JP7158228B2 - 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造方法、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造方法、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、低熱膨張性に優れるとともに、難燃性、低吸水性、高温低弾性、低誘電性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂、その中間体として適する多価ヒドロキシ樹脂、それらの製造方法、これらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関する。
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に電子材料があるが、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズは大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿化に加え、リードフレーム、チップ等の異種材料界面での接着性・密着性、またパッケージクラック防止から低弾性などの向上が強く求められている。回路基板材料においても、半田耐熱性向上の観点から低吸湿性、高耐熱性、高密着性の向上に加え、誘電損失低減の観点から低誘電性に優れた材料の開発が望まれている。これらの要求に対応するため、様々な新規構造のエポキシ樹脂及び硬化剤が検討されている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたエポキシ樹脂及び硬化剤が求められている。
このような特性を有する樹脂としては、置換基を有する芳香族炭化水素とホルムアルデヒドとを反応させて得られる芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂にビスフェノール類を酸触媒で反応させて得られる芳香族炭化水素変性フェノール樹脂を主成分とするエポキシ樹脂硬化剤(特許文献1)が知られている。しかしながら、官能基濃度に準じてガラス転移温度は高いものの、吸水率や誘電特性や難燃性は改善の余地がみられる。加えてエポキシ樹脂としての機能評価についての記載はない。一方、メシチレン、キシレン、トルエンおよびナフタレンを主成分とする芳香族炭化水素と、パラホルムアルデヒドと酸触媒の存在下に反応させて得られる芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、更にその芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂と、フェノール類とを酸触媒の存在下に反応させたフェノール樹脂(特許文献2)が知られているが、反応後に高温下でスチーム処理工程により残存する未反応物の除去や、高分子量物を分解させての分子量制御が必要であり、製造工程の煩雑化や品質制御において満足いくものではなかった。さらには、芳香族性を高めた2~3環の多環芳香族化合物とフェノール及びメタ置換のアルキルフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種のフェノール類をホルムアルデヒドで縮合した芳香族オリゴマー(特許文献3)が知られているが、フェノール性水酸基濃度が低いため硬化物の耐熱性や低熱膨張性に改善の余地がみられる。またいずれの特許文献に記載された樹脂を用いたエポキシ樹脂硬化物評価においても、低誘電特性や低熱膨張性に更なる改善の余地がみられる。
特開平5-117370号公報 特開平7-242719号公報 特開2003-55423号公報
本発明は、誘電特性や低熱膨張性に優れ、低吸水性、高温低弾性および難燃性をバランスさせた新規な多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、およびエポキシ樹脂と、反応後のモノマー除去工程の必要がなく生産性に優れるそれらの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、一般式(1)のナフタレン化合物と、一般式(2)で表されるフェノール性化合物を反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂およびそれから得られるエポキシ樹脂が、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
本発明は、下記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と、下記一般式(2)で表されるフェノール性化合物を反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂である。
Figure 0007158228000001

(R、R、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を示し、Rは水素を示す。mは0~15の数、nは1~15の数を示す。また、pは0~10、qは1~15の数を示す。)
上記フェノール性化合物は、下記一般式(3)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける測定において二核体含有率が17面積%以下、三核体含有率が38面積%以上、四核体以上の含有率が45面積%以下の割合で構成される狭分散型のフェノールノボラック樹脂であることができる。
Figure 0007158228000002

(式中、rは1~6の数を示す。)
上記フェノール性化合物は、下記一般式(4)で表されるo-クレゾールノボラック樹脂であることができる。
Figure 0007158228000003

(式中、qは1~15の数を示す。)
また本発明は、上記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と、一般式(2)で表されるフェノール性化合物とを、0.005~10wt%の酸触媒の存在下、反応温度50~200℃で反応させることを特徴とする多価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
一般式(1)で表されるナフタレン化合物1重量部に対し、一般式(2)で表されるフェノール性化合物は0.2~2.0重量部で反応させることができる。
また本発明は、上記の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させて多価ヒドロキシ樹脂の水酸基を、グリシジルエーテル基としたものであることを特徴とするエポキシ樹脂である。
更に本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の一部又は全部として、上記の多価ヒドロキシ樹脂を必須成分として含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。また本発明は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の一部又は全部として上記のエポキシ樹脂を配合してなるエポキシ樹脂組成物である。
また本発明は、これらのエポキシ樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物である。
本発明によれば、低熱膨張性や誘電特性、高温低弾性さらに難燃性に優れる新規な多価ヒドロキシ樹脂及びそのエポキシ樹脂が実現される。したがって、これらの樹脂は、これらの特性が要求される分野(例えば電気用絶縁材料、レジスト用樹脂、半導体用封止樹脂、プリント配線板用接着剤、電気機器・電子機器・産業機器等に搭載される電気用積層板及びプリプレグのマトリックス樹脂、ビルドアップ積層板材料、繊維強化プラスチック用樹脂、液晶表示パネルの封止用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、電子部品の積層板、成形品、皮膜材、封止材など)で使用する熱硬化性樹脂として有用である。
実施例1で得た多価ヒドロキシ樹脂のGPCチャート 実施例2で得た多価ヒドロキシ樹脂のGPCチャート 実施例3で得た多価ヒドロキシ樹脂のGPCチャート 実施例4で得た多価ヒドロキシ樹脂のGPCチャート
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂およびエポキシ樹脂とその製造方法を説明する。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、上記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と一般式(2)で表されるフェノール性化合物の反応により得られる。
一般式(1)で表されるナフタレン化合物としては、特許文献3に開示されている化合物を使用することができる。このナフタレン化合物は、ナフタレンおよびアルキルナフタレンの芳香族炭化水素と、フェノール及びアルキルフェノール類からなる群から選択される1種のフェノール類を、ホルムアルデヒドで縮合して得ることができる。この縮合反応は、芳香族炭化水素成分を1モルとした場合、フェノール類成分を0.01~0.35モル、ホルムアルデヒド分を0.5~2.0モル使用して、酸触媒の存在下にて反応させることが適する。
一般式(1)において、R1、は独立に水素又は炭素数1~8の炭化水素基を示し、mは0~15の数、nは1~15の数、pは0~10の数を示す。好ましくは、R1、は水素又は炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。
上記ナフタレン化合物の反応原料としては、例えばナフタレンを90%以上含有する芳香族炭化水素油又は高純度品であってもよいが、これを主として含む芳香族炭化水素油であってもよい。ナフタレンを含有する芳香族炭化水素油等は、芳香族炭化水素が主成分であることはもちろんであるが、N、S、O等を環構成成分として含むヘテロ芳香族化合物や、これらを構成成分として含む官能基を有する芳香族化合物が含まれうる他、反応性のない脂肪族炭化水素等が含まれてもよい。なお、未精製の芳香族炭化水素油中にはフェノール類が含有されることがありうるが、これはフェノール類として計算する。ナフタレンを90%以上含有する芳香族炭化水素油は、精製ナフタレンであってもよいが、好ましい例としては、95%級ナフタレン等が挙げられる。これには、その他の成分としてベンゾチオフェンやメチルナフタレン等が含まれ得る。
ナフタレン化合物を得るために使用するフェノール類は、フェノールの他、クレゾール類などのアルキルフェノール類が使用できるが、フェノールや炭素数1~8のアルキル基が1個置換したアルキルフェノール等の1価フェノールが反応性、得られた化合物の物性などの面から望ましい。
ナフタレン化合物を得るために使用するホルムアルデヒド類は、ホルムアルデヒド自体又は反応系でホルムアルデヒドを生成するものであればよく、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が使用できるが、反応性などからパラホルムアルデヒドが有利である。
一般式(1)で表されるナフタレン化合物と反応させて多価ヒドロキシ樹脂を得るために使用するフェノール性化合物は、一般式(2)で表される2価以上のフェノール性化合物又は樹脂である。フェノールノボラック樹脂や、アルキルフェノールノボラック樹脂の他、各種ビスフェノール類まで幅広く使用できる。硬化物製造作成時の反応性や作業性、さらに硬化物特性などから狭分散型フェノールノボラック樹脂やクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
一方、難燃性や低熱膨張性などの機能低下からビスフェノールAは好ましくない。
これらの2価以上のフェノール性化合物は、反応後に残存する未反応物の除去が不要であり分子量制御が容易となるため製造工程の簡略化や品質の安定化に優れ、硬化物特性では耐熱性や難燃性及び低熱膨張率の点で優れる。
上記フェノール性化合物の具体例としては、ビスフェノールF、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても、必要に応じて2種類以上を用いてもよい。
これらの中で特にフェノールノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂が、流動性および難燃性や電気特性の点で優れる。
上記フェノールノボラック樹脂としては、一般式(3)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における測定において二核体含有率が17面積%以下、三核体含有率が38面積%以上、四核体以上の含有率が45面積%以下の割合で構成される狭分散型のフェノールノボラック樹脂であることが好ましい。ここで、二核体とは、一般式(3)においてq=1の成分、三核体とは、一般式(3)においてq=2の成分、四核体とは、一般式(3)においてq=3の成分をいう。二核体含有率が17面積%以下、三核体含有率が38面積%以上、四核体以上の含有率が45面積%以下の割合で含まれることで、硬化剤の粘度が高くなりすぎず、ハンドリング性、優れた硬化物物性発現することができる。
また上記クレゾールノボラック樹脂としては、上記一般式(4)で表されるクレゾールノボラック樹脂を使用することで耐熱性に優れ高い難燃性や電気特性を発現することができる。
一般式(2)において、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を示し、Rは水素を示す。Rは好ましくは水素又は炭素数1~6のアルキル基又はフェニル基である。一般式(2)及び(4)において、qは1~15の数を示す。好ましくは、qは1~6の数を示す。一般式(3)において、rは1~6の数を示す。
上記多価ヒドロキシ樹脂は、上記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と、一般式(2)で表されるフェノール性化合物とを、酸触媒の存在下で反応させることにより得られる。
この反応で使用する触媒は酸触媒であり、酸触媒としては、硫酸、燐酸、塩酸等の無機酸、しゅう酸、トルエンスルホン酸等の有機酸、シリカ-アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、酸性白土等の固体酸などが使用できるが、トルエンスルホン酸、硫酸等が好ましい。酸触媒の使用時は溶媒や水で希釈して溶液として使用もできる。
反応条件は、使用する原料、触媒によって異なるが、反応温度が50~200℃、反応時間は0.5~10時間程度が一般的である。この反応で使用する酸触媒の使用量は、酸触媒の種類によって異なるが、一般に反応原料の0.005~10wt%程度(水分を含まない酸触媒換算)である。
この反応では、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
このようにして得られる多価ヒドロキシ樹脂の水酸基当量(g/eq.)は、170~500の範囲にあることがよく、より好ましくは200~450の範囲である。水酸基当量がこの範囲より低いと高度な難燃性は得られ難く、この範囲より高いと高度な難燃性は得られるが硬化性に劣り、上記用途での使用が困難になる傾向がある。また、軟化点は50~150℃であることがよく、好ましくは60~120℃の範囲である。ここで、軟化点は、JIS-K-2207の環球法に基づき測定される。これより低いと、これをエポキシ樹脂組成物に配合したとき、硬化物の耐熱性が低下し、これより高いと成形時の流動性が低下する。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、通常の多価ヒドロキシ樹脂と同様な用途に使用することができるが、エポキシ樹脂の硬化剤として適する他、エポキシ樹脂の原料とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、上記多価ヒドロキシ樹脂の水酸基をグリジルエーテル化することにより得ることができる。また、本発明の多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンと反応させる反応の他、多価ヒドロキシ樹脂とハロゲン化アリルを反応させ、アリルエーテル化合物とした後、過酸化物と反応させる方法で得ることもできる。
上記多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンと反応させる反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
例えば、多価ヒドロキシ樹脂を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、20~150℃、好ましくは、30~100℃の範囲で1~10時間反応させる方法が挙げられる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂の水酸基1モルに対して、0.8~1.5モル、好ましくは、0.9~1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンは多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して過剰に用いられるが、通常、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、1.5~30モル、好ましくは、2~15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をブタノール、トルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
このようにして得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は、200~600の範囲にあることがよく、より好ましくは250~500の範囲である。エポキシ当量がこの範囲より低いと高度な難燃性は得られ難く、この範囲より高いと高度な難燃性は得られるが、硬化性に劣り、上記用途での使用が困難になる傾向がある。
更に、エポキシ樹脂の軟化点は40~150℃であることがよく、好ましくは50~120℃の範囲である。ここで、軟化点は、JIS-K-2207の環球法に基づき測定される。これより低いとエポキシ樹脂組成物に配合したとき、硬化物の耐熱性が低下し、これより高いと成形時の流動性が低下する。
本発明のエポキシ樹脂の純度、特に加水分解性塩素量は、適用する電子部品の信頼性向上の観点より少ない方がよい。特に限定するものではないが、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。なお、本発明でいう加水分解性塩素とは、以下の方法により測定された値をいう。すなわち、試料0.5gをジオキサン30mlに溶解後、1N-KOH、10mlを加え30分間煮沸還流した後、室温まで冷却し、さらに80%アセトン水100mlを加え、0.002N-AgNO3水溶液で電位差滴定を行い得られる値である。
次に、本発明のエポキシ樹脂組成物について説明する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤を必須成分として含み、硬化触媒や無機充填剤、および各種添加剤を含む。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂及び硬化剤を含むものであるが、次の3種類がある。
1)エポキシ樹脂の全部又は一部として本発明のエポキシ樹脂を配合した組成物。
2)硬化剤の全部又は一部として本発明の多価ヒドロキシ樹脂を配合した組成物。
3)エポキシ樹脂及び硬化剤の全部又は一部として本発明のエポキシ樹脂と本発明の多価ヒドロキシ樹脂を配合した組成物。
上記2)、3)において、硬化剤の全量として、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を用いる場合、通常、配合量は、多価ヒドロキシ樹脂の水酸基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、通常、0.2~5.0の範囲であり、好ましくは0.5~1.5の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
硬化剤として、本発明の効果を阻害しない限り、その他の硬化剤を使用又は併用することができる。その他の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。以下に、硬化剤の具体例を示す。
酸無水物類としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'-ビフェノール、2,2'-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'-ビフェノール、2,2'-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレンジクロライド、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチルナフタレン等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
アミン類としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。上記組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
そして、本発明の多価ヒドロキシ樹脂を必須成分とする組成物の場合、この多価ヒドロキシ樹脂の配合量は硬化剤全体中、50~100wt%、好ましくは60~100wt%の範囲であることがよい。
上記1)及び3)の組成物の場合、本発明のエポキシ樹脂を必須の成分として含む。このエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、本発明の効果を阻害しない限り、本発明のエポキシ樹脂以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。
この場合の別種のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5'-テトラメチル-ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2' -ビフェノール、3,3',5,5'-テトラメチル-4,4'-ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるフェノールアラルキル樹脂類のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から合成されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のエポキシ樹脂を必須成分とする組成物の場合、この別種のエポキシ樹脂の配合量はエポキシ樹脂全体中、50~100wt%、好ましくは60~100wt%の範囲であることがよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N-メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2~5重量部の範囲である。これらの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤、酸化防止剤等の添加剤を配合することもできる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、酸化マグネシウム等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物中における無機充填剤の配合量として、特に、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70wt%以上であり、更に好ましくは80wt%以上である。
顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、4-アミノプロピルエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を配合してもよい。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を改質剤等として適宜配合してもよい。その場合の添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2~30重量部の範囲である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物の調製方法は、各種原材料を均一に分散混合できるのであればいかなる手法を用いてもよいが、一般的な方法として、所定の配合量の原材料をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出し機等によって溶融混練し、冷却、粉砕する方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物およびその硬化物は、特にパワー半導体装置の封止用として適する。
本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を熱硬化させることにより得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて硬化物を得るためには、例えば、トランスファー成形、プレス成形、注型成形、射出成形、押出成形等の方法が適用されるが、量産性の観点からは、トランスファー成形が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化方法としては、100℃~200℃、好ましくは150~180℃で成形後、150℃~300℃、好ましくは175℃~250℃でポストキュアすることにより製造され、耐熱性(Tg)、高温長期での重量保持性、機械強度保持性等の点で優れた硬化物を得ることができる。
成形時間としては1~60分が好ましく、1~10分がより好ましい。成形時間が長くなると生産性が悪くなり、短すぎると離型が困難となる。ポストキュア時間としては10分~20時間が好ましく、30分~15時間、特に1時間~10時間が好ましい。ポストキュア時間が短いと硬化が十分に進行せず、耐熱性や機械物性等十分な特性が得られない。
本発明のエポキシ樹脂組成物では、一般的なエポキシ樹脂組成物が反応し得ない高いポストキュア温度領域においても硬化反応が進行し、非常に高いTg、高温長期での重量保持性、機械強度保持性等を有する硬化物を得ることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
樹脂の評価方法を次に示す。
1)水酸基当量の測定
電位差滴定装置を用い、1,4-ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルで100℃、60分の反応条件でアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で分解して0.5mol/L-水酸化カリウムを使用して滴定した。
2)軟化点
自動軟化点装置(明峰社製、ASP-M4SP)を用い、JIS-K-2207に従い環球法にて測定した。
3)エポキシ当量の測定
電位差滴定装置を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸-酢酸溶液を用いて測定した。
4)GPC
東ソー株式会社製 TSKgelG4000HXL×1本、TSKgelG2000HXL×3本を直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、1ml/minの流速とし、検出器はRI(示差屈折計)検出器を用いた。サンプル0.03gを10mlのTHFに溶解した。
硬化物の評価方法を次に示す。
1)TMA測定によるガラス転移点(Tg)、線膨張係数(CTE)
セイコーインスツル製TMA熱機械測定装置により、昇温速度10℃/分の条件で、Tgを求め、α1(Tg以下のCTE)は40~60℃の範囲の平均値を、またα2(Tg以上のCTE)は240℃~260℃の範囲の平均値から求めた。
2)DMA測定によるガラス転移点(Tg)、粘弾性(ε’)
セイコーインスツル製DMA熱機械測定装置により、昇温速度4℃/分の条件で、Tgを求め、40℃の粘弾性ε’と260℃の粘弾性ε’を求めた。
3)吸水率
25℃、相対湿度50%の条件を標準状態とし、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
4)誘電率(Dk)、誘電正接(Df)
Agilent社製空洞共振器摂動法誘電率評価装置を用い、25℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の硬化物を10GHzでの誘電率および誘電正接を測定した。
5)燃焼時間
UL94V垂直燃焼試験法において試験片(厚み1/16インチ)をクランプに垂直に取付け、20mm炎による10秒間接炎を2回行い、5本の合計燃焼時間を測定した。クランプまで燃え尽きたものは300↑と示す。
合成例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、ナフタレン128g及び、o-クレゾール1.4g、92%ホルムアルデヒド26gと70%硫酸31gを仕込む。昇温中に加熱溶融させた後、100℃で還流反応を実施した。続けて降温しながらトルエン希釈した後、油水分離と水洗により硫酸を除去した。その後、250℃まで昇温させてトルエンと残存モノマーを減圧下で除去して、黒褐色固体のナフタレン化合物101gを得た(NNR)。その軟化点は80℃、水酸基当量(g/eq.)は11000であった。
実施例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、合成例1で得たナフタレン化合物(NNR)100g、狭分散型フェノールノボラック樹脂100g(新日鉄住金化学社製、重量平均分子量Mw570)を仕込み、120℃で加熱溶融させた後、撹拌しながらパラトルエンスルホン酸(PTSA;和光純薬工業社製)0.2gを加え反応を開始した。副生する水を除きながら170℃まで昇温して3時間攪拌保持した。次いで、降温し、トルエン希釈した後、水洗を行い、PTSAを除去した。その後、180℃まで昇温させてトルエンを減圧下で除去して、黒褐色固体の多価ヒドロキシ樹脂198gを得た(HNP1)。その軟化点は89℃、水酸基当量は212であった。GPCチャートを図1に示す。
実施例2
狭分散型フェノールノボラック樹脂とPTSAの使用量を、それぞれ50gと0.15gに変更した他は、実施例1と同様にして、多価ヒドロキシ樹脂146gを得た(HNP2)。その軟化点は99℃、水酸基当量は318であった。GPCチャートを図2に示す。
実施例3
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、合成例1で得たナフタレン化合物100g、o-クレゾールノボラック樹脂100g(新日鉄住金化学社製、Mw1200)を仕込み、120℃で加熱溶融させた後、撹拌しながらPTSA0.2gを加え反応を開始した。副生する水を除きながら170℃まで昇温して3時間攪拌保持した。次いで、降温し、トルエン希釈した後、水洗を行い、PTSAを除去した。その後、180℃まで昇温させてトルエンを減圧下で除去して、黒褐色固体の多価ヒドロキシ樹脂195gを得た(HNC1)。その軟化点は100℃、水酸基当量は240であった。GPCチャートを図3に示す。
実施例4
o-クレゾールノボラック樹脂とPTSAの使用量を、それぞれ50gと0.15gとした他は、実施例3と同様にして、多価ヒドロキシ樹脂147gを得た(HNC2)。その軟化点は102℃、水酸基当量は360であった。GPCチャートを図4に示す。
比較例1
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、ナフタレン128g及び、o-クレゾール38g、92%ホルムアルデヒド26gと70%硫酸31gを仕込む。昇温中に加熱溶融させた後、100℃で還流反応を実施した。次いで、降温しながらトルエン希釈した後、油水分離と水洗により硫酸を除去した。その後、250℃まで昇温させてトルエンと残存モノマーを減圧下で除去して、ナフタレン化合物(NCR)125gを得た。その軟化点は82℃、水酸基当量は320であった。
比較例2
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、合成例1で得たナフタレン化合物100g、ビスフェノールA100gを仕込み、120℃で加熱溶融させた後、撹拌しながらPTSA0.2gを加え反応を開始した。副生する水を除きながら170℃まで昇温して3時間攪拌保持した。次いで、降温し、トルエン希釈した後、水洗を行い、パラトルエンスルホン酸を除去した。その後、180℃まで昇温させてトルエンを減圧下で除去して、黒褐色固体の多価ヒドロキシ樹脂197gを得た(HNA1)。その軟化点は64℃、水酸基当量は234であった。
比較例3
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた0.5Lの四つ口フラスコに、窒素気流下で、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂(三菱瓦斯化学社製)100g、ビスフェノールA100gを仕込み、120℃で加熱溶融させた後、撹拌しながらPTSA0.2gを加え反応を開始した。副生する水を除きながら170℃まで昇温して3時間攪拌保持した。次いで、降温し、トルエン希釈した後、水洗を行い、パラトルエンスルホン酸を除去した。その後、180℃まで昇温させてトルエンを減圧下で除去して、褐色固体の多価ヒドロキシ樹脂194gを得た(HXA1)。その軟化点は67℃、水酸基当量は230であった。
実施例5
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた1Lの4口フラスコに、実施例1で得たHNP1を100g、エピクロルヒドリン218g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル33gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液39gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂115gを得た(ENP1)。得られた樹脂のエポキシ当量(g/eq.)は271、軟化点は66℃であった。
実施例6
実施例2で得たHNP2を100g、エピクロルヒドリン204g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル31g、48%水酸化ナトリウム水溶液26gを用いた以外は実施例5と同様に合成し、エポキシ樹脂105gを得た(ENP2)。得られた樹脂のエポキシ当量は379、軟化点は82℃であった。
実施例7
実施例3で得たHNC1を100g、エピクロルヒドリン231g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル35g、48%水酸化ナトリウム水溶液35gを用いた以外は実施例5と同様に合成し、エポキシ樹脂114gを得た(ENC1)。得られた樹脂のエポキシ当量は310、軟化点は87℃であった。
実施例8
実施例4で得たHNC2を100g、エピクロルヒドリン206g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル31g、48%水酸化ナトリウム水溶液23gを用いた以外は実施例5と同様に合成し、エポキシ樹脂107gを得た(ENC2)。得られた樹脂のエポキシ当量は435、軟化点は90℃であった。
比較例4
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた1Lの4口フラスコに比較例2で得たHNA1を100g、エピクロルヒドリン217g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル33gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液36gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂113gを得た(ENA1)。得られた樹脂のエポキシ当量は300、軟化点は54℃であった。
比較例5
攪拌機、コンデンサー、温度計及び滴下ロートを備えた1Lの4口フラスコに比較例3で得たHXA1を100g、エピクロルヒドリン221g、ジエチレングリコールジにメチルエーテル33gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液36gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂113gを得た(EXA1)。得られた樹脂のエポキシ当量は294、軟化点は59℃であった。
実施例9~16及び比較例6~12
エポキシ樹脂成分として、実施例5~8で得たエポキシ樹脂、比較例4で得たエポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量202、軟化点74℃)、またはビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(BPARE;エポキシ当量282、軟化点74℃)を使用し、硬化剤として実施例1~4で得た多価ヒドロキシ樹脂、比較例1~3で得た多価ヒドロキシ樹脂、フェノールノボラック型樹脂(PN;水酸基当量108、軟化点90℃)、またはフェノールアラルキル型樹脂(PA;水酸基当量182、軟化点67℃)を使用した。
硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを樹脂成分に対して0.7%配合し、溶融混練してエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、200℃にて5時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。
エポキシ樹脂をOCNEとし、硬化剤を変化させたエポキシ樹脂組成物の組成と、その硬化物評価結果を表1に示す。
硬化剤をPNとし、エポキシ樹脂を変化させたエポキシ樹脂組成物の組成と、その硬化物評価結果を表2に示す。
なお、表1の燃焼時間の測定は、組成物中のエポキシ樹脂をOCNEからBPAREに変更し、表2の燃焼時間の測定は、組成物中の硬化剤をPNからPAに変更して実施した。
配合の数字は重量部である。
Figure 0007158228000004
Figure 0007158228000005

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と、下記一般式(2)で表されるフェノール性化合物を反応させて得られる多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 0007158228000006
    (R、R、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を示し、Rは水素を示す。mは0~15の数、nは1~15の数を示す。また、pは0~10、qは1~15の数を示す。但し、pが0であることはない。
  2. フェノール性化合物が、下記一般式(3)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおける測定において二核体含有率が17面積%以下、三核体含有率が38面積%以上、四核体以上の含有率が45面積%以下の割合で構成される狭分散型のフェノールノボラック樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 0007158228000007

    (式中、rは1~6の数を示す。)
  3. フェノール性化合物が、下記一般式(4)で表されるo-クレゾールノボラック樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂。
    Figure 0007158228000008

    (式中、qは1~15の数を示す。)
  4. 下記一般式(1)で表されるナフタレン化合物と、一般式(2)で表されるフェノール性化合物とを、0.005~10wt%の酸触媒の存在下、反応温度50~200℃で反応させることを特徴とする多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
    Figure 0007158228000009
    (R、R、Rは水素又は炭素数1~8の炭化水素基を示し、Rは水素を示す。mは0~15の数、nは1~15の数を示す。また、pは0~10、qは1~15の数を示す。但し、pが0であることはない。
  5. 一般式(1)で表されるナフタレン化合物1重量部に対し、一般式(2)で表されるフェノール性化合物を0.2~2.0重量部で反応させることを特徴とする請求項4に記載の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法。
  6. エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、硬化剤の一部又は全部として、請求項1~3のいずれか一項に記載の多価ヒドロキシ樹脂を必須成分として含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなることを特徴とするエポキシ樹脂硬化物。
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させて多価ヒドロキシ樹脂の水酸基を、グリシジルエーテル基としたものであることを特徴とするエポキシ樹脂。
  9. エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂の一部又は全部として請求項8に記載のエポキシ樹脂を配合してなるエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
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