以下、図面を参照しながら本発明を適用した実施形態について説明する。図1から図6に示すモール1は、車両ドア(図示略)の窓開口(図示略)の内縁に沿って装着される車両ドア用のモールである。以下の説明における車内側、車外側、内周側、外周側は、モール1が取り付けられる車両ドアを基準としたものである。車外側と車内側を結ぶ方向、すなわち車両ドアの厚み方向を、モール1における車幅方向とし、図面では両矢印Xで車幅方向を表している。窓開口の内側に向く側が内周側、窓開口の外側に向く側が外周側である。内周側と外周側を結ぶ方向を、モール1における高さ方向とし、図面では両矢印Yで高さ方向を表している。モール1の長手方向を、図面では両矢印Zで表している。車幅方向Xと高さ方向Yは、略垂直の関係にある。
具体的には、モール1は、ドア上縁のアッパサッシュに沿って取り付けられるアッパサッシュモールであり、内周側が概ねドアの下方、外周側が概ねドアの上方となる。図1及び図2に示すように、モール1は、長手方向Zに延設される長尺部材であるモール本体2の端部に、エンドキャップ(エンド部材)3を取り付けて構成される。モール本体2は、板状の金属材(ステンレスなど)をロール成形などで加工して形成されている。エンドキャップ3は、合成樹脂の成形品である。但し、モール本体2とエンドキャップ3の材質や製造の方法は、これに限定されない。
図1、図4及び図5は、モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付ける途中の状態を示し、図2、図3及び図6は、モール本体2へのエンドキャップ3の組み付けが完了した状態を示している。モール本体2の端部には、長手方向Zに対して略垂直な端末面2aが形成されており(図1参照)、端末面2aを覆うようにエンドキャップ3が組み付けられる。モール1の長手方向Zのうち、端末面2aに向く側を端末側とし、端末面2aと反対に向く側を奥側とする。
モール本体2は、車外側に位置する意匠部4と、意匠部4に対して車内側に突出して車幅方向Xに延びる車幅方向部5とを有する。意匠部4は、複数の壁部によって構成されており、車外側壁10と、内周湾曲部11と、折り返し壁12と、車内延設部13と、外周湾曲部14と、保持壁15と、対向壁16と、を有している。
車外側壁10は、意匠部4のうちで最も車外側に位置しており、モール1の長手方向Zに対して略垂直な断面(図3から図5)において、概ね高さ方向Yに延びている。モール1を車両ドアに取り付けたときに、車外側壁10の車外側の面が、車外側から視認される意匠面となる。
内周湾曲部11は、車外側壁10の内周側の端部から外周側へ屈曲して折り返されたU字状の形状である。折り返し壁12は、内周湾曲部11に続いて外周側に延びており、車外側壁10の車内側に位置する。折り返し壁12は、車外側壁10と略平行であり、端部12aを外周側に向けた片持ち形状の壁部である。車外側壁10の一部(内周側の端部付近)と折り返し壁12は、車幅方向Xに間隔を空けて対向する関係にある。
車内延設部13は、車外側壁10の外周側の端部から概ね車内側に延びている。より詳しくは、車内延設部13は、車外側壁10から離れて車内側に進むにつれて、外周側への突出量を大きくする傾斜を有している。外周湾曲部14は、車内延設部13の車内側の端部から内周側へ屈曲して折り返されたU字状の形状である。保持壁15は、外周湾曲部14に続いて車外側に延びており、車内延設部13の内周側に位置している。車内延設部13と保持壁15は、高さ方向Yに間隔を空けて対向する関係にある。対向壁16は、保持壁15の車外側の端部から概ね内周側に延びている。より詳しくは、対向壁16は、保持壁15から離れて内周側に進むにつれて、車内側への突出量を大きくする傾斜を有している。
意匠部4の内周側には、車外側壁10と内周湾曲部11と折り返し壁12により囲まれる内部空間S1が形成される。また、意匠部4の外周側には、車外側壁10と対向壁16の間に内部空間S2が形成され、車内延設部13と外周湾曲部14と保持壁15により囲まれる内部空間S3が形成される。内部空間S2と内部空間S3は連通して、L字状の空間を形成している。意匠部4は、車外側が車外側壁10で覆われ、高さ方向Yの両端に内部空間S1~S3を有する袋状の構造であり、内部空間S1と内部空間S2の間の領域は、車内側に向けて開放されている。
対向壁16の内周側の端部に続いて、車幅方向部5が車内側に向けて延びている。車幅方向部5は、車外側壁10と概ね垂直な関係の平板形状の壁部である。車幅方向部5には、高さ方向Yに貫通する嵌合穴17が形成されている。図1に示すように、嵌合穴17は平面視で略矩形の穴であり、嵌合穴17の内面には、車幅方向Xに離間してモール1の長手方向Zに延びる一対の穴縁部17a,17bと、長手方向Zに離間して車幅方向Xに延びる一対の穴縁部17c,17dが形成されている。
図1及び図2に示すように、モール本体2の端末面2aから奥側に向けて長手方向Zの所定の範囲では、車内側への車幅方向部5の長さが短くなっている。モール本体2の端部付近以外では、車幅方向部5の車内側の端部から屈曲して外周側に突出する保持壁部18が設けられている。つまり、車幅方向部5の車外側には、車内延設部13、外周湾曲部14、保持壁15、対向壁16によって外周側への突出部が形成され、車幅方向部5の車内側には、保持壁部18によって外周側への突出部が形成されている。この各突出部と車幅方向部5によってウェザストリップ保持部19が構成される。ウェザストリップ保持部19にはウェザストリップ(図示略)が保持される。ウェザストリップは、ドアを閉じたときに、ドアと車両ボディ(図示略)の間を水密状態でシールするものである。ウェザストリップの脚部が保持壁15や保持壁部18に係合することによって、ウェザストリップの脱落が規制される。
薄板状の金属材で形成されたモール本体2は、所定以上の外力を加えることで撓ませることが可能である。特に、車幅方向Xに対向する車外側壁10と折り返し壁12や、車幅方向Xに対向する車外側壁10と対向壁16や、高さ方向Yに対向する車内延設部13と保持壁15のように、内部空間(内部空間S1~S3)を挟んで対向している一対の壁部の間隔を変化させやすくなっている。
図1及び図2に示すように、エンドキャップ3は、モール本体2の端末面2aを覆うように位置する蓋部6と、蓋部6から突出して(モール1の長手方向Zに延びて)モール本体2に挿入される挿入部7とを有する。図3から図5に表れているのは、エンドキャップ3における挿入部7の断面形状である。挿入部7は、車外側壁20と、内周側壁21と、外周側壁22と、中間壁23と、車内側壁24と、を有している。
車外側壁20は、車外側に位置しており、モール1の長手方向Zに対して略垂直な断面(図3)において、概ね高さ方向Yに延びる高さ方向壁である。内周側壁21は、車外側壁20の内周側の端部から車内側に延びる車幅方向壁である。外周側壁22は、車外側壁20の外周側の端部から車内側に延びる車幅方向壁である。外周側壁22は内周側壁21よりも車内側へ長く延びている。中間壁23は、内周側壁21の車内側の端部から屈曲して外周側に延びる高さ方向壁であり、中間壁23の外周側の端部が、車幅方向Xにおける外周側壁22の途中位置に接続している。つまり、概ね車幅方向Xに延設される内周側壁21と外周側壁22を、概ね高さ方向Yに延設される車外側壁20と中間壁23で接続して、筒状部25が形成されている。閉鎖断面形状の筒状部25によって挿入部7の強度が向上する。
外周側壁22のうち、筒状部25を形成する車外側の領域を車外側領域22aとし、筒状部25よりも車内側に延びている領域を車内側領域22bとする。車外側領域22aよりも車内側領域22bの方が、高さ方向Yへの肉厚が大きく設定されている。車内側壁24は、車内側領域22bの車内側の端部から屈曲して内周側に延びている。車内側壁24は、車内側領域22b以外の部位には接続しない片持ち形状の突出部である。
エンドキャップ3の挿入部7にはさらに、第1突出部26と第2突出部27が設けられている。第1突出部26と第2突出部27は、モール本体2に対するエンドキャップ3の組み付け作業と、組み付け後のモール本体2によるエンドキャップ3の保持に関係する部位である。
第1突出部26は、外周側壁22の車内側領域22bから外周側へ突出する突起である。言い換えれば、第1突出部26の基部が外周側壁22である。図3に拡大して示すように、第1突出部26のうち車内側を向く面は、車幅方向Xと高さ方向Yのそれぞれに対して交差する傾斜面26aになっている。より詳しくは、傾斜面26aは、外周側壁22から外周側に突出するにつれて、車内側への突出量が大きくなる(オーバーハングする)傾斜形状である。また、第1突出部26のうち車外側を向く面は、外周側壁22から外周側に突出するにつれて、車内側に傾斜する形状の傾斜面26bになっている。傾斜面26aと傾斜面26bをつなぐ第1突出部26の天面部分は、車幅方向Xに延びる平面部26cになっている。
図6に示すように、第1突出部26はさらに、長手方向Zの端末側に向く面である傾斜面26dと、奥側に向く面である立壁面26eを有している。傾斜面26dは、外周側壁22から外周側に突出するにつれて、長手方向Zの奥側に傾斜する形状である。立壁面26eは、長手方向Zに対して略垂直な面である。
車幅方向Xにおいて、穴縁部17aから穴縁部17bまでの嵌合穴17の幅は、傾斜面26aから傾斜面26bまでの第1突出部26の幅よりも大きい(図3参照)。また、モール1の長手方向Zにおいて、穴縁部17cから穴縁部17dまでの嵌合穴17の長さは、傾斜面26dから立壁面26eまでの第1突出部26の長さよりも大きい(図6参照)。従って、嵌合穴17内に第1突出部26を挿入可能である。
第2突出部27は、車外側壁20と内周側壁21の境界付近から内周側に向けて突出する片持ち形状の突起である。第2突出部27の車外側の面は、車外側壁20の車外側の面よりも車外側に位置している。つまり、挿入部7のうち、第2突出部27が最も車外側に位置する部分である。第2突出部27の車内側の面と、内周側壁21の内周側の面との境界には、車内側及び内周側に向く凹状の角部28が形成されている。
ところで、モール本体2にエンドキャップ3を組み付ける際に、モール本体2の端末面2a側から長手方向Zにエンドキャップ3の挿入部7を挿入すると、金属製のエンドキャップ3の縁にエンドキャップ3が擦れて削れるおそれがある。また、モール本体2に挿入部7を挿入した後で、モール本体2の一部を折り曲げてエンドキャップ3の抜けを防ぐような加工(カシメ)を行うと、手間やコストがかかる。本実施形態のモール1は、このような不具合を伴わずに、モール本体2へのエンドキャップ3の組み付けの作業性と、組み付け後のエンドキャップ3の保持の安定性を向上させることが可能である。
図1に示すように、モール本体2にエンドキャップ3を組み付ける際には、挿入部7をモール本体2の車内側に位置させた上で、モール1の長手方向Zに向く回転中心を中心として、車外側に向けて(モール本体2の意匠部4に接近するように)エンドキャップ3を回転させる。このエンドキャップ3の回転の方向を、組み付け方向R1とする。
より詳しくは、図4に示すように、車内側壁24の先端を内周側に下げるようにエンドキャップ3を傾かせて、車外側壁10と折り返し壁12の間の内部空間S1に第2突出部27を進入させる。そして、折り返し壁12の外周側を向く端部12aに、角部28付近を当接させる。この状態から、折り返し壁12の端部12aと角部28の当接箇所を回転中心として、車外側壁20が車外側壁10に近づくように、エンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させる。組み付け方向R1への回転に伴って、エンドキャップ3の外周側壁22が、モール本体2の車幅方向部5に内周側から接近する。
エンドキャップ3を組み付け方向R1に所定量回転させると、図5に示すように、第1突出部26の平面部26cが、嵌合穴17の近傍で車幅方向部5に対して接触する。さらにエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させると、第1突出部26からの押し込みによってモール本体2が撓み、続いて第1突出部26が嵌合穴17に進入する。第1突出部26は、傾斜面26bが形成されていることによって、嵌合穴17の周辺に引っ掛からずにスムーズに嵌合穴17に進入することができる。
続いて、第2突出部27の車外側の面が車外側壁10の車内側の面に当接して、組み付け方向R1へのエンドキャップ3の回転が規制される(図3)。この状態で、第1突出部26の車内側を向く傾斜面26aが、嵌合穴17の穴縁部17aに当接する。車幅方向Xにおいて、第2突出部27の車外側の面と傾斜面26aとの間隔よりも、モール本体2の自由状態(エンドキャップ3を組み付ける前の状態)における車外側壁10の車内側の面と穴縁部17aとの間隔の方が、僅かに小さく設定されている。これにより、嵌合穴17への第1突出部26の挿入に伴って、モール本体2に車幅方向Xの撓みが生じる。
このモール本体2における車幅方向Xの撓みは、主に意匠部4の車外側壁10と対向壁16の間で生じ、第1突出部26が車幅方向部5を車内側に押し込もうとすることで、内部空間S2を車幅方向Xに拡大させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、穴縁部17aから傾斜面26aに伝えられて、第1突出部26が車幅方向部5から力を受けて車外側へ付勢される。付勢力の作用方向である車外側へのエンドキャップ3の移動は、車外側壁10に対する第2突出部27の当接によって規制される。従って、車幅方向部5から車外側への付勢力を受ける第1突出部26(特に、傾斜面26a)を第1の位置規制部とし、当該付勢力が作用する車外側への移動を意匠部4(車外側壁10)への当接で規制される第2突出部27を第2の位置規制部として、モール本体2に対するエンドキャップ3の車幅方向Xでの位置決めが行われる(図3に示す状態になる)。つまり、モール本体2の車幅方向部5(嵌合穴17の穴縁部17a)と意匠部4(車外側壁10)との間に、挿入部7(第1突出部26から第2突出部27までの部分)が挟んで保持されて、車幅方向Xでのエンドキャップ3の位置が定まる。第1突出部26の傾斜面26bと嵌合穴17の穴縁部17bの間には隙間があり、第2の位置規制部での位置決めには影響しない。
モール本体2の車幅方向部5から付勢力を受ける第1の位置規制部(第1突出部26)と、当該付勢力がモール本体2の意匠部4により受け止められる第2の位置規制部(第2突出部27)とを用いた位置決めによれば、エンドキャップ3を車幅方向Xにガタつかせることなく、高精度で安定した保持を実現することができる。
図3に拡大して示すように、第1突出部26の傾斜面26aは、穴縁部17aに当接した状態で、内周側への移動に対して抵抗を受ける(引っ掛かる)傾斜形状である。つまり、傾斜面26aは、車幅方向Xの付勢力を受けながら、高さ方向Yへの移動を制限する形状である。そのため、傾斜面26aが穴縁部17aから車外側へ付勢されている状態では、嵌合穴17から内周側に第1突出部26が離脱することが規制され、より優れたエンドキャップ3の安定性が得られる。
なお、モール本体2に対してエンドキャップ3を車幅方向Xで位置決めした状態(図3)で、意匠部4における車外側壁10と対向壁16は、自由状態よりも撓んだ(車幅方向Xの間隔を大きくした)関係であっても良いし、概ね自由状態での間隔に戻っても良い。いずれにせよ、車幅方向部5を介して第1突出部26に対して車外側への付勢力を付与する関係になっていれば良い。
また、高さ方向Yにおいて、エンドキャップ3における内周側壁21の内周側の面(角部28付近)と外周側壁22の外周側の面との間隔よりも、モール本体2の自由状態(エンドキャップ3を組み付ける前の状態)における折り返し壁12の端部12aと車幅方向部5の内周側の面との間隔の方が、僅かに小さく設定されている。これにより、図5の状態からエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて、組み付け方向R1へのエンドキャップ3の回転が規制される(第2突出部27の車外側の面が車外側壁10の車内側の面に当接する)際に、モール本体2に高さ方向Yの撓みが生じる。
このモール本体2における高さ方向Yの撓みは、主に意匠部4の車内延設部13と保持壁15の間で生じ、外周側壁22が車幅方向部5を外周側に押し込もうとすることで、車内延設部13と保持壁15を接近させて内部空間S3を高さ方向Yに縮小させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、車幅方向部5から外周側壁22に伝えられて、外周側壁22が車幅方向部5によって内周側へ付勢される。内周側へのエンドキャップ3の移動は、折り返し壁12の端部12aに対する内周側壁21の内周側の面(角部28付近)の当接によって制限される。従って、車幅方向部5から内周側への付勢力を受ける外周側壁22を第1の位置規制部とし、当該付勢力が作用する内周側への移動を意匠部4(折り返し壁12の端部12a)への当接で規制される内周側壁21を第2の位置規制部として、モール本体2に対するエンドキャップ3の高さ方向Yの位置決めが行われる(図3に示す状態になる)。つまり、モール本体2の車幅方向部5と意匠部4(折り返し壁12の端部12a)との間に、挿入部7(内周側壁21から外周側壁22までの部分)が挟んで保持されて、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置が定まる。
モール本体2の車幅方向部5から付勢力を受ける第1の位置規制部(外周側壁22)と、当該付勢力がモール本体2の意匠部4により受け止められる第2の位置規制部(内周側壁21)とを用いた位置決めによれば、エンドキャップ3を高さ方向Yにガタつかせることなく、高精度で安定した保持を実現することができる。
なお、モール本体2に対してエンドキャップ3を高さ方向Yで位置決めした状態(図3)で、意匠部4における車内延設部13と保持壁15は、自由状態よりも撓んだ(高さ方向Yの間隔を小さくした)関係であっても良いし、概ね自由状態の間隔に戻っても良い。いずれにせよ、車幅方向部5を介して外周側壁22に対して内周側(高さ方向Y)への付勢力を付与する関係になっていれば良い。
以上のように、モール1の長手方向Zに向く回転中心(角部28と折り返し壁12の端部12aの当接箇所)を中心としてエンドキャップ3を回転させることで、モール本体2にエンドキャップ3が取り付けられる。そして、車幅方向Xと高さ方向Yのいずれにおいても、撓みを解消しようとするモール本体2からエンドキャップ3の第1の位置規制部(第1突出部26、外周側壁22)に付勢力が作用し、モール本体2に対するエンドキャップ3の第2の位置規制部(第2突出部27、内周側壁21)の当接により付勢力の作用方向への移動を規制して、エンドキャップ3の位置を定める。そのため、エンドキャップ3の組み付け作業が簡単であり、回転動作による組み付けを行ったエンドキャップ3は、別途抜け止め用の加工や手段を要さずに、モール本体2に対して車幅方向Xと高さ方向Yの位置が安定して定まる。
モール本体2の撓みを利用してエンドキャップ3に付勢力を与えるので、独自の付勢部材を設ける必要がなく、少ない部品点数で高度な組み付け精度を実現できる。また、エンドキャップ3では、第1突出部26と第2突出部27によって車幅方向Xでの位置決め及び保持を行い、筒状部25を構成する内周側壁21と外周側壁22によって高さ方向Yでの位置決め及び保持を行うので、エンドキャップ3の挿入部7の構造がシンプルであり、製造の手間やコストを抑えることができる。
モール本体2に対してエンドキャップ3は、車幅方向Xと高さ方向Yに加えて長手方向Zでも、高い位置精度で安定して保持される。図6に示すように、第1突出部26を嵌合穴17に挿入したときに、第1突出部26のうち端末側の傾斜面26dが、嵌合穴17の穴縁部17cに当接する。傾斜面26dは、外周側に向けて嵌合穴17に挿入して穴縁部17cに当接したときに、第1突出部26を長手方向Zの奥側に押し込む力を生じさせる形状である。これにより、エンドキャップ3の挿入部7に対して長手方向Zの奥側へ引き込む力が加わり、エンドキャップ3の蓋部6がモール本体2の端末面2aに隙間なく接する状態を維持させることができる。
図6では、傾斜面26dのうち最も内周側付近(外周側壁22の外周側の面との境界付近)に対して穴縁部17cが当接する構成を示している。この構成とは異なり、外周側壁22から平面部26cまでの傾斜面26dの途中位置に、穴縁部17cが当接するように構成(設計)しても良い。この構成によれば、モール本体2に対するエンドキャップ3の位置に多少のばらつきがあっても、傾斜面26dに穴縁部17cを確実に当接させて、エンドキャップ3を長手方向Zの奥側へ引き込む力を生じさせることができる。
続いて、本発明を適用したモールの変形例を説明する。以下の各変形例で、先に説明した図1から図6の構成と共通する箇所については、同じ符号で示して説明を省略する。また、後出の変形例が先出の変形例と同様の構成要素を備えている場合は、先出の変形例と同じ符号を後出の変形例で用いている。
図7は、第1の変形例であるモール1Aを示している。モール1Aでは、エンドキャップ3が、第1突出部26及び第2突出部27とは別に第3突出部30を有している。第3突出部30は、車外側壁20の外周側の端部(車外側壁20と外周側壁22の境界付近)から車外側に向けて突出する突起である。モール本体2への組み付けの際にエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させると、第3突出部30が車外側壁10に当接してエンドキャップ3の回転が規制される。そして、第1突出部26と嵌合穴17の嵌合と、第2突出部27と車外側壁10の当接に加えて、第3突出部30と車外側壁10の当接によって、モール本体2に対するエンドキャップ3の車幅方向Xの位置が定まる。
モール1Aのように、エンドキャップ3の組み付けに際して回転規制を行う回転規制部(第3突出部30)と、第1の位置規制部への付勢力を受けて車幅方向Xの位置決めを行う第2の位置規制部(第2突出部27)を、別々の部位にすることも可能である。第3突出部30は、第2の位置規制部としても機能し、回転規制部と第2の位置規制部を兼ねた部位になる。モール1Aでは、第1突出部26と第2突出部27を車幅方向X及び高さ方向Yで離れた位置に配すると共に、これら2つの位置決め部から離れた位置に第3突出部30を配しているので、エンドキャップ3の安定性を高めやすい。
図8は、第2の変形例であるモール1Bを示している。モール1Bでは、第3突出部30が車外側壁10の車内側の面に当接してモール本体2に対するエンドキャップ3の回転が規制された状態で、筒状部25の内周側に設けた第4突出部31は、車外側壁10には当接せずに車内側に離間している。第4突出部31は、エンドキャップ3の組み付け時の回転中心となる角部28を形成するための部位であり、上述した第2突出部27とは異なり、回転規制部や車幅方向Xでの位置規制部としての役割を有さない。一方、第3突出部30が、回転規制部としての機能に加えて、車幅方向Xでの第2の位置規制部としての機能も有する。
図9は、第3の変形例であるモール1Cを示している。モール1Cでは、モール本体2の意匠部4における外周側部分の形状が異なっている。車外側壁10の外周側の端部から内周側へ屈曲して折り返されたU字状の外周湾曲部32と、高さ方向Yに延びて外周湾曲部32と車幅方向部5を接続する対向壁33とを有する。対向壁33は車外側壁10の車内側に対向して位置しており、車外側壁10と外周湾曲部32と対向壁33により囲まれる内部空間S4が形成される。
モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて組み付ける際に、車外側壁10から対向壁33を離間させようとする車幅方向Xの撓みが生じ、内部空間S4を車幅方向Xに拡大させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、車幅方向Xでの第1の位置規制部である第1突出部26の傾斜面26aへの付勢力として作用する。
モール1Cにおけるモール本体2は、内部空間S4付近で、高さ方向Yに離間して対向する一対の対向壁(モール1での車内延設部13と保持壁15)を備えていない。しかし、意匠部4に対して片持ち形状である車幅方向部5が、対向壁33との接続部付近を中心に傾く形態で高さ方向Yに撓むことが可能であり、当該撓みによって、車幅方向部5からエンドキャップ3の外周側壁22に対して内周側への付勢力を付与することが可能である。
図10は、第4の変形例であるモール1Dを示している。モール1Dでは、モール本体2のうち車幅方向部5の途中に、車幅方向Xに撓むことが可能な撓み部34を有している。より詳しくは、意匠部4の外周側部分は、外周側壁22の車外側領域22aに沿う形状になっており、外周側に突出していない。その代わりに、車幅方向部5の途中に、車外側領域22aに接する基端部分から外周側に突出する一対の対向壁34a,34bが設けられ、対向壁34aと対向壁34bの外周側の端部をU字状の湾曲部34cで接続して、撓み部34が構成されている。対向壁34aと対向壁34bと湾曲部34cにより囲まれる内部空間S5が形成される。
モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて組み付ける際に、撓み部34において対向壁34aから対向壁34bを離間させようとする車幅方向Xの撓みが生じ、内部空間S5を車幅方向Xに拡大させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、車幅方向Xでの第1の位置規制部である第1突出部26への付勢力として作用する。
モール1Dのように、車幅方向Xへの付勢力を発生させる撓み部34を、モール本体2の意匠部4ではなく、車幅方向部5に設けることも可能である。さらなる変形例として、エンドキャップ3との干渉が生じないことを前提として、図示の撓み部34とは逆に内周側へ突出する形状の撓み部を採用することも可能である。
図11は、第5の変形例であるモール1Eを示している。モール1Eでは、エンドキャップ3の挿入部7が、筒状部25の内側に突出する階段状部35を有している。階段状部35は、車外側壁20の内周側の端部から車内側に延びる車内延設部35aと、内周側壁21の車外側の端部から外周側に延びる外周延設部35bとを有し、車内延設部35aと外周延設部35bが交わる境界部分に、車外側及び内周側に向く凹状の角部36が形成されている。また、外周延設部35bと内周側壁21の境界付近から車外側に突出する第5突出部37が設けられている。
モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて組み付ける際に、折り返し壁12の車内側の面に対して第5突出部37を当接させ、当該当接箇所を回転中心としてエンドキャップ3を回転させる。折り返し壁12の端部12aが角部36付近に当接するまでエンドキャップ3を回転させると、それ以上の回転が規制される。つまり、エンドキャップ3のうち、折り返し壁12の端部12aに当接する車内延設部35aの内周側の面(角部36付近)は、組み付け方向R1へのエンドキャップ3の回転規制を行う回転規制部であると共に、高さ方向Yでの第2の位置規制部として機能する。また、エンドキャップ3のうち、折り返し壁12の車内側の面に当接する第5突出部37は、組み付け方向R1に回転させるときのエンドキャップ3の回転中心であると共に、車幅方向Xでの第2の位置規制部として機能する。
図12は、第6の変形例であるモール1Fの一部を示している。モール1Fでは、エンドキャップ3のうち、車幅方向Xでの第1の位置規制部を構成する第1突出部26が、車内側に向く傾斜面26fを有する。この傾斜面26fは、車幅方向Xと高さ方向Yのそれぞれに対して交差する傾斜面であるが、先に述べたモール1の傾斜面26a(図3参照)とは逆方向に傾斜した形状になっている。つまり、傾斜面26fは、外周側壁22から外周側に突出するにつれて、車外側に傾斜する形状である。
上述したように、モール1の傾斜面26aは。穴縁部17aに当接して車外側への付勢力を受けた状態で、嵌合穴17から離脱する方向(内周側)への第1突出部26の移動を規制する形状である。傾斜面26aとは逆の方向に傾斜する面であるモール1Fの傾斜面26fは、嵌合穴17から内周側に離脱する方向への第1突出部26の移動を規制するものではない。しかし、傾斜面26fによっても、穴縁部17aから車外側への付勢力を受けた状態で車幅方向Xの位置が定まるので、車幅方向Xでの第1の位置規制部として機能する。また、傾斜面26aと同様に、傾斜面26fは、車内側への付勢力から高さ方向Yへの分力を生じさせる形状であるため、車幅方向Xに加えて高さ方向Yでのエンドキャップ3の安定性向上に寄与する。
図13は、第7の変形例であるモール1Gの一部を示している。モール1Gを構成するモール本体2は、車幅方向部5の車内側の端部から内周側へ屈曲して折り返されたU字状の湾曲部40と、湾曲部40に続いて車外側に延びる折り返し壁41とを有している。車幅方向部5と湾曲部40と折り返し壁41により囲まれる内部空間S6が形成される。折り返し壁41は、端末の縁部41aを車外側に向けた片持ち形状の壁部である。
エンドキャップ3の外周側壁22の車内側領域22bには、階段状の段部38と段部39が形成されている。段部38は、車外側領域22aの外周側の面よりも内周側に下がった形状であり、段部39は、段部38よりもさらに内周側に下がった形状である。段部38と段部39の間に、車内側に向く段差面38aが形成されている。段差面38aは、車幅方向Xに対して略垂直な面である。
エンドキャップ3を回転させてモール本体2に組み付ける際に、折り返し壁41が段部39の外周側の面に当接し、折り返し壁41の縁部41aが段差面38aに当接する。この状態で、モール本体2の撓みを解消しようとする力によって、縁部41aから段差面38aに対して車外側への付勢力が作用し、段部38(段差面38a)が車幅方向Xでの第1の位置規制部になる。
モール1Gの折り返し壁41の縁部41aと、先に述べたモール1の嵌合穴17の穴縁部17aは、車外側に向く縁部という点で共通しており、そのいずれの構成でも、エンドキャップ3の車幅方向Xでの第1の位置規制部(第1突出部26、段部38)に対して付勢力を伝えることができる。つまり、エンドキャップ3の第1の位置規制部に当接するモール本体2側の部位は、嵌合穴17のような穴形状に限定されるものではない。
また、モール1Gでは、エンドキャップ3を回転させてモール本体2に組み付ける際に、折り返し壁41に車幅方向部5を接近させる高さ方向Yの撓みがモール本体2に生じ、内部空間S6を高さ方向Yに縮小させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、段部39を内周側に押し込む付勢力として作用する。従って、外周側壁22のうち、特に折り返し壁41に当接する段部39を、高さ方向Yでの第1の位置規制部として機能させることができる。
図14は、第8の変形例であるモール1Hを示している。モール1Hでは、エンドキャップ3の外周側壁22のうち車内側領域22bの外周側に、段差部42が形成されている。段差部42によって、車内側領域22bの外周側の面が、車外側領域22aの外周側の面よりも内周側に下がって位置しており、モール本体2にエンドキャップ3を組み付けた状態で、モール本体2の車幅方向部5の内周側の面と車内側領域22bの外周側の面との間に隙間がある。従って、外周側壁22のうち車外側領域22aが、高さ方向Yでの第1の位置規制部として機能するように、第1の位置規制部の範囲を特定した構成である。
図15は、第9の変形例であるモール1Iを示している。モール1Iでは、エンドキャップ3の外周側壁22のうち車外側領域22aの外周側に、凹部43が形成されている。凹部43によって、車外側領域22aの外周側の面が、車内側領域22bの外周側の面よりも内周側に位置しており、モール本体2にエンドキャップ3を組み付けた状態で、車幅方向部5の内周側の面と車外側領域22aの外周側の面との間に隙間がある。従って、外周側壁22のうち車内側領域22bが、高さ方向Yでの第1の位置規制部として機能するように、第1の位置規制部の範囲を特定した構成である。
図14のモール1Hや図15のモール1Iのように、第1の位置規制部の範囲を限定する構成によれば、第1の位置規制部の精度管理を行いやすいという利点がある。
図16は、第10の変形例であるモール1Jを示している。モール1Jでは、モール本体2において高さ方向Yの撓みを生じる箇所が、意匠部4の外周側の部分ではなく、意匠部4の内周側の部分に設けられている。意匠部4における外周側部分の形状は、図9のモール1Cと共通である。
モール1Jは、車外側壁10と折り返し壁12の間に、高さ方向Yに撓むことが可能な撓み部44を有している。撓み部44は、車外側壁10の内周側の端部から屈曲して車内側に向けて延びる対向壁44aと、折り返し壁12の内周側の端部から屈曲して車内側に向けて延びる対向壁44bと、対向壁44aと対向壁44bの車内側の端部を接続するU字状の湾曲部44cとを有している。対向壁44aと対向壁44bと湾曲部44cにより囲まれる内部空間S7は、内部空間S1に連通している。
モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて組み付ける際に、撓み部44において対向壁44aと対向壁44bを接近させようとする高さ方向Yの撓みが生じ、内部空間S7を高さ方向Yに縮小させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力で、折り返し壁12の端部12aが内周側壁21を外周側に向けて押し込む。外周側へのエンドキャップ3の移動は、外周側壁22が車幅方向部5に当接することで規制される。つまり、エンドキャップ3のうち内周側壁21が、高さ方向Yでの付勢力を受ける第1の位置規制部として機能し、外周側壁22が第2の位置規制部として機能する。
図17は、第11の変形例であるモール1Kを示している。モール1Kでは、モール本体2において高さ方向Yの撓みを生じる箇所が意匠部4の外周側の部分に設けられている点で、図1から図5に示すモール1と共通するが、当該箇所の形状が異なっている。
モール1Kは、車外側壁10の外周側の端部から内周側へ屈曲して折り返されたU字状の湾曲部45と、湾曲部45と車幅方向部5の間で高さ方向Yに延びる接続壁46とを有する。車外側壁10と湾曲部45と接続壁46により囲まれる内部空間S8が形成される。接続壁46の途中に、高さ方向Yに撓むことが可能な撓み部47が形成されている。より詳しくは、接続壁46の途中に、車外側に突出して内部空間S8内に入り込む一対の対向壁47a,47bが設けられている。一対の対向壁47a,47bは、高さ方向Yに離間しており、対向壁47aと対向壁47bの車外側の端部をU字状の湾曲部47cで接続して撓み部47になっている。対向壁47aと対向壁47bと湾曲部47cにより囲まれる内部空間S9が形成される。
モール本体2に対してエンドキャップ3を組み付け方向R1に回転させて組み付ける際に、対向壁47aと対向壁47bを接近させようとする高さ方向Yの撓みが生じ、内部空間S9を高さ方向Yに縮小させようとする力が働く。この撓みを解消しようとする力が、高さ方向Yでの第1の位置規制部である外周側壁22への付勢力として作用する。
モール1(図3)やモール1K(図17)では、エンドキャップ3で高さ方向Yの位置を定める2つの位置規制部(内周側壁21と外周側壁22)のうち、外周側の外周側壁22よりも外周側の位置に、モール本体2で高さ方向に撓む部分(内部空間S3や内部空間S9を囲む部分)が設けられている。そして、当該部分の撓みによって、外周側壁22に対して内周側への付勢力が作用する。
モール1J(図16)では、エンドキャップ3で高さ方向Yの位置を定める2つの位置規制部(内周側壁21と外周側壁22)のうち、内周側の内周側壁21よりも内周側の位置に、モール本体2で高さ方向に撓む部分(内部空間S7を囲む部分)が設けられている。そして、当該部分の撓みによって、内周側壁21に対して外周側への付勢力が作用する。
このように、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置決めに関しては、高さ方向Yにおいてモール本体2のどの箇所に撓み部分を設けるかによって、エンドキャップ3への付勢力の作用方向が異なる。これに応じて、エンドキャップ3での第1の位置規制部と第2の位置規制部の位置関係が変化する。
図18は、第12の変形例であるモール1Lを示している。図18に拡大して示すように、モール1Lでは、組み付け方向R1にエンドキャップ3を回転させてモール本体2に組み付けた状態で、折り返し壁12の端部12aと挿入部7の内周側壁21との間に隙間がある。つまり、端部12aと内周側壁21は、エンドキャップ3を高さ方向Yで位置決めしていない。
モール1Lを構成するエンドキャップ3は、外周側壁22の外周側の面がモール本体2の車幅方向部5の内周側の面に当接し(高さ方向Yで重なり)、車幅方向部5から外周側壁22に対して内周側への付勢力が加わる。図18に拡大して示すように、エンドキャップ3の傾斜面26aは、第1突出部26が嵌合穴17に挿入された状態で、穴縁部17aに係合して内周側への移動を規制する形状(車幅方向Xと高さ方向Yのそれぞれに対して交差する面)である。より詳しくは、穴縁部17aに対するオーバーハング形状である傾斜面26aが、穴縁部17aと車幅方向部5の外周側を向く面との境界部分(角部分)に対して係合することによって、内周側へのエンドキャップ3の移動が規制される。従って、車幅方向部5から内周側への付勢力を受ける外周側壁22(第1突出部26の基部)を第1の位置規制部とし、当該付勢力が作用する内周側への移動を車幅方向部5(穴縁部17a)への当接で規制される傾斜面26aを第2の位置規制部として、モール本体2に対するエンドキャップ3の高さ方向Yの位置決めが行われる。
図19は、第13の変形例であるモール1Mを示している。モール1Mは、図16のモール1Jの一部を変更したものである。モール1Mのモール本体2は、意匠部4を構成する対向壁33の内周側の端部に受け部48を有している。受け部48は、エンドキャップ3をモール本体2に組み付けた状態で、挿入部7の外周側壁22の外周側の面に対して当接する。
モール1Mでは、組み付け方向R1にエンドキャップ3を回転させてモール本体2に組み付ける際に、撓み部44が高さ方向Yに撓んで、折り返し壁12の端部12aから内周側壁21に対し、外周側に向けての付勢力が加わる。外周側へのエンドキャップ3の移動は、外周側壁22が受け部48に当接することで規制される。従って、折り返し壁12の端部12aから外周側への付勢力を受ける内周側壁21を第1の位置規制部とし、当該付勢力が作用する外周側への移動を受け部48への当接で規制される外周側壁22を第2の位置規制部として、モール本体2に対するエンドキャップ3の高さ方向Yの位置決めが行われる。
先に説明したモール1(図1から図6)などは、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置を決める第1の位置規制部及び第2の位置規制部が、モール本体2の意匠部4と車幅方向部5の一方と他方を当接の対象としている。これに対し、図18のモール1Lは、第1の位置規制部(外周側壁22)と第2の位置規制部(傾斜面26a)がいずれも、モール本体2のうち車幅方向部5の所定箇所(嵌合穴17の周辺領域と穴縁部17a)に当接して、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置を定めている。図19のモール1Mは、第1の位置規制部(内周側壁21)と第2の位置規制部(外周側壁22)がいずれも、モール本体2のうち意匠部4の所定箇所(折り返し壁12の端部12aと受け部48)に当接して、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置を定めている。このように、高さ方向Yでのエンドキャップ3の位置決めに関して、モール本体2の意匠部4と車幅方向部5に振り分けずに、意匠部4と車幅方向部5のいずれか一方に集約して、エンドキャップ3の第1の位置規制部と第2の位置規制部を当接させる構成を選択することも可能である。
以上の各変形例から分かる通り、車幅方向Xと高さ方向Yのそれぞれでエンドキャップ3の位置を定める第1及び第2の位置規制部や、組み付け時のモール本体2に対するエンドキャップ3の回転を規制する回転規制部や、第1の位置規制部に対する車幅方向Xや高さ方向Yへの付勢力を生じさせる構造などについては、様々な形態を用いることが可能である。また、上述した技術思想の範疇に含まれるものであれば、図示した構成以外でも本発明の適用例となる。
上記の実施形態や各変形例では、モール本体2の端部に組み付けられるエンド部材は、蓋部6と挿入部7を有するエンドキャップ3であるが、蓋部を備えないタイプのエンド部材に適用することも可能である。
上述したモール1(1A~1K)はアッパサッシュモールへの適用例であるが、本発明は、アッパサッシュモール以外のモールにも適用が可能である。例えば、窓開口の下縁に沿うベルトモールや、アッパサッシュモールとベルトモールを接続して窓開口のコーナー部に沿うフレームモールなどにも適用が可能である。さらに、車両用ドアのうち窓開口の周縁以外の箇所に取り付けられるモールや、ドア以外の車体部分に設けられるモールなどへの適用も可能である。つまり、本発明は、車両用のモール全般に適用が可能である。
また、本発明の実施の形態は上記実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施形態をカバーしている。