(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した特許文献1の部品圧着装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献1の部品圧着装置では、基板の縁部に設けられている2つのアライメントマークと、部品に設けられている2つのアライメントマークとが、ACFを介して重なるように、部品が基板に圧着される。これにより、部品および基板のそれぞれの電極が電気的に導通する。
ここで、近年では、基板の高精細化に伴い、基板および部品のそれぞれのファインピッチ化が進行している。つまり、隣り合う2つの電極の間隔であるリード間ピッチが狭くなってきている。例えば、リード間ピッチは23μmから18μmに狭められることが必要とされる場合がある。
一方で、基板および部品のそれぞれでは、リードなどの電極の位置にばらつきがある。基板および部品の材料にフィルムが用いられる場合には、リード間ピッチのばらつきは、その基板および部品の製造過程および吸水などによって生じ易い。
そこで、リード間ピッチを適切に管理することが望まれる。しかし、上記特許文献1の部品圧着装置では、アライメントマーク間の正確な距離を測定することができないため、そのリード間ピッチを適切に管理することができない。その結果、部品と基板とのそれぞれの電極が電気的に適切に導通されず、実装基板の品質が低下してしまう可能性がある。
このような課題を解決するために、本開示の一態様に係る部品圧着装置は、部品が圧着される基板の縁部を、前記基板の下方側から支持する下受け部と、前記下受け部によって支持されている前記基板の縁部に前記部品を圧着する圧着ツールと、それぞれ位置の基準とされる少なくとも1つの較正マークが形成されている較正用具と、一対の撮像範囲のそれぞれに含まれる被写体を撮像する一対の撮像部と、前記一対の撮像部および前記圧着ツールを制御する制御部とを備え、前記一対の撮像範囲間の距離は可変であって、前記制御部は、前記較正用具の少なくとも1つの前記較正マークを前記被写体として前記一対の撮像部に撮像させ、前記較正用具の撮像の結果に応じて、前記一対の撮像範囲間の距離に対する較正を行い、前記基板および前記部品のうちの少なくとも一方に形成されている一対のアライメントマークが前記一対の撮像範囲内にそれぞれ前記被写体として収まるように、前記一対の撮像範囲の間隔が調整されている状態で、前記一対のアライメントマークを前記一対の撮像部に撮像させ、前記一対のアライメントマークの撮像の結果と前記較正の結果とに基づいて、前記圧着ツールによる前記部品の圧着を制御する。
これにより、一対の撮像範囲間の距離に対する較正の結果と、基板および部品のうちの少なくとも一方に形成されている一対のアライメントマークの撮像の結果とに基づいて、その一対のアライメントマーク間の距離を正しく測定することができる。
ここで、基板および部品のそれぞれには、例えば複数のリードなどの電極からなる電極部が形成されている。そして、一対のアライメントマークが、例えばその電極部を挟むように、予め規定された距離だけ正しく離れて配置されていれば、基板および部品のそれぞれの電極部を適切に導通させることができる。つまり、基板および部品のそれぞれの一対のアライメントマークが重なるように部品を基板に圧着することによって、それらの電極部を適切に導通させることができる。しかし、基板および部品のそれぞれに形成されている一対のアライメントマーク間の距離および電極部の位置には、ばらつきがある。特に、基板および部品のそれぞれにフィルムなどの材料が用いられ、かつ、ファインピッチ化が求められる場合には、電極部間の導通に対するそのばらつきによる影響は大きくなる可能性がある。
そこで、本開示の一態様に係る部品圧着装置では、一対のアライメントマーク間の距離を正しく測定することができるため、その電極部の位置、リードの位置、またはリード間ピッチのばらつきを適切に把握および管理することができる。そして、そのばらつきに応じた部品の圧着の制御が行われるため、実装基板の品質向上を図ることができる。
また、前記較正用具は、前記下受け部に備えられていてもよい。
これにより、下受け部の位置が固定されている場合には、その下受け部に較正用具が備えられるため、較正用具の位置ずれ、すなわち少なくとも1つの較正マークの位置ずれを抑えることができる。その結果、一対のアライメントマーク間の距離をより正しく測定することができ、実装基板の品質向上をさらに図ることができる。
また、前記制御部は、前記一対の撮像範囲間の距離に対する較正では、前記一対の撮像範囲の間隔が、前記一対のアライメントマークの撮像が行われるときと略同じ間隔に調整されている状態で、前記較正用具の少なくとも1つの前記較正マークを前記被写体として前記一対の撮像部に撮像させてもよい。
これにより、一対のアライメントマークの撮像が行われるときと、一対の撮像範囲間の距離に対する較正が行われるときとで、その一対の撮像範囲の間隔は実質的に同一であるため、その一対のアライメントマーク間の距離をより正しく測定することができる。
また、前記一対の撮像範囲は、一方向に沿って可動であって、前記較正用具には、前記一方向に沿って複数の前記較正マークが配列されていてもよい。
これにより、例えば、基板および部品の種類などに応じて、一対の撮像範囲間の距離が調整される場合であっても、その一対の撮像範囲内のそれぞれに較正マークを収めることができる。その結果、基板および部品の種類に関わらず、一対のアライメントマーク間の距離を正しく測定することができ、実装基板の品質向上を図ることができる。
また、前記較正用具は、前記下受け部に支持されている前記基板と上下方向において重ならない位置に配置されていてもよい。
これにより、基板への圧着のために上下方向に移動する部品、およびその基板と、較正用具とが干渉することを抑えることができる。
また、前記較正用具は、前記下受け部における前記基板の縁部に接する支持面よりも低い位置に配置されていてもよい。
これにより、支持面に接する基板の縁部から、その基板に圧着される部品がその支持面と平行な方向に突き出ていても、較正用具はその支持面よりも低い位置にあるため、その部品と較正用具とが干渉することを抑えることができる。
また、前記制御部は、前記一対のアライメントマークの撮像の結果と前記較正の結果とに基づいて、前記一対のアライメントマーク間の距離を測定し、測定された前記距離が許容範囲外であるか否かを判定し、前記距離が前記許容範囲外であると判定された場合には、前記圧着ツールによる前記部品の圧着を禁止してもよい。
これにより、測定された一対のアライメントマーク間の距離が許容範囲外である場合には、その一対のアライメントマークが形成されている基板または部品を用いた圧着が禁止される。したがって、基板または部品の電極部の位置のばらつきによって、その位置が正しい位置から大きくずれているような場合には、その基板または部品を用いた圧着を禁止することによって、低品質の実装基板の生産を抑制することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略同じなどの表現を用いている。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略同じは、本開示による効果を奏し得る範囲において同じという意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態)
[部品実装ラインの概略構成]
図1は、本実施の形態における部品実装ラインの概略構成を示す図である。
本実施の形態における部品実装ライン1は、液晶パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどのディスプレイパネルである基板3に部品5を実装することによって実装基板を生産するシステムである。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的には、部品実装ライン1は、図1に示すように、基板搬入部10と、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、基板搬出部50とを有する。基板搬入部10、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および基板搬出部50は、この順で連結されている。
基板搬入部10は、作業者または上流側の他の装置から搬入される矩形の基板3を受け取る。そして、その基板3は下流側の貼着部20に搬出される。
貼着部20は、基板搬入部10から搬出された基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに接着部材を貼着する。そして、その接着部材が貼着された基板3は仮圧着部30に搬出される。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極により構成されている。
仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3の接着部材が貼着されている部位に部品5を搭載して仮圧着する。そして、その部品5が仮圧着された基板3は本圧着部40に搬出される。
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着(熱圧着ともいう)を行う。そして、その本圧着が行われた基板3は基板搬出部50に搬出される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬出された基板3を受け取る。基板搬出部50に受け取られた基板3は下流側に搬出される。
このように、部品実装ライン1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を実装する部品実装作業を実行し、部品5が実装された基板3である実装基板を基板搬出部50から搬出する。
[部品実装ラインの詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図2は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板の搬送方向をX軸方向と称し、鉛直方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。
基板搬入部10は、搬入される基板3を載置するための基台1aを備える。基板搬入部10の基台1aには、基板3が載置されるステージ11が設けられている。ステージ11は、基台1aに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ11の上面には、複数の吸着孔11aが設けられている。このようなステージ11は、作業者または上流側の他の装置から搬入されてステージ11上に載置された基板3を、図示しないポンプ等の吸引器によって吸着孔11aから真空吸着して保持する。
貼着部20は、基板3の電極部4に接着部材であるACFを貼着する貼着作業(言い換えると、貼着工程)を行う機能を備える。貼着部20は、基板移動機構21と、貼着機構22とを備える。
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構である。基板移動機構21は、例えば、X軸方向に可動なX軸テーブルと、Y軸方向に可動なY軸テーブルと、Z軸方向に可動なZ軸テーブルと、ステージ23とを備える。基板移動機構21には、基台1b上に下方から順に、X軸テーブルと、Y軸テーブルと、Z軸テーブルと、ステージ23とが重ねて設けられている。
Y軸テーブルは、Y軸方向に延びて設けられ、X軸テーブル上をX軸方向に自在に移動する。Z軸テーブルは、Y軸テーブル上をY軸方向に自在に移動し、上部に設けられたステージ23をZ軸方向に昇降するとともにZ軸回りに回転させる。
また、ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられており、ステージ23は、その上面に載置された基板3を真空吸着して保持する。このように、基板移動機構21は、基板3を吸着保持して水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(具体的には、Z軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
貼着機構22は、基台1bの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の複数の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。また、2つの貼着ヘッドのそれぞれに対応する下方の位置には、貼着支持台が備えられている。
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着工程を実行する。仮圧着部30は、基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品供給部33と、部品移動部35と、廃棄処理部38とを備える。
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージである下受け部36の上方に位置させる。
部品供給部33は、部品搭載機構32の奥側方(すなわちY軸方向正側)に基台1bの後部から張り出して設けられている。例えば、部品供給部33は、TCP(Tape carrier package)などの帯状部品収納体が巻き付けられた供給リール33aと、打ち抜き部33bと、可動ステージ33cと、レール33dとを備える。このような部品供給部33は、それらの構成要素の動きによって帯状部品収納体から部品5を順次供給する。
部品移動部35は、部品供給部33から供給される部品5を保持して、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
部品搭載機構32は、基台1b上に設けられ、圧着ツール34と下受け部36とを備える。
下受け部36は、ステージ37に保持されている基板3における予め定められた部位である圧着対象部位を下方から支持する。なお、この圧着対象部位は、基板3の縁部においてACFが貼着されている部位である。つまり、下受け部36は、部品5が圧着される基板3の縁部を、その基板3の下方側から支持する。
圧着ツール34は、部品5を保持し、ステージ37に保持されている基板3に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、下受け部36によって支持されている基板3の縁部にある圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移動部35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごと下受け部36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。例えば、圧着ツール34は、約80℃に加熱された状態で、部品5を基板3に圧着する。なお、仮圧着部30は、基板移動機構31によって保持されている基板3の方向を90度回転させる機構を備えてもよい。
廃棄処理部38は、回収ステージ38aを有する。廃棄処理部38は、圧着ツール34に保持されている部品5が基板3に実装されない場合に、その回収ステージ38aの移動によって、その部品5を圧着ツール34から受け取る廃棄処理を行う。廃棄処理部38に受け取られた部品5は、例えば廃棄される。
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着工程(つまり、熱圧着工程)を実行する。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42とを備える。
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の下受け部46の上方に位置させる。
圧着機構42は、基台1b上に設けられ、圧着ツール43と下受け部46とを備える。
圧着ツール43は、加熱され、下受け部46によって支持されている基板3の部品5を下受け部46側に押圧する。例えば、圧着ツール43は、約200℃に加熱された状態で、部品5を押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
基板搬出部50は、本圧着部40から搬送された基板3をステージ51上に真空吸着して保持する機能を備える。基板搬出部50において保持された基板3は、下流側の他の装置に搬出されるか、作業者によってステージ51から取り出される。
ステージ51は、基台1cに対してZ軸方向に昇降する。また、ステージ51の上面には、複数の吸着孔51aが設けられており、ステージ51は、本圧着部40から移送された基板3をその上面で真空吸着して保持する。
搬送部60は、基板3を搬送する装置である。具体的には、搬送部60は、基板搬入部10に搬入された基板3を、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および、基板搬出部50へこの順に受け渡す(移送する)機能を備える。搬送部60は、貼着部20、仮圧着部30、および本圧着部40の前方領域(すなわちY軸方向負側)に配置されている。
搬送部60は、基台1a、基台1b、および、基台1cにわたってX軸方向に延びた移動ベース61上に、上流側から順に配置されている、基板搬送機構62A、基板搬送機構62B、基板搬送機構62C、および、基板搬送機構62Dを備えている。
基板搬送機構62A~62Dは、それぞれ基部63および1以上のアームユニット64を備える。本実施の形態では、基板搬送機構62A~62Dがそれぞれ2基のアームユニット64を備える場合を例示している。
基部63は、移動ベース61上に設けられ、X軸方向に自在に移動する。基部63上には、2基のアームユニット64がX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。
基板搬送機構62A~62Dのそれぞれは、ステージ11、23、37、49、51が保持する基板3を上方から真空吸着する基板受け渡し位置に移動して、昇降するステージ11、23、37、49、51から基板3の受け取りまたは受け渡しを行う。例えば、基板搬送機構62Aは、基板搬入部10のステージ11に載置された基板3を受け取り、貼着部20のステージ23に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Bは、貼着部20のステージ23から基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Cは、仮圧着部30のステージ37から基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。また、例えば、基板搬送機構62Dは、本圧着部40のステージ49から基板3を受け取り、基板搬出部50のステージ51に受け渡す。
図3は、部品実装ライン1に備えらえている、コンピュータと、そのコンピュータによって制御される各構成要素とを示す図である。
部品実装ライン1は、図3に示すようにコンピュータ2を備える。このコンピュータ2は、例えば、貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および搬送部60などと例えば制御線によって通信可能に接続され、これらの各部を制御する。コンピュータ2は、制御部2aと、記憶部2bとを備える。
記憶部2bは、基板3のサイズ、基板3に実装される部品5の種類、実装位置、実装方向、および、基板3を移送するタイミング等の部品実装作業に必要な各種データと、制御部2aが実行する制御プログラム等とを記憶する。記憶部2bは、例えばROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。
制御部2aは、貼着部20の基板移動機構21、仮圧着部30の基板移動機構31、本圧着部40の基板移動機構41、および搬送部60を制御して、基板3を各部間で次の工程へ移送する基板移送作業を実行する。基板移送作業における上流側から下流側への基板3の移送は、各部間で同期して行われる。
例えば、制御部2aは、貼着部20を制御することで、基板移動機構21によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、ヘッド移動モータによって複数の貼着ヘッドの間隔を変更し、貼着機構22によって基板3にACFを貼着する貼着作業を貼着部20に実行させる。
また、例えば、制御部2aは、仮圧着部30を制御する。つまり、制御部2aは、基板移動機構31によって保持される基板3の向きおよび位置を変更し、部品5の基板3への仮圧着を部品搭載機構32に実行させる。このとき、制御部2aは、仮圧着部30に備えられている撮像機構39による撮像の結果に応じて基板3の位置を補正または変更してもよい。また、制御部2aは、部品供給部33および部品移動部35を制御することによって、部品供給部33から供給される部品5を部品搭載機構32側に移動させる。さらに、制御部2aは、廃棄処理部38を制御することによって、部品搭載機構32の圧着ツール34に保持されている部品5に対する廃棄処理を実行させる。
また、例えば、制御部2aは、本圧着部40を制御することで、基板移動機構41によって保持する基板3の向きおよび位置を変更し、基板3に仮圧着された部品5を圧着機構42に本圧着させる。
このような制御部2aは、例えば、部品実装ライン1が有する各部および各機構を制御するための、記憶部2bに記憶されている制御プログラムと、その制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサとにより実現される。
[部品圧着装置の構成]
図4は、本実施の形態における部品圧着装置100の機能構成を示すブロック図である。
部品圧着装置100は、部品実装ライン1における仮圧着部30と、コンピュータ2の制御部2aとからなる。
具体的には、部品圧着装置100は、制御部2aと、部品供給部33と、部品移動部35と、圧着ツール34と、下受け部36と、較正用具8と、基板移動機構31と、廃棄処理部38と、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rとを備える。
第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、一対の撮像範囲のそれぞれに含まれる被写体を撮像する一対の撮像部であって、上述の撮像機構39に含まれる。この第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像範囲間の距離は可変である。つまり、基板3および部品5のうちの少なくとも一方に形成されている後述の一対のアライメントマークがその一対の撮像範囲内にそれぞれ上述の被写体として収まるように、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像範囲の間隔が調整される。その一対の撮像範囲間の距離は、光学系ピッチまたはカメラピッチとも呼ばれ、例えば、第1のカメラ39Lと第2のカメラ39Rとの間の距離であってもよい。あるいは、その一対の撮像範囲間の距離は、第1のカメラ39Lと第2のカメラ39Rとの間隔が固定された状態で調整されてもよい。例えば、レンズまたはミラーなどの光学系機器の移動によって、それらのカメラの光軸の間隔が変更され、その一対の撮像範囲間の距離が調整されてもよい。
較正用具8は、上述のカメラピッチを較正するための器具であって、例えば、変形および伸縮などが生じ難いガラスなどの材料によって構成されている。この較正用具8には、それぞれ位置の基準とされる少なくとも1つの較正マークが形成されている。また、本実施の形態では、較正用具8は、下受け部36に備えられている。
制御部2aは、上述の一対の撮像部である第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rと、圧着ツール34とを制御する。さらに、制御部2aは、部品供給部33、部品移動部35、基板移動機構31、および廃棄処理部38を制御する。
具体的には、制御部2aは、較正用具8の少なくとも1つの較正マークを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させ、較正用具8の撮像の結果に応じて、カメラピッチに対する較正を行う。そして、制御部2aは、一対のアライメントマークを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させる。例えば、制御部2aは、部品5に形成されている一対のアライメントマークを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させる。さらに、制御部2aは、基板3に形成されている一対のアライメントマークを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させる。そして、制御部2aは、部品5および基板3のそれぞれの一対のアライメントマークの撮像の結果と、較正の結果とに基づいて、圧着ツール34による部品5の圧着を制御する。
[較正用具とカメラ]
図5は、本実施の形態における較正用具8とその周辺の各構成要素とを示す図である。
本実施の形態における較正用具8は、例えば物差しまたは定規のように、細長い板状の透光性を有するガラスからなる器具であって、下受け部36の上面に配置されている。具体的には、下受け部36の上面は、基板3の縁部に接する支持面36aと、その支持面36aよりも低い位置にある非支持面36bとを有する。較正用具8は、この下受け部36の非支持面36bに、X軸方向に沿うように配置される。そして、本実施の形態における較正用具8には、複数の較正マークMaが、その較正用具8の長手方向、すなわちX軸方向に沿って配列されている。なお、複数の較正マークMaは、較正用具8の上面側に形成されていてもよく、下面側に形成されていてもよい。
第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、下受け部36の下側に配置され、Z軸方向上方を撮像する。また、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、X軸方向に配列されている。第1のカメラ39Lと第2のカメラ39Rとの間の距離、すなわちカメラピッチはX軸方向に可変である。したがって、本実施の形態では、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rの一対の撮像範囲は、一方向に沿って可動であって、較正用具8には、その一方向に沿って複数の較正マークMaが配列されている。さらに、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、Y軸方向に沿って移動自在に配置されている。
カメラピッチの較正が行われるときには、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、Y軸方向に沿って移動し、較正用具8の下方に配置される。そして、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれは、下受け部36の貫通部を介して較正用具8を下方側から撮像する。なお、図5では、貫通部は、較正用具8によって隠されている。
部品5の一対のアライメントマークMcの撮像では、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、Y軸方向に沿って移動し、下受け部36における支持面36aの下方に配置される。このとき、圧着ツール34は、部品5に形成されている複数の電極からなる電極部6と、その電極部6を挟むように配置される一対のアライメントマークMcとが下方に向けられた状態で、その部品5を吸着保持している。そして、その一対のアライメントマークMcは、下受け部36における支持面36aに対向するように配置される。
第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、下受け部36の2つの貫通部h1を介して、部品5の一対のアライメントマークMcを下方側から撮像する。なお、2つの貫通部h1のそれぞれは、例えばX軸方向に沿って配列された、下受け部36の支持面36aに開口を有する孔であって、その下受け部36をZ軸方向に沿って貫通している。第1のカメラ39Lは、X軸方向正側の貫通部h1を介して、部品5におけるX軸方向正側のアライメントマークMcを撮像する。第2のカメラ39Rは、X軸方向負側の貫通部h1を介して、部品5におけるX軸方向負側のアライメントマークMcを撮像する。なお、本実施の形態における貫通部h1は、孔であるが、Y軸方向正側に凹んだ溝であってもよく、透光性を有するガラスなどの部材から成っていてもよい。
基板3の一対のアライメントマークMbの撮像では、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、部品5の一対のアライメントマークMcの撮像時と同様、下受け部36における支持面36aの下方に配置される。このとき、ステージ37に保持されている基板3の縁部は、下受け部36の支持面36aに載置されて下方側から支持されている。また、その縁部の上面には、複数の電極からなる電極部4と、その電極部4を挟むように配置される一対のアライメントマークMbとが形成されている。さらに、その縁部の上面には、ACF91が電極部4を覆うように貼り付けられている。
第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、下受け部36の2つの貫通部h1を介して、基板3の一対のアライメントマークMbを下方側から撮像する。なお、基板3における一対のアライメントマークMbが形成されている部分は透光性を有する。したがって、基板3の上面に形成されているアライメントマークMbは、その透光性を有する部分を介して撮像される。第1のカメラ39Lは、X軸方向正側の貫通部h1を介して、基板3におけるX軸方向正側のアライメントマークMbを撮像する。第2のカメラ39Rは、X軸方向負側の貫通部h1を介して、基板3におけるX軸方向負側のアライメントマークMbを撮像する。
[カメラピッチの較正]
図6は、カメラピッチの較正が行われるときの第1のカメラ39Lと較正用具8との位置関係を示す図である。
第1のカメラ39Lは、下受け部36の下方から較正用具8を撮像する。このとき、第1のカメラ39Lは、下受け部36の貫通部h2を介して較正用具8を撮像する。貫通部h2は、例えば下受け部36の非支持面36bに開口を有する孔であって、その下受け部36をZ軸方向に貫通している。なお、本実施の形態における貫通部h2は、孔であるが、透光性を有するガラスなどの部材から成っていてもよい。第2のカメラ39Rも、第1のカメラ39Lと同様に較正用具8を撮像する。
図7は、カメラピッチの較正の一例を説明するための図である。
第1のカメラ39Lは、較正用具8のうちの撮像範囲DLを撮像することによって、その撮像範囲DLの画像を示す較正用撮像データを生成する。第2のカメラ39Rは、較正用具8のうちの撮像範囲DRを撮像することによって、その撮像範囲DRの画像を示す較正用撮像データを生成する。なお、撮像範囲DLおよび撮像範囲DRはそれぞれ、縦略1mm×横略1mmの範囲である。
撮像範囲DLの画像には、較正用具8に形成されている較正マークMaが映し出されている。同様に、撮像範囲DRの画像には、較正用具8に形成されている他の較正マークMaが映し出されている。
制御部2aは、これらの較正用撮像データを用いて、撮像範囲DLの中心と撮像範囲DRの中心との間のX軸方向の距離であるカメラピッチCpを測定する。このようなカメラピッチCpは、基板3の一対のアライメントマークMbが第1のカメラ39Lの撮像範囲DLおよび第2のカメラ39Rの撮像範囲DRにそれぞれ収まるように事前に調整されている。なお、部品5が基板3に圧着される場合、その基板3の一対のアライメントマークMbの間隔は、部品5の一対のアライメントマークMcの間隔と略一致している。したがって、上述のカメラピッチCpの調整は、部品5の一対のアライメントマークMcが第1のカメラ39Lの撮像範囲DLおよび第2のカメラ39Rの撮像範囲DRにそれぞれ収まるように行われているとも言える。
つまり、本実施の形態では、制御部2aは、カメラピッチCpに対する較正では、一対の撮像範囲DLおよびDRの間隔が、一対のアライメントマークの撮像が行われるときと略同じ間隔に調整されている状態で、較正用具8の少なくとも1つの較正マークMaを被写体として第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させる。
ここで、カメラピッチCpが既知の目標ピッチCptに等しい場合には、撮像範囲DLの中心は、その撮像範囲DL内にある較正マークMaの中心に位置し、撮像範囲DRの中心は、その撮像範囲DR内にある較正マークMaの中心に位置する。しかし、カメラピッチCpは、例えば経時的に変化する。または、カメラピッチCpは、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rを含む周囲の環境温度によって変化する。このような場合、例えば図7に示すように、撮像範囲DLの中心は、その撮像範囲DL内にある較正マークMaの中心からX軸方向に沿って距離δLだけずれる。また、撮像範囲DRの中心は、その撮像範囲DR内にある較正マークMaの中心からX軸方向に沿って距離δRだけずれる。そこで、制御部2aは、距離δLおよび距離δRを較正用撮像データから導出し、カメラピッチCpが距離(δL+δR)だけ目標ピッチCptからずれていることを特定する。これによって、カメラピッチCpと目標ピッチCptとの間の関係が特定され、その結果、カメラピッチCpが較正される。また、制御部2aは、カメラピッチCpをCp=Cpt+(δR+δR)によって算出することによって、そのカメラピッチCpを測定する。
なお、図7において、較正マークMaを基準とする撮像範囲DLの中心のX軸方向正側へのずれを示す距離は、負の値であって、X軸方向負側へのずれを示す距離は、正の値である。また、較正マークMaを基準とする撮像範囲DRの中心のX軸方向正側へのずれを示す距離は、正の値であって、X軸方向負側へのずれを示す距離は、負の値である。
図8Aは、較正用具8の他の例を示す図である。
較正用具8には、互に形状の異なる2種類の較正マークMaが形成されていてもよい。2種類の較正マークMaは、四角形の第1の較正マークMa1、および円形の第2の較正マークMa2である。このような第1の較正マークMa1と第2の較正マークMa2とは、交互に、かつ、等間隔に、較正用具8の長手方向に沿って配列されている。
図8Bは、図8Aに示す較正用具8を用いた場合における第1のカメラ39Lの撮像範囲DLの画像の例を示す図である。
互に隣り合う第1の較正マークMa1と第2の較正マークMa2との間隔は、撮像範囲DLのX軸方向の位置に関わらず、所定の条件が満たされるように設定されている。この所定の条件は、第1の較正マークMa1と第2の較正マークMa2の少なくとも一方の全体が撮像範囲DLに含まれ、かつ、同一種類の2つ以上の較正マークMaのそれぞれの全体が撮像範囲DLに含まれないことである。これにより、撮像範囲DLがX軸方向のどの位置にあっても、カメラピッチCpに対する較正を適切に行うことができる。
つまり、上述の所定の条件が満たされている場合には、撮像範囲DLのX軸方向の位置に関わらず、目標ピッチCptに対応する撮像範囲DLの正しい位置、すなわち撮像範囲DLの基準となる位置を初期設定することができる。本実施の形態では、その基準となる位置は、基準情報としてコンピュータ2の記憶部2bに登録されている。
例えば、コンピュータ2の記憶部2bには、目標ピッチCptごとに基準情報が登録されている。基準情報は、撮像範囲DLにおいて較正に用いられる較正マークMaの種類と、撮像範囲DLの中心からその較正マークMaの中心までのX軸方向の距離とを示す。具体的には、図8Bの(a)に示すように、目標ピッチCpt=60mmであって、カメラピッチCpがその目標ピッチCptと等しい場合、例えば1つの第2の較正マークMa2だけその全体が撮像範囲DL内に収められる。このような場合、その目標ピッチCptに対応付けられる基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として第2の較正マークMa2を示し、かつ、撮像範囲DLの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向の距離を示す。このような基準情報がその目標ピッチCptに対応付けて記憶部2bに登録される。
また、図8Bの(b)に示すように、目標ピッチCpt=50mmであって、カメラピッチCpがその目標ピッチCptと等しい場合、例えば1つの第1の較正マークMa1および1つの第2の較正マークMa2のそれぞれの全体が撮像範囲DL内に収められる。このような場合、その目標ピッチCptに対応付けられる基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として、第1の較正マークMa1および第2の較正マークMa2のうちの何れか一方の種類を示す。さらに、その基準情報は、撮像範囲DLの中心からその一方の種類の較正マークMaの中心までのX軸方向の距離を示す。このような基準情報がその目標ピッチCptに対応付けて記憶部2bに登録される。なお、第1の較正マークMa1の方が第2の較正マークMa2よりも撮像範囲DLの中心に近い場合には、基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として、第1の較正マークMa1を示してもよい。逆に、第2の較正マークMa2の方が第1の較正マークMa1よりも撮像範囲DLの中心に近い場合には、基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として、第2の較正マークMa2を示してもよい。
また、図8Bの(c)に示すように、目標ピッチCpt=30mmであって、カメラピッチCpがその目標ピッチCptと等しい場合、図8Bの(a)と同様、例えば1つの第2の較正マークMa2だけその全体が撮像範囲DL内に収められる。このような場合、その目標ピッチCptに対応付けられる基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として第2の較正マークMa2を示し、かつ、撮像範囲DLの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向の距離を示す。このような基準情報がその目標ピッチCptに対応付けて記憶部2bに登録される。
これらの基準情報は、撮像範囲DLに対してだけでなく、撮像範囲DRに対しても撮像範囲DLと同様に生成されて記憶部2bに登録される。
図9は、カメラピッチCpの較正の他の例を説明するための図である。具体的には、図9は、図8Aの較正用具8を用いたときのカメラピッチCpの較正を説明するための図である。また、図9の(a)は、上述の基準情報の登録時における撮像範囲DLおよび撮像範囲DRのそれぞれの画像を示し、図9の(b)は、カメラピッチCpの較正時における撮像範囲DLおよび撮像範囲DRのそれぞれの画像を示す。
撮像範囲DLおよび撮像範囲DRのそれぞれの基準情報の登録時には、カメラピッチCpは目標ピッチCptに初期設定される。このとき、例えば図9の(a)に示すように、記憶部2bに登録される撮像範囲DLの基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として第2の較正マークMa2を示す。さらに、その基準情報は、撮像範囲DLの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向に沿う距離として距離eLを示す。また、記憶部2bに登録される撮像範囲DRの基準情報は、較正に用いられる較正マークMaの種類として第2の較正マークMa2を示す。さらに、その基準情報は、撮像範囲DRの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向に沿う距離として距離eRを示す。
次に、例えば、カメラピッチCpが目標ピッチCptに初期設定されてからしばらく時間が経過した後に、制御部2aは、カメラピッチCpに対する較正を行う。その較正時には、制御部2aは、その目標ピッチCptに対応付けられている撮像範囲DLの基準情報と撮像範囲DRの基準情報とを記憶部2bから読み出す。さらに、制御部2aは、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに対して較正用具8を撮像させる。第1のカメラ39Lは、較正用具8における撮像範囲DLを撮像することによって、図9の(b)に示す撮像範囲DLの画像を示す較正用撮像データを生成する。第2のカメラ39Rは、較正用具8における撮像範囲DRを撮像することによって、図9の(b)に示す撮像範囲DRの画像を示す較正用撮像データを生成する。
制御部2aは、記憶部2bから読み出された撮像範囲DLの基準情報によって示される、較正に用いられる較正マークMaの種類として、第2の較正マークMa2を特定する。そして、制御部2aは、撮像範囲DLの画像からその第2の較正マークMa2を認識し、撮像範囲DLの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向に沿う距離fLを特定する。次に、制御部2aは、記憶部2bから読み出された撮像範囲DLの基準情報によって示される距離eLを特定する。そして、制御部2aは、距離eLと距離fLとの差分である距離gLを、gL=(eL-fL)によって算出する。
制御部2aは、記憶部2bから読み出された撮像範囲DRの基準情報によって示される、較正に用いられる較正マークMaの種類として、第2の較正マークMa2を特定する。そして、制御部2aは、撮像範囲DRの画像からその第2の較正マークMa2を認識し、撮像範囲DLの中心からその第2の較正マークMa2の中心までのX軸方向に沿う距離fRを特定する。次に、制御部2aは、記憶部2bから読み出された撮像範囲DRの基準情報によって示される距離eRを特定する。そして、制御部2aは、距離eRと距離fRとの差分である距離gRを、gR=(eR-fR)によって算出する。
その結果、制御部2aは、カメラピッチCpが目標ピッチCptから距離(gL+gR)だけずれていることを特定する。これによって、カメラピッチCpと目標ピッチCptとの間の関係が特定されるため、カメラピッチCpが較正される。また、制御部2aは、カメラピッチCpをCp=Cpt+(gL+gR)によって算出することによって、そのカメラピッチCpを測定する。
なお、図9において、撮像範囲DLの中心から、X軸方向正側への較正マークMaの中心までの距離は、負の値であって、X軸方向負側への較正マークMaの中心までの距離は、正の値である。また、撮像範囲DRの中心から、X軸方向正側への較正マークMaの中心までの距離は、正の値であって、X軸方向負側への較正マークMaの中心までの距離は、負の値である。
[カメラピッチの較正後の処理]
図10は、本実施の形態における部品圧着装置100の動作を説明するための図である。
まず、図10の(a)に示すように、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rはそれぞれ、較正用具8を撮像することによって、較正用撮像データを生成する。制御部2aは、それらの較正用撮像データを用いてカメラピッチCpに対する較正を行う。
次に、図10の(b)に示すように、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rはそれぞれ、Y軸方向負側に移動し、貫通部h1の下方に配置される。その結果、第1のカメラ39Lの撮像範囲DLには、圧着ツール34に吸着保持されている部品5に形成されている一対のアライメントマークMcのうちの一方が収まる。同様に、第2のカメラ39Rの撮像範囲DRには、その一対のアライメントマークMcのうちの他方が収まる。そして、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rはそれぞれ、部品5のアライメントマークMcを、貫通部h1を介して撮像する。このような第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像によって、部品撮像データが生成される。制御部2aは、それらの部品撮像データに基づいて、部品5に形成されている一対のアライメントマークMcの間の距離である部品マーク間ピッチを測定する。この測定では、カメラピッチCpの較正結果が用いられる。
次に、図10の(c)に示すように、基板3を保持しているステージ37が、下受け部36側に移動する。その結果、第1のカメラ39Lの撮像範囲DLには、ステージ37に保持されている基板3に形成されている一対のアライメントマークMbのうちの一方が収まる。同様に、第2のカメラ39Rの撮像範囲DRには、その一対のアライメントマークMbのうちの他方が収まる。そして、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rはそれぞれ、基板3のアライメントマークMbを、貫通部h1を介して撮像する。このような第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像によって、基板撮像データが生成される。制御部2aは、それらの基板撮像データに基づいて、基板3に形成されている一対のアライメントマークMbの間の距離である基板マーク間ピッチを測定する。この測定では、カメラピッチCpの較正結果が用いられる。さらに、制御部2aは、2つの部品撮像データによって示される一対のアライメントマークMcの位置と、2つの基板撮像データによって示される一対のアライメントマークMbの位置とが一致するように、ステージ37の位置などを調整する。このとき、制御部2aは、部品5に形成されている一対のアライメントマークMc間の中心位置と、基板3に形成されている一対のアライメントマークMb間の中心位置とが一致するように、ステージ37の位置などを調整してもよい。
そして、図10の(d)に示すように、部品マーク間ピッチおよび基板マーク間ピッチに基づいて、圧着ツール34は下降して、ACF91を介して部品5を基板3に仮圧着する。
このように、本実施の形態では、制御部2aは、基板3および部品5のうちの少なくとも一方に形成されている一対のアライメントマークが一対の撮像範囲DLおよびDR内にそれぞれ被写体として収まるように、その一対の撮像範囲DLおよびDRの間隔が調整されている状態で、その一対のアライメントマークを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させる。そして、制御部2aは、一対のアライメントマークの撮像の結果と較正の結果とに基づいて、圧着ツール34による部品5の圧着を制御する。これにより、部品5の基板3への圧着によって生産される実装基板の品質向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、図10に示すように、較正用具8は、下受け部36に支持されている基板3と上下方向において重ならない位置に配置されている。これにより、基板3への圧着のために上下方向に移動する部品5、およびその基板3と、較正用具8とが干渉することを抑えることができる。さらに、較正用具8は、下受け部36における基板3の縁部に接する支持面36aよりも低い位置に配置されている。例えば、図10の(d)に示すように、基板3に圧着される部品5が、基板3の縁部からY軸方向正側に突き出ていても、較正用具8は支持面36aよりも低い位置にあるため、その部品5と較正用具8とが干渉することを抑えることができる。
図11は、基板3および部品5の外観の一例を示す図である。
図11の(a)に示すように、基板3には、複数のリードなどの電極からなる電極部4と、その電極部4をX軸方向に挟むように配置される一対のアライメントマークMbとが形成されている。そして、電極部4を覆うようにACF91が基板3に貼り付けられている。
制御部2aは、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像によって生成される基板撮像データと、カメラピッチCpに対する較正結果とを用いて、その一対のアライメントマークMbの間の距離である基板マーク間ピッチAを測定する。
また、図11の(b)に示すように、部品5には、複数のリードなどの電極からなる電極部6と、その電極部6をX軸方向に挟むように配置される一対のアライメントマークMcとが形成されている。
制御部2aは、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rのそれぞれの撮像によって生成される部品撮像データと、カメラピッチCpに対する較正結果とを用いて、その一対のアライメントマークMcの間の距離である部品マーク間ピッチBを測定する。
図12は、基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBの測定を説明するための図である。なお、図12の(a)は、2つの基板撮像データの画像を示し、図12の(b)は、2つの部品撮像データの画像を示す。
図12の(a)に示すように、第1のカメラ39Lの基板撮像データによって示される撮像範囲DLの画像には、アライメントマークMbが映し出されている。同様に、第2のカメラ39Rの基板撮像データによって示される撮像範囲DRの画像にも、アライメントマークMbが映し出されている。
制御部2aは、撮像範囲DLの中心から、その撮像範囲DLにあるアライメントマークMbの中心までのX軸方向における距離hLを特定する。さらに、制御部2aは、撮像範囲DRの中心から、その撮像範囲DRにあるアライメントマークMbまでのX軸方向における距離hRを特定する。そして、撮像範囲DLの中心と撮像範囲DRの中心との距離は、カメラピッチCpであって、そのカメラピッチCpに対する較正は既に行われている。つまり、そのカメラピッチCpは正しく測定されている。したがって、制御部2aは、基板マーク間ピッチAを、A=Cp+(hL+hR)によって算出する。これにより、基板マーク間ピッチAを正しく測定することができる。
また、図12の(b)に示すように、第1のカメラ39Lの部品撮像データによって示される撮像範囲DLの画像には、アライメントマークMcが映し出されている。同様に、第2のカメラ39Rの部品撮像データによって示される撮像範囲DRの画像にも、アライメントマークMcが映し出されている。
制御部2aは、撮像範囲DLの中心から、その撮像範囲DLにあるアライメントマークMcまでのX軸方向における距離iLを特定する。さらに、制御部2aは、撮像範囲DRの中心から、その撮像範囲DRにあるアライメントマークMcまでのX軸方向における距離iRを特定する。そして、撮像範囲DLの中心と撮像範囲DRの中心との距離は、カメラピッチCpであって、そのカメラピッチCpに対する較正は既に行われている。つまり、そのカメラピッチCpは正しく測定されている。したがって、制御部2aは、部品マーク間ピッチBを、B=Cp+(iL+iR)によって算出する。これにより、部品マーク間ピッチBを正しく測定することができる。
なお、図12において、撮像範囲DLの中心を基準とするアライメントマークのX軸方向正側へのずれを示す距離は、負の値であって、アライメントマークのX軸方向負側へのずれを示す距離は、正の値である。また、撮像範囲DRの中心を基準とするアライメントマークのX軸方向正側へのずれを示す距離は、正の値であって、アライメントマークのX軸方向負側へのずれを示す距離は、負の値である。
ここで、本実施の形態における制御部2aは、測定された基板マーク間ピッチAおよび部品マーク間ピッチBのそれぞれが許容範囲内であれば、プロセスコントロールを行う。一方、制御部2aは、測定された基板マーク間ピッチAおよび部品マーク間ピッチBのうちの少なくとも一方が許容範囲外であれば、圧着ツール34による部品5の基板3への圧着を禁止する。つまり、本実施の形態では、制御部2aは、一対のアライメントマークの撮像の結果と較正の結果とに基づいて、その一対のアライメントマーク間の距離を測定し、測定された距離が許容範囲外であるか否かを判定し、その距離が許容範囲外であると判定された場合には、圧着ツール34による部品5の圧着を禁止する。したがって、基板3または部品5の電極部の位置のばらつきによって、その位置が正しい位置から大きくずれているような場合には、その基板3または部品5を用いた圧着を禁止することによって、低品質の実装基板が生産されてしまうことを抑制することができる。例えば、制御部2aは、部品マーク間ピッチBが許容範囲外であれば、その部品5の圧着を禁止し、廃棄処理部38に対してその部品5の廃棄処理を実行させる。
[プロセスコントロール]
理想的には、部品5とその部品5が圧着される基板3とでは、基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBとは等しい。しかし、部品5および基板3のそれぞれでピッチにばらつきがある。プロセスコントロールは、その基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBとの差分Δに基づいて、部品5の基板3への圧着に用いられるパラメータを調整する処理である。差分Δは、差分Δ=(基板マーク間ピッチA)-(部品マーク間ピッチB)によって算出される。制御部2aは、仮圧着部30による部品5の基板3への仮圧着に用いられる複数種のパラメータを、その差分Δに応じて調整し、その調整後の複数種のパラメータにしたがって仮圧着部30を制御する。さらに、制御部2aは、本圧着部40による部品5の基板3への本圧着に用いられる複数種のパラメータを、その差分Δに応じて調整し、その調整後の複数種のパラメータにしたがって本圧着部40を制御する。
図13は、プロセスコントロールの概要を説明するための図である。
例えば、本圧着部40における本圧着では、ヒータなどによって加熱された圧着ツール43が降下し、その圧着ツール43は、基板3に仮圧着されている部品5を、その基板3側に押圧する。その基板3は、下受け部46によって下方から支持されている。その結果、部品5、ACF91および基板3は、圧着ツール43と下受け部46との間に挟み込まれて、上下方向から押圧される。これにより、部品5の電極部6と基板3の電極部4とがACF91を介して電気的に導通する。
ここで、基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBとの差分Δが大きい場合には、部品5が基板3に本圧着されても、部品5の電極部6と基板3の電極部4とが適切に導通しない可能性がある。また、部品5が例えばTCPのようにフィルムなどによって構成されている場合には、その部品5は、圧力または熱による影響によって変形し易い。したがって、圧着ツール43が加熱されながら部品5を押圧すると、その部品5は、その圧着ツール43から受ける熱と圧力とによって、X軸方向およびY軸方向に伸びることがある。
そこで、プロセスコントロールでは、上述の差分Δに応じて、その部品5の基板3への圧着に用いられる温度および荷重などのパラメータを調整することによって、この部品5の変形を促進または抑制して、部品5の電極部6と基板3の電極部4とを適切に導通させることができる。
図14は、プロセスコントロールによって調整される複数種のパラメータを示す図である。
仮圧着に用いられる複数種のパラメータは、例えば、荷重速度、荷重の最大値、圧着ツール34の温度の最大値、下受け部36の温度の最大値、圧着ツール34の温度と下受け部36の温度との差、および、圧着ツール34の下降速度である。荷重速度は、圧着ツール34が部品5および基板3にかける荷重の単位時間あたりの変化量である。荷重の最大値は、圧着ツール34が部品5および基板3にかける荷重の最大値である。圧着ツール34の温度の最大値は、ヒータなどによって加熱される圧着ツール34の温度の最大値である。下受け部36の温度の最大値は、ヒータなどによって加熱される下受け部36の温度の最大値である。
本圧着に用いられる複数種のパラメータも、仮圧着に用いられる複数種のパラメータと同様である。つまり、本圧着に用いられる複数種のパラメータは、例えば、荷重速度、荷重の最大値、圧着ツール43の温度の最大値、下受け部46の温度の最大値、圧着ツール43の温度と下受け部46の温度との差、および、圧着ツール43の下降速度である。荷重速度は、圧着ツール43が部品5および基板3にかける荷重の単位時間あたりの変化量である。荷重の最大値は、圧着ツール43が部品5および基板3にかける荷重の最大値である。圧着ツール43の温度の最大値は、ヒータなどによって加熱される圧着ツール43の温度の最大値である。下受け部46の温度の最大値は、ヒータなどによって加熱される下受け部46の温度の最大値である。
制御部2aは、図14に示すように、差分Δが基準範囲内であれば、パラメータの種別に予め対応付けられている基準値を、そのパラメータに設定する。一方、制御部2aは、差分Δが基準範囲外であれば、そのパラメータの種別に予め定められている基準値から増加または減少した値を、そのパラメータに設定する。基準範囲は、例えば-1μm以上でかつ1μm以下であってもよい。
例えば、仮圧着における荷重速度のパラメータについては、制御部2aは、差分Δが基準範囲よりも小さければ、そのパラメータに予め定められている基準値よりも大きい値を、そのパラメータに設定する。逆に、制御部2aは、差分Δが基準範囲よりも大きければ、そのパラメータに予め定められている基準値よりも小さい値を、そのパラメータに設定する。仮圧着における荷重の最大値、および下受け部36の温度の最大値のそれぞれのパラメータについても、上述の荷重速度のパラメータと同様に値が設定される。
また、仮圧着における圧着ツール34の温度の最大値のパラメータについては、制御部2aは、差分Δが基準範囲よりも小さければ、そのパラメータに予め定められている基準値よりも小さい値を、そのパラメータに設定する。逆に、制御部2aは、差分Δが基準範囲よりも大きければ、そのパラメータに予め定められている基準値よりも大きい値を、そのパラメータに設定する。仮圧着における圧着ツール34の温度と下受け部36の温度との差、および、圧着ツール34の下降速度のそれぞれのパラメータについても、上述の圧着ツール43の温度の最大値のパラメータと同様に値が設定される。
また、本圧着の各種パラメータについても、仮圧着の各種パラメータと同様に値が設定される。
制御部2aは、このように値が設定された各種パラメータにしたがって仮圧着部30および本圧着部40を制御する。これにより、部品5の電極部6と基板3の電極部4とを適切に導通させることができ、実装基板の品質向上を図ることができる。
[廃棄処理]
圧着ツール34に吸着されている部品5の部品マーク間ピッチBが許容範囲外であれば、制御部2aは、圧着ツール34によるその部品5の基板3への圧着を禁止する。このときには、制御部2aは、さらに、廃棄処理部38に対して部品5の廃棄処理を実行させる。このとき、廃棄のために、廃棄処理部38は、その部品5を圧着ツール34から受け取る。
図15は、圧着ツール34から廃棄処理部38に部品5が受け渡される工程を時系列に沿って示す図である。なお、図15は、仮圧着部30を奥側(すなわちY軸方向正側)から見た状態を示す。また、本実施の形態における廃棄処理部38は、軸駆動部38bと、可動軸38cと、回収ステージ38aとを備える。軸駆動部38bは、可動軸38cをX軸方向に往復運動させる。回収ステージ38aは、可動軸38cの先端に取り付けられ、部品5が載置されるように構成されている。
まず、圧着ツール34は、図15の(a)に示すように、部品5を吸着して保持している。また、廃棄処理部38は、可動軸38cが軸駆動部38bの内部に収められた状態にある。つまり、回収ステージ38aは原点位置にある。このとき、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、下受け部36を介して、その圧着ツール34に保持されている部品5を撮像する。制御部2aは、その撮像によって得られる部品5の部品撮像データに基づいて、その部品5の部品マーク間ピッチBを測定する。ここで、部品マーク間ピッチBが許容範囲内にない場合に、制御部2aは、その部品5に対して廃棄処理が必要であると判断する。
その結果、制御部2aは、部品5を廃棄するために廃棄処理部38を制御する。廃棄処理部38は、制御部2aによる制御によって、図15の(b)に示すように、軸駆動部38bから可動軸38cを引き出させ、回収ステージ38aをX軸方向正側に移動させる。これにより、回収ステージ38aは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間に進入する。このとき、圧着ツール34に保持されている部品5は、回収ステージ38aとZ軸方向に対向する。
次に、圧着ツール34は、図15の(c)に示すように、Z軸方向に沿って降下する。その結果、圧着ツール34に保持されている部品5は、回収ステージ38aと接触する。
次に、圧着ツール34は、図15の(d)に示すように、その部品5の吸着を停止することによって部品5を解放し、Z軸方向に沿って上昇する。これにより、部品5は、回収ステージ38aに載置される。
そして、廃棄処理部38は、図15の(e)に示すように、可動軸38cを軸駆動部38bの内部に引き込ませ、回収ステージ38aをX軸方向負側に移動させる。その結果、回収ステージ38aは、圧着ツール34と下受け部36との間の空間から退避し、上述の原点位置に戻る。したがって、回収ステージ38aに載置されている部品5も、回収ステージ38aと共に移動し、その空間から退避して、原点位置に到達する。作業者は、この原点位置にある回収ステージ38aに載置されている部品5を仮圧着部30の外に取り出す。
[部品圧着装置の処理フロー]
図16は、本実施の形態における部品圧着装置100の全体的な処理工程を示すフローチャートである。
まず、部品圧着装置100の制御部2aは、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rを制御することによって、カメラピッチCpの較正を行う(ステップS11)。その後、制御部2aは、例えばモータなどのアクチュエータを制御することによって、その第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39RをY軸方向に沿って移動させる(ステップS12)。この移動によって、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rは、圧着ツール34の下方に配置される。また、圧着ツール34は、部品供給部33から供給されて部品移動部35によって移動された部品5を吸着して保持する(ステップS13)。
次に、制御部2aは、その圧着ツール34に吸着されている部品5の一対のアライメントマークMcを、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させ、その撮像の結果に基づいて部品マーク間ピッチBを測定する(ステップS14)。そして、制御部2aは、その部品マーク間ピッチBが許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS15)。ここで、制御部2aは、その部品マーク間ピッチBが許容範囲内でないと判定すると(ステップS15のNo)、その部品5の圧着を禁止する(ステップS16)。そして、制御部2aは、廃棄処理部38を制御することにより、その部品5の廃棄処理を実行させる(ステップS17)。
一方、制御部2aは、部品マーク間ピッチBが許容範囲内であると判定すると(ステップS15のYes)、ステージ37に保持されている基板3を下受け部36側に移動させる(ステップS18)。この移動によって、基板3の一対のアライメントマークMbが、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rの下方に配置される。
次に、制御部2aは、その基板3の一対のアライメントマークMbを第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39Rに撮像させ、その撮像の結果に基づいて基板マーク間ピッチAを測定する(ステップS19)。そして、制御部2aは、その基板マーク間ピッチAが許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、制御部2aは、その基板マーク間ピッチAが許容範囲内でないと判定すると(ステップS20のNo)、その基板3への圧着を禁止する(ステップS21)。このとき、制御部2aは、その基板3を保持しているステージ37を下受け部36から離し、その基板3のステージ37からの取り外しを作業者に通知してもよい。
一方、制御部2aは、基板マーク間ピッチAが許容範囲内であると判定すると(ステップS20のYes)、測定された基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBとの差分Δを特定する(ステップS22)。そして、制御部2aは、部品5の一対のアライメントマークMcと、基板3の一対のアライメントマークMbとが重なるように、ステージ37の位置を調整しながら、圧着ツール34に部品5の基板3への仮圧着を実行させる。このとき、制御部2aは、基板マーク間ピッチAと部品マーク間ピッチBとの差分Δに応じたプロセスコントロールを行いながら、圧着ツール34に部品5の基板3への仮圧着を実行させる(ステップS23)。なお、制御部2aは、その差分Δに応じたプロセスコントロールによる部品5の本圧着を、本圧着部40に実行させてもよい。
このように、本実施の形態では、カメラピッチCpの較正が行われる。したがって、そのカメラピッチCpの較正の結果と、基板3および部品5の一対のアライメントマークの撮像の結果とに基づいて、その一対のアライメントマーク間の距離を正しく測定することができる。その結果、基板3および部品5のそれぞれの電極部の位置、リードの位置、またはリード間ピッチのばらつきを適切に把握および管理することができる。そして、部品5の廃棄処理のように、そのばらつきに応じた部品5の圧着の制御が行われるため、実装基板の品質向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、較正用具8は、固定されている下受け部36に備えられているため、較正用具8の位置ずれ、すなわち少なくとも1つの較正マークMaの位置ずれを抑えることができる。その結果、一対のアライメントマーク間の距離をより正しく測定することができ、実装基板の品質向上をさらに図ることができる。
また、本実施の形態では、一対のアライメントマークの撮像が行われるときと、カメラピッチCpの較正が行われるときとで、そのカメラピッチCpは実質的に同一である。したがって、その一対のアライメントマーク間の距離、すなわち、基板マーク間ピッチAおよび部品マーク間ピッチBをより正しく測定することができる。
また、本実施の形態では、較正用具8には、一対の撮像範囲DLおよびDRの可動方向であるX軸方向に沿って複数の較正マークMaが配列されている。これにより、例えば、基板3および部品5の種類などに応じて、その一対の撮像範囲DLおよびDRの間の距離が調整される場合であっても、その一対の撮像範囲DLおよびDR内のそれぞれに較正マークMaを収めることができる。その結果、基板3および部品5の種類に関わらず、基板マーク間ピッチAおよび部品マーク間ピッチBのそれぞれの距離を正しく測定することができ、実装基板の品質向上を図ることができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、較正用具8は、下受け部36の上面に配置されている。しかし、下受け部36はその上面に配置されていなくてもよい。
図17は、本変形例における較正用具8の配置例を示す図である。
本変形例では、図17に示すように、較正用具8は、下受け部36の下方に配置されている。この場合には、下受け部36には貫通部h2が形成されていなくてもよい。
このように、本変形例では、較正用具8が下受け部36の下方に配置されているため、下受け部36の上面に配置される基板3が、較正用具8と干渉することをさらに抑制することができる。また、圧着ツール34に保持されている部品5に、フィルムなどの柔らかい材料が用いられ、その部品5がY軸方向正側に長く形成されている場合には、その部品5の一部が、垂れ下がり、下受け部36の非支持面36bに覆い被さる可能性がある。つまり、圧着ツール34が仮圧着のために下受け部36の支持面36aに向かって降下すると、その圧着ツール34に保持されている部品5のY軸方向正側の部分が、非支持面36bに覆い被さる。このとき、較正用具8が下受け部36の非支持面36bに配置されている場合には、その較正用具8は、上述の部品5のY軸方向正側の部分に干渉してしまう可能性がある。しかし、本変形例では、較正用具8は、下受け部36の下方に配置されているため、較正用具8と部品5との干渉もさらに抑制することができる。
(変形例2)
上記実施の形態では、仮圧着部30の部品供給部33は、TCPなどの帯状部品収納体から部品5を打ち抜いて供給するが、トレイに載置されている部品5を供給してもよい。
図18は、本変形例に係る部品実装ライン1の平面図である。具体的には、図18は、部品実装ライン1を上方から見た構成を示す。
本変形例に係る部品実装ライン1は、上記実施の形態と同様、基板搬入部10、貼着部20、本圧着部40、基板搬出部50、および搬送部60を備え、さらに、仮圧着部30の代わりに仮圧着部30Aを備える。つまり、本変形例に係る部品圧着装置100は、仮圧着部30Aと、コンピュータ2の制御部2aとから構成される。
仮圧着部30Aは、上記実施の形態の部品供給部33の代わりに、部品供給部33Hを備える。
部品供給部33Hには、2つのトレイセットがX軸方向に沿って配置される。トレイセットは、複数のトレイ7からなり、これらのトレイ7はZ軸方向に沿って段積みされている。また、これらのトレイ7には、複数の部品5が例えばマトリクス状に載置されている。部品供給部33Hは、トレイ7ごと複数の部品5を供給する。
本変形例における部品移動部35は、部品供給部33Hから供給される、複数の部品5が載置されているトレイ7をY軸方向負側に移動させる。
また、本変形例における部品搭載機構32は、圧着ツール34と、移動機構35aと、下受け部36とを備える。移動機構35aは、圧着ツール34をX軸方向およびY軸方向に移動させる。したがって、圧着ツール34は、移動機構35aによってX軸方向およびY軸方向に移動し、トレイ7に載置されている圧着対象の部品5の上で停止する。その後、圧着ツール34は、降下してその圧着対象の部品5を吸着して保持しながら上昇する。そして、圧着ツール34は、移動機構35aによってX軸方向およびY軸方向に移動し、下受け部36の上で停止する。圧着ツール34は、降下して、下受け部36に支持されている基板3の圧着対象部位にその部品5を圧着する。
このような本変形例に係る部品実装ライン1における部品圧着装置100でも、上記実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。つまり、本変形例に係る部品実装ライン1は、較正用具8を備え、第1のカメラ39Lおよび第2のカメラ39RのカメラピッチCpの較正を行ってもよい。そして、圧着ツール34に保持されている部品5の部品マーク間ピッチBが許容範囲外であれば、廃棄処理部38は、その部品5に対して廃棄処理を実行してもよい。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態およびその変形例に施したものや、上記実施の形態およびその変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、較正用具8には複数の較正マークMaが形成されているが、1つの較正マークMaだけが形成されていてもよい。また、較正マークMaは、円形または四角形の形状でなく、他の形状であってもよい。さらに、複数の較正マークMaは目盛りであってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品5の一対のアライメントマークMcの撮像と、基板3の一対のアライメントマークMbの撮像とが行われるが、何れか一方の撮像だけが行われてもよい。この場合には、基板マーク間ピッチAおよび部品マーク間ピッチBのうちの何れか一方のみが測定され、その測定結果に基づいて部品5の圧着が制御される。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品5および基板3のアライメントマークの撮像が行われるときと、較正用具8の撮像が行われるときとで、そのカメラピッチCpは変更されておらず、実質的に同一である。しかし、そのカメラピッチCpは変更されてもよい。つまり、カメラピッチCpの較正では、カメラピッチCpと目標ピッチCptとの間の関係が特定される。つまり、目標ピッチCptに対する実際のカメラピッチCpのずれ量が特定される。したがって、カメラピッチCpが他の目標ピッチCptに一致するように変更されても、他の目標ピッチCptにずれ量を反映させれば、変更後のカメラピッチCpを正しく特定することができる。上述の他の目標ピッチCptが、部品5および基板3の一対のアライメントマーク間の距離に応じたピッチであれば、部品5および基板3のアライメントマークの撮像が行われるときにも、そのときのカメラピッチCpを正しく特定することができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品5の撮像後に、基板3の撮像が行われるが、逆に、基板3の撮像後に、部品5の撮像が行われてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、仮圧着および本圧着のそれぞれに対してプロセスコントロールが行われてもよく、仮圧着のみに対して、または本圧着のみに対してプロセスコントロールが行われてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、部品圧着装置100は、仮圧着部30と、コンピュータ2の制御部2aとからなるが、さらに、本圧着部40を備えていてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、基板マーク間ピッチAに対する許容範囲と、部品マーク間ピッチBに対する許容範囲とは、同一であってもよく異なっていてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例におけるカメラピッチCpの較正のタイミングは、部品5の圧着の前であればよく、どのようなタイミングであってもよい。ステージ37に基板3が載置されるたびに、または、予め定められた期間が経過するたびに、カメラピッチCpの較正が行われてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、基板3はディスプレイパネルであって、そのディスプレイパネルに部品5が仮圧着および本圧着されるが、基板3はディスプレイパネル以外の基板であってもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、コンピュータ2の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。例えば、プログラム実行部は、図16に示すフローチャートに含まれる各ステップを仮圧着部30に実行させる。
また、コンピュータ2の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。