JP7481746B2 - 伸縮式蛇腹状ランヤード - Google Patents
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Description
作業者は、このランヤードに具備されたフック等を親綱や堅固な構造物等に掛止して自分の体と接続することにより、万一足を踏み外した場合等の墜落を防止している。
ランヤードには多様な種類があり、用途や価格等によって使い分けられている。主なランヤードの種類としては、(1)ロープ式ランヤード、(2)巻取り器付きストラップ式ランヤード(以下、巻取り式ランヤードという。)、(3)伸縮式蛇腹状ランヤード、などがある。
作業者が移動や屈伸する際には、長尺のランヤードが構造物に引っ掛ったり、足で踏んで転倒したりすることがある。そのため、ロープ又はストラップの垂れ下がりがないか又は少ないことを特徴とする上記(2)の巻取り式ランヤードや上記(3)の伸縮式蛇腹状ランヤードが好んで使用されている。
ロープ式ランヤードは、ロープの断面が略円形であり、全長に亘り局所的な突起部がないため、構造物等との接触は一か所に限定されず、摩耗は外周面の全体に生じる。また表面が滑らかであるため、摩擦抵抗が少なく摩耗の進行速度は緩やかである。
また、上記(2)の巻取り式ランヤードは、ストラップの断面が全長に亘り均一に略矩形であり、全長に亘り局所的な突起部がないため、構造物等との接触は一か所に限定されず、摩耗は外周面の全体に生じる。また表面が滑らかであるため、摩擦抵抗が少なく摩耗の進行速度は緩やかである。
また、蛇腹形状はその製造時に癖が付くものであり、山部と谷部の位置はずれることがない。使用時に伸縮させた場合でも、山部の位置はストラップの同じ位置に形成される。
また、表面に凹凸が形成されていることによって、他の種類のランヤードと比べ、摩擦抵抗が大きくなり構造物等から大きな外力を受けることとなるため、摩耗の進行速度は速くなる。
即ち、伸縮式蛇腹状ランヤードは他の種類のランヤードと比べ強度劣化が早くなる特性を含有している。
上記(1)、(2)のランヤードは、前述したように、一般的に摩耗がロープ又はストラップの全体にほぼ均等に生じる。従って、摩耗が進んで廃棄基準に達した場合、ユーザーが目視点検によって的確に判断することが容易である。
また上記(1)、(2)のランヤードは、経年使用によって摩耗が進んだ場合には、一般的に、色落ちや汚れ、表面の毛羽立ち等の変化が同時に生じることが多い。従って、必須の作業である使用前点検の実施をユーザーが怠った場合でも、劣化状態が廃棄基準に達していることを使用中に認識することが容易である。このように、伸縮式蛇腹状ランヤード以外の種類の上記(1)、(2)のランヤードでは、摩耗が進んで廃棄基準に達して強度低下したものを、ユーザーが継続して使用する可能性は低い。
前述したように、伸縮式蛇腹状ランヤードは、他の種類のランヤードよりも摩耗の進行が早いため、相対的に色落ちや汚れ、表面の毛羽立ち等の外観の変化が少ない。また、山部の頂上部以外の谷部や中腹部はあまり劣化しないため、全体的に目視した場合には、劣化状態が廃棄基準に達していることを認識することが他の種類のランヤードほど容易ではない。
したがって、上記(3)の伸縮式蛇腹状ランヤードは、摩耗が進んで廃棄基準に達し強度低下したものをユーザーが継続して使用しないように、他の種類のランヤードよりも丁寧な点検が必要となる。また耐用期間が短くなり、早めの買い替えが必要となる。このことは、作業者にとって煩わしく好ましくない。
この特許文献2のランヤードでは、従来の一般的な伸縮式蛇腹状ランヤードと比較して、蛇腹構造が設けられる外装部材が補助ベルトと被覆部材との2層構造で形成されている。また、特許文献3のランヤードでは、外装部材が第1の被覆部材と第2の被覆部材との2層構造で形成されている。
即ち、従来の一般的な伸縮式蛇腹状ランヤードのストラップが弾性部材と被伸縮性材料の袋ベルトとの2重構造であるのに対して、当該特許文献2のランヤードのストラップでは弾性部材と補助ベルトと被覆部材との3重構造となっている。同様に、特許文献3のランヤードのストラップでは弾性部材と第1の被覆部材と第2の被覆部材との3重構造となっている。
本発明の伸縮式蛇腹状ランヤードにおいて、前記第一被覆部材と前記第二被覆部材とを構成する布地の色が互いに異なることが好ましい。
また、外装部材と弾性部材との接合を、第一被覆部材と弾性部材とで行っており、縫合する箇所の厚みが抑えられるので、外装部材と弾性部材との接合の加工性に優れる。
図1,図2は、本発明の一実施形態に係る二丁掛けの伸縮式蛇腹状ランヤードの自然長状態(力の加わっていない状態)であり、図1はその平面図であり、図2はその正面図である。なお、図2ではストラップの領域を断面で表している。
図3は、弾性部材を示す図である。
図4は、ストラップの先端側縫合部付近を表す部分拡大断面図である。
図5は、ストラップの基端側縫合部付近を表す部分拡大断面図である。
図6は、二股に延出されたストラップの平面図である。
図7は、二股に延出されたストラップの正面図である。なお、図7ではストラップの領域を断面で表している。
基端側の輪状部21には連結金具41が接続されている。先端側の輪状部23には連結金具42がそれぞれ接続されている。連結金具41にはショックアブソーバ44を介してカラビナ45が接続されている。連結金具42にはフック43がそれぞれ接続されている。
基端側縫合部22と先端側縫合部24との間は、蛇腹構造が設けられている蛇腹形成領域25である。
図3に示すように、弾性部材13は、長尺の弾性体を基端側縫合部22に位置する領域が一重に、蛇腹形成領域25に位置する領域が二重になるように重ね合わせて接合することで形成されている。具体的には、二股のストラップ1,1を形成する長尺ストラップにおいて、基端側縫合部22と蛇腹形成領域25がそれぞれ形成される領域の配置は、基端側縫合部22が中央にあり、その両側に蛇腹形成領域25が位置する。そこで、長尺ストラップの各領域の配置位置にあわせ、長尺の弾性体の両端から中央に向けて、中央に基端側縫合部22に位置する一重領域13a、その両側に蛇腹形成領域25に位置する二重領域13bが形成されるように、所定の間隔をあけて、それぞれ折り畳む。そして、折り畳んだ箇所を重ね合わせて接合する。これにより、長尺の弾性体から弾性部材13が作製される。
重ね合わせた状態での接合S1は、一重領域と二重領域との境界における二重領域の際を縫製することが好ましい。
先ず、長尺で筒状の第一被覆部材11の内部に長尺の弾性体から形成された弾性部材13を格納する。
次いで、第一被覆部材11と弾性部材13とを接合する。具体的には、弾性部材13の一方の端部を第一被覆部材11の一方の先端側縫合部24と蛇腹形成領域25との境界に位置合わせする。そして、その状態で、第一被覆部材11と弾性部材13とを弾性部材13の一方の端部の位置で重縫合する。
続いて、弾性部材13は自然長状態のままで、第一被覆部材11を他方の端部側から一方の端部側へと手繰り寄せて縮ませ、弾性部材13の他方の端部を第一被覆部材11の他方の先端側縫合部24と蛇腹形成領域25との境界に位置合わせする。そして、その状態で、第一被覆部材11と弾性部材13とを弾性部材13の他方の端部の位置で重縫合する。この重縫合により、弾性部材13と重縫合された第一被覆部材11には、表裏両面に波状となった蛇腹構造が蛇腹形成領域25に形成される。
図4に示すように、第一被覆部材11と弾性部材13との重縫合S2は、先端側縫合部24と蛇腹形成領域25の境界近傍において行われる。
この覆った状態で、第二被覆部材12と第一被覆部材11とを接合する。具体的には、第一被覆部材11の一方の端部と第二被覆部材12の一方の端部とを位置合わせする。そして、その端部を折り返し、折り返し部分に輪状部23が形成されるように縫合する。
続いて、第一被覆部材11は、弾性部材13の自然長状態のままで、第二被覆部材12を他端の端部側から一方の端部側へと手繰り寄せて縮ませ、第二被覆部材12の他方の端部を第一被覆部材11の他方の端部に位置合わせする。そして、その端部を折り返し、折り返し部分に輪状部23が形成されるように縫合する。この縫合により、図4に示すように、長尺ストラップの両端に輪状部23と先端側縫合部24とが形成される。また、第一被覆部材11を覆う第二被覆部材12には、表裏両面に波状となった蛇腹構造が蛇腹形成領域25に形成される。
上記工程を経ることで、本実施形態の二丁掛けの伸縮式蛇腹状ランヤードAを得ることができる。
本実施形態では、第一被覆部材11及び第二被覆部材12の2層構造で形成されている外装部材に対し、蛇腹形成領域25に位置する領域が二重になるように長尺の弾性体を重ね合わせて形成した弾性部材13を用いている。この弾性部材13は高い弾性力を備えるため、外装部材が2層構造であっても蛇腹形成領域25の伸縮性は良好である。
また、基端側縫合部22には弾性部材13の一重領域を配置しているので、基端側縫合部22を形成する領域の厚みの増加が抑えられているため、基端側縫合部の加工性に優れる。
また、先端側縫合部24には弾性部材13が含まれないように配置しているので、先端側縫合部24を形成する領域の厚みの増加が抑えられているため、先端側縫合部の加工性も優れる。
また、基端側の輪状部21には、弾性部材13の一重領域を配置している。そのため、基端側輪状部21の厚みの増加が抑えられているので、従来の連結具またはフックを使用でき、専用の連結具やフックを新たに用意する必要はない。
更に、先端側の輪状部23には、弾性部材13が含まれないように配置している。そのため、先端側輪状部23の厚みの増加が抑えられているので、従来の連結具またはフックを使用でき、専用の連結具やフックを新たに用意する必要はない。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、第一被覆部材11と弾性部材13とを先端側縫合部24と蛇腹形成領域25との境界近傍で重縫合することで第一被覆部材11と弾性部材13とを接合させたが、これに限定されない。例えば、上記箇所での重縫合に加えて、基端側縫合部22と蛇腹形成領域25との境界近傍において重縫合してもよい。
例えば、第一被覆部材の内部に格納した弾性部材を伸張させ、その状態で第一被覆部材と弾性部材とを接合する。第一被覆部材と弾性部材との接合では、弾性部材を第一被覆部材の先端側縫合部と蛇腹形成領域との境界の長さまで伸張させる。具体的には、弾性部材の伸張は、一端が一方のストラップの先端側縫合部と蛇腹形成領域との境界であり、他端が他方のストラップの先端側縫合部と蛇腹形成領域との境界となるように伸張させる。この弾性部材を伸張させた状態で、先端側縫合部と蛇腹形成領域との境界において、第一被覆部材と弾性部材とを弾性部材の両端の位置で重縫合する。
続いて、第一被覆部材を第二被覆部材で覆うことにより得られる1本の長尺のストラップの両端をそれぞれ折り返し、その折り返し部分に輪状部が形成されるように縫合する。縫合後に弾性部材の伸張状態を解除することで、第一被覆部材及び第二被覆部材は、重縮合された箇所から弾性部材が自然長状態に戻る方向へと縮まり、表裏両面に波状となった蛇腹構造が蛇腹形成領域に形成される。
また、第一被覆部材11及び第二被覆部材12は合成繊維としたが、これに限定されない。伸縮式蛇腹状ランヤードAは規格に定められた強度を有する必要があり、主として第一被覆部材11及び第二被覆部材12が荷重を受け持つので、その幅と厚さは、摩耗や紫外線等による劣化を考慮したうえで、落下衝撃時に加わる荷重に耐えうる強度を有していればよい。
また、弾性部材13を構成する長尺の弾性体として弾性限界の高い天然ゴムに代えて、ある程度の弾性を有する合成ゴムを用いてもよい。合成ゴムは伸縮式蛇腹状ランヤードAの延伸状態と自然長状態の長さの差は小さくなるので、少々使い勝手は悪くなるが、繰り返し使用に対する耐久性は向上する。
また、ストラップ1の先端側にフック43、基端側にカラビナ45を接続した例を示したが、これに限定されない。先端側及び基端側の双方に同種類のフックを接続してもよいし、同種類のカラビナを接続してもよい。結果として、構造物にランヤードを連結することが可能であればよい。
11 第一被覆部材
12 第二被覆部材
13 弾性部材
13a 一重領域
13b 二重領域
21 輪状部
22 基端側縫合部
23 輪状部
24 先端側縫合部
25 蛇腹形成領域
26 拘持材
41 連結金具
42 連結金具
43 フック
44 ショックアブソーバ
45 カラビナ
A 伸縮式蛇腹状ランヤード
S1 長尺の弾性体を重ね合わせた状態での接合位置
S2 第一被覆部材と弾性部材との重縫合位置
Claims (3)
- 所望の位置で折り返され、二股に延出されたストラップを備えた伸縮式蛇腹状ランヤードにおいて、
前記ストラップは、長尺で筒状の第一被覆部材と、前記第一被覆部材と略同一長さを有し前記第一被覆部材を覆う第二被覆部材と、前記第一被覆部材の内部に格納された弾性部材とで構成され、
折り返し部分を縫合してその端部に輪状部を形成した基端側縫合部と、二股に延出された前記ストラップの先端を折り返し縫合してその先端に輪状部を形成した先端側縫合部と、前記基端側縫合部と前記先端側縫合部の間の蛇腹形成領域とを有し、
前記弾性部材は、長尺の弾性体を前記基端側縫合部に位置する領域が一重に、前記蛇腹形成領域に位置する領域が二重になるように重ね合わせて接合することで形成され、前記弾性部材は前記第一被覆部材より所定率短尺であり、
前記第一被覆部材の内部に格納された前記弾性部材の両端が前記第一被覆部材と接合された
ことを特徴とする伸縮式蛇腹状ランヤード。 - 前記第一被覆部材と前記弾性部材との接合は、
前記弾性部材の端部を前記第一被覆部材の前記先端側縫合部と前記蛇腹形成領域との境界に位置合わせした状態で、前記先端側縫合部と前記蛇腹形成領域との境界近傍において、前記第一被覆部材と前記弾性部材とを重縫合してなる
請求項1に記載の伸縮式蛇腹状ランヤード。 - 前記第一被覆部材と前記第二被覆部材とを構成する布地の色が互いに異なる
請求項1又は2に記載の伸縮式蛇腹状ランヤード。
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