JP7484634B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体後部構造に関する。
例えば、特許文献1に開示されているように、車体後部の車幅方向側部に配置され車両上下方向に延びるクォータピラーを備えた車両が知られている。このクォータピラーの上端部には、リヤヘッダー(以下では「ルーフクロスメンバ」とする)が結合されている。ルーフクロスメンバは、クォータピラーとの結合部から車幅方向内側に向けて延びている。特許文献1の車体構造では、クォータピラーの車両上下方向に延びる閉断面とルーフクロスメンバの車幅方向に延びる閉断面とが、クォータピラーおよびルーフクロスメンバの結合部に設けたジョイント部材を介して連続的に形成されることにより、車体剛性を向上させている。
特開2010-179763号公報
しかし、上記のような従来の車体後部構造については、車体の固有振動によってクォータピラーおよびルーフクロスメンバの結合部に発生する変形を十分に抑制することが難しいという課題があった。すなわち、クォータピラーおよびルーフクロスメンバの結合部には、車体のねじりモードや前後せん断モード、ルーフパネルモードなどの固有振動に起因して、左右方向の曲げ変形や、上下方向の曲げ変形、前後方向軸のねじり変形が発生する可能性がある。従来の構造においては、クォータピラーの閉断面とルーフクロスメンバの閉断面とが、クォータピラーの構成要素であるクォータインナパネルの一方の面(車両外側面)側に配置されているので、上記のような車体の固有振動による結合部の各種変形を十分に抑えることが難しく、結合部の剛性を向上させる上で、改善の余地があった。また、ジョイント部材が結合部に設けられていることで構造が複雑化し、部品点数および組立工数等の増加を招いてしまうという課題もあった。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、車体の固有振動によりクォータピラーおよびルーフクロスメンバの結合部に発生し得る各種変形を簡略な構造により抑制できる車体後部構造を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、車体後部の車幅方向側部に配置され、車両上下方向に延びるクォータピラーと、該クォータピラーの上端部に結合され、当該結合部から車幅方向内側に向けて延びるルーフクロスメンバと、を備えた車体後部構造を提供する。この車体後部構造において、前記クォータピラーは、車両上下方向に延びるピラー部が設けられているクォータパネルと、該クォータパネルの車両外側面部に接合され、前記ピラー部に沿って延びるクォータピラーリンフォースメントと、を有し、該クォータピラーリンフォースメントと前記クォータパネルの車両外側面部とによって、内部に空間を有する第1閉断面形状部が前記クォータピラーに形成されている。前記ルーフクロスメンバは、車幅方向に延びるルーフクロスメンバアッパと、該ルーフクロスメンバアッパの下方に配置され、車幅方向に延びるルーフクロスメンバロアと、を有し、該ルーフクロスメンバロアの車幅方向中間部が前記ルーフクロスメンバアッパに接合されるとともに、前記ルーフクロスメンバロアの車幅方向側部が前記クォータパネルの車両内側面部に接合され、前記ルーフクロスメンバアッパと前記ルーフクロスメンバロアと前記クォータパネルの車両内側面部とによって、内部に空間を有する第2閉断面形状部が前記ルーフクロスメンバに形成されている。前記第1閉断面形状部および前記第2閉断面形状部は、少なくとも車両前後方向で、互いの一部または全部が前記クォータパネルを挟んで重なるように配置されている。前記クォータパネルの車両前側上部には、車両前後方向に延びるルーフサイドパネルが接合されており、該ルーフサイドパネルに沿ってルーフサイドリンフォースメントが設けられているとともに、該ルーフサイドリンフォースメントの車両後側には、車両前後方向に延びるルーフサイドエクステンションが設けられており、前記ルーフサイドリンフォースメントの車両後側端部と前記ルーフサイドエクステンションの車両前側端部とが、前記クォータピラーリンフォースメントの上部の車両外側に接合されている。
上記のような本発明に係る車体後部構造によれば、従来の構造で設けられていたジョイント部材を必要としない簡略な構造によって、車体の固有振動に起因してクォータピラーおよびルーフクロスメンバの結合部に発生し得る各種変形(左右方向の曲げ変形、上下方向の曲げ変形および前後方向軸のねじり変形)を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る車体後部構造を車両斜め側方から見た斜視図である。 図1におけるルーフクロスメンバおよびその周辺を車両斜め前方の下側から見た斜視図である。 図1におけるクォータピラーの上部およびその周辺を、ルーフサイドリンフォースメントおよびルーフサイドエクステンションを取り除いた状態で、車両斜め側方から見た斜視図である。 図3においてクォータピラーリンフォースメントを取り除いた状態を示す視図である。 図4においてクォータパネルを取り除いた状態を示す斜視図である。 図3におけるA-A線断面図である。 図6におけるB-B線断面図である。 図1におけるルーフクロスメンバの車幅方向側部およびその周辺を、車両室内側の斜め前方から見た斜視図である。 図8においてルーフクロスメンバロアおよびクロスメンバサイドリンフォースメントを取り除いた状態を示す斜視図である。 図9においてクォータパネルを取り除いた状態を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係る車体後部構造について、図面(図1~図10)を参照しながら説明する。なお、図において、矢印F方向は車両前後方向における前側を示し、矢印O方向は車幅方向における外側を示し、矢印U方向は車両上下方向における上側を示している。
図1は、本実施形態に係る車体後部構造を車両斜め側方から見た斜視図である。また、図2は、図1におけるルーフクロスメンバおよびその周辺を車両斜め前方の下側から見た斜視図である。図1および図2において、本実施形態の車体後部構造は、例えば、車両の車体後部における車幅方向側部に配置され、車両上下方向に延びるクォータピラー1を備えている。クォータピラー1は、図示しない後部ドアで開閉される後部ドア用の開口部2とウインド用の開口部3との間に位置しており、車両下部の図示しないホイールハウスから上方に立設されている。クォータピラー1は、車両内側に配置されるクォータパネル11と、クォータパネル11の車両外側面部11aに接合されているクォータピラーリンフォースメント12と、を有している。クォータパネル11の車両前側上部には、車両上部のルーフパネル4の側縁部に沿って車両前後方向に延びるルーフサイドパネル5が接合されている。ルーフサイドパネル5の車両外側には、ルーフサイドパネル5に沿って延びるルーフサイドリンフォースメント51が設けられている(図1を参照)。ルーフサイドリンフォースメント51の車両後側には、車両前後方向に延びるルーフサイドエクステンション52が設けられている。なお、図2には、ルーフサイドリンフォースメント51およびルーフサイドエクステンション52を取り除いた状態が示されている。
また、本実施形態の車体後部構造は、クォータピラー1の上端部に接合され、当該接合部から車幅方向内側に向けて延びるルーフクロスメンバ6を備えている(図1および図2を参照)。ルーフクロスメンバ6は、ルーフパネル4の下面部に固定されている。ルーフクロスメンバ6は、車幅方向に延びるルーフクロスメンバアッパ61と、ルーフクロスメンバアッパ61の下方に配置され、車幅方向に延びるルーフクロスメンバロア62と、ルーフクロスメンバロア62の車幅方向側部に接合されるクロスメンバサイドリンフォースメント63と、を有している。
まず、クォータピラー1およびその周辺の具体的な構造について説明する。なお、クォータピラー1は、車両の左右両側部にそれぞれ配置されており、左右とも同様の構造を有している。以下では、左側のクォータピラー1の具体的な構造について説明し、右側のクォータピラー1については説明を省略する。
図3は、図1におけるクォータピラー1の上部およびその周辺を拡大して車両斜め側方から見た斜視図である。ただし、図3には、前述したルーフサイドリンフォースメント51およびルーフサイドエクステンション52を取り除いた状態が示されている。また、図4は、図3においてクォータピラーリンフォースメント12を取り除いた状態を示す視図である。さらに、図5は、図4においてクォータパネル11を取り除いた状態を示す斜視図である。加えて、図6は、図3におけるA-A線断面図であり、図7は、図6におけるB-B線断面図である。
本実施形態におけるクォータピラー1は、前述したようにクォータパネル11およびクォータピラーリンフォースメント12を有している。クォータパネル11は、図3および図4に示すように、車両前後方向で、ルーフサイドパネル5の後端部と、クォータピラー1よりも車両後方側に配置されているリヤピラー7との間に設けられている。リヤピラー7は、車両後部のバックパネル71の車幅方向側部に設けられており、車両上下方向に延びている(図1を参照)。バックパネル71は、図示しないバックドアで開閉されるバックドア用の開口部8を有している。なお、クォータピラー1は、Cピラーまたはリヤピラーと呼ばれる場合があり、リヤピラー7は、Dピラーまたはバックピラーと呼ばれる場合がある。
クォータパネル11には、所定位置に前述したウインド用の開口部3が形成されている。また、ウインド用の開口部3よりも車両前側に位置する部分には、車両上下方向に延びるピラー部11cが形成されている(図4を参照)。このクォータパネル11のピラー部11cに沿ってクォータピラーリンフォースメント12が延びている(図1および図3を参照)。なお、図4中に示した二点鎖線は、クォータピラーリンフォースメント12の想像線である。さらに、クォータパネル11における車両上側の部分には、ピラー部11cから車両前側に突出した前側突出部11dと、ピラー部11cから車両後側に突出した後側突出部11eとが形成されている(図4を参照)。前側突出部11dの前端部は、ルーフサイドパネル5の後端部に接合されており、後側突出部11eの後端部は、リヤピラー7の上部に接合されている。
クォータピラーリンフォースメント12は、上記のようにクォータパネル11のピラー部11cに沿って車両上下方向に延びている。クォータピラーリンフォースメント12は、長手方向に垂直な断面が車両内側に開口したハット型の形状を有している。具体的に、クォータピラーリンフォースメント12は、車両前方に面する前側縦壁部12aと、車両後方に面する後側縦壁部12bと、前側縦壁部12aの車両外側端および後側縦壁部12bの車両外側端の間を繋ぐ側壁部12cと、前側縦壁部12aの車両内側端から前方側に突出したフランジ部12dと、後側縦壁部12bの車両内側端から後方側に突出したフランジ部12eと、を備えている(図3、図6および図7を参照)。クォータピラーリンフォースメント12の前後のフランジ部12d,12eは、クォータパネル11の車両外側面部11aに接合されている。
また、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fは、クォータパネル11の車幅方向内側かつ車両上方側に位置する端部11f(以下では「上端部11f」とする)よりも車幅方向内側に延びている(図1および図6を参照)。具体的に、クォータピラーリンフォースメント12の車両上側の部分は、車両上下方向で、クォータパネル11の上端部11fに近づくにつれて、側壁部12cがクォータパネル11側(車幅方向内側)に傾斜していく。換言すると、クォータピラーリンフォースメント12の前述したハット型の断面形状は、車両上方に向かうに従い、車幅方向の高さ(側壁部12cおよびフランジ部12d,12e間の距離)が低くなっていく。そして、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fは、クォータパネル11の上端部11fを超えて車幅方向内側に入り込み、その先端部分がルーフクロスメンバアッパ61の車幅方向端部61aに重なる位置まで延びて接合される。
上記のようなクォータピラーリンフォースメント12と、クォータパネル11とによって、内部に空間を有する第1閉断面形状部C1がクォータピラー1に形成されている(図6および図7を参照)。すなわち、クォータピラー1の第1閉断面形状部C1は、クォータパネル11の車両外側面部11aと、クォータピラーリンフォースメント12の前側縦壁部12a、後側縦壁部12bおよび側壁部12cとによって囲まれた内部空間を有している。また、第1閉断面形状部C1の車両外側には、サイドボディアウタパネル9が間隔を空けて配置されている(図6および図7を参照)。サイドボディアウタパネル9は、クォータピラー1の配設箇所において、クォータピラーアウタパネルとして構成されている。
次に、ルーフクロスメンバ6およびその周辺の具体的な構造について説明する。
図8は、図1におけるルーフクロスメンバ6の車幅方向側部およびその周辺を、車両室内側の斜め前方から見た斜視図である。また、図9は、図8においてルーフクロスメンバロア62およびクロスメンバサイドリンフォースメント63を取り除いた状態を示す斜視図である。さらに、図10は、図9においてクォータパネル11を取り除いた状態を示す斜視図である。なお、前述したクォータピラー1と同様に、クロスメンバサイドリンフォースメント63は、ルーフクロスメンバロア62の左右両側部にそれぞれ配置されており(図1を参照)、左右とも同様の構造を有している。以下では、ルーフクロスメンバ6の左側部分の具体的な構造について説明し、ルーフクロスメンバ6の右側部分については説明を省略する。
本実施形態におけるルーフクロスメンバ6は、前述したようにルーフクロスメンバアッパ61とルーフクロスメンバロア62とクロスメンバサイドリンフォースメント63とを有している。ルーフクロスメンバアッパ61は、図6、図9および図10に示すように、車幅方向に延びる平板状の部材により構成されており、接着用シーラー64などを使用してルーフパネル4の下面部に固定されている。ルーフクロスメンバアッパ61の車幅方向端部61aには、前述したようにクォータピラーリンフォースメント12の上端部12fが接合されている。なお、図10中に示した二点鎖線は、クォータパネル11の想像線である。
ルーフクロスメンバロア62は、図6および図8に示すように、ルーフクロスメンバアッパ61の下方に配置され、車幅方向に延びている。ルーフクロスメンバロア62の車幅方向の全長は、ルーフクロスメンバアッパ61の車幅方向の全長よりも短くなっている。換言すると、ルーフクロスメンバロア62の左右両端部は、ルーフクロスメンバアッパ61の左右両端部よりも車両内側にそれぞれ位置している。ルーフクロスメンバロア62は、長手方向に垂直な断面が車両上方側に開口したハット型の形状を有している。具体的に、ルーフクロスメンバロア62は、車両前方に面する前側縦壁部62aと、車両後方に面する後側縦壁部62bと、前側縦壁部62aの下端および後側縦壁部62bの下端の間を繋ぐ底壁部62cと、前側縦壁部62aの上端から前方側に突出したフランジ部62dと、後側縦壁部62bの上端から後方側に突出したフランジ部(図示省略)と、を備えている。ルーフクロスメンバロア62の前後のフランジ部は、ルーフクロスメンバアッパ61の下面に接合されている。
クロスメンバサイドリンフォースメント63は、図6~図8に示すように、ルーフクロスメンバロア62の車幅方向端部に接合され、当該接合部からクォータパネル11の側(車幅方向外側)に向かって斜め下方に湾曲しながら延びている。クロスメンバサイドリンフォースメント63のうちルーフクロスメンバロア62の側(車幅方向内側)に位置する部分(以下では「車幅方向内側部」とする)は、前述したルーフクロスメンバロア62と同様の断面形状に形成されており、ルーフクロスメンバロア62と連続的に結合されている。具体的に、クロスメンバサイドリンフォースメント63は、車両前方に面する前側縦壁部63aと、車両後方に面する後側縦壁部63bと、前側縦壁部63aの下端および後側縦壁部63bの下端の間を繋ぐ底壁部63cと、前側縦壁部63aの上端から前方側に突出したフランジ部63dと、後側縦壁部63bの上端から後方側に突出したフランジ部63eと、を備えている。クロスメンバサイドリンフォースメント63の車幅方向内側部における前後のフランジ部63d,63eは、ルーフクロスメンバアッパ61の下面、およびクォータピラーリンフォースメント12の上端部12fの下面に接合されている(図8および図9を参照)。
上記クロスメンバサイドリンフォースメント63の前側縦壁部63a、後側縦壁部63b、底壁部63cおよび前後のフランジ部63d,63eは、車幅方向外側に向かうに従い、ハット型の断面形状を維持しながら斜め下方に湾曲し、クォータパネル11に沿って下方に延びている(図5および図8を参照)。なお、図5中に示した二点鎖線は、クォータパネル11の想像線である。クロスメンバサイドリンフォースメント63の下端部63fは、車両上下方向で、ルーフサイドパネル5の下縁部とウインド用の開口部3の上縁部との間に位置している。クロスメンバサイドリンフォースメント63のうちクォータパネル11の側(車幅方向外側)に位置する部分(以下では「車幅方向外側部」とする)では、前後のフランジ部63d,63eおよび下端部63fがクォータパネル11の車両内側面部11bに接合されている。
上記のようなルーフクロスメンバアッパ61と、ルーフクロスメンバロア62と、クロスメンバサイドリンフォースメント63と、クォータパネル11と、クォータピラーリンフォースメント12とによって、内部に空間を有する第2閉断面形状部C2がルーフクロスメンバ6に形成されている(図6および図7を参照)。すなわち、ルーフクロスメンバ6の第2閉断面形状部C2は、ルーフクロスメンバアッパ61の下面と、ルーフクロスメンバロア62の前側縦壁部62a、後側縦壁部62bおよび底壁部62cと、クロスメンバサイドリンフォースメント63の前側縦壁部63a、後側縦壁部63bおよび底壁部63cと、クォータパネル11の車両内側面部11bと、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fとによって囲まれた内部空間を有している。
なお、本実施形態では、ルーフクロスメンバロア62が、本発明におけるルーフクロスメンバロアの主要部材に相当し、クロスメンバサイドリンフォースメント63が、本発明におけるルーフクロスメンバロアの補強部材に相当する。
前述したクォータピラー1の第1閉断面形状部C1と、ルーフクロスメンバ6の第2閉断面形状部C2とは、少なくとも車両前後方向で、互いの一部または全部がクォータパネル11を挟んで重なるように配置されている。換言すると、第1閉断面形状部C1の車両前後方向の位置と、第2閉断面形状部C2の車両前後方向の位置とは、互いに一致する範囲を含んでいる。本実施形態では、図7に示すように、第1閉断面形状部C1の車両前後方向の位置と、第2閉断面形状部C2の車両前後方向の位置とが略一致している。つまり、本実施形態において、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2は、車両前後方向で、互いの概ね全部がクォータパネル11を挟んで重なる位置に設けられている。また、車両上下方向および車幅方向に関しては、図6に示すように、第1閉断面形状部C1のうちの車両上側の部分と、第2閉断面形状部C2のうちの車幅方向外側の部分とが、クォータパネル11を挟んで重なる位置に設けられている。図6中の破線で囲んだ範囲は、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2が互いに重なっている部分(以下では「重なり部X」とする)を示している。
上記のような本実施形態における第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2の配置では、クォータピラーリンフォースメント12の前側縦壁部12aと、ルーフクロスメンバロア62の前側縦壁部62aおよびクロスメンバサイドリンフォースメント63の前側縦壁部63aとが、クォータパネル11を挟んで連続的に設けられるとともに、クォータピラーリンフォースメント12の後側縦壁部12bと、ルーフクロスメンバロア62の後側縦壁部62bおよびクロスメンバサイドリンフォースメント63の後側縦壁部63bとが、クォータパネル11を挟んで連続的に設けられる。このようなクォータパネル11を挟んだ連続的な配置によって、第1閉断面形状部C1(クォータピラー1)および第2閉断面形状部C2(ルーフクロスメンバ6)は、車体の固有振動による荷重を受けた場合でも変形し難くなる。
ただし、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2の配置は上記に限られるものではない。車両前後方向について、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2の互いの一部がクォータパネル11を挟んで重なるように配置されていれば、クォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部は変形し難くなる。すなわち、クォータピラーリンフォースメント12の前側縦壁部12aおよび後側縦壁部12bと、クロスメンバサイドリンフォースメント63の前側縦壁部63aおよび後側縦壁部63bとに車両前後方向の位置のずれが生じていても、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2がクォータパネル11を両サイドから挟み付けていることによって、クォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部における曲げ変形およびねじり変形は抑えられるようになる。
また、本実施形態における第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2は、図6に示すように、重なり部Xのうちの車幅方向で中間に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚み(図6の太線矢印)t1が、重なり部Xのうちの車幅方向で側部に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚みt2,t3よりも厚くなっている。つまり、クォータピラー1の上端部とルーフクロスメンバ6の車幅方向側部とは、互いの接合部である重なり部Xにおいて、クォータピラーリンフォースメント12の側壁部12cとクロスメンバサイドリンフォースメント63の底壁部63cとの間の距離(t1~t3)が、車幅方向の両側部から中央部に向かうに従い増長するような形状に形成されている。これにより、車体の固有振動による荷重が集中し易いコーナー部(重なり部X)の変形が効果的に抑えられるようになる。
さらに、本実施形態におけるクォータピラーリンフォースメント12の上部の車両外側には、前述の図1に示したように、ルーフサイドパネル5に沿って設けられているルーフサイドリンフォースメント51の車両後側端部51aと、ルーフサイドリンフォースメント51の車両後側に設けられているルーフサイドエクステンション52の車両前側端部52aとがそれぞれ接合されている。なお、図6(図3のA-A線断面図)では、ルーフサイドリンフォースメント51およびルーフサイドエクステンション52を取り除いた状態が図示されている。クォータピラーリンフォースメント12とルーフサイドリンフォースメント51およびルーフサイドエクステンション52との接合部分の一部または全部は、上記重なり部Xの車両外側に位置している。このような配置によって、クォータピラー1の上部における上下方向の曲げ変形が更に発生し難くなる。
以上説明したように本実施形態による車体後部構造において、クォータピラー1の第1閉断面形状部C1とルーフクロスメンバ6の第2閉断面形状部C2とは、少なくとも車両前後方向で、互いの一部または全部がクォータパネル11を挟んで重なるように配置されている。このような本実施形態の車体後部構造によれば、上述した従来の構造で設けられていたジョイント部材を必要としない簡略な構造によって、車体の固有振動に起因してクォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部に発生し得る各種変形(左右方向の曲げ変形、上下方向の曲げ変形および前後方向軸のねじり変形)を抑制することができる。これにより、クォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部における曲げ剛性およびねじり剛性が向上するので、車体振動が低減して音圧感度の改善(音量の減少)を図ることが可能になる。特に、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2の車両前後方向の配置に関して、互いの全部がクォータパネル11を挟んで重なるようにすれば、クォータピラーリンフォースメント12の前側縦壁部12a(後側縦壁部12b)と、ルーフクロスメンバロア62の前側縦壁部62a(後側縦壁部62b)およびクロスメンバサイドリンフォースメント63の前側縦壁部63a(後側縦壁部63b)とが、クォータパネル11を挟んで連続的に設けられるようになるので、各々の間で荷重をスムーズに伝えることができる。これにより、クォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部における小さな範囲での変形をさらに抑制することが可能である。
また、本実施形態による車体後部構造によれば、第1閉断面形状部C1および第2閉断面形状部C2の重なり部Xのうちの車幅方向で中間に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚みt1が、重なり部Xのうちの車幅方向で側部に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚みt2,t3よりも厚くなっているので、車体の固有振動による荷重が集中し易いコーナー部(重なり部X)の変形を効果的に抑制することが可能である。
さらに、本実施形態による車体後部構造では、ルーフクロスメンバロア62の車幅方向端部62fにクロスメンバサイドリンフォースメント63が接合され、該クロスメンバサイドリンフォースメント63の少なくとも車幅方向外側部がクォータパネル11の車両内側面部11bに接合されている。このようにルーフクロスメンバアッパ61下方の車幅方向中間部にルーフクロスメンバロア62(主要部材)を配設し、車幅方向側部にはルーフクロスメンバロア62とは別のクロスメンバサイドリンフォースメント63(補強部材)を配設するようにしたことで、車幅方向側部における湾曲形状の形成を容易に行うことができる。つまり、ルーフクロスメンバアッパ61の下方の配設されるルーフクロスメンバロアを一体の部材で構成するよりも、車幅方向側部を別部材で分けて構成した方がより複雑な加工が可能になるので、車幅方向側部の湾曲形状を形成し易くなる。また、ルーフクロスメンバロア62とクロスメンバサイドリンフォースメント63とが接合されることで、ルーフクロスメンバ6全体の剛性を高めることもできる。
また、本実施形態による車体後部構造においては、ルーフサイドリンフォースメント51の車両後側端部51aとルーフサイドエクステンション52の車両前側端部52aとが、クォータピラーリンフォースメント12の上部に接合されている。これにより、クォータピラー1の上部における上下方向の曲げ変形をより抑制することが可能になるとともに、車体の固有振動によりクォータピラー1の上部に作用する荷重を車両前後方向に伝え易くなる。
加えて、本実施形態による車体後部構造では、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fが、クォータパネル11の上端部11f(車幅方向内側かつ車両上方側に位置する端部)よりも車幅方向内側に延びて、ルーフクロスメンバアッパ61の車幅方向端部61aに接合されている。これにより、クォータピラー1およびルーフクロスメンバ6の結合部における左右方向の曲げ変形をさらに抑制することが可能になるとともに、車体の固有振動によりクォータピラー1の上部に作用する荷重をルーフ側に伝え易くなる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態では、ルーフクロスメンバロアが主要部材(ルーフクロスメンバロア62)と補強部材(クロスメンバサイドリンフォースメント63)とに分けて構成される一例を示したが、ルーフクロスメンバロアを一体の部材で構成することも可能である。この場合、ルーフクロスメンバロアの車幅方向中間部がルーフクロスメンバアッパ61に接合されるとともに、ルーフクロスメンバロアの車幅方向側部がクォータパネル11の車両内側面部11bに接合される。これにより、ルーフクロスメンバの構造を簡略化することができ、部品点数および組立工数等の削減が可能になる。
また、既述の実施形態では、クォータピラーリンフォースメント12の上部にルーフサイドリンフォースメント51およびルーフサイドエクステンション52が接合されている場合について説明したが、ルーフサイドリンフォースメント51またはルーフサイドエクステンション52のいずれか一方がクォータピラーリンフォースメント12の上部に接合されている、或いは、双方がクォータピラーリンフォースメント12の上部に接合されていない構造であっても、本発明は有効である。
さらに、既述の実施形態では、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fがクォータパネル11の上端部11fよりも車幅方向内側に延びている一例を示したが、クォータピラーリンフォースメント12の上端部12fがクォータパネル11の上端部11f近傍に配置されるようにしてもよい。この場合、ルーフクロスメンバアッパ61の車幅方向端部61aを外側に延長してクォータパネル11の上端部11fまたはクォータピラーリンフォースメント12の上端部12fに接合させるようにすれば、既述の実施形態の場合と同様な効果を得ることができる。
1…クォータピラー
2…後部ドア用の開口部
3…ウインド用の開口部
4…ルーフパネル
5…ルーフサイドパネル
6…ルーフクロスメンバ
7…リヤピラー
8…バックドア用の開口部
9…サイドボディアウタパネル
11…クォータパネル
11a…車両外側面部
11b…車両内側面部
11c…ピラー部
12…クォータピラーリンフォースメント
12f…上端部
51…ルーフサイドリンフォースメント
51a…車両後側端部
52…ルーフサイドエクステンション
52a…車両前側端部
61…ルーフクロスメンバアッパ
61a…車幅方向端部
62…ルーフクロスメンバロア
63…クロスメンバサイドリンフォースメント
C1…第1閉断面形状部
C2…第2閉断面形状部
t1~t3…厚み
X…重なり部

Claims (4)

  1. 車体後部の車幅方向側部に配置され、車両上下方向に延びるクォータピラーと、該クォータピラーの上端部に結合され、当該結合部から車幅方向内側に向けて延びるルーフクロスメンバと、を備えた車体後部構造において、
    前記クォータピラーは、車両上下方向に延びるピラー部が設けられているクォータパネルと、該クォータパネルの車両外側面部に接合され、前記ピラー部に沿って延びるクォータピラーリンフォースメントと、を有し、該クォータピラーリンフォースメントと前記クォータパネルの車両外側面部とによって、内部に空間を有する第1閉断面形状部が前記クォータピラーに形成されており、
    前記ルーフクロスメンバは、車幅方向に延びるルーフクロスメンバアッパと、該ルーフクロスメンバアッパの下方に配置され、車幅方向に延びるルーフクロスメンバロアと、を有し、該ルーフクロスメンバロアの車幅方向中間部が前記ルーフクロスメンバアッパに接合されるとともに、前記ルーフクロスメンバロアの車幅方向側部が前記クォータパネルの車両内側面部に接合され、前記ルーフクロスメンバアッパと前記ルーフクロスメンバロアと前記クォータパネルの車両内側面部とによって、内部に空間を有する第2閉断面形状部が前記ルーフクロスメンバに形成されており、
    前記第1閉断面形状部および前記第2閉断面形状部は、少なくとも車両前後方向で、互いの一部または全部が前記クォータパネルを挟んで重なるように配置されており、
    前記クォータパネルの車両前側上部には、車両前後方向に延びるルーフサイドパネルが接合されており、該ルーフサイドパネルに沿ってルーフサイドリンフォースメントが設けられているとともに、該ルーフサイドリンフォースメントの車両後側には、車両前後方向に延びるルーフサイドエクステンションが設けられており、
    前記ルーフサイドリンフォースメントの車両後側端部と前記ルーフサイドエクステンションの車両前側端部とが、前記クォータピラーリンフォースメントの上部の車両外側に接合されていることを特徴とする車体後部構造。
  2. 前記第1閉断面形状部および前記第2閉断面形状部が互いに重なっている部分のうちの車幅方向で中間に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚みが、車幅方向で側部に位置する部分における車両内側から車両外側へ向かう方向の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
  3. 前記ルーフクロスメンバロアは、車幅方向に延びる主要部材と、該主要部材の車幅方向端部に接合される補強部材と、を有し、該補強部材の少なくとも車幅方向外側部が前記クォータパネルの車両内側面部に接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車体後部構造。
  4. 前記クォータピラーリンフォースメントの上端部は、前記クォータパネルの車幅方向内側かつ車両上方側に位置する端部よりも車幅方向内側に延びて、前記ルーフクロスメンバアッパの車幅方向端部に接合されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1つに記載の車体後部構造。
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