JP7485341B2 - ヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を備えた各種機器 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 令和元年10月18日加藤電機株式会社内おいて公開
本発明は、とくに複写機や複合機などのコピー機や印刷機などの事務機器、或は家具などを含む各種機器の機器本体に対し、原稿圧着板などの蓋体を開閉可能に取り付ける際に用いて好適な、ヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を備えた各種機器に関する。
従来、コピー機などの機器本体に取り付けられる取付部材と、この取付部材にヒンジシャフトを介して回転可能に取り付けられるところの原稿圧着板を支持する支持部材とを備え、取付部材に設けた収容部に一方向にスライド付勢させたスライド部材を収容させ、支持部材に設けた第1旋回カム部をスライド部材の頂部に設けた第1スライドカム部に当接させると共に、スライド部材内部にダンパーを収容させ、このダンパーのピストンロッドに頂部に設けた第2スライドカム部を有する押圧ロッドを接続させ、この押圧ロッドをスライド部材の頂部に設けた開口部から第1旋回カム部側に突出させたヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を備えたコピー機が、下記特許文献1に記載されているように公知である。
特開2015-183840号公報
この特許文献1に記載のヒンジ装置は、構成部品が多いことから製造コストが高くなる上に、原稿圧着板の閉成操作時において、押圧ロッドが第1旋回カム部によって降下させられる距離が、同じく第1旋回カム部によって降下されるスライド部材の距離より大きくなるように構成されていることから、原稿圧着板の閉成操作時における操作感覚に違和感を生じさせるという問題があった。また、押圧ロッドはピストンロッドの上部に単に当接されており、しかもスライド部材に形成される押圧ロッドのガイド孔の軸方向の長さが短いことから、押圧ロッドのスライド動作がスムーズに行われ難く、これも原稿圧着板のとくに閉成操作時の操作感覚に違和感を生じさせると共に、永年使用すると押圧ロッドとガイド孔との間にガタが生じやすいという問題があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するために成されたものであり、構成がより簡単で安価に製造でき、スムーズな操作感覚が得られた上で、永年使用の後においてもガタの来ない耐久性に優れたヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を備えた各種機器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載のヒンジ装置は、上部に一対の側板を有し内部に上部開放の収容部が設けられたところの機器本体側に取り付けられる取付部材と、軸支部と支持部から成り前記軸支部に第1旋回カム部を有し原稿圧着板に取り付けられる支持部材と、この支持部材の軸支部を前記取付部材の一対の側板の間に回転可能に連結するヒンジシャフトと、前記収容部内にスライド可能に収容され、頂部に前記第1旋回カム部と常時圧接状態にあるスライドカム凸部を有するスライド部材と、前記収容部の底部とスライド部材の間に設けられスライド部材を前記第1旋回カム部側に向けて付勢する弾性部材と、前記弾性部材内に設けられたダンパーと、前記ダンパーのピストンロッドに一端が着脱可能に接続されると共に、前記スライド部材内に形成されたところの上部に開口部を有するガイド筒部内にスライド可能に収装され、前記原稿圧着板の閉成動作時に所定の閉成角度から前記第1旋回カム部に当接する押圧ロッドと、を備え、前記原稿圧着板が所定の開成角度から閉じられてゆく際に、前記第1旋回カム部によって押圧させられる前記スライド部材の移動距離が前記押圧ロッドより前記スライド部材の方が長いことを特徴とする。
その際に、請求項2に記載のヒンジ装置は、前記ガイド筒部の長さを、前記押圧ロッドの長さと同じ長さとしたことを特徴とする。
さらに、請求項3に記載のヒンジ装置は、前記ピストンロッドの先端部を前記押圧ロッドに接続するに当たり、前記押圧ロッドの下端部側に設けた接続穴へ前記ピストンロッドの先端部を挿入させることを特徴とする。
さらに、請求項4に記載のヒンジ装置は、前記ピストンロッドの先端部を前記押圧ロッドに接続するに当たり、前記ピストンロッドの先端部側と前記押圧ロッドの下端部側を半径方向に貫通するピンで連結することを特徴とする。
さらに、請求項5に記載のヒンジ装置は、前記支持部材の最大回転角度を、前記軸支部に設けた第1旋回カム部と第2旋回カム部が前記ヒンジシャフトを挟んで前記スライド部材の頂部に当接することで規制されることを特徴とする。
そして、請求項6に記載の本願発明に係る各種機器は、上記したヒンジ装置と、原稿を載置するための載置面を有する前記機器本体と、前記支持部材と共に回転することで前記載置面を閉じた状態と開いた状態との間で変化し、閉じた状態のときに前記載置面に載置された原稿を圧着する前記原稿圧着板と、を備えたことを特徴とする。
本願請求項1に記載のヒンジ装置によれば、簡単な構成で、原稿圧着板が急激に落下することを防止できた上で、スムーズな開閉操作感覚が得られ、永年使用の後においてもガタの来ず耐久性のあるヒンジ装置を提供することができるものである。
本願請求項2に記載のヒンジ装置によれば、原稿圧着板の開閉操作時において、押圧ロッドが第1旋回カム部によって前後方向に揺動する力を受けても、ガイド筒部を押圧ロッドの長さと同じ長さとしたことで、押圧ロッドのスムーズなスライド動作を維持することができることから、永年使用の後にあってもガタの来ない耐久性のあるヒンジ装置を提供することができるものである。
本願請求項3と4に記載のヒンジ装置によれば、ピストンロッドと押圧ロッドの接続が確実なものとなり、動作が安定する上に、機種に応じて押圧ロッドを交換でき、1機種で多種類の事務機器に対応できるものである。
本願請求項5に記載の発明によれば、原稿圧着板の90°に満たない全開成状態において、当該全開成状態を安定的に維持することができるヒンジ装置を提供できるものである。
本願請求項6に記載の発明によれば、請求項1~5に各記載のヒンジ装置の特徴を持ったヒンジ装置を備えた各種機器を提供できるものである。
本発明に係るヒンジ装置を備えたところの各種機器の一例であるコピー機の斜視図である。 本発明に係るヒンジ装置単体の斜視図である。 図2に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度が0°の状態の縦断面図である。 図3に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度が70°の状態の縦断面図である。 図3に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度が35°の状態の縦断面図である。 図3に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度が20°の状態の縦断面図である。 図3に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度が15°の状態の縦断面図である。 図3に示したヒンジ装置における支持部材の回転角度の0°から70°の間のトルク曲線図である。
以下に、この発明の好適な実施の形態に係るヒンジ装置をコピー機に用いた場合について、図面を参照しながら説明する。このコピー機において、蓋体とは原稿圧着板のことであるので、この蓋体を原稿圧着板として説明するが、他の機器にあっては、これを蓋体と読み替えるものである。また、以下の説明にあたり、図2で示す直交座標系で示した前後、左右、及び上下の方向を適宜参照する。
図1に示すコピー機1は、機器本体2の上面2bに、原稿を載置するためのコンタクトガラスから成る載置面2aが設けられている。コピー機1は、載置面2aに載置された原稿を読み取ることが可能であり、それは例えばコピー機能しか有しない複写機であったり、コピー機能、スキャナ機能、Fax機能等の複数の機能を有している複合機であったりする。コピー機1は、機器本体2と、蓋体である原稿圧着板3と、機器本体2に取り付けられ原稿圧着板3を回転可能に支持するヒンジ装置10,10とを備えている。
実施の形態のものは、ヒンジ装置10、10は同じ構成のものを示してあるが、このものに限定されず、左右それぞれ異なる構成のものもある。実施の形態では、ヒンジ装置10、10は同じ構成としているので、以下の説明では、その内の一つのヒンジ装置10の構成を説明する。
ヒンジ装置10は、図2以降に示したように、円柱状の支柱部21を有する取付部材20と、この取付部材20に対しヒンジシャフト80を介して回転可能に取り付けられた支持部材30とを備えている。取付部材20は、例えばポリプロピレン(PP)等の機械的強度を有するものを材料とする樹脂成形品であり、機器本体2の後部上端部に設けた取付孔2cに支柱部21が挿入されることで、機器本体2に取り付けられている。この取付孔2cの深さは、支柱部21の高さと同程度である。また、支柱部21の下端部の後端部に設けられている指示記号21aの突起はガイド突起であり、このガイド突起21aは支柱部21を取付孔2cへ挿入する際に、当該取付孔2cに設けたガイド溝と係合して抜け防止となるとともに、挿入位置を常に一定させることができるものである。尚、この取付部材20の構成は、実施の形態のものに限定されず、支柱部21を角筒状に形成し、その両側に取付プレートを設け、この取付プレートを機器本体2の上部後端部へ取り付けるものであっても良い。
原稿圧着板3は、コピー機1の載置面2aに置かれた原稿を上方から押さえつけて圧着することで、原稿を読み取る際に原稿のしわを伸ばしたり、原稿が動いたりするのを防止する。このように原稿を圧着したときの原稿圧着板3は、閉じた状態にあるといい、機器本体2の載置面2aを覆う。一方、コピー機1の載置面2aに原稿を載置するとき、ユーザーは、原稿圧着板3をその閉成状態から上方に向けて持ち上げ、機器本体2の載置面2aを露出させるものである。このとき、原稿圧着板3は開いた状態にあるという。
なお、原稿圧着板3が取り付けられたヒンジ装置10の状態も、原稿圧着板3の状態と同様に説明することができる。すなわち、図3に示したように、原稿圧着板3が閉じた状態のとき、ヒンジ装置10も閉じた状態であり、この時、支持部材30の機器本体2に対する回転角度は0°であるとする。一方、原稿圧着板3が開いた状態のとき、ヒンジ装置10も同様に開いた状態にあるとする。支持部材30が機器本体2の載置面2aから離れる方向に回転すると、回転角度は増加していき、例えば図1と図4に示す状態では、支持部材30の機器本体2に対する回転角度は70°となり、本発明に係るヒンジ装置10にあっては、この回転角度70°が原稿圧着板3の最大開成角度となる。
図3以降に示したように、取付部材20の支柱部21は、上方が開放されていると共に、下方に底部22aが設けられたところの、後述する各種部品を収容するための収容部22が設けられている。尚、底部22aに設けられている指示記号22bのものはエアー抜き用の孔である
また、取付部材20の上部には、図2に示したように、左右に間隔を空けて設けられた一対の側板23、23(図2に表示)が設けられている。これらの一対の側板23、23には、それぞれヒンジシャフト80を通すための挿通孔23a、23a(一方のみ図示、以下同じ)が形成されている。ヒンジシャフト80は、一対の側板23、23の挿通孔23a,23a及び支持部材30の軸支部31に設けた挿通孔31aを貫いている。これにより、支持部材30はヒンジシャフト80を中心に回転する。なお、指示記号24のものは、ストッパー部であり、取付部材20の後部に左右方向に渡って形成されている。このストッパー部24は、実施の形態のものは、支持部材が70°以上に回転するのを防止するためのものである。
支持部材30も、例えばポリプロピレン(PP)などの機械的強度を有する樹脂成型品であり、図2以降に示したように、軸支部31とこの軸支部31から前方へ延設させた支持部32から成り、軸支部31に設けた挿通孔31aより下方にその軸方向からみて非対称となる第1旋回カム部31bと第2旋回カム部31cが凹部31dを挟んで設けられている。
支持部材30の軸支部31の挿通孔31aには、図3以降に示したように、取付部材20の一対の側板23、23間に挿入されて、これらの1対の側板23、23と共にヒンジシャフト80が挿通されることで支持部材30は取付部材20に連結されている。第1旋回カム部31bは、ヒンジシャフト80を中心とした支持部材30の回転角度に応じて、図3以降に示すスライド部材40、押圧ロッド70、及びストッパー部24に接触したり押圧したりする。
支持部32は、そこに設けた取付孔32a、32a・・・を介して図示しないボルトやビスといった公知の連結手段を用いて原稿圧着板3の後部が取り付けられるものである。支持部32は、左右方向における幅が軸支部31よりも広い。これにより、支持部32は、広い範囲で原稿圧着板3と連結することができ、原稿圧着板3を安定した状態で支持することができる。これにより、ユーザーにより操作された原稿圧着板3は、支持部材30と共にヒンジシャフト80を中心として回転する。
また、図3以降に示したように、取付部材20に形成された収容部22内部には、収容部22内を上下方向へスライドするスライド部材40と、スライド部材40と底部22aに取り付けた受座部材61との間に弾設された圧縮コイルスプリングから成る弾性部材50とが設けられている。
スライド部材40は、図3以降に示したように、筒状に形成された外筒部41と、外筒部41の内側に同心円を形成して設けられた筒状のガイド筒部42と、外筒部41の上端とガイド筒部42の上端とを接続する頂部43とを有している。外筒部41の高さは、収容部22の深さよりも低い。また、ガイド筒部42の高さは、外筒部41の高さよりも低い。外筒部41を上下方向に直交する平面で切断した断面の外形は円形状であり、その外径は取付部材20に形成された収容部22の内径と同程度である。これにより、スライド部材40は収容部22内を上下方向にスライドして移動することが可能である。また、頂部43の上面は前方側の一部の範囲には山形状に上方に突出したスライドカム凸部43aが軸支部31の左右方向に渡って形成されると共に、このスライドカム凸部43aに続いて傾斜部43bが、この傾斜部43bに続いて平坦部43cが形成されている。
弾性部材50は、円筒状に形成された圧縮コイルスプリングであり、上部がスライド部材40の外筒部41とガイド筒部42と頂部43とにより区画された弾性部材収容部40a内に収容されている。弾性部材50の上側の端部は、スライド部材40の頂部43の下側に当接している。一方、弾性部材50の下側の端部は、収容部22の底部22aに取り付けた受座部材61に当接している。このように、弾性部材50は、スライド部材40と収容部22の底部22aに設けた受座部材61との間に弾設されている。なお、弾性部材50は、圧縮された状態で収容部22に収容されているため、スライド部材40を上方、すなわち第1旋回カム部31b側に向けて常時付勢している。第1旋回カム部31bに向けて付勢されたスライド部材40は、スライドカム凸部43aを介して第1旋回カム部31bを上方に押圧する力を作用させる。図3に示したように、スライドカム凸部43aが第1旋回カム部31bを上方に押圧する位置は、ヒンジシャフト80の位置よりも前方である。これにより、ヒンジ装置10が閉じた状態にあるとき、スライド部材40は、支持部材30を開く方向に回転させる力、すなわち図3においては時計回りに支持部材30を回転させる力を作用させているが、図3に示した開閉角度0°の状態において、その弾力は原稿圧着板3がヒンジシャフト80の周りに発生させる回転トルクよりも小さいため、原稿圧着板3は振動などにより自然に浮き上がることはない。
また、取付部材20に形成された収容部22には、さらに、ピストンロッド60aを有するダンパー60と、ピストンロッド60aに接続された押圧ロッド70とが収容されている。
ダンパー60は、ピストンロッド60aが上方を向くように受座部材61上に載置されると共に、弾性部材50の内部に収容されている。ダンパー60は、内部に図示しないオイルとピストンとが設けられた流体ダンパーであるが、オイルの代わりに気体を封入させたものであってもよい。
押圧ロッド70は、円柱状に形成されており、その上端部に前方に傾斜した傾斜カム部70aが設けられており、スライド部材40の内部に設けたガイド筒部42の挿通孔40b内部に上下方向へスライド可能に収容されている。このガイド筒部42の挿通孔40bの内径と押圧ロッド70の外径は同程度であり、その下部から軸方向に設けた接続穴70bにピストンロッド60aが挿入されている。実施の形態ではピストンロッド60aと押圧ロッド70はそれらの半径方向を貫通するピン60bで連結されているが、押圧ロッド70はその長さと同じ長さを有するガイド筒部42の挿通孔40b内に収容されているので、原稿圧着板3の開閉操作に伴い第1旋回カム部31bによって前後方向に揺動する力を受けても、その姿勢が安定している。したがって、ピストンロッド60aの先端側を押圧ロッド70の下部に設けた接続穴70bに挿入させるのみであっても良い。その場合には、使用中に押圧ロッド70が回転してしまわないように角型にするか、或はガイド突起を設けることが必要である。押圧ロッド70の上端部の傾斜カム部70aは、原稿圧着板3の閉成時においては、図3に示したように、スライド部材40の頂部に設けたガイド筒部42の開口部42aから上方に突出し、第1旋回カム部31bと当接している。
次に、本発明に係るヒンジ装置10は、開いた原稿圧着板3を閉じる際に示す動作に特徴があるので、原稿圧着板3が開いた状態から閉じた状態へと変化するときのヒンジ装置10の挙動について、図3から図8を参照しながら説明する。なお、図3から図7においては、ヒンジ装置10の挙動が容易に理解できるように、機器本体2及び原稿圧着板3は2点鎖線で示してある。
一般にコピー機のヒンジ装置に用いられる弾性部材の弾力は、原稿圧着板を開く際には、その重量をあまり感じさせることなく開かせ、中間開閉角度で安定停止させ、さらに閉じる際には原稿圧着板が急激に閉じないようにし、さらに原稿圧着板の閉成状態を安定させ、浮き上がらないようにするために、弾性部材の弾力は閉成時の原稿圧着板がヒンジシャフトの周りに発生させる回転トルクより、弱くなるように構成されている。そのため、原稿圧着板を閉じる際に生じる慣性力により、原稿圧着板3が急激に閉じて大きな音をたてたり、うっかり手を挟んでしまわないようにする必要がある。そこでもう一つの緩衝手段として弾性部材の他にダンパーを用いている。そこで、このダンパーをいつの段階から動作 させるようにするかについて、工夫が必要となる。
図3は支持部材30、しかして原稿圧着板3の機器本体2の原稿の載置面2aに対する角度が0°の状態のヒンジ装置10を示し、図4は支持部材30、しかして原稿圧着板3の機器本体2の原稿の載置面2aに対する回転角度、しかして原稿圧着板3の開成角度が最大の70°である場合のヒンジ装置10を示している。図4に示したように、この時、支持部材30の第1旋回カム部31bと第2旋回カム部31cは、ヒンジシャフト80を挟んで、スライド部材40の頂部に設けたスライドカム凸部43aと、後部に設けた平坦部43cに当接しており、支持部材30をどちらの方向にも回転付勢していないので、原稿圧着板3から手を離しても、この開成角度70°の位置でどちらの方向にも開閉せず安定停止している。
なお、第1旋回カム部31bには、弾性部材50により上方に付勢されたスライド部材40のスライドカム凸部43aが当接している。このスライドカム凸部43aは、第1旋回カム部31bを上方に押し上げることから、支持部材30を開く方向に回転させようとする力を作用させる。一方、支持部材30は、図1に示す原稿圧着板3の重量により、閉じる方向に回転させようとする力を受ける。なお、支持部材30の回転角度が大きい場合、例えば支持部材30の回転角度が30°以上の場合、スライドカム凸部43aに押圧されることに伴う支持部材30を開く方向に回転させようとする力と、原稿圧着板3の重量により支持部材30を閉じる方向に回転させようとする回転トルクとが釣り合う。このため、ユーザーが原稿圧着板3(図1)を動かそうとしない限り、図3に示すヒンジ装置10の回転角度は保持される。なお、押圧ロッド70の傾斜カム部70aは、図6に示したように、原稿圧着板3しかして支持部材30の開閉角度20°においては、スライド部材40のガイド筒部42の奥に位置しており、まだ第1旋回カム部31bに当接していない。
ユーザーによって図4に示す全開状態の原稿圧着板3が閉じる方向に押し下げられると、第1旋回カム部31bによってスライドカム凸部43aが下方へ押圧されることによって、スライド部材40は押圧されて下方へ移動する。一方、押圧ロッド70の傾斜カム部70aは、原稿圧着板3が全開成位置から図7に示す開閉角度15°になるまでの間、第1旋回カム部31bに当接しないので、何ら動作することはない。やがて、図7に示す状態、すなわちヒンジ装置10が回転角度15°の状態になった時には、第1旋回カム部31bが押圧ロッド70の傾斜カム部70aに接し、これより開閉角度が小さくなるに従って下方へスライドする押圧ロッド70を介してダンパー60の押圧ロッド70が降下し、圧縮される弾性部材50と共に原稿圧着板3の落下速度をより強く緩衝することになる。
このように、ヒンジ装置10の支持部材30の回転角度、しかして、原稿圧着板3の開閉角度が、15°より大きく70°以下の場合、第1旋回カム部31bは、弾性部材50により上方に付勢されたスライド部材40のスライドカム凸部43aと当接する一方で、押圧ロッド70の傾斜カム部70aとは当接しない。このことから、本願発明に係るヒンジ装置10は、図8のトルク曲線図に示したように、原稿圧着板3が機器本体2の載置面2aに対して閉じられる角度が15°という、ほとんど原稿圧着板3がその重量と閉成時の慣性力で自動的に閉じられる閉成角度から動作するように構成したので、操作感覚に異変を生じさせることなくスムーズに閉じることができ、かつ原稿圧着板3が勢いよく閉じられることを防止することができるものである。
以上のことは、図4と図3を対比すると解るように、本発明に係る原稿圧着板3の70°の全開位置から0°の全閉位置までの第1旋回カム部31bによって押圧されるスライド部材40のスライドカム凸部43aの移動幅の方が、押圧ロッド70の傾斜カム部70aの移動幅よりよりも長いことからも裏付けられる。
図8は、本願発明に係るヒンジ装置10のトルク曲線図を示す。図面に示したように、開閉角度15°から20°の間において、原稿圧着板3の示すトルク曲線と弾性手段50のトルク曲線が交わり、この開閉角度から上の開閉角度においては、弾性部材50の弾力が勝ることから、原稿圧着板3は自然落下することなく、軽い操作力で開くことができ、手を放しても落下することがない。原稿圧着板3の示すトルク曲線と弾性手段50のトルク曲線が交わる角度以下の開閉角度では、原稿圧着板3の重力が勝ることから、手を離すと原稿圧着板3は自動的に落下することになるが、図面に示したように、この開閉角度においてはダンパー60がきき始めるので、その落下速度が緩衝されることになる。
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。上記の実施形態において、支持部材30の機器本体2に対する最大の角度は70°に規定されていたが、特に限定されるものではなく任意に設定することができる。また、支持部材30の回転角度が15°以下のときに、支持部材に設けた第1旋回カム部31bがダンパー60に接続された押圧ロッド70に当接するので、原稿圧着板3の閉成操作時における回転トルクが十分に大きくなった際にダンパー60が動作することから、原稿圧着板3の閉成時における加速度を吸収し、急激に落下することなく、よりスムーズな閉成操作を行うことができるものである。
また、本発明に係るヒンジ装置10は、コピー機1のみに適用されるものではなく、ヒンジ装置10を利用した様々なものに適用可能である。例えば、印刷機、ケースや食器棚等の家具等に適用することができることは上述した。
本発明は以上のように構成したので、とくに開閉頻度の高い、しかも比較的に軽量の原稿圧着板の開閉用に用いるヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いたコピー機として好適に用いられるが、上記したように、このものに限定されず、同じ目的を持つ各種機器の二体の開閉用のヒンジ装置並びにこのヒンジ装置を用いた各種機器としても好適に用いられるものである。
1 コピー機
2 機器本体
2a 載置面
3 原稿圧着板
10 ヒンジ装置
20 取付部材
21 支柱部
22 収容部
22a 底部
23、23 側板
24 ストッパー部
30 支持部材
31 軸支部
32 支持部
40 スライド部材
40a 弾性部材収容部
41 外筒部
42 ガイド筒部
42a 開口部
43 頂部
43a スライドカム凸部
43b 傾斜部
43c 平坦部
50 弾性部材
60 ダンパー
60a ピストンロッド
70 押圧ロッド
80 ヒンジシャフト

Claims (6)

  1. 上部に一対の側板を有し内部に上部開放の収容部が設けられたところの機器本体側に取り付けられる取付部材と、
    軸支部と支持部から成り前記軸支部に第1旋回カム部を有し原稿圧着板に取り付けられる支持部材と、
    この支持部材の軸支部を前記取付部材の一対の側板の間に回転可能に連結するヒンジシャフトと、
    前記収容部内にスライド可能に収容され、頂部に前記第1旋回カム部と常時圧接状態にあるスライドカム凸部を有するスライド部材と、
    前記収容部の底部とスライド部材の間に設けられスライド部材を前記第1旋回カム部側に向けて付勢する弾性部材と、
    前記弾性部材内に設けられたダンパーと、
    前記ダンパーのピストンロッドに一端が着脱可能に接続されると共に、前記スライド部材内に形成されたところの上部に開口部を有するガイド筒部内にスライド可能に収装され前記原稿圧着板の閉成動作時に所定の閉成角度から前記第1旋回カム部に当設する押圧ロッドと、を備え、
    前記原稿圧着板が所定の開成角度から閉じられてゆく際に、前記第1旋回カム部によって押圧させられる前記スライド部材の移動距離が前記押圧ロッドの移動距離より長いことを特徴とする、
    ヒンジ装置。
  2. 前記ガイド筒部の長さを、前記押圧ロッドの長さと同じ長さとしたことを特徴とする、
    請求項1に記載のヒンジ装置。
  3. 前記ピストンロッドの先端部を前記押圧ロッドに接続するに当たり、前記押圧ロッドの下端部側に設けた接続穴へ前記ピストンロッドの先端部を挿入させることを特徴とする、
    請求項1に記載のヒンジ装置。
  4. 前記ピストンロッドの先端部を前記押圧ロッドに接続するに当たり、前記ピストンロッドの先端部側と前記押圧ロッドの下端部側を半径方向に貫通するピンで連結することを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ装置。
  5. 前記支持部材の最大回転角度は、前記軸支部に設けた第1旋回カム部と第2旋回カム部が前記ヒンジシャフトを挟んで前記スライド部材の頂部に当接することで規制されるように成したことを特徴とする、請求項1に記載のヒンジ装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のヒンジ装置と、
    機器本体と、
    前記機器本体に対して開閉される原稿圧着板と、
    を備えたことを特徴とする、各種機器。
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