JP7487541B2 - ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7487541B2
JP7487541B2 JP2020075497A JP2020075497A JP7487541B2 JP 7487541 B2 JP7487541 B2 JP 7487541B2 JP 2020075497 A JP2020075497 A JP 2020075497A JP 2020075497 A JP2020075497 A JP 2020075497A JP 7487541 B2 JP7487541 B2 JP 7487541B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
loss tangent
blade
maximum value
layer
toner
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020075497A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021173800A (ja
Inventor
都宏 小倉
幸夫 細谷
泰樹 雨宮
輝夫 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2020075497A priority Critical patent/JP7487541B2/ja
Priority to US17/224,102 priority patent/US11188020B2/en
Publication of JP2021173800A publication Critical patent/JP2021173800A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7487541B2 publication Critical patent/JP7487541B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G21/00Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge
    • G03G21/0005Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium
    • G03G21/0011Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium using a blade; Details of cleaning blades, e.g. blade shape, layer forming
    • G03G21/0029Details relating to the blade support
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G21/00Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge
    • G03G21/0005Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium
    • G03G21/0011Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium using a blade; Details of cleaning blades, e.g. blade shape, layer forming
    • G03G21/0017Details relating to the internal structure or chemical composition of the blades
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/02Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for laying down a uniform charge, e.g. for sensitising; Corona discharge devices
    • G03G15/0258Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for laying down a uniform charge, e.g. for sensitising; Corona discharge devices provided with means for the maintenance of the charging apparatus, e.g. cleaning devices, ozone removing devices G03G15/0225, G03G15/0291 takes precedence
    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G21/00Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge
    • G03G21/0005Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium
    • G03G21/0011Arrangements not provided for by groups G03G13/00 - G03G19/00, e.g. cleaning, elimination of residual charge for removing solid developer or debris from the electrographic recording medium using a blade; Details of cleaning blades, e.g. blade shape, layer forming

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Plasma & Fusion (AREA)
  • Cleaning In Electrography (AREA)

Description

本発明は、ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、感光体に形成されたトナー像が中間転写体に転写される。画像形成装置には、クリーニング部が設けられており、このクリーニング部により、転写後の感光体に残存する残トナーが清掃される。クリーニング部は、例えば、感光体表面に当接されるブレードを含んでいる(例えば、特許文献1参照)。
特開2016-167042号公報
このようなブレードは、温度、湿度および周波数等の使用環境が変動しても、所定のクリーニング機能を維持することが望ましい。即ち、ブレードでは、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが望まれている。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが可能なブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の手段によって達成される。
トナー像担持体のクリーニングを行うブレードの製造方法であって、
前記トナー像担持体に当接される当接層と、前記当接層を支持する支持層とを積層することを含み、
前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接(Tanδ)と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、ブレードの製造方法:
ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
また、本発明の上記課題は、以下の手段によっても達成される。
トナー像担持体のクリーニングを行うブレードであって、
前記トナー像担持体に当接される当接層と、
前記当接層を支持する支持層とを備え、
前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、ブレード:
ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
また、本発明の上記課題は、上記トナー像担持体および上記ブレードを備えた画像形成装置によっても達成される。
また、本発明の上記課題は、以下の手段によっても達成される。
トナー像担持体から被転写体にトナー像を転写することと、
前記転写後に、前記トナー像担持体にブレードを当接させて前記トナー像担持体のクリーニングを行うこととを含み、
前記ブレードが、
前記トナー像担持体に当接される当接層と、
前記当接層を支持する支持層とを有し、
前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、画像形成方法:
ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
本発明に係るブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法によれば、ブレードの1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たすので、使用環境が変動しても、ブレードとトナー像担持体との当接状態が維持され、トナー像担持体が安定的に清掃される。よって、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが可能となる。
実施形態に係る画像形成装置の全体構成の概略を示す図である。 図1に示した画像形成ユニットの要部の構成の一例を表す図である。 図2に示したブレードの断面構成を表す模式図である。 図3に示したブレードの第1損失正接、第2損失正接および最大値Dについて説明するための図である。 図3に示したブレードの製造方法の一工程を表す断面図である。 図5Aに続く工程を表す断面図である。 図2に示した感光体とトナーとの関係について説明するための図である。 変形例に係る画像形成装置の要部の構成を表す図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。さらに、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
<実施形態>
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の一形態に係る画像形成装置を説明する。ただし、本発明は以下で説明する一形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の一形態に係る電子写真方式の画像形成装置100の構成の一例を示す断面概略図である。画像形成装置100は、装置本体Aと、装置本体Aの上部に設けられた原稿画像読み取り装置SCとを有している。画像形成装置100は、例えば、タンデム型カラー画像形成装置であり、装置本体Aは、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、無端ベルト状中間転写体ユニット7、給紙カセット20、給紙部21、レジストローラー23および定着部24等を有している。
(画像形成ユニット)
画像形成ユニット10Yでは、イエロー色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Y、帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、一次転写ローラー(一次転写部)5Yおよびクリーニング部6Yを含んでいる。帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Y、一次転写ローラー(一次転写部)5Y、およびクリーニング部6Yは、感光体1Yの周囲に、感光体1Mの回転方向(図1の矢印方向、例えば、紙面反時計回り方向)に沿ってこの順に配置されている。
画像形成ユニット10Mでは、マゼンタ色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電部2M、露光部3M、現像部4M、一次転写ローラー(一次転写部)5Mおよびクリーニング部6Mを含んでいる。帯電部2M、露光部3M、現像部4M、一次転写ローラー(一次転写部)5M、およびクリーニング部6Mは、感光体1Mの周囲に、感光体1Mの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
画像形成ユニット10Cでは、シアン色の画像が形成される。この画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電部2C、露光部3C、現像部4C、一次転写ローラー(一次転写部)5Cおよびクリーニング部6Cを含んでいる。帯電部2C、露光部3C、現像部4C、一次転写ローラー(一次転写部)5C、およびクリーニング部6Cは、感光体1Cの周囲に、感光体1Cの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
画像形成ユニット10Bkでは、黒色画像が形成される。この画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電部2Bk、露光部3Bk、現像部4Bk、一次転写ローラー(一次転写部)5Bkおよびクリーニング部6Bkを含んでいる。帯電部2Bk、露光部3Bk、現像部4Bk、一次転写ローラー(一次転写部)5Bkおよびクリーニング部6Bkは、感光体1Bkの周囲に、感光体1Bkの回転方向に沿ってこの順に配置されている。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
図2は、画像形成ユニット10Yの要部の構成の一例を表す断面図である。画像形成ユニット10Yでは、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像が形成される。例えば、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電部2Y、現像部4Y、およびクリーニング部6Yが一体化されている。画像形成ユニット10Yは、例えば、感光体1Yの周囲の一次転写ローラー5Yとクリーニング部6Yとの間に、更に、滑剤供給部116Yを有している。
感光体1Yの具体的な構成については後述する。
帯電部2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える役割を担っている。帯電部2Yは、例えば、非接触式の帯電装置により構成されている。非接触式の帯電装置としては、例えば、スコロトロンなどのコロナ放電型の帯電器等が挙げられる。
露光部3Y(図1)は、帯電部2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行う。これにより、露光部3Yでは、イエローの画像に対応する静電潜像が形成される。露光部3Yは、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に配列された発光素子と結像素子とを有している。発光素子は、例えばLED(Light Emitting Diode)等を含んでいる。露光部3Yは、レーザー光学系を有していてもよい。
現像部4Y(図1)は、例えば、現像スリーブおよび電圧印加装置を含んでいる。現像スリーブには、マグネットが内蔵されている。現像スリーブは、現像剤を保持して回転する。電圧印加装置は、この現像スリーブと感光体1Yとの間に直流および/または交流バイアス電圧を印加する。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。ここでは、一次転写ローラー5Yが本発明の転写部の一具体例に対応し、中間転写体70が本発明の被転写体の一具体例に対応する。
滑剤供給部116Yは、感光体1Yの表面に滑剤(後述の滑剤122)を供給する(塗布する)。滑剤供給部116Yは、例えば、一次転写ローラー5Yの下流側かつクリーニング部6Yの上流側に設けられている。滑剤供給部116Yの位置は、他の位置であってもよく、例えば、クリーニング部6Yの下流側であってもよい。滑剤供給部116Yは、ブラシローラー121、固形状の滑剤122および加圧バネ123を有している。
ブラシローラー121は、滑剤122を感光体1Yの表面に塗布する。ブラシローラー121は、例えば基布に繊維の束をパイル糸として織り込んだパイル織り生地をリボン状生地にし、起毛した面を外側にして金属製シャフトの周囲に螺旋状に巻き付け、接着することにより形成されている。このブラシローラー121では、例えばポリプロピレンなどの樹脂製のブラシ繊維が長尺の織布に高密度に植設されており、この織布がローラー基体の周面に設けられている。
ブラシ毛には、滑剤の塗布能力の観点から、直毛タイプを用いることが好ましい。直毛タイプは、金属製シャフトに対し垂直方向に起毛させる。ブラシ毛に用いる糸は、フィラメント糸であることが望ましく、材料としては、6-ナイロン、12-ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、ビニロン等の合成樹脂が挙げられ、導電性を高める目的でカーボンやニッケル等の金属が練り込まれていてもよい。ブラシ繊維の太さは例えば3~7デニール、ブラシ繊維の毛長は、例えば2~5mm、ブラシ繊維の電気抵抗率は、例えば1×1010Ω以下、ブラシ繊維のヤング率は4900~9800N/mm、ブラシ繊維の植設密度(単位面積あたりのブラシ繊維数)は、例えば5万~20万本/平方インチ(50k~200k本/inch)であることが好ましい。ブラシローラー121の感光体1Yに対する食込み量は、0.5~1.5mmであることが好ましい。ブラシローラー121の回転速度は、例えば感光体1Yの周速比で0.3~1.5である。ブラシローラー121の回転方向は、感光体1Yの回転方向と同じ方向の回転および逆の方向の回転のどちらであってもよい。
加圧バネ123は、滑剤122を介してブラシローラー121を感光体1Yに押圧する。例えば、ブラシローラー121の感光体1Yに対する押圧力が、例えば0.5~1.0Nとなるよう、加圧バネ123は滑剤122を押圧する。
滑剤供給部116Yでは、滑剤122の消費量を所望の範囲に調整するため、例えば滑剤122のブラシローラー121に対する押圧力およびブラシローラー121の回転速度が調整されている。例えば、感光体1Y表面の累積長さ1km当たりに対する滑剤122の消費量が、0.04~0.27g/kmであることが好ましく、0.04~0.15g/kmであることがより好ましい。
滑剤122の種類としては、特に制限されず、公知のものを適宜選択することができるが、脂肪酸金属塩を含有することが好ましい。
脂肪酸金属塩としては、炭素数10以上の飽和または不飽和脂肪酸の金属塩が好ましく、例えば、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸アルミニウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛およびリシノール酸カドミウムなどが挙げられる。これらの中でも、滑剤としての効果や入手容易性、コスト等の観点から、ステアリン酸亜鉛が特に好ましい。
上記では、ブラシローラー121によって固形状の滑剤122を感光体1Y表面に塗布する滑剤供給部116Yを説明したが、滑剤供給部116Yは、トナーの作製時にトナー母体粒子に微粉状の滑剤を外部添加してもよい。このような滑剤供給部116Yでは、現像部4Yにおいて形成される現像電界の作用により、感光体1Y表面に滑剤が供給される。
クリーニング部6Yは、ブレード61およびスクリュー62を含んでいる。ブレード61は、感光体1Y表面に当接して感光体1Y表面を清掃する平板状の部材である。ブレード61は、感光体1Yの回転軸方向に延在する平板形状を有している。ブレード61は、感光体1Yの回転方向に対してカウンター方向に当接している。このブレード61が感光体1Y表面を押圧することにより、転写後の感光体1Y表面に残存するトナー(残トナー)等がかき取られる。感光体1Y表面からかき取られた残トナー等は、例えば、スクリュー62により、画像形成装置100の外部に排出される。ブレード61とともに、ブラシローラー121が感光体1Y表面の残トナーをかき取ってもよい。
図3は、ブレード61の一部の断面構成を表している。ブレード61は、例えば、当接層611および支持層612の2層からなる積層構造を有している。当接層611が感光体1Y表面に当接し、支持層612と感光体1Y表面との間には当接層611が介在している。ブレード61は、例えば、支持層612側で支持部材(図示せず)に支持されている。当接層611および支持層612は、例えば、ポリウレタン等の弾性ゴム材料を含んでいる。ここでは、感光体1Yが本発明のトナー像担持体の一具体例に対応し、ブレード61が本発明のブレードの一具体例に対応する。
ブレード61では、温度、湿度および周波数等の使用環境が変動しても、感光体1Y表面への当接状態が安定して維持されることが好ましい。これにより、クリーニング性の低下が抑えられ、所望のクリーニング性を維持しやすくなる。
本実施形態では、ブレード61の1Hzでの第1損失正接(Tanδ)と、100Hzでの第2損失正接(Tanδ)との差の最大値Dが、以下の式(1)を満たしている。
ただし、最大値Dは0℃~50℃の各温度における第1損失正接と第2損失正接との差の最大値である。
最大値Dが上記式(1)を満たさない場合、環境変動に起因してブレードと感光体表面との当接状態を安定して維持することが困難となるおそれがある。例えば、最大値Dが0.7を超える場合、ブレードの粘性的な特性が強くなりやすい。このとき、温度変化およびマシン由来の振動(機内振動)変化に起因してブレートと感光体表面との当接状態が不安定になり、感光体表面の残トナー等を十分に除去できないおそれがある。一方、最大値Dが0.2よりも小さい場合には、ブレードの弾性的な特性が大きくなりやすい。このとき、ブレード自身の振動、いわゆる、ステックスリップが発生しやすく、ブレードと感光体表面との当接状態が不安定になりやすい。詳細は後述するが、最大値Dが上記式(1)を満たすようにすることで、使用環境が変動しても、ブレード61が感光体1Yを清掃する際の感光体1Yとブレード61との当接状態が安定して維持される。なお、第1損失正接および第2損失正接は、動的損失弾性率/動的貯蔵弾性率で表される。
図4は、第1損失正接、第2損失正接および最大値Dの一例を表している。図4中、縦軸は損失正接(Tanδ)、横軸は温度(℃)を表す。図4の実線は、ブレード61の1Hzでの損失正接、即ち、第1損失正接の温度変化を表す。図4の破線は、ブレード61の100Hzでの損失正接、即ち、第2損失正接の温度変化を表す。図4の一点鎖線は、第1損失正接と第2損失正接との差を表す。この図4に示した例では、温度20℃付近での第1損失正接と第2損失正接との差が最大となっており、最大値Dは0.45程度である。
このような最大値Dは、更に、以下の式(2)を更に満たすことが好ましい。これにより、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
ブレード61のうち、感光体表面1Yに当接される当接層611は、0.2mm以上1.2mm以下の厚み(図3の厚みT1)を有していることが好ましく、0.4mm以上1.0mm以下の厚みを有していることがより好ましい。これにより、当接層611の厚みT1が、1.2mmよりも大きい場合に比べて、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
当接層611の1Hzでの第3損失正接と、100Hzでの第4損失正接との差の最大値D1は、以下の式(3)を満たすことが好ましい。これにより、最大値D1が、式(3)を満たさない場合に比べて、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
ただし、最大値D1は0℃~50℃の各温度における第3損失正接と第4損失正接との差の最大値である。
当接層611を支持する支持層612は、当接層611の厚みT1よりも大きい厚み(図3の厚みT2)を有していることが好ましく、例えば、当接層611の厚みT1の3倍以上4倍以下の厚みT2を有していることが好ましい。例えば、支持層612の厚みT2は、0.6mm以上2.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.8mm以下であることがより好ましい。これにより、支持層612の厚みT2が、0.6mmよりも小さい場合に比べて、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
支持層612の1Hzでの第5損失正接と、100Hzでの第6損失正接との差の最大値D2は、最大値D1よりも小さいことが好ましく、以下の式(4)を満たすことが好ましい。これにより、最大値D2が、式(4)を満たさない場合に比べて、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
ただし、最大値D2は0℃~50℃の各温度における第5損失正接と第6損失正接との差の最大値である。
最大値D1,D2が各々、上記の式(3),(4)を満たすことにより、感光体1Yとブレード61との当接状態をより安定的に維持することができる。
(ブレードの製造方法)
図5Aおよび図5Bは、ブレード61の製造工程の一例を表している。ブレード61は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、支持層612となるシート612Mを形成する(図5A)。シート612Mは、例えば、ポリウレタンにより構成されており、公知のポリウレタン成形方法を用いて形成される。例えば、シート612Mは、以下のようにして形成することができる。まず、ポリオールおよびイソシアネートの脱水処理を行った後、これらを混合して温度70~140℃で10~120分間反応させる。これにより、プレポリマーが形成される。ポリオールには、例えば、ポリカプロラクタム、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートおよびポリエチレンブチレンアジペート等を用いることができ、これら以外のものを用いてもよい。ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの異性体等を用いることができ、これら以外のものを用いてもよい。イソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。プレポリマーを形成した後、これに架橋剤等を加える。架橋剤には、低分子量ジオールおよび低分子量トリオールの混合物を用いることが好ましい。低分子量ジオールには、例えば、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコール等を用いることができ、これら以外のものを用いてもよい。低分子量トリオールには、例えば、トリメチロールプロパンおよびトリイソプロパノールアミン等を用いることができ、これら以外のものを用いてもよい。プレポリマーに架橋剤等を加えた後、これを、例えば150℃に予熱した遠心成型機の金型内に注入し、5~10分間硬化させる。これにより、シート612Mが形成される。シート612Mの厚みは、例えば、0.6mm以上2.0mm以下である。
続いて、この金型内に形成したシート612M上に、当接層611となるシート611Mを形成する(図5B)。シート611Mは、例えば、ポリウレタンにより構成されており、上記シート612Mと同様の方法で形成することができる。具体的には、前処理を行ったポリオールおよびイソシアネートに架橋剤を加えた後、これらを金型内に注入し、硬化させたシート612M上で硬化させる。硬化時間は、例えば、25~50分間である。これにより、金型内にシート611M、612Mの積層体が形成される。シート611Mの厚みは、例えば、0.2mm以上1.2mm以下である。
この後、金型からシート611M、612Mの積層体を取り出し、所望の形状にカットする。これにより、当接層611および支持層612からなるブレード61が形成される。
上記では、支持層612を作製した後に当接層611を積層する製造方法について説明したが、本発明に係るブレードの製造方法は、当接層611を作製した後に支持層612を積層する製造方法であってもよい。この際、当接層611および支持層612それぞれの形成方法は、上記と同様である。
(無端ベルト状中間転写体ユニット)
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、例えば、無端ベルト状の中間転写体70、複数のローラー71~74およびクリーニング部6bを有している(図1)。中間転写体70は、ローラー71~74に巻回され、支持されている。中間転写体70は、このローラー71~74の回転に従って、例えば時計回り(図1の矢印方向)に回転する。一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bk各々から中間転写体70に転写されたトナー像(フルカラー)は、二次転写部5bで、例えば用紙Pに転写される。二次転写部5bは、例えば、ローラー74に対向する位置に設けられている。クリーニング部6bは、転写後の中間転写体70表面の残トナー等を清掃する。クリーニング部6bは、例えば、中間転写体70表面に当接するブレードを有している。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkおよび無端ベルト状中間転写体ユニット7は、例えば、筐体8に収容されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
(給紙カセット)
給紙カセット20には、複数の用紙Pが積載されている。画像形成装置100には、例えば、複数の給紙カセット20が設けられている。
(給紙部)
給紙部21は、例えば、給紙カセット20に積載された用紙Pのうち、最上位の用紙Pを用紙搬送路に送り出す。給紙部21は、例えば、搬送ローラーを有している。給紙部21は、エアー吸引方式の給紙部であってもよい。
給紙部21とレジストローラー23との間の用紙搬送路には、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22Dが設けられている。中間ローラー22A、22B、22C、22Dは、各々、搬送ローラー対である。例えば、給紙部21側から、中間ローラー22A、中間ローラー22B、中間ローラー22Cおよび中間ローラー22Dの順に配置されている。
(レジストローラー)
レジストローラー23は、中間ローラー22Dと二次転写部5bとの間の用紙搬送路に設けられている。レジストローラー23は、例えば、レジスト駆動ローラーおよびレジスト従動ローラーからなるローラー対により構成されている。
(定着部)
定着部24は、例えば、熱ローラー定着方式の定着部であり、加熱ローラーおよび加圧ローラーを有している。加熱ローラーは、その内部に加熱源を含んでいる。加圧ローラーは、加熱ローラーに圧接して設けられており、加熱ローラーと加圧ローラーとの間に定着ニップ部が形成される。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100がカラーのプリンターであるものとしたが、モノクロのプリンター、コピー機、複合機等であってもよい。
また、画像形成装置100には、必要に応じて、滑剤122を感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面から除去する滑剤除去部がさらに設けられてもよい(図示せず)。例えば、感光体1Yの回転方向で、クリーニング部6Yの下流側かつ帯電部2Yの上流側に滑剤供給部116Yが設けられ、さらに当該滑剤供給部116Yの下流側かつ帯電部2Yの上流側に滑剤除去部が配置されていてもよい。
滑剤除去部は、例えば、除去部材を有している。例えば、この除去部材が感光体1Y表面に接触し、機械的作用によって滑剤122が除去される。除去部材には、例えば、ブラシローラーや発泡ローラーなどを用いることができる。
(トナー)
次に、感光体1Y、1M、1C、1Bk表面に付与されるトナーの構成について説明する。このトナーは、トナー母体粒子と、トナー母体粒子に外添された外添剤である金属酸化物粒子とを含む。すなわち、トナー粒子は、トナー母体粒子と、外添剤金属酸化物粒子を含む。
本明細書において、「トナー母体粒子」とは、「トナー粒子」の母体を構成するものである。「トナー母体粒子」は、少なくとも結着樹脂を含むものであり、その他必要に応じて、着色剤、離型剤(ワックス)、荷電制御剤などの他の構成成分を含有してもよい。「トナー母体粒子」は、外添剤の添加によって「トナー粒子」と称される。そして、「トナー」とは、「トナー粒子」の集合体のことをいう。
トナー母体粒子の組成および構造は、特に制限されず、公知のトナー母体粒子を適宜採用することができる。例えば、特開2018-72694号公報および特開2018-84645号公報等に記載のトナー母体粒子が挙げられる。
結着樹脂としては、特に制限されないが、例えば、非晶性樹脂または結晶性樹脂等が挙げられる。本明細書において、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂を表す。非晶性樹脂としては、特に制限されず公知の非晶性樹脂を用いることができる。例えば、ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂およびウレア樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性を制御しやすいという観点から、ビニル樹脂が好ましい。ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂およびエチレン-酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。また、本明細書において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/分で測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。結晶性樹脂としては、特に制限されず公知の結晶性樹脂を用いることができる。例えば、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリウレタン樹脂、結晶性ポリウレア樹脂、結晶性ポリアミド樹脂および結晶性ポリエーテル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。ここで、「結晶性ポリエステル樹脂」とは、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)およびその誘導体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)およびその誘導体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、上記吸熱特性を満たす樹脂である。これらの樹脂は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
着色剤としては、特に制限されず公知の着色剤を用いることができる。例えば、カーボンブラック、磁性体、染料および顔料等が挙げられる。
離型剤としては、特に制限されず公知の離型剤を用いることができる。例えば、ポリオレフィンワックス、分枝鎖状炭化水素ワックス、長鎖炭化水素系ワックス、ジアルキルケトン系ワックス、エステル系ワックスおよびアミド系ワックス等が挙げられる。
荷電制御剤としては、特に制限されず公知の荷電制御剤を用いることができる。例えば、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩または金属錯体等が挙げられる。
トナー母体粒子は、コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア-シェル構造のような多層構造のトナー粒子であってもよい。シェル層は、コア粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)または走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察部によって、確認することができる。
トナー母体粒子の個数基準のメディアン径(D50)は、0nm超であり、特に制限されないが、3,000nm以上10,000nm以下であることが好ましく、4,000nm以上7,000nm以下であることがより好ましい。この範囲であると、後述するトナー近似真球半径Rを好ましい範囲へと制御することがより容易となる。
トナー母体粒子の個数基準のメディアン径(D50)は、精密粒度分布測定装置(Multisizer3:ベックマン・コールター社製)にて測定することができる。ここで、外添剤を含むトナー粒子については、外添剤を除去した後に測定を行うことで、トナー母体粒子の個数基準のメディアン径(D50)を測定することができる。
例えば、外添剤を含むトナー粒子のメディアン径(D50)は以下の手順で測定する。まず、トナー粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー母体粒子分散液を調製する。このトナー母体粒子分散液を、サンプルスタンド内のISOTON II(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5~10質量%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定粒子カウント数を25000個に設定し、精密粒度分布測定装置(Multisizer3:ベックマン・コールター社製)のアパーチャー径を100μmとし、測定範囲1~30μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、個数積算分率が大きい方から50%の粒子径を個数基準のメディアン径(D50)とする。
なお、トナー母体粒子の個数基準のメディアン径(D50)は、トナー母体粒子の製造における粒子成長反応における各原料粒子の種類、各原料粒子の添加量、反応温度および反応時間等によって制御することができる。
本発明の一形態において、外添剤は、金属酸化物粒子(外添剤金属酸化物粒子)を含む。外添剤金属酸化物粒子は、一次転写ローラー5Yまたは二次転写部5bとトナーとの間の静電的・物理的な付着力を低減させ、転写性を向上させる機能を有する。また、残トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体1Y、1M、1C、1Bkやブレード61の摩耗を低減させる機能を有する。
特に、表面凹凸を有する凹凸紙(例えば、エンボス紙等)は、凹部は凸部と比較してトナーの転写が生じ難いことから、凹部への転写性を向上させるため、トナーに含まれる外添剤によって、転写部材と、トナーとの間の静電的、物理的な付着力を低減させている。ここでは、後述するように、外添剤の遊離が抑制されうることから、良好な凹凸紙への転写性が実現される。これより、画像形成装置100は、凹凸紙への画像形成に好適に用いることができる。
外添剤金属酸化物粒子を構成する金属酸化物の例としては、特に制限されないが、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウムおよび銅アルミ酸化物およびアンチモンドープ酸化スズ等が挙げられる。これらの中でも、シリカ(SiO)粒子、アルミナ(Al)粒子および二酸化チタン(TiO)粒子が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。これら金属酸化物粒子は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
本明細書では、外添剤金属酸化物粒子の中でも、最も個数平均一次粒子径の大きな外添剤金属酸化物粒子を「大径粒子」と称する。なお、一種の外添剤金属酸化物粒子を使用するとき、当該金属酸化物粒子が大径粒子となる。個数平均一次粒子径が同一である金属酸化物粒子を二種以上使用するときには、これらの全てが大径粒子となる。例えば、大径粒子の個数平均一次粒子径が大きくなるに従い、後述する外添剤凸部平均高さの値が大きくなり、更に、後述するトナー近似真球半径Rの値も大きくなる。
大径粒子の個数平均一次粒子径は、特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、70nm以上であることがさらに好ましい。また、大径粒子の個数平均一次粒子径は、特に制限されないが、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。このような範囲であると、後述するトナー近似真球半径Rを好ましい範囲へと制御することがより容易となる。即ち、外添剤金属酸化物粒子の少なくとも一種は、個数平均一次粒子径が70nm以上150nm以下であることが好ましい。
ここで、大径粒子の個数平均一次粒子径は、以下のように算出することができる。走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影したトナーの写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の大径粒子について2値化処理する。トナー粒子1個に対して、大径粒子50個についての水平フィレ径を算出し、上位10個の値を採用する。合計トナー粒子10個に対して上記の水平フィレ径の算出を行い、採用した大径粒子の水平フィレ径100個の値の平均値を個数平均一次粒子径とする。
なお、上記の測定において、写真画像に表れた個々の金属酸化物粒子について、組成および結晶構造が同一であれば同一の金属酸化物粒子に属するものであるとし、これらの少なくとも一方が異なるものであれば異なる金属酸化物粒子に属するものとする。
大径粒子以外の外添剤金属酸化物粒子の個数平均一次粒子径は、後述する外添剤凸部平均高さ、およびトナー近似真球半径Rへの影響が小さく、その値も特に制限されるものではない。大径粒子以外の外添剤金属酸化物粒子の個数平均一次粒子径は、注目する粒子を変更する以外は上記と同様の方法で算出することができる。
外添剤金属酸化物粒子の総質量に対する大径粒子の質量の割合は、0質量%超であり、特に制限されないが、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。また、外添剤金属酸化物粒子の総質量に対する大径粒子の質量の割合は、特に制限されないが、100質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、80質量%以下であることが特に好ましい。このような範囲であると、トナーとして所望の機能を実現しつつ、後述するトナー近似真球半径Rを好ましい範囲へと制御することがより容易となる。
また、外添剤は、金属酸化物粒子以外の無機粒子、有機粒子、微粉状の滑剤をさらに含有していてもよい。
例えば、トナー近似真球半径Rは、以下のようにトナー母体粒子の直径および外添剤凸部平均高さにより定義される。このトナー近似真球半径Rは、0nm以上であり、特に制限されないが、2000nm以上5000nm以下であることが好ましく、2500nm以上3500nm以下であることがより好ましい。この範囲であると、後述の凸部間平均距離の最大値R’を好ましい範囲とすることができる。
トナー近似真球半径Rは、以下のように算出することができる。トナーについて、三次元粗さ解析走査電子顕微鏡(「ERA-600FE」、株式会社エリオニクス製)を用いてトナーを三次元測定し、三次元解析において粗さ解析を行うことで、トナー母体粒子の表面からの凸部の平均高さ(外添剤凸部平均高さ(nm))を算出する。
続いて、この外添剤凸部平均高さの値(nm)と、前述したトナー母体粒子の個数基準のメディアン径(D50)の値(nm)を直径として用いて、上記式により、トナー近似真球半径Rを算出する。
ここで、外添剤凸部平均高さは、主に、大径粒子の平均粒子径の値と関係することが確認されている。これより、大径粒子が形成する凸部が外添剤凸部平均高さに大きな影響を与えると推測される。
また、上記の外添剤凸部平均高さは、0nm以上であり、特に制限されないが、5nm以上60nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましく、20nm以上40nm以下であることがより好ましい。この範囲であると、後述の凸部間平均距離の最大値R’を好ましい範囲とすることができる。
トナー母体粒子は、外添剤である金属酸化物粒子により70%以上被覆されている。すなわち、外添剤金属酸化物粒子によるトナー母体粒子の被覆率(以下、単に「被覆率」とも称する)は70%以上である。
本明細書において、「外添剤である金属酸化物粒子によるトナー母体粒子の被覆率」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)の写真画像における、トナー粒子1個の面積に対するトナー粒子上を占める外添剤金属酸化物粒子の面積の占有率(%)を表す。
被覆率が70%未満であると、特にクリーニング性が不十分となり、さらには凹凸紙への転写性も低下する。この理由は、以下のように推測される。トナー母体粒子が最外層と接触することで、トナーと、最外層との間の付着力および摩擦力が大きくなる。そして、残トナーがブレード61に突入する際の突入力が大きくなり、またクリーニング時に最外層からの残トナーの除去の容易性が低下する。これより、被覆率は、特にクリーニング性の向上、さらには凹凸紙への転写性の観点から、75%以上であることがより好ましい(上限100%)。
トナー母体粒子の被覆率の算出は、以下のようにしてできる。トナーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影したトナーの写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の外添剤金属酸化物粒子について2値化処理し、トナー粒子1個の面積に対するトナー粒子上を占める外添剤金属酸化物粒子の面積の占有率(%)を算出する。合計トナー粒子10個に対して上記の占有率の算出を行い、得られた占有率の平均値をトナー母体の被覆率(%)とする。
被覆率は、トナー母体粒子に対する外添剤金属酸化物粒子の含有量比、トナー母体粒子(特に、結着樹脂)の種類と外添剤金属酸化物粒子の種類との組み合わせ等によって制御することができる。
(トナーの製造方法)
トナー母体粒子の製造方法としては、特に限定されず、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等の公知の方法が挙げられる。これらの中でも、粒径の均一性、形状の制御性の観点から、乳化凝集法が好ましい。乳化凝集法とは、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の粒子の分散液を、必要に応じて、着色剤の粒子の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂の粒子間の融着を行うことにより形状制御を行うことで、トナー母体粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂の粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などを含有していてもよい。
トナー母体粒子に対する外添剤の外添は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする、または撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行えばよい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、または外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
(現像剤)
トナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの強磁性金属、強磁性金属とアルミニウムおよび鉛などとの合金、フェライトおよびマグネタイトなどの強磁性金属の化合物など、従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライトが好ましい。
(感光体)
トナー像を担持する感光体1Y、1M、1C、1Bkは、例えば、重合性モノマーと、無機フィラーとを含む組成物の重合硬化物から構成される最外層を有し、最外層の表面は、無機フィラーの隆起による凸部構造を有している。
図6は、トナーと感光体1Y、1M、1C、1Bkとの接触状態を表す説明図である。図6中、Rは最外層の凸部平均高さ(nm)を表し、Rは最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離(nm)を表し、Rはトナーの近似真球半径(nm)を表す。ここでは、これら最外層の凸部平均高さR(nm)、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離R(nm)およびトナーの近似真球半径R(nm)が、下記式(5)~(7)の関係を満たしていることが好ましい。また、R’は、RおよびRとの関係から算出される最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離の最大値(nm)を表し、下記式(8)を満たしている。これにより、クリーニング性を向上させ、感光体1Y、1M、1C、1Bkおよびブレード61の摩耗を低減させることが可能となる。このメカニズムについては、以下のように推定される。
最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rが上記式(5)を満たすとき、換言すれば、凸部間平均距離Rが凸部間平均距離の最大値R’以下となるとき、トナーは、主に、最外層の凸部構造と接触する。上記のように、トナーは、外添剤として金属酸化物粒子を有し、トナー母体粒子は、外添剤金属酸化物粒子により70%以上被覆されており、最外層の表面は、無機フィラーの隆起による凸部構造を有する。よって、トナーと感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層との間では、主に、トナー母体粒子を被覆する外添剤金属酸化物粒子と、最外層の無機フィラーとが接触する。
これに対し、凸部間平均距離Rが凸部間平均距離の最大値R’を超えると、トナー粒子は、主に最外層の凸部構造以外の部分と接触する。このとき、トナーと感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層との間では、主に、トナー母体粒子を被覆する外添剤金属酸化物粒子と、最外層に含まれる重合硬化物の樹脂部分とが接触する。
トナー粒子には、トナー母体粒子の外添剤による被覆率が70%未満であるものや、外添剤を有さずトナー母体粒子のみからなるものも存在しうる。このようなトナー粒子と最外層との間では、主に、トナー母体粒子と最外層とが接触する。また、最外層には、無機フィラーを有さない組成のものも存在しうる。このような最外層とトナー粒子との間では、主に、トナー粒子と重合硬化物の樹脂部分とが接触する。
このようなトナーと最外層との間の様々な態様での接触で生じる付着力および摩擦力を比較する。トナー母体粒子と最外層に含まれる重合硬化物の樹脂部分との間、トナー母体粒子と最外層に含まれる無機フィラーとの間、トナー母体粒子を被覆する外添剤と重合硬化物の樹脂部分との間、および、外添剤と無機フィラーとの間各々で生じる付着力および摩擦力を比較すると、外添剤と無機フィラーとの間の接触で生じる付着力および摩擦力が最も小さくなる。即ち、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rが上記式(5)を満たすとき、トナーと感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層との間の接触で生じる付着力および摩擦力が小さくなる。
したがって、凸部間平均距離Rが上記式(5)を満たすとき、滑剤供給量が少量となる条件であっても、残トナーがブレード61に突入する際の突入力を小さくすることができる。また、クリーニング時に最外層からの残トナーの除去を確実かつ速やかに除去することができる。そして、クリーニング時の残トナーのすり抜け、前述の突入力、および、残トナーの対流による外添剤の遊離が抑制される。これにより、過剰な遊離外添剤およびその凝集物のすり抜けと、トナーおよび遊離外添剤の凝集物のすり抜けとが低減される。その結果、クリーニング時の負荷が低減され、感光体1Y、1M、1C、1Bkおよびブレード61の摩耗が低減されるとともに、クリーニング性が向上し、遊離外添剤による装置内の汚染が抑制され、画像不良の発生が低減される。
また、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、250nm以下である(上記式(7))。この理由は以下の推測に基づく。凸部間平均距離Rが250nmを超える場合には、たとえ凸部間平均距離Rが凸部間平均距離の最大値R’以下であっても、ブレード61と、最外層に含まれる重合硬化物の樹脂部分との接触が過剰となりやすく、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗量が増加するおそれがある。この摩耗量の増加によって、過剰な遊離外添剤、その凝集物、および、トナーと遊離外添剤との凝集物等のすり抜けが生じ易くなる。また、トナーが重合硬化物の樹脂部分と接触し易くなると、トナーと最外層との間に生じる付着力および摩擦力が大きくなり、残トナーがブレード61に突入する際の突入力が増加する。この突入力の増加によって、外添剤の遊離がより促進され、過剰な遊離外添剤、その凝集物、および、トナーと遊離外添剤との凝集物等のすり抜けがより生じ易くなる。そして、これらの結果、十分なクリーニング性が得られなくなり、またクリーニング時の負荷が増加し、ブレード61の摩耗量も増加する。
なお、プリント速度が高速であるとき、線速が上がり、残トナーがブレード61に突入する際の突入力が大きくなる。また、ブレード61の感光体1Y、1M、1C、1Bkへの当接状態が不安定になりやすい。上記画像形成装置100の効果は、プリント速度を問わずに発揮されるが、プリント速度が高速であるとき、上記画像形成装置100の効果が顕著となる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
以下では、感光体1Y、1M、1C、1Bkの具体的な構成を説明する。
感光体1Y、1M、1C、1Bkは、電子写真方式の画像形成において潜像または顕像をその表面に担持する物体である。上記のように、感光体1Y、1M、1C、1Bkは、最外層を有していることが好ましい。感光体1Y、1M、1C、1Bkのうち、最外層以外の部分は、例えば、特開2012-078620号公報に記載の感光体の最外層以外の部分と同じ構成を有している。感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層は、材料が異なることを除き、特開2012-078620号公報に記載されている最外層と同じ構成を有していてもよい。
感光体1Y、1M、1C、1Bkの構成は、特に制限されないが、導電性支持体、当該導電性支持体上に配置される感光層および当該感光層上に配置される保護層を含んでいることが好ましい。例えば、この保護層が、感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層である。以下、かような構成を有する感光体1Y、1M、1C、1Bkについて詳細に説明する。
導電性支持体は、感光層を支持している。導電性支持体は、導電性を有している。導電性支持体は、例えば、円筒形状を有している。導電性支持体は、例えば、金属製のドラム、金属製のシート、ラミネートされた金属箔を有するプラスチックフィルム、蒸着された導電性物質の膜を有するプラスチックフィルム、導電層を有する金属部材、導電層を有するプラスチックフィルム、または導電層を有する紙等が挙げられる。導電層は、例えば、導電性物質を含む塗料を金属部材等に塗布することにより形成される。導電層は、導電性物質とともにバインダー樹脂を含んでいてもよい。導電性支持体に含まれる金属は、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛およびステンレス鋼等であることが好ましい。導電層に含まれる導電性物質は、上記金属、酸化インジウムおよび酸化スズ等であることが好ましい。
感光層は、露光により所期の画像の静電潜像を感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に形成するための層である。当該感光層は、単層でもよいし、積層された複数の層で構成されていてもよい。感光層の好ましい例としては、電荷輸送物質と、電荷発生物質とを含有する単層、および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有する電荷発生層との積層物等が挙げられる。
保護層は、感光体1Y、1M、1C、1Bk表面の機械的強度を向上させ、耐傷性や耐摩耗性を向上させるための層である。当該保護層の好ましい例としては、重合性モノマーを含む組成物の重合硬化物から構成される層等が挙げられる。
感光体1Y、1M、1C、1Bkは、上記の導電性支持体、感光層および保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリア機能と接着機能とを有する層である。即ち、感光体1Y、1M、1C、1Bkは、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される中間層と、当該中間層上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層とを含んでいてもよい。
感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層は、トナーと接触する側の最外部に配置されている層である。最外層は、特に制限されないが、上記の保護層であることが好ましい。例えば、感光体1Y、1M、1C、1Bkは、導電性支持体、感光層および保護層をこの順に有する積層構造を有し、保護層がトナーと接触する側の最外部に配置されている。最外層は、例えば、重合性モノマーと、無機フィラーと、を含む組成物(以下、最外層形成用組成物とも称する)の重合硬化物から構成されている。以下、最外層の構成成分について詳細な説明をする。
最外層形成用組成物は、無機フィラーを含む。本明細書において、無機フィラーとは、少なくともその表面が無機物から構成される粒子をいう。無機フィラーは、最外層の耐摩耗性を向上させる機能を有する。また、残トナーの除去性を向上させてクリーニング性を向上させ、感光体1Y、1M、1C、1Bkおよびブレード61の摩耗を低減させる機能を有する。
以下では、シリコーン鎖を有する表面処理剤を、単に「シリコーン表面処理剤」とも称し、「シリコーン表面処理剤」による表面処理を、単に「シリコーン表面処理」とも称する。また、重合性基を有する表面処理剤を、単に「反応性表面処理剤」とも称し、「反応性表面処理剤」による表面処理を、単に「反応性表面処理」とも称する。さらに、「シリコーン表面処理」および「反応性表面処理」の少なくとも一方が施された無機フィラーを、単に「表面処理粒子」と総称する場合もある。
無機フィラーは、特に制限されないが、金属酸化物粒子を含むことが好ましい。本明細書において、金属酸化物粒子とは、少なくともその表面(表面処理粒子の場合は、未処理母体粒子である未処理金属酸化物粒子の表面)が金属酸化物から構成される粒子をいう。粒子の形状は、特に限定されず、粉末状、球状、棒状、針状、板状、柱状、不定形状、燐片状、紡錘状等、いずれの形状であってもよい
金属酸化物粒子を構成する金属酸化物の例としては、特に制限されないが、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化スズ(SnO)、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、二酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、銅アルミ酸化物およびアンチモンドープ酸化スズ(SnO-Sb)等が挙げられる。これらの中でも、シリカ(SiO)粒子、酸化スズ粒子、二酸化チタン粒子およびアンチモンドープ酸化スズ粒子が好ましく、酸化スズ粒子がより好ましい。これら金属酸化物粒子は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
金属酸化物粒子は、芯材(コア)と、金属酸化物からなる外殻(シェル)と、を有するコア-シェル構造の複合粒子が好ましい。このような複合粒子では、重合性モノマーとの屈折率の差が小さい芯材(コア)を選択することができるので、最外層の硬化に用いられる活性エネルギー線(特には紫外線)の透過性を向上させることができる。これにより、硬化後の最外層の膜強度が向上し、最外層の摩耗をより低減することができる。また、外殻(シェル)を構成する材料を選択することにより、あるいは、外殻(シェル)の形状を制御することにより、後述する表面処理粒子における表面処理効果をより高めることができる。これより、感光体1Y、1M、1C、1Bkおよびブレード61の摩耗の低減効果および画像不良の抑制効果をより向上させるとともに、さらに凹凸紙への転写性をより向上させることができる。当該複合粒子の芯材(コア)を構成する材料は、特に制限されないが、例えば、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)およびシリカ(SiO)等の絶縁材料である。これらの中でも、最外層の光透過性を確保する観点から、硫酸バリウムおよびシリカが好ましい。また、当該複合粒子の外殻(シェル)を構成する材料は、上記金属酸化物粒子を構成する金属酸化物として挙げたものと同様である。コア-シェル構造の複合粒子の好ましい例としては、硫酸バリウムからなる芯材と、酸化スズからなる外殻と、を有する、コア-シェル構造の複合粒子等が挙げられる。なお、芯材の個数平均一次粒子径と、外殻の厚みとの比率は、使用する芯材および外殻の種類、ならびにこれらの組み合わせに応じて、所望の表面処理効果を得られるように適宜設定すればよい。
無機フィラーの個数平均一次粒子径の下限値は、特に制限されないが、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上がよりさらに好ましく、80nm以上が特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。また、無機フィラーの個数平均一次粒子径の上限値は、特に制限されないが、700nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましく、200nm以下がよりさらに好ましく、150nm以下が特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、ブレード61の摩耗がより低減される。これらの理由は、個数平均一次粒子径を上記範囲へと制御することによって、最外層の凸部平均高さR、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rを最適な範囲へと制御することができるからであると推測される。このため、無機フィラーの個数平均一次粒径は、80nm以上200nm以下であることが好ましい。(実施例:10、20、100nm)
なお、本明細書において、無機フィラーの個数平均一次粒子径は、以下の方法で測定される。まず、最外層について、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製)により撮影された10000倍の拡大写真をスキャナーに取り込む。次いで、得られた写真画像から、凝集粒子を除く300個の粒子像を、ランダムに自動画像処理解析システム ルーゼックス(登録商標)AP ソフトウエアVer.1.32(株式会社ニレコ製)を使用して2値化処理して、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径を算出する。そして、当該粒子像のそれぞれの水平方向フェレ径の平均値を算出して個数平均一次粒子径とする。ここで、水平方向フェレ径とは、上記粒子像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。また、無機フィラーの個数平均一次粒子径の測定は、後述する重合性基を有する無機フィラーや表面処理粒子においては、重合性基を有する化学種や表面処理剤由来の化学種(被覆層)を含まない無機フィラー(未処理母体粒子)について行うものとする。
最外層形成用組成物中の無機フィラーは、重合性基を有することが好ましい。最外層形成用組成物中の無機フィラーが重合性基を有することにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。この理由は、最外層を構成する硬化物中で、重合性基を有する無機フィラーと重合性モノマーとが化学結合した状態となり、最外層の膜強度が向上するからであると推測される。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、後述するように、無機フィラーに対して、重合性基を有する表面処理剤による表面処理を行う方法が好ましい。
最外層形成用組成物中の無機フィラーが重合性基を有することや、最外層中の無機フィラーが重合性基由来の基を有することは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析等によって確認することができる。
最外層形成用組成物中の無機フィラーの好ましい含有量は、後述する感光体1Y、1M、1C、1Bkの製造方法の説明に記載する。
・シリコーン鎖を有する表面処理剤(シリコーン表面処理剤)による表面処理
無機フィラーは、シリコーン鎖を有する表面処理剤(シリコーン表面処理剤)により表面処理(シリコーン表面処理)されていることが好ましい。
シリコーン表面処理剤は、下記化学式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。
化学式(1)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、n’は3以上の整数である。
シリコーン表面処理剤としては、主鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面処理剤(主鎖型シリコーン処理剤)であっても、側鎖にシリコーン鎖を有するシリコーン表面処理剤(側鎖型シリコーン処理剤)であってもよいが、側鎖型シリコーン処理剤が好ましい。すなわち、無機フィラーは、側鎖型シリコーン表面処理剤により表面処理されていることが好ましい。側鎖型シリコーン処理剤は、外添剤と無機フィラーとの間の付着力および摩擦力をより低減させ、残トナーの除去性をより向上させる。これにより、クリーニング性がより向上し、特にブレード61の摩耗をより低減させることが可能となる。この理由は、以下のように推測される。側鎖型シリコーン表面処理剤は、嵩高い構造を有しており、また無機フィラー上のシリコーン鎖の濃度をより高くすることができ、金属酸化物粒子の表面を効率的に疎水化する。その結果、外添剤と無機フィラーとの間に生じる付着力および摩擦力を顕著に低減させることができる。
側鎖型シリコーン表面処理剤は、特に制限されないが、高分子主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有し、さらに表面処理官能基を有するものが好ましい。表面処理官能基には、カルボン酸基、水酸基、-Rd-COOH(Rdは、2価の炭化水素基)、ハロゲン化シリル基、およびアルコキシシリル基等の導電性金属酸化物粒子と結合しうる基が挙げられる。これらの中でもカルボン酸基、水酸基またはアルコキシシリル基が好ましく、水酸基またはアルコキシシリル基がより好ましい。
側鎖型シリコーン表面処理剤は、上記効果を維持しつつ、ブレード61の摩耗をより低減させるとの観点から、高分子主鎖としてポリ(メタ)アクリレート主鎖またはシリコーン主鎖を有することが好ましい。
側鎖および主鎖のシリコーン鎖は、ジメチルシロキサン構造を繰り返し単位として有することが好ましく、その繰り返し単位数は3~100個であるものが好ましく、3~50個であるものがより好ましく、3~30個であるものがさらに好ましい。
シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000以上50,000以下であることが好ましい。なお、シリコーン表面処理剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
シリコーン表面処理剤は、合成品であってもよいし、市販品であってもよい。主鎖型シリコーン表面処理剤の市販品の具体例としては、KF-99およびKF-9901(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、ポリ(メタ)アクリレート主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面処理剤の市販品の具体例としては、サイマック(登録商標)US-350(以上、東亞合成株式会社製)、KP-541、KP-574、およびKP-578(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。そして、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する、側鎖型シリコーン表面処理剤の市販品の具体例としては、KF-9908およびKF-9909(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、シリコーン表面処理剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
シリコーン表面処理剤による表面処理方法は、特に制限されず、無機フィラーの表面上にシリコーン表面処理剤を付着(または結合)することができる方法であればよい。かような方法としては、一般的に、湿式処理方法と乾式処理方法との二通りに大別されるが、いずれを用いてもよい。
なお、後述する反応性表面処理後の無機フィラーをシリコーン表面処理するとき、シリコーン表面処理剤による表面処理では、無機フィラーの表面上または反応性表面処理剤上に、シリコーン表面処理剤が付着(または結合)することができればよい。
湿式処理方法とは、無機フィラーとシリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散することによって、シリコーン表面処理剤を無機フィラーの表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法では、無機フィラーとシリコーン表面処理剤とを溶剤中で分散させた後、得られた分散液を乾燥し溶剤を除去することが好ましい。当該方法では、この後、さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と無機フィラーとを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を無機フィラーの表面上に付着(または結合)させることがより好ましい。また、シリコーン表面処理剤と無機フィラーとを溶剤中で分散した後、得られた分散液を湿式粉砕することにより、無機フィラーを微細化すると同時に表面処理を進行させてもよい。
無機フィラーおよびシリコーン表面処理剤を溶剤中で分散させる部には、特に制限されず公知の部を用いることができ、その例としては、ホモジナイザー、ボールミルおよびサンドミル等の一般的な分散部を挙げることができる。
溶剤には、特に制限されず公知の溶剤を用いることができ、その好ましい例としては、アルコール系溶剤および芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール(2-ブタノール)、tert-ブタノールおよびベンジルアルコールなどである。芳香族炭化水素系溶剤は、例えば、トルエンおよびキシレン等である。これらは単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、メタノール、2-ブタノール、トルエン、および2-ブタノールとトルエンとの混合溶剤がより好ましく、2-ブタノールがさらに好ましい。
分散時間は、特に制限されないが、例えば、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上360分以下であることがより好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
溶剤の除去方法としては、特に制限されず公知の方法を用いることができ、その例としては、エバポレーターを用いる方法、室温下で溶剤を揮発させる方法等が挙げられる。これらの中でも、室温下で溶剤を揮発させる方法が好ましい。
加熱温度としては、特に制限されないが、50℃以上250℃以下であることが好ましく、70℃以上200℃以下であることがより好ましく、80℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱時間としては、特に制限されないが、1分以上600分以下であることが好ましく、10分以上300分以下であることがより好ましく、30分以上90分以下であることがさらに好ましい。なお、加熱方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
乾式処理方法は、溶剤を用いず、シリコーン表面処理剤と無機フィラーとを混合し混練を行うことによって、シリコーン表面処理剤を無機フィラーの表面上に付着(または結合)させる方法である。当該方法は、シリコーン表面処理剤と無機フィラーとを混合し混練した後、さらに加熱処理を行い、シリコーン表面処理剤と無機フィラーとを反応させることによって、シリコーン表面処理剤を無機フィラーの表面上に付着(または結合)させる方法であってもよい。また、無機フィラーとシリコーン表面処理剤とを混合し混練する際に、これらを乾式粉砕することにより、無機フィラーの微細化と同時に表面処理を進行させてもよい。
シリコーン表面処理剤の使用量は、シリコーン表面処理前の無機フィラー(後述する反応性表面処理後の無機フィラーをシリコーン表面処理するときは、反応性表面処理後の無機フィラー)100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、クリーニング性がより向上し、ブレード61の摩耗がより低減される。また、シリコーン表面処理剤の使用量は、シリコーン表面処理前の無機フィラー(後述する反応性表面処理後の無機フィラーをシリコーン表面処理するときは、反応性表面処理後の無機フィラー)100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、未反応のシリコーン表面処理剤による最外層の膜強度の低下が抑制され、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。
未処理の無機フィラーや反応性表面処理後の無機フィラーにシリコーン表面処理が施されたことは、熱重量・示差熱(TG/DTA)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による分析等によって確認することができる。
・重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)による表面処理方法
前述のように、最外層形成用組成物中の無機フィラーは、重合性基を有することが好ましい。そして、重合性基の導入方法としては、特に制限されないが、反応性表面処理を行う方法が好ましい。
すなわち、無機フィラーは、重合性基を有する表面処理剤(反応性表面処理剤)により表面処理(反応性表面処理)されていることが好ましい。重合性基は、反応性表面処理によって導電性金属酸化物粒子の表面に担持され、その結果、無機フィラーは、重合性基を有することとなる。換言すれば、無機フィラーは、重合性基由来の基を有することが好ましい。
反応性表面処理剤は、重合性基および表面処理官能基を有する。重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、これらの中でもメタクリロイル基が好ましい。また、表面処理官能基とは、導電性金属酸化物粒子の表面に存在する水酸基などの極性基への反応性を有する基を表す。表面処理官能基の例としては、カルボン酸基、水酸基、-R’-COOH(R’は、二価の炭化水素基)、ハロゲン化シリル基およびアルコキシシリル基等が挙げられ、これらの中でもハロゲン化シリル基およびアルコキシシリル基が好ましい。
反応性表面処理剤は、ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤が好ましく、その例としては、下記の化学式S-1~S-33で表される化合物等が挙げられる。
反応性表面処理剤は、合成品であってもよいし市販品であってもよい。市販品の具体例としては、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503およびKBM-5103(以上、信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。また、反応性表面処理剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
シリコーン表面処理および反応性表面処理の両方を行うときには、反応性表面処理を行った後にシリコーン表面処理を行うことが好ましい。この順序で表面処理を行うことにより、最外層の耐摩耗性がより向上する。この理由は、撥油効果を有するシリコーン鎖によって、反応性表面処理剤の無機フィラー表面への接触が妨げられることがないため、無機フィラーへの重合性基の導入がより効率よく行われるからである。
反応性表面処理の方法は、特に制限されず、反応性表面処理剤を用いる以外は、シリコーン表面処理で説明した方法と同様の方法を採用することができる。また、公知の金属酸化物粒子の表面処理技術を用いてもよい。
ここで、湿式処理方法を用いるとき、溶剤は、シリコーン表面処理で説明した方法と同様のものを好ましく用いることができるが、メタノール、トルエン、またはメタノールとトルエンとの混合溶剤がより好ましく、メタノールとトルエンとの混合溶剤がさらに好ましい。
また、溶剤の除去方法は、シリコーン表面処理で説明した方法と同様の方法が挙げられるが、これらの中でも、エバポレーターを用いる方法が好ましい。
反応性表面処理剤の使用量は、反応性表面処理前の無機フィラー(前述のシリコーン表面処理後の無機フィラーを反応性表面処理するときは、シリコーン表面処理後の無機フィラー)100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.5質量部以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の膜強度が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。また、反応性表面処理前の無機フィラー(前述のシリコーン表面処理後の無機フィラーを反応性表面処理するときには、シリコーン表面処理後の無機フィラー)100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、8質量部以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、粒子表面の水酸基数に対して反応性表面処理剤の量が過剰とはならずより適切な範囲となり、未反応の反応性表面処理剤による最外層の膜強度の低下が抑制されて最外層の膜強度が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。
最外層形成用組成物は、重合性モノマーを含む。本明細書において、重合性モノマーとは、重合性基を有し、紫外線、可視光線および電子線等の活性エネルギー線の照射により、または加熱等のエネルギーの付加により、重合(硬化)して、最外層のバインダー樹脂となる化合物を表す。なお、本明細書でいう重合性モノマーには、上記の反応性表面処理剤を含めないものとし、後述する潤滑剤としての重合性シリコーン化合物または重合性パーフルオロポリエーテル化合物を用いる場合にはこれらも含めないものとする。
重合性モノマーが有する重合性基の種類は、特に制限されないが、ラジカル重合性基が好ましい。ここで、ラジカル重合性基は、炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合可能な基を表す。ラジカル重合性基の例としては、ビニル基および(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。重合性基が(メタ)アクリロイル基であると、最外層の耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。最外層の耐摩耗性の向上の理由は、少ない光量または短い時間での効率的な硬化が可能となるからであると推測される。
重合性モノマーの例としては、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマーおよびN-ビニルピロリドン系モノマー等が挙げられる。これら重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。この理由は、最外層の架橋密度が増加し、膜強度がより向上するからであると推測される。また、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、特に制限されないが、6個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましく、4個以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の均一性が高まる。この理由は、架橋密度が一定以下となり、硬化収縮が起こり難くなるからであると推測される。これらの観点から、重合性モノマーが有する1分子中の重合性基の数は、3個であることが最も好ましい。
重合性モノマーの具体例としては、特に制限されないが、下記の化合物M1~M11が挙げられ、これらの中でも、下記の化合物M2が特に好ましい。下記の各化学式中、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO-)を表し、R’は、メタクリロイル基(CH=C(CH)CO-)を表す。
重合性モノマーは、合成品であってもよいし市販品であってもよい。また、重合性モノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。最外層形成用組成物中の重合性モノマーの好ましい含有量は、後述する感光体1Y、1M、1C、1Bkの製造方法の説明に記載する。
最外層形成用組成物は、さらに重合開始剤を含むことが好ましい。重合開始剤は、上記重合性モノマーを重合反応することによって得られる硬化樹脂(バインダ樹脂)を製造する過程で使用されるものである。重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。また、重合性モノマーがラジカル重合性モノマーであるときには、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物およびホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらの中でも、α-アミノアルキルフェノン構造またはアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。重合開始剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。最外層形成用組成物中の重合開始剤の好ましい含有量は、後述する感光体1Y、1M、1C、1Bkの製造方法の説明に記載する。
最外層形成用組成物は、上記成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。他の成分の例としては、特に制限されないが、最外層が保護層であるとき、潤滑剤等が挙げられる。電荷輸送物質は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、トリアリールアミン誘導体等が挙げられる。潤滑剤は、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、重合性シリコーン化合物および重合性パーフルオロポリエーテル化合物等が挙げられる。
最外層の表面は、無機フィラーの隆起による凸部構造を有している。本明細書において、「無機フィラーの隆起による凸部構造」とは、露出した無機フィラーが構成する凸部構造を意味する。
最外層の表面に存在する凸部構造が無機フィラーの隆起によるものであることは、走査型電子顕微鏡(SEM)「JSM-7401F」(日本電子株式会社製)を用いて撮影した最外層の表面の写真画像を目視にて観察することにより確認することができる。
最外層の凸部平均高さRは、特に制限されないが、1nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。この理由は、最外層の凸部平均高さRが高くなることで、ブレード61による最外層の摩耗がより低減されるとともに、外添剤と無機フィラーとの接触によるトナーと最外層との接触の可能性がより高まるからであると推測される。また、最外層の凸部平均高さRは、特に制限されないが、100nm以下であることが好ましく、55nm以下であることがより好ましく、35nm以下であることがさらに好ましい(下限0nm)。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、ブレード61の摩耗がより低減される。この理由は、最外層中の無機フィラーによるブレード61の摩耗がより低減されるとともに、ブレード61と、最外層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触も十分に起こるからであると推測される。
最外層の凸部平均高さRは、三次元粗さ解析走査電子顕微鏡「ERA-600FE」(株式会社エリオニクス製)を用いて最外層の表面を三次元測定し、三次元解析において輪郭曲線要素の平均高さを算出し、その値を最外層の凸部平均高さRとすることで算出することができる。
最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、RおよびRとの関係から算出される最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離の最大値R’以下であって、かつ、前述のように250nm以下である(下限0nm)。最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rが250nmを超えると、クリーニング性が不十分となり、感光体1Y、1M、1C、1Bkおよびブレード61の摩耗量が過大となる。また、凹凸紙への転写性が不十分となる。ここで、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、240nm以下であることが好ましく、225nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、150nm以下であることが特に好ましい。この範囲であると、クリーニング性がより向上し、ブレード61の摩耗がより低減される。この理由は、トナーが最外層中の無機フィラーと接触し易くなることで、トナーと最外層との間の付着力および摩擦力が小さくなることに起因し、クリーニング時の負荷が低減することに起因すると推測される。また、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、0nm超であれば特に制限されないが、生産性の観点から、120nm以上であることが好ましい。
最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、以下のように算出される。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影した最外層の表面の写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の無機フィラーの部分を二値化処理し、無機フィラー二点間距離を50点算出する。そして、これらの平均値を算出し、この平均値を最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rとする。
ここで、最外層の凸部平均高さRおよび最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rは、それぞれ、無機フィラーの種類および含有量、重合性モノマーの種類および含有量、ならびに表面処理の有無、表面処理剤の種類、表面処理条件および未処理母体粒子の種類等によって制御することができる。
(最外層の膜厚)
最外層の厚さは、感光体1Y、1M、1C、1Bkの種類に応じて適宜好ましい値を設定することができ、特に制限されないが、例えば、0.2μm以上15μm以下であることが好ましく、0.5μm以上10μm以下であることがより好ましい。
(感光体の製造方法)
感光体1Y、1M、1C、1Bkは、後述する最外層形成用塗布液を用いる以外は、特に制限されず公知の方法によって製造することができる。これらの中でも、導電性支持体上に形成された感光層の表面に、最外層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された最外層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、または塗布された最外層形成用塗布液を加熱して、最外層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法によって製造することが好ましく、最外層形成用塗布液を塗布する工程と、塗布された最外層形成用塗布液に活性エネルギー線を照射して、最外層形成用塗布液中の重合性モノマーを重合させる工程と、を含む方法がより好ましい。
最外層形成用塗布液は、重合性モノマーおよび無機フィラーを含む最外層形成用組成物を含んでいる。最外層形成用組成物としては、重合開始剤をさらに含むことが好ましく、これらの成分以外の他の成分をさらに含んでいてもよい。また、最外層形成用塗布液は、最外層形成用組成物と分散媒とを含むことが好ましい。なお、本明細書において、最外層形成用組成物には、分散媒としてのみ用いられる化合物は含まないものとする。
分散媒としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、tert-ブタノール、2-ブタノール(sec-ブタノール)、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジンおよびジエチルアミン等が挙げられる。分散媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
最外層形成用塗布液の総質量に対する分散媒の含有量は、特に制限されないが、1質量%以上99質量%以下であることが好ましく、40質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
最外層形成用組成物中の無機フィラーの含有量は、特に制限されないが、最外層形成用組成物の総質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C,1Bkの摩耗がより低減される。また、無機フィラーの含有量の増加に伴い、当該粒子に起因する効果が向上し、クリーニング性が向上し、ブレード61の摩耗もより低減される。また、最外層形成用組成物中の無機フィラーの含有量は、特に制限されないが、最外層形成用組成物の総質量に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量が相対的に多くなることから、最外層の架橋密度が高まり、耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。また、ブレード61と、最外層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触が十分に得られ、クリーニング性が向上する。さらに、これらの結果、ブレード61の摩耗もより低減される。
最外層形成用組成物中の重合性モノマーの無機フィラーに対する含有質量比(重合性モノマーの質量/最外層形成用組成物中の無機フィラーの質量)は、特に制限されないが、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層形成用組成物中の重合性モノマーの含有量が相対的に多くなることから、最外層の架橋密度が高まり、耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの減耗がより低減される。また、ブレード61と、最外層を構成する重合硬化物の樹脂部分との接触が十分に得られ、クリーニング性が向上する。さらに、これらの結果、ブレード61の摩耗もより低減される。また、最外層形成用組成物中の重合性モノマーの無機フィラーに対する含有質量比は、特に制限されないが、10以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、最外層の耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C,1Bkの減耗がより低減される。また、無機フィラーの含有量の増加に伴い、当該粒子に起因する効果が向上し、クリーニング性が向上し、ブレード61の摩耗もより低減される。
最外層形成用組成物中が重合開始剤を含むとき、その含有量は、特に制限されないが、重合性モノマー100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、最外層形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、重合性モノマー100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。この範囲であると、最外層の架橋密度が高まり、最外層の耐摩耗性が向上し、感光体1Y、1M、1C、1Bkの摩耗がより低減される。
なお、最外層の総質量に対する無機フィラー、重合性モノマーの硬化物、ならびに任意に用いられる重合開始剤および他の成分の含有量(質量%)(それぞれ重合性を有する場合はその硬化物も含む)と、最外層形成用組成物の総質量に対する無機フィラー、重合性モノマー、ならびに任意に用いられる重合開始剤および他の成分の含有量(質量%)の含有量とは、ほぼ同等となる。
最外層形成用塗布液の調製方法も、特に制限はなく、重合性モノマー、無機フィラー、ならびに任意に用いられる重合開始剤および他の成分を分散媒に加えて、溶解または分散するまで撹拌混合すればよい。
最外層は、上記方法で調製した最外層形成用塗布液を感光層の上に塗布した後、乾燥および硬化させることにより形成することができる。
上記塗布、乾燥、および硬化の過程で、重合性モノマー間の反応、さらに無機フィラーが重合性基を有するときには、重合性モノマーと無機フィラーとの間の反応、および、無機フィラー同士の反応等が進行し、最外層形成用組成物の硬化物を含む最外層が形成される。
最外層形成用塗布液の塗布方法は、特に制限されず、例えば、浸漬塗布法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー塗布法および円形スライドホッパー塗布法などの公知の方法を用いることができる。
上記塗布液を塗布した後は、自然乾燥または熱乾燥を行い、塗膜を形成した後、活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させることが好ましい。活性エネルギー線としては紫外線や電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプおよびフラッシュ(パルス)キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、紫外線の照射量(積算光量)は、好ましくは5~5000mJ/cmであり、より好ましくは10~2000mJ/cmである。また、紫外線の照度は、好ましくは5~500mW/cmであり、より好ましくは10~100mW/cmである。
必要な活性エネルギー線の照射量(積算光量)を得るための照射時間としては、0.1秒~10分が好ましく、作業効率の観点から0.1秒~5分がより好ましい。
最外層を形成する過程においては、活性エネルギー線を照射する前後や、活性エネルギー線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚などによって適宜選択できる。乾燥温度は、特に制限されないが、好ましくは20~180℃であり、より好ましくは80~140℃である。乾燥時間は、特に制限されないが、好ましくは1~200分であり、より好ましくは5~100分である。
最外層中では、重合性モノマーは、重合物(重合硬化物)を構成する。ここで、無機フィラーが重合性基を有する場合、最外層中では、重合性モノマーと、重合性基を有する無機フィラーとは、最外層を形成する一体的な重合物(重合硬化物)を構成する。当該重合硬化物が重合性モノマーの重合物(重合硬化物)であることや、重合性モノマーと、重合性基を有する無機フィラーとの重合物(重合硬化物)であることは、熱分解GC-MS、核磁気共鳴(NMR)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)、元素分析などの公知の機器分析技術による上記重合物(重合硬化物)の分析によって確認することができる。
(電子写真画像形成方法)
例えば、画像形成装置100は、以下のようにして用紙P上に画像を形成する。
まず、帯電部2Y、2M、2C、2Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を負に帯電させる(帯電工程)。次に、露光部3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する(露光工程)。続いて、現像部4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に上記トナーを付与して現像し、トナー像を形成する(現像工程)。
次いで、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写、転写工程)させて、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
そして、必須ではないが必要に応じて、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと中間転写体70とを分離させた後、滑剤供給部により感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に滑剤122を供給する(滑剤供給工程)。
この後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナー(残トナー)を、クリーニング部6Y、6M、6C、6Bkにより清掃する。具体的には、クリーニング部6Y、6M、6C、6Bk各々のブレード61が感光体1Y、1M、1C、1Bk表面に当接することにより、残トナーが掻き取られる。ブレード61は、残トナーとともに滑剤122を掻き取ってもよい。本実施形態では、ブレード61の1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしている。詳細は後述するが、これにより、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが可能となる。
感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを清掃した後、次の画像形成プロセスに備えて、帯電部2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
一方、給紙カセット20から給紙部21により用紙Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写部(二次転写部)5bに搬送する。そして、二次転写部5bにより、用紙P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
このようにしてカラー画像が転写された用紙Pを、定着部24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、用紙Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング部6bにより中間転写体70上の残トナーを除去する。
上記画像形成装置100を用いた画像形成方法では、必要に応じて、滑剤除去工程を行ってもよい。例えば、滑剤除去部の除去部材が感光体1Y、1M、1C、1Bk表面に接触し、機械的作用によって滑剤122を除去する(滑剤除去工程)。
例えば、以上のようにして、用紙P上に画像を形成することができる。
(画像形成装置の作用効果)
本実施形態の画像形成装置100では、ブレード61の1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしている。これにより、使用環境が変動しても、感光体1Y、1M、1C、1Bkを清掃する際の感光体1Y、1M、1C、1Bkとブレード61との当接状態が安定的に維持される。よって、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが可能となる。以下、この画像形成装置100の作用および効果について説明する。
ブレードの1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たさない場合、環境変動に起因して感光体表面とブレードとの当接状態を安定して維持することが困難となるおそれがある。例えば、最大値Dが0.7を超える場合、ブレードの粘性的な特性が強くなり、感光体への当接部分に局所的な摩耗または欠けが発生するおそれがある。例えば、高温環境下では、感光体への当接部分が感光体の回転方向に過度に引き込まれてブレードのめくれが発生するおそれがある。めくれが発生しない場合であっても、感光体への当接部分が過度に引き込まれた状態が続くと、へたり(永久伸び)が発生しやすくなる。このようなブレードのめくれおよびへたり等が発生すると、感光体表面の残トナー等を十分に除去できないおそれがある。一方、低温環境下では、ブレードの硬度が上がり、感光体との当接状態が不均一になりやすい。また、低温環境下では、トナー母体粒子から外添剤が剥がれやすくなる。この外添剤がブレードに断続的に流れ込むと、ブレードが十分に引き込まれず、トナーのすり抜けが発生しやすくなる。
最大値Dが0.7を超える場合、更に、マシン由来の振動(機内振動)変化に起因して感光体表面とブレードとの当接状態が不安定になり、感光体表面の残トナー等を十分に除去できないおそれもある。ブレードに関係するマシン由来の振動としては、例えば、感光体の振れがある。感光体の振れの周期は、感光体の軸径および回転速度の値などによって変化するが、数Hzから数十Hz、具体的には、1Hz~100Hz程度の間で変化する。
最大値Dが0.2よりも小さい場合には、このような温度変化およびマシン由来の振動変化(周波数変化)に起因する感光体表面とブレードとの当接状態の不安定化が抑えられる可能性がある。しかし、最大値Dが0.2より小さくても、第1損失正接および第2損失正接の値自体が小さければ、ブレードの弾性的な特性が大きくなり、ブレード自身の振動、いわゆる、ステックスリップが発生しやすくなる。したがって、ステックスリップに起因して感光体表面とブレードとの当接状態が不安定になるおそれがある。
これに対し、画像形成装置100では、ブレード61の1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしている。このため、ステックスリップの発生を抑えつつ、環境変動に起因した感光体1Y、1M、1C、1Bk表面とブレード61との当接状態の変化が抑えられる。具体的には、最大値Dを0.7以下にすることにより、温度変化およびマシン由来の振動変化等の環境変動に起因する感光体1Y、1M、1C、1Bk表面とブレード61との当接状態の不安定化が抑えられる。また、最大値Dを0.2以上にすることにより、第1損失正接および第2損失正接の値自体を適切な値に維持しやすくなり、ブレード61の粘性的な特性を保ちやすい。即ち、ステックスリップの発生が抑えられる。
また、ブレード61は、当接層611および支持層612を有しているので、最大値Dが上記式(1)を満たすように、当接層611と支持層612との間で機能を分けることができる。ブレードが単層構造である場合には、最大値Dが上記式(1)を満たしていたとしても、感光体表面近傍でのブレードの粘性的な特性維持と、様々な使用環境下での感光体とブレードとの当接状態の維持との両立が難しく、十分なクリーニング性が得られないおそれがある。これに対し、当接層611と支持層612との間で機能を分けることにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk表面近傍でのブレードの粘性的な特性維持と、様々な使用環境下での感光体とブレードとの当接状態の維持とを両立することが可能となる。例えば、感光体1Y、1M、1C、1Bk表面に当接する当接層611の損失正接を比較的大きくし、当接層611を支持する支持層612の損失正接を比較的小さくする。また、当接層611の厚みT1を比較的小さくし、支持層612の厚みT2を比較的大きくする。例えば、このように当接層611と支持層612との間で機能を分けることにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面近傍でブレード61の粘性的な特性を保ちつつ、様々な使用環境下で感光体1Y、1M、1C、1Bkとブレード61との当接状態を安定的に維持することが可能となる。
以上のように、本実施形態の画像形成装置100では、ブレード61の1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たすので、使用環境が変動しても、感光体1Y、1M、1C、1Bkを清掃する際の感光体1Yとブレード61との当接状態が安定的に維持される。よって、使用環境に起因したクリーニング性の低下を抑えることが可能となる。
また、感光体1Y、1M、1C、1Bkの最外層の凸部平均高さR(nm)、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離R(nm)およびトナーの近似真球半径R(nm)が、上記式(5)~(7)の関係を満たしていることが好ましい。これにより、クリーニング性をより向上させることが可能となる。
<変形例>
図7は、上記実施形態の変形例に係る画像形成装置100の要部の断面構成を表している。この画像形成装置100は、帯電部2Y(図2参照)に代えて、帯電部2Y’を有している。この点を除き、変形例に係る画像形成装置100は、上記実施形態の画像形成装置100と同様の構成を有している。
帯電部2Y’は、近接帯電式の帯電装置である。この帯電部2Y’は、例えば、帯電ローラーおよび帯電ローラーに電圧を印加する電源を有している。
帯電ローラーは、感光体1Y表面に接触または近接して配置されている。帯電ローラーは、例えば、芯金および芯金表面に設けられた弾性層を含んでいる。帯電ローラーに弾性層を設けることにより、帯電音が低減されるとともに、帯電ローラーを感光体1Yに均等に密着させることが可能となる。帯電ローラーは、更に、弾性層の表面上に、抵抗制御層および表面層をこの順に有していてもよい。帯電ローラーに抵抗制御層を設けることにより、帯電ローラー全体の電気抵抗を均等にしやすくなる。帯電ローラーは、例えば、押圧バネにより感光体1Yの方向に付勢されている。これにより、帯電ローラーが感光体1Y表面に圧接され、帯電ローラーと感光体1Yとの間に帯電ニップ部が形成される。帯電ローラーは、感光体1Yの回転に従動して回転する。
このように、画像形成装置100は、近接帯電式の帯電部2Y’を有していてもよい。この画像形成装置100は、上記実施形態で説明した画像形成装置100と同様の作用効果を奏する。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
<表面処理剤で表面処理が施された金属酸化物粒子(表面処理粒子)の作製>
(表面処理粒子1の作製)
[反応性表面処理剤による表面処理(反応性表面処理)]
メタノール 10mLに未処理金属酸化物粒子(未処理母体粒子)である酸化スズ(個数平均一次粒子径:20nm)5gを加え、USホモジナイサーを用いて室温で30分間分散させた。次いで、反応性表面処理剤である3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(ラジカル重合性基を有するシランカップリング剤「KBM-503」、信越化学工業株式会社製)0.25gおよびトルエン 10mLを加え、室温で60分撹拌した。エバポレーターによって溶剤を除去した後、120℃で60分加熱することにより、反応性表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子を得た。
[シリコーン表面処理剤による表面処理(シリコーン表面処理)]
続いて、上記で得られた反応性表面処理剤で表面処理された金属酸化物粒子 5gを、2-ブタノール 40gに加え、USホモジナイザーを用いて室温で60分間分散させた。次いで、シリコーン主鎖の側鎖にシリコーン鎖を有する側鎖型シリコーン表面処理剤(「KF-9908」、信越化学工業株式会社製)0.15gを加えて、さらに、室温で60分間、USホモジナイザーを用いて分散を行った。分散後、溶剤を室温下で揮発させ、120℃で60分間乾燥させることにより、反応性表面処理剤およびシリコーン表面処理剤で表面処理が施された金属酸化物粒子である、表面処理粒子1を作製した。当該表面処理粒子2は、重合性基を有する粒子である。
(表面処理粒子2、3の作製)
表面処理粒子1の製造において、未処理母体粒子である未処理金属酸化物粒子の個数平均一次粒子径を下記表1のように変更した以外は同様にして、表面処理粒子2、3を作製した。これらの表面処理粒子は、重合性基を有する粒子である。
表面処理粒子1~3の構成を下記表1に示す。
<感光体の作製>
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
(2)中間層の形成
下記成分を下記分量で混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行うことで中間層形成用塗布液を形成した。続いて、得られた中間層形成用塗布液を、浸漬塗布法によって前記導電性支持体上に塗布して、110℃で20分乾燥することにより、乾燥膜厚2μmの中間層を形成した;
・ポリアミド樹脂(ダイセル・エボニック株式会社製、X1010) 10質量部、
・酸化チタン(テイカ株式会社製、SMT-500SAS) 11質量部、
・エタノール 200質量部。
(3)電荷発生層の形成
下記成分を下記分量で混合し、循環式超音波ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所製、RUS-600TCVP)を19.5kHz、600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層形成用塗布液を調製した。続いて、得られたこの電荷発生層形成用塗布液を、浸漬塗布法によって前記中間層上に塗布して、乾燥することにより、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した;
・電荷発生物質(Cu-Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニンおよび(2R,3R)-2,3-ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶) 24質量部、
・ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製、エスレック(登録商標)BL-1) 12質量部、
・3-メチル-2-ブタノン/シクロヘキサノン混合溶媒(3-メチル-2-ブタノン:シクロヘキサノン=4:1(体積比)) 400質量部。
(4)電荷輸送層の形成
下記成分を下記分量で混合し、電荷輸送層用の塗布液を調製した。当該塗布液を浸漬塗布法によって上記電荷発生層の表面に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、膜厚24μmの電荷輸送層を電荷輸送層上に形成した;
・下記化学式(4)で表される電荷輸送物質 60質量部
・ポリカーボネート樹脂(Z300、三菱ガス化学株式会社製) 100質量部
・酸化防止剤(IRGANOX(登録商標)1010、BASF社製) 4質量部
・トルエン/テトラヒドロフラン混合溶媒(トルエン:テトラヒドロフラン=1:9(体積比)) 800質量部、
・シリコーンオイル(KF-54、信越化学工業株式会社製) 1質量部。
(5)保護層(最外層)の形成
下記成分を下記分量で混合し、保護層形成用塗布液(最外層形成用塗布液)を調製した。続いて、得られた保護層形成用塗布液を、円形スライドホッパー塗布機を用いて電荷輸送層上に塗布した後、メタルハライドランプを用いて紫外線を16mW/cmで1分間照射(積算光量960mJ/cm)して、乾燥膜厚3.0μmの保護層を形成して、感光体を作製した;
・ラジカル重合性モノマー(上記化合物M2:トリメチロールプロパントリメタクリレート) 120質量部、
・表面処理粒子1、表面処理粒子2または表面処理粒子3 75質量部~125質量部
・重合開始剤(IGM Resins B.V.社製、Ominirad(登録商標)819) 10質量部、
・2-ブタノール 400質量部。
なお、上記方法により作製された各感光体は、保護層が最外層に該当する。
ここで、感光体の保護層中において、シリコーン表面処理を施した表面処理粒子1~3の金属酸化物粒子の表面上には、シリコーン表面処理剤由来の化学種であるケイ素が存在することが確認された。
また、重合性官能基を有する表面処理粒子1~3は、感光体の保護層中において、ラジカル重合性モノマーとの間で反応することで、重合性基由来の基を有するものと推測される。
<感光体の評価>
(最外層の凸部構造の分析)
得られた感光体について、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影した感光体表面の写真画像を目視にて観察することにより、最外層の凸部構造のほとんどが、隆起した金属酸化物粒子によって構成されることを確認した。
(最外層の凸部平均高さRの測定)
得られた感光体について、三次元粗さ解析走査電子顕微鏡(「ERA-600FE」、株式会社エリオニクス製)を用いて保護層の表面を三次元測定し、三次元解析において輪郭曲線要素の平均高さを算出し、その値を最外層の凸部平均高さRとした。各感光体のRを凸部平均高さとして下記表2に示す。
(最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離Rの測定)
得られた感光体について、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影した保護層の表面の写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の表面処理粒子(金属酸化物粒子)の部分を二値化処理し、表面処理粒子(金属酸化物粒子)間の二点間距離を50点算出した。これらの平均値を算出し、この平均値を最外層の凸部間平均距離とした。各感光体の凸部間平均距離Rを下記表2に示す。
<ブレードの作製>
上記実施形態で説明したように、遠心成形機を用いてポリウレタンを成形することによりブレードを作製した。このブレードの作製では、当接層および支持層からなる2層構造のブレードと、当接層のみからなる単層構造のブレードを作製した。
<ブレードの評価>
(厚みT1、T2の測定)
作製したブレードの当接層の厚みT1および支持層の厚みT2を、マイクロスコープVHX-600(株式会社キーエンス社製)を用いて測定した。この測定された厚みT1、T2の値を下記表2に示す。
(最大値D、D1、D2の測定)
0℃~50℃までの温度範囲で、作製したブレードの1Hzでの第1損失正接の温度変化および100Hzでの第2損失正接の温度変化を測定することにより、第1損失正接と第2損失正接との差の最大値Dを求めた。0℃~50℃までの温度範囲で、当接層の1Hzでの第3損失正接の温度変化および100Hzでの第4損失正接の温度変化を測定することにより、第3損失正接と第4損失正接との差の最大値D1を求めた。0℃~50℃までの温度範囲で、支持層の1Hzでの第5損失正接の温度変化および100Hzでの第6損失正接の温度変化を測定することにより、第5損失正接と第6損失正接との差の最大値D2を求めた。当接層のみを有する単層構造のブレードでは、最大値D1を最大値Dとした。
第1損失正接~第6損失正接の値は、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製 粘弾性分析装置 RSA-G2)を用いて測定した。第1損失正接、第3損失正接および第5損失正接の温度変化は、以下のように測定した。まず、上記動的粘弾性測定装置に、測定長さが30mmとなるようにサンプル(当接層、支持層または当接層および支持層の積層構造)を固定した。この後、変位振幅±10μm、周波数1Hzの正弦波歪をサンプルに与え、-10℃~54℃の温度範囲において、2℃ステップの昇温の下、2℃毎に第1損失正接、第3損失正接および第5損失正接を測定した。第2損失正接、第4損失正接および第6損失正接の温度変化は、正弦波歪の周波数を100Hzに代えたことを除き、上記第1損失正接、第3損失正接および第5損失正接の温度変化と同様に測定した。測定された第1損失正接~第6損失正接より求めた最大値D、D1、D2の値を下記表2に示す。
<トナーの作製>
(トナーの作製)
(1)トナー母体粒子の作製
(1.1)コア部用樹脂粒子A分散液の調製
(1.1.1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管および窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめアニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
アニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤として過硫酸カリウム(KPS)9.0質量部を添加し、内温を78℃とした。重合開始剤を添加したアニオン性界面活性剤溶液に対して、下記成分を下記分量で混合した単量体溶液1を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、樹脂粒子a1の分散液を調製した;
・スチレン 540質量部、
・n-ブチルアクリレート 154質量部、
・メタクリル酸 77質量部、
・n-オクチルメルカプタン 17質量部。
(1.1.2)第2段重合:中間層の形成
下記成分を下記分量で混合し、オフセット防止剤としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させて単量体溶液2を調製した;
・スチレン 94質量部、
・n-ブチルアクリレート 27質量部、
・メタクリル酸 6質量部、
・n-オクチルメルカプタン 1.7質量部。
アニオン性界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に樹脂微粒子a1の分散液を、樹脂粒子a1の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機(「クレアミックス(登録商標)」、エム・テクニック社製)により、単量体溶液2を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。当該分散液に重合開始剤としてKPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子a11の分散液を調製した。
(1.1.3)第3段重合:外層の形成(コア部用樹脂粒子Aの作製)
樹脂粒子a11の分散液に、重合開始剤としてKPS2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、下記成分が下記分量で配合された単量体溶液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中にコア部用樹脂粒子Aが分散されたコア部用樹脂粒子Aの分散液を調製した。コア部用樹脂粒子Aのガラス転移点は45℃であり、軟化点は100℃であった。
・スチレン 230質量部、
・n-ブチルアクリレート 78質量部、
・メタクリル酸 16質量部、
・n-オクチルメルカプタン 4.2質量部。
(1.2)シェル層用樹脂粒子B分散液の調製
(1.2.1)シェル層用樹脂(スチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、下記成分1を下記分量で入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した;
(成分1)
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部、
・テレフタル酸 117質量部、
・フマル酸 82質量部、
・エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部。
次いで、冷却した上記溶液に、下記成分2を下記分量で混合した混合物滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、未反応のアクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂Bを得た。得られたスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂Bのガラス転移点は60℃であり、軟化点は105℃であった;
(成分2)
・アクリル酸 10質量部、
・スチレン 30質量部、
・ブチルアクリレート 7質量部、
・重合開始剤(ジ-t-ブチルパーオキサイド) 10質量部。
(1.2.2)シェル層用樹脂粒子B分散液の調製
得られたスチレン・アクリル変性ポリエステル樹脂B 100質量部を、粉砕器(ランデルミル、RM型;株式会社徳寿工作所社)で粉砕し、あらかじめ調製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー(「US-150T」、株式会社日本精機製作所製)を用いてV-LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、個数基準のメディアン径(D50)が250nmであるシェル層用樹脂粒子Bが分散されたシェル層用樹脂粒子Bの分散液を調製した。
(1.3)着色剤粒子分散液1の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック(「モーガルL」、キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置(「クレアミックス(登録商標)」、エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液1を調製した。この分散液における着色剤粒子の粒子径を、マイクロトラック粒度分布測定装置(「UPA-150」、日機装株式会社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(1.4)トナー母体粒子の作製(凝集、融着-洗浄-乾燥)
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子Aの分散液を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10(25℃)に調整した。
その後、着色剤粒子分散液1を固形分換算で40質量部投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で精密粒度分布測定装置(「Multisizer3」、ベックマン・コールター社製)にてコア粒子の粒径を測定し、個数基準のメディアン径(D50)が5.8μmになった時点で、シェル層用樹脂粒子Bの分散液を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置(「FPIA-2100」、Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、トナー母体粒子の分散液を得た。
このトナー母体粒子の分散液を遠心分離機で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後、気流式乾燥機(「フラッシュジェットドライヤー」、株式会社セイシン企業製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥し、トナー母体粒子を得た。
トナー母体粒子の粒径を精密粒度分布測定装置(「Multisizer3」、ベックマン・コールター社製)にて測定したところ、個数基準のメディアン径(D50)が6.0μmであった。上記トナー母体粒子の作製中における粒子成長反応の継続時間を変更することにより、個数基準のメディアン径(D50)が3.5μmであるトナー母体粒子も同様に作製した。
(2)トナーの作製
100質量部のトナー母体粒子に、外添剤として、大径粒子であるSiO粒子(個数平均1次粒径:80nm)1.0質量部、疎水性チタニア粒子(個数平均1次粒子径20nm)0.3質量部をそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナーを作製した。
<トナーの評価>
(トナー近似真球半径Rの算出)
得られたトナーについて、三次元粗さ解析走査電子顕微鏡(「ERA-600FE」、株式会社エリオニクス製)を用いてトナーを三次元測定し、三次元解析において粗さ解析を行うことで、トナー母体粒子の表面からの凸部の平均高さ(外添剤凸部平均高さ(nm))を算出した。続いて、下記式により、トナー近似真球半径を算出した。ここで、トナー母体粒子の直径は、上記トナーの作製において測定した個数基準のメディアン径(D50)である6.0μm(6,000nm)および3.5μm(3,500nm)を採用した。各トナーの外添剤凸部平均高さおよびトナー近似真球半径Rを下記表2に示す。
(トナー母体粒子の被覆率の算出)
得られたトナーについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(「JSM-7401F」、日本電子株式会社製)を用いて撮影したトナーの写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置(「LUZEX AP」、株式会社ニレコ製)を用いて該写真画像の外添剤金属酸化物粒子について2値化処理し、トナー粒子1個の面積に対するトナー粒子上を占める外添剤金属酸化物粒子の面積の占有率(%)を算出した。合計トナー粒子10個に対して上記の占有率の算出を行い、得られた占有率の平均値をトナー母体の被覆率(%)とした。各トナーのトナー母体粒子の被覆率を下記表2に示す。
<画像形成装置および画像形成方法の評価>
(画像形成装置の準備)
上記作製した感光体およびトナーを、それぞれ下記表2のように組み合わせ、フルカラー印刷機(「bizhub PRESS(登録商標)C1070」、コニカミノルタ株式会社製)に実装した。これにより、下記表2の画像形成装置1~15を準備した。画像形成装置1~11では、ブレードが当接層および支持層の積層構造を有するとともに、ブレードの1Hzでの第1損失正接と100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしている。この画像形成装置1~11が各々、実施例1~11に対応する(表2参照)。画像形成装置12、13では、最大値Dが上記式(1)を満たしておらず、画像形成装置14、15では、ブレードが当接層のみの単層構造を有している。これら画像形成装置12~15が各々、比較例1~4に対応する(表2参照)。
(条件1でのクリーニング性の評価)
まず、画像形成装置1~15各々について、滑剤消費量が0.05g/km相当となるように滑剤供給部を調整した(条件1)。具体的には、滑剤供給部のブラシローラーが0.55Nの押圧力で感光体を圧接するように、加圧バネの押圧力の調整を行った。
次に、10℃、15%RHの低温低湿環境(LL環境)および30℃、85%RHの高温高湿環境(HH環境)のもと、2本の縦帯状ベタ画像(幅5cm)からなるテスト画像をA4横送りにおいて10万枚連続印刷を行った。
続いて、紙の搬送方向の前方向に黒地部、後方部に白地部が位置するように、ハーフトーン画像を、A3版中性紙に100枚印刷した。この後、100枚目のプリントの白地部を確認し、トナーがブレードをすり抜けることにより発生するスジ状等の汚れを目視により観察した。更に、滑剤供給部のブラシローラーの汚染を確認し、外添剤がブレードをすり抜けることにより発生する汚染を目視により観察した。白地部のスジ状等の汚れおよびブラシローラーの汚染を目視により観察することにより、下記評価基準に従って条件1でのクリーニング性を評価した。ここでは、評価結果が「A」および「B」の場合を合格と判定した。
[評価基準]
A:滑剤塗布ブラシに汚染が全くなく、白地部にスジ状の汚れもない、
B:滑剤塗布ブラシに一部汚染が認められるが、白地部のスジ状の汚れは視認できず、実用上問題なし、
C:滑剤塗布ブラシに汚染が認められ、白地部のスジ状の汚れも視認できる。
(条件2でのクリーニング性の評価)
画像形成装置1~15各々について、滑剤消費量が0.10g/km相当となるように滑剤供給部を調整した(条件2)。具体的には、滑剤供給部のブラシローラーが1.1Nの押圧力で感光体を圧接するように、加圧バネの押圧力の調整を行った。このことを除き、上記条件1でのクリーニング性の評価と同様にして、条件2でのクリーニング性を評価した。
画像形成装置1~15各々のブレード、感光体およびトナーの特徴を下記表2に示し、この画像形成装置1~15を用いて行った条件1、2でのクリーニング性の評価結果を下記表3に示す。
表3の結果から以下のことが確認された。
ブレードが当接層および支持層の積層構造を有し、かつ、最大値Dが上記式(1)を満たす画像形成装置1~11(実施例1~11)では、画像形成装置12~15(比較例1~4)に比べて、温度および湿度等の使用環境が変動してもクリーニング性の低下が抑えられる。更に、最大値Dが上記式(2)を満たす画像形成装置4、7~11では、使用環境の変動に起因したクリーニング性の低下を、より効果的に抑えることができる。
加えて、最大値Dが上記式(2)を満たすとともに、最大値D1、D2が上記式(3)、(4)を満たす画像形成装置9~11では、いずれの条件(条件1および条件2各々のLL、HH)の下でも十分なクリーニング性が得られた。
また、最外層の凸部平均高さR(nm)、最外層の無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離R(nm)およびトナーの近似真球半径R(nm)が、上記式(5)~(7)の関係を満たす画像形成装置5~11では、良好なクリーニング性が得られた。
以上に説明した、画像形成装置100の構成は、上述の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上述の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種種改変することができる。また、一般の画像形成装置が備える構成を排除するものではない。
例えば、上述の実施形態では、画像形成装置100が、熱ローラー方式の定着部24を有する場合について説明したが、画像形成装置100は、ベルト加熱方式の定着部24を有していてもよい。
また、上述の実施形態では、クリーニング部6Y、6M、6C、6Bkのブレード61が当接層および支持層の積層構造を有し、かつ、ブレード61の第1損失正接と第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たす例を説明した。他の実施形態では、クリーニング部6bのブレード、即ち、中間転写体70表面を清掃するブレードが、当接層および支持層の積層構造を有しており、このブレードの第1損失正接と第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしていてもよい。このとき、クリーニング部6bのブレードが本発明のブレードの一具体例に対応し、中間転写体70が本発明のトナー像担持体の一具体例に対応する。あるいは、クリーニング部6Y、6M、6C、6Bkのブレード61およびクリーニング部6bのブレードがともに、当接層および支持層の積層構造を有し、かつ、ブレード61の第1損失正接と第2損失正接との差の最大値Dが上記式(1)を満たしていてもよい。
また、上述の実施形態では、中間転写体70からの被転写体として用紙Pを用いる場合について説明したが、ここでの被転写体は画像を保持することができるものであれば限定されない。例えば、被転写体は、薄紙および厚紙等の普通紙、上質紙、アート紙、コート紙等の塗工された印刷用紙、和紙、はがき、OHP用のプラスチックフィルム、布、軟包装に用いられる樹脂材料、樹脂フィルムおよびラベル等であってもよい。
1Y、1M、1C、1Bk 感光体、
2Y、2Y’、2M、2C、2Bk 帯電部、
3Y、3M、3C、3Bk 露光部、
4Y、4M、4C、4Bk 現像部、
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー(一次転写部)、
5b 二次転写部、
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング部、
7 中間転写体ユニット、
8 筐体、
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット、
20 給紙カセット、
21 給紙部、
22A、22B、22C、22D 中間ローラー、
23 レジストローラー、
24 定着部、
25 排紙ローラー、
26 排紙トレイ、
70 中間転写体、
71~74 ローラー、
82R、82L 支持レール、
100 画像形成装置、
116Y 滑剤供給手段、
121 ブラシローラー、
122 滑剤、
122a 表面、
123 加圧バネ、
A 本体、
P 用紙、
SC 原稿画像読み取り装置。

Claims (16)

  1. トナー像担持体のクリーニングを行うブレードの製造方法であって、
    前記トナー像担持体に当接される当接層と、前記当接層を支持する支持層とを積層することを含み、
    前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接(Tanδ)と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、ブレードの製造方法:

    ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
  2. 前記最大値Dが式(2)を更に満たす、請求項1に記載のブレードの製造方法。
  3. 前記当接層を0.2mm以上1.0mm以下の厚みで形成し、
    前記支持層を0.8mm以上2.0mm以下の厚みで形成する、請求項1または2に記載のブレードの製造方法。
  4. 前記当接層の1Hzでの第3損失正接と、100Hzでの第4損失正接との差の最大値D1が、式(3)を満たし、
    前記支持層の1Hzでの第5損失正接と、100Hzでの第6損失正接との差の最大値D2が、式(4)を満たす、請求項1~3のいずれかに記載のブレードの製造方法:

    ただし、前記最大値D1は0℃~50℃の各温度における前記第3損失正接と前記第4損失正接との差の最大値であり、前記最大値D2は0℃~50℃の各温度における前記第5損失正接と前記第6損失正接との差の最大値である。
  5. 前記ブレードが前記当接層および前記支持層の2層からなる、請求項1~4のいずれかに記載のブレードの製造方法。
  6. ポリウレタンを用いて、前記当接層および前記支持層を形成する、請求項1~5のいずれかに記載のブレードの製造方法。
  7. トナー像担持体のクリーニングを行うブレードであって、
    前記トナー像担持体に当接される当接層と、
    前記当接層を支持する支持層とを備え、
    前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、ブレード:

    ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
  8. 前記最大値Dが式(2)を更に満たす、請求項7に記載のブレード。
  9. 前記当接層が0.2mm以上1.0mm以下の厚みを有し、
    前記支持層が0.8mm以上2.0mm以下の厚みを有する、請求項7または8に記載のブレード。
  10. 前記当接層の1Hzでの第3損失正接と、100Hzでの第4損失正接との差の最大値D1が、式(3)を満たし、
    前記支持層の1Hzでの第5損失正接と、100Hzでの第6損失正接との差の最大値D2が、式(4)を満たす、請求項7~9のいずれかに記載のブレード:

    ただし、前記最大値D1は0℃~50℃の各温度における前記第3損失正接と前記第4損失正接との差の最大値であり、前記最大値D2は0℃~50℃の各温度における前記第5損失正接と前記第6損失正接との差の最大値である。
  11. 前記当接層および前記支持層の2層からなる、請求項7~10のいずれかに記載のブレード。
  12. 前記当接層および前記支持層がポリウレタンを含む、請求項7~11のいずれかに記載のブレード。
  13. 前記トナー像担持体と、
    請求項7~12のいずれかに記載のブレードとを備える、画像形成装置。
  14. 前記トナー像担持体は感光体であり、
    前記トナー像担持体の表面を帯電させる帯電部と、
    帯電された前記トナー像担持体を露光し静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像およびトナーからトナー像を形成する現像部と、
    前記トナー像を被転写体に転写する転写部とを更に有し、
    前記トナー像担持体は、無機フィラーを含む組成物の重合硬化物から構成される最外層を有し、
    前記最外層の表面は、前記無機フィラーの隆起による凸部構造を有しており、
    前記最外層の凸部平均高さ(nm)をRとし、前記最外層の前記無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離(nm)をRとし、前記トナーの近似真球半径(nm)をRとしたとき、下記式(5)~(7)を満たす、請求項13に記載の画像形成装置。
  15. トナー像担持体から被転写体にトナー像を転写することと、
    前記転写後に、前記トナー像担持体にブレードを当接させて前記トナー像担持体のクリーニングを行うこととを含み、
    前記ブレードが、
    前記トナー像担持体に当接される当接層と、
    前記当接層を支持する支持層とを有し、
    前記当接層および前記支持層を含む前記ブレードの1Hzでの第1損失正接と、100Hzでの第2損失正接との差の最大値Dが、式(1)を満たす、画像形成方法:

    ただし、前記最大値Dは0℃~50℃の各温度における前記第1損失正接と前記第2損失正接との差の最大値である。
  16. 感光体である前記トナー像担持体の表面を帯電させることと、
    帯電された前記トナー像担持体を露光して静電潜像を形成することと、
    前記静電潜像およびトナーから前記トナー像を形成することとを更に含み、
    前記トナー像担持体は、無機フィラーを含む組成物の重合硬化物から構成される最外層を有し、
    前記最外層の表面は、前記無機フィラーの隆起による凸部構造を有しており、
    前記最外層の凸部平均高さ(nm)をRとし、前記最外層の前記無機フィラーの隆起による凸部構造の凸部間平均距離(nm)をRとし、前記トナーの近似真球半径(nm)をRとしたとき、下記式(5)~(7)を満たす、請求項15に記載の画像形成方法。
JP2020075497A 2020-04-21 2020-04-21 ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法 Active JP7487541B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075497A JP7487541B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法
US17/224,102 US11188020B2 (en) 2020-04-21 2021-04-06 Method of producing blade, blade, image forming apparatus, and image forming method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020075497A JP7487541B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021173800A JP2021173800A (ja) 2021-11-01
JP7487541B2 true JP7487541B2 (ja) 2024-05-21

Family

ID=78081820

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020075497A Active JP7487541B2 (ja) 2020-04-21 2020-04-21 ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11188020B2 (ja)
JP (1) JP7487541B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2024026005A (ja) * 2022-08-15 2024-02-28 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 中間転写ベルトクリーニングシステム、転写装置、及び画像形成装置

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002214995A (ja) 2001-01-18 2002-07-31 Konica Corp クリーニング装置、該クリーニング装置を用いた画像形成方法及び画像形成装置
JP2002318517A (ja) 2001-04-20 2002-10-31 Konica Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2004117459A (ja) 2002-09-24 2004-04-15 Ricoh Co Ltd クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2012203017A (ja) 2011-03-23 2012-10-22 Konica Minolta Business Technologies Inc ブレード材、クリーナー及び画像形成装置
JP2015225164A (ja) 2014-05-27 2015-12-14 株式会社沖データ クリーニングブレード、画像形成ユニット及び画像形成装置
JP2016167042A (ja) 2015-03-06 2016-09-15 株式会社リコー ブレード部材、及びこれを備えた画像形成装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3789089B2 (ja) * 2001-10-15 2006-06-21 キヤノン株式会社 画像形成装置
WO2007026758A1 (ja) * 2005-08-31 2007-03-08 Zeon Corporation 画像形成方法
US9798284B2 (en) * 2015-03-06 2017-10-24 Ricoh Company, Ltd. Blade and image forming apparatus incorporating same

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002214995A (ja) 2001-01-18 2002-07-31 Konica Corp クリーニング装置、該クリーニング装置を用いた画像形成方法及び画像形成装置
JP2002318517A (ja) 2001-04-20 2002-10-31 Konica Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2004117459A (ja) 2002-09-24 2004-04-15 Ricoh Co Ltd クリーニング装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2012203017A (ja) 2011-03-23 2012-10-22 Konica Minolta Business Technologies Inc ブレード材、クリーナー及び画像形成装置
JP2015225164A (ja) 2014-05-27 2015-12-14 株式会社沖データ クリーニングブレード、画像形成ユニット及び画像形成装置
JP2016167042A (ja) 2015-03-06 2016-09-15 株式会社リコー ブレード部材、及びこれを備えた画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20210325816A1 (en) 2021-10-21
US11188020B2 (en) 2021-11-30
JP2021173800A (ja) 2021-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7811738B2 (en) Image forming method
JP2014044287A (ja) 電子写真画像形成装置及び静電荷像現像用トナー
JP7263738B2 (ja) 電子写真画像形成装置および電子写真画像形成方法
JP7487541B2 (ja) ブレードの製造方法、ブレード、画像形成装置および画像形成方法
JP2003255567A (ja) 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジと、電子写真感光体
US10386777B2 (en) Electrophotographic image forming device
US10496014B2 (en) Electrophotographic image forming device
US20230350318A1 (en) Image forming system and method for forming image
JP7222261B2 (ja) 電子写真画像形成方法
JP7272067B2 (ja) 電子写真画像形成方法及び電子写真画像形成システム
JP3647268B2 (ja) 乾式トナー及び画像形成方法
JP2020067502A (ja) 電子写真感光体
JP3720631B2 (ja) 乾式トナー、乾式トナーの製造方法及び画像形成方法
JP7110844B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成方法、および画像形成装置
JP4488277B2 (ja) 画像形成装置
US20210080844A1 (en) Image forming apparatus and process cartridge
JP2024065620A (ja) 電子写真画像形成システム及び電子写真画像形成方法
JPS63169658A (ja) 静電像現像剤および静電像現像方法
JP2023062241A (ja) 電子写真画像形成システム
JP5031408B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置
JP3957854B2 (ja) 画像形成方法
JP2022117569A (ja) 画像形成方法
JP2003322983A (ja) 画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジと、電子写真感光体
JP2021135439A (ja) 画像形成方法
JP2020149005A (ja) 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤及び電子写真画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231114

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7487541

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150