JP7063155B2 - 微生物燃料電池デバイス - Google Patents
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Description
本発明に用いる微生物燃料電池デバイス用電極は、種々の方法で得ることができる。カソードやアノードの機能が発揮出来るような構成であれば、従来公知のカーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス、または活性炭シートなどのカーボン材料や、アルミニウム、銅、ステンレス、ニッケル、またはチタンなどのシート状およびメッシュ状の金属材料が使用出来るが、特に限定されるものではない。また、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物から電極を作製することも出来る。
<微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物>
微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物は、微生物燃料電池デバイスの電極形成用として使用できる。微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物は、少なくとも、導電性材料と、バインダー樹脂と、を含有する。
導電性材料とバインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、導電性材料の含有量は、導電性が得られれば特に限定されることはないが、好ましくは60~99質量%、さらに好ましくは70~95質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、バインダー樹脂の含有量は、特に限定されることはないが、好ましくは1~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計は、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物全体の固形分の51質量%以上であり、好ましくは60質量%であり、さらに好ましくは75質量%である。
また、分散剤を含有する場合は、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物全体の固形分の0.01~10質量%であり、好ましくは0.05~8質量%であり、さらに好ましくは0.1~5質量%である。
また、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物の適正粘度は、組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
微生物燃料電池デバイス電極形成組成物用導電性材料について説明する。微生物燃料電池デバイス電極形成組成物用導電性材料とは、微生物燃料電池として機能する導電性材料であれば特に限定されるものではないが、カソードでは酸素還元反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には貴金属触媒、卑金属酸化物触媒、炭素材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。一方、アノードでは微生物反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には炭素材料、金属材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。
貴金属触媒とは、遷移金属元素のうちルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金から選択される元素を一種以上含む触媒である。これら貴金属触媒は単体でも別の元素や化合物に担持されたものでも良い。中でも、触媒担持炭素材料が好例として挙げられる。触媒担持炭素材料とは、触媒粒子が触媒担時体としての炭素材料上に担持してなるものを指し、公知もしくは市販のものがある。
無機材料由来の炭素粒子としては、黒鉛、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択される。
熱処理して炭素粒子となる有機材料としては、熱処理後炭素粒子となる材料であれば特に限定されない。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。
これら炭素材料は、一種類または二種類以上で用いられる。
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E、TEC66E50等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金-ルテニウム合金担持炭素粒子;
を購入することができるが、これらに限定されるものではない。
卑金属酸化物触媒としては、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属を含む酸化物を使用することができ、より好ましくはこれら遷移金属元素の炭窒化物や、これら遷移金属元素の炭窒酸化物を使用することができる。
本発明に用いる炭素材料としては、無機炭素材料が好ましい。例えば、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック、ナノポーラスカーボン)、活性炭、カーボンナノホーン、炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンフェルト)、グラフェン、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料は、単に炭素材料とヘテロ元素を含む化合物を混合したものや、炭素材料と卑金属元素を含む化合物を混合したものや、炭素材料とヘテロ元素や卑金属元素を含む化合物を混合したものではない。製造方法としては、例えば、炭素材料、ヘテロ元素を含む化合物及び卑金属元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、炭素材料、ヘテロ元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、ヘテロ元素を含む炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法、フタロシアニンやポルフィリン等の大環状化合物などのヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物を炭化させる方法、炭素材料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。炭化により、炭素材料表面の炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部がヘテロ元素や卑金属元素が置換するようにドープされる。また、ヘテロ元素を含む化合物ではなく、ヘテロ元素を含むガスによる炭素材料へのドープでも良く、そのような製造方法としては、炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させた材料に気相法でヘテロ元素をドープする方法、炭素材料に気相法でヘテロ元素をドープする方法など、従来公知のものを使用することが出来るが、それらに限定されるものではない。気相法での反応により、炭素材料表面の炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部がヘテロ元素で置換するようにドープされる。
好ましい製造方法としては、少なくともヘテロ元素を含む炭素材料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法や、少なくとも炭素材料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法が挙げられる。また、前記熱処理により得られた炭素材料を、酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。更に、前記酸洗浄により得られた炭素材料を、熱処理する工程を含む方法が挙げられる。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料として、ヘテロ元素、卑金属元素を導入する際に使用される原料としては、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば、色素、ポリマー等の有機化合物、金属単体、金属酸化物、金属塩等の無機化合物が挙げられる。また、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
好ましくは錯体もしくは塩であり、その中でも、卑金属元素を分子中に含有することが可能な、窒素を含有した芳香族化合物は、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料中に効率的に窒素元素と卑金属元素を導入しやすいため好ましい。具体的には、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物等の大環状化合物が挙げられる。上記芳香族化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基を導入されたものであってもよい。特に、フタロシアニン系化合物は、様々な卑金属元素を含んだ化合物が入手可能であり、コスト的にも安価であるため、原料としては特に好ましい。中でも、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物は、安価で高い活性を有するヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を得ることができるためより好ましい。
原料の組み合わせとしては例えば、炭素元素を無機炭素材料、ヘテロ元素を気相法のヘテロドープ由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を有機炭素材料、ヘテロ元素を気相法のNドープ由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を無機炭素材料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素を有機炭素材料、ヘテロ元素を、卑金属元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物、卑金属元素を、ヘテロ元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、卑金属元素を、卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来のヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料等が挙げられる。
2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機;
又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
市販の水系用分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
市販の溶剤系用分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
この場合、ある程度高温で熱処理することで、活性点の構造が安定化し、実用的な電池運転条件に耐え得る表面となることが多い。このときの温度は600℃以上であることが好ましい。
次に、バインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は導電性材料同士の結着や導電性材料と基材とを結着させるために使用される、良好な発電特性や耐久性を発現させることが出来る。バインダー樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、EVA系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、フェノール樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。また、生分解性樹脂である、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル、多糖類、ポリビニルアルコール樹脂、4-ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸樹脂、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール等のポリエーテル樹脂等からなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。
また、バインダー樹脂はこれらの樹脂に限定されるわけではなく、1種単独で用いても良いし、2種以上併用しても良く、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。
バインダー樹脂は、有機溶剤に溶解させて使用する溶剤系樹脂や、水に溶解させて使用する水系樹脂や、水に分散させて使用する水性樹脂微粒子(一般的には水性エマルションと呼ばれる)を使用することが出来る。
また、バインダー樹脂は、導電性材料とその他樹脂を混合した微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物を作製後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂とすることもできる。その他樹脂は、自己硬化性のものを選択したり後述する硬化剤と組み合わせたりして、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物を基材上へ塗工後、硬化(架橋)させることもできる。
水性樹脂微粒子の平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の点から、10~500nmであることが好ましく、10~300nmであることがより好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。架橋型樹脂微粒子分散液は固形分に応じて200~1000倍に水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装社製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明における平均粒子径とする。
次に、分散剤について説明する。本発明に用いる微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物では、分散剤を使用することによって、導電性を阻害することなく、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物中の導電性材料の分散性に優れた電極を提供することができる。その結果、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物中の導電性材料が均一に分布した電極を作製することが出来たり、微生物が吸着出来る材料表面を有効に使用することが出来るため、電極の導電性や反応抵抗を改善出来る。また、電極への電解液の濡れ性や微生物の吸着性を高めることも出来る。使用出来る分散剤としては、特に限定されないが、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物に含まれる溶媒に適した有機溶剤系分散剤および水系分散剤を使用することが好ましく、2種以上を用いてもよい。
ビックケミー社製の酸性官能基を有する樹脂としては、Anti-Terra-U、U100、203、204、205、Disperbyk-101、102、106、107、110、111、140、142、170、171、174、180、2001、BYK-P104、P104S、P105、9076、及び220S等が挙げられる。
ビックケミー社製の分散剤としては、Disperbyk-103、108、109、112、116、130、161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2050、2070、2096、2150、BYK-9077等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE5000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、22000、24000SC、24000GR28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、37500、38500が挙げられる。
エフカアディティブズ社製の分散剤としては、EFKA1500、1501、1502、1503、4008、4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4406、4520、4570、4800、5207等が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の分散剤としては、アジスパーPB711、PB821、PB822等が挙げられる。
アイエスピー・ジャパン社製の分散剤としては、ポリビニルピロリドンPVP K-15、K-30、K-60、K-90、又はK-120等が挙げられる。
川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトKF-1000、1300M、1500、1700、T-6000、8000、8000E、又は9100等が挙げられる。
積水化学工業社製の分散剤としては、エスレックBL-1、エスレックBL-1H、エスレックBL-2、エスレックBL-2H、エスレックBL-5、エスレックBL-10、エスレックBL-S、エスレックBX-L、エスレックBM-1、エスレックBM-S、エスレックBH-3、エスレックBX-1、エスレックKS-1、エスレックKS-10、エスレックKS-3等が挙げられる。
クラレ社製の分散剤としては、ポバールPVA102、ポバール103、ポバールPVA105、ポバールPVA203、ポバールPVA403、PVA505、ポバールPVA-624、ポバールPVA-706、モビタールB16H、モビタールB60HH、モビタール30T、モビタール30HH、モビタール60T等が挙げられる。
上記分散剤の中でも、水溶性を示す高分子系の樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられ、特に、エチレン性不飽和単量体を重合または共重合した水溶性の樹脂が好ましい。また、水溶性であれば、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これら分散剤は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
市販のカチオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
市販のアニオン性分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。
本発明に用いる分散剤の分子量は特に限定されないが、好ましくは高分子であり、重量平均分子量は1,000~2,000,000が好ましく、さらに好ましくは3,000~1,000,000である。界面活性剤等の分子量が小さい分散剤も使用できるが、導電性材料に対する吸着率が低いため微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物の粘度上昇を引き起こしてしまう場合がある。分子量が大きすぎると、粘度上昇を引き起こしてしまう場合がある。重量平均分子量(Mw)とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリスチレン換算分子量を示す。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N-メチルピロリドンなどの内から電極形成用組成物の組成に応じ適当なものが使用できる。また、溶剤は2種以上用いてもよい。
また、水を使用する場合は、例えば、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物の分散性や基材への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物の調製方法に特に限定されるものではない。調製方法は、
(1)各成分を同時に分散しても良いし、
(2)導電性材料とバインダー樹脂を溶媒中に分散後、他の材料を添加しても良いし、
(3)導電性材料と分散剤を溶媒中に分散後、バインダー樹脂や他の材料を添加しても良いし、
使用する導電性材料、バインダー樹脂により最適化することができる。
微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
<微生物燃料電池デバイス電極の製造方法>
次に、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物から電極を作製する方法について、説明する。従来公知の方法を使用して作製することが出来、特に限定されないが、例えば、
(1)微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物を導電性基材へ塗工することにより作製した電極や、
(2)微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物をペレット状に成形した電極や、
(3)微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物をペレット状に成形したものを導電性基材で包み込んで作製した電極や、
(4)枠や籠のような形状の導電性基材中へ微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物をペレット状に成形したものを封入した電極、
等が挙げられる。
特に、微生物が関与するアノードについては、例えば、微生物を微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物へ混合してからアノードを作製しても良いし、あらかじめ上述のように電極を作製しておき、その後に微生物の添加や植種を行っても良い。また、電極を土壌中へ設置した後に土壌中の微生物の吸着によりアノードとして機能させることも出来る。
電極で使用する導電性基材としては、耐腐食性、電気伝導性に優れ、表面積が大きく、反応物及び生成物の拡散に優れるものが良く、材質や形状は特に限定されない。例えばグラファイトペーパー(カーボンペーパー)、グラファイトクロス(カーボンクロス)及びグラファイトフェルト(カーボンフェルト)等のカーボン材料の他、ステンレスメッシュ、銅メッシュや白金メッシュ等の金属材料を用いることができるが、この限りではない。電極に用いる導電性基材には、予め撥水処理しても良い。例えば、PTFEの分散液をカソードに含浸させ、乾燥後400℃前後で加熱することで撥水性が発現する。また、PTFE分散液には導電材を分散させても良い。なお、撥水処理はこれらに限定されるものではない。
微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物を導電性基材に塗布する方法は、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。例示すると、グラビアコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等を挙げることができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明の微生物燃料電池デバイス用電極の体積抵抗率は、5×101Ω・cm未満であることが好ましく、さらに好ましくは5×100Ω・cm未満、さらに好ましくは1×10-1Ω・cm未満である。導電性が良好な電極ほど電池の電力を有効に取り出すことが可能となる。
次に、本発明で使用される培地について説明する。本発明では、通常使用される電解液の代わりに培地を用いる。培地は固形状のものであり、プロトンなどのイオン伝導性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、市販の土、田畑の土、池や湖沼や河川や海などの底土や底泥などの土壌や、ロックウール、ピートモス、バーミキュライト、ヤシ殻、寒天などのハイドロゲル、樹脂シートなどの固定培地などが挙げられ、好ましくは土壌であり、さらに好ましくは有機物濃度の高い肥沃な土や、水分含有量の多い土や泥である。
土壌などの培地で診断される項目としては、pHやEC(電気伝導度)などが一般的であるが、本発明では培地のORP(Oxidation-Reduction Potential:酸化還元電位)に着目した。それは、ORPと微生物燃料電池の発電特性の関係性が十分検討されていないためである。空地、草木や草花が植えられている土、畑などの一般的な土壌で微生物燃料電池デバイスを設置したが、発電現象は確認出来なかった。また、この時のORPはいずれも+400mVを超える値であった。
本発明で使用される培地のORPは、+400mV以下であり、好ましくは+350~-249mV、好ましくは+300~-199mV、さらに好ましくは+300~-100mVである。酸素が流入しないような環境の培地はORPが低い傾向にあるが、ORPが低い培地を用いた場合、微生物燃料電池デバイスによる発電は可能だが、発電を長期に維持出来ず、耐久性が低下する場合があり、培地中のセンシング安定性も低下してしまう。
また、ORPの測定は、市販のORP測定器を用いて測定することが出来、例えば、堀場製作所社のLAQUAact、東亜DKK社のORP計などを用いて測定出来る。ORPの測定方法は、ORP測定用電極を培地表面から10cm程度内側部分へ挿し込んで測定することが出来る。
次に、例として微生物燃料電池デバイスの構成を説明する。電子供与微生物が保持されたアノードと、酸素還元触媒材料を含むカソードを、培地を含む電解槽に隔壁を設けず差し込んだ一槽型構成や、固体高分子形燃料電池のように、固体高分子膜を利用して、アノード槽とカソード槽を隔てた二槽型構成でもよい。更に、面で囲われた電解槽だけでなく、水田や湖沼、河川、海のように囲われていない環境でもよい。例えば、電解液を保持する電解槽内部と酸素を含む大気等の電解槽外部を隔てる液面、側面、底面にカソードが設置される形態や、外気を取り入れることができるカセット型の電極を液中に浸漬する等の形態が考えられる。このとき、カソードの触媒層が電解液と接し、その裏面が酸素を含む大気等と接するように設置される。これにより、電解槽外部から酸素を含む大気等が直接カソードへ流入し、培地に接したカソード中の触媒上で反応が生起する。
次に、本発明の微生物燃料電池デバイスを用いた培地モニタリングの実施の形態について説明する。図2は、培地モニタリング用微生物燃料電池デバイスを示すブロック図である。図2に示すように、培地モニタリング用微生物燃料電池デバイスは、微生物燃料電池デバイス、解析部、及び表示部を備える。
[製造例A1]
グラフェンナノプレートレットxGnP-C-750(XGscience社製)と鉄フタロシアニン P-26(山陽色素社製)を、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/鉄フタロシアニン)となるようにそれぞれ秤量し、乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間熱処理を行い、炭素材料(1)を得た。
ケッチェンブラックEC-600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)とコバルトフタロシアニン(東京化成社製)を、質量比1/0.5(ケッチェンブラック/コバルトフタロシアニン)となるようにそれぞれ秤量し、乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、700℃で2時間熱処理を行い、炭素材料(2)を得た。
グラフェンナノプレートレットxGnP-C-750(XGscience社製)を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にてアンモニア窒素雰囲気下、1000℃で2時間熱処理を行い、炭素材料(3)を得た。
[製造例B1]
導電性材料としてHS-100(アセチレンブラック、デンカ社製)14部、バインダー樹脂としてPVDF#7200(ポリフッ化ビニリデン、クレハ社製)6部、溶媒としてNMP(N-メチルピロリドン)80部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散して固形分が20質量%となる微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(1)を得た。
表1に示す導電性材料、バインダー樹脂を用いた以外は、製造例B1と同様にして微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(2)~(4)を作製した。
導電性材料としてHS-100(アセチレンブラック、デンカ社製)16部、バインダー樹脂としてW-168(固形分50%のエマルション型アクリル樹脂分散溶液、トーヨーケム社製)6部(固形分として3部)、分散剤としてK-30(ポリビニルピロリドン、ISPジャパン社製)1部、溶媒として水77部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散して固形分が20質量%となる微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(5)を得た。
表1に示す導電性材料、バインダー樹脂、分散剤を用いた以外は、製造例B5と同様にして微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(6)を作製した。
[製造例C1]
基材であるカーボンペーパー(大きさ10cm×10cm、東レ社製)上に、微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(1)を目付け量が3mg/cm2となるようにアプリケーターで塗工した後、150℃雰囲気のオーブンで乾燥させて微生物燃料電池デバイス用電極(1)を作製した。
[製造例C2~C6]
表1に示す微生物燃料電池デバイス電極形成用組成物(2)~(6)を用いた以外は、製造例C1と同様にして微生物燃料電池デバイス用電極(2)~(6)を作製した。
図1に示す微生物燃料電池デバイスを作製し、評価を実施した。500mLの容量を持つ容器内に、表2のように、所定のORPを示す培地である土と、カソードおよびアノードとを配置し、微生物燃料電池を作製した。次に、カソードとアノードに配線を取り付けて外部抵抗(10kΩ)に接続し、微生物燃料電池デバイスを連続運転させた。以降、1週間置きに蒸発等により減少した水分を補水した。減少した水分量は容器の質量減少分などから算出可能である。また、培地のORPは、堀場製作所社ポータブル型LAQUAact(D-54)により確認した。
微生物燃料電池デバイスの電圧をテスターで3ヵ月間測定し、3週間後の電圧を100%とした時の3ヵ月後の出力維持率を評価した。下記に判断基準を示し、結果を表2に示す。
◎:出力維持率 90%以上(極めて良好)
〇:出力維持率 75%以上90%未満(良好)
〇△:出力維持率 60%以上75%未満(実用上問題なし)
△:出力維持率 50%以上60%未満(不良)
×:出力維持率 50%未満(極めて不良)
センシング特性は、耐久性評価後に基質を添加してから30分後の電圧を再度評価し、基質添加前後における電圧変化の絶対値を評価することで、センシング特性を評価した。電圧変化の絶対値が大きいほどセンシングの感度が高くて良好であることを意味する。尚、基質は10mM酢酸ナトリウム水溶液20gを土の表面へ添加した。下記に判断基準を示し、結果を表2に示す。
◎:電圧変化の絶対値 20%以上(極めて良好)
〇:電圧変化の絶対値 15%以上20%未満(良好)
〇△:電圧変化の絶対値 10%以上15%未満(実用上問題なし)
△:電圧変化の絶対値 5%以上10%未満(不良)
×:電圧変化の絶対値 5%未満(極めて不良)
一方、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含む電極を用いた場合、耐久性およびセンシング特性が良好であることが分かった。また、分散剤を含む電極を用いた場合、耐久性およびセンシング特性がさらに良好であることが分かった。このことは詳細確認中であるが、電極中の導電性材料が均一に分散されることで材料間の導電ネットワークが密に形成されて導電性材料表面を有効に使用出来たことや、電極中の材料間の細孔も均一になることで培地中の有機物成分が溶解した水分を毛管現象により上手く取り込むことが出来たことによる効果ではないかと考察している。
本発明の微生物燃料電池デバイスは、耐久性およびセンシング特性を両立出来るものであることが分かった。耐久性に優れているため、電源としての利用可能性も考えられるし、センシング特性も良好であったことから、土壌センサー等としての利用可能性も考えられる。
2カソード
3アノード
4培地(土)
5外部抵抗
Claims (4)
- 少なくとも電極と、培地とから形成された微生物燃料電池デバイスあって、
培地のORP(酸化還元電位)が+400mV以下であることを特徴とする、微生物燃料電池デバイス。 - 電極中に、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素がドープされた炭素材料を含むことを特徴とする請求項1記載の微生物燃料電池デバイス。
- 電極中に、分散剤を含むことを特徴とする請求項1または2記載の微生物燃料電池デバイス。
- 請求項3記載の微生物燃料電池デバイスと、前記微生物燃料電池デバイスで発電された電力を解析する解析部と、を備え、前記解析部は、前記微生物燃料電池デバイスで発電された電力を解析することで、前記培地の状態をモニタする、培地モニタリング用微生物燃料電池デバイス。
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