JP2023019801A - 多価ヒドロキシ樹脂、エポキシ樹脂、それらの製造方法、それらを用いたエポキシ樹脂組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、耐湿性、低誘電性および高熱伝導性等に優れた硬化物を得ることができ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用な多価ヒドロキシ樹脂及びそのエポキシ樹脂を提供することにある。【解決手段】 下記一般式(1)、【化1】TIFF2023019801000014.tif28155(但し、Aは二価の芳香族基を示す。また、nは1~50の数を示す。)で表される多価ヒドロキシ樹脂。その多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンで反応させることで得られるエポキシ樹脂。【選択図】なし
Description
本発明は、耐熱性、耐湿性、低誘電性に優れるとともに、高熱伝導性等にも優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂、その中間体、硬化剤及びそれらを用いたエポキシ樹脂組成物並びにその硬化物に関するものであり、プリント配線板、半導体封止等の電気電子分野の絶縁材料等に好適に使用される。
近年、特に先端材料分野の進歩にともない、より高性能なベース樹脂の開発が求められている。例えば、半導体封止の分野においては、近年の高密度実装化に対応したパッケージの薄形化、大面積化、更には表面実装方式の普及により、パッケージクラックの問題が深刻化しており、これらのベース樹脂としては、耐湿性、耐熱性、金属基材との接着性等の向上が強く求められている。最近では、パワーデバイス分野を中心とした耐熱性および放熱性向上の観点から熱分解安定性や熱伝導率の高い材料が必要とされることに加えて、高速通信の観点からは誘電特性に優れた材料が要求されている。
しかしながら、従来より知られているエポキシ樹脂には、これらの要求を満足するものは未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、耐湿性や耐衝撃性に問題がある。また、特許文献1には耐湿性、耐衝撃性の向上を目的に、フェノールアラルキル樹脂のエポキシ化合物が提案されているが、耐熱性や難燃性の点で十分でない。
特許文献2には、ビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を半導体封止材料に応用した例が提案されているが、耐熱性の点で十分ではない。特許文献3、特許文献4及び特許文献5には、剛直なメソゲン基を有する液晶性のエポキシ樹脂及びそれを用いたエポキシ樹脂組成物が提案されているが、成形性に課題があるとともに、十分な熱伝導率向上効果は得られていなかった。
特許文献6には、種々のフッ素原子を有するエポキシ樹脂が開示されているが、電気絶縁材料用としては耐熱性、熱伝導性等の面で十分なものはなかった。
従って、本発明の目的は、成形性に優れるとともに、耐熱性、耐湿性、低誘電性、高熱伝導性等にも優れた硬化物を得ることができ、積層、成形、注型、接着等の用途に有用な多価ヒドロキシ樹脂及びそのエポキシ樹脂、更にはそれらの製造方法並びにそれらを用いたエポキシ樹脂組成物、更にはその硬化物を提供することにある。
また、本発明は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、下記一般式(3)、
(但し、Yは独立にハロゲン原子を示す。)
で表されるトリフルオロメチルベンゼン化合物0.1~0.9モルを反応させることを特徴とする上記一般式(1)の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
(但し、Yは独立にハロゲン原子を示す。)
で表されるトリフルオロメチルベンゼン化合物0.1~0.9モルを反応させることを特徴とする上記一般式(1)の多価ヒドロキシ樹脂の製造方法である。
さらに、本発明は上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンと反応させることを特徴とする上記一般式(4)で表される新規エポキシ樹脂の製造方法である。
さらにまた、本発明は上記のエポキシ樹脂又は多価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方を、エポキシ樹脂成分又は硬化剤成分の必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物であり、また、このエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物である。
本発明のエポキシ樹脂又は多価ヒドロキシ樹脂から得られるエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、耐熱性、低誘電性および耐湿性に優れた性能を有し、積層、成形、注型、接着等の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、一般式(1)で表される。
ここで、Aは独立に二価の芳香族基を示す。二価の芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、または下記式(2)、
で表されるビスフェニレン基を挙げることができる。
ここで、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO2-、-CO-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH(φ)-、-Cφ(CH3)-、1,1-シクロアルカン基、9,9-フルオレニル基を示す。ここでφはフェニレン基を示す。R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基又はハロゲン原子を示す。好ましくは、R1~R4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数7~9のアラルキル基である。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、一般式(1)で表される。
ここで、Aは独立に二価の芳香族基を示す。二価の芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、または下記式(2)、
で表されるビスフェニレン基を挙げることができる。
ここで、Xは単結合、酸素原子、硫黄原子、-SO2-、-CO-、-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH(φ)-、-Cφ(CH3)-、1,1-シクロアルカン基、9,9-フルオレニル基を示す。ここでφはフェニレン基を示す。R1~R4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アラルキル基又はハロゲン原子を示す。好ましくは、R1~R4は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基または炭素数7~9のアラルキル基である。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、単一の化合物でもよいが、式(1)を満たす化合物の混合物であってもよい。nは繰り返し数を示し、1~50であるが、好ましくは1~15である。分子量分布を持つ混合物の場合、nの平均値(Σn/Σ分子数)は、好ましくは0.1~10.0、さらに好ましくは0.5~5.0である。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、水酸基当量が好ましくは150~3000g/eq.、より好ましくは180~1000g/eq.、さらに好ましくは200~500g/eq.である。軟化点又は融点が好ましくは35~300℃である。
本発明の多価ヒドロキシ樹脂は、分子量分布が、好ましくは、式(1)において、n=0体が5~50%、n=1体が10~40%、n=2体が10~30%、n=3体以上が残部である。
芳香族ジヒドロキシ化合物とは、炭素数1~6のアルキル基置換又は未置換の2価のジヒドロキシベンゼン類、ジヒドロキシナフタレン類または、下記式(5)、
で表されるビスフェノール化合物である。式(5)において、X、R1~R4は、一般式(2)と同じ意味である。
具体的には、ジヒドロキシベンゼン類としては、ハイドロキノン、2,5-ジメチルハイドロキノン、2,3,5-トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール等が挙げられ、ジヒドロキシナフタレン類としては、1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、1,7-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール等が挙げられる。また、ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
で表されるビスフェノール化合物である。式(5)において、X、R1~R4は、一般式(2)と同じ意味である。
具体的には、ジヒドロキシベンゼン類としては、ハイドロキノン、2,5-ジメチルハイドロキノン、2,3,5-トリメチルハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール等が挙げられ、ジヒドロキシナフタレン類としては、1,4-ナフタレンジオール、1,5-ナフタレンジオール、1,6-ナフタレンジオール、1,7-ナフタレンジオール、2,6-ナフタレンジオール、2,7-ナフタレンジオール等が挙げられる。また、ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
ジヒドロキシ基の置換位置については、ジヒドロキシベンゼン類としては、1,4-ジヒドロキシ体又は1,3-ジヒドロキシ体が好ましく、ジヒドロキシナフタレン類としては、1,5-ジヒドロキシ体、1,6-ジヒドロキシ体、2,6-ジヒドロキシ体、又は2,7-ジヒドロキシ体が好ましく、ビスフェノール化合物としては、4,4’-ジヒドロキシ体が好ましい。使用する芳香族ジヒドロキシ化合物において、これらのジヒドロキシ置換体が50モル%以上であることが好ましい。
耐熱性、熱伝導性及び力学強度等の観点から、これらの芳香族ジヒドロキシ化合物のなかではジヒドロキシベンゼン類、ジヒドロキシナフタレン類、ジヒドロキシビフェニル類が好ましい。上記の芳香族ジヒドロキシ化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一般式(3)のトリフルオロメチルベンゼン化合物において、Yはハロゲン原子であり、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示されるが、フッ素原子、または塩素原子が好ましい。また、ハロゲン原子の置換位置としては2,4-位、2,5-位、2,6-位、3,5-位が好ましい。具体的には、1-トリフルオロメチル-2,4-ジフルオロベンゼン、1-トリフルオロメチル-2,5-ジフルオロベンゼン、1-トリフルオロメチル-2,6-ジフルオロベンゼン、1-トリフルオロメチル-2,4-ジクロロベンゼン、1-トリフルオロメチル-2,5-ジクロロベンゼン、1-トリフルオロメチル-2,6-ジクロロベンゼン、を挙げることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物とトリフルオロメチルベンゼン化合物の反応においては、トリフルオロメチルベンゼン化合物に対して過剰量の芳香族ジヒドロキシ化合物が使用される。トリフルオロメチルベンゼン化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して0.1~0.9モルの範囲であるが、好ましくは、0.1~0.6モルの範囲である。これより多いと樹脂の軟化点が高くなり成形作業性に支障をきたす。さらには、ゲル化を引き起こす場合がある。また、これより少ないと反応終了後、過剰に用いた芳香族ジヒドロキシ化合物の量が多くなる。残った過剰量の芳香族ジヒドロキシ化合物は、取り除くことなく、そのままエポキシ樹脂の原料または硬化剤として使用できるが、一般式(1)または、(4)の樹脂の含有量が少なくなるため、硬化物とした際の低誘電性、熱伝導率、耐熱性及び低吸水性等の特性改善の効果が低くなる。
この反応は塩基性触媒の存在下に行うことがよく、三級アミン化合物、四級アンモニウム化合物、イミダゾール化合物、三級ホスフィン化合物、四級ホスホニウム化合物、および水酸化アルカリ金属化合物、水酸化アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することができる。
これら塩基性触媒はそれぞれ単独、あるいは水または溶媒にあらかじめ溶解させておき、しかる後に反応系内に投入してもよい。塩基性触媒の使用割合は、芳香族ジヒドロキシ化合物のフェノール性水酸基1モルに対して、通常0.001~10モル%、好ましくは0.05~5モル%である。
通常、この反応は10~250℃で1~20時間行う。更に、反応溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を使用することができる。
反応終了後、場合により、中和、水洗等の方法により、触媒を除去し、必要に応じて残存する溶媒を水洗、減圧留去等の方法により系外に除き、ヒドロキシ樹脂とする。未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物は、水洗、減圧留去等の方法により系外に除いてもよいし、除かなくてもよい。
本発明の一般式(4)で表されるエポキシ樹脂は、一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂のフェノール性水酸基がグリシジル基となっているが、多価ヒドロキシ樹脂の分子量分布をほぼ反映する。
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が好ましくは180~3000g/eq.、より好ましくは200~1500g/eq.、さらに好ましくは220~1000g/eq.である。軟化点又は融点が好ましくは50~300℃、より好ましくは80~200℃である。加水分解性塩素が1000ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂は、エポキシ当量が好ましくは180~3000g/eq.、より好ましくは200~1500g/eq.、さらに好ましくは220~1000g/eq.である。軟化点又は融点が好ましくは50~300℃、より好ましくは80~200℃である。加水分解性塩素が1000ppm以下である。
本発明のエポキシ樹脂は、上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂をエピクロルヒドリンと反応させることにより得られる。この反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
例えば、上記一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、50~150℃、好ましくは、60~120℃の範囲で1~10時間反応させる方法が挙げられる。この際、アルカリ金属水酸化物の使用量は、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して0.8~2モル、好ましくは0.9~1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンは多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基に対して過剰に用いられるが、通常、多価ヒドロキシ樹脂中の水酸基1モルに対して、1.5~15モル、好ましくは2~8モルの範囲である。また、反応の際、四級アンモニウム塩等を添加することができる。四級アンモニウム塩としては、たとえばテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等があり、その添加量としては、多価ヒドロキシ樹脂に対して、0.1~2.0wt%の範囲が好ましい。これより少ないと四級アンモニウム塩添加の効果が小さく、これより多いと難加水分解性塩素の生成が多くなり、高純度化が困難になる。更には、ジメチルスルホキシド、ジグライム等の極性溶媒を用いても良く、その添加量は、多価ヒドロキシ樹脂に対して、10~200wt%の範囲が好ましい。これより少ないと添加の効果が小さく、これより多いと容積効率が低下し経済上好ましくない。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解、濾過した後、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂は、一般式(4)で表されるものを主成分とするが、エポキシ樹脂中のエポキシ基がエーテル結合としてオリゴマー化したものもが含まれていてもよい。
本発明のエポキシ樹脂は、一般式(4)で表されるものを主成分とするが、エポキシ樹脂中のエポキシ基がエーテル結合としてオリゴマー化したものもが含まれていてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び硬化剤よりなり、エポキシ樹脂成分として一般式(4)で表されるエポキシ樹脂又は硬化剤成分として一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の少なくともいずれか一方を必須成分として配合したものである。
エポキシ樹脂成分として一般式(4)で表されるエポキシ樹脂を配合し、かつ、硬化剤成分として一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を配合してもよい。
エポキシ樹脂成分として一般式(4)で表されるエポキシ樹脂を配合し、かつ、硬化剤成分として一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を配合してもよい。
一般式(4)で表されるエポキシ樹脂を必須成分とする場合の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用できる。例えば、ジシアンジアミド、多価フェノール類、酸無水物類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。具体的に例示すれば、多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類、更にはフェノール類、ナフトール類又は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-キシリレングリコール等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等があり、酸無水物としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。また、アミン類としては、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。あるいは一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を使用してもよい。本発明の樹脂組成物には、これら硬化剤の1種又は、2種以上を混合して用いることができる。
この場合、本発明のエポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂全体中、好ましくは5~100wt%の範囲、より好ましくは50~100wt%の範囲、さらに好ましくは80~100wt%の範囲である。
この場合、本発明のエポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂全体中、好ましくは5~100wt%の範囲、より好ましくは50~100wt%の範囲、さらに好ましくは80~100wt%の範囲である。
一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂を硬化剤成分の必須成分とする場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4’-ビフェノール、2,2’-ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス-(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、又は、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。あるいは一般式(1)で表される多官能エポキシ樹脂等を使用してもよい。これらのエポキシ樹脂は、1種又は、2種以上を混合して用いることができる。
この場合、本発明の多価ヒドロキシ樹脂の配合量は、硬化剤全体中、好ましくは5~100wt%の範囲、より好ましくは50~100wt%の範囲、さらに好ましくは70~100wt%の範囲である。
この場合、本発明の多価ヒドロキシ樹脂の配合量は、硬化剤全体中、好ましくは5~100wt%の範囲、より好ましくは50~100wt%の範囲、さらに好ましくは70~100wt%の範囲である。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ基と硬化剤中の官能基が当量比で0.8~1.5の範囲であることが好ましい。この範囲外では硬化後も未反応のエポキシ基、又は硬化剤中の官能基が残留する可能性がある。
また、一般式(4)で表されるエポキシ樹脂又は一般式(1)で表される多価ヒドロキシ樹脂の一方又は両者を必須成分とする本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデンクマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を適宜配合してもよいし、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤、等の添加剤を配合してもよい。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ、等が挙げられ、顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系、等を挙げることができる。更に必要に応じて、従来より公知の硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等がある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2~5重量部の範囲である。また更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
本発明の硬化物は、上記エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。成形する際の温度は、通常、120~220℃の範囲である。
以下、実施例及び比較例に基づき、本発明を具体的に説明する。
実施例1(多価ヒドロキシ樹脂Aの製造)
0.5Lの4口セパラブルフラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル45.4gをN-メチルピロリドン(NMP)165gに溶解した後、炭酸カリウム25.0gを加え、窒素気流下、攪拌しながら100℃に昇温した。その後、3,5-ジブロモトリフルオロメチルベンゼン(DBTFB)25.0gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸11.6gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、粉末状の多価ヒドロキシ樹脂56gを得た(多価ヒドロキシ樹脂A)。
得られたヒドロキシ樹脂Aの水酸基当量は206g/eq. 、キャピラリー法による融点は252℃であった。GPCチャートを図1に示す。これより、未反応の4,4’-ジヒドロキシビフェニルが42.7%、式(1)でn=1が30.6%、n=2が14.9%、n=3が6.7%、n=4が2.8%、n=5が1.1%、n=6が0.4%であった。また、赤外吸収スペクトルを図2に示す。
ここで、水酸基当量は、塩化アセチル溶液中で、水酸化カリウムによる電位差滴定を行うことにより測定した。GPC測定は、装置:HLC-8320(東ソー(株)製)及びカラム:TSKgel SuperHZ2500×2本及びTSKgel SuperHZ2000×2本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.35ml/分、温度:40℃、検出器:RIの条件で行った。赤外吸収スペクトルは日本分光製、FT/IR-6100型赤外吸収分析計を用いてKBr錠剤法により測定した。キャピラリー法による融点は、JIS K 6910に従い測定した。
実施例1(多価ヒドロキシ樹脂Aの製造)
0.5Lの4口セパラブルフラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル45.4gをN-メチルピロリドン(NMP)165gに溶解した後、炭酸カリウム25.0gを加え、窒素気流下、攪拌しながら100℃に昇温した。その後、3,5-ジブロモトリフルオロメチルベンゼン(DBTFB)25.0gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸11.6gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、粉末状の多価ヒドロキシ樹脂56gを得た(多価ヒドロキシ樹脂A)。
得られたヒドロキシ樹脂Aの水酸基当量は206g/eq. 、キャピラリー法による融点は252℃であった。GPCチャートを図1に示す。これより、未反応の4,4’-ジヒドロキシビフェニルが42.7%、式(1)でn=1が30.6%、n=2が14.9%、n=3が6.7%、n=4が2.8%、n=5が1.1%、n=6が0.4%であった。また、赤外吸収スペクトルを図2に示す。
ここで、水酸基当量は、塩化アセチル溶液中で、水酸化カリウムによる電位差滴定を行うことにより測定した。GPC測定は、装置:HLC-8320(東ソー(株)製)及びカラム:TSKgel SuperHZ2500×2本及びTSKgel SuperHZ2000×2本(何れも東ソー(株)製)を用い、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.35ml/分、温度:40℃、検出器:RIの条件で行った。赤外吸収スペクトルは日本分光製、FT/IR-6100型赤外吸収分析計を用いてKBr錠剤法により測定した。キャピラリー法による融点は、JIS K 6910に従い測定した。
実施例2(多価ヒドロキシ樹脂Bの製造)
1Lの4口セパラブルフラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル45.4gをNMP225gに溶解した後、炭酸カリウム26.8gを加え、窒素気流下、攪拌しながら100℃に昇温した。その後、DBTFB50.1gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸23.3gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、粉末状の多価ヒドロキシ樹脂60gを得た(多価ヒドロキシ樹脂B)。
得られたヒドロキシ樹脂Bの水酸基当量は385g/eq. 、キャピラリー法による融点は178℃であった。GPCチャートを図3に示す。これより、未反応の4,4’-ジヒドロキシビフェニルが9.1%、式(1)でn=1が19.5%、n=2が18.9%、n=3が14.9%、n=4が11.3%、n=5が8.6%、n=6が5.5%、n=7が4.0%、n=8が3.0%、n≧9が4.5%であった。
1Lの4口セパラブルフラスコに4,4’-ジヒドロキシビフェニル45.4gをNMP225gに溶解した後、炭酸カリウム26.8gを加え、窒素気流下、攪拌しながら100℃に昇温した。その後、DBTFB50.1gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸23.3gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、粉末状の多価ヒドロキシ樹脂60gを得た(多価ヒドロキシ樹脂B)。
得られたヒドロキシ樹脂Bの水酸基当量は385g/eq. 、キャピラリー法による融点は178℃であった。GPCチャートを図3に示す。これより、未反応の4,4’-ジヒドロキシビフェニルが9.1%、式(1)でn=1が19.5%、n=2が18.9%、n=3が14.9%、n=4が11.3%、n=5が8.6%、n=6が5.5%、n=7が4.0%、n=8が3.0%、n≧9が4.5%であった。
実施例3(多価ヒドロキシ樹脂Cの製造)
0.5Lの4口セパラブルフラスコに2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPAF)41.5gをNMP125gに溶解した後、炭酸カリウム6.7gを加え、窒素気流下、攪拌しながら120℃に昇温した。その後、DBTFB12.5gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸5.8gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、常温で固形の樹脂46gを得た(多価ヒドロキシ樹脂C)。
得られたヒドロキシ樹脂Aの水酸基当量は304g/eq.、軟化点は45℃、150℃での溶融粘度0.2Pa・sであった。GPC測定より、未反応のBPAFが38.4%、式(1)でn=1が32.6%、n=2が16.0%、n=3が7.2%、n=4が2.8%、n=5が1.2%、n=6が0.3%、n≧7が0.3%であった。
0.5Lの4口セパラブルフラスコに2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BPAF)41.5gをNMP125gに溶解した後、炭酸カリウム6.7gを加え、窒素気流下、攪拌しながら120℃に昇温した。その後、DBTFB12.5gを加え、160℃で3時間反応させた。その後、反応液に酢酸5.8gを加えて中和した後、165℃にてNMPを減圧留去した。生成物を水洗した後、乾燥して、常温で固形の樹脂46gを得た(多価ヒドロキシ樹脂C)。
得られたヒドロキシ樹脂Aの水酸基当量は304g/eq.、軟化点は45℃、150℃での溶融粘度0.2Pa・sであった。GPC測定より、未反応のBPAFが38.4%、式(1)でn=1が32.6%、n=2が16.0%、n=3が7.2%、n=4が2.8%、n=5が1.2%、n=6が0.3%、n≧7が0.3%であった。
実施例4(エポキシ樹脂Aの製造)
実施例1で得た多価ヒドロキシ樹脂A40gをエピクロルヒドリン(ECH)470g及びジグライム95gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液21.9gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、トルエン200mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液1.1gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、トルエンを減圧留去し、常温で固形のエポキシ樹脂48gを得た(エポキシ樹脂A)。
得られたエポキシ樹脂Aのエポキシ当量は232g/eq.、軟化点は137℃、150℃での溶融粘度は20mPa・s、加水分解性塩素は320ppmであった。GPCチャートを図4に示す。これより、式(4)でn=0が42.4%、n=1が30.1%、n=2が14.9%、n=3が6.8%、n=4が2.9%、n=5が1.1%、n=6が0.5%であった。また、赤外吸収スペクトルを図5に示す。
なお、ここで加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N-KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
実施例1で得た多価ヒドロキシ樹脂A40gをエピクロルヒドリン(ECH)470g及びジグライム95gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液21.9gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、トルエン200mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液1.1gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、トルエンを減圧留去し、常温で固形のエポキシ樹脂48gを得た(エポキシ樹脂A)。
得られたエポキシ樹脂Aのエポキシ当量は232g/eq.、軟化点は137℃、150℃での溶融粘度は20mPa・s、加水分解性塩素は320ppmであった。GPCチャートを図4に示す。これより、式(4)でn=0が42.4%、n=1が30.1%、n=2が14.9%、n=3が6.8%、n=4が2.9%、n=5が1.1%、n=6が0.5%であった。また、赤外吸収スペクトルを図5に示す。
なお、ここで加水分解性塩素は、樹脂試料0.5gを1,4-ジオキサン30mlに溶解させたものを1N-KOH/メタノール溶液5mlで30分間煮沸還流したものを、硝酸銀溶液で電位差滴定を行うことにより求めた。
実施例5(エポキシ樹脂Bの製造)
実施例2で得た多価ヒドロキシ樹脂B20gをECH100g及びジグライム30gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液4.47gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、トルエン100mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液0.18gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、トルエンを減圧留去し、常温で固形のエポキシ樹脂20gを得た(エポキシ樹脂B)。
得られたエポキシ樹脂Bのエポキシ当量は472g/eq.、キャピラリー法による融点は169℃、加水分解性塩素は230ppmであった。GPC測定より、式(4)でn=0が9.1%、n=1が19.4%、n=2が18.8%、n=3が14.9%、n=4が11.3%、n=5が8.1%、n=6が5.6%、n=7が4.0%、n=8が2.5%、n≧9が5.8%であった。
実施例2で得た多価ヒドロキシ樹脂B20gをECH100g及びジグライム30gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液4.47gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、トルエン100mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液0.18gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、トルエンを減圧留去し、常温で固形のエポキシ樹脂20gを得た(エポキシ樹脂B)。
得られたエポキシ樹脂Bのエポキシ当量は472g/eq.、キャピラリー法による融点は169℃、加水分解性塩素は230ppmであった。GPC測定より、式(4)でn=0が9.1%、n=1が19.4%、n=2が18.8%、n=3が14.9%、n=4が11.3%、n=5が8.1%、n=6が5.6%、n=7が4.0%、n=8が2.5%、n≧9が5.8%であった。
実施例6(エポキシ樹脂Cの製造)
実施例3で得た多価ヒドロキシ樹脂C30gをECH195g及びジグライム40gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液9.1gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、メチルイソブチルケトン(MIBK)200mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液0.4gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、MIBKを減圧留去し、常温で粘稠なエポキシ樹脂36gを得た(エポキシ樹脂C)。
得られたエポキシ樹脂Cのエポキシ当量は366g/eq.、軟化点は50℃以下の粘稠固体であり、150℃での溶融粘度は30mPa・s、加水分解性塩素は280ppmであった。GPC測定より、式(4)でn=0が38.8%、n=1が30.0%、n=2が15.7%、n=3が6.9%、n=4が2.9%、n=5が1.2%、n=6が0.5%、n≧7が0.4%であった。
実施例3で得た多価ヒドロキシ樹脂C30gをECH195g及びジグライム40gに溶解し、減圧下、65℃にて48.8%水酸化ナトリウム水溶液9.1gを4時間かけて滴下した。この間、生成する水はECHとの共沸により系外に除き、留出したECHは系内に戻した。滴下終了後、更に1時間反応を継続した。その後、ECH及びジグライムを減圧留去し、メチルイソブチルケトン(MIBK)200mLに溶解した後、濾過、水洗により生成した塩を除いた後、48.8%水酸化カリウム水溶液0.4gを加えて、80℃にて1時間反応させた。その後、MIBKを減圧留去し、常温で粘稠なエポキシ樹脂36gを得た(エポキシ樹脂C)。
得られたエポキシ樹脂Cのエポキシ当量は366g/eq.、軟化点は50℃以下の粘稠固体であり、150℃での溶融粘度は30mPa・s、加水分解性塩素は280ppmであった。GPC測定より、式(4)でn=0が38.8%、n=1が30.0%、n=2が15.7%、n=3が6.9%、n=4が2.9%、n=5が1.2%、n=6が0.5%、n≧7が0.4%であった。
実施例7~10及び比較例1
実施例1~6で合成した多価ヒドロキシ樹脂又はエポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂D:三菱化学製、YX-4000H、エポキシ当量193、融点105℃)、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂E:日本化薬製、EOCN-1020、エポキシ当量197、軟化点 54℃)、フェノールノボラック(多価ヒドロキシ樹脂D;OH当量104、軟化点83℃、150℃での溶融粘度0.3Pa・s;BRG-557、アイカ工業製)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表1に示す配合で樹脂組成物とした。
これを用いて成形(150℃、5分)した後、ポストキュア(175℃、4時間)を行って試験片を得て、種々の物性試験に供した。結果を表1に示す。
実施例1~6で合成した多価ヒドロキシ樹脂又はエポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂D:三菱化学製、YX-4000H、エポキシ当量193、融点105℃)、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂E:日本化薬製、EOCN-1020、エポキシ当量197、軟化点 54℃)、フェノールノボラック(多価ヒドロキシ樹脂D;OH当量104、軟化点83℃、150℃での溶融粘度0.3Pa・s;BRG-557、アイカ工業製)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表1に示す配合で樹脂組成物とした。
これを用いて成形(150℃、5分)した後、ポストキュア(175℃、4時間)を行って試験片を得て、種々の物性試験に供した。結果を表1に示す。
[評価]
(1)ガラス転移点及び熱膨張係数
(株)日立ハイテクサイエンス製TMA7100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分の条件で求めた。
(2)熱分解温度及び残炭率
(株)日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7300型熱重量測定装置により、窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件にて5wt%重量減少時の熱分解温度及び700℃での残炭率を求めた。
(3)熱伝導率
熱伝導率は、NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いてキセノンフラッシュ法により測定した。
(4)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
(1)ガラス転移点及び熱膨張係数
(株)日立ハイテクサイエンス製TMA7100型熱機械測定装置を用いて、昇温速度10℃/分の条件で求めた。
(2)熱分解温度及び残炭率
(株)日立ハイテクサイエンス製TG/DTA7300型熱重量測定装置により、窒素気流下、昇温速度10℃/分の条件にて5wt%重量減少時の熱分解温度及び700℃での残炭率を求めた。
(3)熱伝導率
熱伝導率は、NETZSCH製LFA447型熱伝導率計を用いてキセノンフラッシュ法により測定した。
(4)吸水率
直径50mm、厚さ3mmの円盤を成形し、ポストキュア後、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
Claims (7)
- 請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂とエピクロルヒドリンを反応させることを特徴とする請求項4に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
- エポキシ樹脂及び硬化剤よりなるエポキシ樹脂組成物において、請求項1に記載の多価ヒドロキシ樹脂又は請求項5に記載のエポキシ樹脂の少なくともいずれか一方を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。
- 請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
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