含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記(B)修飾物質は、1種または複数種含まれる、請求項30に記載の方法。
  36. 前記(B)修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、請求項30に記載の方法。
  37. 前記(B)修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、請求項30に記載の方法。
  38. 前記(B)修飾物質は、重合性官能基を有する、請求項30に記載の方法。
  39. 前記(B)修飾物質は、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つをさらに有する、請求項30に記載の方法。
  40. 前記(B)修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、請求項30に記載の方法。
  41. 前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ― ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項40に記載の方法。
  43. 前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項40に記載の方法。
  44. 前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、請求項40に記載の方法。
  45. 前記非共有結合が、静電相互作用である、請求項30に記載の方法。
  46. 前記(A)粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、請求項30に記載の方法。
  47. 前記(A)粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、請求項45に記載の方法。
  48. 分析用センサを製造するための方法であって、
    )粒子を提供する工程であって、該粒子は、
    (A)粒子コアと
    (B)修飾物質と
    を含み、
    該(A)粒子コアは、(A1)粒子コアコアと(A2)粒子コアコア上の官能基含有部分を含み、
    該(B)修飾物質は、(B-1)該粒子コアと結合し得るが、分子間の化学結合が可能な第一官能基と、(B-2)分析用センサで所望される性質を付与する第二官能基とを含み、ここで(B-1)の官能基と(B-2)の結合用基とは同一または異なり、
    該(A)粒子コアと該(B)修飾物質とが、該官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合で該(A)粒子コアと一体化しており、
    該(A2)官能基含有部分が、酸性基であり、該(B-1)第一官能基が、塩基性基であり、
    該分子間の化学結合が、非共有結合である、
    工程と、
    B)該粒子を基材に配置する工程と、
    C)該粒子が配置された該基材官能基含有部分と該第一官能基の分子間の化学結合が解離する条件に供することにより、該(B)修飾物質を備える足場を形成する工程と、
    D)測定用に必要な物質を該足場に結合させる工程と
    を包含する、方法。
  49. 前記粒子が配置された前記基材に、ポリマーマトリックスの原料を提供する工程をさらに包含する、請求項48に記載の方法。
  50. 前記ポリマーマトリックスが重合する条件に前記基材を供することによって、該ポリマーマトリックスが配置された基材を形成する工程をさらに包含する、請求項49に記載の方法。
  51. 前記工程Cにおいて、前記基材から前記粒子が解離する条件が、可逆的連結基を切断させ可逆的結合基を作製する条件である、請求項48に記載の方法。
  52. 前記工程Cの後に、足場内の前記可逆的結合基を、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基またはシグナル物質の結合用基に変換する工程を含む、請求項51に記載の方法。
  53. 前記(B)修飾物質は、1種または複数種含まれる、請求項48に記載の方法。
  54. 前記(B)修飾物質は、基材に結合可能な置換基を含む、請求項48に記載の方法。
  55. 前記(B)修飾物質は、可逆的連結基および重合性官能基からなる群より選択される少なくとも1つの基を有する、請求項48に記載の方法。
  56. 前記(B)修飾物質は、重合性官能基を有する、請求項48に記載の方法。
  57. 前記(B)修飾物質は、シグナル物質の結合用基、シグナル物質、および可逆的連結基からなる群より選択される少なくとも1つをさらに有する、請求項48に記載の方法。
  58. 前記(B)修飾物質は、標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質の結合用基;標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基およびシグナル物質;または可逆的連結基を含む、請求項48に記載の方法。
  59. 前記可逆的連結基が、ジスルフィド基、イミノ結合基、オキシム基、ヒドラゾン結合基、ボロン酸環状エステル結合、カルボン酸エステル基、カルボン酸チオエステル基、またはアビジン-ビオチン結合である、請求項58に記載の方法。
  60. 前記標的物質に対する特異的結合性分子の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ― ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項58に記載の方法。
  61. 前記シグナル物質の結合用基が、アミノ基、カルボキシル基、ボロニル基、チオール基、マレイミド基、カルボニル基、アルデヒド基、アミノオキシ基、ヒドロキシル基、ヒドラジド基、ビオチン基、ニッケル-ニトリロトリ酢酸由来基、チオ―ル基またはピリジルジスルフィド基である、請求項58に記載の方法。
  62. 前記シグナル物質が、蛍光分子、放射性元素含有物質、磁性物質、または酵素である、請求項58に記載の方法。
  63. 前記非共有結合が、静電相互作用である、請求項48に記載の方法。
  64. 前記(A)粒子コアが、シリカ、ポリスチレン、ポリ乳酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリ乳酸・グリコール酸共重合体、キトサン、酸化鉄、金、銀、プラチナ、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化コバルト、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、ナノダイヤモンド、もしくはハイドロキシアパタイトまたはそれらの任意の組み合わせで構成される、請求項48に記載の方法。
  65. 前記(A)粒子コアが、シリカ、またはポリスチレンで構成される、請求項64に記載の方法。
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