JP7367333B2 - 培地モニタリングシステム - Google Patents

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Description

本発明は培地モニタリングシステムに関し、特に微生物燃料電池を用いた培地モニタリングシステムに関する。
近年、微生物燃料電池の開発が進められている(非特許文献1)。微生物燃料電池は、微生物が有機物を分解する際に生じる電子を回収し、この回収した電子を電気エネルギーとして利用している。そのため、生活廃水などを用いた場合、廃水中の有機物の分解処理と発電が並行して行えるため、消費エネルギーを低減できる水処理方法としても期待されている。また、微生物燃料電池は、廃水中や土壌中の有機物で発電出来るため、廃水や土壌における電源としての利用も期待出来る。
微生物燃料電池による廃水処理システム最前線、(株)エヌ・ティー・エス
上述したように、微生物燃料電池は、微生物が有機物を分解する際に生じる電子を回収することで電力を生成している。例えば、土壌等の培地に微生物燃料電池を設置した場合は、培地に存在する微生物が有機物を分解する際に電力が生成される。このとき生成される電力(電圧値や電流値)は、培地に存在する微生物や有機物の状態に依存する。
一方で、近年、培地の状態を簡易かつ精度よくモニタするモニタリングシステムが必要とされている。本発明の目的は、微生物燃料電池を用いて培地の状態を精度よくモニタすることが可能な培地モニタリングシステムを提供することである。
本発明により、微生物燃料電池を用いて培地の状態を精度よくモニタすることが可能な培地モニタリングシステムを提供することができる。
微生物燃料電池を説明するための模式図である。 微生物燃料電池のカソードおよびアノードの配置例を説明するための断面図である。 微生物燃料電池のカソードの配置例を説明するための断面図である。 実施の形態1にかかる培地モニタリングシステムを説明するための模式図である。 微生物燃料電池の電圧変化の一例を示す図である。 微生物燃料電池の電圧変化の他の例を示す図である。 微生物燃料電池を用いた解析方法を説明するための図である。 微生物燃料電池を用いた解析方法を説明するための図である。 培地モニタリングシステムの一例を示す模式図である。 培地モニタリングシステム一例を示す模式図である。
<微生物燃料電池の説明>
まず、本発明で用いられる微生物燃料電池について、図1に示す模式図を用いて説明する。図1に示すように、微生物燃料電池10は、カソード(正極)11およびアノード(負極)12を備える。カソード11は、空気と触れることができる位置に配置されている。アノード12は、培地15の内部に埋設されている。ここで、培地15とは、土壌等の植物を栽培することができる場所である。培地15としては、土壌以外にも植物工場で用いられる人工土や樹脂シート、ロックウール、脱脂綿、水溶液等も含まれる。すなわち、本実施の形態にかかる発明において培地15とは、植物を栽培することができる場所であればどのようなものであってもよい。
カソード11は、酸素還元反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には貴金属触媒、卑金属酸化物触媒、炭素材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。また、カソード11は、導電性基材(カーボンフェルト等のカーボン材料やステンレス等の金属材料)に、貴金属触媒、卑金属酸化物触媒、炭素材料等をコーティングしたものが好ましく、このとき使用する基材は、メッシュ状やパンチングメタル等の多孔性の材料が好ましい。尚、カソードを構成する材料の詳細については、後述する。
アノード12は、微生物反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には炭素材料、金属材料等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせて用いても良い。また、アノード12は、導電性基材(カーボンフェルト等のカーボン材料やステンレス等の金属材料)に、炭素材料等をコーティングしたものが好ましい。尚、アノードを構成する材料の詳細については、後述する。
培地15は、通常使用される電解液の代わりに用いる。培地は固形状のものであり、プロトンなどのイオン伝導性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、市販の土、田畑の土、池や湖沼や河川や海などの底土や底泥などの土壌や、ロックウール、ピートモス、バーミキュライト、ヤシ殻、寒天などのハイドロゲル、樹脂シートなどの固定培地などが挙げられ、好ましくは土壌であり、さらに好ましくは有機物濃度の高い肥沃な土や、水分含有量の多い土や泥である。
培地15には微生物と有機物とが含まれている。微生物は、アノード12の表面に定着している。ここで、発電に関与する微生物は発電菌と呼ばれる主に嫌気性の微生物であり、例えばShewanella菌、Geobacter菌などを用いることができる。なお、本実施の形態にかかる発明では、有機物を分解して電力を発生することができる微生物であれば、これ以外の微生物を用いてもよい。
また、有機物とは、一般的に有機化合物と呼ばれるものを示すが、例えば、土壌中の有機物、有機肥料やそれらの分解物などが挙げられる。土壌中の有機物としては、植物根、土壌動物、土壌微生物などの生物、動植物などの生物遺体からなる有機物(炭水化物、タンパク質、アミノ酸、リグニン、糖類、脂質など)や、腐食物質(腐食酸、フルボ酸、ヒューミンなど)、非腐食物質からなる非生物の有機物や、植物の光合成により生成されるグルコースなどが挙げられ、乳酸や酢酸などの有機酸なども挙げられる。また、有機肥料としては、なたね油粕、大豆油粕などの植物質肥料、魚粕、骨粉、乾血、肉粕粉末などの動物質肥料、牛糞堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥、樹皮堆肥などの堆肥化資材などが挙げられる。なお、例えば、培地15に存在する微生物の数が少ない場合は、予め微生物をアノード12に植種等してもよい。
微生物燃料電池の反応について、培地15が酸性状態の場合の例を示す。図1に示すように、アノード12では、微生物の代謝によって有機物が分解される。このとき、下記の式1に示す反応が生じる。
有機物+2HO→CO+4H+4e ・・・式1
式1の反応で発生した電子(e-)はアノード12に取り込まれてカソード11側へと移動する。また、式1の反応で発生したプロトン(H+)は、培地15中を通過して、カソード11側へと移動する。
また、カソード11では、アノード12側から移動してきた電子とプロトン、及びカソード11付近の酸素が下記の式2に示す反応をする。
+4H+4e→2HO ・・・式2
そして、上記の式1および式2に示す反応が繰り返されることで、カソード11とアノード12との間に起電力が発生する。このような動作により、微生物燃料電池において電力が生成される。
<カソード材料>
次に、カソードを構成する材料について説明する。カソードは、酸素還元反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には貴金属触媒、卑金属酸化物触媒、炭素材料等が挙げられる。
<導電性材料>
(貴金属触媒)
貴金属触媒とは、遷移金属元素のうちルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金から選択される元素を一種以上含む触媒である。これら貴金属触媒は単体でも別の元素や化合物に担持されたものでも良い。中でも、触媒担持炭素材料が好例として挙げられる。触媒担持炭素材料とは、触媒粒子が触媒担時体としての炭素材料上に担持してなるものを指し、公知もしくは市販のものがある。
触媒粒子の炭素材料上への担持率は限定的ではない。触媒粒子として白金を用いた場合は、触媒粒子100質量%に対して、通常1~70質量%程度までの担持が可能である。
本発明に用いる触媒担持体としての炭素材料は、無機材料由来の炭素粒子および/または有機材料を熱処理して得られる炭素粒子であれば特に限定されない。
無機材料由来の炭素粒子としては、黒鉛、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性など様々な物性やコストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択される。
熱処理して炭素粒子となる有機材料としては、熱処理後炭素粒子となる材料であれば特に限定されない。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。
これら炭素材料は、一種類または二種類以上で用いられる。
市販の触媒担持炭素材料としては、例えば、田中貴金属工業社製の
TEC10E50E、TEC10E70TPM、TEC10V30E、TEC10V50E、TEC66E50等の白金担持炭素粒子;
TEC66E50、TEC62E58等の白金-ルテニウム合金担持炭素粒子;
を購入することができるが、これらに限定されるものではない。
(卑金属酸化物触媒)
本発明に用いる卑金属酸化物触媒としては、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択された少なくとも1種の遷移金属を含む酸化物を使用することができ、より好ましくはこれら遷移金属元素の炭窒化物や、これら遷移金属元素の炭窒酸化物を使用することができる。
前記卑金属酸化物触媒の組成式は、例えば、M1C(ただし、M1は遷移金属元素であり、p、q、rは原子数の比を表し、0≦p≦3、0≦q≦2、0<r≦3である。)、M2aM3bxyz(ただし、M2は、ジルコニウム、タンタル、チタン、ニオブ、バナジウム、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、タングステン、およびモリブデンからなる群より選択される1種の金属であり、M3は、前記群より選択されるM2とは異なる少なくとも1種の金属である。a、b、x、y、zは原子数の比を表し、0.5≦a<1、0<b≦0.5、0<x≦3、0<y≦2、0<z≦3、かつa+b=1である。)で表される。また、導電性の観点から、さらにこれら化合物と導電性炭素材料を複合化した触媒を好適に使用することができる。
(炭素材料)
本発明に用いる炭素材料としては、無機炭素材料が好ましい。無機炭素材料の具体例としては、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック、ナノポーラスカーボン)、活性炭、カーボンナノホーン、炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンフェルト)、グラフェン、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒等が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
グラファイトとしては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等を使用することが出来る。人造黒鉛としては、無定形炭素の熱処理により、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般的には石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として製造される。天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等を使用することが出来る。また、鱗片状黒鉛を化学処理等した膨張黒鉛(膨張性黒鉛ともいう)や、膨張黒鉛を熱処理して膨張化させた後、微細化やプレスにより得られた膨張化黒鉛等を使用することも出来る。
これら黒鉛の表面は、本発明の特性を損なわない限りにおいて生分解性樹脂などのバインダー樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、および酸化処理等が施されていてもよい。
また、用いるグラファイトの平均粒径は、0.5~500μmが好ましく、特に、2~100μmが好ましい。
本発明でいう平均粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のグラファイトとしては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP-5、UP-10、UP-20、UP-35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CB-150、CB-100、ACP、ACP-1000、ACB-50、ACB-100、ACB-150、SP-10、SP-20、J-SP、SP-270、HOP、GR-60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX-3000、FBF、BF、CBR、SSC-3000、SSC-600、SSC-3、SSC、CX-600、CPF-8、CPF-3、CPB-6S、CPB、96E、96L、96L-3、90L-3、CPC、S-87、K-3、CF-80、CF-48、CF-32、CP-150、CP-100、CP、HF-80、HF-48、HF-32、SC-120、SC-80、SC-60、SC-32、伊藤黒鉛工業社製のEC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB-99等が挙げられる。球状天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC-20、CGC-50、CGB-20、CGB-50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S-3、AP-6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG-60、PAG-80、PAG-120、PAG-5、HAG-10W、HAG-150、中越黒鉛社製のRA-3000、RA-15、RA-44、GX-600、G-6S、G-3、G-150、G-100、G-48、G-30、G-50、SECカーボン社製のSGP-100、SGP-50、SGP-25、SGP-15、SGP-5、SGP-1、SGO-100、SGO-50、SGO-25、SGO-15、SGO-5、SGO-1、SGX-100、SGX-50、SGX-25、SGX-15、SGX-5、SGX-1が挙げられる。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子同士の接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となるが、カーボンブラックの分散性が低くなるため、具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、10m2/g以上、3000m2/g以下、好ましくは20m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005~1μmが好ましく、特に、0.01~0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、コロンビヤン社製のRaven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA、PUER BLACK100、115、205、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のMONARCH1400、1300、900、VulcanXC-72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP-Li等のファーネスブラック)、ライオン社製のEC-300J、EC-600JD等のケッチェンブラック、デンカ社製のデンカブラック、デンカブラックHS-100、FX-35等のアセチレンブラック、クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050グレード、クノーベルMJ(4)030グレード、クノーベルMJ(4)010グレード等の東洋炭素社製のナノポーラスカーボン等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
活性炭としては、具体的にはフェノール系、ヤシガラ系、レーヨン系、アクリル系、石炭-石油系ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)等を賦活した活性炭を挙げることができる。同じ質量でもより広い面積の界面を形成することが可能な、比表面積の大きいものが好ましい。具体的には、比表面積が30m/g以上が好ましく、より好ましくは500~5000m/g、さらに好ましくは1000~3000m/gである。
炭素繊維としては、石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることが出来る。また、カーボンナノチューブには、グラフェンシートが一層でナノメートル領域の直径を有するチューブを形成する単層カーボンナノチューブと、グラフェンシートが多層である多層カーボンナノチューブがある。そのため、多層カーボンナノチューブの直径は、典型的な単層カーボンナノチューブの0.7-2.0nmに対して、30nmと大きい値を示す。
市販の炭素繊維としては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5-P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
次に、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒(以下、単に炭素触媒ともいう)について説明する。炭素触媒は、炭素元素を基本骨格とした炭素材料からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、ヘテロ元素(N、B、Pなどの異種元素)及び/又は卑金属元素が含まれ酸素還元活性を有する触媒材料である。ここでいう卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、およびスズからなる群より選ばれる一種以上を含有することが好ましい。触媒作用に対する機能が強いため、コバルト(Co)及び/又は鉄(Fe)がさらに好ましい。
ヘテロ元素と卑金属元素を含有することは、酸素還元活性を有する上で重要な意味をなす。炭素触媒は、その触媒活性点として、例えば、炭素元素を基本骨格とした炭素材料の基本骨格を構成する炭素の六角網面のエッジ部に導入された窒素原子やその近傍の炭素原子、また触媒表面上に卑金属元素を中心に4個の窒素が平面上に並んだ卑金属-N4構造における窒素原子や卑金属原子などが挙げられる。
本発明における炭素触媒は、比表面積が大きく、電子伝導性が高いほど好ましい。酸素還元反応は触媒の表面で起こるため、比表面積が大きいほど、酸素とプロトン、電子との反応場が多くなり、触媒活性の向上に繋がるため好ましい。また、電子伝導性が高いほど、電極中における酸素還元反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすく、好ましい。また、触媒表面のヘテロ原子、特に窒素量が多いほど表面の活性点の数が多くなりやすいため好ましく、更にNが後述のN1型窒素原子を主とした末端窒素であるとより好ましい。
本発明における炭素触媒は、触媒を構成する全元素に対する、炭素原子のモル比、窒素原子のモル比および卑金属原子のモル比をそれぞれ、R、RおよびRとした際、炭素原子のモル比Rに対する窒素原子のモル比Rの割合が1~40%、炭素原子のモル比Rに対する卑金属原子のモル比Rの割合が0.01~20%の範囲にあると好ましい。より好ましくは、炭素原子のモル比Rに対する窒素原子のモル比Rの割合が1.5~20%、炭素原子のモル比Rに対する卑金属原子のモル比Rの割合が0.05~10%である。
炭素原子に対する窒素原子や卑金属原子の元素比が上記範囲にあると、活性点形成段階において、卑金属金属元素が炭素の結晶化促進、細孔の発達、エッジの生成等の炭素化触媒として効果的に作用することで活性点の数や質を向上させることが期待できる。更に、酸素還元触媒反応段階においても、金属種が、主に窒素由来の活性点で生成する過酸化水素の還元触媒として作用することで、効果的に水までの還元(四電子還元)を促進させることが期待できるため好ましい。
また、X線光電子分光法(XPS)によって測定した、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比を(N)とし、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合とN2型窒素原子量の割合の合計(%)を(N1+N2)としたときの、表面末端窒素割合{N×(N+N)}が0.5~25.0%であることが好ましい。より好ましくは1~18%である。
例えば、触媒表面の全元素に対する窒素原子のモル比Nが0.1、触媒表面の全窒素量に対する、XPSのN1sスペクトルのピーク分離により求めたN1型窒素原子量の割合Nが30%、N2型窒素原子量の割合Nが20%である炭素触媒の場合は、下記計算式により表面末端窒素割合は5%となる。
{N×(N+N)}= 0.1×(30%+20%)= 5%
炭素触媒中の窒素原子は様々な状態で炭素骨格の中に存在する。本発明において、N1型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが398.5±0.5eVであり、ピリジン類似の構造をしているものである。N2型窒素原子とは、N1s電子の結合エネルギーが400±0.5eVであり、ピロール類似の構造をしているものである。これらはそれぞれピリジン窒素、ピロール窒素と呼ばれ、本発明ではこれらを合わせ末端窒素と呼称する。これらのピークが重なっている場合には、各成分をガウス関数としてピーク強度、ピーク位置、ピーク半値全幅をパラメーターとして最適化することにより、フィッティングを行ってピークを分離する。ここで、ピリドン類似の構造をしているものはピークの分離が困難なため、便宜上、末端窒素に含まれていてよいものとする。
上記以外の窒素原子は、N3型窒素原子(主に炭素環の内部に存在する、3つの炭素原子と結合している4級のもの)、N4型窒素原子(酸化された状態で、酸素のような異種元素が結合しているもの)に分類される。
上記末端窒素は、非共有電子対を有しており、末端窒素は周囲の炭素の電子状態に影響を及ぼし、隣接する炭素原子が活性サイトとして働くことに加え、卑金属に窒素原子が配位する卑金属-N4構造形成に有利に働くことが報告されている。そのため、活性の高い触媒表面には末端窒素が多く存在していると考えられ、表面末端窒素割合は、表面に存在する末端窒素の量を表す指標となる。
本発明における炭素触媒は、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)が、50~1200m/gであることが好ましい。BET比表面積が上記の範囲にあると、反応が起こる反応場を多くできるため好ましい。より好ましくは100~1000m/gである。
本発明における比表面積とは試料単位質量当たりの表面積のことであり、ガス(N又はHO)吸着法によって求めることができる。解析法はBET法を用い、相対圧(P(吸着平衡圧)/P0(飽和蒸気圧)=0.05~0.3)とガス吸着量のプロットより得られる直線の切片と勾配から、単分子吸着量を求めることで、BET比表面積を算出できる。
本発明における炭素触媒は、CuKα線をX線源として得られるX線回折(XRD)図において、回折角(2θ)が24.0~27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が8°以下であることが好ましい。
CuKα線をX線源として得られる炭素触媒のX線回折線図においては、24.0~27.0°付近に炭素の(002)面回折ピークが現れる。炭素の(002)回折ピーク位置は、炭素六角網面の面間距離によって変化し、ピーク位置が高角側であるほど炭素六角網面の距離が近いことから、構造の黒鉛的規則性が高いことが示される。また、上記ピークがシャープである(半値幅が小さい)ほど、結晶子サイズが大きく、結晶構造が発達していることを示すものである。
上記ピークの半値幅が8°以下である場合には、炭素触媒の結晶性が高く、電子伝導性が高い。これにより、電極中における酸素還元反応に必要な電子を前記反応場に供給することができるため、電流の増加に繋がり、好ましい。
また、上記ピークの半値幅が1°以下であることは、さらに好ましい。
(炭素触媒の製造方法)
炭素材料は、種類やメーカーによって、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。
本発明における炭素触媒は、例えば、炭素系原料を炭化して得ることができる。また、炭素系原料を炭化すると、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料となる。
本発明における炭素触媒の製造方法としては、特に限定されず、
炭素系原料、ヘテロ元素を含む化合物及び卑金属元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、
炭素系原料、ヘテロ元素を含む化合物を混合し炭化させる方法、
ヘテロ元素を含む炭素系原料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法、
フタロシアニンやポルフィリン等の大環状化合物などのヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物を炭化させる方法、
炭素系原料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し炭化させる方法、
炭素系原料と、卑金属元素を含む化合物を混合し炭化させた材料に気相法でヘテロ元素をドープする方法、
炭素系原料に気相法でヘテロ元素をドープする方法など、
従来公知のものを使用することが出来る。
好ましい製造方法としては、少なくともヘテロ元素を含む炭素系原料と、卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法や、少なくとも炭素系原料と、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む化合物とを混合し、熱処理する方法が挙げられる。また、前記熱処理により得られた炭素触媒を、酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。更に、前記酸洗浄により得られた炭素触媒を、熱処理する工程を含む方法が挙げられる。
(炭素系原料)
本発明における炭素触媒の炭素系原料としては、無機炭素系原料が好ましい。例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック)、活性炭、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、炭素繊維等が挙げられる。これらのうち、炭素六角網面を基本骨格とするものがあれば、さらなる炭化工程を必要とせず、触媒として使用できる。また、炭素六角網面を基本骨格とするものをさらに、炭化させてもよい。
市販の無機炭素系原料としては、上述ですでに説明したものと同様のものが使用出来る。
本発明における炭素系原料としては、無機炭素系原料だけでなく、熱処理後炭素粒子(炭素材料)となる有機材料も使用することができる。熱処理後に炭素粒子となる有機材料としては、炭素以外に他の元素を含有していても良い。熱処理後の炭素粒子に活性点となる窒素やホウ素等のヘテロ元素を含有させるため、予め同ヘテロ元素を含有する有機材料の使用が好ましい場合がある。具体的な有機材料としては、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂系樹脂、ポリイミダゾール系樹脂、ポリピロール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、メラミン系樹脂、ピッチ、褐炭、ポリカルボジイミド、バイオマス、タンパク質、フミン酸等やそれらの誘導体などが挙げられる。その中でも窒素やホウ素などのヘテロ元素を含有する有機材料である、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアニリン系樹脂等が、窒素元素を含む炭素材料として好ましい。
(ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物)
本発明における炭素触媒は、構成元素としてヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含み、ヘテロ元素が炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部を置換するようにドープされていることが好ましい。ヘテロ元素、卑金属元素をドープする際に使用される原料としては、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物であれば特に限定されない。例えば、色素、ポリマー等の有機化合物、金属単体、金属酸化物、金属塩等の無機化合物が挙げられる。また、1種類を単独で用いても、2種類以上を併用して用いても良い。
好ましくは錯体もしくは塩であり、その中でも、卑金属元素を分子中に含有することが可能な、窒素を含有した芳香族化合物は、炭素触媒中に効率的に窒素元素と卑金属元素をドープしやすいため好ましい。具体的には、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラアザアヌレン系化合物等の大環状化合物が挙げられる。上記芳香族化合物は、電子吸引性官能基や電子供与性官能基を導入されたものであってもよい。特に、フタロシアニン系化合物は、様々な卑金属元素を含んだ化合物が入手可能であり、コスト的にも安価であるため、原料としては特に好ましい。中でも、コバルトフタロシアニン系化合物、ニッケルフタロシアニン系化合物、鉄フタロシアニン系化合物は、高い酸素還元活性も有することで知られていることから、これらを原料に使用した場合、安価で高い酸素還元活性を有する炭素触媒を得ることができるためより好ましい。
炭素触媒に導入される元素の由来としては複数の原料の組み合わせが考えられる。炭素元素は無機炭素材料や熱処理後炭素粒子となる有機材料、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物など、ヘテロ元素は、ヘテロ元素を含む、熱処理後炭素粒子となる有機材料やヘテロ元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物、アンモニアなどヘテロ元素を含む反応性気体など、卑金属元素は、卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物などである。
原料の組み合わせとしては例えば、炭素元素を無機炭素系原料、ヘテロ元素を気相法のヘテロドープ由来の炭素触媒、炭素元素を有機炭素系原料、ヘテロ元素を気相法のNドープ由来の炭素触媒、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来の炭素触媒、炭素元素を無機炭素系原料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来の炭素触媒、炭素元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料、ヘテロ元素と卑金属元素を、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来の炭素触媒、炭素元素を有機炭素材料、ヘテロ元素を、卑金属元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物、卑金属元素を、ヘテロ元素を含まない、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来の炭素触媒、炭素元素とヘテロ元素を熱処理後炭素粒子となる有機材料由来の炭素触媒、卑金属元素を、卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来の炭素触媒、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を、炭素元素、ヘテロ元素及び卑金属元素を含む、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物由来の炭素触媒等が挙げられる。
炭素系原料の混合物である前駆体の作製方法としては、前駆体に炭素元素、ヘテロ元素、及び卑金属元素が含まれるよう、炭素系原料と、1種類又は複数種類のヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物とを混合する際は、原料同士が均一に混合・複合されていれば良く、混合法としては、乾式混合及び湿式混合が挙げられる。混合装置としては、以下のような乾式混合装置や湿式混合装置を使用できる。
乾式混合装置としては、例えば、
2本ロールや3本ロール等のロールミル、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速攪拌機、マイクロナイザーやジェットミル等の流体エネルギー粉砕機、アトライター、ホソカワミクロン社製粒子複合化装置「ナノキュア」、「ノビルタ」、「メカノフュージョン」、奈良機械製作所社製粉体表面改質装置「ハイブリダイゼーションシステム」、「メカノマイクロス」、「ミラーロ」等が挙げられる。
又、乾式混合装置を使用する際、母体となる原料粉体に、他の原料を粉体のまま直接添加しても良いが、より均一な混合物を作成するために、前もって他の原料を少量の溶媒に溶解、又、分散させておき、母体となる原料粉体の凝集粒子を解しながら添加する方法が好ましい。更に、処理効率を上げるために、加温することが好ましい場合もある。
ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物の中には、常温では固体であるが、融点、軟化点、又はガラス転移温度が100℃未満と低い材料がある。それらの材料を用いる場合、常温で混合するより、加温下で溶融させて混合する方がより均一に混合できる場合もある。
湿式混合装置としては、例えば、
ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;
エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;
ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;
湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械製作所社製「マイクロス」等のメディアレス分散機;
又は、その他ロールミル、ニーダー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。又、湿式混合装置としては、装置からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、又は、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。又、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
又、各原料が均一に溶解した系でない場合、各原料の溶媒への濡れ性、分散性を向上させるために、一般的な分散剤を一緒に添加し、分散、混合することができる。一般的な分散剤には、水系用分散剤と、溶剤系用分散剤がある。
(水系用分散剤)
市販の水系用分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ビックケミー社製の分散剤としては、DISPERBYK-180、184、187、190、191、192、193、194、199、2010、2012、2015、2096等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE12000、20000、27000、41000、41090、43000、44000、又は45000等が挙げられる。
BASFジャパン社製の分散剤としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、60、61、62、63、HPD-96、Luvitec K17、K30、K60、K80、K85、K90、VA64等が挙げられる。
川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトA-110、300、303、又は501等が挙げられる。
ニットーボーメディカル社製の分散剤としては、PAAシリーズ、PASシリーズ、両性シリーズPAS-410C、410SA、84、2451、又は2351等が挙げられる。
アイエスピー・ジャパン社製の分散剤としては、ポリビニルピロリドンPVP K-15、K-30、K-60、K-90、又はK-120等が挙げられる。
丸善石油化学社製の分散剤としては、ポリビニルイミダゾールPVI等が挙げられる。
(溶剤系用分散剤)
市販の溶剤系用分散剤としては、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
ビックケミー社製の分散剤としては、Anti-Terra-U、U100、204、DISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、140、161、163、168、170、171等が挙げられる。
日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE3000、5000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、21000、22000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、36600、37500、38500、又は53095が挙げられる。
味の素ファインテクノ社製の分散剤としては、アジスパーPB821、PB822、PN411、又はPA111が挙げられる。
川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトKF-1000、1300M、1500、T-6000、8000、8000E、又は9100等が挙げられる。
BASFジャパン社製の分散剤としては、Luvicap等が挙げられる。
湿式混合の場合、湿式混合装置を用いて作製した分散体を乾燥させる工程が必要となる。この場合、用いる乾燥装置としては、棚式乾燥機、回転乾燥機、気流乾燥機、噴霧乾燥機 撹拌乾燥機、凍結乾燥機などが挙げられる。
炭素触媒の製造方法では、炭素系原料と、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物に対して、最適な混合装置、分散装置、又は乾燥装置を選択することにより、触媒活性の優れた炭素触媒を得ることができる。
次に、炭素系原料と、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物の混合物を熱処理する方法においては、原料となる炭素系原料、ヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含有する化合物によって異なるが、加熱温度は500~1100℃が好ましく、700~1000℃がより好ましい。
この場合、ある程度高温で熱処理することで、活性点の構造が安定化し、実用的な電池運転条件に耐え得る触媒表面となることが多い。このときの温度は600℃以上であることが好ましい。
加熱時間は特に限定されないが、通常は1時間から5時間であることが好ましい。
更に、熱処理工程における雰囲気に関しては、原料をできるだけ不完全燃焼により炭化させ、ヘテロ元素や金属元素などを炭素系原料表面に残存させる必要性があるため、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、窒素やアルゴンに水素が混合された還元性ガス雰囲気などが好ましい。また、熱処理時の炭素触媒中のヘテロ元素量低減を抑制するために、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下で熱処理を行なったり、炭素触媒の表面構造を制御するために、水蒸気、二酸化炭素、低酸素雰囲気下で熱処理したりしても良い。この場合では、雰囲気によっては酸化が進むと金属が酸化物となり粒子成分が凝集しやすくなるため、温度や時間などを適切に選択する必要がある。
また、熱処理工程に関しては、一定の雰囲気及び温度下で、1段階で処理を行う方法だけでなく、一度、不活性ガス雰囲気下、500℃程度の比較的低温で熱処理し、その後、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気下、または賦活ガス雰囲気下で、1段階目を超える温度で熱処理することも可能である。そうすることで、触媒活性サイトとして考えられているヘテロ元素や金属元素からなる活性サイト部位を、より効率的且つ、多量に残存させられることがある。
炭素触媒の製造方法としては、さらに、前記熱処理により得られた炭素触媒を酸で洗浄、及び乾燥する工程を含む方法が挙げられる。ここで用いる酸は、前記熱処理により得られた炭素触媒表面に存在する活性点として作用しない卑金属成分を溶出させることができるものであれば、特に限定されない。炭素触媒との反応性が低く、卑金属成分の溶解力が強い濃塩酸や希硫酸等が好ましい。具体的な洗浄方法としては、ガラス容器内に酸を加え、炭素触媒を添加し、分散させながら数時間撹拌させた後、静置し、上澄みを除去する。そして、上澄みの着色が確認されなくなるまで上記方法を繰り返し行い、最後に、ろ過、水洗により酸を除去し、乾燥する方法が挙げられる。
触媒活性点としてエッジ部の窒素元素近傍の炭素元素を有する炭素触媒は、酸で洗浄することにより、表面の卑金属成分が除去され触媒活性が向上するため好ましい。
炭素触媒の製造方法としては、さらに、前記酸洗浄により得られた炭素触媒を再度熱処理する工程を含む方法が挙げられる。ここでの熱処理は、先に行った熱処理の条件と大きく変わるものではない。加熱温度は500~1100℃が好ましく、700~1000℃がより好ましい。また、雰囲気は、表面の窒素元素が分解し減少しにくい観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気や、不活性ガスに水素が混合された還元性ガス雰囲気、窒素元素を多量に含むアンモニアガス雰囲気下等が好ましい。
<バインダー樹脂>
次にバインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は、上述の導電性材料同士や、導電性材料と基材とをさらに強固に結着させる目的で用いる。
バインダーとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、スチレン-ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロカーボン及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。又、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
また、バインダー樹脂としては水性樹脂微粒子、水溶性樹脂も使用することができる。これらは、後述する溶媒として水を使用する場合に好ましく用いることができるが、それ以外の溶媒でも使用することができる。
(水性樹脂微粒子)
水性樹脂微粒子とは、一般的に水性エマルションとも呼ばれ、バインダー樹脂が水中で溶解せずに、微粒子の状態で分散されているものである。例えば、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(スチレン・ブタジエンゴム(SBR)など)、フッ素系エマルション(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)等が挙げられる。水溶性高分子と異なり、エマルションは粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れるものが好ましい。
また、水性樹脂微粒子の粒子構造は、多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、またはシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。
水性樹脂微粒子の平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の点から、10~500nmであることが好ましく、10~300nmであることがより好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。架橋型樹脂微粒子分散液は固形分に応じて200~1000倍に水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装社製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明における平均粒子径とする。
(水溶性樹脂)
次に水溶性樹脂について説明する。水溶性樹脂は、電極の水への濡れ性を改善するだけでなく、電極反応に大きな影響を及ぼす電極と培地との界面抵抗を低減する効果がある。これらの樹脂は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
水溶性樹脂は、25℃の水99g中に樹脂1g入れて撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに水中で樹脂が溶解可能な樹脂のことを示す。水溶性樹脂は、上述の通り水溶性を示す樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール誘導体、キサンタンガム誘導体、グァーガム誘導体、キトサン誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体、コーンスターチ誘導体等が挙げられる。また、水溶性であれば、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これら水溶性樹脂は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
水溶性樹脂の分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が5,000~2,500,000である。質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)におけるポリエチレンオキサイド換算分子量を示す。
<アノード材料>
次に、アノードを構成する材料について説明する。アノードは、微生物反応を起こせる導電性材料が必要であり、具体的には炭素材料、金属材料等が挙げられる。
(炭素材料)
本発明に用いる炭素材料としては、無機炭素材料が好ましい。無機炭素材料の具体例としては、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック、ナノポーラスカーボン)、活性炭、カーボンナノホーン、炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンフェルト)、グラフェン、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒が挙げられる。炭素材料は、種類やメーカーによって、結晶性、粒子径、形状、BET比表面積、細孔容積、細孔径、嵩密度、DBP吸油量、表面酸塩基度、表面親水度、導電性などの様々な物性や、コストが異なるため、使用する用途や要求性能に合わせて最適な材料を選択することができる。グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ミディアムサーマルカーボンブラック、ナノポーラスカーボン)、活性炭、カーボンナノホーン、炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンフェルト)、グラフェンは、上述のカソードで説明したものと同様のものを使用することが出来る。
炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒は、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなり、それらの構成単位間に物理的・化学的な相互作用(結合)を有し、ヘテロ元素(N、B、Pなどの異種元素)及び/又は卑金属元素が含まれる材料である。ここでいう卑金属元素とは、遷移金属元素のうち貴金属元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金)を除く金属元素であり、卑金属元素としては、コバルト、鉄、ニッケル、マンガン、銅、チタン、バナジウム、クロム、亜鉛、およびスズからなる群より選ばれる一種以上を含有することが好ましい。ヘテロ元素や卑金属元素を含有することは、アノード反応を活性化する。
アノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒は、比表面積が大きく、電子伝導性が高いほど好ましい。アノードで起こる反応は材料表面で起こるため、比表面積が大きいほど、還元性有機物燃料、電子との反応場が多くなり、反応活性の向上に繋がるため好ましい。また、電子伝導性が高いほど、電極中における反応に必要な電子を前記反応場に供給できるため、電流の増加に繋がりやすく、好ましい。
本発明におけるアノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒は、材料を構成する全元素に対する、炭素原子のモル比、窒素原子のモル比および卑金属原子のモル比をそれぞれ、R、RおよびRとした際、炭素原子のモル比Rに対する窒素原子のモル比Rの割合が1~40%、炭素原子のモル比Rに対する卑金属原子のモル比Rの割合が0.01~20%の範囲にあると好ましい。
本発明におけるアノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒は、窒素を吸着種としたBET比表面積(BETN2)が、1~1500m/gであることが好ましく、より好ましくは10~1000m/gである。BET比表面積が上記の範囲にあると、反応が起こる反応場を多くできるため好ましい。
本発明におけるアノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒は、CuKα線をX線源として得られるX線回折(XRD)図において、回折角(2θ)が24.0~27.0°の位置にピークを有し、該ピークの半値幅が8°以下であることが好ましい。
CuKα線をX線源として得られるアノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒のX線回折線図においては、24.0~27.0°付近に炭素の(002)面回折ピークが現れる。炭素の(002)回折ピーク位置は、炭素六角網面の面間距離によって変化し、ピーク位置が高角側であるほど炭素六角網面の距離が近いことから、構造の黒鉛的規則性が高いことが示される。また、上記ピークがシャープである(半値幅が小さい)ほど、結晶子サイズが大きく、結晶構造が発達していることを示すものである。
上記ピークの半値幅が8°以下である場合には、アノード用炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒の結晶性が高く、電子伝導性が高い。これにより、電極中における反応に必要な電子を前記反応場に供給することができるため、電流の増加に繋がり、好ましい。
また、上記ピークの半値幅が1°以下であることは、さらに好ましい。
また、アノードで用いる金属材料は、具体的にはステンレス、チタン、銅などを使用することが出来る。金属材料は、粒子をバインダーで結着させて使用しても良いし、金属箔や金属メッシュ、パンチングメタル等を使用しても良い。
<電極(カソードおよびアノード)形成用組成物>
電極形成用組成物は、少なくとも、導電性材料と、バインダー樹脂と、を含有する。電極は、電極基材上に電極形成用組成物を塗工して形成されることが好ましい。
導電性材料とバインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、導電性材料の含有量は、導電性が得られれば特に限定されることはないが、好ましくは60~99質量%、さらに好ましくは70~95質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計100質量%中、バインダー樹脂の含有量は、特に限定されることはないが、好ましくは1~40質量%、さらに好ましくは5~30質量%である。
導電性材料と、バインダー樹脂の固形分の合計は、電極形成用組成物全体の固形分の51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。
また、水溶性樹脂を含有する場合は、電極形成用組成物全体の固形分の0.01~40質量%であり、好ましくは0.1~30質量%である。
また、電極形成用組成物の適正粘度は、組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
次に、溶媒について説明する。電極形成用組成物の材料を均一に混合する場合、溶媒を適宜用いることが出来る。そのような溶剤としては、有機溶剤や水を挙げることが出来る。
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、N-メチルピロリドンなどの内から電極形成用組成物の組成に応じ適当なものが使用できる。また、溶剤は2種以上用いてもよい。
また、水を使用する場合は、例えば、電極形成用組成物の分散性や基材への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
さらに増粘剤も使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、界面活性剤などの低分子化合物、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられる。これらは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
(電極形成用組成物の調製方法)
電極形成用組成物の調製方法に特に限定されるものではない。調製方法は、
(1)各成分を同時に分散しても良いし、
(2)導電性材料とバインダー樹脂を溶媒中に分散後、他の材料を添加しても良いし、
(3)導電性材料と水溶性樹脂を溶媒中に分散後、他のバインダー樹脂や他の材料を添加しても良いし、
使用する導電性材料、バインダー樹脂により最適化することができる。
電極形成用組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で炭素材料が割れやすいあるいは潰れやすい場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
<電極(カソードおよびアノード)の製造方法>
カソードおよびアノードは、種々の方法で得ることができる。カソードやアノードの機能が発揮出来るような構成であれば、特に限定されるものではない。
電極形成用組成物から電極を作製する場合、特に限定されるものではないが、例えば、
(1)電極形成用組成物を導電性基材へ塗工することにより作製した電極や、
(2)電極形成用組成物をペレット状に成形した電極や、
(3)電極形成用組成物をペレット状に成形したものを導電性基材で包み込んで作製した電極や、
(4)枠や籠のような形状の導電性基材中へ電極形成用組成物をペレット状に成形したものを封入した電極、
等が挙げられる。特に、微生物が関与するアノードについては、例えば、微生物を電極形成用組成物へ混合してからアノードを作製しても良いし、あらかじめ上述のように電極を作製しておき、その後に微生物の添加や植種を行っても良い。また、電極を土壌中へ設置した後に土壌中の微生物の吸着によりアノードとして機能させることも出来る。
本発明の電極で使用する導電性基材としては、耐腐食性、電気伝導性に優れ、表面積が大きく、反応物及び生成物の拡散に優れるものが良く、材質や形状は特に限定されない。例えばグラファイトペーパー(カーボンペーパー)、グラファイトクロス(カーボンクロス)及びグラファイトフェルト(カーボンフェルト)等のカーボン材料の他、ステンレスメッシュ、銅メッシュや白金メッシュ等の金属材料を用いることができるが、この限りではない。
電極形成用組成物を導電性基材に塗布する方法は、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。例示すると、グラビアコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、ダイコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等を挙げることができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機等が使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明で使用する電極の体積抵抗率は、5×10Ω・cm未満であることが好ましく、さらに好ましくは5×10Ω・cm未満、さらに好ましくは1×10-1Ω・cm未満である。導電性が良好な電極ほど電池の電力を有効に取り出すことが可能となる。
<カソードおよびアノードの配置例>
次に、カソード11およびアノード12の配置例について説明する。図2は、微生物燃料電池のカソードおよびアノードの配置例を説明するための断面図であり、畑などの連続した土壌(つまり、培地に区切りがない場合)にカソードおよびアノードを配置する例を示している。
上述したように、カソード11では上記式2に示した反応を生じさせる必要があるので、カソード11は空気(酸素)と触れる位置に配置する必要がある。したがって、図2に示すカソード11_1のように培地15の表面(地表)に配置することが好ましい。また、カソード11_2のように地表に形成した凹部の底に配置してもよい。なお、図2に示すカソード11_1、11_2の配置は一例であり、カソード11を配置する位置は、空気(酸素)と触れる位置であればどのような場所であってもよい。
また、上述したように、アノード12では、上記式1に示した反応を生じさせる必要があるので、微生物および有機物と接触するようにアノード12を配置する必要がある。また、微生物は嫌気性であるので、アノード12は嫌気性となる場所に配置する必要がある。したがって、図2に示すアノード12_1~12_5のように培地15の内部に埋設することが好ましい。例えば、アノード12_1のように植物200の根201の下部にアノードを配置してもよく、アノード12_2のように根201の側部にアノードを配置してもよく、アノード12_3のように根201の上部(地表に近い位置)にアノードを配置してもよく、アノード12_4のように根201から離れた位置にアノードを配置してもよい。また、植物の根は、培地と有機物などのやりとりを行いながら生命を維持するため、植物状態に最も影響を及ぼす培地のモニタリングを目的とする場合は、アノード12_5のように植物の根201に直接接触するようにアノードを配置することが好ましい。アノード12は根と接触出来れば、根201の中に配置してもよく(不図示)、また根201の周囲に(つまり、根201を包むように)配置してもよい(不図示)。なお、図2に示すアノード12_1~12_5の配置は一例であり、アノード12を配置する位置は、微生物および有機物と接触する位置であればどのような場所であってもよい。
なお、図2では複数のカソード11_1~11_2、及び複数のアノード12_1~12_5の配置例を示しているが、本実施の形態において微生物燃料電池を配置する際は、カソードとアノードとが対になるように配置することができる。例えば、カソード11_1とアノード12_1とを用いて1つの微生物燃料電池を構成することができる。また、本実施の形態では、複数の微生物燃料電池(すなわち、2対以上のカソードとアノードの組み合わせ)を培地15に配置してもよい。また、カソードとアノードの個数が対にならないように配置してもよい。例えば、カソード1つに対してアノードが複数個となるように配置してもよい。なお、カソード及びアノードを配置する位置は、微生物燃料電池から取得するデータ(電力)に応じて適宜決定することができる。
また、図2に示すように、本実施の形態では、カソード11、アノード12、及び電解質13が一体となった微生物燃料電池セル10_1を培地15中に配置してもよい。この場合は、カソード11が空気取り入れ孔14を通して空気と触れるようにする必要がある。例えば、空気取り入れ孔14は、地表とカソード11とを空間的に繋ぐホースを用いて構成してもよい。また、電解質13は、イオンを伝導することができる材料を用いて構成することができる。
図3は、微生物燃料電池のカソードおよびアノードの配置例を説明するための断面図であり、鉢植えやボックス栽培のように土壌が仕切られている場合におけるカソードおよびアノードの配置例を示している。なお、図3に示す場合においても、アノード12の配置は図2に示したアノード12_1~12_5の配置と同様であるので、図3ではアノードの図示を省略している。
図3に示す場合は容器16に培地15が収容されている。カソードを配置する場合は、例えば、カソード11_3のように、容器の側部にカソードを配置してもよい。この場合
はカソード11_3の上端が空気と触れるように配置することが好ましい。また、カソード11_4のように、容器16の側部に形成された穴にカソード11_4を配置してもよい。このように配置することで、カソード11_4の一方の面が空気と他方の面が培地15とそれぞれ触れるようにすることができる。
また、カソード11_5のように、容器16の底面にカソード11_5を配置してもよい。この場合は容器16の底面に穴を開けてカソード11_5の一方の面が空気と触れるようにする。また、カソード11_6のように、容器16の底部に形成された穴にカソード11_6を配置してもよい。このように配置することで、カソード11_6の一方の面が空気と他方の面が培地15と触れるようにすることができる。
また、図3に示す場合においても、図2に示したカソード11_1と同様に、カソード11_1を培地15の表面(地表)に配置してもよく、また、カソード11_2のように地表に形成した凹部の底にカソード11_2を配置してもよい。
また、図3に示すように、微生物燃料電池セル10_2を容器16の底部に配置してもよい。また、微生物燃料電池セル10_3を容器16の側部に配置してもよい。この場合は、容器16に形成された穴を通じて微生物燃料電池セル10_2、10_3のカソードが空気と触れるようにする必要がある。また、図3に示す場合においても、図2に示した微生物燃料電池セル10_1と同様に、微生物燃料電池セル10_1を培地15中に配置してもよい。この場合は、カソード11が空気取り入れ孔14を通して空気と触れるようにする必要がある。
なお、図2、図3に示したカソード11およびアノード12の配置は一例であり、本実施の形態では、図2、図3に示した位置以外にカソード11およびアノード12を配置してもよい。
<実施の形態1>
次に、本発明の実施の形態1について説明する。図4は、実施の形態1にかかる培地モニタリングシステムである。微生物燃料電池は、培地15に配置されている。培地15には植物200が植えられており、培地15の内部には植物の根201が伸びている。なお、微生物燃料電池が備えるカソード11およびアノード12の配置は、図2、図3に示した場合と同様に配置することができる。
本実施の形態にかかる培地モニタリングシステム1では、微生物燃料電池で発電された電力を取得することで、培地15の状態をモニタする。すなわち、微生物燃料電池で生成される電力と培地15の状態とは互いに関連性を有しているので、微生物燃料電池で発電された電力により、培地15の状態をモニタすることができる。
本実施の形態にかかる培地モニタリングシステム1では、微生物燃料電池で発電された電力により培地15の状態をモニタしている。微生物燃料電池で発電された電力は、テスター等を用いて測定することが出来るし、データロガー等を用いてデータを記録しておき、記録媒体を使用して外部のパソコン等で表示することも出来る。ここで、微生物燃料電池で発電された電力とは、微生物燃料電池で発電された電力の電圧値(起電力)および電流値を含んでいる。つまり、微生物燃料電池で発電された電力の電圧値および電流値の少なくとも一方により、培地15の状態をモニタすることが出来る。
図5は、微生物燃料電池の電圧変化の一例を示す図である。図5に示す例は、微生物燃料電池を設置した時点でアノード12に微生物が付着していない場合を示している。図5に示すように、微生物燃料電池を設置した時点(タイミングt1)では、アノード12に微生物がほとんど付着していないので、分解される有機物の量が少ない。このためタイミングt1における微生物燃料電池の電圧値は低い値となる。
アノード12に付着する微生物の量が増えるにしたがって、分解される有機物の量が増加する。このため、タイミングt1以降、微生物燃料電池の電圧値は上昇する(初期挙動)。
その後、タイミングt2からタイミングt3にかけて電圧値が急激に低下している。これは培地15の水分量が減少したことを示している。すなわち、培地15の水分が減少した場合は、図1に示すアノード12からカソード11へのプロトンの伝導が妨げられるため、微生物燃料電池の電圧値が低下する。その後、培地15の水分量が増加すると、微生物燃料電池の電圧値が増加する(タイミングt3~t4)。
タイミングt4~t5では微生物燃料電池の電圧値が略一定となり、定常状態となる。そして、タイミングt5からタイミングt6にかけて微生物燃料電池の電圧値が徐々に低下している。これは培地15中に存在する有機物が減少したことを示している。その後、タイミングt6からタイミングt7にかけて再び電圧値が急激に低下している。これは培地15の水分量が減少したことを示している。
このように、本実施の形態にかかる培地モニタリングシステム1では、微生物燃料電池で発電された電力(電圧値)を解析することで培地15の状態をモニタすることができる。
具体的には、タイミングt2~t3、t6~t7に示すように、微生物燃料電池の電圧値が急激に低下した場合は、培地15の水分量が減少したと判定することができる。また、タイミングt3~t4に示すように、微生物燃料電池の電圧値が急激に増加した場合は、培地15の水分量が増加したと判定することができる。
また、タイミングt5~t6に示すように、微生物燃料電池の電圧値が徐々に低下した場合は、培地15中に存在する有機物が減少したと判定することができる。また、微生物燃料電池の電圧値が徐々に増加した場合は、培地15中に存在する有機物が増加したと判定することができる。
すなわち、微生物燃料電池で発電された電圧値の単位時間当たりの変化量の絶対値が所定の基準値よりも大きい場合(つまり、グラフの傾きが急峻な場合)は、培地15における水分量が変化したと判定することができる。
また、微生物燃料電池で発電された電圧値の単位時間当たりの変化量の絶対値が所定の基準値よりも小さい場合(つまり、グラフの傾きが緩やかな場合)は、培地15における有機物の量が変化したと判定することができる。このときの所定の基準値は、任意に決定することができる。
なお、上記では、図5のタイミングt2~t3、t6~t7において微生物燃料電池の電圧値が急激に低下する原因として水分量の低下を挙げたが、例えば、微生物にとって有毒な成分が培地15中に流入した場合にも、微生物燃料電池の電圧値が急激に低下する。この場合は、微生物燃料電池の電圧値が急激に低下した後、培地15に水分を供給したとしても、微生物燃料電池の電圧値が回復(上昇)しないか、又は電圧値が回復(上昇)したとしても非常に緩やかに回復(上昇)する程度となる。
図6は、微生物燃料電池の電圧変化の他の例を示す図である。図6に示す例は、微生物燃料電池を設置した時点でアノード12に微生物が付着している場合を示している。図6に示すように、微生物燃料電池を設置した時点でアノード12に微生物が付着している場合は、設置した当初から微生物燃料電池の電圧値は高い値となる。図6に示す例では、微生物燃料電池が定常状態であり、略一定の電圧を出力している場合を示しているが、例えば、培地15の水分が増減した場合、また培地15の有機物が増減した場合は、図5に示した場合と同様に、微生物燃料電池の電圧値が変動する。
本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムにおける解析例について、更に詳細に説明する。
図1に示したように、微生物燃料電池は微生物の代謝によって有機物が分解されることで発電される。このため、微生物燃料電池で発電される電力は、次の要素に応じて変化する。
(1)微生物の量、及び活性度
培地15における微生物の量が多いほど発電量が増加する。また、微生物の活性度が高いほど、発電量が増加する。一方、培地15における微生物の量が少ないほど発電量が減少する。また、微生物の活性度が低いほど、発電量が減少する。
(2)有機物の量、及び分解性
培地15における有機物の量が多いほど発電量が増加する。また、有機物が分解されやすいほど、発電量が増加する。一方、培地15における有機物の量が少ないほど発電量が減少する。また、有機物が分解されにくいほど、発電量が減少する。
(3)プロトンの伝導度
培地15におけるプロトンの伝導度が高いほど発電量が増加する。一方、培地15におけるプロトンの伝導度が低いほど発電量が減少する。例えば、培地15における水分量が多い場合や培地15中に溶解しているイオン成分が多い場合はプロトンの伝導度が高くなり、培地15における水分量が少ない場合や培地15中に溶解しているイオン成分が少ない場合はプロトンの伝導度が低くなる。
また、本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムでは、以下に示すデータに基づいて、培地の状態等をモニタ(推定)することができる。
例えば、初期の電圧上昇(グラフの傾き)を解析することで、培地15の嫌気性度、微生物の状態、有機物の分解性を把握することができる。例えば、電圧上昇率が高い場合(グラフの傾きが急峻な場合)は、微生物燃料電池における発電量が多いため、微生物の量が多く、微生物が活性であり、有機物が多く存在し、培地15の水分量が多いと推定することができる。一方、電圧上昇率が低い場合(グラフの傾きが緩やかな場合)は、微生物燃料電池における発電量が少ないため、微生物の量が少なく、微生物が不活性であり、有機物が少なく、培地15の水分量が少ないと推定することができる。
また、電圧上昇後の電圧変動を解析することで、土壌の状態(肥沃度、有機物の増減)、植物の状態(元気度、病気、光合成の状態)、微生物の状態(微生物の量と活性度)、環境の状態(気温、地面温度、日照)等を把握することができる。
例えば、微生物燃料電池における電圧値が増加した場合は、土壌の肥沃度および有機物が増加し、植物の光合成が増加し、微生物の量が多く、微生物の活性度も高いと推定することができる。一方、微生物燃料電池における電圧値が減少した場合は、土壌の肥沃度および有機物が減少し、植物の光合成が減少し、微生物の量が減少し、微生物の活性度も低いと推定することができる。
また、微生物燃料電池における電圧値の維持率(電圧値の安定度)を用いることで、培地15の安定度、つまり、有機物の供給と消費のバランスをモニタすることができる。
また、微生物燃料電池の電圧値が所定の閾値よりも高い場合は、培地15の有機物の量が多く、微生物の量も多いため、培地15が肥沃であると判定することができる。
また、微生物燃料電池の電流値は、有機物の分解スピードと関連している。したがって、微生物燃料電池の電流量を用いることで、微生物の量や活性度、有機物の種類(分解されやすさ)をモニタすることができる。
また、微生物燃料電池の電流量(電流値×時間)は、有機物の分解量と関連している。したがって、微生物燃料電池の電流量を用いることで、培地15で用いられた有機物の量を把握することができる。したがって、新たに追加する肥料の量を算出することができる。
また、微生物燃料電池10の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)を用いることで、微生物の種類および量、有機物の種類および量、培地15の水分状態をモニタすることができる。
また、微生物燃料電池のIRドロップ(つまり、OCVと電流を流した直後の電圧との差)や微生物燃料電池の内部抵抗値を用いることで、微生物の種類および量、有機物の種類および量をモニタすることができる。
また、微生物燃料電池の緩和速度(電流遮断後の電圧変化)を用いることで、有機物の種類および量、培地15の水分状態をモニタすることができる。
また、上述した微生物燃料電池の開回路電圧、IRドロップ、内部抵抗値、緩和速度を組み合わせることで、プロトン抵抗、活性化過電圧、ガス拡散性等をモニタすることができる。
また、図7に示すような微生物燃料電池10のI-V特性を求めることで、微生物の種類、有機物の種類を特定することができる。I-V特性は、微生物燃料電池に接続された外部抵抗を変化させることで測定することができる。または、LSV(Linear Sweep
Voltammetry)測定を用いて測定することができる。
例えば、図7(a)に示すI-V特性は、電流と電圧とが直線的な関係にあるのに対して、図7(b)に示すI-V特性は、電流と電圧とが曲線的(下側に凸)な関係にあり、図7(c)に示すI-V特性は、電流と電圧とが曲線的(上側に凸)な関係にある。このように、微生物燃料電池のI-V特性は、微生物の種類や有機物の種類によって形状が異なるので、このようなI-V特性の違いから微生物の種類や有機物の種類を特定することができる。
また、図8に示すような微生物燃料電池の電流と電力の関係を求めることで、微生物の種類、有機物の種類を特定することができる。例えば、図8(a)に示すグラフでは、電流に対する電力のピークが中央よりも左側にあるのに対して、図8(b)に示すグラフでは、電流に対する電力のピークが中央よりも右側にある。このように、微生物燃料電池10の電流と電力の関係は、微生物の種類や有機物の種類によって形状が異なるので、このような電流と電力の関係の違いから微生物の種類や有機物の種類を特定することができる。
本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムでは、上述のようにして求めたデータを、単位当たりのデータに置き換えて解析してもよい。具体的には、上述のようにして求めたデータを、電極(カソード、アノード)の単位面積、単位体積、単位重量等当たりの値に換算して解析を行ってもよい。
また、本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムでは、モデルケース(基準)のデータ(図7、図8に示したようなグラフのデータや基準値など)を予め格納しておき、微生物燃料電池から取得したデータ(電圧値等)をモデルケースのデータと比較(照合)することで、微生物の種類および量、有機物の種類および量等を解析してもよい。
以上で説明したように、本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムでは、微生物燃料電池で発電された電力により、培地15の状態をモニタしている。すなわち、微生物燃料電池で生成される電力と培地15の状態とは互いに関連性を有している。したがって、微生物燃料電池で発電された電力により、培地15の状態をモニタすることができる。
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、微生物燃料電池を用いて培地の状態を精度よくモニタすることが可能な培地モニタリングシステムを提供することができる。
本実施の形態にかかる培地モニタリングシステムは、さらに、上記解析例を実行する解析部、解析結果を表示する表示部を備えていてもよい。また、微生物燃料電池で発電された電力に関する電力情報を無線送信する送信部、無線送信された電力情報を受信する受信部を備えていてもよい。これにより、例えば、複数の培地を一括で管理(モニタ)することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表す。
<炭素材料>
[製造例A1]
ケッチェンブラックEC-600JD(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)とコバルトフタロシアニン(東京化成社製)を、質量比1/0.5(ケッチェンブラック/コバルトフタロシアニン)となるようにそれぞれ秤量し、乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、700℃で2時間熱処理を行い、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒(炭素材料(1))を得た。
[製造例A2]
グラフェンナノプレートレットxGnP-C-750(XGscience社製)と鉄フタロシアニン P-26(山陽色素社製)を、質量比1/0.5(グラフェンナノプレートレット/鉄フタロシアニン)となるようにそれぞれ秤量し、乾式混合を行い、混合物を得た。上記混合物を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にて窒素雰囲気下、750℃で2時間熱処理を行い、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒(炭素材料(2))を得た。
[製造例A3]
グラフェンナノプレートレットxGnP-C-750(XGscience社製)を、アルミナ製るつぼに充填し、電気炉にてアンモニア窒素雰囲気下、1000℃で2時間熱処理を行い、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒(炭素材料(3))を得た。
上述の炭素材料の分析は、以下の測定機器を使用した。その結果を表1に示す。
・BET比表面積の測定:窒素吸着量測定(日本ベル社製 BELSORP-mini)
・R、R、R:CHN元素分析(パーキンエルマー社製 2400型CHN元素分析装置)、ICP発光分光分析(SPECTRO社製 SPECTROARCOS FHS12)
また、CuKα線をX線源として得られるX線回折(XRD)測定により、炭素材料(1)~(3)が炭素六角網面の基本骨格を有することを確認した。


<電極形成用組成物>
[製造例B1]
導電性材料としてアセチレンブラックHS-100(デンカ社製)70部、バインダー樹脂としてポリフッ化ビニリデンPVDF♯1100(クレハ社製)30部、溶媒としてNMP(N-メチルピロリドン)1150部、をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散して固形分が8質量%となる電極形成用組成物(1)を得た。
[製造例B2~B9]
表2に示す導電性材料、バインダー樹脂を用いた以外は、製造例B1と同様にして電極形成用組成物(2)~(9)を作製した。
Figure 0007367333000002


<培地モニタリングシステム用電極>
[製造例C1]
基材であるカーボンペーパー(大きさ10cm×10cm、東レ社製)上に、電極形成用組成物(1)を目付け量が4mg/cmとなるようにアプリケーターで塗工した後、150℃雰囲気のオーブンで乾燥させて培地モニタリングシステム用電極(1)を作製した。
[製造例C2~C9]
表3に示す電極形成用組成物(2)~(9)を用いた以外は、製造例C1と同様にして培地モニタリングシステム用電極(2)~(9)を作製した。
[製造例C10]
カーボンフェルトGF-20-10F(日本カーボン社製)を大きさ10cm×10cmとなるように裁断して電極(10)を作製した。
[製造例C11]
ステンレスメッシュ#400(アズワン社製)を大きさ10cm×10cmとなるように裁断して電極(11)を作製した。


<培地モニタリングシステム>
[実施例1-~1-11]
図9に示す培地モニタリングシステムを作製し、評価を実施した。500mLの容量を持つ容器内に、表4に示すカソードおよびアノードと、培地である土(花と野菜の土:あかぎ農園社)400gを配置し、水道水200gを加えて土を湿らせて培地モニタリングシステムを作製した。次に、カソードとアノードに配線を取り付けて外部抵抗(10kΩ)に接続し、培地モニタリングシステムを1ヵ月間連続運転させた。尚、毎日、蒸発等により減少した水分を補水するようにした。連続運転させた後、以下の特性評価を実施した。
(モニタリング特性評価)
培地モニタリングシステムを1ヵ月間連続運転させた後、水道水を10g加えてから30分後の電圧を測定し、水道水添加前後における電圧変化率を評価することで、モニタリング特性の感度を評価した。変化率が大きいほど感度が良好であることを意味する。下記に判断基準を示し、結果を表4に示す。
◎:出力変化の絶対値 50mV以上(極めて良好)
〇:出力変化の絶対値 25mV以上50mV未満(良好)
〇△:出力変化の絶対値 5mV以上25mV未満(実用上問題なし)
△:出力変化の絶対値 1mV以上5mV未満(使用出来なくはないが、ノイズとの判別が難しいレベル)
×:出力変化の絶対値 1mV未満(不良)
[実施例2-1~2-5]
表5に示すカソードおよびアノードを用いて、容器内に観葉植物(ポトス)を植えた以外は実施例1と同様にして図10に示す培地モニタリングシステムを作製した。その際に、(a)植物の根がアノードと接触したものと、(b)植物の根がアノード非接触のもの(3cm離れている)とをそれぞれ作製し、評価を実施した。次に、カソードとアノードに配線を取り付けて外部抵抗(10kΩ)に接続し、培地モニタリングシステムを1ヵ月間連続運転させた。尚、毎日、蒸発等により減少した水分を補水するようにした。連続運転させた後、以下の特性評価を実施した。
(モニタリング特性評価)
培地モニタリングシステムを1ヵ月間連続運転させた後、疑似太陽光(植物育生LEDライト、GENTOS社製)を照射してから1時間後の電圧を測定し、照射前後における電圧変化率を評価することで、モニタリング特性の感度を評価した。変化率が大きいほど感度が良好であることを意味する。下記に判断基準を示し、結果を表5に示す。
◎:出力変化の絶対値 50mV以上(極めて良好)
〇:出力変化の絶対値 25mV以上50mV未満(良好)
〇△:出力変化の絶対値 5mV以上25mV未満(実用上問題なし)
△:出力変化の絶対値 1mV以上5mV未満(使用出来なくはないが、ノイズとの判別が難しいレベル)
×:出力変化の絶対値 1mV未満(不良)



表4および表5に示す結果から、培地状態の変化に伴い、培地モニタリングシステムの電圧も同調するように変化が見られたため、培地状態をモニタリング出来ているものと考えられる。また、モニタリングの感度を比べてみると、電極が導電性材料のみで構成される培地モニタリングシステムが最も低く、次に電極が導電性材料とバインダー樹脂から構成されるものは低かったが、電極(特にカソード)に水溶性樹脂を含むものやアノードに炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒を含むものは感度が高く、最も感度が高かったのはカソードに水溶性樹脂を含み、アノードに炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒を含むものであった。現段階では詳細こそ明らかでないが、カソードに水溶性樹脂を含むことでカソードと培地の接触界面において、接触抵抗が低減出来たのではないかと考えられる。また、アノードに炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒を含むことで微生物との相互作用等にも何らかの影響を与えているのではないかと考察している。
一方、アノードが根と非接触の場合と、アノードが根と接触している場合とで、モニタリングの感度に変化があることも分かった。培地中に植物が含まれることで培地の状態が変わりやすくなる場合、アノードと根が接触するように培地モニタリングシステムを作製する方が良いことが分かった。
1、2、3 培地モニタリングシステム
10 微生物燃料電池
11、11_1~11_6 カソード
12、12_1~12_5 アノード
13 電解質
14 空気取り入れ孔
15 培地
16 容器
200 植物
201 根

Claims (3)

  1. 培地と、前記培地に配置された微生物燃料電池を備え、前記微生物燃料電池は少なくともカソードと、アノードとを備え、前記微生物燃料電池で発電された電力により前記培地の状態をモニタする、培地モニタリングシステムであって、
    前記カソードおよびアノードが、導電性材料とバインダー樹脂とを含み
    記アノードが、導電性材料として、炭素六角網面を基本骨格とした炭素材料からなる炭素触媒を含み、前記炭素触媒が、構成元素としてヘテロ元素及び/又は卑金属元素を含み、前記ヘテロ元素が炭素骨格内の炭素元素の少なくとも一部を置換するようにドープされていることを特徴とする培地モニタリングシステム。
  2. 前記カソードが、バインダー樹脂として水溶性樹脂を含む、請求項1記載の培地モニタリングシステム。
  3. 前記アノードが培地の内部で植物の根と接触していることを特徴とする請求項1又は2記載の培地モニタリングシステム。
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