JP6672935B2 - 炭素触媒及び、その製造方法、触媒インキ並びに燃料電池 - Google Patents

炭素触媒及び、その製造方法、触媒インキ並びに燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、白金や白金合金等の貴金属を全く担持しない炭素触媒、及びその製造方法、触媒インキ並びに燃料電池に関する。
現在実用化に向けて開発が進められている燃料電池は、水素と酸素から水が生成する際の電気エネルギーを利用し、廃棄物として水だけしか排出しないクリーンなエネルギーシステムである。燃料電池には、膜状に形成された固体高分子を電解質に用い、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される固体高分子形燃料電池、微生物を電子供与物として使用し、廃水を浄化しながら発電することが可能で環境適合性が非常に高い燃料電池システムである微生物燃料電池など、使用する電解質や燃料などの違いで種々の様式のものがある。
しかしながら、上記のような各種燃料電池に使われる電極触媒には、従来白金などの貴金属をカーボンブラックなどの炭素担体上に担持したものや、電解質膜表面にメッキやスパッタなどの方法で形成された貴金属の薄膜等が用いられている。
白金などの貴金属は、高い触媒活性(酸素還元活性、水素酸化活性)とその活性安定性を示す一方で、非常に高価であり、資源的にも限られている。そのため、電極触媒が各種電気化学デバイスのコストを高くする一因となっている。特に、燃料電池は所定の出力を得るために多数のMEA(Membrane Electrode Assembly:電極膜接合体)が積層された状態で使用されるので、燃料電池1個あたりの電極触媒の使用量も多くなり、このことが燃料電池の普及を妨げている。
上述のような課題を解決させるために、これまでに様々な対策が取られてきた。白金などの貴金属を用いないものとして、例えば、炭素材料を原料とせずに金属ポルフィリンや金属フタロシアニンなどの大環状化合物と有機高分子材料との混合物を炭化させた炭素触媒(特許文献1、2、3、4、5)、または、大環状化合物を含まない有機高分子材料を炭化させた炭素触媒(特許文献6、7、8)、などが報告されている。しかし、触媒は表面でしか反応が進行しないことを考慮すると、比表面積が大きく、また電子伝導性が重要であるのに対し、これらの有機高分子材料を原料とした炭素触媒は、比表面積が小さい、また電子伝導性が低い、といった問題があった。
比表面積の大きい電子導電体を担持体とした炭素触媒としては、大環状化合物をカーボンブラックなどの電子伝導性炭素担体表面に担持し、炭化させた炭素触媒(特許文献9、10、11)も報告されている。しかし、いずれの方法においても、充分な触媒活性を有する触媒の提案には至っていない。
特開2011−6283号公報 特開2010−275116号公報 特開2011−6282号公報 特許第4452887号公報 特開2010−275115号公報 特開2011−6280号公報 特開2011−6293号公報 特開2013−158675号公報 特許第4461427号公報 特開2006−314871号公報 国際公開第2009/124905号パンフレット
本発明が解決しようとする課題は、コスト、資源量などの観点より使用量低減が求められる貴金属触媒の代替として、触媒活性要因の一つとして報告されている窒素元素を触媒表面に供給するための窒素源と、金属源とを炭素材料表面上に効果的に処理し、それらを含む前駆体を熱処理し炭化させることで得られる炭素触媒、及びその製造方法、並びに該触媒を用いた燃料電池を提供することにある。
すなわち本発明は、グラフェン系炭素材料と、酸性官能基および金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体と、鉄を含む金属源とを、含む混合物を溶剤中で混合する工程と、その後溶剤を乾燥させた混合物を、700〜1100℃で熱処理する工程とを含むことを特徴とする、窒素に対する金属の元素比が0.7〜2.1の範囲内である炭素触媒の製造方法に関する。
又、本発明は、酸性官能基が、スルホ基、カルボキシ基又はリン酸基のいずれかである前記炭素触媒の製造方法に関する。
又、本発明は、前記金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体が、金属フタロシアニン顔料誘導体である前記炭素触媒の製造方法に関する。
また、本発明は、前記窒素含有顔料誘導体に含まれる金属元素が、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、バナジウムおよびスズから選ばれる一種以上である前記炭素触媒の製造方法に関する。
又、本発明は、溶剤中で混合する工程の際に、分散樹脂を含むことを特徴とする前記炭素触媒の製造方法に関する。
本発明により、炭素触媒の触媒活性要因として報告されている窒素元素、並びに触媒活性点形成や炭素触媒の細孔構造発達に寄与する金属元素を、様々な結合状態で含んだ有機・無機化合物を窒素源・金属源として用いることで、担持面積の大きい炭素材料の表面に効率的に処理することができ、炭素触媒の表面に多くの触媒活性サイトを導入可能となった。また、窒素元素の結合状態の異なる有機化合物を複数同時に用いたり、金属源、炭素材料を効果的に選定したりすることで、得られる炭素触媒の触媒活性も制御可能となった。
図1は適用例として本発明の炭素触媒を電極触媒に適用した固体高分子形燃料電池の構成を示す図である。
本発明における炭素触媒は炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体とを、含む混合物および、
炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有しない窒素含有顔料誘導体と、金属源とを、含む混合物の熱変性物で構成される。
炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体とを、含む混合物および、
炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有しない窒素含有顔料誘導体と、金属源とを含む混合物を、溶剤中で分散・混合することで、炭素材料表面に前記窒素含有顔料誘導体や金属源を効率的に処理でき、本発明の炭素触媒活性における触媒活性サイトの要因と考えられる窒素元素及び金属元素、炭素触媒表面に効果的に導入可能となる。
更に、本発明における炭素触媒は、前駆体として樹脂成分、有機顔料、貴金属元素を含有しない大環状化合物、又は天然材料なども含有可能であり、それらを含んだ状態で熱処理することで、より複雑な熱分解挙動を示し、顔料誘導体由来の窒素元素や金属元素なども残存しやすくなり、炭素触媒の原料として使用可能となる。
<塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体>
本発明における塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体としては、塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体が挙げられる。上記のうち有機色素誘導体又は、アントラキノン誘導体を使用する上では、炭素化後の窒素の残りやすさから、官能基や末端以外の骨格内に窒素を含有する窒素含有有機色素誘導体又は、窒素含有アントラキノン誘導体が好ましい場合がある。
以下に、具体的な例を示す。
一般式(1):

一般式(1)において、
は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、又は−X−Y−X−であり、
は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
は、−NH−、又は−O−であり、
は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
Pは、下記一般式(2)で示される置換基、下記一般式(3)で示される置換基、又は下記一般式(4)で示される置換基であり、
Qは、−O−R、−NH−R、ハロゲン基、−X−R、下記一般式(2)で示される置換基、下記一般式(3)で示される置換基、又は下記一般式(4)で示される置換基であり、
は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアリール基であり、
は、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、置換若しくは未置換の芳香族環残基、又は下記一般式(5)で示される基であり、
は、1〜4の整数である。
一般式(2):
一般式(3):
一般式(4):
一般式(2)〜(4)において、
は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、−CH−、又は−X−Y−X−であり、
は、−NH−、又は−O−であり、
は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、又は−CH−であり、
は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
vは、1〜10の整数であり、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアリール基である。ここで、R とRとで一体となって、更なる窒素、酸素、又は硫黄原子を含む、置換若しくは未置換の複素環残基であり、
、R 、R 、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基であり、
は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基である。
一般式(5):

一般式(5)において、
Tは、−X−R10、又はWであり、
Uは、−X−R11、又はWであり、
、及びWは、それぞれ独立に、−O−R20、−NH−R20、ハロゲン基、一般式(2)で示される置換基、一般式(3)で示される置換基、又は一般式(4)で示される置換基であり、
20は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基であり、
は、−NH−、又は−O−であり、
、及びXは、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、又は−CHNHCOCHNH−であり、
は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
10、及びR11は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、又は、置換若しくは未置換の芳香族環残基である。
、R10、及びR11で表される有機色素残基の具体例として、ジケトピロロピロール系色素: アゾ、ジスアゾ、及びポリアゾ等のアゾ系色素: フタロシアニン系色素: ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、及びビオラントロン等のアントラキノン系色素: :キナクリドン系色素: ジオキサジン系色素: ペリノン系色素: ぺリレン系色素: チオインジゴ系色素: イソインドリン系色素: イソインドリノン系色素: キノフタロン系色素: スレン系色素:並びに、金属錯体系色素が挙げられる。
、R10、及びR11で表される複素環残基及び芳香族環残基の具体例として、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基、及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、置換若しくは未置換のアリール基、又はR とRとで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換基を有してもよい複素環残基である。
、Y、及びYは、それぞれ独立に、炭素数20以下の置換若しくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基、又はアリーレン基を表すが、好ましくは置換若しくは未置換のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
一般式(6)

一般式(6)において、
Zは、下記一般式(7)で示される置換基、下記一般式(8)で示される置換基、又は下記一般式(9)で示される置換基であり、
は、1〜4の整数であり、
12は、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、又は、置換若しくは未置換の芳香族残基である。
一般式(7):

一般式(8):

一般式(9):


一般式(7)〜(9)において、
10は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、−CH−、又は−X11−Y−X12−であり、
11は、−NH−、又は−O−であり、
12は、直接結合、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CHNHCONHCH−、又は−CH−であり、
は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
は、1〜10の整数であり、
13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、置換若しくは未置換のフェニル基である。ここで、RとRとで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む置換若しくは未置換の複素環残基を形成してもよい。
15 、R16 、R17 、及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基であり、
19は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基である。
12で表される有機色素残基の具体例として、ジケトピロロピロール系色素: アゾ、ジスアゾ、及びポリアゾ等のアゾ系色素: フタロシアニン系色素: ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、及びビオラントロン等のアントラキノン系色素: キナクリドン系色素: ジオキサジン系色素: ペリノン系色素: ペリレン系色素: チオインジゴ系色素: イソインドリン系色素: イソインドリノン系色素: キノフタロン系色素: スレン系色素: 並びに、金属錯体系色素等が挙げられる。
12で表される複素環残基及び芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、アントラキノン、及びアクリドン等が挙げられる。これらの複素環残基及び芳香族環残基は、アルキル基(メチル基、エチル基、及びブチル基等)、アミノ基、アルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、及びジブチルアミノ基等)、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、及びブトキシ基等)、ハロゲン(塩素、臭素、及びフッ素等)、フェニル基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)、並びに、フェニルアミノ基(アルキル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、及びハロゲン等で置換されていてもよい)等の置換基を有していてもよい。
13 、及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、置換若しくは未置換のフェニル基、又はR13 とR14とで一体となって更なる窒素、酸素、若しくは硫黄原子を含む、置換若しくは未置換の複素環残基である。
一般式(2)〜(4)、並びに一般式(6)〜(9)で示される置換基を形成するために使用されるアミン成分の具体例として、以下が挙げられる。
ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニコペチン酸メチル、イソニコペチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、及び1−シクロペンチルピペラジン等。
上記で例示された塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体の中では、原料の炭素材料の分散性に加え、色素骨格の堅牢性から炭素化後であっても効果的に活性点構造を残しやすい、一般式(6)においてR12で示される有機色素残基として、中心に金属を含有するフタロシアニン系色素が含まれる、金属フタロシアニン顔料誘導体であることが好ましい。
本発明の塩基性官能基を有する有機色素誘導体、塩基性官能基を有するアントラキノン誘導体、塩基性官能基を有するアクリドン誘導体、又は塩基性官能基を有するトリアジン誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではなく、周知の方法を適用することができる。例えば、特開昭54−62227号公報、特開昭56−118462号公報、特開昭56−166266号公報、特開昭60−88185号公報、特開昭63−305173号公報、特開平3−2676号公報、又は特開平11−199796号公報等に記載されている方法を適用することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部に組み込むものとする。
塩基性官能基を有する各種誘導体は、例えば、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに、下記一般式(10)〜(13)で示される置換基を導入した後、これら置換基と、アミン成分とを反応させることによって、合成することができる。
一般式(10):
−SOCl
一般式(11):
−COCl
一般式(12):
−CHNHCOCHCl
一般式(13):
−CHCl
上記アミン成分としては、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミン、若しくは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を使用することができる。
又、例えば、一般式(10)で示される置換基を導入する場合には、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンをクロロスルホン酸に溶解して、塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる。その際、反応温度、反応時間等の条件を調整することによって、有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンに導入する一般式(10)で示される置換基の数をコントロールすることができる。
又、一般式(11)で示される置換基を導入する場合には、まずカルボキシ基を有する有機色素、アントラキノン、若しくはアクリドンを公知の方法で合成した後、ベンゼン等の芳香族溶媒中で塩化チオニル等の塩素化剤を反応させる方法等が挙げられる。
一般式(10)〜(13)で示される置換基とアミン成分との反応時には、一般式(10)〜(13)で示される置換基の一部が加水分解して、塩素がヒドロキシ基に置換することがある。その場合、一般式(10)で示される置換基はスルホ基となり、一般式(11)で示される置換基はカルボキシ基となる。各々の酸基は、いずれも遊離酸のままでよい。又は、それぞれ、1〜3価の金属若しくは、上記のアミンと塩を形成していてもよい。
又、有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(7)〜(9)、又は下記一般式(14)で示される置換基を予めジアゾ成分又はカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによってアゾ系有機色素誘導体を製造することもできる。
一般式(14):
一般式(14)において、
13は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、又は−X14−Y−X15−であり、
14は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
15は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
は、一般式(2)で示される置換基、一般式(3)で示される置換基、又は一般式(4)で示される置換基であり、
は、−O−R24、−NH−R24、ハロゲン基、−X−R25、一般式(2)で示される置換基、一般式(3)で示される置換基、又は一般式(4)で示される置換基であり、
24は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は置換若しくは未置換のアリール基であり、
25は、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、置換若しくは未置換の芳香族環残基、又は一般式(5)で示される基である。
又、塩基性官能基を有するトリアジン誘導体は、例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(7)〜(9)、又は一般式(14)で示される置換基を形成するアミン成分(例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、若しくはN−メチルピペラジン等)を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミン又はアルコール等を反応させることによって得られる。
塩基性官能基を有する各種誘導体は、酸性化合物と組み合わせて使用することも可能である。酸性化合物としては、カルボン酸、スルホン酸、又はリン酸等のいずれかの酸性官能基を有する樹脂、無機酸、又は分子量300以下の有機酸などが挙げられる。
本発明における、塩基性官能基を有する各種誘導体の具体的な例を表1に示す。
表1


<酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体>
本発明における酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体としては、酸性官能基を有する有機色素誘導体、及び酸性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体が挙げられる。
上記のうち有機色素誘導体又は、アントラキノン誘導体を使用する上では、炭素化後の窒素の残りやすさから、官能基や末端以外の骨格内に窒素を含有する窒素含有有機色素誘導体又は、窒素含有アントラキノン誘導体が好ましい場合がある。
酸性官能基としては、スルホ基(−SOH)、カルボキシ基(−COOH)又はリン酸基(−P(=O)(OH))が、酸性度や汎用性の面から好ましい。
一般式(15):

一般式(15)において、
101は、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、又は−X103−Y101−X104−であり、
102、及びX104は、それぞれ独立に、−NH−、又は−O−であり、
103は、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
101は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、 Z101は、−SO101(スルホ基)、−COOM101(カルボキシ基)、又は−P(O)(−OM101(リン酸基)であり、
101は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
101は、−O−R102、−NH−R102、ハロゲン基、−X101−R101、又は−X102−Y101−Z101であり、
102は、水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は、置換若しくは未置換のアルケニル基であり、
101は、1〜4の整数であり、
101は、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、置換若しくは未置換の芳香族環残基、又は下記一般式(16)で表される基である。
一般式(16):
一般式(16)において、
201は、−NH−、又は−O−であり、
202、及びX203は、それぞれ独立に、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、又は−CHNHCOCHNH−であり、
201、及びR202は、それぞれ独立に、有機色素残基、置換若しくは未置換の複素環残基、置換若しくは未置換の芳香族環残基、又は−Y201−Z201であり、
201は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
201は、−SO201、−COOM201、又は−P(O)(−OM201であり、
201は、1〜3価のカチオンの一当量である。
101、R201及びR202で表される有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又金属錯体系色素等が挙げられる。
101、R201及びR202で表される複素環残基および芳香族環残基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンズチアゾール、ベンズトリアゾール、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、ベンゼン、ナフタリン、アントラセン、フルオレン、フェナントレン、又はアントラキノン等が挙げられる。
101及びY201は、炭素数20以下の置換若しくは未置換のアルキレン基、アルケニレン基またはアリーレン基を表すが、好ましくは置換若しくは未置換のフェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、又は炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。
101中に含まれるR102で表される置換若しくは未置換のアルキル基、アルケニル基は、好ましくは炭素数20以下のものであり、更に好ましくは炭素数が10以下の側鎖を有していてもよいアルキル基が挙げられる。置換基を有しているアルキル基又はアルケニル基とは、アルキル基又はアルケニル基の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、若しくは臭素原子等のハロゲン基、ヒドロキシ基、又はメルカプト基等で置換されたものである。
101及びM201は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。また、分散剤構造中にMを2つ以上有する場合、Mはプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、一般式(17)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(17):
一般式(17)において、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基のいずれかである。
301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般式(18):

一般式(18)において、
401、直接結合、−NH−、−O−、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−CHNHCOCHNH−、−X402−Y−、又は−X402−Y−X403−であり、
402は、−CONH−、−SONH−、−CHNH−、−NHCO−、又は−NHSO−であり、
403は、−NH−、又は−O−であり、
401は、炭素数1〜20で構成された、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基であり、
401は、−SO401、−COOM401、又は−P(O)(−OM401であり、
401は、1〜3価のカチオンの一当量であり、
401は、有機色素残基であり、
401は、1〜4の整数である。
401で表させる有機色素残基としては、例えばジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素等が挙げられる。Rで表させる有機色素残基には、一般的には色素と呼ばれていない淡黄色のアントラキノン残基を含む。
401は、1〜3価のカチオンの一当量を表し、例えば、水素原子(プロトン)、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかを表す。また、分子構造中にMを2つ以上有する場合、M401はプロトン、金属カチオン、又は4級アンモニウムカチオンのいずれかひとつのみでも良いし、これらの組み合わせでも良い。
金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、又はコバルト等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオンとしては、下記一般式(17)で示される構造を有する単一化合物または、混合物である。
一般式(19):
一般式(19)において、R301、R302、R303、及びR304は、水素、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のアルケニル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基のいずれかである。
301、R302、R303、及びR304は、それぞれ同一でもよいし、異なっていてもよい。また、R301、R302、R303、及びR304が、炭素原子を有する場合、炭素数は1〜40、好ましくは1〜30、更に好ましくは1〜20である。
4級アンモニウムの具体例としては、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジヒドロキシエチルアンモニウム、2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルアミノプロピルアンモニウム、ラウリルアンモニウム、又はステアリルアンモニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記で例示された酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体の中では、原料の炭素材料の分散性に加え、色素骨格の堅牢性から炭素化後であっても効果的に活性点構造を残しやすい一般式(18)においてR401で示される有機色素残基として、中心に金属を含有するフタロシアニン系色素が含まれる金属フタロシアニン顔料誘導体であることが好ましい。
本発明における酸性官能基を有する有機色素誘導体、及び酸性官能基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる1種以上の誘導体の合成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特公昭39−28884号公報、特公昭45−11026号公報、特公昭45−29755号公報、特公昭64−5070号公報、又は特開2004−217842号公報等に記載されている方法で合成することができる。上記公報による開示を参照することにより、本明細書の一部として組み込むものとする。
本発明における、酸性官能基を有する各種誘導体の具体的な例を表2に示す。
表2

<有機顔料>
本発明における炭素触媒の製造方法において用いられる有機顔料としては、印刷インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用レジストインキ等に使用される種々の顔料が挙げられる。このような顔料としては溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアンスラキノニル顔料、アンスラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ピランスロン顔料、ジケトピロロピロール顔料等があり、上記貴金属元素を含有しない大環状化合物としてはフタロシアニン顔料が該当する。更に具体的な例をカラーインデックスのジェネリックネームで示すと、ピグメントブラック1,31,32、ピグメントブラウン5,23,25,41、ピグメントブルー1,6,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,17:1,24,24:1,25,26,56,60,61,62,63,75,79,80、ピグメントグリーン1,4,7,8,10,36、ピグメントバイオレット1,2,3,3:1,3:3,5:1,13,19,23,25,27,29,31,32,36,37,38,42,50、ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,21,22,23,31,32,38,41,48,49,52,53,54,57:1,58,60:1,63,64:1,68,81:1,83,88,89,95,112,114,119,122,123,144,146,147,149,150,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,181,184,185,187,188,190,193,194,200,202,206, 207,208,209,210,211,213,214,216,220,221,224,226,238,242,245,247,248,251,253,254,255,256,257,258,260,264,266,268,269,272,279、ピグメントオレンジ1,2,3,4,5,13,15,16,17,19,31,34,36,37、38,40,43,46,48,49,51,60,61,62,64,65,66,67,68,69,71,72,73,74,81、ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,9,10,12,13,14,15,16,17,24,49,55,60,61,62,63,65,73,74,75,77,81,83,87,93,94,95,97,98,99,100,101,104,105,106,108,109,110,111,113,114,116,117,120,123,124,126,127,128,129,130,133,138,139,150,151,152,153,154,155,167,168,169,170,172,173,175,176,179,180,181,182,183,185,191,193,194,199,213,214,219等が挙げられる。
しかし、有機顔料は、上記例示には限定されるものでない。中でも、窒素元素を含んだ複素環を1分子中に多数持つフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ジオキサジン顔料等は、炭素材料表面に効率的に触媒活性要因となる金属元素や窒素元素を導入しやすくなるためより好ましい。
<貴金属元素を含有しない大環状化合物>
本発明における炭素触媒の製造方法において用いられる貴金属元素を含有しない大環状化合物としては、中心金属がコバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズ、アルミニウム、マグネシウムから選ばれる一種であり、それらに有機系配位子が結合したフタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物が挙げられる。また、貴金属元素を含有しない大環状化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基を導入されていても問題ない。中でも、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物、銅フタロシアニン系化合物は、安価で、高い酸素還元活性も有することで知られていることから、それらより合成した炭素触媒は、安価で高い酸素還元活性を有する炭素触媒となるため原料としてより好ましい。
ちなみに、大環状化合物とは、9又はそれ以上の原子(全てが異原子である場合を含む)、及び、3又はそれ以上の結合原子を有する化合物と定義されている(Coordination Chemistry of Macrocyclic Compounds, G.A.Melson, Plenum Pres, New York & London, 1979)。本発明において、大環状化合物とは、基本骨格の中に4個の窒素原子が平面上に並んだN4構造を有するものをいい、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物などが該当する。
<炭素材料>
本発明における炭素材料は炭素触媒の製造方法において用いられる窒素源及び金属源を高分散担持させ、過度の熱分解や活性要因となる窒素元素の脱離を抑制するための、担体としての役割を果たす。そのため、担持面積が大きく、熱的に安定な炭素材料が好ましい。炭素材料のBET比表面積が10〜2000m/gであると窒素源及び金属源を担持するための面積を確保でき好ましく、200〜1500m/gがより好ましい。また、窒素源や金属源をより安定化させる目的で、炭素材料の表面に官能基など導入し、窒素源及び金属源と炭素材料表面で物理・化学結合を形成させても良い。
炭素材料としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択する。
市販の炭素材料としては、例えば、
ケッチェンブラックEC−300J、及びEC−600JD等のアクゾ社製ケッチェンブラック:
トーカブラック#4300、#4400、#4500、及び#5500等の東海カーボン社製ファーネスブラック:
プリンテックスL等のデグサ社製ファーネスブラック:
Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULT
RA、Conductex SC ULTRA、975 ULTRA、PUER BLACK100、115、及び205等のコロンビヤン社製ファーネスブラック:
#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、及び#5400B等の三菱化学社製ファーネスブラック:
MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、及びBlackPearls2000等のキャボット社製ファーネスブラック:
Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、及びSuperP−Li等のTIMCAL社製ファーネスブラック:
デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35等の電気化学工業社製アセチレンブラック:
VGCF、VGCF−H、VGCF−X等の昭和電工社製カーボンナノチューブ:
名城ナノカーボン社製カーボンナノチューブ:
xGnP−C−750、xGnP−M−5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット:
Easy−N社製ナノポーラスカーボン:
クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050グレード等の東洋カーボン社製の多孔質炭素
等が挙げられ、これらに限定されるものではないが、中でもカーボンブラック、グラフェン系材料、カーボンナノチューブは、比表面積が高く、窒素源や金属源などの担持体としての役割を果たしやすくなることに加え、導電性などの特性も優れており好ましい。
<金属源>
本発明における炭素触媒の製造方法において用いられる窒素源および金属源に含まれる金属元素は、それ自身が窒素源と配位し活性点の一つとして報告されている「金属N−4構造」を形成したり、活性点形成を補助したり、炭素触媒の細孔構造を発達させるといった役割を果たす。そのため、窒素源となる窒素含有顔料誘導体に金属元素を含まない場合には、金属源を別に添加することが好ましい。金属源としては、卑金属元素を含有している材料であれば良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において特に限定されない。例えば、色素、ポリマー等の有機化合物、金属単体、金属酸化物、金属塩等の無機化合物が挙げられる。卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、スズ、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、及びマグネシウムから選ばれる一種以上を含有することが好ましく、コバルト、鉄、ニッケル、銅がより好ましい。
<樹脂成分>
本発明における炭素触媒の製造方法において用いられる樹脂成分としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等が挙げられる。又、これらの樹脂の変性体、混合物、又は共重合体であっても良い。
具体的には、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、及びビニルピロリドン等を構成単位として含む共重合体が挙げられる。
<天然材料>
本発明における炭素触媒の製造方法において用いられる天然材料としては、未変性又は変性の、多糖類、天然ワックス、天然樹脂、および植物油からなる群から選ばれる天然材料等が挙げられる。
<炭素触媒>
本発明における炭素触媒は、比表面積が大きく、電子伝導性が高いほど好ましい。酸素の還元反応は炭素触媒の表面で起こるため、比表面積が大きいほど、酸素とプロトンの反応場が多くなり、触媒活性の向上に繋がるため好ましい。また、電子伝導性が高いほど、電極中における酸素還元反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすく、好ましい。また、触媒表面の窒素量が多いほど表面の活性点の数が多くなりやすいため好ましく、更に窒素がピリジン型窒素を主とした末端窒素であるとより好ましい。
本発明における炭素触媒は、含有する窒素に対する金属の元素比が、0.05〜5の範囲にあると好ましい。
窒素に対する金属の元素比が上記範囲にあると、活性点形成段階において、金属が炭素の結晶化促進、細孔の発達、エッジの生成等の炭素化触媒として効果的に作用することで活性点の数や質を向上させることが期待できる。更に、酸素還元触媒反応段階においても、金属種が、主に窒素由来の活性点で生成する過酸化水素の還元触媒として作用することで、効果的に水までの還元(四電子還元)を促進させることが期待できるため好ましい。
更に、上述の触媒作用に対する機能が強いため、含有する金属としては、コバルト及び/又は、鉄が好ましい。
<炭素触媒の製造方法>
本発明における炭素触媒の製造方法としては、炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体が混合された前駆体および、
炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、金属元素を含有しない窒素含有顔料誘導体と、金属源とを含む前駆体を作製する工程と、前記前駆体を熱処理する工程とを含む方法が挙げられる。
前駆体を作製する方法としては、炭素材料と、基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の窒素含有顔料誘導体と、金属源と、をそれぞれ単独で用いる場合もあるが、それぞれ2種類以上を用いても良い。上記窒素含有顔料誘導体が卑金属元素を含有する場合は、金属源を別に添加しなくても良い場合もある。また、上記材料の他に、有機顔料、貴金属元素を含有しない大環状化合物、樹脂成分、又は天然材料などと併用する場合もある。2種類以上の成分を混合または複合化させる場合は溶剤中での湿式処理で行い、混合装置としては、以下のような湿式処理機が使用できる。
湿式処理機としては、例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類:
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類:
ペイントシェーカー(レッドデビル社製、ミツワテック社製「スキャンデックス」等)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機:
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機:
又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式処理機としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
又、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な分散剤を一緒に添加し、分散、混合することができる。
分散剤としては、顔料誘導体、界面活性剤、分散樹脂など特に限定されないが、分散樹脂は各原料の分散性を向上させるだけでなく、材料の効果的な選定で、焼成後の炭素触媒の表面構造を制御する役割も果たすことが出来るため好ましい。
又、湿式混合の場合、湿式処理機を用いて作製した分散体を乾燥させる工程が必要となる。この場合、用いる乾燥装置としては、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機、撹拌乾燥機、凍結乾燥機などが挙げられる。
本発明における製造方法では、炭素触媒の原料となる炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、窒素含有顔料誘導体と、金属源と、その他の有機顔料、貴金属元素を含有しない大環状化合物、樹脂成分、又は天然材料などに対して、最適な混合装置又は分散装置を選択することにより、触媒活性の優れた炭素触媒を得ることができる。
更に、前駆体として、炭素材料と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体および酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体からなる群から選ばれる一種以上の、窒素含有顔料誘導体と、金属源に、樹脂成分を併用する場合、有機化合物分散体、又は溶液中でモノマーを重合させ、樹脂成分と炭素材料や有機化合物を複合化させた状態で取り出し、使用することもできる。
次に、炭素材料と、窒素源と、金属源とを含有する混合物は、使用する原料種類や割合などによって異なるものであるが、担体としての役割を果たすためには、炭素材料の質量比が0.1〜0.5であることが好ましい。また、金属源の質量比は窒素源に対して、0.01〜1.0が好ましい。
次に、前記のようにして得られた前駆体を熱処理する工程においては、加熱温度は処理される原料の種類や混合割合によって異なるものであるが、500〜1200℃、好ましくは700〜1100℃であることが好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、通常は1時間から5時間であることが好ましい。
この場合、ある程度高温で熱処理することで、活性点の構造が安定化し、実用的な電池運転条件に耐え得る触媒表面となることが多い。このときの温度は600℃以上であることが好ましい。
更に、熱処理工程における雰囲気に関しては、原料をできるだけ不完全燃焼により炭化させ、窒素元素や金属元素などを炭素材料表面に残存させる必要性があるため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、窒素やアルゴンに水素が混合された還元性ガス雰囲気などが好ましい。また、熱処理時の炭素触媒中の窒素元素量低減を抑制するために、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下で熱処理を行なったり、炭素触媒の表面構造を制御するために、水蒸気、二酸化炭素、低酸素雰囲気下で熱処理したりしても良い。この場合では、雰囲気によっては酸化が進むと金属が酸化物となり粒子成分が凝集しやすくなるため、温度や時間などを適切に選択する必要がある。
また、熱処理工程に関しては、一定の雰囲気及び温度下で、1段階で処理を行う方法だけでなく、一度、不活性ガス雰囲気下、500℃程度の比較的低温で熱処理し、その後、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気下、または賦活ガス雰囲気下で、1段階目を超える温度で熱処理することも可能である。そうすることで、触媒活性サイトとして考えられている窒素元素や金属元素からなる活性サイト部位を、より効率的且つ、多量に残存させられることがある。
更に、本発明における炭素触媒の製造方法において、前記熱処理品を酸で洗浄、及び乾燥し、酸洗浄品を得る工程を含む方法が挙げられる。ここで用いる酸に関しては、少なくとも熱処理品表面に存在する金属を溶出させることができれば、どのような酸でも問題ないが、熱処理品との反応性が低く、金属成分の溶解力が強い濃塩酸や希硫酸などが好ましい。具体的な洗浄方法としては、ガラス容器内に酸を加え、熱処理品を添加し、分散させながら数時間撹拌させた後、静置させ上澄みを除去する方法を取る。そして、上澄み液の着色が確認されなくなるまで上記方法を繰り返し行い、最後に、ろ過、水洗により酸を除去し、乾燥する方法が挙げられる。これらの酸処理は、焼成工程のどの段階に何度行っても良く、原料、温度、時間、及びガス雰囲気などに好適に選択できる。
<触媒インキ>
次に、本発明における炭素触媒を用いた触媒インキについて説明する。
本発明の触媒インキは、炭素触媒、バインダー、溶剤を含むものである。バインダー成分は、プロトン伝導性があり、耐酸化性のある材料が好ましい。炭素触媒、バインダー、溶剤の割合は、特に限定されるものではなく、広い範囲内で適宜選択される。
更に、本発明における触媒インキでは、炭素触媒の溶剤中への濡れ性、分散性を向上させるために、分散剤を用いても良い。
分散剤の含有量は、触媒インキ中の炭素触媒に対し、0.01〜5質量%、好ましくは0.02〜3質量%である。この範囲の含有量とすることにより、炭素触媒の分散安定性を十分に達成できると同時に、炭素触媒の凝集を効果的に防止でき、かつ触媒層表面への分散剤の析出を防止できる。
また、本発明における触媒インキでは、触媒層中の導電パスを増やす、また触媒層界面の接触抵抗を下げるため、導電性炭素材料を添加しても良い。
導電性炭素材料の含有量は、触媒インキ中の炭素触媒に対し、1〜300質量%、好ましくは50〜150質量%である。
触媒インキの調製方法も特に制限はない。調製は、各成分を同時に分散しても良いし、炭素触媒を分散剤のみで分散後、バインダーを添加してもよく、使用する炭素触媒、バインダー、溶剤種により最適化することができる。
溶剤中で炭素触媒とバインダーを分散混合する装置に関しては、特に限定するものではない。
<バインダー>
本発明におけるバインダーとは、炭素触媒などの粒子を結着させるために使用されるものであり、それら粒子を溶媒中へ分散させる効果は小さいものである。
バインダーとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。又、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良く、水溶性の樹脂であっても、水分散型の樹脂であっても良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
通常の燃料電池用触媒層のバインダーとしては、膜中にプロトンを伝導する観点からプロトン伝導性を有するポリマーがより好ましいが、微生物燃料電池の中でも液体電解質が使用される場合にはこの限りではない。
また正極側の触媒層において酸素と水素イオンが反応して生じる水、この余剰水の排水という観点から、撥水性材料がより好ましい場合がある。
<プロトン伝導性ポリマー>
プロトン伝導性ポリマーとしては、親水性官能基を有するバインダーを指し、プロトン伝導度として100%RH、25℃で10−3Scm−1以上を示すものが好ましい。
ここで、親水性官能基としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基等の酸性官能基、水酸基、アミノ基等の塩基性官能基が挙げられるが、プロトン解離性の観点から、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、及び水酸基がより好ましい。
プロトン伝導性を示すポリマーとしては、スルホ基を導入した、オレフィン系樹脂(ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸等)、ポリイミド系樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリベンズイミダゾール系樹脂、及びポリスチレン系樹脂、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン共重合体のスルホン酸ドープ品、パーフルオロスルホン酸系樹脂等のスルホン酸を有する樹脂:
ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等のカルボン酸を有する樹脂:
ポリビニルアルコール等の水酸基を有する樹脂:
ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウム塩、イミダゾール部分で酸と塩形成したポリベンズイミダゾール系樹脂等のアミノ基を有する樹脂:
ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール等の、その他の親水性官能基を有する樹脂が挙げられる。特に、パーフルオロスルホン酸系樹脂は、電気陰性度の高いフッ素原子を導入する事で化学的に非常に安定し、スルホ基の解離度が高く、高いプロトン伝導性が実現できる。このようなプロトン伝導性ポリマーの具体例としては、デュポン社製の「Nafion」(登録商標)等が挙げられる。通常、プロトン伝導性ポリマーは、ポリマーを5〜30質量%程度含むアルコール水溶液として使用される。アルコールとしては、例えば、メタノール、プロパノール、エタノールジエチルエーテル等が使用される。
<撥水性材料>
撥水性材料としては、親水性官能基を有さないバインダーを指し、表面張力が水の表面張力(約72dyn/cm)より低いものが好ましい。例えば、フッ素系樹脂や、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコン樹脂が使用できるが、中でもフッ素系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などが挙げられる。
<溶剤>
溶剤としては、特に限定されるものではない。主溶剤としては、水または水と親和性が高い溶剤が好ましく、特にアルコールが好適に使用できる。このようなアルコールとしては、例えば、沸点80〜200℃程度の1価のアルコールないし多価アルコールが利用でき、好ましくは炭素数が4以下のアルコール系溶剤が挙げられる。具体的には、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノールなどが挙げられる。アルコールは、1種単独で又は2種以上混合して使用される。これらの1価のアルコールの中でも、2−プロパノール、1−ブタノール及びt−ブタノールが好ましい。多価アルコールとしては具体的には、プロトン伝導性を有する樹脂との相溶性、及び触媒インキとした場合の乾燥効率の問題から、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコールなどが好ましく、中でもプロピレングリコールが特に好ましい。
<導電性炭素材料>
導電性炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、カーボンブラック、グラファイト、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、カーボンナノホーン)、グラフェン、グラフェンナノプレートレット、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、触媒層内の抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下が好ましい。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡で測定された粒子径を平均したものである。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
<燃料電池>
燃料電池は使用する電解質により、いくつかのタイプに分類することができ、本発明の炭素触媒は、各種燃料電池に適用可能である。以下、2つのタイプの燃料電池を例として挙げる。
<固体高分子形燃料電池>
図1に固体高分子形燃料電池の概略構成図を示す。固体高分子形燃料電池は、固体高分子電解質4を挟むように、対向配置されたセパレータ1、ガス拡散層2、アノード電極触媒(燃料極)3、カソード電極触媒(空気極)5、ガス拡散層6、及びセパレータ7とから構成される。
固体高分子電解質4としては、パーフルオロスルホン酸樹脂膜を代表とするフッ素系陽イオン交換樹脂膜が用いられる。
また、本発明における製造方法で製造された炭素触媒をアノード電極触媒3及びカソード電極触媒5として、固体高分子電解質4の双方に接触させることにより、アノード電極触媒3及びカソード電極触媒5に炭素触媒を備えた燃料電池が構成される。
上述の炭素触媒を固体高分子電解質の双方の面に形成し、アノード電極触媒3及びカソード電極触媒5を電極反応層側で固体高分子電解質4の両主面にホットプレスにより密着することにより、MEA(Membrane Electrode Assembly)として一体化させる。
最近では、炭素触媒の比表面積が高いことから、炭素触媒にガス拡散層の機能を付与し、ガス拡散層がなくシンプルで安価な構成の燃料電池構成なども提案されていたりする。本発明の炭素触媒は、ガス拡散層として使い方も十分可能である。
上記セパレータ1、7は、燃料ガス(水素)や酸化剤ガス(酸素)などの反応ガスの供給、排出を行う。そして、アノード及びカソード電極触媒3、5に、ガス拡散層2、6を通じてそれぞれ均一に反応ガスが供給されると、両電極に備えられた炭素触媒と固体高分子電解質4との境界において、気相(反応ガス)、液相(固体高分子電解質膜)、固相(両電極が持つ触媒)の三相界面が形成される。そして、電気化学反応を生じさせることで直流電流が発生する。
上記電気化学反応において、
カソード側:O+4H+4e→2H2
アノード側:H→2H+2e
の反応が起こり、アノード側で生成されたHイオンは固体高分子電解質4中をカソード側に向かって移動し、e(電子)は外部の負荷を通ってカソード側に移動する。
一方、カソード側では酸化剤ガス(酸素)と、アノード側から移動してきたHイオン及びeとが反応して水が生成される。この結果、上述の燃料電池は、水素と酸素とから直流電力を発生し、水を生成することになる。
<微生物燃料電池>
微生物燃料電池は、微生物が有機物を嫌気分解する代謝活動から生成される電子を回収しつつ有機物の分解を促進させる電池である。負極には、電子供与微生物が保持されており、有機排水中などに含まれる有機物を利用して代謝を行い、e(電子)およびHイオン(プロトン)を発生させる。正極側では発生したe(電子)およびHイオン(プロトン)を利用した酸素還元反応により発電することができる。
微生物燃料電池の構成としては、電子供与微生物が保持された負極となる導電性支持体と、燃料電池用触媒材料を塗布した正極となる導電性支持体を、有機排水等を含む液槽に差し込んだ一槽型構成や、固体高分子形燃料電池のように、固体高分子膜を利用して、負極槽と正極槽を隔てた二槽型構成でもよい。
正極としては、本発明における微生物燃料電池用触媒インキを導電性支持体に塗布した微生物燃料電池用触媒電極、燃料電池用電極膜接合体も好適に使用することができる。
<微生物燃料電池用電子供与微生物>
微生物燃料電池用の電子供与微生物としては、Shewanella属、Pseudomonas属、Rhodoferax属、Geobacter属等を用いることができる。
<栄養基質>
発電に必要な燃料として使える栄養基質(有機物)としては、触媒となる電子供与微生物が分解できれば特に限定はされず、有機排水や汚泥などに含まれる、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸などのカルボン酸類、グルコースなど単糖類、デンプンやセルロースなどの多糖類、などを好適に利用できる。
<電解質溶液>
電解質溶液としては、電子伝導性がなくプロトン輸送が可能であれば限定されず、特にリン酸塩緩衝液など、中性の緩衝溶液などを好適に利用できる。
なお、本発明における製造方法で製造された炭素触媒の用途は、上記燃料電池用電極触媒に限定するものではなく、金属‐空気電池用電極触媒、排ガス浄化用触媒、水処理浄化用触媒、有機合成用触媒などとして用いることが可能である。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。実施例中、部は質量部、%は質量%を表す。
なお、本明細書において実施例15、16以外の実施例は参考例である。
使用した材料の物性分析は、以下の測定機器を使用した。
・BET比表面積の測定:窒素吸着量測定(日本ベル社製 BELSORP−mini)
・窒素に対する金属元素の元素比の測定(Fe、Co、Ni/Nモル比)
-金属量の測定:ICP発光分光分析装置(スペクトロ社製 SPECTRO AROCOS)
-窒素量の測定:全自動元素分析装置(パーキンエルマー社製 2400II)
使用した炭素材料、金属フタロシアニン顔料誘導体、樹脂型分散剤、金属フタロシアニンの性状を以下に示す。
・グラフェンナノプレートレットxGnP−C−750(XGscience社製:比表面積670m/g)(GNP)
・ケッチェンブラックEC−600JD(ライオン社製:比表面積1200m/g)(KB)
・カーボンナノチューブVGCF−H(昭和電工社製:比表面積13m/g)(CNT)
・塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体(F、G)
・酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体(Db、Df、Dh、Dj、Dt、Dw)
:鉄フタロシアニン誘導体FePc−(SONH(日鉄鉱業社製:固形分10%水溶液)(Du)
:銅フタロシアニン誘導体SOLSPERSE12000(日本ルーブリゾール社製)(Dv)
・塩化鉄(II)四水和物(キシダ化学社製)(FeCl
・塩化ニッケル(II)六水和物(キシダ化学社製)(NiCl
・鉄(III)アセチルアセトナート(関東化学社製)(Fe(acac)
・樹脂型分散剤ジョンクリルJDX−6500(BASFジャパン社製:固形分30%水溶液)(JDX−6500)
・樹脂型分散剤PVP K-90(ISPジャパン社製)(PVP)
・鉄フタロシアニンP-26(山陽色素社製)(FePc)
酸素還元活性評価に使用した導電性炭素材料を以下に示す。
・HS−100(電気化学工業社製:比表面積39m/g)
[調製例1:塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体((塩基性顔料誘導体(I))]
メタノール300部中にp−アミノアセトアニライド20部と塩化シアヌル25部を仕込み、20℃以下で2時間反応させ、次いでN,N−ジブチルアミノエチルアミン46部を仕込み、2時間加熱還流した。次いで、塩酸100部を加え加水分解させた後、メタノールを留去し、水酸化ナトリウム40部、水1000部を加え、濾過、水洗、乾燥し、塩基性顔料誘導体(I)を得た。
[実施例1:炭素触媒(1)]
ガラス瓶にイオン交換水60部と、鉄フタロシアニン誘導体(Du)(固形分10%水溶液)33.7部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.7部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(1)を得た。
[実施例2:炭素触媒(2)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(2)を得た。
[実施例3:炭素触媒(3)]
ガラス瓶にイオン交換水86.4部と、塩化鉄(II)四水和物0.17部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)2.7部、樹脂型分散剤ジョンクリル(固形分:30%水溶液)5.4部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット5.5部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(3)を得た。
[実施例4:炭素触媒(4)]
ガラス瓶にメタノール90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体((塩基性顔料誘導体(I))3.2部を秤量し均一な溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(4)を得た。
[実施例5:炭素触媒(5)]
ガラス瓶にイオン交換水86.4部と、塩化鉄(II)四水和物0.17部、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体((塩基性顔料誘導体(I))2.7部、樹脂型分散剤PVP1.6部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット5.5部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(5)を得た。
[実施例6:炭素触媒(6)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、1000℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(6)を得た。
[実施例7:炭素触媒(7)]
ガラス瓶にイオン交換水60部と、鉄フタロシアニン誘導体(Du)(固形分10%水溶液)33.7部を秤量し均一な水溶液を作製後、ケッチェンブラック6.7部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(7)を得た。
[実施例8:炭素触媒(8)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、ケッチェンブラック6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(8)を得た。
[実施例9:炭素触媒(9)]
ガラス瓶にイオン交換水60部と、鉄フタロシアニン誘導体(Du)(固形分10%水溶液)33.7部を秤量し均一な水溶液を作製後、カーボンナノチューブ6.7部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(9)を得た。
[実施例10:炭素触媒(10)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、カーボンナノチューブ6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(10)を得た。
[実施例11:炭素触媒(14)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、酸性官能基を有する窒素含有顔料誘導体(Dt)3.3部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.7部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(14)を得た。
[実施例12:炭素触媒(15)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化ニッケル(II)六水和物0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(15)を得た。
[実施例13:炭素触媒(16)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、鉄(III)アセチルアセトナート0.2部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(16)を得た。
[実施例14:炭素触媒(17)]
ガラス瓶にイオン交換水90.17部と、塩化鉄(II)四水和物0.03部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(17)を得た。
[実施例15:炭素触媒(18)]
ガラス瓶にイオン交換水87.6部と、塩化鉄(II)四水和物2.6部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(18)を得た。
[実施例16:炭素触媒(19)]
ガラス瓶にイオン交換水79.64部と、塩化鉄(II)四水和物10.56部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(19)を得た。
[実施例17:炭素触媒(20)]
ガラス瓶にイオン交換水58.52部と、塩化鉄(II)四水和物31.68部、銅フタロシアニン誘導体(Dv)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(20)を得た。
[実施例18:炭素触媒(21)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体(F)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(21)を得た。
[実施例19:炭素触媒(22)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体(G)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(22)を得た。
[実施例20:炭素触媒(23)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、酸性官能基有する窒素含有顔料誘導体(Db)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(23)を得た。
[実施例20:炭素触媒(24)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、酸性官能基有する窒素含有顔料誘導体(Dh)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(24)を得た。
[実施例22:炭素触媒(25)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、酸性官能基有する窒素含有顔料誘導体(Dw)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(25)を得た。
[実施例23:炭素触媒(26)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、酸性官能基有する窒素含有顔料誘導体(Df)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(26)を得た。
[実施例24:炭素触媒(27)]
ガラス瓶にイオン交換水90部と、塩化鉄(II)四水和物0.2部、酸性官能基有する窒素含有顔料誘導体(Dj)3.2部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.6部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(27)を得た。
[比較例1:炭素触媒(11)]
鉄フタロシアニン誘導体(Du)(固形分10%水溶液)をロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(11)を得た。
[比較例2:炭素触媒(12)]
ガラス瓶にメタノール90部と、塩基性官能基を有する窒素含有顔料誘導体((塩基性顔料誘導体(I))3.3部を秤量し均一な水溶液を作製後、グラフェンナノプレートレット6.7部を加え、更にメディアとしてジルコニアビーズを添加した後に、ペイントシェーカー(ミツワテック社製:スキャンデックス SK450)で分散し、前駆体混合ペーストを得た。この前駆体混合ペーストをロータリーエバポレータにて減圧留去し、得られた固形分を乳鉢で細かく粉砕し、均一な前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(12)を得た。
[比較例3:炭素触媒(13)]
鉄フタロシアニンとケッチェンブラックを、質量比1:1で秤量し、乳鉢にて乾式混合し、前駆体粉末を得た。得られた前駆体粉末を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、800℃で2時間炭化処理を行い、炭素触媒(13)を得た。
前駆体に使用した原料種と、各前駆体から得られた炭素触媒の金属/N比を表4に示す。
<炭素触媒の酸素還元活性評価>
実施例1〜24及び、比較例1〜3で得た炭素触媒(1)〜(27)をそれぞれグラッシーカーボン上に分散させた電極を用いて、酸素還元活性評価を行なった。評価方法は以下の通りである。
<酸系電解液における評価>
(1)インキ化方法
炭素触媒0.01部と、導電性炭素材料0.01部を秤量し、バインダーとしてナフィオン(デュポン社製)ならびに溶剤として、水、1−プロパノールおよびエタノールからなる混合溶液0.98部(水/1−プロパノール/エタノール/ナフィオン=45%/48%/2%/5%)に添加したあと、超音波(45kHz)で60分間分散処理を行ない炭素触媒インキとした。
(2)作用電極作製方法
回転電極(グラッシーカーボン電極の半径0.2cm)表面を鏡面に研磨したあと、電極表面に上記炭素触媒インキ1.5μLを滴下し、25℃飽和水蒸気圧下で15時間乾燥させることにより作用電極を作製した。
(3)LSV(リニアスイープボルタンメトリ)測定
上記で作製した作用電極と、対極(白金)、参照電極(可逆水素電極 RHE)が取り付けられた電解槽に電解液(0.1M過塩素酸水溶液)を入れ、酸素還元活性試験を行なった。
酸素還元活性度合いの指標となる酸素還元開始電位は、電解液中に酸素でバブリングを行ったあと、酸素雰囲気下、作用電極を2000rpmで回転させ、25℃でLSV測定を行なった。ちなみに、電解液中にアルゴンでバブリングを行なったあと、アルゴン雰囲気下でLSV測定を行なった数値をバックグランドとした。
酸素還元開始電位は、電流密度が−50μA/cm到達時点の電位を読み取った。酸素還元開始電位は、その電位が高いほど酸素還元活性が高いことを示すものである。評価結果を表4に示す。
標準サンプルとして、白金担持カーボン(白金担持率30質量%)の酸素還元活性度合いを上記評価方法で行なったところ、酸素還元開始電位は0.90V(vsRHE)であった。
<アルカリ系電解液における評価>
(1)インキ化方法
触媒0.01部と、導電性炭素材料0.01部を秤量し、溶剤として、水、プロパノールおよびエタノールからなる混合溶液(水/1−プロパノール/エタノール=50%/48%/2%)0.98部に添加したあと、超音波(45kHz)で60分間分散処理を行ない炭素触媒インキとした。
(2)作用電極作製方法
回転電極(グラッシーカーボン電極の半径0.2cm)表面を鏡面に研磨したあと、電極表面に上記炭素触媒インキ1.5μLを滴下し、25℃飽和水蒸気圧下で15時間乾燥させることにより作用電極を作製した。
(3)LSV(リニアスイープボルタンメトリ)測定
上記で作製した作用電極と、対極(白金)、参照電極(Ag/AgCl)が取り付けられた電解槽に電解液(0.1M水酸化カリウム水溶液)を入れ、酸素還元活性試験を行なった。
酸素還元活性度合いの指標となる酸素還元開始電位は、電解液中に酸素でバブリングを行ったあと、酸素雰囲気下、作用電極を2000rpmで回転させ、25℃でLSV測定を行なった。ちなみに、電解液中にアルゴンでバブリングを行なったあと、アルゴン雰囲気下でLSV測定を行なった数値をバックグランドとした。
酸素還元開始電位は、電流密度が−50μA/cm到達時点の電位を読み取り、可逆水素電極(RHE)を基準とした電位に換算して算出した。酸素還元開始電位は、その電位が高いほど酸素還元活性が高いことを示すものである。評価結果を表3に示す。

表3から分かるように、実施例の製造方法で合成した炭素触媒(1)〜(10)、(14)〜(27)は、比較例の製造方法で合成した炭素触媒(11)〜(13)に比べ、酸系、アルカリ系いずれの系でも高い酸素還元活性を有するものであった。
次に、実施例1〜24で得た炭素触媒(1)〜(10)、(14)〜(27)及び、比較例1〜3の炭素触媒(11)〜(13)を用いて、それぞれ触媒インキ及び触媒電極の作製を行い、固体高分子形燃料電池及び微生物燃料電池性能評価を行った。
<固体高分子形燃料電池用触媒インキの調製>
実施例1〜24の炭素触媒(1)〜(10)、(14)〜(27)及び、比較例1〜3の炭素触媒(11)〜(13)12部をそれぞれ秤量し、1−ブタノール48部とナフィオン(Nafion)溶液(デュポン社製:固形分20%水−アルコール混合溶液)40質量部の混合溶液中に添加後、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて撹拌混合することで固体高分子形燃料電池用触媒インキ(1)〜(27)(固形分濃度20質量%、触媒インキ100質量%としたときの炭素触媒とバインダーを合計した割合)を調製した。
<固体高分子形燃料電池カソード用触媒層の作製>
実施例1〜24の固体高分子形燃料電池用触媒インキ(1)〜(10)、(14)〜(27)及び、比較例1〜3の固体高分子形燃料電池用触媒インキ(11)〜(13)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素触媒の目付け量が2mg/cmになるようにテフロン(登録商標)フィルム上にそれぞれ塗布し、大気雰囲気下、95℃で15分間乾燥することにより、ムラのない均一な固体高分子形燃料電池カソード用触媒層(1)〜(27)を作製した。
<固体高分子形燃料電池アノード用触媒層の作製>
ここでは、燃料電池用電極膜接合体の作製に使用する固体高分子形燃料電池アノード用触媒層の作製方法について以下に述べる。
炭素触媒の代わりに、白金触媒担持カーボン4部(田中貴金属社製、白金量46%)、溶剤として1―プロパノール56部、および水20部をディスパー(プライミクス、TKホモディスパー)にて撹拌混合することで触媒ペースト組成物(固形分濃度4%)を調製した。次いで、ナフィオン(Nafion)溶液(デュポン社製:固形分20%水−アルコール混合溶液)20部を添加し、ディスパー(プライミクス製、T.Kホモディスパー)にて撹拌混合することで触媒インキ(固形分濃度8%)を作製した。得られた触媒インキを白金触媒担持カーボンの目付け量が0.46mg/cmになるようにテフロン(登録商標)フィルム上に塗布し、大気雰囲気中70℃の条件で15分間乾燥することにより、固体高分子形燃料電池アノード用触媒層を作製した。
<固体高分子形燃料電池用電極膜接合体の作製>
実施例1〜24、及び比較例1〜3で作製した固体高分子形燃料電池カソード用触媒層(1)〜(27)と、固体高分子形燃料電池アノード用触媒層とを、それぞれ固体高分子電解質膜(Nafion211、デュポン社製、膜厚25.4μm)の両面に密着して、150℃、5MPaの条件で狭持した後、テフロン(登録商標)フィルムを剥離した。次いで、更に両側から電極基材(ガス拡散層GDL、炭素繊維からなるカーボンペーパー、TGP−H−090、東レ(株)製)を密着させ、本発明の固体高分子形燃料電池用電極膜接合体(GDL/触媒層/固体高分子電解質膜/触媒層/GDL)(1)〜(27)を作製した。
<固体高分子形燃料電池(単セル)の作製>
実施例1〜24と比較例1〜3で得られた燃料電池用電極膜接合体(1)〜(27)を2cm角の試料とし、その両側からガスケット2枚、次いでグラファイトプレートであるセパレータ2枚ではさみ、更に両側から集電板を2枚装着して固体高分子形燃料電池(単セル)として作製した。測定はAutoPEMシリーズ「PEFC評価システム」東陽テクニカ社製で実施した。固体高分子形燃料電池運転条件として、温度80℃、相対湿度100%の条件下で、アノード側に水素を300ml/minで流し、カソード側に酸素を300ml/minで流して発電試験を実施した。
<固体高分子形燃料電池(単セル)の評価>
実施例1〜24と比較例1〜3で作製した単セルの電流−電圧特性を測定することにより、電池性能を評価した。
その結果、表3より実施例1〜10で作製した単セルでは、開放電圧は0.80V〜0.88V、短絡電流密度1820〜2320mA/cmであり、実施例11〜24で作製した単セルでは、開放電圧は、0.73〜0.90V、短絡電流密度1710〜2510mA/cmであるのに対し、比較例1〜3で作製した単セルは、開放電圧0.32〜0.70V、短絡電流密度520〜1500mA/cmと実施例に比べて低い結果であった。
<微生物燃料電池用炭素触媒インキの調製>
実施例1〜24の炭素触媒(1)〜(10)、(14)〜(27)及び、比較例1〜3の炭素触媒(11)〜(13)12部をそれぞれ秤量し、1−ブタノール48部とナフィオン(Nafion)溶液(デュポン社製:固形分20%水−アルコール混合溶液(水/1−プロパノール/エタノール=34%/44%/2%)40部の混合溶液中に添加後、ディスパー(プライミクス社製、T.Kホモディスパー)にて撹拌混合することで微生物燃料電池用炭素触媒インキ(1)〜(27)(固形分濃度20質量%、炭素触媒インキ100質量%としたときの炭素触媒とバインダーを合計した割合)を調製した。
<微生物燃料電池用触媒電極の作製>
実施例1〜24の炭素触媒インキ(1)〜(10)、(14)〜(27)及び、比較例1〜3の微生物燃料電池用炭素触媒インキ(11)〜(13)を、ドクターブレードにより、乾燥後の炭素触媒の目付け量が4mg/cm2になるように導電性支持体として炭素繊維からなるカーボンペーパー基材(TGP−H−090、東レ社製)上に塗布し、大気雰囲気中95℃、60分間乾燥して、微生物燃料電池用触媒電極(1)〜(27)を作製した。
<微生物燃料電池>
以下では、本発明の炭素触媒インキより作製した微生物燃料電池用触媒電極を用いて、微生物燃料電池を作製する方法ついて例示する。
30mLの容量を持つ電解槽内で、電子供与微生物として、Shewanella oneidenis MR−1(単一培養、10cells/mL)と水田土壌の混合液を30℃で3日間嫌気的に培養した後、電解質溶液としてKHPO/KHPO(pH7.0)の緩衝溶液を使用し、栄養基質としてグルコースを含む生活排水を2.0gCOD/L/日(COD:化学的酸素要求量)を連続的に流入させた。負極の導電性支持体として、カーボンクロスを、正極としては微生物燃料電池用触媒電極(1)〜(27)をそれぞれ電解槽へ挿入した。
(微生物燃料電池の発電試験)
ポテンショ・ガルバノスタット(VersaSTAT3、Princeton Applied Research社製)を用いて電流−電圧測定を行い、評価したところ、実施例1〜10で作製した微生物燃料電池用触媒電極では、0.13〜0.16W/mであり、実施例11〜24で作製した微生物燃料電池用触媒電極では、0.12〜0.18W/mであるのに対し、比較例1〜3で作製した微生物燃料電池用触媒電極では、0.06〜0.09W/mと実施例に比べて低い結果であった。
以上より、本発明の触媒は酸系、アルカリ系いずれの系でも高い触媒活性を有し、同触媒から作製した固体高分子形燃料電池及び微生物燃料電池は優れた電池性能を有することがわかった。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
1 セパレータ
2 ガス拡散層
3 アノード電極触媒(燃料極)
4 固体高分子電解質
5 カソード電極触媒(空気極)
6 ガス拡散層
7 セパレータ

Claims (5)

  1. グラフェン系炭素材料と、酸性官能基および金属元素を含有する窒素含有顔料誘導体と、鉄を含む金属源とを、含む混合物を溶剤中で混合する工程と、その後溶剤を乾燥させた混合物を、700〜1100℃で熱処理する工程とを含むことを特徴とする、窒素に対する金属の元素比が0.7〜2.1の範囲内である炭素触媒の製造方法。
  2. 酸性官能基が、スルホ基、カルボキシ基又はリン酸基のいずれかである請求項記載の炭素触媒の製造方法
  3. 前記窒素含有顔料誘導体が、金属フタロシアニン顔料誘導体である請求項1または2いずれか記載の炭素触媒の製造方法
  4. 前記窒素含有顔料誘導体に含まれる金属元素が、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、バナジウムおよびスズから選ばれる一種以上である請求項1〜3いずれか記載の炭素触媒の製造方法
  5. 溶剤中で混合する工程の際に、分散樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の炭素触媒の製造方法。
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