JP2019029304A - 電極触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を提供する。【解決手段】電極触媒1は、トリアジン環を含む高分子材料2と、導電性炭素3とを含む。電極触媒において、X線光電子分光法によって観測される398.5eV乃至399.5eVにおける最大ピークのピーク強度(Ip)と、当該最大ピークから1.5eV大きい結合エネルギーにおけるピーク強度(Ig)との強度比Ig/Ipが、0.55以上である。【選択図】図1

Description

本発明は電極触媒に関する。詳細には本発明は、高い耐久性を有し、二次電池や燃料電池に好適に用いることが可能な電極触媒に関する。
電極触媒は、H/O燃料電池をはじめとした電気化学デバイスの電極に幅広く用いられており、化学エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換するための材料として重要である。そして、燃料電池において、式1に示す酸素還元反応はカソード反応として用いられており、式2に示す水素酸化反応はアノード反応として用いられている。
+4H+4e→2HO (式1)
→2H+2e (式2)
現状、これらの反応に対する電極触媒には白金族元素が広く使用されており、その中でも特に白金や白金合金が用いられている。そして、これらの反応を効率的に進行させるために、電極触媒の形態としては、白金や白金合金のナノ粒子を導電性カーボンに担持したものが一般的である。しかしながら、白金族元素は稀少で高価であり、かつ、価格が不安定である。そのため、省資源化の観点、入手安定性を確保する観点、低コスト化の観点などから、白金族元素の使用量を低減することが強く望まれている。
これまで、白金族元素の使用量を低減する方法としては、特許文献1のように、金属錯体をカーボン上に分散させて担持することで、原子の利用効率を高くする方法が知られている。また、特許文献2及び非特許文献1のように、遷移金属と窒素原子とを含む錯体をカーボン上に担持することによって、白金と代替する方法が知られている。
特開2016−203134号公報 特開2006−35186号公報
Rongrong Chen et al., The Journal of Physical Chemistry C, 2009, 113(48), pp 20689-20697
電極触媒としての利用を実用的な観点から見た場合、電極触媒の耐久性は極めて重要である。しかしながら、特許文献1及び2並びに非特許文献1のように、金属錯体をカーボン上に担持した電極触媒は、金属錯体がカーボン上に物理吸着しているだけであるため、このような電極触媒では錯体の脱離等が生じやすい。そのため、このような電極触媒は耐久性が低いという問題があった。なお、非特許文献1では、僅か数十サイクルの測定によって、触媒活性が著しく低下していることが記載されている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の態様に係る電極触媒は、トリアジン環を含む高分子材料と、導電性炭素とを含む。電極触媒において、X線光電子分光法によって観測される398.5eV乃至399.5eVにおける最大ピークのピーク強度(Ip)と、当該最大ピークから1.5eV大きい結合エネルギーにおけるピーク強度(Ig)との強度比Ig/Ipが、0.55以上である。
本発明によれば、金属原子の利用効率を高めつつも、高い耐久性を有することが可能な電極触媒を得ることができる。
本発明の実施形態に係る電極触媒の一例を示す概略図である。 導電性炭素に窒素原子が導入された状態を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る燃料電池の一例を示す概略図である。 実施例1−1及び実施例1−2並びに比較例1−1及び比較例1−2の白金担持窒素含有カーボン材料における窒素(N1s)スペクトルを示すグラフである。 実施例1−1及び実施例1−2並びに比較例1−1及び比較例1−2の白金担持窒素含有カーボン材料における出力電圧保持率と強度比Ig/Ipとの関係を示すグラフである。 実施例1−1及び実施例1−2並びに比較例1−1及び比較例1−2の鉄担持窒素含有カーボン材料における電流密度保持率と強度比Ig/Ipとの関係を示すグラフである。 実施例2の白金担持窒素含有カーボン材料における元素組成比N/Cと、白金1原子当たりのターンオーバー数(TON)との関係を示すグラフである。 実施例3の白金担持窒素含有カーボン材料における元素組成比Pt/Nと、白金1原子当たりのターンオーバー数(TON)との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る電極触媒について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも好ましい例を示すものである。また、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは一例であり、本実施形態を限定する主旨ではない。
本実施形態に係る電極触媒は、トリアジン環を含む高分子材料と、導電性炭素とを含む。つまり、図1に示すように、電極触媒1は、トリアジン環を含む高分子材料2と、高分子材料2を表面に担持する粒子状の導電性炭素3とを含んでいる。
[高分子材料]
電極触媒1において、高分子材料2は、少なくともトリアジン環(C)を含む高分子である。また、高分子材料2は、トリアジン環を含む共有結合性有機構造体であることが好ましい。共有結合性有機構造体は、水素、炭素、窒素、酸素、ホウ素、硫黄などの原子が共有結合のみによって連結して形成された分子である。より具体的には、共有結合性有機構造体は、同一又は異なる複数の芳香族環基が共有結合によって環状の繰返しユニットを形成した構造を有する高分子を意味する。また、共有結合性有機構造体は、当該繰返しユニットが他の1つ以上の繰返しユニットと共有結合により連続して連結された、二次元又は三次元のネットワーク構造を有する高分子も意味する。このような共有結合性有機構造体は、メゾやマイクロサイズの細孔を有する多孔質構造を有するとともに、低密度かつ優れた熱安定性を有する。
電極触媒1に用いられる高分子材料2は、分子内に複数のトリアジン環を有する繰返しユニットよりなる共有結合性有機構造体であることが好ましい。上記のとおり、このような繰返しユニットが隣り合う他の繰返しユニットと共有結合によって連結し、このような構造を連鎖的に反復することによって、共有結合性有機構造体を形成することができる。
高分子材料2は、アリーレン、ヘテロアリーレン、又はヘテロ原子を介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造を有する共有結合性有機構造体であることが好ましい。ここで、「アリーレン」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いてなる二価の官能基を意味する。「ヘテロアリーレン」は、芳香族性を有する複素環式化合物から2個の水素原子を除いてなる二価の官能基を意味する。好ましくは、アリーレンはフェニレンである。好ましくは、ヘテロアリーレンはピリジレンである。当該アリーレン及びヘテロアリーレンは、置換基を有していてもよく、そのような置換基は、特に限定されるものではないが、例えば、アルキル又はハロゲンとすることができる。また、ヘテロ原子としては、硫黄、ホウ素、窒素、リン等を挙げることができ、好ましくは硫黄又は窒素である。
電極触媒1に用いられる高分子材料2は、1nm〜50nmの細孔を有することが好ましい。また、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、当該共有結合性有機構造体は、1nm〜50nmの細孔を有することが好ましい。さらに、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、共有結合性有機構造体は、1000〜20000の範囲の分子量を有することが好ましい。
本実施形態では、高分子材料2に金属が配位することが好ましい。つまり、高分子材料2は、配位結合により金属で修飾することが好ましい。このような金属は特に限定されないが、遷移金属を用いることができる。具体的には、当該金属は、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt及びAuからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。なお、高分子材料2に配位する金属は、一種類であってもよく、複数種であっても構わない。
高分子材料2として共有結合性有機構造体を用いた場合、当該金属は、共有結合性有機構造体を構成する複素芳香環のヘテロ原子と配位結合を形成することで、共有結合性有機構造体と錯形成して存在することができる。そして、共有結合性有機構造体に金属が配位することにより、金属を単原子状に分散させ、金属の表面積を大きくすることができる。さらに、共有結合性有機構造体から導電性炭素3へ高い割合で電子移動することができるため、当該金属の触媒活性を高めることが可能となる。
触媒作用を発現する上述の金属は、高分子材料2に含まれる窒素原子と配位結合を形成することが好ましい。これにより、効率的に金属を単原子状に分散させ、金属の表面積を大きくすることが可能となる。
高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体の代表的な例は、以下の化学式1の構造を有する化合物である。
Figure 2019029304
化学式1の化合物は、後述の実施例で示すように、2,6−ジシアノピリジンを縮合反応させることによってトリアジン環を形成し、当該反応を繰り返すことにより合成することができる。当該化合物は、トリアジン環がピリジレン基を介して共有結合によって連結した構造を有する。化学式1から分かるように、3つのトリアジン環と3つのピリジン環よりなる環状構造の繰返しユニットを形成し、当該複数の繰返しユニットがさらにピリジレン基によって連結している。その結果、化学式1の化合物は、複数の細孔を有し、二次元のネットワーク構造を有する高分子となっている。化学式1のトリアジン環を含む共有結合性有機構造体を、特にCTF(Covalent Triazine Framework)と呼ぶ場合もある。
化学式1の共有結合性有機構造体には、金属を担持することができる。つまり、例えば図1に示すように、トリアジン環の窒素原子やピリジレン基の窒素原子と金属が配位結合を形成することによって、錯形成することができる。
高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体は、化学式1のものに限定されず、以下のようなトリアジン環を含む化合物も好ましく用いることができる。
Figure 2019029304
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Figure 2019029304
Figure 2019029304
Figure 2019029304
Figure 2019029304
Figure 2019029304
高分子材料2は、一種類の環状構造の繰返しユニットが連結した共有結合性有機構造体であってもよい。また、高分子材料2は、複数種類の環状構造の繰返しユニットが連結したコポリマーとしての共有結合性有機構造体であってもよい。
高分子材料2の重合度は、高ければ高いほど好ましい。高分子材料2の重合度が高まることにより、電極触媒1として使用する際に、低分子成分の一部が導電性炭素の表面から脱離して失活することを抑制できる。具体的には、高分子材料2の重合度は10以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましい。なお、高分子材料2の重合度は数平均重合度をいう。
高分子材料2として用いられ、トリアジン環を有する共有結合性有機構造体は、次のようにして得ることができる。まず、ジシアノ基またはトリシアノ基を有するモノマーを縮合反応させることによってトリアジン環が形成される。次に、当該縮合反応を繰り返すことにより、最終的に複数のトリアジン環が共有結合によって連結した共有結合性有機構造体を得ることができる。
ジシアノ基を有するモノマーは、ジシアノベンゼン又はジシアノピリジンであることが好ましい。トリシアノ基を有するモノマーは、トリシアノベンゼン又はトリシアノピリジンであることが好ましい。モノマーがジシアノベンゼンである場合、フェニレンを介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造となる。また、モノマーがジシアノピリジンである場合、ピリジレンを介して複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造となる。そのため、共有結合性有機構造体は、フェニレン又はピリジレンを介して、複数のトリアジン環が共有結合で連結した構造を有することが好ましい。また、共有結合性有機構造体は、ジシアノベンゼン又はジシアノピリジンの縮合反応により得られる化合物であることが好ましい。
ジシアノ基を有するモノマーは、さらに置換基を有することができる。そのような置換基は、シアノ基の縮合反応が進行する限り特に限定されるものではないが、例えば、アルキル基又はハロゲン基であることができる。
[導電性炭素]
本実施形態の電極触媒1において、高分子材料2を表面に担持する導電性炭素3は、二次電池の電極用導電性材料として一般に用いられるものである。ただ、導電性炭素3は、高分子材料2として用いられる共有結合性有機構造体を担持することによって、当該共有結合性有機構造体に電子伝導性を付与することができるものであることが特に好ましい。
導電性炭素3は、より安定的に高分子材料2及び金属元素を担持する観点から、多孔質材料であることが好ましい。このような導電性炭素3としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラフェン、グラファイト微粒子、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトからなる群より選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。また、導電性炭素3としては、無定形炭素も使用することができる。これらの導電性炭素3は導電性及び耐食性に優れるため、長期間に亘り高い電極性能を維持することができる。
導電性炭素3は、高分子材料2及び金属元素の担持量を増加させるために、比表面積が大きい方が好ましい。例えば、導電性炭素3は、BET法で算出される比表面積が500m/g以上であることが好ましい。
導電性炭素3の形状は特に限定されず、例えば球状、板状、鱗片状、柱状、針状などが挙げられる。さらに、導電性炭素3は、ナノ粒子の形態であることが好ましい。また、導電性炭素3の平均一次粒子径は、10nm〜1000nmであることが好ましく、10nm〜300nmであることがより好ましい。導電性炭素3の粒子径がこの範囲内であることにより、高分子材料2及び当該高分子材料に配位している金属を高分散させ、当該金属の活性を高めることが可能となる。なお、導電性炭素3の粒子径は、例えば電極触媒1を走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより求めることができる。
電極触媒1において、高分子材料2である共有結合性有機構造体と導電性炭素3の比率は、質量比で共有結合性有機構造体:導電性炭素が100:10以上であることが好ましい。また、質量比で、共有結合性有機構造体:導電性炭素が100:20〜100:5000であることがより好ましい。
[電極触媒の構成]
上述のように、電極触媒1において、高分子材料2は、粒子状の導電性炭素3の表面に保持されていることが好ましい。ただ、高分子材料2が共有結合性有機構造体からなる場合、共有結合性有機構造体はいずれも導電性が低い材料であることから、共有結合性有機構造体は、電子移動が行われやすい薄い膜厚で導電性炭素3の表面に担持されていることが好ましい。共有結合性有機構造体が薄膜状で担持されていることにより、共有結合性有機構造体と導電性炭素3との間の距離が小さくなり、共有結合性有機構造体と導電性炭素3との間の電子移動が容易となる。そのため、電極触媒1の触媒活性をより向上させることが可能となる。
ここで、高分子材料2が導電性炭素3の表面に単に物理吸着することで担持されている場合、高分子材料2が導電性炭素3から脱離し、電極触媒1の活性が低下する可能性がある。そのため、電極触媒1では、高分子材料2を導電性炭素3の表面に強固に結合させ、高分子材料2が導電性炭素3から容易に脱離することを抑制している。
具体的には、電極触媒1をX線光電子分光法で観測した場合、398.5〜399.5eVにおける最大ピークのピーク強度(Ip)と、最大ピークから1.5eV大きい結合エネルギーにおけるピーク強度(Ig)との強度比Ig/Ipが、0.55以上である。ピーク強度Ipに係る結合エネルギー位置は、1,3,5−トリアジンに含まれる窒素のN1sが出現する位置である。ピーク強度Igに係る結合エネルギー位置は、グラファイト状窒素のような三級窒素が出現する位置である。そして、強度比Ig/Ipが0.55以上である場合には、トリアジン環を含む高分子材料2に含有される窒素原子の一部が、導電性炭素3の構造内に、三級窒素の形で導入される割合が増加する。その結果、高分子材料2と導電性炭素3が安定的な結合を形成するため、電極触媒1の耐久性を高めることが可能となる。
このように、電極触媒1では、導電性炭素3の構造内に窒素が導入されていることが好ましい。なお、「導電性炭素3の構造内に窒素原子が導入される」とは、導電性炭素3を構成するグラフェン様平面構造内に、一部の炭素を置換する形で窒素が含まれていることをいう。また、導電性炭素の構造内に窒素が導入されていることは、例えばラマンスペクトルの測定によって、DバンドとGバンドの強度比を比較することにより確認することができる。
より詳細に説明すると、炭素の六員環構造からなり、導電性炭素3の表面に存在するグラフェン層には、図2に示すような状態で窒素原子を導入することができる。つまり、窒素原子は、グラファイト状窒素(Graphitic N atom)のような三級窒素、又はピリジン状窒素(Pyridinic N atom)若しくはピロール状窒素(Pyrrolic N atom)のような二級窒素の状態で導入される。窒素原子が三級窒素の状態で導入された場合には、窒素原子は、グラフェン層に対して3つの炭素原子を介して結合される。これに対して、窒素原子が二級窒素の状態で導入された場合には、窒素原子は、グラフェン層に対して2つの炭素原子を介して結合される。そのため、二級窒素よりも三級窒素の方がグラフェン層に対して強固に結合される。
そして、本実施形態の電極触媒1では、高分子材料2の骨格を構成するトリアジン環の窒素原子が、導電性炭素3の表面のグラフェン層に、三級窒素の形で導入されている。そのため、当該窒素原子を介して高分子材料2と導電性炭素3とが強固に結合する。その結果、例えば薄膜状の高分子材料2が導電性炭素3の表面で安定的に保持されることから、電極触媒1の高い触媒活性を長期に亘って維持することが可能となる。
上述のように、電極触媒1において、強度比Ig/Ipは0.55以上であることが好ましい。強度比が0.55未満の場合には、グラフェン層に導入されている三級窒素の数が減少するため、電極触媒1の耐久性が低下する恐れがある。なお、電極触媒1の耐久性をより高める観点から、強度比Ig/Ipは0.57以上であることがより好ましい。なお、強度比Ig/Ipの上限は特に限定されないが、例えば0.8以下とすることができる。
なお、本明細書において、X線光電子分光法でのピーク位置は、C1sに由来するピークの最大強度の結合エネルギーを、284.6eVに較正することによって定義されるものとする。また、X線光電子分光法における各ピークのピーク強度は、次のように定義されるものとする。まず、各元素のスペクトルにおいて、信号が検出される結合エネルギーの末端位置から、小さい側に2.0eVまでの間の平均値、および大きい側に2.0eVまでの間の平均値に対して、Shirley法によってベースラインを引く。そして、そのベースラインと信号強度との差の絶対値を各ピークのピーク強度と定義する。
電極触媒1において、X線光電子分光法によって観測される窒素(N)と炭素(C)との元素組成比N/Cが0.050以下であることが好ましい。つまり、電極触媒1をX線光電子分光法で観測した際、N1sスペクトル及びC1sスペクトルのピーク面積から求められる窒素と炭素の元素組成比N/Cが0.050以下であることが好ましい。電極触媒1の元素組成比N/Cが0.050以下の場合には、導電性炭素3に対する高分子材料2の担持量が過多と成り難い。そのため、高分子材料2の膜厚が薄くなり、高分子材料2に担持された金属元素と導電性炭素3との間における電子移動を効率的に行うことができる。その結果、高分子材料2に担持された金属元素の利用効率をより高めることが可能となる。
このように、電極触媒1における元素組成比N/Cは0.050以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましく、0.015以下であることが特に好ましい。なお、元素組成比N/Cの下限は特に限定されないが、例えば0.001とすることができる。
電極触媒1において、X線光電子分光法によって観測される金属元素(M)と窒素(N)との元素組成比M/Nが0.22以下であることが好ましい。つまり、電極触媒1をX線光電子分光法で観測した際、金属元素のスペクトル及びN1sスペクトルのピーク面積から求められる金属元素と窒素の元素組成比M/Nが0.22以下であることが好ましい。電極触媒1の元素組成比M/Nが0.22以下の場合には、高分子材料2に担持される金属元素が過多と成り難い。そのため、金属元素の凝集が起きる確率が低下し、金属元素の表面露出率が向上する。その結果、高分子材料2に担持された金属元素の利用効率をより高めることが可能となる。
このように、電極触媒1における元素組成比M/Nは0.22以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましい。なお、元素組成比M/Nの下限は特に限定されないが、例えば0.01とすることができる。
なお、上述の元素組成比N/C及びM/Nは、次のように求めることができる。まず、元素組成の定量に当たっては、各元素に由来するピークに対して、上述のようにベースラインを引き、ピーク強度とベースラインの差の積分値によってピーク面積を求める。X線光電子分光法において、ピーク面積は各元素の含有量と相関性があることから、各元素のピーク面積を比較することで、元素組成比N/C及びM/Nを算出することができる。
このように、本実施形態に係る電極触媒1は、トリアジン環を含む高分子材料2と、導電性炭素3とを含む。そして、X線光電子分光法によって観測される398.5eV乃至399.5eVにおける最大ピークのピーク強度(Ip)と、最大ピークから1.5eV大きい結合エネルギーにおけるピーク強度(Ig)との強度比Ig/Ipが、0.55以上である。このような電極触媒1では、高分子材料2におけるトリアジン環の窒素原子が導電性炭素3に導入されている。そのため、窒素原子を介して高分子材料2と導電性炭素3とが強固に結合することから、高分子材料2が導電性炭素3の表面で安定的に保持され、電極触媒1の高い触媒活性を長期に亘って維持することが可能となる。また、高分子材料に金属元素を担持した場合、金属元素は高分子材料2におけるトリアジン環の窒素原子と配位結合を形成することから、金属を単原子状に分散させ、金属元素の利用効率を高めることが可能となる。
また、電極触媒1において、高分子材料2と導電性炭素3がナノオーダーで複合化していることが好ましい。つまり、導電性炭素3の平均一次粒子径を1000nm以下とし、導電性炭素3の表面に高分子材料2が膜状に担持されることで複合化していることが好ましい。電極触媒1がナノオーダーで複合化した状態にあることにより、高分子材料2の実質的な膜厚をナノオーダーまで薄くなることができる。そのため、高分子材料2に担持された金属から導電性炭素3への電子移動が可能となり、電極触媒1として有効に作用することができる。
[電極触媒の製造方法]
次に、本実施形態に係る電極触媒1の製造方法について説明する。電極触媒1において、高分子材料2は、導電性炭素3上においてモノマーを重合させるin−situ反応により得ることができる。また、高分子材料2が共有結合性有機構造体である場合も、導電性炭素3上において共有結合性有機構造体のモノマーを重合させるin−situ反応により得ることができる。
例えば、導電性炭素3の粉末を共有結合性有機構造体のモノマーと混合させた状態で、ZnCl等の溶融塩中でモノマーの縮合反応を行う。これにより、当該導電性炭素上においてin−situで共有結合性有機構造体の形成反応を行うことができる。
ここで、電極触媒1を製造する際、導電性炭素3の構造内に窒素原子を導入し、強度比Ig/Ipを0.55以上とする必要がある。そのため、導電性炭素3上においてモノマーを重合させる際に、反応時間を長くすることが好ましい。これにより、高分子材料のモノマーが重合した後、窒素原子を導電性炭素3に導入させることが可能となる。高分子材料のモノマーの反応条件は、使用するモノマーにより適宜設定することができるが、例えば反応温度を300〜700℃、好ましくは400〜600℃とし、反応時間を100〜300時間とすることができる。また、高分子材料のモノマーと導電性炭素との反応雰囲気は、真空又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
導電性炭素3に高分子材料2を担持した電極触媒1に対して金属を担持する方法は、特に限定されない。金属を担持する方法としては、例えば、金属イオンを含む電解液中に、トリアジン環を含む高分子材料と導電性炭素とを含有する材料を分散させ、還流する方法などが挙げられる。
[燃料電池]
本実施形態の電極触媒1は高い触媒活性を有することから、燃料電池をはじめとした電気化学デバイスの電極に幅広く用いることができる。以下、電極触媒1を燃料電池に適用した例を説明する。
図3では、本実施形態における燃料電池の構成の一例を示している。なお、同図には、当該燃料電池に接続された場合に電流が供給される負荷14も図示されている。この燃料電池10は、電気を放出することのできる一次電池であり、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC)及びリン酸形燃料電池(PAFC)のような水素燃料電池、並びに微生物燃料電池(MFC)を含む。
水素燃料電池は、水の電気分解の逆反応により、水素と酸素から電気エネルギーを得る燃料電池であり、PEFC、PAFC、アルカリ形燃料電池(AFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体電解質形燃料電池(SOFC)等が知られている。燃料電池10は、PEFC又はPAFCであることが好ましい。PEFCはプロトン伝導性イオン交換膜を電解質材とする燃料電池であり、PAFCはマトリクス層に含浸されたリン酸(HPO)を電解質材とする燃料電池である。
このような燃料電池10は、図3に示すように、例えば、電解液11(電解質材)を備える。また、燃料電池10は、アノード12(燃料極)とカソード13(空気極)とを備える。アノード12は、酸素発生反応により負荷14に電子を放出する電極である。また、カソード13は、酸素還元反応により負荷14から電子が流入する電極である。
本実施形態において、カソード13はガス拡散電極として構成され、上述の電極触媒1を備える。ガス拡散電極は、水素燃料電池及びMFC等の電極に好適に適用され得る。本実施形態における燃料電池10は、カソード13を備え、さらにカソード13が電極触媒1を備えるガス拡散電極であること以外は、公知の構成を有していればよい。
なお、上記説明では、カソード13がガス拡散電極として構成され、電極触媒1を備えているとして説明したが、このような構成に限定されない。本実施形態における燃料電池10において、電極触媒1を備える電極は、アノード12及びカソード13のいずれにも用いることができる。
例えば、燃料電池10が水素燃料電池である場合、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、アノード12として用いられてもよい。この場合、アノード12に含まれる電極触媒1は、燃料である水素ガスの酸化反応(H→2H+2e)を促進して、アノード12に電子を供与する。また、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、カソード13として用いられてもよい。この場合、カソード13に含有される電極触媒1は、酸化剤である酸素ガスの還元反応(1/2O+2H+2e→HO)を促進する。
ただし、燃料電池10がMFCである場合、アノード12は電子供与微生物から直接電子を受容する。よって、この場合、電極触媒1を備えるガス拡散電極は、主として水素燃料電池と同じ電極反応を起こすカソードとして用いられる。
このように、本実施形態の電極触媒1は燃料電池の電極に好適に用いることができる。ただ、電極触媒1の用途は燃料電池に限定されず、種々の電気化学デバイスの電極として用いられてもよい。このような電気化学デバイスとしては、水の電気分解装置、二酸化炭素透過装置、食塩電解装置、金属空気電池(リチウム空気電池など)等が挙げられる。
以下、実施例により本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらによって限定されるものではない。
[試料の調製]
(実施例1−1)
<窒素含有カーボン材料の合成>
化学式10に示すスキームに従って、ケッチェンブラック(登録商標)上に共有結合性トリアジン構造体(CTF)を担持した窒素含有カーボン材料を合成した。
Figure 2019029304
まず、2726mgのZnCl、0.030gの2,6−ジシアノピリジン、及び0.129gのケッチェンブラックを窒素雰囲気のグローブボックス中で混合した。ZnClは和光純薬工業株式会社製のものを使用し、2,6−ジシアノピリジンはシグマアルドリッチ社のものを使用した。ケッチェンブラックは、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製EC600JDを使用し、平均一次粒子径が34.0nmであった。
次に、得られた混合物をガラス管の内部に真空封入した後、400℃で200時間焼成した。そして、得られた粉末を0.1Mの塩酸、水、テトラヒドロフラン(THF)、及びアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、窒素含有カーボン材料を得た。
<白金の担持>
化学式10に示すスキームに従って、上述のようにして得られた窒素含有カーボン材料に白金を担持した。具体的には、窒素含有カーボン材料100mg、テトラクロロ白金酸カリウム(K[PtCl](和光純薬工業株式会社製))5.4mg、水30mLを混合して超音波分散した後、60℃で4時間攪拌した。その後、水、アセトンで洗浄した後に乾燥することにより、白金担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、得られた白金担持窒素含有カーボン材料を後述するXPSで同定した結果、白金の担持量は2.5wt%であった。
<鉄の担持>
上述のようにして得られた窒素含有カーボン材料に鉄を担持した。具体的には、窒素含有カーボン材料100mg、塩化鉄(III)2.1mg、水30mL、エタノール30mLを混合して超音波分散した後、60℃で4時間攪拌した。その後、水、アセトンで洗浄した後に乾燥することにより、鉄担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、得られた鉄担持窒素含有カーボン材料を後述するXPSで同定した結果、鉄の担持量は0.7wt%であった。
(実施例1−2)
ZnCl、2,6−ジシアノピリジン及びケッチェンブラックの混合物の焼成時間を138時間に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして、窒素含有カーボン材料を得た。
また、実施例1−1と同様にして、上述の窒素含有カーボン材料に白金又は鉄を担持することにより、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料における白金及び鉄の担持量は実施例1−1と同一とした。
(比較例1−1)
ZnCl、2,6−ジシアノピリジン及びケッチェンブラックの混合物の焼成時間を21時間に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして、窒素含有カーボン材料を得た。
また、実施例1−1と同様にして、上述の窒素含有カーボン材料に白金又は鉄を担持することにより、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料における白金及び鉄の担持量は実施例1−1と同一とした。
(比較例1−2)
ZnCl、2,6−ジシアノピリジン及びケッチェンブラックの混合物の焼成時間を16時間に変更したこと以外は実施例1−1と同様にして、窒素含有カーボン材料を得た。
また、実施例1−1と同様にして、上述の窒素含有カーボン材料に白金又は鉄を担持することにより、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、白金担持窒素含有カーボン材料及び鉄担持窒素含有カーボン材料における白金及び鉄の担持量は実施例1−1と同一とした。
[評価]
(X線光電子分光(XPS)による分析)
各例の白金担持窒素含有カーボン材料をXPS測定することにより、白金担持窒素含有カーボン材料における窒素(N1s)スペクトルを測定した。XPS測定は、XPS装置(AXIS Ultra HAS、Kratos Analytical社製)を用いた。また、励起X線として、monochromatic Al X線(10kV)を用いた。そして、各元素に対してナロースキャン測定を行い、各元素のスペクトルを求めた。
そして、各例の白金担持窒素含有カーボン材料におけるN1sスペクトルのピーク強度から、強度比Ig/Ipを求めた。実施例1及び2並びに比較例1及び2のN1sスペクトルを図4に纏めて示す。また、各例の強度比Ig/Ipを表1に示す。
Figure 2019029304
(燃料電池耐久試験)
まず、各例の白金担持窒素含有カーボン材料及びイオノマーとしてのアシプレックス(登録商標)を、固形分質量比が0.8:1になるように混合することにより、インクを調製した。なお、当該インクでは、溶媒として、水:エタノール=1:7の混合溶媒を用い、さらに固形分濃度が10%になるように白金担持窒素含有カーボン材料及びイオノマーの混合量を調整した。そして、得られたインクを、白金担持量が0.02mg/cmとなるようにカーボンペーパー上に塗布して乾燥することにより、アノード極を得た。
カソード極には、白金ナノ粒子担持カーボン(田中貴金属株式会社製、PEFC用電極触媒TEC10E50E)を、白金担持量が0.3mg/cmとなるように塗布した電極を用いた。また、電解質膜には、Nafion(登録商標)211を用いた。
そして、上述のアノード極、電解質膜及びカソード極をこの順で積層することにより、試験用の固体高分子形燃料電池(PEFC)を作製した。
得られた燃料電池におけるアノード極に水素を100mL/minの流速で流し、カソード極に酸素を300mL/minの流速で流した。そして、燃料電池の運転温度を60℃とし、相対湿度を100%としたとき、0.3A/cmの電流を継続的に印加した際の出力電圧を測定した。さらに、0時間のときの出力電圧と500時間運転後の出力電圧より、500時間後の出力電圧の保持率(%)([500時間運転後の出力電圧]/[0時間のときの出力電圧]×100)を求めた。各例の出力電圧保持率を表1に合わせて示す。また、各例の白金担持窒素含有カーボン材料における出力電圧保持率と強度比Ig/Ipとの関係を図5に示す。
(電位サイクル耐久試験)
まず、各例の鉄担持窒素含有カーボン材料5mg、エタノール1500μL、5%Nafion分散液100μLを混合し、超音波分散した。Nafion溶液は、低級脂肪族アルコール混合物と水の5質量%溶液で、シグマアルドリッチ社製のものを使用した。次に、得られた分散液2.1μLを直径4mmのグラッシーカーボン電極上に塗布して乾燥することにより、電極を作製した。
各例の電極について、電位サイクル耐久試験として、燃料電池実用化推進協議会が定める負荷応答試験のプロトコルと同様の電位サイクル試験を実施した。なお、電位サイクル試験は25℃にて行った。具体的には、0.1Mの過塩素酸水溶液中において、0.6V及び1.0Vvs.RHEの電位を3秒ずつ交互に2万サイクル印加した際の、酸素還元反応に対する0.7Vvs.RHEにおける電流密度の保持率を調べた。つまり、2万サイクル印加前の電流密度と2万サイクル印加後の電流密度より、保持率(%)([印加後の電流密度]/[印加前の電流密度]×100)を求めた。各例の電流密度保持率を表1に合わせて示す。また、各例の鉄担持窒素含有カーボン材料における電流密度保持率と強度比Ig/Ipとの関係を図6に示す。
図5に示すように、強度比Ig/Ipが0.55以上の場合には、燃料電池耐久試験における出力電圧保持率が95%を超えている。また、強度比Ig/Ipが0.55以上の場合、実用的な耐久性の目安となる4万時間の外挿プロットの閾値である94.1%を上回る。そのため、実施例の白金担持窒素含有カーボン材料をアノード用の電極触媒として用いた場合、耐久性に優れることが分かる。
また、図6に示すように、強度比Ig/Ipが0.55以上の場合には、電位サイクル耐久試験における電流密度保持率が35%を超えている。また、強度比Ig/Ipが0.55以上の場合、微生物燃料電池のカソードとして用いた場合に出力低下を殆ど生じない閾値である33%(=0.2mA/cm)を上回る。そのため、実施例の鉄担持窒素含有カーボン材料をカソード用の電極触媒として用いた場合、耐久性に優れることが分かる。
[試料の調製]
<窒素含有カーボン材料の合成>
化学式10に示すスキームに従って、ケッチェンブラック上に共有結合性トリアジン構造体(CTF)を担持した窒素含有カーボン材料を合成した。具体的には、まず、0.0080g、0.016g、0.024g、0.040g、0.080gの各質量の2,6−ジシアノピリジン、2726mgのZnCl、及び0.129gのケッチェンブラックを窒素雰囲気のグローブボックス中で混合した。なお、2,6−ジシアノピリジン、ZnCl、及びケッチェンブラックは、実施例1と同じものを使用した。
次に、得られた各混合物をガラス管の内部に真空封入した後、400℃で200時間焼成した。そして、得られた粉末を0.1Mの塩酸、水、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、CTF量が異なる五種類の窒素含有カーボン材料を得た。
<白金の担持>
化学式10に示すスキームに従って、上述のようにして得られた五種類の窒素含有カーボン材料に白金を担持した。具体的には、各窒素含有カーボン材料100mg、テトラクロロ白金酸カリウム(K[PtCl](和光純薬工業株式会社製))5.4mg、水30mLを混合して超音波分散した後、60℃で4時間攪拌した。その後、水、アセトンで洗浄した後に乾燥することにより、五種類の白金担持窒素含有カーボン材料を得た。なお、得られた白金担持窒素含有カーボン材料をXPSで同定した結果、白金の担持量は2.5wt%であった。
[評価]
(X線光電子分光(XPS)による分析)
得られた五種類の白金担持窒素含有カーボン材料をXPS測定することにより、白金担持窒素含有カーボン材料における窒素及び炭素のスペクトルを測定した。XPS測定におけるXPS装置及び励起X線は実施例1と同じものを用いた。そして、各元素に対してナロースキャン測定を行い、窒素(N1s)及び炭素(C1s)のスペクトルを求めた。得られたN1sスペクトル及びC1sスペクトルのピーク面積から、各白金担持窒素含有カーボン材料における窒素(N)と炭素(C)との元素組成比N/Cを求めた。
(白金担持窒素含有カーボン材料のターンオーバー数の測定)
まず、各白金担持窒素含有カーボン材料5mg、エタノール1500μL、5%Nafion分散液100μLを混合し、超音波ホモジナイザーを用いて分散した。Nafion溶液は、低級脂肪族アルコール混合物と水の5質量%溶液で、シグマアルドリッチ社製のものを使用した。そして、得られた分散液2.1μLを直径4mmのグラッシーカーボン電極上に塗布し、作用電極を作製した。
この作用電極を用いて、0.1M HClO水溶液中にて、Ti線を対極に、可逆水素電極を参照電極に用いて、2500rpmの回転数にてリニアスイープボルタンメトリー(LSV)を行い、水素発生反応を調べた。この際、掃引速度は5mV/secで行った。そして、−0.1Vvs.RHEにおける電流密度から、−0.1Vvs.RHEにおける白金1原子当たりのターンオーバー数を算出した。
各白金担持窒素含有カーボン材料における元素組成比N/Cと、白金1原子当たりのターンオーバー数(TON)との関係を図7に示す。図7に示すように、元素組成比N/Cが0.050を超える場合にはターンオーバー数が低下し、白金原子の利用効率が低下することが分かる。そのため、白金担持窒素含有カーボン材料の元素組成比N/Cが0.050以下であることにより、白金原子の利用効率が向上し、触媒活性が高まることが分かる。
[試料の調製]
<窒素含有カーボン材料の合成>
化学式10に示すスキームに従って、ケッチェンブラック上に共有結合性トリアジン構造体(CTF)を担持した窒素含有カーボン材料を合成した。具体的には、まず、0.016gの2,6−ジシアノピリジン、2726mgのZnCl、及び0.129gのケッチェンブラックを窒素雰囲気のグローブボックス中で混合した。なお、2,6−ジシアノピリジン、ZnCl、及びケッチェンブラックは、実施例1と同じものを使用した。
次に、得られた混合物をガラス管の内部に真空封入した後、400℃で200時間焼成した。そして、得られた粉末を0.1Mの塩酸、水、テトラヒドロフラン、及びアセトニトリルで洗浄した後、減圧乾燥することにより、窒素含有カーボン材料を得た。
<白金の担持>
化学式10に示すスキームに従って、上述のようにして得られた窒素含有カーボン材料に白金を担持した。具体的には、まず、テトラクロロ白金酸カリウム(K[PtCl](和光純薬工業株式会社製))を純水に溶解し、0.2mM、0.4mM、0.65mM、0.85mM、1.7mMの各濃度のテトラクロロ白金酸カリウム水溶液を調製した。次に、窒素含有カーボン材料100mg、各テトラクロロ白金酸カリウム水溶液30mLを混合して超音波分散した後、60℃で4時間攪拌した。その後、水、アセトンで洗浄した後に乾燥することにより、白金担持量が異なる五種類の白金担持窒素含有カーボン材料を得た。
[評価]
(X線光電子分光(XPS)による分析)
得られた五種類の白金担持窒素含有カーボン材料をXPS測定することにより、白金担持窒素含有カーボン材料における窒素及び白金のスペクトルを測定した。XPS測定におけるXPS装置及び励起X線は実施例1と同じものを用いた。そして、各元素に対してナロースキャン測定を行い、窒素(N1s)及び白金(Pt4f7/2)のスペクトルを求めた。N1sスペクトル及びPt4f7/2スペクトルのピーク面積から、各白金担持窒素含有カーボン材料における窒素(N)と白金(Pt)との元素組成比Pt/Nを求めた。
(白金担持窒素含有カーボン材料のターンオーバー数の測定)
実施例2と同様に、−0.1Vvs.RHEにおける電流密度から、各白金担持窒素含有カーボン材料について、−0.1Vvs.RHEにおける白金1原子当たりのターンオーバー数を算出した。
各白金担持窒素含有カーボン材料における元素組成比Pt/Nと、白金1原子当たりのターンオーバー数(TON)との関係を図8に示す。図8に示すように、元素組成比Pt/Nが0.22を超える場合にはターンオーバー数が低下し、白金原子の利用効率が低下することが分かる。そのため、白金担持窒素含有カーボン材料の元素組成比Pt/Nが0.22以下であることにより、白金原子の利用効率が向上し、触媒活性が高まることが分かる。
以上、実施例に沿って本実施形態の内容を説明したが、本実施形態はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
1 電極触媒
2 高分子材料
3 導電性炭素

Claims (5)

  1. トリアジン環を含む高分子材料と、導電性炭素とを含み、
    X線光電子分光法によって観測される398.5eV乃至399.5eVにおける最大ピークのピーク強度(Ip)と、前記最大ピークから1.5eV大きい結合エネルギーにおけるピーク強度(Ig)との強度比Ig/Ipが、0.55以上である、電極触媒。
  2. 前記導電性炭素の構造内に窒素が導入されている、請求項1に記載の電極触媒。
  3. X線光電子分光法によって観測される窒素(N)と炭素(C)との元素組成比N/Cが0.050以下である、請求項1又は2に記載の電極触媒。
  4. X線光電子分光法によって観測される金属元素(M)と窒素(N)との元素組成比M/Nが0.22以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極触媒。
  5. 前記高分子材料と前記導電性炭素がナノオーダーで複合化している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電極触媒。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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