JP7485939B2 - 銑鉄溶解装置、及び、銑鉄の溶解方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑を運搬するトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解する銑鉄の銑鉄溶解装置、及び、この銑鉄溶解装置を用いた銑鉄の溶解方法に関するものである。
トーピードカー(混銑車)は、高炉から溶銑を転炉等の他の設備に移送する際に用いられるものである。
ここで、溶銑を転炉等に移送する前に、トーピードカー内において、排滓、脱珪、脱燐、脱硫などの転炉外精錬を行うことがある。
これらの処理過程において、操業調整やトラブルの影響による長時間の処理待ちが発生した場合には、トーピードカー内の溶銑温度が溶銑の融点以下にまで低下し、出銑口に地金が付着して出銑ができなくなり、トーピードカー内の多量の溶銑が固化してしまい、溶銑利用率が低下するおそれがあった。
そこで、トーピードカー内で溶銑が固化することを抑制するために、従来から、様々な手段が提案されている。
例えば特許文献1には、トーピードカー内の温度を保持するための保温蓋が提案されている。
また、特許文献2には、高炉から受銑する前に、トーピードカー内部を予熱することが提案されている。
さらに、特許文献3には、高炉から受銑した溶銑の熱により、トーピードカーで固化した銑鉄を溶解する方法が提案されている。
実開昭56-034850号公報 特開2012-082449号公報 特開平09-133469号公報
ところで、特許文献1の保温蓋においては、トーピードカー内の温度をある程度保持することができるが、長時間経過した際には、トーピードカー内の溶銑が固化してしまうおそれがあった。また、既にトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解することはできなかった。
また、特許文献2のようにトーピードカー内を予熱した場合であっても、長時間経過した際には、トーピードカー内の溶銑が固化してしまうおそれがあった。また、既にトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解することはできなかった。
特許文献3のように、高炉からの受銑によって銑鉄を溶解する方法では、トーピードカー内に多量の銑鉄が残存していた場合には、高炉から十分な量の溶銑を受けることができず、銑鉄を溶解することができないおそれがあった。また、受銑した溶銑が固化してしまい、逆に、トーピードカー内部の銑鉄が増加するおそれがあった。さらに、トーピードカー内の銑鉄全体が一度に溶解すると、トーピードカー内の重量バランスが崩れてしまい、傾動時に傾動モーター負荷の上限超えや転倒のリスクがあり、安定してトーピードカーを傾動することができず、溶銑を排出することができなくなるおそれがあった。また、溶解時に発生する溶融スラグが耐火物と接触し、耐火物が劣化するおそれがあった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、トーピードカー内で固化した銑鉄を安定して溶解することが可能な銑鉄溶解装置、及び、この銑鉄溶解装置を用いた銑鉄の溶解方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明に係る銑鉄溶解装置は、溶銑を運搬するトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解する銑鉄溶解装置であって、前記トーピードカーの出銑口の上部に配設される保温フードと、この保温フードに配設された排ガス吸引手段と、前記保温フードの挿入孔を介して前記トーピードカー内に挿入される直噴式の燃焼バーナーと、この燃焼バーナーを昇降する昇降手段と、を有し、前記燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させて、前記銑鉄を局所加熱して溶解させる構成とされており、前記燃焼バーナーの火炎長さLb(m)、出銑口から銑鉄表面までの距離H(m)、バーナーノズルの挿入深さLd(m)、バーナーノズル径Db(m)とした場合に、0.80<(Lb-(H-Ld))/Db<2.00を満足するように、酸素含有ガス供給量、燃料供給量、及び、前記バーナーノズルの高さ位置、を調整することを特徴としている。
この構成の銑鉄溶解装置によれば、直噴式の燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させているので、トーピードカー内で固化した銑鉄を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることが可能となる。このため、重量バランスを崩すことなく銑鉄を溶解することができる。よって、トーピードカーを傾動させて溶解した銑鉄(溶銑)を安定して排出することが可能となる。また、銑鉄を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることにより、溶融スラグが耐火物に接触することを抑制でき、耐火物の劣化を抑制することができる。
また、排ガス吸引手段を備えた保温フードが配設されているので、燃焼によって生じた排ガスを排ガス吸引手段によって外部に排出でき、直噴式の燃焼バーナーの火炎の状態を安定させることができる。
さらに、直噴式の燃焼バーナーが昇降可能とされているので、直噴式の燃焼バーナーの火炎を銑鉄に確実に衝突させることができ、前記銑鉄を局所加熱して溶解することが可能となる。
また、本発明に係る銑鉄の溶解方法においては、前記燃焼バーナーの火炎長さLb(m)、出銑口から銑鉄表面までの距離H(m)、バーナーノズルの挿入深さLd(m)、バーナーノズル径Db(m)とした場合に、0.80<(Lb-(H-Ld))/Db<2.00を満足するように、酸素含有ガス供給量、燃料供給量、及び、前記バーナーノズルの高さ位置、を調整することにより、火炎がトーピードカーの内壁面に衝突することを抑制でき、耐火物の劣化をさらに抑制することが可能となる。
本発明に係る銑鉄の溶解方法は、溶銑を運搬するトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解する銑鉄の溶解方法であって、上述の銑鉄溶解装置を用いて、前記燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させて、前記銑鉄の表面を溶融可能な温度まで局所加熱することを特徴としている。
この構成の銑鉄の溶解方法によれば、直噴式の燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させているので、トーピードカー内で固化した銑鉄を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることが可能となる。このため、重量バランスを崩すことなく銑鉄を溶解することができる。よって、トーピードカーを傾動させて溶解した銑鉄(溶銑)を安定して排出することが可能となる。また、銑鉄を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることにより、溶融スラグが耐火物に接触することを抑制でき、耐火物の劣化を抑制することができる。
ここで、本発明に係る銑鉄の溶解方法においては、前記燃焼バーナーから噴射される酸素含有ガス及び燃料における酸素比を1.3以上1.8以下の範囲内とすることが好ましい。
ここで、酸素比とは、本発明においては、酸素と燃料を混合したバーナーから噴射されるガスの内、酸素体積流量/理論酸素量(燃料を完全燃焼させるのに必要な酸素の体積流量)の式より求める酸素比をいう。
上述の酸素比を1.3以上とすることにより、未燃ガスや煤の発生を抑制でき、バーナーノズルやトーピードカー内の汚染を防止できる。また、溶銑中炭素の酸素反応を促進でき、この反応熱によって銑鉄を効率良く溶解することが可能となる。
一方、上述の酸素比を1.8以下とすることにより、銑鉄表面における酸化による脱炭を抑え、銑鉄が高融点化することを防止できる。また、スラグの大量発生を抑制でき、耐火物の劣化を抑制することができる。
また、本発明に係る銑鉄の溶解方法においては、前記燃焼バーナーによる昇熱により、出銑口に付着した地金を除去する構成としてもよい。
この場合、出銑口に付着した地金を局所加熱して地金を溶解したり、燃焼排ガスによる高温酸化分解によって地金をヒューム化したり、地金を軟化させてトーピードカー内に落下させたりすることができ、出銑口に付着した地金を効率良く除去でき、溶解した銑鉄(溶銑)を出銑口から外部へと安定して排出することが可能となる。
また、本発明に係る銑鉄の溶解方法においては、前記燃料として、コークス炉ガス、プロパン又は重油を用いてもよい。
この場合、燃料としてコークス炉ガス、プロパン又は重油を用いているので、燃焼バーナーの燃焼により、確実に火炎を生じさせ、トーピードカー内の銑鉄を局所的に加熱して溶解させることが可能となる。
上述のように、本発明によれば、トーピードカー内で固化した銑鉄を安定して溶解することが可能な銑鉄溶解装置、及び、この銑鉄溶解装置を用いた銑鉄の溶解方法を提供することができる。
本発明の一実施形態である銑鉄溶解装置の概略説明図である。(a)がトーピードカーの縦断面説明図、(b)がトーピードカーの横断面説明図である。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示す観察写真である。(a)が昇熱前の地金の状況、(b)が昇熱後の地金の状況である。
以下に、本発明の実施形態である銑鉄溶解装置、及び、この銑鉄溶解装置を利用した銑鉄の溶解方法について説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である銑鉄溶解装置は、トーピードカー内で固化した銑鉄を溶解するものである。特に、トーピードカー内に固化した銑鉄が多量に存在し、高炉から溶銑を受けることができない状況において使用されるものである。
本実施形態である銑鉄溶解装置10は、図1に示すように、トーピードカー1の出銑口の上部に配設される保温フード11と、この保温フード11に備えられた排ガス吸引手段13と、保温フード11の挿入孔(図示なし)を介してトーピードカー1内に挿入される直噴式の燃焼バーナー15と、この燃焼バーナー15を昇降する昇降手段17と、を有している。
燃焼バーナー15は、バーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって火炎を生じさせる構造とされている。このとき、燃焼バーナー15の燃焼によって発生した排ガスは、排ガス吸引手段13によって外部に排出されることになる。
ここで、燃料としては、例えば、コークス炉ガス、プロパン又は重油を用いることができる。また、酸素含有ガスとしては、酸素ガス、空気等を用いることができる。
本実施形態である銑鉄溶解装置10においては、直噴式の燃焼バーナー15をトーピードカー1内に挿入し、燃焼バーナー15のバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を銑鉄5に衝突させる。これにより、銑鉄5を局所加熱することで、銑鉄5の一部を溶解する構成とされている。
ここで、本実施形態においては、燃焼バーナー15から噴射される酸素含有ガス及び燃料における酸素比を1.3以上1.8以下の範囲内とすることが好ましい。
上述の酸素比を1.3以上とすることにより、燃料を確実に燃焼させることができ、未燃ガスや煤の発生を抑制することが可能となる。また、溶銑中の炭素の酸化反応を促進し、この反応熱によって銑鉄5の溶解を促進することができる。一方、上述の酸素比を1.8以下とすることにより、スラグが大量に発生することを抑制でき、耐火物の劣化やスラグフォーミングの発生を抑制することが可能となる。
なお、酸素比の下限は1.3以上とすることがより好ましく、1.4以上とすることがさらに好ましい。また、酸素比の上限は1.7以下とすることがより好ましく、1.6以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、燃焼バーナー15の火炎長さLb(m)、出銑口から銑鉄5の表面までの距離H(m)、バーナーノズルの挿入深さLd(m)、銑鉄5の表面における火炎1次衝突点からトーピードカー1の内壁面までの直線距離D(m)、バーナーノズル径Db(m)とした場合に、
0<(Lb-(H-Ld))/Db<D/Db
を満足するように、酸素含有ガス供給量、燃料供給量、及び、バーナーのノズルの高さ位置、を調整することが好ましい。
火炎長さを上述のように調整することによって、火炎がトーピードカー1の内壁面に衝突することが抑制されることになる。
ここで、火炎長さは、以下の設計式に基づいて、燃焼発熱量によって制御することが可能である。
Figure 0007485939000001
Figure 0007485939000002
上述の銑鉄溶解装置10においては、上述のように、燃焼バーナー15のバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を銑鉄5に衝突させ、銑鉄5を局所加熱することで、銑鉄5の一部を溶解する。
そして、銑鉄5の一部を溶解して生じた溶銑を、トーピードカー1を傾動させることで、出銑口から外部へと排出する。
その後、トーピードカー1を元の位置に戻し、直噴式の燃焼バーナー15をトーピードカー1内に再度挿入し、再び、銑鉄5を局所加熱して、銑鉄5の一部を溶解する。
この作業を繰り返し実施することにより、トーピードカー1内で固化した銑鉄5を溶解して、トーピードカー1内のスペースを確保することができ、高炉からの受銑が可能となる。
また、本実施形態においては、燃焼バーナー15の燃焼熱によって、出銑口に付着した地金を除去することの可能である。
燃焼バーナー15の高さ位置を調整して出銑口に付着した地金に火炎を衝突させて溶解させてもよい。また、燃焼バーナー15の燃焼排ガスによって地金を高温酸化分解してヒューム化してよい。さらに、昇熱によって地金を軟化させてトーピードカー1内に脱落させてもよい。
以上のような構成とされた本実施形態である銑鉄溶解装置及び銑鉄の溶解方法によれば、直噴式の燃焼バーナー15をトーピードカー1内に挿入し、この燃焼バーナー15のバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎をトーピードカー1内の銑鉄5に衝突させているので、トーピードカー1内で固化した銑鉄5を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることが可能となる。このため、重量バランスを崩すことなく銑鉄5を溶解することができる。よって、トーピードカー1を傾動させて溶解した銑鉄(溶銑)を安定して排出することが可能となる。また、銑鉄5を局所的に加熱して、すり鉢形状に溶解させることにより、溶融スラグが耐火物に接触することを抑制でき、耐火物の劣化を抑制することができる。
また、出銑口の上部に、排ガス吸引手段13を備えた保温フード11が配設されているので、燃焼によって生じた排ガスを排ガス吸引手段13によって外部に排出でき、直噴式の燃焼バーナー15の火炎の状態を安定させることができる。
さらに、直噴式の燃焼バーナー15を昇降する昇降手段17を有しているので、燃焼バーナー15の火炎を銑鉄5に確実に衝突させることができる。
さらに、本実施形態において、燃焼バーナー15から噴出される酸素含有ガス及び燃料における酸素比を1.3以上とした場合には、未燃ガスや煤の発生を抑制でき、バーナーノズルやトーピードカー1内の汚染を防止できるとともに、溶銑中炭素の酸素反応を促進でき、この反応熱によって銑鉄5を効率良く溶解することが可能となる。
一方、上述の酸素比を1.8以下とした場合には、銑鉄5の表面における酸化による脱炭を抑え、銑鉄5が高融点化することを防止できるとともに、スラグの大量発生を抑制でき、耐火物の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態において、燃焼バーナー15の火炎長さLb(m)、出銑口から銑鉄5の表面までの距離H(m)、バーナーノズルの挿入深さLd(m)、銑鉄5の表面における火炎1次衝突点からトーピードカー1の内壁面までの直線距離D(m)、バーナーノズル径Db(m)とした場合に、
0<(Lb-(H-Ld))/Db<D/Db
を満足するように、酸素含有ガス供給量、燃料供給量、及び、燃焼バーナー15のバーナーノズルの高さ位置、を調整した場合には、火炎がトーピードカー1の内壁面に衝突することを抑制でき、耐火物の劣化をさらに抑制することが可能となる。
また、本実施形態において、燃焼バーナー15による昇熱により、出銑口に付着した地金を除去する構成とした場合には、出銑口に付着した地金を効率良く除去することができ、溶解した銑鉄(溶銑)の排出作業や、高炉からの受銑作業を、効率良く、かつ、安定して実施することが可能となる。
さらに、本実施形態において、燃料として、コークス炉ガス、プロパン又は重油を用いた場合には、燃焼バーナー15の燃焼により、確実に火炎を生じさせ、トーピードカー1内の銑鉄5を局所的に加熱して溶解させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態である銑鉄溶解装置、及び、銑鉄の溶解方法について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
(実施例1)
本発明の銑鉄溶解装置及び銑鉄の溶解方法の効果を確認すべく、各種条件により、トーピードカー内の銑鉄の溶解を実施した。その結果を表1及び図2に示す。ここで、銑鉄の溶解条件及び溶解状況を、以下の指数を用いて表記した。
受銑指数=受銑量/最大受銑容量(380t)
溶解指数=(溶解後の重量-溶解前の重量)/(条件1での溶解後の重量-溶解前の重量)×-1
なお、条件1では、溶解後の重量が溶解前の重量より多くなっている(銑鉄量が増加してる)ことから、溶解指数では-1をかけて表記している。
ここで、溶解量は、トーピードカーを傾転させながら、出銑口からトーピードカー内の溶銑を受銑鍋に払い出し、受銑鍋台車に搭載している秤量機を用いて、払い出し前と後の秤量差を測量して、この払い出し量を溶解量とした。
受銑による溶解量の絶対値は、受銑鍋台車の秤量機で測量した払い出し量から高炉受銑量を減じてこれを受銑による溶解量とした。なお、高炉受銑量は、受銑前後の湯面高さを湯面レベル計で計測して、この値よりトーピードカー内の銑鉄重量を算出した。
Figure 0007485939000003
条件1は、高炉からの受銑のみによって銑鉄の溶解を実施したものである。トーピードカー内に溶銑を受ける空間が無く、受銑指数は0.08と少なくなった。そして、受銑した溶銑が固化してしまい、溶解指数が-1.00となった。
条件2は、燃焼バーナーを用いて24時間の昇熱を実施したが、火炎長さが短く、火炎が銑鉄に直接衝突しないものである。溶解指数が0.01となり、銑鉄をほとんど溶解することができなかった。
条件3は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて12時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが1.18であってD/Db(4.22)以下であり、酸素比は溶解前1.9及び溶解後1.7であった。溶解指数が0.14となり、条件2よりも多くの銑鉄を溶解することができた。
条件4は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて12時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが2.00であってD/Db(4.03)以下であり、酸素比は溶解前2.0及び溶解後2.0であった。その結果、溶解指数が0.04となり、少量の銑鉄を溶解することができた。
条件5は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて12時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが2.89であってD/Db(3.82)以下であり、酸素比は溶解前1.4及び溶解後2.1であった。溶解指数が0.25となり、比較的多くの銑鉄を溶解することができた。なお、溶解後の酸素比が比較的高く、スラグが発生し、耐火物の浸食が認められた。
条件6は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて12時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが0.80であってD/Db(4.03)以下であり、酸素比は溶解前1.2及び溶解後1.2であった。溶解指数が0.19となり、比較的多くの銑鉄を溶解することができた。なお、酸素比が比較的低いため、煤が発生した。
条件7は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて12時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが1.69であってD/Db(3.82)以下であり、酸素比は溶解前1.5及び溶解後1.5であった。溶解指数が0.19となり、比較的多くの銑鉄を溶解することができた。
条件8は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて24時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが0.88であってD/Db(4.40)以下であり、酸素比は溶解前1.7及び溶解後1.7であった。溶解指数が0.19となり、比較的多くの銑鉄を溶解することができた。
条件9は、本発明の銑鉄溶解装置を用いて48時間の昇熱を実施したものである。なお、(Lb-(H-Ld))/Dbが0.88であってD/Db(4.40)以下であり、酸素比は溶解前1.7及び溶解後1.7であった。溶解指数が0.54となり、多くの銑鉄を溶解することができた。
条件10は、予燃バーナーによってトーピードカー内を予熱した状態で、高炉からの受銑によって銑鉄の溶解を実施したものである。受銑指数は0.13と少なくなった。そして、受銑した溶銑の一部が固化してしまい、溶解指数が-0.18となった。
(実施例2)
本発明の銑鉄溶解装置を用いて9.5時間の昇温を行い、出銑口の地金の除去を行った。昇温前と昇温後の出銑口の観察写真を図3に示す。昇温後において、地金が減少し、出銑口の開口面積が大きくなっていることが確認された。
以上の結果から、本発明によれば、トーピードカー内で固化した銑鉄を安定して溶解することが可能な銑鉄溶解装置、及び、この銑鉄溶解装置を用いた銑鉄の溶解方法を提供可能であることが確認された。
1 トーピードカー
5 銑鉄
10 銑鉄溶解装置
11 保温フード
13 排ガス吸引手段
15 燃焼バーナー
17 昇降手段

Claims (5)

  1. 溶銑を運搬するトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解する銑鉄溶解装置であって、
    前記トーピードカーの出銑口の上部に配設される保温フードと、この保温フードに配設された排ガス吸引手段と、前記保温フードの挿入孔を介して前記トーピードカー内に挿入される直噴式の燃焼バーナーと、この燃焼バーナーを昇降する昇降手段と、を有し、
    前記燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させて、前記銑鉄を局所加熱して溶解させる構成とされており、
    前記燃焼バーナーの火炎長さLb(m)、出銑口から銑鉄表面までの距離H(m)、バーナーノズルの挿入深さLd(m)、バーナーノズル径Db(m)とした場合に、
    0.80<(Lb-(H-Ld))/Db<2.00
    を満足するように、酸素含有ガス供給量、燃料供給量、及び、前記バーナーノズルの高さ位置、を調整することを特徴とする銑鉄溶解装置。
  2. 溶銑を運搬するトーピードカー内で固化した銑鉄を溶解する銑鉄の溶解方法であって、
    請求項1に記載の銑鉄溶解装置を用いて、前記燃焼バーナーのバーナーノズルから酸素含有ガスと燃料を噴射し、燃焼によって生じた火炎を前記銑鉄に衝突させて、前記銑鉄の表面を溶融可能な温度まで局所加熱することを特徴とする銑鉄の溶解方法。
  3. 前記燃焼バーナーから噴射される酸素含有ガス及び燃料における酸素比を1.3以上1.8以下の範囲内とすることを特徴とする請求項2に記載の銑鉄の溶解方法。
  4. 前記燃焼バーナーによる昇熱により、出銑口に付着した地金を除去することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の銑鉄の溶解方法。
  5. 前記燃料として、コークス炉ガス、プロパン又は重油を用いることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の銑鉄の溶解方法。
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