JP7477261B2 - ヒドロキシ化合物、その製造方法、樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

ヒドロキシ化合物、その製造方法、樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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本発明は、エポキシ樹脂またはマレイミド樹脂の硬化剤、改質剤等として有用なヒドロキシ化合物、これらを用いた樹脂組成物並びにその硬化物に関するものであり、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料、コーティング材料及び複合材料等のベース樹脂として好適に使用される。
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料があるが、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズは大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿化に加え、リードフレーム、チップ等の異種材料界面での接着性・密着性の向上が強く求められている。回路基板材料においても同様に、半田耐熱性向上の観点から低吸湿性、高耐熱性、高密着性の向上に加え、誘電損失低減の観点から低誘電性に優れた材料の開発が望まれている。これらの要求に対応するため、様々な新規構造のエポキシ樹脂及び硬化剤が検討されている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたエポキシ樹脂及び硬化剤が求められている。
耐熱性に優れる材料として、マレイミド化合物やポリマレイミド樹脂を必須成分とし、エポキシ樹脂等で改質した熱硬化性組成物が注目されており、例えば、エポキシ樹脂と反応性を有するヒドロキシフェニルマレイミドとポリマレイミド樹脂を併用し、エポキシ樹脂を組み合わせることにより、耐熱性、接着性、機械特性等の諸特性を改善する技術(特許文献1及び特許文献2)が知られている。しかしながら、前記ポリマレイミド樹脂、及びヒドロキシフェニルマレイミドを用いる手法は、ポリマレイミド樹脂、及びヒドロキシフェニルマレイミドが溶剤等への溶解性が低いことから、有毒な含窒素極性溶媒を使用しなければならないという欠点がある。また、無溶剤系で使用する場合、150℃以上の高温で溶融混合する必要があり、混練時に反応が進行し、増粘により充分な成型時間を確保できず、成型不良や不均一な組成物になるという欠点がある。また、上記の材料は、フィラー等の改質剤を添加した場合更に増粘を生じることから、添加剤の適応範囲に制約が出るという欠点がある。さらに、イミド基は吸湿性が高く、耐熱性と低吸水の両立が困難であった。特許文献3、4及び5にはアミノ基含有フェノール樹脂、イミド基含有フェノール樹脂が開示されているが、フェノール骨格とイミド骨格が交互共重合体となった構造を有しており、耐熱性は向上するものの、軟化点及び粘度が高くなり取扱い性が大幅に低下する問題があった。
特開平10-158363号公報 特開平7-268077号公報 特開平4-227624号公報 特開平7-10970号公報 特開平7-33858号公報
本発明の目的は、エポキシ樹脂や硬化剤に対する相溶性、溶剤溶解性が良好であり、100℃以下の溶融混練が可能な成形性に優れた新規なヒドロキシ化合物を提供することである。
本発明者等は、鋭意検討により、特定のイミド基を有するヒドロキシ化合物が、上記の課題を解決することが期待されること、そしてその硬化物が低誘電率、低誘電正接に効果を発現することを見出した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物に関する。
Figure 0007477261000001

(ZおよびZはそれぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を表し、互いに結合して環を形成しても良い。破線部は、単結合または二重結合を表す。Aは式(a)で表されるアラルキル基を表し、nは1~3の数を表す。)
Figure 0007477261000002

(ここで、RおよびRは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、Rは水素原子または炭素数1~6の炭化水素基を示す。)
本発明の別の態様は、下記一般式(2)で表されるヒドロキシ化合物である。
Figure 0007477261000003

(Rは、水素原子または炭素数1~6の炭化水素基を示す。A及びnは一般式(1)と同意である。)
また、本発明は、下記一般式(3)で表されるフェノール化合物と、アラルキル化剤を酸性触媒の存在下、130℃以下にて反応させることを特徴とする上記一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物の製造方法に関する。
Figure 0007477261000004

(ここで、Z、Z及び破線部は一般式(1)と同意である。)
上記ヒドロキシ化合物の製造方法において、アラルキル化剤としてはスチレンが好ましく挙げられる。
また本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなる樹脂組成物において、硬化剤の一部または全部として、上記のヒドロキシ化合物を必須成分としてなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。この樹脂組成物、又はその硬化物は電子材料用として適する。
また本発明は、上記のヒドロキシ化合物と、下記一般式(4)で表されるマレイミド化合物を含有することを特徴とするマレイミド樹脂組成物に関する。
Figure 0007477261000005

(式中、Rは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を示し、Xは直接結合、-O-、-S-、-SO-、-CO-、または二価の炭素数1~12の炭化水素基を示す。mは1~10の数である。)
また本発明は、上記のエポキシ樹脂組成物又はマレイミド樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする樹脂硬化物に関する。
本発明のヒドロキシ化合物は、耐熱性に優れたイミド骨格を有するとともに、アラルキル変性とすることでエポキシ樹脂や硬化剤に対する相溶性、溶剤溶解性が良好であり、100℃以下の溶融混練が可能である。また、その硬化物は低誘電率、低誘電正接という性質も有する。そのため、エポキシ樹脂またはマレイミド樹脂の硬化剤、改質剤等として有用であり、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料、コーティング材料及び複合材料等のベース樹脂として好適に使用できる。
本発明のヒドロキシ化合物のGPCチャート 本発明のヒドロキシ化合物のFD/MSスペクトル
まず、本発明のヒドロキシ化合物について説明する。
本発明のヒドロキシ化合物は、上記一般式(1)で表される。好ましいヒドロキシ化合物としては、上記一般式(2)で表される化合物がある。
一般式(1)において、ZおよびZはそれぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を表し、互いに結合して環を形成しても良い。破線部は、単結合または二重結合を表す。Aは式(a)で表されるアラルキル基を表し、nは1~3の数を表す。式(a)において、RおよびRは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、Rは水素原子または炭素数1~6の炭化水素基を示す。
本明細書中の化学式において、共通する記号は特に断りがない限り同じ意味を有する。
本発明のヒドロキシ化合物は、好適には一般式(3)で表されるメタ位にイミド基を有するフェノール化合物とアラルキル化剤を酸性触媒の存在下、130℃以下にて反応させることで得られる。
ここで、イミド基とは、下記式(b)で示される構造である。
Figure 0007477261000006

及びMは、それぞれ独立に、水素原子、C1~C12のアルキル基、フェニル基またはナフチル基である。また、M、Mが結合して環を形成してもよい。好ましくは、MとMが結合して、N原子を含む5員環を形成する構造である。
好ましい環構造を有するイミド基は、下記式(c)で示される。以下、式(c)で示される環構造を有するイミド基を、環状イミド基という。
Figure 0007477261000007

式中、ZおよびZはそれぞれ独立して、水素原子または一価の置換基を表し、互いに結合して環を形成しても良い。破線部は、単結合または二重結合を表す。
一般式(1)中のZ、Zおよび破線部は、式(c)のZ、Zおよび破線部と同意である。
およびZが一価の置換基である場合は、好ましくは、アルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくはC1~C6のアルキル基又はフェニル基である。ZおよびZが結合して環を形成し、環状イミド基のイミド環と縮合環を形成する場合は、この環は好ましくはベンゼン環、シクロヘキセン環、ノルボルネン環、又はメチルノルボルネン環であり、上記縮合環はこれらがイミド環と縮合した構造の縮合環である。
およびZが置換する環状イミド基において、破線は単結合または二重結合を示す。単結合の場合は、ZおよびZが結合する炭素は、1個の水素原子とも結合している。
一般式(1)において、イミド環又は縮合イミド環を形成する場合、下記の構造が好ましく例示される。マレイミド基、フタル酸イミド基、シトラコン酸イミド基、ナジック酸イミド基、又はメチルナジック酸イミド基等の他、ヘキサヒドロ無水フタル酸イミド基、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸イミド基等がある。これらの構造にさらに一価の置換基を有しても良い。これらの一価の置換基は好ましくはアルキル基又はフェニル基であり、さらに好ましくはC1~C6のアルキル基又はフェニル基である。
一般式(3)で表されるメタ位にイミド基を有するヒドロキシ化合物は、m-アミノフェノールのアミノ基とジカルボン酸無水物を反応させることにより得ることができる。
ここで使用できるジカルボン酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、シトラコン酸無水物、2,3-ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4-ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3-ジカルボンキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニルエーテル、2,3-ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4-ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3-ジカルボン酸フェニルフェニルスルホン無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3-ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4-ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2-ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8-ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2-アントラセンジカルボン酸無水物、2,3-アントラセンジカルボン酸無水物、1,9-アントラセンジカルボン酸無水物、シクロブタン-1,2-ジカルボン酸無水物、シクロブタン-1,3-ジカルボン酸無水物、1,2-シクロペンタンジカルボン酸無水物、1-メチル-1,2-シクロペンタンジカルボン酸無水物、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-メチルシクロヘキサン-1,2ジカルボン酸無水物、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、2-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、1-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸無水物、3-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,3-ジカルボン酸無水物、1,3-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、1,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、2,4-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、2,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、2,6-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸無水物、シクロヘキセニルコハク酸無水物、5-ビシクロ[2,2,1]ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-ビシクロ[2,2,1]ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、2-ビシクロ[2,2,2]オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物、5-ビシクロ[2,2,2]オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物等を挙げることができる。なかでも耐熱性向上に好適な化合物は無水マレイン酸、無水フタル酸および無水ナジック酸である。特に無水マレイン酸を用いた場合はマレイミド基が生成し、これを樹脂組成物に応用した場合、マレイミド基が硬化反応に関与するために、大幅な耐熱性の向上が期待できる。また、無水フタル酸および無水ナジック酸を用いた場合は、硬化物において耐湿性および耐熱性の向上が期待できる。また、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-メチルシクロヘキサン-1,2ジカルボン酸無水物等の脂環構造を有するジカルボン酸を用いた場合は、そのイミド基は低誘電率および低誘電正接が期待できる。
イミド化の反応は、まずアミノ基を含有するヒドロキシ化合物にカルボン酸無水物を付加反応させたのち、この付加物を加熱脱水閉環するか、酸性触媒の存在下、所定の溶媒中で加熱還流することにより脱水縮合させるものである。触媒を用いずに加熱脱水閉環する方法は、常圧もしくは減圧下において加熱脱水を行う。反応は通常無溶媒で行うが、反応に不活性な溶媒を使用してもよい。この方法では上記のカルボン酸無水物のいずれも使用できるが、不飽和脂肪族カルボン酸無水物を除くカルボン酸無水物はイミド化が容易である。特に、酸無水物である1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-メチルシクロヘキサン-1,2ジカルボン酸無水物等の液状のカルボン酸無水物を用いた場合は無溶媒で均一な反応をすることが可能である。一方、不飽和脂肪族カルボン酸無水物を用いる場合は高温下で自己重合反応が生じるため、150℃以下での反応が好ましく、130℃以下がより好ましい。
酸性触媒を用いて脱水閉環させる場合では、酸性触媒として、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、リンタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸等のハロゲン化カルボン酸、シリカアルミナ等の固体酸、カチオン型イオン交換樹脂等が使用できる。特に硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸が好適である。またこれらの酸は、アミンとの塩の形となっていてもよい。これらの酸性触媒は、その種類によっても異なるが、一般にジカルボン酸無水物と前記アミノ基含有ヒドロキシ化合物との合計量当り、0.1~10重量%の量で使用することが望ましい。触媒量が、0.1重量%よりも少ない場合には所望の触媒効果が達成されず、また10重量%より多く用いたとしても一定以上の効果が得られず、経済的に不利となるばかりか、残存触媒の除去が困難になる。
縮合反応に際して用いる溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素およびそのハロゲン化物、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アニソール、n-ブチルエーテル等の含酸素ないしは含硫黄極性溶媒が使用される。溶媒量は、一般に前記アミノ基含有樹脂およびカルボン酸無水物との合計量の1~20倍、特に2~10倍の範囲にあることが好適である。
反応温度は一般に80~200℃、好ましくは150~200℃である。加熱還流下で反応を行う場合の反応温度は、用いる溶媒等によっても若干異なるが、一般に80~190℃、特に100~160℃の範囲が好適である。圧力は、加圧、常圧、減圧のいずれでもよく、用いる溶媒と反応温度とに応じて適宜選択される。反応時間は、一般に0.5~20時間、特に1~15時間の範囲である。なお、ジカルボン酸無水物とアミノ基含有ヒドロキシ化合物の仕込み量は、アミノ基含有ヒドロキシ化合物に対して、ジカルボン酸無水物量を等量または、若干過剰とすることが好適である。一般には、モル基準で、アミノ基含有ヒドロキシ化合物中の全アミノ基に対して、カルボン酸無水物が1.0~1.5倍となるように仕込めばよい。縮合反応完了後、反応混合物を水洗して、残存触媒、未反応ジカルボン酸無水物を除去したのち、溶媒を留去して濃縮物を得る。なお、未反応ジカルボン酸無水物の除去は、ジカルボン酸無水物の沸点によって異なるが、減圧下150~250℃で行うこともできる。
イミド基を含有するフェノール化合物は、m-アミノフェノールのアミノ基部位が、ジカルボン酸無水物と反応した後に、一次的に生じるアミド基部位の少なくとも一部、好ましくは全部がイミド基となっている化合物である。イミド化後のアミノ基の量は可及的に少量であることがよく、アミン当量(g/eq.)として5000以上であることが好ましく、より好ましくは10000以上である。なお、アミン当量が5000以上であるようにイミド化することは難燃性、耐熱性向上の点で有利である。
一般式(3)で表されるフェノール化合物とアラルキル化剤との反応の際、アラルキル化剤の比率としては、フェノール化合物1.0モルに対するアラルキル化剤の使用割合は0.1~1.5モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.1~1.0モル、更に好ましくは0.3~0.8モルの範囲である。この範囲より少ない場合は、アラルキル化の効果が低いために溶剤溶解性等の改善が期待できず、この範囲より多い場合は、官能基密度が低くなり過ぎるために硬化性が低下する傾向がある。
ヒドロキシ化合物との反応に用いられるアラルキル化剤は、下記式(d1)または式(d2)で表される。
Figure 0007477261000008

(ここで、Rは水素原子又は炭素数1~6の炭化水素基を示し、RおよびRは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、Xはハロゲン、OHまたはORを示し、Rは炭素数1~6のアルキル基を示す。)
式(d1)で表わされる化合物をスチレン類という。スチレン類は、スチレン又は炭素数1~6の炭化水素基が置換したスチレンである。式(d1)において、Rは水素又は炭素数1~6のアルキル基が好ましく、より好ましくは水素である。Rは水素又は炭素数1~6のアルキル基またはフェニル基が好ましく、より好ましくは水素である。このスチレン類は少量の他の反応成分を含んでもよく、他の反応成分としては、ジビニルベンゼン、インデン、クマロン、ベンゾチオフェン、インドール、ビニルナフタレン等の不飽和結合含有成分があげられる。これらを配合する場合は、30wt%以下、好ましくは20wt%以下にとどめることがよい。
式(d1)で表されるアラルキル化剤としては、スチレン、スチレンのベンゼン環にC1~6のアルキル基が置換したアルキルスチレン、α-アルキルスチレン類等が挙げられるが、好ましくはアルキルスチレンまたはスチレンであり、より好ましくはスチレンである。
式(d2)で表されるアラルキル化剤としては、Xがハロゲン原子の場合、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイト、o-メチルベンジルクロライド、m-メチルベンジルクロライド、p-メチルベンジルクロライド、p-エチルベンジルクロライド、p-イソプロピルベンジルクロライド、p-tert-ブチルベンジルクロライド、p-シクロヘキシルベンジルクロライド、p-フェニルベンジルクロライド、α-メチルベンジルクロライド、α,α-ジメチルベンジルクロライド等が挙げられ、Xがアルコキシ基の場合、炭素数1~4のアルコキシ基であることが好ましく、ベンジルメチルエーテル、o-メチルベンジルメチルエーテル、m-メチルベンジルメチルエーテル、p-メチルベンジルメチルエーテル、p-エチルベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ベンジルイソプロピルエーテル、ベンジルn-プロピルエーテル、ベンジルイソブチルエーテル、ベンジルn-ブチルエーテル、p-メチルベンジルメチルエーテル等が挙げられ、Xが水酸基の場合、ベンジルアルコール、o-メチルベンジルアルコール、m -メチルベンジルアルコール、p-メチルベンジルアルコール、p-エチルベンジルアルコール、p-イソプロピルベンジルアルコール、p-tert-ブチルベンジルアルコール、p-シクロヘキシルベンジルアルコール、p-フェニルベンジルアルコール、α-メチルベンジルアルコール、α,α-ジメチルベンジルアルコール等が挙げられる。
アラルキル化反応の酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいはイオン交換樹脂、活性白土、シリカ-アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
この反応温度は40~130℃の範囲で行われる。より好ましくは、80℃~130℃である。これより低いと、反応性が低下し反応時間が長時間となる。また、これより高いと酸触媒による分解反応や重合反応が生じる可能性がある。
この反応は通常、1~20時間行われる。更に、反応の際には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
この反応を実施する具体的方法としては、全原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、または、フェノール化合物と触媒を装入し、所定の温度に保ちつつ、アラルキル化剤を滴下させながら反応させる方法が一般的である。この際、滴下時間は、1~10時間であり、好ましくは5時間以下である。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、触媒成分を取り除いた後、溶媒を留去させて本発明の樹脂を得ることができ、溶媒を使用しない場合は、直接熱時排出することによって目的物を得ることができる。
本発明のヒドロキシ化合物は、一般式(1)におけるnは1または2が主成分となる範囲であることが好ましい。より好ましくは、nが1の場合である。溶剤溶解性、樹脂との相溶性の改善はn=1で十分であり、n=2または3の場合はアラルキル基の立体障害のために水酸基の反応性が低下する。水酸基の反応性が低い場合、硬化物とした際に未硬化成分となり、耐熱性および機械物性を低下させてしまう懸念がある。一般式(1)におけるnは整数である。なお、一分子当たりの平均値をnで表す場合は、0.5~3.0の範囲であることが好ましい。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物またはマレイミド樹脂組成物について説明する。これらの樹脂組成物は、上記一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物を必須成分として含む。エポキシ樹脂組成物とマレイミド樹脂組成物の両者を言う場合は、本発明の樹脂組成物ともいう。
これらの樹脂組成物中において、一般式(1)で表されるヒドロキシ化合物の配合量は、通常、エポキシ樹脂またはマレイミド樹脂100重量部に対して2~200重量部、好ましくは5~150重量部の範囲である。これより少ないと難燃性、低誘電率、低誘電正接の効果が小さく、これより多いと成形性および硬化物の強度が低下する問題がある。
エポキシ樹脂組成物において、上記のヒドロキシ化合物以外の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。また前記の本発明のフェノール樹脂組成物を配合することもできる。
アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
上記エポキシ樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
上記エポキシ樹脂組成物に使用されるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するもの中から選択される。例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5’-テトラメチル-ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2' -ビフェノール、3,3',5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるフェノールアラルキル樹脂類のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から合成されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。より好ましいエポキシ樹脂は3,3',5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェノール、3,3',5,5’-テトラメチル-ビスフェノールF等から得られる結晶性エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック等の多官能樹脂から得られるエポキシ樹脂、フェノールアラルキル樹脂類、ビフェニルアラルキル樹脂類から得られるエポキシ樹脂等の常温で固体状エポキシ樹脂が挙げられる。
マレイミド樹脂組成物である場合、一般式(4)で表されるマレイミド化合物を含む。一般式(4)において、Rは水素原子、水酸基、メチル基、メトキシ基またはハロゲン原子を示し、Xは直接結合、-O-、-S-、-SO2-、-CO-、または二価の炭素数1~12の炭化水素基を示す。mは1~10の数である。
上記マレイミド化合物としては、例えば、N,N’-(4,4’-ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシン)フェニル]プロパン、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン等のビスマレイミド樹脂を挙げることができる。また、マレイミド、シトラコン酸イミド、イタコン酸イミド、ナジック酸イミド、メチルナジック酸イミド、cis-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸イミド等のモノイミド化合物でも良く、これら以外の従来公知のマレイミド樹脂を併用しても良い。
上記マレイミド化合物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いても良いが、溶解性や架橋反応の制御の観点からすると、1種のみを使用することが好ましい。
本発明の樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、樹脂成分の合計100重量部に対して、1~30重量部の範囲である。
また、本発明の樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。
顔料としては、有機系又は無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、樹脂成分の合計100重量部に対して、0.01から5重量部の範囲である。また、本発明のマレイミド樹脂組成物にはラジカル反応活性剤等の重合剤を配合することができる。
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明の樹脂組成物は、有機溶剤の溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布、等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
本発明の樹脂組成物を加熱硬化又は加熱重合(又は光重合)させれば、本発明の樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は低吸湿性、高耐熱性、密着性、難燃性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120~220℃の範囲である。
本発明のヒドロキシ化合物は他の多価フェノール類と混合することでフェノール樹脂組成物とすることもできる。アミノ基又はイミド基含有樹脂の含有率は、他の多価フェノール類100重量部に対し、2~200重量部、好ましくは5~100重量部、更に好ましくは10~80重量部の範囲である。これより少ないと低吸湿性、耐熱性、密着性、及び難燃性等の改質効果が小さく、これより多いと粘度が高くなり成形性が低下する。
ここで言う他の多価フェノール類は、先のエポキシ樹脂組成物の硬化剤の例として説明した多価フェノール類と同じものが使用できる。
上記のフェノール樹脂組成物は、ヘキサメチルテトラミン等のフェノール樹脂成形材料に一般的に用いる硬化剤と併用することにより、フェノール樹脂硬化物とすることができる。
合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。特に断りがない限り「部」は重量部を表し、「%」は重量%を表す。また、測定方法はそれぞれ以下の方法により測定した。
1)水酸基当量の測定
電位差滴定装置を用い、1,4-ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルでアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で分解して0.5mol/L-水酸化カリウムを使用して滴定した。単位はg/eq.である。
2)アミン当量の分析
1,4-ジオキサンを溶媒に用い、0.1M過塩素酸-酢酸溶液による電位差滴定により求めた。
3)融点
示差走査熱量分析装(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000 DSC/6200)により、昇温速度5℃/分の条件で、DSCピーク温度を求めた。すなわち、このDSCピーク温度を樹脂の融点とした。
4)溶融粘度
BROOKFIELD製、CAP2000H型回転粘度計を用いて、150℃にて測定した。
5)GPC測定
本体(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)にカラム(東ソー株式会社製、TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXL)を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフラン(THF)を使用し、1mL/分の流速とし、検出器は示差屈折率検出器を使用した。測定試料はサンプル0.1gを10mLのTHFに溶解し、マイクロフィルターで濾過したものを50μL使用した。データ処理は、東ソー株式会社製GPC-8020モデルIIバージョン6.00を使用した。
6)軟化点
JIS-K-2207に従い環球法にて測定した。
7)FD-MS測定
質量分析計JMS-T100GCV(日本電子社製)を用いて測定した。試料をアセトンに溶解し、測定に供した。
8)ガラス転移点(Tg)
熱機械測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製 EXSTAR6000TMA/6100)により、昇温速度10℃/分の条件でTgを求めた。
9)5%重量減少温度(Td5)、残炭率
熱重量/示差熱分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製 EXSTAR6000TG/DTA6200、)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件において、5%重量減少温度(Td5)を測定した。また、700℃における重量減少を測定し、残炭率として算出した。無機フィラーを有する組成物の場合は、無機フィラーを除いた樹脂成分に換算することで、樹脂成分の残炭率を算出した。
10)誘電率および誘電正接
誘電率及び誘電正接:IPC-TM-650 2.5.5.9に準じてマテリアルアナライザー(AGILENT Technologies社製)を用い、容量法により周波数1GHzにおける誘電率及び誘電正接を求めることにより評価した。
11)吸水率
25℃、相対湿度50%の条件を標準状態とし、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
合成例1
1000mlの4口フラスコに、m‐アミノフェノール200.0g、トルエン50.0gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら110℃まで昇温し、4-メチルシクロヘキサン-1,2ジカルボン酸無水物323.9gを徐々に3時間かけて滴下し、10時間反応させた。この間、生成する水はトルエンとの共沸により系外に除き、トルエンは系内に戻した。反応後、水洗により過剰の酸無水物を除去し、トルエンと水を減圧留去して、淡褐色固体のフェノール化合物1を481.1g得た。そのフェノール化合物の水酸基当量は291であり、DSC測定結果におけるピーク温度は150℃であった。また、アミン当量が10万以上であり、アミノ基がほぼ全量反応していることを確認した。
実施例1
1000mlの4口フラスコに、合成例1で得られたフェノール化合物300.0g、トルエン30.0gを仕込み、窒素気流下、撹拌しながら120℃まで昇温し、p-トルエンスルホン酸0.11gを加えた。次に、120℃にて撹拌しながらスチレン74.8gを3時間かけて滴下し反応させた。さらに、120℃にて3時間反応後、MIBK450gに溶解させ、80℃にて水洗を行い、MIBKを減圧留去することで、淡褐色固体のヒドロキシ化合物2を370g得た。このヒドロキシ化合物2の水酸基当量は378であり、軟化点は56℃であった。GPCチャートを図1に、FD-MSを図2に示す。一般式(1)におけるn=1成分が最も多く、n=2、n=3の成分を含むことが分かる。また、n=0成分を含み、nの平均値は約0.7と計算される。
溶剤溶解性の確認
溶剤溶解性の判定は、溶剤(メチルエチルケトン、トルエン、シクロペンタノン)5gに実施例1で得たヒドロキシ化合物2、合成例1で得たフェノール化合物1、およびN,N’‐ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI;大和化成工業製)を、それぞれ固形分濃度で30重量%、50重量%、75重量%となるように投入し、室温下で十分に撹拌した後、不溶分を目視で確認した。不溶分がある場合を×、ない場合を〇とした。また、不溶分が確認されたものを60℃に加熱した際に不溶分の溶解が確認されたものを△とした。また、融点(mp)又は軟化点(sp)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007477261000009
実施例2~4及び比較例3~4
エポキシ樹脂として、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)を用い、硬化剤成分として、合成例1で得たフェノール化合物1、合成例2で得たヒドロキシ化合物2、およびフェノールノボラック樹脂(PN;水酸基当量105、軟化点67℃)を用いた。硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表2に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。表中の数値は配合における重量部を示す。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて5時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。
Figure 0007477261000010
これらの結果から明らかなとおり、実施例で得られるヒドロキシ樹脂は溶剤溶解性に優れ、軟化点が100℃以下であることから、100℃での溶融混練時に均一な組成物が得られる。また、その硬化物は低誘電率、低誘電正接であり、イミド基含有樹脂の課題である吸水率の悪化を抑えることが分かった。

Claims (4)

  1. 下記一般式(2)で表され、軟化点が100℃以下であるヒドロキシ化合物の組成物
    Figure 0007477261000011
    (Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す。Aは式(a)で表されるアラルキル基を表し、nは1~3の整数を表す。但し、nが1である成分が最も多い。)
    Figure 0007477261000012
    (ここで、R およびR は水素原子を示し、R は水素原子またはメチル基を示す。)
  2. 下記一般式(2)で表され、軟化点が100℃以下であるヒドロキシ化合物の組成物の製造方法であって、一般式(2)において、nが0であるフェノール化合物と、スチレンを酸性触媒の存在下、130℃以下にて反応させることを特徴とするヒドロキシ化合物の組成物の製造方法。
    Figure 0007477261000013
    (Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示す。Aは式(a)で表されるアラルキル基を表し、nは1~3の整数を表す。但し、nが1である成分が最も多い。)
    Figure 0007477261000014
    (ここで、R およびR は水素原子を示し、R はメチル基を示す。)
  3. エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の一部または全部として、請求項1に記載のヒドロキシ化合物の組成物を必須成分として含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする樹脂硬化物。
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