JP7484161B2 - 微生物燃料電池デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、微生物燃料電池デバイスに関する。
近年、二次電池の普及により、携帯電話、ノートパソコンやタブレット端末などの携帯型電子機器が広く普及するようになった。特にリチウムイオン二次電池は鉛蓄電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池等の電池と比較して大きなエネルギー密度が得られることから、車載用高出力電源としても使用されるようになってきている。また、充電が不要な電源として発電デバイスの研究も活発に行われており、水素を燃料とした定置用の燃料電池や車載用の燃料電池も実用化されるようになってきた。
一方、近年では燃料電池の仕組みを利用した生物燃料電池の開発も進められており、生体触媒の酵素を用いたバイオ燃料電池、微生物を用いた微生物燃料電池などがある。微生物燃料電池は、発電菌と呼ばれる微生物により有機物を分解する際に生じる電子を回収し、電気エネルギーとして利用する発電方法である。例えば、生活廃水などを用いた場合、廃水中の有機物の分解処理と発電が並行して行えるため、消費エネルギーを低減できる水処理方法としても期待されている(非特許文献1)。また、微生物燃料電池は、廃水中や土壌中の有機物で発電出来るため、廃水や土壌における電源としての利用も期待出来る。
このような微生物燃料電池の構成には、二槽型と一槽型が知られている(特許文献1、非特許文献2)。アノードでの微生物による分解反応から生じた電子が外部回路を経由し、カソードにて還元反応で消費される点は共通している。二槽型はイオン交換膜などの隔壁で両極を分け、酸素やフェリシアン化カリウムなどの酸化剤をカソードで反応させている。一方、一槽型は隔壁が無く、一つの槽内にカソードおよびアノードを配置する。
微生物燃料電池に用いられるカソードおよびアノードの材料においては電極反応において導電性が必要であり、導電性の多孔質材料を使用するのが一般的である(特許文献1~3)。カソードでは電極上で酸素等の酸化剤を還元する必要があるため、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス、または活性炭シートなどのカーボン材料や、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、またはチタンなどの金属材料が使われる。さらに、それら材料に白金などの酸素還元触媒を担持させて使用することも知られている。一方、アノードでは有機物を分解して電子を取り出す発電菌を多くコンタクトさせるために、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス、または活性炭シートなどのカーボン材料や、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、またはチタンなどの金属材料が使われることが知られている(特許文献2、3)。それらの電極反応の効率はいまだ不十分であり、発電特性の向上が課題となっているため、これまでにも他の様々な検討も行われてきたが、今なお十分な発電特性は得られていない。
上述のように、微生物燃料電池のカソードでは、主として空気中の酸素を還元する反応、すなわち、下記の式1や式2に示す反応が進行する。
+4H+4e→2HO ・・・式1
+2HO+4e→4OH ・・・式2
このとき、アノード―カソード間では、電解液等のイオン伝導性を有する電解質を介してプロトン等のイオンが授受され、外部回路を介して電子が授受される。このため、式1を例とすると、カソードにおいては、電解液に含まれるプロトンと空気に含まれる酸素と電子とが共存する必要がある。しかし、従来は、カソード触媒は電解液または空気のいずれかに表面を覆われていることが多く、発電特性の向上を妨げていた。このような課題に対し、特許文献4では、触媒と接触する面を有する導電性カソード液吸い上げ部材を有する微生物燃料電池カソード組立体が開示されている。当該カソード組立体では、カソード吸い上げ部材が適量のカソード液を吸い上げることにより、カソード触媒表面の一部に被膜を形成し、触媒表面の一部がカソード液と、別の一部が酸素を含む気体と接触できることが記載されている。しかしながら、カソード液吸い上げ部材の吸水性が不足し、適切な給水量を提供することが困難となることがあった。また、導電性カソード液吸い上げ部材としては炭素布等が挙げられるが、一般に高価であるため、実用上不利であった。
特開2004-342412号公報 特開2010-102953号公報 特開2015-002070号公報 特表2011-508938号公報(WO2009/050513)
微生物燃料電池による廃水処理システム最前線、(株)エヌ・ティー・エス Environmental Science&Technology,2004,38,4040-4046
本発明の目的は、発電及び浄化特性に優れ、長期耐久性を有する微生物燃料電池デバイスを提供することである。
本発明者らは、前記の諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、アノード、カソード、および、カソードと接する電解液給水部を有する微生物燃料電池デバイスであって、電解液給水部が、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維からなる群より選ばれる素材を含んでなる布または紙であることを特徴とする、微生物燃料電池デバイスに関する。
また、本発明は、カソードが、導電性材料と、親水性樹脂とを含むことを特徴とする上記微生物燃料電池デバイスに関する。
また、本発明は、カソードが、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含むことを特徴とする上記微生物燃料電池デバイスに関する。
また、本発明は、電解液給水部を平面視して、電解質内部に設置される浸漬領域と、カソードと接する接触領域と、に区分される上記微生物燃料電池デバイスに関する。
また、本発明は、電解液給水部を平面視して、電解質内部に設置される浸漬領域と、電解液を輸送する輸液領域と、カソードと接する接触領域とに区分されており、浸漬領域と接触領域とが輸液領域により隔てられている上記微生物燃料電池デバイスに関する。
本発明によれば、カソードと接する電解液給水部が、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維からなる群より選ばれる素材を含んでなる布または紙であることにより、発電及び浄化特性に優れ、長期耐久性を有する微生物燃料電池デバイスを提供出来る。
図1は、本発明の微生物燃料電池デバイスの一実施形態を示す断面図である。 図2は、本発明の微生物燃料電池デバイスの一実施形態を示す断面図である。 図3は、本発明の電解液給水部の一実施形態を示す平面図である。 図4は、本発明の微生物燃料電池デバイスの一実施形態を示す断面図である。 図5は、本発明の電解液給水部の一実施形態を示す平面図である。 図6は、本発明の微生物燃料電池デバイスの一実施形態を示す断面図である。
以下、詳細に本発明について説明する。
本発明の微生物燃料電池デバイスは、アノード、カソード、および、カソードと接する電解液給水部を有する微生物燃料電池デバイスであって、電解液給水部が、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維からなる群より選ばれる素材を含んでなる布または紙であることを特徴とする。
<電解液給水部>
本発明に用いる電解液給水部は、カソードとの接触面を有し、その他の部分において電解液と接触することによって、電解液を吸い上げてカソードに供給する。本発明に用いる電解液給水部は、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維からなる群より選ばれる素材を含んでなる布または紙である。布とは、繊維等の原糸を規則的または不規則に絡みあわせたシート状の構成物であり、不織布、織物(メッシュ)、編物等が挙げられる。紙とは、繊維を絡みあわせ、結着させたシート状の構成物である。
これらは積層して用いることもできる。
以下、電解液給水部の素材について説明する。
天然繊維としては、植物繊維、動物繊維、再生繊維が挙げられる。
植物繊維としては、綿、麻、ジュート、パルプ、い草等が挙げられる。
動物繊維としては、羊毛、カシミア、モヘア、アンゴラ、アルパカ、羽毛、絹等が挙げられる。
再生繊維とは、天然物を溶解抽出などの処理をして得られるものであり、天然高分子からなる繊維である。天然高分子としては、セルロース、キチン、グルコマンナン、アガロース、アガロペクチン、アルギン酸等の多糖類、カゼイン、ゼラチン等のタンパク質、天然ゴム等が挙げられる。具体的には、レーヨン、ビスコースレーヨン、ポリノジック、キュプラ等のセルロース繊維、カゼイン繊維、落花生タンパク繊維、とうもろこしタンパク繊維、大豆タンパク繊維等のタンパク質系繊維、再生絹糸、アルギン繊維、キチン繊維、マンナン繊維、ゴム繊維等が挙げられる。
有機合成樹脂としては、合成樹脂、半合成樹脂がある。
合成樹脂としては、
ナイロン等のポリアミド樹脂、
ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、
ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどのアクリル樹脂、
ポリビニルアルコール系樹脂、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ乳酸樹脂、合成ゴム、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、
およびそれらの共重合体、変性品等が挙げられる。
加熱溶融や溶剤への溶解等の手法を用いて合成樹脂を糸状に変形させることにより、合成樹脂からなる繊維を得ることができる。
半合成繊維とは、天然高分子を変性反応させてなる繊維である。多くの場合、主鎖は天然高分子由来のままである。半合成繊維としては、アセチルセルロース、トリアセテート、酸化アセテート、塩化ゴム、塩酸ゴム等が挙げられる。具体的には、アセテート等のアセチルセルロース繊維、トリアセテート繊維、酸化アセテート繊維、プロミックス等のタンパク質系繊維等が挙げられる。
ガラス繊維とは、融解等の手法によりガラスを細い糸状に変形させたものである。ガラス繊維としては、短繊維からなる綿状のグラスウール、長繊維からなる糸状のグラスファイバー等が挙げられる。
電解液給水部は、混紡、交撚、交織、交編、積層、圧着、接着等の手法により素材を組み合わせて作製してもよい。
電解液給水部の素材は、難分解性であることが好ましい。そのような樹脂は、JIS K6950(2000)、JIS K6951(2000)、JIS K6953-1(2011)、JIS K6953-2(2010)、JIS K6955(2006)、OECD 301Cのいずれの試験においても60%未満の生分解度を有する難分解性の樹脂のことを示す。電解液給水部の素材が難分解性であると、電解液中に存在する微生物による分解を受けにくく、耐久性が高くなる。また、電解液給水部の素材として、有機合成樹脂またはガラス繊維は一般に難分解性であるため好ましい。
図1に示すように、電解液給水部は、電解質およびカソードと接している。電解質に含まれる液状成分が電解液である。例えば、電解質が液状の場合は電解質自体が電解液であり、泥のように液状成分と固形成分が混ざっている場合は液状成分が電解液である。電解液は、電解液給水部により電解質内部からカソードへ供給される。電解液給水部が電解液を吸い上げてカソード表面近傍に保持することにより、カソード表面の一部に電解液を供給できるため、カソード上において、触媒表面の一部が電解液と、別の一部が酸素を含む気体と接触できる。従来、泥や土壌のような固形成分と液状成分からなる電解質では、カソード近傍で電解液が不足することがあった。また、泥や土壌中の液状成分量や分布の偏りなどにより、アノードから発生したプロトンが安定的にカソードへ到達しにくいこともあった。さらに、生活排水等の雑多な成分を含む電解質では、油脂や菌体等の固形物等が浮上や分離することでカソード近傍に付着して電解液の移動を阻害することがあった。それらのような電解質に対して本発明の電解液給水部は特に有効に機能し、発電(出力)の安定性向上や耐久性ができる。
本発明に用いる電解液給水部は、炭素布等と比較して吸水性が高いため、電解液を吸い上げてカソード表面に供給する能力が高い。したがって、カソード反応に必要なプロトンまたは水を多量に供給できるため、高い発電性能が得られる。
電解液給水部の吸水性は、吸水速度試験により計測された吸水時間で評価される。吸水時間は、25℃で電解液給水部に対し、10mm上から水を1滴(約0.4mL)滴下し、水滴が試験片に付着してから水の鏡面反射がなくなるまでの時間である。本発明に用いる電解液給水部は、吸水時間が1時間以下であることが好ましい。電解液は一般に水または水溶液であることから、本発明の微生物燃料電池デバイスは、電解液給水部の吸水性が高いため、カソードに十分な量の電解液を供給できる。吸水時間は10分以下であることが好ましく、1分以下であることはさらに好ましい。
電解液給水部の吸水量は、JIS L1907(2010)に定める表面吸水法(最大吸水速度及び最大吸水速度時点の吸水量)において、飽和吸水量として求められる。飽和吸水量が、100ml/m以上の場合、カソード近傍に十分な量の電解液を保持できるため好ましい。10000ml/m以下の場合、カソード表面の過剰の電解液による酸素パス阻害を抑制できるため好ましい。
また、本発明に用いる電解液給水部は、炭素布等と比較して、可撓性に優れる。電解液給水部が折り曲げ可能であると、電解液の流動やカソード-アノード間の距離の変動に追随することができ、好ましい。
さらに、一般的に安価であるため、汚損や破損の際に交換することも経済合理的となり、微生物燃料電池の長期耐久性を改善できる。
また、電解液給水部は、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維とすることで、絶縁性となる。電解液給水部が絶縁性であると、カソード―アノード間にセパレータ等の絶縁部を設けなくても内部短絡を防止でき、特に一槽型の場合、好ましい。さらに、カソード―アノード間の距離を接近させても内部短絡を防止できるため、装置の小型化やプロトン輸送促進による高出力化が可能となる。
本発明の微生物燃料電池デバイスでは、電解液給水部をカソードの基材として用いることにより、電解液給水部とカソードとを一体とすることもでき、構造の単純化やコストの観点から好ましい。
カソードと電解液給水部とが接する形態は、カソードの1つの面の一部または全部と電解液給水部とが接していてもよい。例えば、図1に示すように、1つのカソードが有する複数の面のうちの1つと接する形態が挙げられる。また、電解液給水部は、1つのカソードが有する2つ以上の面と接していてもよい。また、電解液給水部は、カソードが複数ある場合は複数のカソードと接していてもよい。また、図6に示すように、電解液給水部を複数設置してもよく、積層することもできる。また、電解液給水部とカソードとからなる積層体を形成してもよく、積層体をさらに積層してもよい。積層によって、カソードの設置面積を低減でき、装置の設計自由度を向上できる。
図2および図3に示すように、電解液給水部は平面視したときに、カソードと接する接触領域の他に、電解質内部に設置される浸漬領域を有することが好ましい。電解液給水部が浸漬領域と接触領域とに区分されることにより、浸漬領域を持たず厚さ方向にのみ電解液を供給する従来のセパレータやカソード保護層と比較して、多量の電解液を供給でき、かつ、表面の汚れによるプロトンパス阻害を抑制できる。
本発明において、平面視とは、シート状構造物を平面状に展開して平面とみなすことを表す。例えば、布や紙のようなシート状構成物は屈曲や巻回されていることがあるが、平面視したときには広げた状態の平面とみなし、厚さ方向を区別しないものとする。
さらに、図4および図5に示すように、電解液給水部は、平面視したときに、電解質内部に設置される浸漬領域と、電解液を輸送する輸液領域と、カソードと接する接触領域と、の3領域に区分されており、浸漬領域と接触領域とが輸液領域により隔てられていることが好ましい。
また、図4に示すように、接触領域と電解質との間に空間を確保して接触を防ぐためにスペーサーを用いてもよい。スペーサーは、電解液を透過させない部材であり、非吸水性の素材からなることが好ましい。スペーサーを用いる場合、電解液給水部をカソードとスペーサーとの間に設置して積層体を形成してもよく、電解液給水部への付着物や物理的ダメージを低減できるため、好ましい。カソードと電解液給水部とスペーサーとの積層体をさらに積層してもよく、その場合、スペーサーに気体流路を設けることによって、カソードへ酸素を供給することができる。
このとき、電解液給水部のうち接触領域は、微生物燃料電池の電解質とは輸液領域のみを介して接触している。従来、特に一槽型の微生物燃料電池では、カソードやセパレータ、カソード保護層への電解質に含まれる物質や微生物付着による性能劣化が課題となっていたが、このような構成とすることで、汚染を抑制し、長期耐久性を向上することができる。また、微生物燃料電池の容器の密閉性を高めることができ、カソードを通じた電解液中への酸素の流入も抑制できるため、酸素の混入が抑制されて発電菌からアノードへの電子移動が優勢となり、発電量が向上する。また、二槽型のようにアノード槽とカソード槽を別個に設置する必要がないため、安価かつ容易に設置および運用でき、さらには装置の設計自由度も向上する。
酸素等の酸化剤をカソードに供給するため、カソード表面のうち、電解液給水部との接触部以外の部分は、酸素等の酸化剤を供給する流路に接していることが好ましい。図1に示すように、カソードは大気に面していてもよい。また、カソードへの付着物を防ぐため、カソードの表面を通気性のシートやメッシュで覆ってもよく、開口部を有する容器内にカソードを格納してもよい。また、配管を通じて酸化剤を含む気体や液体を供給してもよい。
電解液給水部とカソードとの接触面は、カソードの表面全体に対し、10面積%以上を占めることが好ましい。接触面積が小さいと、十分な量の電解液を供給できないことがある。一方で、電解液給水部の通気性が低い場合は、カソード表面の全体を電解液給水部で覆うと、酸素の供給が不足することがある。大気に面する面積が小さい場合は、空気以外の酸化剤などを共存させることができる。
また、カソード表面に触媒を有する場合は、触媒を有する面に電解液給水部が接すると、触媒に十分な電解液が供給されるため、好ましい。触媒を有しない面と電解液給水部とが接触している場合は、電解液がカソード内部を経由して触媒に供給されるよう、カソードが親水性を示すことが好ましい。
また、電解液給水部は、支持体によって補強されていてもよい。補強によって電解液給水部の揺動が制限されるため、耐久性が向上されることがある。また、剛性の高い支持体を用いることで、底泥や土壌のような流動性の低い電解質に対して差し込んで設置することが容易となる。流動性の低い電解質に差し込んで設置する場合、電解液給水部やその支持体は、先端が細くなった楔状の形態が好ましい。また、先端が枝分かれしていると、抜けにくいため好ましい。
<微生物燃料電池デバイス用電極>
本発明に用いる微生物燃料電池デバイス用電極は、種々の方法で得ることができる。カソードやアノードの機能が発揮出来るような構成であれば、従来公知のカーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス、または活性炭シートなどのカーボン材料や、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、またはチタンなどのシート状およびメッシュ状の金属材料が使用出来るが、特に限定されるものではない。また、電極形成用組成物から電極を作製することも出来る。電極形成用組成物を用いる場合、必要に応じて基材を用いる。詳細は、後述の電極の製造方法で記載する。
<電極形成用組成物>
電極形成用組成物は、少なくとも、導電性材料と、バインダー樹脂と、を含有する。
導電性材料とバインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、導電性材料の含有量は、導電性が得られれば特に限定されることはないが、好ましくは60~99質量%、さらに好ましくは70~95質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、バインダー樹脂の含有量は、特に限定されることはないが、好ましくは1~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計は、電極形成用組成物全体の固形分の51質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。
また、分散剤を含有する場合は、電極形成用組成物全体の固形分の0.01~10質量%であり、好ましくは0.05~8質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%である。
また、電極形成用組成物の適正粘度は、組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
電極形成用組成物は、親水性樹脂を含有することが好ましく、バインダー樹脂および/または分散剤が親水性樹脂であることは好ましい。
<導電性材料>
電極形成組成物用導電性材料について説明する。導電性材料とは、微生物燃料電池の電極として機能する導電性材料であれば特に限定されるものではないが、カソードでは酸素還元反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には貴金属触媒、卑金属酸化物触媒、炭素材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。一方、アノードでは微生物による酸化反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には炭素材料、金属材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。導電性材料として、後述するヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料も含まれる。
導電性材料は、比表面積が大きく、電子伝導性が高いほど好ましい。カソードでは導電性材料の表面で酸素還元反応が起こるため、比表面積が大きいほど、酸素とプロトン、電子との反応場が多くなり、反応活性の向上に繋がるため好ましい。また、電子伝導性が高いほど、電極中における酸素還元反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすく、好ましい。一方、アノードでは導電性材料の表面で微生物による有機物の酸化反応が起こるため、比表面積が大きいほど、微生物と有機物、電子との反応場が多くなり、反応活性の向上に繋がるため好ましい。また、電子伝導性が高いほど、電極中における反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすく、好ましい。
(貴金属触媒)
貴金属触媒とは、遷移金属元素のうちルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金から選択される元素を一種以上含む触媒である。これら貴金属触媒は単体でも別の元素や化合物に担持されたものでも良い。中でも、触媒担持炭素材料が好例として挙げられる。触媒担持炭素材料とは、触媒が触媒担時体としての炭素材料上に担持してなるものを指し、公知もしくは市販のものがある。
触媒の炭素材料上への担持率は限定的ではない。触媒として白金を用いた場合は、触媒担持炭素材料100質量%に対して、通常1~70質量%程度までの担持が可能である。
触媒担持体としての炭素材料は、無機材料由来の炭素粒子および/または有機材料を熱処理して得られる炭素粒子であれば特に限定されない。
無機材料由来の炭素粒子としては、黒鉛、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択される。
熱処理して炭素粒子となる有機材料としては、熱処理後炭素粒子となる材料であれば特に限定されない。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。
これら炭素材料は、一種類または二種類以上で用いられる。
市販の触媒担持炭素材料としては、例えば、田中貴金属工業社製の
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E、TEC66E50等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金-ルテニウム合金担持炭素粒子;
を購入することができるが、これらに限定されるものではない。
(卑金属酸化物触媒)
卑金属酸化物触媒としては、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属を含む酸化物あるいはこれら遷移金属元素の炭窒化物を使用することができ、より好ましくはこれら遷移金属元素の炭窒化物や、これら遷移金属元素の炭窒酸化物を使用することができる。
前記卑金属酸化物触媒の組成式は、例えば、M1C(ただし、M1は遷移金属元素であり、p、q、rは原子数の比を表し、0≦p≦3、0≦q≦2、0<r≦3である。)、M2aM3bxyz(ただし、M2は、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択される1種の金属であり、M3は、前記群より選択されるM2とは異なる少なくとも1種の金属である。a、b、x、y、zは原子数の比を表し、0.5≦a<1、0<b≦0.5、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、かつa+b=1である。)で表される。また、導電性の観点から、さらにこれら化合物と導電性炭素材料を複合化した触媒を好適に使用することができる。
(炭素材料)
本発明に用いる炭素材料としては、無機炭素材料が好ましい。例えば、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック、ナノポーラスカーボン)、活性炭、カーボンナノホーン、炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンフェルト)、グラフェン、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等を使用することが出来る。人造黒鉛としては、無定形炭素の熱処理により、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般的には石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として製造される。天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等を使用することが出来る。また、鱗片状黒鉛を化学処理等した膨張黒鉛(膨張性黒鉛ともいう)や、膨張黒鉛を熱処理して膨張化させた後、微細化やプレスにより得られた膨張化黒鉛等を使用することも出来る。
これら黒鉛の表面は、本発明の特性を損なわない限りにおいてバインダー樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。
また、用いるグラファイトの平均粒径は、0.5~500μmが好ましく、特に、2~100μmが好ましい。
本発明でいう平均粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のグラファイトとしては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP-5、UP-10、UP-20、UP-35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB-150、CB-100、ACP、ACP-1000、ACB-50、ACB-100、ACB-150、SP-10、SP-20、J-SP、SP-270、HOP、GR-60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX-3000、FBF、BF、CBR、SSC-3000、SSC-600、SSC-3、SSC、CX-600、CPF-8、CPF-3、CPB-6S、CPB、96E、96L、96L-3、90L-3、CPC、S-87、K-3、CF-80、CF-48、CF-32、CP-150、CP-100、CP、HF-80、HF-48、HF-32、SC-120、SC-80、SC-60、SC-32、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB-99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC-20、CGC-50、CGB-20、CGB-50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S-3、AP-6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG-60、PAG-80、PAG-120、PAG-5、HAG-10W、HAG-150、中越黒鉛社製のRA-3000、RA-15、RA-44、GX-600、G-6S、G-3、G-150、G-100、G-48、G-30、G-50、SECカーボン社製のSGP-100、SGP-50、SGP-25、SGP-15、SGP-5、SGP-1、SGO-100、SGO-50、SGO-25、SGO-15、SGO-5、SGO-1、SGX-100、SGX-50、SGX-25、SGX-15、SGX-5、SGX-1が挙げられる。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となるが、カーボンブラックの分散性が低くなるため、具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、10m/g以上、3000m/g以下、好ましくは20m/g以上、1500m/g以下のものを使用することが望ましい。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005~1μmが好ましく、特に、0.01~0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA、PUER BLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP-Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC-300J、EC-600JD等のケッチェンブラック、デンカ社製のデンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35等のアセチレンブラック、クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050グレード、クノーベルMJ(4)030グレード、クノーベルMJ(4)010グレード等の東洋炭素社製のナノポーラスカーボン等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
活性炭としては、具体的にはフェノール系、ヤシガラ系、レーヨン系、アクリル系、石炭-石油系ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)等を賦活した活性炭を挙げることができる。同じ質量でもより広い面積の界面を形成することが可能な、比表面積の大きいものが好ましい。具体的には、比表面積が30m/g以上が好ましく、より好ましくは500~5000m/g、さらに好ましくは1000~3000m/gである。
炭素繊維としては、石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることが出来る。また、カーボンナノチューブには、グラフェンシートが一層でナノメートル領域の直径を有するチューブを形成する単層カーボンナノチューブと、グラフェンシートが多層である多層カーボンナノチューブがある。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7~2.0nmに対して、30nmと大きい値を示す。
市販の炭素繊維としては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5-P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
[ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料]
導電性材料は、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含むことが好ましい。ヘテロ元素や卑金属元素を含有することにより、酸素還元反応や微生物反応を活性化することができる。また、貴金属触媒と比較して、電解質に含まれる多様な物質に対する被毒耐性が高いため、電極や微生物燃料電池の耐久性が良好となる。本発明で用いるヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料は、炭素元素を基本骨格とした炭素材料からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、ヘテロ元素(N、B、Pなどの異種元素)及び/又は卑金属元素が含まれる材料である。ここでいう卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、およびスズからなる群より選ばれる一種以上を含有することが好ましい。含有するヘテロ元素は窒素(N)が好ましく、含有する卑金属元素としては、コバルト(Co)及び/又は鉄(Fe)が好ましい。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料は、炭素原子のモル比に対するヘテロ原子のモル比の割合が1~40%の範囲にあると好ましい。炭素原子のモル比に対する卑金属原子のモル比の割合が0.01~20%の範囲にあると好ましい。
ヘテロ原子が窒素の場合を例に説明するならば、材料を構成する全元素に対する、炭素原子のモル比、窒素原子のモル比および卑金属原子のモル比をそれぞれ、R 、R およびR とした際、炭素原子のモル比R に対する窒素原子のモル比R の割合が1~40%、炭素原子のモル比R に対する卑金属原子のモル比R の割合が0.01~20%の範囲にあると好ましい。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料は、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)が、1~1500m/gであることが好ましく、より好ましくは10~1000m/gである。BET比表面積が上記の範囲にあると、反応が起こる反応場を多くできるため好ましい。
本発明における比表面積とは試料単位質量当たりの表面積のことであり、ガス(N)吸着法によって求めることができる。解析法はBET法を用い、相対圧(P(吸着平衡圧)/P0(飽和蒸気圧)=0.05~0.3)とガス吸着量のプロットより得られる直線の切片と勾配から、単分子吸着量を求めることで、BET比表面積を算出できる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料は、CuKα線をX線源として得られるX線回折(XRD)図において、回折角(2θ)が24.0~27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が8°以下であることが好ましい。
CuKα線をX線源として得られるヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料のX線回折線図においては、24.0~27.0°付近に炭素の(002)面回折ピークが現れる。炭素の(002)回折ピーク位置は、炭素六角網面の面間距離によって変化し、ピーク位置が高角側であるほど炭素六角網面の距離が近いことから、構造の黒鉛的規則性が高いことが示される。また、上記ピークがシャープである(半値幅が小さい)ほど、結晶子サイズが大きく、結晶構造が発達していることを示すものである。
上記ピークの半値幅が8°以下である場合には、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の結晶性が高く、電子伝導性が高い。これにより、電極中における反応に必要な電子を前記反応場に供給することができるため、電流の増加に繋がり、好ましい。
また、上記ピークの半値幅が1°以下であることは、さらに好ましい。
[ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の製造方法]
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の製造方法は特に限定されないが、単に炭素材料とヘテロ元素を含む化合物を混合したものや、炭素材料と卑金属元素を含む化合物を混合したものや、炭素材料とヘテロ元素や卑金属元素を含む化合物を混合したもよりも、炭化させたものが好ましい。製造方法としては、例えば、炭素材料、ヘテロ元素を含む化合物及び卑金属元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、炭素材料、ヘテロ元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、ヘテロ元素を含む炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法、フタロシアニンやポルフィリン等の大環状化合物などのヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物を炭化させる方法、炭素材料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。炭化により、炭素材料表面の炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部がヘテロ元素や卑金属元素が置換するようにドープされる。また、ヘテロ元素を含む化合物ではなく、ヘテロ元素を含むガスによる炭素材料へのドープでも良く、そのような製造方法としては、炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させた材料に気相法でヘテロ元素をドープする方法、炭素材料に気相法でヘテロ元素をドープする方法など、従来公知のものを使用することが出来るが、それらに限定されるものではない。気相法での反応により、炭素材料表面の炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部がヘテロ元素で置換するようにドープされる。
好ましい製造方法としては、少なくともヘテロ元素を含む炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法や、少なくとも炭素材料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法が挙げられる。また、前記熱処理により得られた炭素材料を、酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。更に、前記酸洗浄により得られた炭素材料を、熱処理する工程を含む方法が挙げられる。
本発明における、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の構成成分である炭素材料としては、無機炭素材料が好ましく、上述した無機炭素材料と同様のものを使用することが出来、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の構成成分である炭素材料としては、無機炭素材料だけでなく、熱処理後炭素粒子となる有機材料も使用することができる。熱処理後に炭素粒子となる有機材料としては、炭素以外に他の元素を含有していても良い。熱処理後の炭素粒子に窒素やホウ素等のヘテロ元素を含有させるため、予め同ヘテロ元素を含有する有機材料の使用が好ましい場合がある。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。その中でも窒素やホウ素などのヘテロ元素を含有する有機材料である、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂等が、窒素元素を含む炭素材料として好ましい。
[ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物]
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を導入するために使用される原料としては、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば、色素、ポリマー等の有機化合物、金属単体、金属酸化物、金属塩等の無機化合物が挙げられる。また、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
好ましくは錯体もしくは塩であり、その中でも、卑金属元素を分子中に含有することが可能な、窒素を含有した芳香族化合物は、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料中に効率的に窒素元素と卑金属元素を導入しやすいため好ましい。具体的には、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物等の大環状化合物が挙げられる。上記芳香族化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基を導入されたものであってもよい。特に、フタロシアニン系化合物は、様々な卑金属元素を含んだ化合物が入手可能であり、コスト的にも安価であるため、原料としては特に好ましい。中でも、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物は、安価で高い活性を有するヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を得ることができるためより好ましい。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料に導入される元素の由来としては複数の原料の組み合わせが考えられる。炭素元素は無機炭素材料や熱処理後炭素粒子となる有機材料、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物など、ヘテロ元素は、ヘテロ元素を含む、熱処理後炭素粒子となる有機材料やヘテロ元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物、アンモニアなどヘテロ元素を含む反応性気体など、卑金属元素は、卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物などである。
原料の組み合わせとしては例えば、炭素元素を無機炭素材料、ヘテロ元素を気相法のヘテロドープ由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を有機炭素材料、ヘテロ元素を気相法のNドープ由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を無機炭素材料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を有機炭素材料、ヘテロ元素を、卑金属元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物、卑金属元素を、ヘテロ元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、卑金属元素を、卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料等が挙げられる。
原料の混合物である前駆体の作製方法としては、前駆体に炭素元素、ヘテロ元素、及び卑金属元素が含まれるよう、炭素材料と、1種類又は複数種類のヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物とを混合する際は、原料同士が均一に混合・複合されていれば良く、混合法としては、乾式混合及び湿式混合が挙げられる。混合装置としては、以下のような乾式混合装置や湿式混合装置を使用できる。
乾式混合装置としては、例えば、
2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
又、乾式混合装置を使用する際、母体となる原料粉体に、他の原料を粉体のまま直接添加しても良いが、より均一な混合物を作成するために、前もって他の原料を少量の溶媒に溶解、又、分散させておき、母体となる原料粉体の凝集粒子を解しながら添加する方法が好ましい。更に、処理効率を上げるために、加温することが好ましい場合もある。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物の中には、常温では固体であるが、融点、軟化点、又はガラス転移温度が100℃未満と低い材料がある。それらの材料を用いる場合、常温で混合するより、加温下で溶融させて混合する方がより均一に混合できる場合もある。
湿式混合装置としては、例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機;
又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
又、各原料が均一に溶解した系でない場合、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な分散剤を一緒に添加し、分散、混合することができる。
湿式混合の場合、湿式混合装置を用いて作製した分散体を乾燥させる工程が必要となる。この場合、用いる乾燥装置としては、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機 撹拌乾燥機、凍結乾燥機などが挙げられる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の製造方法では、炭素材料と、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物に対して、最適な混合装置、分散装置、又は乾燥装置を選択することにより、触媒活性の優れたヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を得ることができる。
次に、炭素材料と、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物の混合物を熱処理する方法においては、原料となる炭素材料、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物によって異なるが、加熱温度は500~1100℃が好ましく、700~1000℃がより好ましい。
この場合、ある程度高温で熱処理することで、活性点の構造が安定化し、実用的な電池運転条件に耐え得る表面となることが多い。このときの温度は600℃以上であることが好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、通常は1時間から5時間であることが好ましい。
更に、熱処理工程における雰囲気に関しては、原料をできるだけ不完全燃焼により炭化させ、ヘテロ元素や金属元素などを炭素材料表面に残存させる必要性があるため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、窒素やアルゴンに水素が混合された還元性ガス雰囲気などが好ましい。また、熱処理時の炭素触媒中のヘテロ元素量低減を抑制するために、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下で熱処理を行なったり、炭素触媒の表面構造を制御するために、水蒸気、二酸化炭素、低酸素雰囲気下で熱処理したりしても良い。この場合では、雰囲気によっては酸化が進むと金属が酸化物となり粒子成分が凝集しやすくなるため、温度や時間などを適切に選択する必要がある。
また、熱処理工程に関しては、一定の雰囲気及び温度下で、1段階で処理を行う方法だけでなく、一度、不活性ガス雰囲気下、500℃程度の比較的低温で熱処理し、その後、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気下、または賦活ガス雰囲気下で、1段階目を超える温度で熱処理することも可能である。そうすることで、触媒活性サイトとして考えられているヘテロ元素や金属元素からなる活性サイト部位を、より効率的且つ、多量に残存させられることがある。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の製造方法としては、さらに、前記熱処理により得られたヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。ここで用いる酸は、前記熱処理により得られたヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料表面に存在する活性点として作用しない卑金属成分を溶出させることができるものであれば、特に限定されない。ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料との反応性が低く、卑金属成分の溶解力が強い濃塩酸や希硫酸等が好ましい。具体的な洗浄方法としては、ガラス容器内に酸を加え、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を添加し、分散させながら数時間撹拌させた後、静置し、上澄みを除去する。そして、上澄みの着色が確認されなくなるまで上記方法を繰り返し行い、最後に、ろ過、水洗により酸を除去し、乾燥する方法が挙げられる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料の製造方法としては、さらに、前記酸洗浄により得られたヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を再度熱処理する工程を含む方法が挙げられる。ここでの熱処理は、先に行った熱処理の条件と大きく変わるものではない。加熱温度は500~1100℃が好ましく、700~1000℃がより好ましい。また、雰囲気は、表面の窒素元素が分解し減少しにくい観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気や、不活性ガスに水素が混合された還元性ガス雰囲気、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下等が好ましい。
<バインダー樹脂>
次に、バインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は導電性材料同士の結着や導電性材料と基材とを結着させるために使用され、良好な発電特性や耐久性を発現させることが出来る。バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、EVA系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、フェノール樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。また、生分解性樹脂である、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル、多糖類、ポリビニルアルコール樹脂、4-ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸樹脂、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリエーテル樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。
また、バインダー樹脂はこれらの樹脂に限定されるわけではなく、1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良く、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。
バインダー樹脂は、有機溶剤に溶解させて使用する溶剤系樹脂や、水に溶解させて使用する水系樹脂や、水に分散させて使用する水性樹脂微粒子(一般的には水性エマルションと呼ばれる)を使用することが出来る。
また、バインダー樹脂は、導電性材料とその他樹脂を混合した電極形成用組成物を作製後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂とすることもできる。その他樹脂は、自己硬化性のものを選択したり後述する硬化剤と組み合わせたりして、電極形成用組成物を基材上へ塗工後、硬化(架橋)させることもできる。
これらのバインダー樹脂のうち、水性樹脂微粒子などの親水性樹脂を用いることが好ましい。水性樹脂微粒子とは、バインダー樹脂が水中で溶解せずに、微粒子の状態で分散されているものである。水性樹脂微粒子としては、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(SBR(スチレン・ブタジエンゴム)など)、フッ素系エマルション(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPTFEなど)等が挙げられる。親水性樹脂を用いた場合、触媒への電解液の供給が促進されるため、良好な発電性能が得られる。
バインダー樹脂の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量は3,000~2,500,000が好ましく、好ましくは5,000~800,000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算分子量から算出することが出来る。
また、水性樹脂微粒子の場合、その粒子構造は、多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、またはシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。
水性樹脂微粒子の平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の点から、10~500nmであることが好ましく、10~300nmであることがより好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。架橋型樹脂微粒子分散液は固形分に応じて200~1000倍に水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装社製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明における平均粒子径とする。
更に、電極形成用組成物には、分散剤、溶剤、増粘剤、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤などを必要に応じて配合できる。
<分散剤>
次に、分散剤について説明する。本発明に用いる電極形成用組成物では、分散剤を使用することによって、導電性を阻害することなく、電極形成用組成物中の導電性材料の分散性に優れた電極を提供することができる。その結果、電極形成用組成物中の導電性材料が均一に分布した電極を作製することや、微生物が吸着出来る材料表面を有効に使用することが出来るため、電極の導電性や反応抵抗を改善出来る。また、電極への電解液の濡れ性や微生物の吸着性を高めることも出来る。使用出来る分散剤としては、特に限定されないが、電極形成用組成物に含まれる溶媒に適した有機溶剤系分散剤および水系分散剤を使用することが好ましく、2種以上を用いてもよい。
このうち、親水性樹脂である水系分散剤を用いることが好ましい。
(有機溶剤系分散剤)
有機溶剤系分散剤としては、塩基性官能基を有する顔料誘導体、塩基性官能基を有する樹脂が挙げられる。また、酸性官能基を有する顔料誘導体、酸性官能基を有する樹脂が挙げられる。塩基性官能基を有する顔料誘導体の内、好ましい形態として、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体等の各種誘導体が挙げられる。また、酸性官能基を有する顔料誘導体の内、好ましい形態として、酸性官能基を有する有機色素誘導体、酸性官能基を有するアントラキノン誘導体、酸性官能基を有するアクリドン誘導体、及び酸性官能基を有するトリアジン誘導体等の各種誘導体が挙げられる。
塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法を適用することができる。例えば、特開昭54-62227号公報、特開昭56-118462号公報、特開昭56-166266号公報、特開昭60-88185号公報、特開昭63-305173号公報、特開平3-2676号公報、又は特開平11-199796号公報等に記載されている方法を適用することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部に組み込むものとする。
市販の酸性官能基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
ビックケミー社製の酸性官能基を有する樹脂としては、Anti-Terra-U、U100、203、204、205、Disperbyk-101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、2001、BYK-P104、P104S、P105、9076、及び220S等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の酸性官能基を有する樹脂としては、SOLSPERSE3000、21000、26000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、及び53095等が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の酸性官能基を有する樹脂としては、EFKA4510、4530、5010、5044、5244、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、及び5071等が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の酸性官能基を有する樹脂としては、アジスパーPN411、及びアジスパーPA111等が挙げられる。
ELEMENTIS社製の酸性官能基を有する樹脂としては、NuosperseFX-504、600、605、FA620、2008、FA-196、及びFA-601等が挙げられる。
ライオン社製の酸性官能基を有する樹脂としては、ポリティA-550、及びポリティPS-1900等が挙げられる。
楠本化成社製の酸性官能基を有する樹脂としては、ディスパロン2150、KS-860、KS-873SN、1831、1860、PW-36、DA-1200、DA-703-50、DA-7301、DA-325、DA-375、及びDA-234等が挙げられる。
BASFジャパン社製の酸性官能基を有する樹脂としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、52J、57J、60J、61J、62J、63J、70J、HPD-96J、501J、354J、6610、PDX-6102B、7100、390、711、511、7001、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630、352J、252D、538J7640、7641、631、790、780、及び7610等が挙げられる。
三菱レイヨン社製の酸性官能基を有する樹脂としては、ダイヤナールBR-60、64、73、77、79、83、87、88、90、93、102、106、113、及び116等が挙げられる。
上記の分散剤に限定することなく、さらに市販の有機溶剤系分散剤を使用することも出来、例えば下記のものが挙げられる。
ビックケミー社製の分散剤としては、Disperbyk-103、108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2050、2070、2096、2150、BYK-9077等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE5000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、22000、24000SC、24000GR28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の分散剤としては、EFKA1500、1501、1502、1503、4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4520、4570、4800、5207等が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の分散剤としては、アジスパーPB711、PB821、PB822等が挙げられる。
アイエスピー・ジャパン社製の分散剤としては、ポリビニルピロリドンPVP K-15、K-30、K-60、K-90、又はK-120等が挙げられる。
川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトKF-1000、1300M、1500、1700、T-6000、8000、8000E、又は9100等が挙げられる。
積水化学工業社製の分散剤としては、エスレックBL-1、エスレックBL-1H、エスレックBL-2、エスレックBL-2H、エスレックBL-5、エスレックBL-10、エスレックBL-S、エスレックBX-L、エスレックBM-1、エスレックBM-S、エスレックBH-3、エスレックBX-1、エスレックKS-1、エスレックKS-10、エスレックKS-3等が挙げられる。
クラレ社製の分散剤としては、ポバールPVA102、ポバール103、ポバールPVA105、ポバールPVA203、ポバールPVA403、PVA505、ポバールPVA-624、ポバールPVA-706、モビタールB16H、モビタールB60HH、モビタール30T、モビタール30HH、モビタール60T等が挙げられる。
(水系分散剤)
次に、水系分散剤について説明する。水系分散剤は特に限定されないが、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤などを使用することが出来る。
上記分散剤の中でも、水溶性を示す高分子系の樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられ、特に、エチレン性不飽和単量体を重合または共重合した水溶性の樹脂が好ましい。また、水溶性であれば、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これら分散剤は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
本発明で言う水溶性を示す樹脂とは、25℃の水99g中に樹脂1gを入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で樹脂が完全に溶解可能なものである。
[カチオン性分散剤]
市販のカチオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ビックケミー社製のカチオン性分散剤としては、Disperbyk-108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、180、182、183、184、185、2000、2001、2050、2070、2150、又はBYK-9077が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製のカチオン性分散剤としては、SOLSPERSE9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、20000、24000SC、24000GR、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500、又は39000が挙げられる。
エフカアディティブズ社製のカチオン性分散剤としては、EFKA4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4550、4560、4570、4580、又は4800が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製のカチオン性分散剤としては、アジスパーPB711、アジスパーPB821、又はアジスパーPB822が挙げられる。
楠本化成社製のカチオン性分散剤としては、ディスパロン1850、1860、又はDA-1401が挙げられる。
共栄社化学製のカチオン性分散剤としては、フローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-17等が挙げられる。
[アニオン性分散剤]
市販のアニオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
ビックケミー社製のアニオン性分散剤としては、Anti-Terra-U、U100、203、204、205、Disperbyk-101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、2001、BYK-P104、P104S、P105、9076、及び220S等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製のアニオン性分散剤としては、SOLSPERSE3000、21000、26000、36000、36600、41000、41090、43000、44000、及び53095等が挙げられる。
エフカアディティブズ社製のアニオン性分散剤としては、EFKA4510、4530、5010、5044、5244、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5070、及び5071等が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製のアニオン性分散剤としては、アジスパーPN411、及びアジスパーPA111等が挙げられる。
ELEMENTIS社製のアニオン性分散剤としては、NuosperseFX-504、600、605、FA620、2008、FA-196、及びFA-601等が挙げられる。
ライオン社製のアニオン性分散剤としては、ポリティA-550、及びポリティPS-1900等が挙げられる。
楠本化成社製のアニオン性分散剤としては、ディスパロン2150、KS-860、KS-873SN、1831、1860、PW-36、DA-1200、DA-703-50、DA-7301、DA-325、DA-375、及びDA-234等が挙げられる。
BASFジャパン社製のアニオン性分散剤としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、52J、57J、60J、61J、62J、63J、70J、HPD-96J、501J、354J、6610、PDX-6102B、7100、390、711、511、7001、741、450、840、74J、HRC-1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX-7630、352J、252D、538J7640、7641、631、790、780、及び7610等が挙げられる。
三菱レイヨン社製のアニオン性分散剤としては、ダイヤナールBR-60、64、73、77、79、83、87、88、90、93、102、106、113、及び116等が挙げられる。
市販のノニオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
花王社製のアニオン性分散剤としては、エマルゲン 104P、エマルゲン 106、等のポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
ISPジャパン社製のアニオン性分散剤としては、PVP K-15、PVP K-30、PVP K-60、及びPVP K-90等のポリビニルピロリドンが挙げられる。
(分散剤の分子量)
本発明に用いる分散剤の分子量は特に限定されないが、好ましくは高分子であり、重量平均分子量は1,000~2,000,000が好ましく、さらに好ましくは3,000~1,000,000である。界面活性剤等の分子量が小さい分散剤も使用できるが、導電性材料に対する吸着率が低いため電極形成用組成物の粘度上昇を引き起こしてしまう場合がある。分子量が大きすぎると、粘度上昇を引き起こしてしまう場合がある。重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算分子量を示す。
<溶剤>
次に、溶剤について説明する。電極形成用組成物の材料を均一に混合する場合、溶剤を適宜用いることが出来る。そのような溶剤としては、有機溶剤や水を挙げることが出来る。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、
テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、
ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、
N-メチルピロリドンなどの内から電極形成用組成物の組成に応じ適当なものが使用できる。また、溶剤は2種以上用いてもよい。
また、水を使用する場合は、例えば、電極形成用組成物の分散性や基材への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
増粘剤は特に限定されるものではないが、例えば、界面活性剤などの低分子化合物、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられる。これらは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
<電極形成用組成物の調製方法>
電極形成用組成物の調製方法に特に限定されるものではない。調製方法は、
(1)各成分を同時に分散しても良いし、
(2)導電性材料とバインダー樹脂を溶媒中に分散後、他の材料を添加しても良いし、
(3)導電性材料と分散剤を溶媒中に分散後、バインダー樹脂や他の材料を添加しても良いし、
使用する導電性材料、バインダー樹脂により最適化することができる。
<分散機・混合機>
電極形成用組成物を得る際に用いられる装置としては、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物の乾式混合装置で説明したものが挙げられる。
分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で触媒担持炭素材料が割れやすいあるいは潰れやすい場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
<電極の製造方法>
次に、電極形成用組成物から電極を作製する方法について、説明する。従来公知の方法を使用して作製することが出来、特に限定されないが、例えば、
(1)電極形成用組成物を基材へ塗工することにより作製した電極や、
(2)電極形成用組成物をペレット状に成形した電極や、
(3)電極形成用組成物をペレット状に成形したものを導電性基材で包み込んで作製した電極や、
(4)枠や籠のような形状の導電性基材中へ電極形成用組成物をペレット状に成形したものを封入した電極、
等が挙げられる。
特に、微生物が関与するアノードについては、例えば、微生物を電極形成用組成物へ混合してからアノードを作製しても良いし、あらかじめ上述のように電極を作製しておき、その後に微生物の添加や植種を行っても良い。また、電極を土壌中へ設置した後に土壌中の微生物の吸着によりアノードとして機能させることも出来る。
<導電性基材>
電極で使用する基材として導電性基材を用いることができ、集電体として機能する。導電性基材としては、耐腐食性、電気伝導性に優れ、表面積が大きく、反応物及び生成物の拡散に優れるものが良く、材質や形状は特に限定されない。例えばグラファイトペーパー(カーボンペーパー)、グラファイトクロス(カーボンクロス)及びグラファイトフェルト(カーボンフェルト)等のカーボン材料の他、ステンレスメッシュ、銅メッシュや白金メッシュ等の金属材料を用いることができるが、この限りではない。電極に用いる導電性基材には、予め撥水処理しても良い。例えば、PTFEの分散液をカソードに含浸させ、乾燥後400℃前後で加熱することで撥水性が発現する。また、PTFE分散液には導電材を分散させても良い。なお、撥水処理はこれらに限定されるものではない。
また、紙類、布類、樹脂製フィルム等の非導電性支持体に、電極形成用組成物と同様の組成物やポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を塗布、乾燥したものやそれらを併用したものを用いてもよい。
<塗工方法>
電極形成用組成物を導電性基材に塗布する方法は、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。例示すると、グラビアコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等を挙げることができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
<電極の導電性>
本発明の微生物燃料電池デバイス用電極の体積抵抗率は、5×10Ω・cm未満であることが好ましく、さらに好ましくは5×10Ω・cm未満、さらに好ましくは1×10-1Ω・cm未満である。導電性が良好な電極ほど電池の電力を有効に取り出すことが可能となる。
<微生物燃料電池デバイス>
以下に、微生物燃料電池デバイスの構成を説明する。電子供与微生物が保持されたアノードと、酸素還元触媒材料を含むカソードが電解質を介してイオンを授受し、外部回路を介して電子を授受する。微生物燃料電池デバイスの構成は、アノードとカソードを、電解質を含む電解槽に隔壁を設けず差し込んだ一槽型構成や、固体高分子形燃料電池のように、固体高分子膜を利用して、アノード槽とカソード槽を隔てた二槽型構成でもよい。また、面で囲われた電解槽だけでなく、水田や畑、湖沼、河川、海のように囲われていない環境でもよい。例えば、電解液を保持する電解槽内部と酸素を含む大気等の電解槽外部を隔てる液面、側面、底面にカソードが設置される形態や、外気を取り入れることができるカセット型の電極を液中に浸漬する等の形態が考えられる。このとき、カソード触媒層が電解質と接し、その裏面が酸素を含む大気等と接するように設置される。これにより、電解槽外部から酸素を含む大気等が直接カソードへ流入し電解質に接したカソード中の触媒上で反応が生起する。
微生物燃料電池デバイスに用いる電解質は、プロトンなどのイオン伝導性を有し、微生物によって酸化分解される基質を含有する。基質は、電子を供与する微生物が代謝可能な物質であれば、特に限定されるものではない。例えば、糖類やタンパク質、脂質などの有機物の他、アンモニアなどの無機物などが挙げられ、それらを1種類以上含有してもよい。したがって、電解質は前記条件を満たす生活廃水、産業廃水、環境廃水(池、湖沼、河川、海)、土壌、汚泥等を用いることができる。また、微生物とアノードとの間で電子伝達を担うメディエーターを導入してもよく、メチレンブルーやニュートラルレッドなどが例示できる。
微生物燃料電池デバイスにおける電子を供与する微生物は、前記基質を酸化分解し電子を生成するアノード反応を生起するものであれば、単一種でも複数種であってもよい。また、微生物は電解槽内を浮遊あるいはアノード上へ固定化することで電解槽内に保持する。微生物種は特に限定されないが、Shewanella属やGeobacter属に属するものが例示できる。
本発明の微生物燃料電池デバイスでは、電解液給水部を有するため、カソードとアノードを対向しない位置に設置することができる。この場合、カソードとアノードとの間の内部短絡を防止できるだけでなく、装置の設計自由度が大幅に向上する。
本発明の微生物燃料電池デバイスは、一槽型であることが好ましい。一槽型の微生物燃料電池においては、特殊なカソード液やイオン交換膜を使用する必要がなく、二槽型と比較して、安価かつ単純な構成でデバイスを形成できるためスケールアップが容易であり、電極間のイオン伝導性を向上できるという利点がある。また、カソード-アノード間の距離が可変である場合、電解質の量の変化に追従させることができ、設置環境や装置設計の自由度が向上するため好ましい。
従来、一槽型の微生物燃料電池を長期稼働すると、カソード上に微生物や藻類等が発生し、発電及び浄化性能が低下することが知られていた。カソードに対する微生物の付着を抑制するため、カソードは電解質と直接接触せず、電解液給水部を介してのみ接触することが好ましい。たとえば、カソードの一部を空気に向けて露出し、他の露出部を電解液給水部で覆うことができる。
また、従来、一槽型の微生物燃料電池では、空気カソードの面積が槽の表面積に限られるため、スケールアップした際に体積当たりの発電及び浄化性能が低下することが知られていた。このような課題に対しては、槽の内部に空気供給部を有するカセット型電極を設置する技術も知られているが、槽の構造が複雑となり、体積も増大するデメリットがあった。一方で、本発明の微生物燃料電池デバイスでは、電解液給水部を有するため、カソードを電解液から離れた位置に設置することができる。この場合、単純な構造で、槽の体積当たりに換算するとより高い発電・浄化性能を得ることができる。また、カソードの増設や交換が容易となる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例および比較例における「部」は「質量部」、%は質量%を表す。
<電極用炭素材料>
[製造例A1]
グラフェンナノプレートレットxGnP-C-750(XGscience社製)と鉄フタロシアニン P-26(山陽色素社製)を、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/鉄フタロシアニン)となるようにそれぞれ秤量し、乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料である炭素材料(1)を得た。
<電極形成用組成物>
[製造例B1]
導電性材料として炭素材料(1)14部、バインダー樹脂としてPVDF#7200(ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製)6部、溶媒としてNMP(N-メチルピロリドン)80部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散して固形分が20質量%となる電極形成用組成物(1)を得た。
[製造例B2]
導電性材料として炭素材料(1)16部、バインダー樹脂としてW-168(固形分50%のエマルション型アクリル樹脂分散溶液、トーヨーケム社製)6部(固形分として3部)、分散剤としてK-30(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン社製)1部、溶媒として水77部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散して固形分が20質量%となる電極形成用組成物(2)を得た。
[製造例B3]
導電性材料としてHS-100(アセチレンブラック、デンカ社製)を用いた以外は、製造例B2と同様にして、電極形成用組成物(3)を得た。
[製造例B4]
導電性材料として貴金属触媒であるTEC10E50E(白金担持炭素材料、田中貴金属工業社製)を用いた以外は、製造例B2と同様にして、電極形成用組成物(4)を得た。
<微生物燃料電池デバイス用カソード>
[製造例C1]
基材であるろ紙(定性ろ紙No.1、大きさ10cm×10cm、アドバンテック社製)上に、電極形成用組成物(1)を目付け量が3mg/cmとなるようにアプリケーターで塗工した後、オーブンで乾燥させて微生物燃料電池デバイス用カソード(1)を作製した。
[製造例C2]
電極形成用組成物(2)を用いた以外は、製造例C1と同様にして微生物燃料電池デバイス用カソード(2)を作製した。
[製造例C3]
電極形成用組成物(3)を用いた以外は、製造例C1と同様にして微生物燃料電池デバイス用カソード(3)を作製した。
[製造例C4]
基材であるろ紙(定性ろ紙No.1、大きさ10cm×20cm、アドバンテック社製)上の、中央部10cm×10cmの範囲に、電極形成用組成物(2)を目付け量が3mg/cmとなるようにアプリケーターで塗工した後、オーブンで乾燥させて微生物燃料電池デバイス用カソード(4)を作製した。
[製造例C5]
CB-150(鱗状黒鉛、日本黒鉛社製)14.4部、VULCAN(登録商標)XC72(ファーネスブラック、CABOT社製)3.6部、W-168(固形分50%のエマルション型アクリル樹脂分散溶液、トーヨーケム社製)2.4部、カルボキシメチルセルロース0.8部、水78.8部を混合し、導電性組成物を得た。ろ紙(定性ろ紙No.1、大きさ10cm×10cm、アドバンテック社製)上に、導電性組成物を目付け量が8mg/cmとなるようにアプリケーターで塗工した後、オーブンで乾燥させて導電性基材を得た。導電性基材を用いた以外は、製造例C1と同様にして微生物燃料電池デバイス用カソード(5)を作製した。
[製造例C6]
基材としてカーボンペーパー(大きさ10cm×10cm、東レ社製)を用いた以外は製造例C2と同様にして微生物燃料電池デバイス用カソード(6)を作製した。
[製造例C7]
電極形成用組成物(4)を用いた以外は、製造例C6と同様にして微生物燃料電池デバイス用カソード(7)を作製した。
<電解液給水部>
[製造例D1]
ろ紙(定性ろ紙No.1、アドバンテック社製)を10cm×20cmに切り出し、電解液給水部(1)を作製した。
[製造例D2]
綿布(ガーゼ、白十字社製)を10cm×20cmに切り出し、電解液給水部(2)を作製した。
[製造例D3]
ポリエステル製不織布(エクーレ(登録商標)、東洋紡社製)を10cm×20cmに切り出し、電解液給水部(3)を作製した。
[製造例D4]
ポリエステル製ニット(トレシー(登録商標)、東レ社製)を10cm×20cmに切り出し、電解液給水部(4)を作製した。
[製造例D5]
カーボンフェルト(GF-20-10F、日本カーボン社製)を10cm×20cmに切り出し、電解液給水部(5)を作製した。
<微生物燃料電池デバイス用アノード>
カーボンフェルト(大きさ10cm×10cm、日本カーボン社製)に土壌中の微生物を付着させ、微生物燃料電池デバイス用アノードを作製した。
<微生物燃料電池デバイス>
[実施例1~8、比較例1]
図1に示す微生物燃料電池デバイスを作製し、評価を実施した。1000mLの容量を持つ容器内に、表1のように、電解液給水部と、電解質である土と、カソードおよびアノードとを配置し、微生物燃料電池を作製した。なお、実施例6では、カソードと電解液給水部が一体となっている。次に、カソードとアノードに配線を取り付けて外部抵抗(10kΩ)に接続し、微生物燃料電池デバイスを連続運転させた。以降、1週間置きに蒸発等により減少した水分を補水した。減少した水分量は容器の質量減少分などから算出可能である。
[実施例9~12]
図4に示す微生物燃料デバイスを作製し、評価を実施した。スペーサーとしてアクリル樹脂の板(厚さ10mm)を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
Figure 0007484161000001
<電解液給水部の吸水性評価>
電解液給水部を60℃で1時間加熱乾燥した後、25℃で電解液給水部に対して、10mm上からスポイトを用いて水を1滴(約0.4mL)滴下し、水滴が試験片に付着してから水の鏡面反射がなくなるまでの時間を計測し、吸水性を評価した。下記に判断基準を示し、結果を表1に示す。
◎: 10秒未満(極めて良好)
〇: 10秒以上60秒未満(良好)
〇△: 60秒以上600秒未満(実用上問題なし)
△: 600秒以上3600秒未満(不良)
×: 3600秒以上(極めて不良)
<電解液給水部の導電性評価>
電解液給水部の表面にテスターを当てて抵抗値を測定した。端子間の距離は1cmとした。抵抗値が100Ω以下の場合は導電性、抵抗値が1MΩ以上の場合は絶縁性と判断した。
<発電特性評価>
運転開始から1日後、微生物燃料電池デバイスの電圧をテスターで測定し、発電特性を評価した。下記に判断基準を示し、結果を表1に示す。
◎: 0.4V以上(極めて良好)
〇: 0.3V以上0.4V未満(良好)
〇△: 0.2V以上0.3V%未満(実用上問題なし)
△: 0.1V以上0.2V未満(不良)
×: 0.1V未満(極めて不良)
<耐久性評価>
微生物燃料電池デバイスの電圧をテスターで1か月間測定し、1日後の電圧を100%とした時の1か月後の出力維持率を評価した。下記に判断基準を示し、結果を表1に示す。
◎:出力維持率 80%以上(極めて良好)
〇:出力維持率 70%以上(良好)
△:出力維持率 40%以上70%未満(実用上問題なし)
×:出力維持率 40%未満(不良)
表1に示す結果より、本発明の電解液給水部を含む微生物燃料電池デバイスでは、発電特性および耐久性が良好であることが分かる。発電に必要な量の電解液をカソード近傍へ供給しつつ、カソード汚染による性能低下を抑制できたと考察される。
また、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含む電極を用いた場合、発電特性が良好であることが分かった。また、貴金属触媒と比較して電解質中に含まれる物質による被毒に対する耐性が高く、耐久性が良好であったと考察される。
また、親水性樹脂を含む電極を用いた場合、発電特性が良好であることが分かった。その理由は明らかでないが、親水性の分散剤が触媒近傍に存在することにより、電解液の供給を促進したものと考察される。
また、電解液給水部の接触領域が電解質である土と隔てられている場合、発電特性および耐久性が良好であった。浸漬領域と接触領域とが輸液領域により隔てられた構成であるため、微生物付着が抑制され、カソード表面へのプロトン供給が維持されたためと考えられる。
また、電解液給水部の吸水性が良好な場合は発電特性が良好であり、有機合成樹脂である場合は耐久性が特に良好であった。
以上より、本発明の微生物燃料電池デバイスは、耐久性および発電特性を両立出来るものであることが分かった。したがって、本発明の微生物燃料電池デバイスは、廃水浄化にとどまらず、電源としての利用可能性も考えられるし、土壌や水質センサー等としての利用可能性も考えられる。
1容器
2カソード
3アノード
4電解質
5外部抵抗
6電解液給水部
7浸漬領域
8接触領域
9輸液領域
10スペーサー

Claims (4)

  1. アノード、カソード、および、カソードと接する電解液給水部を有する微生物燃料電池デバイスであって、電解液給水部が、天然繊維、有機合成樹脂、およびガラス繊維からなる群より選ばれる素材を含んでなる布または紙であり、且つ、電解液給水部である布または紙を平面状に展開して平面とし、該平面を真上から視た際に、電解質内部に設置される浸漬領域と、カソードと接する接触領域と、に区分される、ことを特徴とする、微生物燃料電池デバイス。
  2. カソードが、導電性材料と、親水性樹脂とを含むことを特徴とする請求項1記載の微生物燃料電池デバイス。
  3. カソードが、導電性材料であるヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の微生物燃料電池デバイス。
  4. 電解液給水部である布または紙を平面状に展開して平面とし、該平面を真上から視た際に、電解質内部に設置される浸漬領域と、電解液を輸送する輸液領域と、カソードと接する接触領域とに区分されており、浸漬領域と接触領域とが輸液領域により隔てられている請求項1~いずれか記載の微生物燃料電池デバイス。
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