JP7475617B1 - ピラーアレーン複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性および/または疎水性に優れ、かつ官能基の導入が容易な複合体の提供を目的とする。【解決手段】本開示の複合体は、ポリマーと、前記ポリマーを包接する1つまたは複数の環状化合物とを含み、前記環状化合物は、以下の式(I):TIFF0007475617000058.tif1586[式中、Aは、各出現において独立して、-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価のC4-50有機基を表し、Rは、各出現において独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子を含んでいてもよい有機基または水素原子を表し、nは、4~20の整数を表す。]で表される化合物を含み、前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、ピラーアレーン複合体に関する。
環状化合物とポリマーとが複合した複合体として、ロタキサンや擬ロタキサンが知られている。ロタキサンは、環状化合物と、該環状化合物の環を貫通するポリマーと、該ポリマーの末端に配置された封鎖部位とを有する構造体である。擬ロタキサンは、環状化合物と、該環状化合物の環を貫通するポリマーとを有し、ポリマー末端の封鎖部位を有しない構造体である。
かかる複合体として、特許文献1には、シクロデキストリンに、ゲスト化合物としてフルオロポリエーテル分子が包接された包接化合物が記載されている。
特許文献2には、ポリエチレングリコールと、該ポリエチレングリコールを串刺し状に包接するピラーアレーンと、上記ポリエチレングリコールの両末端にアダマンタン基類が配置されたポリロタキサンが記載されている。
非特許文献1には、ピラーアレーンと、ピラーアレーンに包接されたポリエチレンまたはポリプロピレンを含むロタキサンが記載されている。
国際公開第2007/058247号 特開2021-138635号公報
従来から知られている複合体では、耐熱性や疎水性が十分に満足できるものではなく、また、環状化合物へ導入され得る官能基が制限されている。
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱性および/または疎水性に優れ、かつ官能基の導入が容易な複合体の提供を目的とする。
本開示は、以下の態様を含む。
[1]
ポリマーと、前記ポリマーを包接する1つまたは複数の環状化合物とを含み、
前記環状化合物は、以下の式(I):
Figure 0007475617000002
[式(I)中、
Aは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価のC4-50有機基を表し、
Rは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子を含んでいてもよい有機基または水素原子を表し、
nは、4~20の整数を表す。]
で表される化合物を含み、
前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する、複合体。
[2]
前記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基は、プロトン供与性基、不飽和基および電荷密度0.25以上の水素原子を含む基から選ばれる1種またはそれ以上を含む、[1]に記載の複合体。
[3]
前記環状化合物は、以下の式(1)~(3):
Figure 0007475617000003
[式(1)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、水素原子であり、
n1は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000004
[式(2)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n2は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000005
[式(3)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3)中において任意である。]
のいずれかで表される化合物を含む、[1]または[2]に記載の複合体。
[4]
前記式(1)において、R~Rから選ばれる1つまたはそれ以上は、含フッ素有機基である、[3]に記載の複合体。
[5]
前記式(1)において、RおよびRから選ばれる1つまたはそれ以上は、水素原子である、[3]に記載の複合体。
[6]
前記環状化合物は、下記式(1-A)、(2-A)および(3-A):
Figure 0007475617000006
[式(1-A)中、
1aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
2aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
3aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
4aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
ただし、R3aおよびR4aの少なくとも1つは、水素原子を表し、
n1は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000007
[式(2-A)中、
5aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
n2は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000008
[式(3-A)中、
7aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
8aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
9aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
10aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
11aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
12aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-A)中において任意である。]
のいずれかで表される化合物である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の複合体。
[7]
前記プロトン供与性基は、電荷密度が0.22以上である水素原子を含む、[2]~[6]のいずれか1つに記載の複合体。
[8]
前記不飽和基を構成する炭素原子に結合している水素原子の電荷密度は、0.22以上である、[2]~[7]のいずれか1つに記載の複合体。
[9]
前記プロトン供与性基が、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種の原子に結合する水素原子を含む基である、[2]~[8]のいずれか1つに記載の複合体。
[10]
前記ポリマーは、置換基を有していてもよい直鎖状ポリマーである、[1]~[9]のいずれか1つに記載の複合体。
[11]
前記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーであり、前記環状化合物が、プロトン供与性基を含む、[1]~[10]のいずれか1つに記載の複合体。
[12]
前記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーであり、前記環状化合物が、下記式(1-B)および下記式(3-B):
Figure 0007475617000009
[式(1-B)中、
1bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
2bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
3bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
4bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
ただし、R3bおよびR4bの少なくとも1つは、水素原子であり、
n1は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000010
[式(3-B)中、
7bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
8bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
9bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
10bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
11bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
12bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
ただし、R9bおよびR10bの少なくとも1つは、水素原子であり、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-B)中において任意である。]
のいずれかで表される化合物である、[1]~[11]のいずれか1つに記載の複合体。
[13]
前記ポリマーが、主鎖骨格にエステル基を含む、[1]~[12]のいずれか1つに記載の複合体。
[14]
前記ポリマーが、プロトン供与性基を含み、前記環状化合物が、前記式(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含む、[3]~[13]のいずれか1つに記載の複合体。
[15]
前記ポリマーが、不飽和結合を有するポリマーを含む、[1]~[14]のいずれか1つに記載の複合体。
[16]
前記ポリマーが、ジエン系ポリマーを含む、[1]~[15]のいずれか1つに記載の複合体。
[17]
前記環状化合物の割合は、前記ポリマーと前記環状化合物との合計100質量部中、0.01質量%以上99質量%以下である、[1]~[16]のいずれか1つに記載の複合体。
[18]
前記複合体を、前記ポリマーの良溶媒と混合した場合において、混合前の複合体の質量をw、混合後の複合体の質量をwとしたとき、w/wが4質量%以上である、[1]~[17]のいずれか1つに記載の複合体。
[19]
熱分解温度が、170℃以上である、[1]~[18]のいずれか1つに記載の複合体。
[20]
前記複合体の熱分解温度をtとし、前記ポリマーの熱分解温度及び前記環状化合物の熱分解温度の低い方をtとしたとき、t-tが50℃以上である、[1]~[19]のいずれか1つに記載の複合体。
[21]
[1]~[20]のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、
前記ポリマーと、前記式(I)で表される環状化合物とを、無溶媒下で接触して、前記複合体を得ることを含み、
前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する、製造方法。
[22]
前記接触は、前記ポリマーのガラス転移温度および融点の少なくとも一方よりも高い温度で実施される、[21]に記載の製造方法。
[23]
[1]~[20]のいずれか1つに記載の複合体を含む、組成物。
[24]
粉体状である、[23]に記載の組成物。
[24]
液状である、[23]に記載の組成物。
本開示の複合体は、耐熱性および/または疎水性に優れ、かつ官能基の導入が容易である。
図1は、実施例1で得られた複合体のNMRチャートを示す。 図2は、実施例1で得られた複合体のIRチャートを示す。 図3は、実施例4で得られた複合体のNMRチャートを示す。 図4は、実施例5で得られた複合体のTGAカーブを示す。 図5は、実施例8で得られた複合体のNMRチャートを示す。 図6は、実施例8で得られた複合体のIRチャートを示す。 図7は、比較例1で得られた精製体のNMRチャートを示す。 図8は、比較例2で得られた精製体のNMRチャートを示す。 図9は、実施例10で得られた複合体のNMRチャートを示す。 図10は、実施例28で得られた複合体及び精製体のFT-IRチャートを示す。
<複合体>
本開示の複合体は、
ポリマーと、前記ポリマーを包接する1つまたは複数の環状化合物とを含み、
前記環状化合物は、以下の式(I):
Figure 0007475617000011
[式(I)中、
Aは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価のC4-50有機基を表し、
Rは、各出現に置いてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子を含んでいてもよい有機基または水素原子を表し、
nは、4~20の整数を表す。]
で表される化合物を含み、
前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する。
上記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基において、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と、上記水素原子との相互作用は、水素結合的な相互作用であり得る。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子および塩素原子から選ばれる1種またはそれ以上が好ましい。
本開示の複合体は、ポリマーと、上記環状化合物とを含むため、耐熱性および/または疎水性が良好であり、官能基の導入が容易である。そのため、本開示の複合体は、多様な樹脂等との混合も容易であり得る。さらに、本開示の複合体では、ポリマーおよび環状化合物の一方が、プロトン受容体として作用し得る-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するため、上記プロトン受容体と上記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基との間で水素結合的な相互作用が生じ得、複合体における環状化合物とポリマーとが可動でありながら、適度に固定された状態になり得る。そのため、本開示の複合体は、例えば樹脂と混合された場合において、衝撃吸収性等の特性を発揮しつつ、機械的強度も維持できることが期待される。
なお、本開示において、上記-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上と、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基とは、一方が環状化合物に含まれ、他方がポリマーに含まれており、該ポリマーは、環状化合物に包接されている。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子と、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基とは近接して存在しており、環内部の制限空間内にて相互作用が生じることになると考えられる。したがって、本開示においては、一般的にプロトン供与性基として知られる基に加えて、それらよりプロトン供与性が低い基であっても、水素結合的な相互作用を示し得ると考えられる。また、上記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基と上記プロトン受容体とは、必ずしも水素結合を形成しなくともよい。
本開示において、包接は、環状化合物の環の内部にポリマーの少なくとも一部が存在することを意味する。一態様において、ポリマーは、環状化合物の環を貫通していてもよい。また、1つのポリマーを包接する環状化合物は、1個またはそれ以上であり得、一態様において、好ましくは1個であり、別の態様において、好ましくは2個以上である。上限としてはポリマーの繰り返し単位あたり、平均して5個以下、あるいは3個以下、好ましくは1個以下である。例えば、ポリマーの繰り返し単位の数をjとした場合、1つの複合体に含まれる環状化合物の個数は、好ましくは5×j個以下、より好ましくは3×j個以下、さらに好ましくはj個以下である。
上記ポリマーおよび環状化合物の一方に含まれ得る窒素原子の形態は、プロトン受容体として作用し得るものであれば特に限定されず、例えば、>N-(すなわち、3つの単結合をもつ窒素原子);-N=(すなわち、1つの単結合および1つの二重結合をもつ窒素原子)、または;N≡(すなわち、1つの三重結合をもつ窒素原子)であり得る。なお、水素原子が結合している窒素原子は、プロトン供与体として作用し得るため、上記プロトン受容体として作用し得る窒素原子には含まれない。
上記ポリマーおよび環状化合物の一方に含まれ得る-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上は、一の好ましい態様において、-CO-およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり得、別の好ましい態様において、窒素原子であり得る。
上記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基は、プロトン供与性基、不飽和基および電荷密度が0.25以上である水素原子を含む基から選ばれる1種またはそれ以上であり得る。
本開示において、プロトン供与性基は、水素結合におけるプロトン供与体(水素ドナー)になり得る基であればよく、代表的には、水素原子を含む。プロトン供与体として作用し得る観点から、プロトン供与性基は、電荷密度が0.22以上である水素原子を含むことが好ましい。該水素原子の電荷密度は、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.40以上であり得、例えば、1以下であってよい。本開示において、電荷密度はある原子の電荷や他の原子と形成する結合の強さを表す値として理解され得る。プロトン供与性基の水素原子の電荷密度は、プロトン供与性基において、水素結合に寄与し得る水素原子の電荷密度として理解され得る。プロトン供与性基の水素原子の電荷密度が大きいほど、プロトン供与性が高く(水素結合を形成しやすく)、該電荷密度が小さいほど、プロトン供与性が低い(水素結合を形成しにくい)と考えられる。
かかる態様では、環状化合物において、上記プロトン供与性基の電荷密度が0.22以上である水素原子は、上記式(I)におけるAの置換基(環状化合物の環の先端)に含まれることが好ましい。また、ポリマーにおいて、上記プロトン供与性基の電荷密度が0.22以上である水素原子は、ポリマーの主鎖または置換基(ポリマーの主鎖の周りの原子)に含まれることが好ましい。
好ましい態様において、本開示の複合体において、ポリマーおよび環状化合物から選ばれる一方が、プロトン供与性基を含み、他方が、電荷密度が0未満となる原子を含むことが好ましい。これにより、ポリマーおよび環状化合物の一方に含まれるプロトン供与性基が、他方に含まれる電荷密度が0未満となる原子と水素結合的に相互作用しやすくなり、複合体がより安定的に形成されやすくなると考えられる。該プロトン供与性基は、電荷密度が0.22以上である水素原子を含むことが好ましい。該水素原子の電荷密度は、好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.40以上であり得、例えば1以下であってよい。
かかる態様において、電荷密度が0未満となる原子の電荷密度は、好ましくは-0.1以下、より好ましくは-0.20以下であり得、例えば-1以上であってよい。
また、かかる態様において、ポリマーおよび環状化合物のうち、プロトン供与性基を有する一方に含まれる水素原子の電荷密度の最大値と、他方に含まれる電荷密度の最小値との差は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上であってよく、例えば1以下であり得る。
かかる態様では、環状化合物において、電荷密度が0未満となる原子またはプロトン供与性基は、上記式(I)におけるAの置換基(環状化合物の環の先端)に含まれることが好ましい。ポリマーにおいて、電荷密度が0未満となる原子またはプロトン供与性基は、ポリマーの主鎖または置換基(ポリマーの主鎖の周りの原子)に含まれることが好ましい。
本開示において、電荷密度は、自然結合軌道(NBO)法によって電子密度解析(Gaussian)より算出できる。例えば、まず、ガウシアン16リビジョンA.03(ガウシアン社)を使用し、汎関数としてB3LYP、規定関数系として6-31G(d)を用いて、計算対象となる分子の構造式を仮定し、構造最適化計算を行って、最適化構造を特定してよい。次いで、該最適化構造を用いて自然結合軌道(NBO)法によって電子密度解析を行い、電荷密度を算出できる。
なお、ポリマーに関しては、連続した繰り返し構造単位3つ分の構造を仮定し、中央の単位の結果を採用してよい。また、ポリマーおよび環状化合物に含まれる原子の原子密度の計算に際して、幾何学的に等価な同一種の原子が2個以上存在する場合、該2個以上の同一種の原子のうち、電荷密度の絶対値が最大となる原子の電荷密度を採用してよい。
上記プロトン供与性基は、代表的には、電子吸引性の高い原子に結合する水素原子を含む基であり得る。かかる電子吸引性の高い原子としては、酸素原子;窒素原子;硫黄原子:および-CO-に結合する炭素原子が挙げられる。一の態様において、上記プロトン供与性基は、好ましくは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種の原子に結合する水素原子を含む基であり、より好ましくは、-OH、-NH-および-SHから選ばれる1種または2種以上であり得る。
本開示において、不飽和基としては、炭素-炭素二重結合を含む基(-CR=CR-、-CR=CR、Rは、水素原子またはC1-4アルキル基を表す。)および炭素-炭素三重結合を含む基(-C≡CR、Rは、水素原子またはC1-4アルキル基を表す。)が挙げられ、好ましくは、炭素-炭素二重結合を含む基等が挙げられる。かかる不飽和基を有するポリマーとしては、例えば、ポリマー骨格中に不飽和基を有するポリマーが挙げられ、特に、ポリブタジエンポリマー等のジエン系ポリマーが、挙げられる。
上記、不飽和基を構成する炭素原子に結合している水素原子の電荷密度は、好ましくは0.22以上であり、より好ましくは0.25以上、さらに好ましくは0.40以上であり得、例えば1以下であってよい。
本開示において電荷密度が0.25以上の水素原子を含む基は、プロトン供与性基ほどではないが、上記のプロトン受容体として作用し得る-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上と水素結合的に相互作用し得ると考えられる。そのため、電荷密度が0.25以上の水素原子の電荷密度は0.27以上がより好ましく、さらには0.30以上が好ましく、例えば1以下であってよい。
式(I)中、Aは、各出現においてそれぞれ独立して、2価のC4-50有機基を表し、-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む。
上記C4-50有機基は、好ましくはC4-20有機基、より好ましくはC4-10有機基であり得る。
本開示において、1価または2価の「有機基」は、炭素を含有する1価または2価の基を意味する。1価または2価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基またはその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。なお、単に「有機基」という場合、1価の有機基を意味する。
また、本開示において、「炭化水素基」は、炭素および水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、C1-20炭化水素基、例えば、C1-20脂肪族炭化水素基、C6-20芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよい。
本開示において、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記Aで表される-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価の有機基における「2価のC4-50有機基」は、好ましくは、2価のC6-20芳香族炭化水素基または2価のC3-20脂環式炭化水素基であり得る。
上記2価のC6-20芳香族炭化水素基は、好ましくは、2価のC6-10芳香族炭化水素基、より好ましくは、2価のC6-8芳香族炭化水素基、特に好ましくはフェニレン基であり得る。
上記2価のC3-20脂環式炭化水素基は、飽和脂環式炭化水素基および不飽和脂環式炭化水素基のいずれであってもよい。上記2価のC3-20脂環式炭化水素基は、好ましくは2価のC6-10不飽和脂環式炭化水素基、より好ましくは、2価のC6-8不飽和炭化水素基、特に好ましくはシクロヘキサジエニル基であり得る。
上記Aで表される-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価のC4-50有機基は、各出現においてそれぞれ独立して、好ましくは、置換基として-ORを有する2価のC6-20芳香族炭化水素基、C3-20脂環式炭化水素基において、環を構成する炭素原子に結合する水素原子が-ORに置換されている基、および、C3-20脂環式炭化水素基において、環を構成する-CH-が-CO-に置き換わっている基から選ばれる1種であり得、より好ましくは、置換基として-ORを有する2価のC6-10芳香族炭化水素基、および、C6-10脂環式炭化水素基において、環を構成する-CH-が-CO-に置き換わっている基から選ばれる1種であり得る。
Aに含まれる-ORおよび-CO-の個数の合計は、1以上4以下であり、好ましくは2である。
Rは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子を含んでいてもよい有機基または水素原子を表す。
Rで表される有機基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基またはフェニル基等が挙げられ、これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
Rで表される有機基は、フッ素原子を含んでいてもよく、該フッ素原子は、有機基の置換基として含まれていてもよい。Rで表される有機基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、エポキシ基、アセチル基等の反応性官能基;アルキル基、ビニル基、エチニル基等の脂肪族炭化水素基;ハロゲン原子が挙げられる。かかるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
Rにおけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
Rにおけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
上記Rにおけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。上記アルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。上記アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
21は、好ましくは-R22-R23(式中、R22は、非置換のC1-30アルキレン基、好ましくはC1-20アルキレン基、より好ましくはC1-10アルキレン基であり、R23は、C1-10パーフルオロアルキル基、好ましくはC1-6パーフルオロアルキル基である。)で表される基である。
上記Rにおけるアルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26-R27-(O-R28-R29で表される基である。式中、R26は、単結合または酸素原子である。R27は、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28は、C1-10アルキレン基である。R29は、水素原子またはC1-10アルキル基である。mは、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
一の態様において、上記有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
nは、4~20であり、好ましくは4~10、より好ましくは4~7、さらに好ましくは5~6である。一の態様において、nは5である。また、別の態様において、nは6である。
一の態様において、上記環状化合物は、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むことが好ましく;-CO-およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むことがより好ましい。
-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含む環状化合物としては、上記式(I)において、Aが、-CO-を含む2価のC4-50有機基である環状化合物;上記式(I)において、Aが、-OR-を含む2価のC4-50有機基であり、Rが、置換基として、イソシアネート基、ニトリル基およびフッ素原子から選ばれる1種またはそれ以上を含む、環状化合物等が挙げられる。
別の態様において、上記環状化合物は、プロトン供与性基を含むことが好ましい。
上記プロトン供与性基を含む環状化合物としては、上記式(I)において、Aが、-ORを含む2価のC4-50有機基であり、該Rが水素原子である化合物等が挙げられる。
上記環状化合物は、好ましくは、以下の式(1)~(3):
Figure 0007475617000012
[式(1)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、水素原子であり、
n1は、4~20の整数であり、
好ましい態様において、R~Rから選ばれる1つまたはそれ以上は、含フッ素有機基であることが好ましく、C2-6フルオロアルキル基を含む有機基であることがより好ましく、
別の好ましい態様において、RおよびRから選ばれる1つまたはそれ以上は、は水素原子であり、より好ましくはRおよびRが水素原子であり得る。]
Figure 0007475617000013
[式(2)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n2は、4~20の整数である。]
Figure 0007475617000014
[式(3)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3)中において任意である。]
のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。
上記環状化合物が、上記式(1)~(3)のいずれかで表される化合物であることで、耐熱性および/または疎水性がより良好であり、かつ、官能基の導入がより容易であるとともに、より効率よく複合体を製造することができる。
一の態様において、上記環状化合物は、以下の式(1):
Figure 0007475617000015
[式(1)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
ただし、RおよびRの少なくとも1つは、水素原子であり、
n1は、4~20の整数である。]
で表される化合物を含むことが好ましい。
式(1)中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表す。
、R、RまたはRで表される有機基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基、フェニル基または含フッ素有機基等が挙げられ、これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
、R、RまたはRで表される有機基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、エポキシ基、アセチル基等の反応性官能基;アルキル基、ビニル基、エチニル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
、R、RまたはRにおけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
、R、RまたはRにおけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記R、R、RまたはRにおけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
上記R、R、RまたはRにおけるアルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26-R27-(O-R28-R29で表される基である。式中、R26は、単結合または酸素原子である。R27は、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28は、C1-10アルキレン基である。R29は、水素原子またはC1-10アルキル基である。mは、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
上記R、R、RまたはRにおける含フッ素有機基は、フルオロアルキル基を有する炭素数2以上の有機基であることが好ましく、より好ましくはフルオロアルキル基またはフルオロ(ポリ)エーテル基であり得る。上記フルオロアルキル基は、好ましくはC1-10フルオロアルキル基、より好ましくはC2-6フルオロアルキル基である。かかるフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。かかるフルオロアルキル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基である。上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、フルオロエーテル基および/またはフルオロポリエーテル基を表す。
一の態様において、上記含フッ素有機基は、下記式:
-(Op1-R20 q1)-Rf
[式中:
20は、各出現においてそれぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10フルオロアルキル基を表す。
p1は、0~2の整数である。
q1は、0~3の整数である。
(Op1-R20 q1)中、OおよびR11aの存在順序は限定されない。]
で表される基である。
20におけるC1-10アルキレン基は、好ましくはC1-6アルキレン基、より好ましくはC2-6アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。
RfにおけるC1-10フルオロアルキル基は、好ましくはC1-6フルオロアルキル基である。かかるフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。かかるフルオロアルキル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基である。
p1は、0~2の整数、好ましくは1または2である。一の態様において、p1は1である。別の態様において、p1は2である。
q1は、0~3の整数、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1または2である。一の態様において、q1は1である。別の態様において、q1は2である。
好ましい態様において、上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、
-O-R20-(O-R20r1-Rf
[式中:
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10フルオロアルキル基を表す。
r1は、0または1である。]
で表される基である。
より好ましい態様において、上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、
-O-R20-(O-R20r1-Rf
[式中:
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10パーフルオロアルキル基を表す。
r1は、0または1である。]
で表される基である。
n1は、4~20の整数であり、好ましくは4~6の整数であり、より好ましくは5または6である。
特に好ましい態様において、
13およびR16は、-O-R20-(O-R20r1-Rfであり、R14およびR15は、水素原子であるか、あるいは
14およびR15は、-O-R20-(O-R20r1-Rfであり、R13およびR16は、水素原子であり、
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、
Rfは、C1-10パーフルオロアルキル基、好ましくはC1-6パーフルオロアルキル基であり、
r1は、0または1であり、
n1は、4~6の整数、好ましくは5または6である。
一の態様において、上記有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
好ましい態様において、R~Rから選ばれる1つまたはそれ以上は、含フッ素有機基であることが好ましく、C2-6フルオロアルキル基を含む有機基であることがより好ましい。
別の好ましい態様において、RおよびRから選ばれる1つまたはそれ以上は、水素原子であり、より好ましくはRおよびRが水素原子であり得る。RおよびRの少なくとも1つが水素原子である場合、式(1)で表される化合物は、プロトン供与性基として、-OHを有する。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーと組み合わせられ得る。
n1は、好ましくは4~20であり、より好ましくは4~10、さらに好ましくは4~7、いっそう好ましくは5~6である。一の態様において、n1は5である。また、別の態様において、n1は6である。
一の好ましい態様において、上記式(1)は、以下の式(1-A):
Figure 0007475617000016
[式(1-A)中、
1aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
2aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
3aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
4aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
ただし、R3aおよびR4aの少なくとも1つは、水素原子を表し、
n1は、4~20の整数である。]
で表され得る。
式(1-A)中、R1aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R2aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R3aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R4aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
1a、R2a、R3aまたはR4aで表されるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
1a、R2a、R3aまたはR4aで表されるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
3aおよびR4aの少なくとも1つは水素原子であり、好ましくはR3aおよびR4aが水素原子であり得る。R3aおよびR4aの少なくとも1つが水素原子である場合、式(1)で表される化合物は、プロトン供与性基として、-OHを有する。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーと組み合わせられ得る。
一の態様において、好ましくは、R1aおよびR2aは、水素原子であり、R3aおよびR4aは、水素原子またはメチル基である。
別の態様において、上記式(1)は、以下の式(1-A’):
Figure 0007475617000017
[式(1-A’)中、
13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
15は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
16は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n5は、4~20の整数であり、
ただし、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、含フッ素有機基であり、
14およびR15の少なくとも1つは、水素原子である。]
で表され得る。
上記式(1-A’)中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、または有機基であり、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、または有機基であり、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、または有機基であり、R16は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、または有機基であり、R13、R14、R15およびR16の少なくとも1つは、含フッ素有機基である。
上記R13、R14、R15またはR16で表される有機基としては、置換基により置換されていてもよい、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基またはフェニル基等が挙げられる。
上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基、および5~10員のヘテロアリール基、ならびに反応性官能基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
上記R13、R14、R15またはR16におけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
13、R14、R15またはR16におけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記R13、R14、R15またはR16におけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
21は、好ましくは-R22-R23(式中、R22は、非置換のC1-30アルキレン基、好ましくはC1-20アルキレン基、より好ましくはC1-10アルキレン基であり、R23は、C1-10パーフルオロアルキル基、好ましくはC1-6パーフルオロアルキル基である。)で表される基である。
上記アルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26f-R27f-(O-R28fm1-R29fで表される基である。式中、R26fは、単結合または酸素原子である。R27fは、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28fは、C1-10アルキレン基である。R29fは、フッ素原子により置換されていてもよいC1-10アルキル基または水素原子である。m1は、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
一の態様において、上記有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
一の態様において、R13およびR16は、それぞれ独立して、有機基であり、R13およびR16の少なくとも1つは、含フッ素有機基であるか、あるいは、R14およびR15は、それぞれ独立して、有機基であり、R14およびR15の少なくとも1つは、含フッ素有機基である。
14およびR15の少なくとも1つは、水素原子であり、好ましくは、R14およびR15は、水素原子であり得る。R14およびR15の少なくとも1つが水素原子である場合、式(1-A’)で表される化合物は、プロトン供与性基として、-OHを有する。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーと組み合わせられ得る。
一の態様において、R13、R14、R15およびR16の少なくとも2つは、含フッ素有機基であり、好ましくは、R13、R14、R15およびR16のうちの2つは、含フッ素有機基であり、より好ましくは、R13およびR16は、含フッ素有機基であり得る。
一の態様において、R14およびR15は、水素原子であるか、あるいは、R13およびR16は、水素原子である。
好ましい態様において、R13およびR16は、それぞれ独立して、含フッ素有機基であり、R14およびR15は、水素原子である。
上記含フッ素有機基は、フルオロアルキル基を有する炭素数2以上の有機基であることが好ましく、より好ましくはフルオロアルキル基またはフルオロ(ポリ)エーテル基であり得る。上記フルオロアルキル基は、好ましくはC1-10フルオロアルキル基、より好ましくはC2-6フルオロアルキル基である。かかるフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。かかるフルオロアルキル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基である。上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、フルオロエーテル基および/またはフルオロポリエーテル基を表す。
一の態様において、上記含フッ素有機基は、下記式:
-(Op1-R20 q1)-Rf
[式中:
20は、各出現においてそれぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10フルオロアルキル基を表す。
p1は、0~2の整数である。
q1は、0~3の整数である。
(Op1-R20 q1)中、OおよびR11aの存在順序は限定されない。]
で表される基である。
20におけるC1-10アルキレン基は、好ましくはC1-6アルキレン基、より好ましくはC2-6アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。
RfにおけるC1-10フルオロアルキル基は、好ましくはC1-6フルオロアルキル基である。かかるフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖である。かかるフルオロアルキル基は、好ましくはパーフルオロアルキル基である。
p1は、0~2の整数、好ましくは1または2である。一の態様において、p1は1である。別の態様において、p1は2である。
q1は、0~3の整数、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1または2である。一の態様において、q1は1である。別の態様において、q1は2である。
好ましい態様において、上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、
-O-R20-(O-R20r1-Rf
[式中:
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10フルオロアルキル基を表す。
r1は、0または1である。]
で表される基である。
より好ましい態様において、上記フルオロ(ポリ)エーテル基は、
-O-R20-(O-R20r1-Rf
[式中:
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基を表す。
Rfは、C1-10パーフルオロアルキル基を表す。
r1は、0または1である。]
で表される基である。
n1は、4~20の整数であり、好ましくは4~6の整数であり、より好ましくは5または6である。
特に好ましい態様において、
13およびR16は、-O-R20-(O-R20r1-Rfであり、R14およびR15は、水素原子であるか、あるいは
14およびR15は、-O-R20-(O-R20r1-Rfであり、R13およびR16は、水素原子であり、
20は、それぞれ独立して、C1-10アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、
Rfは、C1-10パーフルオロアルキル基、好ましくはC1-6パーフルオロアルキル基であり、
r1は、0または1であり、
n1は、4~6の整数、好ましくは5または6である。
式(1-A’)で表される化合物は、は、ピラー[n]アレーンの置換基を、含フッ素有機基に変換することにより得ることができる。典型的には、式(1-A’)で表される化合物は、ピラー[n]アレーンの所定の位置にヒドロキシル基を導入し、該ヒドロキシル基と、フルオロアルキル基を有する炭素数2以上の有機基のトシル化物、ハロゲン化物等とを反応させることにより得ることができる。
さらに別の好ましい態様において、上記式(1)は、以下の式(1-B):
Figure 0007475617000018
[式(1-B)中、
1bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
2bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
3bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
4bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
ただし、R3bおよびR4bの少なくとも1つは、水素原子であり、
n1は、4~20の整数である。]
で表され得る。
式(1-B)中、R1bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R2bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R3bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R4bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
1b、R2b、R3bまたはR4bで表されるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
1b、R2b、R3bまたはR4bで表されるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
1b、R2b、R3bおよびR4bの少なくとも1つは、水素原子であり、好ましくは、R1b、R2b、R3bおよびR4bから選ばれる1つまたは2つが水素原子であり得る。
一の態様において、好ましくは、R1bおよびR2bは、水素原子であり、R3bおよびR4bは、水素原子またはメチル基である。R3bおよびR4bの少なくとも1つが水素原子である場合、式(1-B)で表される化合物は、プロトン供与性基として、-OHを有する。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーと組み合わせられ得る。
別の態様において、上記環状化合物は、以下の式(2):
Figure 0007475617000019
[式(2)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n2は、4~20の整数である。]
で表される化合物を含むことが好ましい。
式(2)で表される化合物は、プロトン受容体として作用し得る-CO-を含むため、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーと組み合わせられ得る。
式(2)中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表す。
またはRで表される有機基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基またはフェニル基等が挙げられ、これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
またはRで表される有機基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、エポキシ基、アセチル基等の反応性官能基;アルキル基、ビニル基、エチニル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
またはRにおけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
またはRにおけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記RまたはRにおけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
上記RまたはRにおけるアルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26-R27-(O-R28-R29で表される基である。式中、R26は、単結合または酸素原子である。R27は、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28は、C1-10アルキレン基である。R29は、水素原子またはC1-10アルキル基である。mは、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
一の態様において、上記有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
n2は、好ましくは4~20であり、より好ましくは4~10、さらに好ましくは4~7、いっそう好ましくは5~6である。一の態様において、n2は5である。また、別の態様において、n2は6である。
一の好ましい態様において、上記式(2)は、以下の式(2-A):
Figure 0007475617000020
[式(2-A)中、
5aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
n2は、4~20の整数を表す。]
で表され得る。
式(2-A)で表される化合物は、プロトン受容体として作用し得る-CO-を含むため、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーと組み合わせられ得る。
式(2-A)中、R5aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
5aまたはR6aで表されるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
5aまたはR6aで表されるアルキル基における置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、R5aおよびR6aは、水素原子である。
さらに別の態様において、上記環状化合物は、以下の式(3):
Figure 0007475617000021
[式(3)中、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3)中において任意である。]
で表される化合物を含むことが好ましい。
式(3)で表される化合物は、プロトン受容体として作用し得る-CO-を含むため、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーと組み合わせられ得る。
式(3)中、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表す。
、R、R、R10、R11またはR12で表される有機基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基またはフェニル基等が挙げられ、これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
、R、R、R10、R11またはR12で表される有機基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、エポキシ基、アセチル基等の反応性官能基;アルキル基、ビニル基、エチニル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
、R、R、R10、R11またはR12でおけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
、R、R、R10、R11またはR12におけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記R、R、R、R10、R11またはR12におけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
上記R、R、R、R10、R11またはR12におけるアルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26-R27-(O-R28-R29で表される基である。式中、R26は、単結合または酸素原子である。R27は、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28は、C1-10アルキレン基である。R29は、水素原子またはC1-10アルキル基である。mは、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
一の態様において、上記R、R、R、R10、R11またはR12表される有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、Rは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R10は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R11は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R12は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
n3は、好ましくは1~19であり、より好ましくは1~9、さらに好ましくは1~6、いっそう好ましくは1~5である。n4は、好ましくは1~19であり、より好ましくは1~9、さらに好ましくは1~6、いっそう好ましくは1~5である。n3+n4は、好ましくは4~20であり、より好ましくは4~10、さらに好ましくは4~7、いっそう好ましくは5~6である。
一の好ましい態様において、上記式(3)は、以下の式(3-A):
Figure 0007475617000022
[式(3-A)中、
7aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
8aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
9aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
10aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
11aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
12aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
ただし、n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-A)中において任意である。]
で表され得る。
式(3-A)で表される化合物は、プロトン受容体として作用し得る-CO-を含むため、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーと組み合わせられ得る。
式(3-A)中、R7aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R8aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R9aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R10aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R11aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R12aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
7a、R8a、R9a、R10a、R11aまたはR12aで表されるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
7a、R8a、R9a、R10a、R11aまたはR12aで表されるアルキル基における置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
一の態様において、R7a、R8a、R11aおよびR12aは、好ましくは、水素原子であであり、R9aおよびR10aは、好ましくはメチル基であり得る。
別の好ましい態様において、上記式(3)は、以下の式(3-B):
Figure 0007475617000023
[式(3-B)中、
7bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
8bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
9bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
10bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
11bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
12bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
ただし、R9bおよびR10bの少なくとも1つは、水素原子であり、
n3は、1~19の整数であり、
n4は、1~19の整数であり、
n3とn4の合計は、4~20であり、
n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-B)中において任意である。]
で表され得る。
式(3-B)で表される化合物は、プロトン受容体として作用し得る-CO-を含むため、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーと組み合わせられ得る。
式(3-B)中、R7bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R8bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R9bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R10bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R11bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、R12bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表す。
7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bで表される有機基としては、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルエーテル基、トシル基、トリフラート基またはフェニル基等が挙げられ、これらの基は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい。
7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bで表される有機基が有していてもよい置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、チオール基、イソシアネート基、ニトリル基、エポキシ基、アセチル基等の反応性官能基;アルキル基、ビニル基、エチニル基等の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bでおけるアルキル基は、好ましくはC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-30アルキル基であり得る。別の態様において、C1-30アルキル基は、C17-30アルキル基、好ましくはC18-30アルキル基、より好ましくはC26-30アルキル基であり得る。
7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bにおけるアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子;1個また2個以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
上記R7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bにおけるアルキルオキシ基は、典型的には、-O-R21(式中、R21は、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよいアルキル基である。)で表される基である。
21におけるアルキル基は、上記した置換基により置換されていてもよく、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよい。かかるアルキル基は、好ましくはフッ素原子により置換されていてもよいC1-30アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。一の態様において、C1-30アルキル基は、C1-20アルキル基、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-3アルキル基であり得る。
上記R7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12bにおけるアルキルエーテル基は、上記アルキル基の分子鎖中に1つ以上のエーテル性酸素原子を有する化合物である。かかるアルキルエーテル基は、典型的には、-R26-R27-(O-R28-R29で表される基である。式中、R26は、単結合または酸素原子である。R27は、単結合またはC1-10アルキレン基である。R28は、C1-10アルキレン基である。R29は、水素原子またはC1-10アルキル基である。mは、1~20の整数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3であり得る。
一の態様において、上記R7b、R8b、R9b、R10b、R11bまたはR12b表される有機基は、末端が反応性官能基により置換されたアルキル基、アルキルオキシ基、またはアルキルエーテル基であり得る。なお、かかる基は、さらに別の置換基により置換されていてもよい。
上記反応性官能基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、ビニル基、アセチレン基、ニトリル基、エポキシ基等が挙げられる。
一の態様において、好ましくは、R7bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R8bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R9bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R10bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R11bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、R12bは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表す。
9bおよびR10bの少なくとも1つは、水素原子であり、好ましくはR9bおよびR10bは、水素原子であり得る。R9bおよびR10bの少なくとも1つが水素原子である場合、式(3-B)で表される化合物は、プロトン供与性基として、-OHを有する。そのため、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーと組み合わせられ得る。
上記環状化合物は、好ましくは、式(1)、(2)および(3)から選ばれる1種または2種以上で表される化合物であり、より好ましくは、式(1-A)、(2-A)および(3-A)から選ばれる1種または2種以上で表される化合物であり得る。
上記複合体に2個以上の環状化合物が含まれる場合、該2個以上の環状化合物は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記環状化合物の割合は、後述するポリマーと環状化合物の合計100質量部中、好ましくは0.01質量%以上99質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは1質量%以上90質量%以下であり得る。環状化合物の割合が前記範囲にあることで、複合体の耐熱性および/または疎水性が良好である。
本開示の複合体において、上記ポリマーは、上記環状化合物に包接されており、ポリマーおよび上記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する。
一の態様において、上記ポリマーは、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むことが好ましい。上記ポリマーにおける、-CO-および窒素原子の位置は特に限定されず、ポリマーの末端またはポリマー分子内の一部として存在していてよい。-CO-を含むポリマーとしては、ポリアミド等の主鎖骨格にアミド基を含むポリマー;ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート等の主鎖骨格にエステル基を含むポリマー:ポリエーテルケトンおよびポリエーテルエーテルケトン等の主鎖骨格にカルボニル基を含むポリマー(ただし、主鎖骨格にアミド基またはエステル基を含むポリマーを含まない)が挙げられる。窒素原子を含むポリマーとしては、ポリアミドが挙げられる。ハロゲン原子を含むポリマーとしては、含フッ素ポリマー、含塩素ポリマー等が挙げられる。
別の態様において、上記ポリマーは、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有することが好ましい。プロトン供与性基を含むポリマーとしては、OH基含有ポリマーが挙げられ、好ましくは、ビニルアルコール単位を含むポリマーが挙げられる。不飽和結合を有するポリマーとしては、好ましくはジエン系ポリマーが挙げられる。
さらに別の態様において、上記ポリマーは、OH基を含むことが好ましい。OH基含有ポリマーとしては、ビニルアルコール単位を含むポリマーが挙げられる。
上記ポリマーは、好ましくは、直鎖状ポリマーであり得る。上記ポリマーが直鎖状であることで、環状化合物の環の内部にポリマーが貫通しやすくなり、複合体の形成が容易になり得る。
本開示において、上記ポリマーは、1つまたはそれ以上の置換基を有していてもよい。上記ポリマーに含まれ得る置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-5アルキル基およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。
上記ポリマーが有していてもよい置換基において、C、N、OおよびSの合計の個数は、1以上であり、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下であり得る。
f13は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基または水素原子を表す。
f13で表される1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基における「C1-4アルキル基」は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキル基である。
上記Rf13で表されるC1-4アルキル基を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
一の態様において、Rf13で表される上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されているC1-4アルキル基であり、さらに好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-4アルキル基であり、いっそう好ましくはC1-4パーフルオロアルキル基である。
上記Rf13におけるC1-4パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的にはCF-、CFCF-またはCFCFCF-である。
f14は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基、水素原子またはハロゲン原子を表す。
f14で表される1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基における「C1-4アルキル基」は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキル基である。
上記Rf14で表されるC1-4アルキル基を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
一の態様において、上記Rf14で表される1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-4アルキル基は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されているC1-4アルキル基であり、さらに好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-4アルキル基であり、いっそう好ましくはC1-4パーフルオロアルキル基である。
上記Rf14におけるC1-4パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCFまたは-CFCFCFである。
上記置換基としての1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-5アルキル基における「C1-5アルキル基」は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキル基である。
上記置換基としてのC1-5アルキル基を置換していてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。一の態様において、上記1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよいC1-5アルキル基は、好ましくは、1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されているC1-5アルキル基であり、さらに好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-5アルキル基であり、いっそう好ましくはC1-4パーフルオロアルキル基である。
上記C1-4パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基、具体的にはCF-、CFCF-またはCFCFCF-である。
上記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子および臭素原子が挙げられれ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
上記-CO-および窒素原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーとしては、好ましくは、以下の式(B1)~(B6):
-[NH-CO-Rb2-CO-NH-Rb2]- (B1)
-[NH-CO-Rb2]- (B2)
-[O-CO-O-Rb2]- (B3)
-[O-CO-Rb2]- (B4)
-[O-CO-Rb2-CO-O-Rb2]- (B5)
-[O-Rb2-O-Rb2-CO-Rb2]- (B6)
[式(B1)~(B6)中、
b2は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基、または、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキレン基を表す。
b3は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表す。]
から選ばれる1種またはそれ以上の繰り返し構造単位を有するポリマーが挙げられる。
上記ポリマーが上記の繰り返し構造単位を有するポリマーを含むことで、得られる複合体の耐熱性が良好である。
式(B4)または式(B5)で表される繰り返し構造単位を含むポリマーは、ポリエステルに該当し、その化学構造上、加水分解を受けやすい。例えば、生分解性ポリマーとして期待されるポリ乳酸は、耐加水分解性の改善が課題とされている。本開示の複合体は、環状化合物と、式(B4)または(B5)で表される繰り返し構造単位を含むポリマーとが相互作用し得るため、耐熱性のみならず、耐加水分解性の向上も期待される。
b2で表される、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基における「C6-20芳香族炭化水素基」は、単環であっても多環であってもよく、多環の場合、2以上の環は、縮合環を形成していてもよく、縮合環を形成していなくともよい。また、1個またはそれ以上の置換基を有していても良いC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基において、芳香族炭化水素基の個数は1以上であり、好ましくは1以上4以下、より好ましくは1以上3以下、さらに好ましくは1または2であり得る。かかる芳香族炭化水素基は、好ましくはC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはフェニレン基、トリレン基、キシリレン基またはナフチレン基であり、いっそう好ましくはフェニレン基、トリレン基またはキシリレン基であり得る。
かかる1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基において、2以上の芳香族炭化水素基は、単結合または2価の有機基を介して結合していてもよい。かかる有機基としては、直鎖状または分枝鎖状のC1-4アルキル基が挙げられる。
b2で表される、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基は、好ましくは、以下の式:
*-Ar-(X-Arn10-*
[式中、
Arは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価のC6-10芳香族炭化水素基を表し、
は、単結合、-O-、-CO-、-SO-またはC1-4アルキレン基を表し、
n10は、0以上3以下の整数を表し、
*は、結合手を表し、
式中における合計の炭素数は、6以上20以下である。]
で表される。
Arは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価のC6-10芳香族炭化水素基を表す。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価のC6-20芳香族炭化水素基における「2価のC6-20芳香族炭化水素基」は、単環であっても多環であってもよく、多環の場合、2以上の環は、縮合環を形成していなくともよく、縮合環を形成していてもよい。1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価のC6-20芳香族炭化水素基における「2価のC6-20芳香族炭化水素基」は、好ましくは2価のC6-15芳香族炭化水素基であり、より好ましくは2価のC6-10芳香族炭化水素基であり、さらに好ましくはフェニレン基、トリレン基、キシリレン基またはナフチレン基であり、いっそう好ましくはフェニレン基、トリレン基またはキシリレン基である。
Arで表される2価のC6-10芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記2価のC6-10芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
は、単結合、-O-、-CO-、-SO-またはC1-4アルキレン基を表す。かかるC1-4アルキレン基は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、具体的には、-CH-、-C(CH-であり得る。
b2で表される、C6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記2価のC6-10芳香族炭化水素基を含む2価の基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
b2で表される、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基は、好ましくは、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシキシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、3,3’-ジメチルビフェニレン基、3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニレン基、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基、1,1-ジフェニルメタン-4,4’-ジイル基、ベンゾフェノン-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル基またはオキシビスフェニル-4,4’-ジイル基であり、より好ましくは、フェニレン基、キシリレン基、ヒドロキシフェニレン基、ヒドロキシキシリレン基、ナフチレン基、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイル基、1,1-ジフェニルメタン-4,4’-ジイル基、ベンゾフェノン-4,4’-ジイル基、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイル基またはオキシビスフェニル-4,4’-ジイル基である。
b2で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基であり、具体的には、-CH-、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、-C(CH-、-CHCHCHCH-、-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-C(CHCH-、-CHCHCHCHCH-、-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-、-C(CHCHCH-、-CHC(CHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、CH(CH)CHCHCHCH-、-CHCH(CH)CHCHCH-、-CHCHCH(CH)CHCH-、-C(CHCHCHCH-または-CHC(CHCHCH-であり得る。
b2で表されるC1-16アルキレン基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記Rb2で表されるC1-16アルキレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
上記-CO-および窒素原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーの数平均分子量は、例えば、500~1,000,000、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~300,000、さらにより好ましくは2,000~250,000、例えば3,000~250,000であり得る。
本開示において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィ法により測定することができ、ポリスチレンを標準試料とした換算値として測定され得る。
上記ハロゲン原子を含むポリマー(以下、「含ハロゲンポリマー」ともいう)としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーが挙げられ、代表的には、フッ素原子および塩素原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーが好ましく、一の態様において、フッ素原子または塩素原子を含むポリマーが好ましく、別の態様において、フッ素原子および塩素原子を含むポリマーが好ましい。上記ハロゲン原子を含むポリマーとしては、上記式(B1)~(B6)において、置換基としてフッ素原子を含む繰り返し構造単位を有するポリマー;含フッ素オレフィン系ポリマー;フルオロポリエーテル;および含フッ素アクリル系ポリマー;含塩素オレフィンポリマー、含塩素アクリル系ポリマー、上記式(B1)~(B6)において、置換基として塩素原子を含む繰り返し構造単位を有するポリマー等の含塩素ポリマー等が挙げられる。上記含ハロゲンポリマーは、好ましくは、上記式(B1)~(B6)のいずれかにおいて、置換基としてフッ素原子を含む繰り返し構造単位を有するポリマー;含フッ素オレフィン系ポリマー;フルオロポリエーテル;および含塩素ポリマーから選ばれる1種または2種以上を含み得る。
一の態様において、上記含フッ素ポリマーは、上記式(B1)~(B6)のいずれかにおいて、置換基としてフッ素原子を含む繰り返し構造単位を有するポリマーを含むことが好ましい。
前記含フッ素オレフィン系ポリマーは、含フッ素オレフィン化合物の重合体であり得、含フッ素オレフィン化合物から形成される1種または2種以上の繰り返し単位を有する。
上記含フッ素オレフィン化合物は、好ましくは、以下の式:
CRf20f21=CRf22f23
[式中、
f20は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、
f21は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、
f22は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、
f23は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、
f20~Rf23の1つまたはそれ以上は、フッ素原子である。]
で表される。
上記式中、Rf20は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、Rf21は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、Rf22は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表し、Rf23は、水素原子フッ素原子塩素原子、C1-5フルオロアルキル基およびC1-5パーフルオロアルコキシ基から選ばれる1種を表す。
f20、Rf21、Rf22またはRf23で表されるC1-5フルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5フルオロアルキル基、特にC1-3フルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3フルオロアルキル基であり得る。一の態様において、Rf20、Rf21、Rf22またはRf23で表されるC1-5フルオロアルキル基は、C1-5パーフルオロアルキル基であることが好ましい。上記C1-5パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキル基であり得る。Rf20、Rf21、Rf22またはRf23で表されるC1-5フルオロアルキル基としては、具体的には-CF、-CFCFまたは-CFCFCFが挙げられる。
f20、Rf21、Rf22またはRf23で表されるC1-5パーフルオロアルコキシ基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5パーフルオロアルコキシ基、特にC1-3パーフルオロアルコキシ基であり、より好ましくは直鎖のパーフルオロアルコキシ基、具体的には-O-CF、-O-CFCFまたは-O-CFCFCFである。
一の態様において、好ましくは、Rf20はフッ素原子または水素原子、Rf21はフッ素原子または水素原子、Rf22はフッ素原子または水素原子、Rf23はフッ素原子または水素原子であり得る。別の態様において、好ましくは、Rf20はフッ素原子または水素原子、Rf21はフッ素原子または水素原子、Rf22はフッ素原子または水素原子、Rf23はC1-5パーフルオロアルキル基またはC1-5パーフルオロアルコキシ基であり得る。
上記含フッ素オレフィン化合物は、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、1,2-ジフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、フッ化ビニル、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテルおよびパーフルオロプロピルビニルエーテルから選ばれる1種またはそれ以上を含むことが好ましい。
一の態様において、上記含フッ素オレフィン化合物は、好ましくはフッ化ビニリデンであり得る。
上記含フッ素オレフィン系ポリマーとしては、含フッ素オレフィン系ポリマーは、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体およびポリ1,2-ジフルオロエチレンから選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。一の態様において、上記含フッ素オレフィン系ポリマーは、ポリフッ化ビニリデンを含む。
上記含フッ素オレフィン系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは1,000以上1,000,000以下、より好ましくは2,000以上500,000以下、さらに好ましくは3,000以上300,000以下であり得る。
本開示において、数平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィ法により測定することができ、ポリスチレンを標準試料とした換算値として測定され得る。
上記フルオロポリエーテルは、オキシフルオロアルキレン単位を有するポリマーであり得る。上記フルオロポリエーテルは、好ましくは、以下の式:
-Rf1-R-O-Rf2-Y
[式中:
は、2価のフルオロポリエーテル基を表し、
は、ハロゲン原子、水素原子、-COORf3、-ORf3、-NRf3 、-NRf3-CO-Rf3、-CO-NRf3 、-NO、-CN、-CORf4、-SOf4および-O-CORf4から選ばれる1種を表し、
は、ハロゲン原子、水素原子、-COORf3、-ORf3、-NRf3 、-NRf3-CO-Rf3、-CO-NRf3 、-NO、-CN、-CORf4、-SOf4および-O-CORf4から選ばれる1種を表し、
f1は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基または単結合を表し、
f2は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基または単結合を表し、
f3は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
f4は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基、水素原子またはハロゲン原子を表し、
qは0または1である。]
で表される。
は、好ましくは、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
Faは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び-(OCFCF(C))-のいずれであってもよい。-(OC)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよい。-(OC)-は、-(OCFCF)-及び-(OCF(CF))-のいずれであってもよい。
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
Figure 0007475617000024
[式中、*は、結合位置を示す。]
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
Figure 0007475617000025
[式中、*は、結合位置を示す。]
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。上記繰り返し単位を直鎖状とすることにより、表面処理層の表面滑り性、摩耗耐久性等を向上させることができる。
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。上記繰り返し単位を分枝鎖状とすることにより、表面処理層の動摩擦係数を大きくすることができる。
一の態様において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)~(f7)のいずれかで表される基であり、好ましくは下記式(f7)で表される基である。
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1である。];
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R36-R37- (f3)
[式中、R36は、OCF又はOCであり、
37は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R36-R37-R-(R37’-R36’g’- (f4)
[式中、R36は、OCF又はOCであり、
37は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
36’は、OCF又はOCであり、
37’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
Figure 0007475617000026
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、また、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。];
-(CFCFCHO)- (f7)
[式中、dは、1~200の整数を表す。]
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。上記式(f1)におけるOCは、好ましくは、(OCFCFCF)、(OCF(CF)CF)または(OCFCF(CF))であり、より好ましくは、(OCFCFCF)である。上記式(f1)における(OC)は、好ましくは、(OCFCF)または(OCF(CF))であり、より好ましくは、(OCFCF)である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC-(OCF-で表される基であってもよい。
上記式(f3)において、R36は、好ましくは、OCである。上記(f3)において、R37は、好ましくは、OC、OC及びOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC及びOCから選択される基である。OC、OC及びOCから独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、及び-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10及びOC12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-又は-(OC-OC-である。
上記式(f4)において、R36、R37及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R36’、R37’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR36、R37及びgと同意義であり、同様の態様を有する。Rは、好ましくは、
Figure 0007475617000027
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
Figure 0007475617000028
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
上記式(f7)において、dは、好ましくは1以上100以下、より好ましくは5以上100以下、さらに好ましくは10以上100以下の整数である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f1)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f2)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f3)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f4)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f5)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f6)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f7)で表される基である。
上記Rにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる表面処理層の滑り性、摩耗耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、表面処理層の滑り性及び摩耗耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。
上記Rで表される部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、Rで表される部分の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
別の態様において、Rで表される部分の数平均分子量は、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000、さらにより好ましくは2,000~10,000、例えば3,000~6,000であり得る。
さらに別の態様において、Rで表される部分の数平均分子量は、4,000~30,000、好ましくは5,000~10,000、より好ましくは6,000~10,000であり得る。
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基または単結合を表す。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基における「炭化水素基」は、好ましくは2価のC1-20炭化水素基であり、より好ましくは2価のC1-20脂肪族炭化水素基、さらに好ましくはC1-16アルキレン基であり得る。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキレン基である。1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキレン基、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキレン基、さらに好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、いっそう好ましくは、直鎖のC1-6アルキレン基、特に直鎖のC1-3アルキレン基である。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
一の態様において、上記Rf1で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくは1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基である。
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキレン基、特にC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキレン基、特にC1-3アルキレン基である。
上記Rf1は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキレン基であり、より好ましくはC1-16パーフルオロアルキレン基である。
上記C1-16パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキレン基、特にC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキレン基、特にC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF-、-CFCF-又は-CFCFCF-である。
上記式において、Rf2は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい2価の炭化水素基または単結合を表す。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基における「炭化水素基」は、好ましくはC1-20炭化水素基であり、より好ましくはC1-20脂肪族炭化水素基、さらに好ましくはC1-16アルキル基であり得る。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくは、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基である。1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキル基、さらに好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキル基であり、いっそう好ましくは、直鎖のC1-6アルキル基、特に直鎖のC1-3アルキル基である。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記炭化水素基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
一の態様において、Rf2で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよい炭化水素基は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
上記Rf2は、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF又は-CFCFCFである。
上記式中、Yは、ハロゲン原子、水素原子、-COORf3、-ORf3、-NRf3 、-NRf3-CO-Rf3、-CO-NRf3 、-NO、-CN、-CORf4、-SOf4および-O-CORf4から選ばれる1種を表す。
また、上記式中、Yは、ハロゲン原子、水素原子、-COORf3、-ORf3、-NRf3 、-NRf3-CO-Rf3、-CO-NRf3 、-NO、-CN、-CORf4、-SOf4および-O-CORf4から選ばれる1種を表す。
f3は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表す。
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基における「C1-16アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキレン基、特にC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキレン基、特にC1-3アルキレン基である。
上記Rf3で表されるC1-16アルキレン基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記Rf3で表されるC1-16アルキレン基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
一の態様において、上記Rf3で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキレン基は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基であり得る。
上記Rf3で表される1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキレン基は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキレン基であり、より好ましくはC1-16パーフルオロアルキレン基である。
上記Rf3におけるC1-16パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキレン基、特にC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキレン基、特にC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF-、-CFCF-または-CFCFCF-である。
f4は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基、水素原子またはハロゲン原子を表す。
上記1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
上記Rf4で表されるC1-16アルキル基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記Rf4で表されるC1-16アルキル基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
一の態様において、上記Rf4で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり得る。
上記Rf4で表される1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
上記Rf4におけるC1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF又は-CFCFCFである。
上記YまたはYで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf3、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf4およびハロゲン原子から選ばれる1種であり得る。
は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf3、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf4およびハロゲン原子から選ばれる1種であり得る。
上記式において、qは、0または1である。一の態様において、qは0であり、別の態様において、qは1である。
上記フルオロポリエーテルの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、フルオロポリエーテルの数平均分子量は、19F-NMRにより測定できる。
別の態様において、フルオロポリエーテルの数平均分子量は、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000、さらにより好ましくは2,000~10,000、例えば3,000~6,000であり得る。
さらに別の態様において、フルオロポリエーテルの数平均分子量は、4,000~30,000、好ましくは5,000~10,000、より好ましくは6,000~10,000であり得る。
上記含塩素ポリマーとしては、含塩素オレフィンポリマー;含塩素アクリル系ポリマー;上記式(B1)~(B6)において、置換基として塩素原子を含む繰り返し構造単位を有するポリマー等が挙げられ、好ましくは、含塩素オレフィンポリマーが挙げられる。
上記含塩素ポリマーは、好ましくは、以下の式(B7)
-[CRb3 -CRb3 ]- (B7)
[式(B7)中、
b3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、塩素原子およびC1-5クロロアルキル基から選ばれる1種を表し、
b3の1つまたはそれ以上は、塩素原子である。]
で表される繰り返し構造単位を有するポリマーが挙げられる。
上記式中、Rb3は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、塩素原子、C1-5クロロアルキル基およびC1-5クロロアルコキシ基から選ばれる1種を表す。
b3で表されるC1-5クロロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-5クロロアルキル基、特にC1-3クロロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-3クロロアルキル基であり得る。Rb3で表されるC1-5フルオロアルキル基としては、具体的には-CHCl、-CHClまたはCClが挙げられる。
上記式(B6)で表される繰り返し構造単位は、好ましくは、-[CH-CHCl]-または-[CH-CCl]-であり得る。
上記含塩素ポリマーの数平均分子量は、好ましくは1,000以上1,000,000以下、より好ましくは2,000以上500,000以下、さらに好ましくは3,000以上300,000以下であり得る。
上記プロトン供与性基または不飽和基を含むポリマーとしては、好ましくは以下の式(B8)、(B9)、(B10)、(B1)および(B2):
-[CRb4 -CRb4=CRb4-CRb4 ]- (B8)
-[CRb4 -CRb4OH]- (B9)
-[CRb4 -CRb4OH]-[CRb4 -CRb4 -(B10)
-[NH-CO-Rb2-CO-NH-Rb2]- (B1)
-[NH-CO-Rb2]- (B2)
[式(B7)~(B9)、(B1)および(B2)中、
b2は、上記と同意義であり、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-20芳香族炭化水素基を含む2価の基、または、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキレン基を表し、
b4は、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基または水素原子を表し、
ただし、mおよびnを付して括弧で括られた単位の存在順序は、式(B9)中において、任意である。]
から選ばれる1種またはそれ以上の繰り返し構造単位を有するポリマーが挙げられる。
b4で表される1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは直鎖または分枝鎖のC1-10アルキル基であり、より好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキル基、さらに好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-4アルキル基であり、具体的には、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH)CH、-C(CH、-CHCHCHCH、-CH(CH)CHCH、-CHCH(CH)CHまたは-C(CHCHであり得る。
b4で表されるC1-16アルキル基が有していてもよい置換基としては、-COORf13、-ORf13、-NRf13 、-NRf13-CO-Rf13、-CO-NRf13 、-NO、-CN、-COR14、-SOf14、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上が挙げられる。Rf13およびRf14は、上記と同意義である。
上記Rb4で表されるC1-16アルキル基が有していてもよい置換基は、好ましくは、-COOH、-OH、-NH、-CONRf13、-NO、-CN、-COH、-COCl、-SOH、-O-CORf14およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上であり、より好ましくは、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはフッ素原子または塩素原子であり得る。
上記電荷密度が0.25以上の水素原子を含む基を含むポリマーとしては、例えば、式(B1)、式(B2)、式(B4)または式(B5)において、Rb2が、好ましくはC6-16アルキレン基、より好ましくはC6-10アルキレン基である繰り返し構造単位を含むポリマーが挙げられ、具体的には、ポリ-ε-カプロラクトン、6-ナイロン等が挙げられる。
ポリ-ε-カプロラクトン中において、カルボニル基の隣の炭素に結合した水素の電荷密度が0.27であり、6-ナイロン中において、ポリアミドのカルボニル基の隣の炭素に結合した水素の電荷密度が0.268である。どのような水素原子の電荷密度が0.25以上になるかは実際に計算が必要ではあるが、上記の例のように、カルボニル基の炭素の隣の炭素に結合した水素の電荷密度が高い傾向があることがわかる。特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、これは、おそらく、カルボニルが電子を吸引する性質が高いため、その影響でその隣の炭素に結合した水素原子の電荷密度が高くなるためと推測される。こういった関係に基づいてポリマーデザインを行い、電荷密度を計算することで、複合体において、相互作用が期待できる構造を特定し得ると考えられる。
上記式(B8)で表されるポリマーは、その二重結合の一部が架橋されていてもよい。該架橋剤としては、パーオキサイド架橋剤を用いることができ、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド(パーブチルD)、t-ブチルクミルパーオキサイド(パーブチルC)、ジクミルパーオキサイド(パークミルD、パークミルD-40、パークミルD-40MB(T))、α,α-ビス(t-ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、パーヘキサ25B-40)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキシン-3(パーヘキシン25B、パーヘキシン25B-40)、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25Z)、t-ブチルパーオキシマレイン酸(t-ブチルMA)、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(パーブチルI-75)、メチルエチルケトンパーオキサイド(パーメックD(DR)、パーメックH(HR、HY)、パーメックN(NR、NY)、パーメックS(SR)、パーメックF(FR)、パーメックG(GR、GY))、シクロヘキサノンパーオキサイド(パーヘキサH)、アセチルアセトンパーオキサイド(パーキュアーAH、AL)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH)、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサHC)、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン(パーヘキサMC)、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(パーヘキサC-80(S)、パーヘキサC-75(EB)、パーヘキサC(C)、パーヘキサC-40、パーヘキサC-40MB(S))、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン(パーヘキサ22)、4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ペンタン酸ブチル(パーヘキサV、パーヘキサV-40(F))、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン(パーテトラA)、p-メンタンヒドロパーオキサイド(パーメンタH)、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(パークミルP)、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド(パーオクタH)、クメンヒドロパーオキサイド(パークミルH-80)、t-ブチルヒドロパーオキサイド(パーブチルH-69)、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(パーブチルP、パーブチルP-40、ペロキシモンF-40、パーブチルP-40MB(K))、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド(パーヘキシルD)、ジイソブチリルパーオキサイド(パーロイルIB)、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(パーロイル355(S))、ジラウロイルパーオキサイド(パーロイルL)、ジコハク酸パーオキサイド(パーロイルSA)、ジ-(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、及び、ジベンゾイルパーオキサイドの混合物(ナイパーBMT-K40、ナイパーBMT-M)、ジベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBW、ナイパーBO、ナイパーFF、ナイパーBS、ナイパーE、ナイパーNS)、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド(ナイパーPMB)、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルNPP-50M)、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(パーロイルIPP-50、パーロイルIPP-27)、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルTCP)、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(パーロイルOPP)、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート(パーロイルSBP)、クミルパーオキシネオデカノエート(パークミルND、パークミルND-50E)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート(パーオクタND、パーオクタND-50E)、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、パーヘキシルND-50E)、t-ブチルパーオキシネオデカノエート(パーブチルND、パーブチルND-50E)、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート(パーブチルNHP)、t-ヘキシルパーオキシピバレート(パーヘキシルPV、パーヘキシルPV-50E)、t-ブチルパーオキシピバレート(パーブチルPV、パーブチルPV-40E)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーオクタO)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25O)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーヘキシルO、パーキュアーHO(N))、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーブチルO、パーキュアーO)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(パーヘキシルI)、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート(パーブチル355)、t-ブチルパーオキシラウレート(パーブチルL)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート(パーブチルE)、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート(パーヘキシルZ)、t-ブチルパーオキシアセテート(パーブチルA)、t-ブチルパーオキシ-3-メチルベンゾエート及びt-ブチルパーオキシベンゾエートの混合物(パーブチルZT)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(パーブチルZ)、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート(ペロマーAC)、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB-25)、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン(ノフマーBC-90)などをあげることができる。なかでも、好ましいものは、ジアルキルタイプのものである。さらに、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンが特に好ましい。一般に活性-O-O-の量、分解温度などを考慮して有機過酸化物の種類並びに使用量が選ばれる。
上記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーの数平均分子量は、例えば、500~1,000,000、好ましくは1,000~500,000、より好ましくは2,000~300,000、さらにより好ましくは2,000~250,000、例えば3,000~250,000であり得る。
上記ポリマーは、結晶性であっても非晶性であってもよい。一の態様において、ポリマーの示差走査熱分析において、結晶化温度が観察された場合、結晶性ポリマーと判断してよく、結晶化温度が観察されない場合、非晶性ポリマーと判断してよい。一の態様において、上記ポリマーは、結晶性である。別の態様において、上記ポリマーは、非晶性である。
上記ポリマーは、好ましくは、50℃以上に、ガラス転移温度および融点の少なくとも1つを有する。換言すると、上記ポリマーのガラス転移温度が50℃以上であるか、または、上記ポリマーの融点が50℃以上であることが好ましい。詳細には、上記ポリマーが結晶性ポリマーの場合、ガラス転移温度および融点の両方を有するため、ガラス転移温度および融点の少なくとも1つが50℃以上であればよく、上記ポリマーが非晶性ポリマーの場合、ガラス転移温度のみを有するため、ガラス転移温度が50℃以上であればよい。上記ポリマーが、50℃以上にガラス転移温度および融点の少なくとも1つを有することで、得られる複合体の耐熱性が良好である。上記ポリマーは、例えば、100℃以上400℃以下にガラス転移温度および融点の少なくとも1つを有していてもよく、さらに、150℃以上300℃以下にガラス転移温度および融点の少なくとも1つを有していてもよい。
上記ポリマーは、末端に封鎖部位を有していてもよく、封鎖部位を有していなくともよい。封鎖部位は、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-30芳香族炭化水素基、または、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC6-30脂環式炭化水素基であり得る。上記封鎖部位としては、例えば、ジニトロフェニル基;シクロデキストリン;アダマンチル基;トリチル基;フルオレセイン;ピレン;アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホニル基、カルボキシ基、アミノ基およびフェニル基から選ばれる1種またはそれ以上を置換基として有するフェニル基;ステロイド等が挙げられ、ジニトロフェニル基、シクロデキストリン、アダマンチル基、トリチル基、フルオレセインおよびピレンから選ばれる1種またはそれ以上が好ましく、アダマンチル基およびトリチル基から選ばれる1種またはそれ以上がより好ましい。上記ポリマーに含まれる封鎖部位の個数は、1個以上2個以下であり得る。
上記ポリマーの数平均分子量は、例えば、500~1,000,000、好ましくは1,000~700,000、より好ましくは2,000~500,000、さらにより好ましくは2,000~300,000、例えば3,000~300,000であり得る。
一の態様において、上記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーを含み、上記環状化合物が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーを含むことが好ましい。かかる態様において、上記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーを含み、上記環状化合物が、上記式(1-B)および式(3-B)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましく;上記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーを含み、上記環状化合物が、上記式(1-B)で表される化合物を含むことがより好ましい。かかる態様において、式(1-B)中、R3bおよびR4bの1個またはそれ以上が水素原子であることが好ましい。
別の態様において、上記ポリマーが、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーを含み、上記環状化合物が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上をを含むことが好ましい。かかる態様において、上記ポリマーが、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有するポリマーを含み、上記環状化合物が、上記式(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましく;上記ポリマーが、不飽和結合を有するポリマーもしくは水酸基含有ポリマーもしくはNH基含有ポリマーを含み、上記環状化合物が、上記環状化合物が、上記式(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含むことがより好ましく;上記ポリマーが、ジエン系ポリマーを含み、上記環状化合物が、上記式(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含むことがさらに好ましく、上記ポリマーが式(B5)で表される繰り返し構造単位を有するポリマーを含み、上記環状化合物が、上記式(2)で表される化合物を含むことがいっそう好ましい。
上記複合体の熱分解温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上であり、例えば400℃以下であってもよい。本開示の複合体は、耐熱性が良好であり、高耐熱性が要求される用途に好適に利用できる。
本開示において、熱分解温度は、約10mgのサンプルを200mL/minの窒素流量の窒素雰囲気下で熱重量測定を実施した場合において、測定対象の質量が、測定開始前の測定対象の質量と比較して5質量%減少した時点における温度とする。
本開示は、特定の理論に限定して解釈されるべきではないが、本開示の複合体では、ポリマーと環状化合物との間に相互作用が生じているためか、ポリマーに対して非常に僅かな量の環状化合物との複合化で、熱分解温度が大きく向上する。例えば、環状化合物の量が、ポリマー100質量部に対して10質量部以下の場合において、得られる複合体の熱分解温度とポリマーの熱分解温度との差が、好ましくは30℃以上であり得、より好ましくは50℃以上であり得る。
上記複合体の熱分解温度をtとし、上記複合体を形成する前の環状化合物の熱分解温度および上記複合体を形成する前の含フッ素ポリマーの熱分解温度の低い方をtとしたとき、t-tは、好ましくは50℃以上であり、50℃以上300℃以下であってよく、さらに55℃以上250℃以下であってよい。
上記複合体は、上記ポリマーと上記環状化合物とが、水素結合により相互作用しているため、例えば、溶媒と混合した場合でも分解し難い。上記複合体を、前記ポリマーの良溶媒と混合した場合において、混合前の複合体の質量をw、混合後の複合体の質量をwとしたとき、w/wは、好ましくは4質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり得、例えば、80質量%以下であってもよい。上記混合前の複合体の質量は、複合体の製造に用いるポリマーのと環状化合物の合計の質量としてよい。
上記ポリマーの良溶媒としては、ポリマーが10質量%以上溶解する溶媒であれば特に制限はない。例えば、ポリ乳酸(PLA)であれば、クロロホルムやトリクロロエチレン、PBRであれば、酢酸エチルやクロロホルム等が挙げられる。また、上記環状化合物と上記複合体とを混合する際、上記環状化合物の良溶媒は、上記環状化合物1質量部に対して、好ましくは500質量部以上10,000質量部以下、より好ましくは300質量部以上5,000質量部以下、さらに好ましくは150質量部以上1,000質量部以下であり得る。
<複合体の製造方法>
上記複合体は、上記ポリマーと、上記式(I)で表される環状化合物とを、無溶媒下で接触して、複合体を得ることを含む製造方法により製造され得る。
本開示の製造方法によれば、無溶媒下で接触するため、複合化の進行の程度に関わらず、環状化合物によるポリマーの包接を進めることが容易である。溶媒下で接触を実施した場合、ポリマーが環状化合物に包接されると、そこで溶媒への溶解度が変化してしまい、複合化が進行しない場合があり得る。本開示の製造方法では、溶媒を用いないため、複合化の進行に伴う溶解度の変化に影響されることなく、所望の複合体を得ることが容易である。
前記接触方法としては、特に限定されず、例えば、ボールミル、自転・公転ミキサー、ホモジナイザー、超音波分散等を用いる方法が挙げられる。
前記接触は、前記ポリマーのガラス転移温度および融点の少なくとも1つよりも高い温度で実施されることが好ましい。これにより、ポリマーが自由に変形しやすくなり、より効率よく複合体を製造することができる。
前記接触は、好ましくは、前記ポリマーのガラス転移温度および融点の少なくとも1つよりも、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上高い温度で実施されることが好ましい。前記接触が実施される温度と、前記ポリマーのガラス転移温度よび融点の少なくとも1つとの差は、例えば、50℃以下、さらに30℃以下であり得る。
本開示の製造方法では、無溶媒下でポリマーと環状化合物とを接触しているが、これに限定されず、溶媒の存在下で接触を実施してもよい。かかる溶媒としては、例えば、水、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メタノール、クロロベンゼン、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水、過酸化水素、メチルアミン、水酸化ナトリウム溶液、N-メチルピロリドンエーテル、アセトニトリル、塩化ベンジル、トリエチルアミン、もしくはエチレングリコール、またはこれらの混合物等が挙げられる。
<組成物>
上記複合体を含む組成物も、本開示の技術的範囲に含まれる。
かかる組成物は、上記複合体に加えて、樹脂、溶媒およびその他の添加剤から選ばれる1種またはそれ以上をさらに含んでいてもよい。
かかる組成物において、上記複合体の含有率は、組成物の固形分100質量%中、好ましくは0.1質量%以上100質量%未満、より好ましくは1質量%以上99質量%以下であり得る。
上記樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂およびポリスルホン樹脂等が挙げられる。
上記溶媒としては、水、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、メタノール、クロロベンゼン、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水、過酸化水素、メチルアミン、水酸化ナトリウム溶液、N-メチルピロリドンエーテル、アセトニトリル、塩化ベンジル、トリエチルアミン、もしくはエチレングリコール、またはこれらの混合物等が挙げられる。
上記添加剤としては、乳化剤、消泡剤、界面活性剤、レベリング剤、増粘剤、粘弾性調整剤、消泡剤、湿潤剤、分散剤、防腐剤、可塑剤、浸透剤、香料、殺菌剤、殺ダニ剤、防かび剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料等が挙げられる。
上記組成物は、粉末状であっても液状であってもよい。一の態様において、上記組成物は、粉末状であり、別の態様において、上記組成物は、液状である。
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(合成例1)
2Lの1ツ口丸底フラスコに、25.0gの式(1-2)で表される化合物と、350mLのMeCNを入れ、122.9gのオキソン(2KHSO・KHSO・KSO)を350mLの水に溶解させた溶液を添加した。
Figure 0007475617000029
次いで、7.5mLのヨードベンゼンを添加し、室温で48時間、激しく撹拌した。その後、反応液を水中に注ぎ、吸引ろ過した。得られた黄色の析出物を多量の水及びメタノールで洗浄し、乾燥させた。
洗浄および乾燥させた析出物18.264gを、まず沸騰させた1,1,2,2-テトラクロロエタン350mLに溶解させ、不溶物を吸引ろ過により除去した。得られた赤色透明のろ過液を室温で6時間静置し、次いで、6~10℃で8時間静置した。析出した微細な結晶を吸引ろ過し、少量の1,1,2,2-テトラクロロエタンで3回洗浄し、さらに、少量のメタノールで3回洗浄し、乾燥させて、式(3-2)で表される化合物を得た。
Figure 0007475617000030
式(3-2)で表される化合物が得られたことを、H NMR、13C NMR、飛行時間型質量分析装置(ESI-TOF-MS)、融点測定およびIR測定により確認した。
1H NMR (500.13 MHz, TFA-d, ppm): δ= 6.93(s, 10H, CH), 3.61 (s, 10H, CH2).
13C NMR (125.72 MHz, TFA-d, ppm): δ= 190.5 (s, C=O), 146.8(s, C-CH2), 138.1 (CH), 28.0 (CH2).
HRMS (ESI-TOF-MS):
m/z [M+Na]+ calculated for C35H21O10: 601.1129; found: 601.1132
m/z [M + Na]+ calcd for C35H20O10Na: 623.0949; found: 623.0930
融点: 融点を示さず250℃超で分解
IR (Nujol mull, cm-1): 1654, 1610, 1461, 1377, 1286, 1250, 1125, 921, 722
実施例で用いた環状化合物の構造を示す。
Figure 0007475617000031
実施例および比較例で用いたポリマーを示す。
PBR:ポリブタジエンとしては市販の重量平均分子量5,000、cis-and trans-1,4 80%、ビニル基20%のものを用いた。代表的な構造式を下記に示す。
Figure 0007475617000032
PVDF1:ダイキン工業社製のPVDF VP-832、融点178℃、MFR 230℃10kgf:3.15g/10min、分子量 Mw 20万(GPC)
PVDF2:アルケマ社製のPVDF Kyner HSV900、融点162℃、MFR 230℃10kgf:0.2g/10min
PLA:ポリ乳酸としては市販の重量平均分子量10,000~18,000で融点が140℃、ガラス転移温度51℃のものを用いた。構造式を下記に示す。
Figure 0007475617000033
高融点PLA(PLLA):光学異性体のL体の比率99%以上の市販の融点が180℃のものを用いた。構造式を下記に示す。
Figure 0007475617000034
PeC:市販の重量平均分子量10,000で融点が60℃のポリ-ε-カプロラクトンを用いた。構造式を下記に示す。
Figure 0007475617000035
実施例で用いた測定方法を示す。
(1)NMR
日本電子株式会社製のNMR測定装置(JNM-ECZ500R もしくはJEOL JNM-ECS400)を用いて測定する。
1H-NMR測定条件:500MHz(テトラメチルシラン=0ppm)
(2)IR分析
島津製作所社製フーリエ変換赤外分光光度計(IRPrestige-21)で室温にて測定する。
(3)熱分解温度
日立ハイテクソリューションズ社製TG/DTA分析装置(熱重量示差熱分析装置)(STA7200)を用いて、窒素ガス雰囲気中、約10mgのサンプルについて、窒素流量を200mL/minとし、23℃から600℃までの温度範囲および10℃/分の昇温速度からなる測定条件の下で測定した。熱分解温度は、測定開始前の測定対象の質量と比較して、測定対象の質量が5%が減少した時点における温度とした。
(4)DSC
DSC(示差走査熱量計:日立ハイテクソリューションズ社、DSC7020)を用いて、30℃から200℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)-降温-昇温(セカンドラン)とした。
(5)X線回折
を全自動多目的X線回折装置(SmartLab:リガク株式会社製)を用いて、以下の条件で測定した。
・測定角度:10~30°(光源:Cu/Kα、波長:1.5418Å)
(6)回転粘度計
測定装置はTAインスツルメンツ社製Discovery HR20回転型レオメータに温調システムとして環境テストチャンバーとLN2低温フィットを用いて、ジオメトリとしては8mmφパラレルプレート(SUS製)を用いて測定した。
測定条件は以下のように設定した。
測定温度範囲:-120℃~50℃
昇温速度:5℃/min
周波数:1Hz一定
歪:0.1%(低弾性率域は応力に合わせて自動可変)
得られた、貯蔵弾性率と損失弾性率から計算されるtanδのピーク温度からガラス転移温度を決定した。
(7)残存率
複合体の製造に用いたポリマーおよび環状化合物の合計質量をwとした。次いで、得られた複合体を、wの100質量倍の量のポリマーの良溶媒と混合して溶媒を除去した後の質量をwとした。ポリマーの残存率を、w/w(質量%)として算出した。
実施例1(PLAとP5OHの溶融複合化)
5mLのガラス製チューブ管の中にPLAを0.36g(5mmol)入れた後に150℃に昇温することでPLAを完全に溶融させた。その中に環状化合物としてP5OHを0.061g(0.1mmol)加え、150℃の状態で15時間、24時間、65時間静置後、室温に戻し、固体状の複合体を得た。得られた複合体をPLAの良溶媒である90mLのクロロホルムで洗浄したところ、溶解しない複合体が観測された。これは、PLAにP5OHが包摂されることで溶解性が変わったためと考えられる。この良溶媒での洗浄処理で包摂されていないPLAは流去されるため、包接された複合体のみの精製ができた。
精製後の複合体をアセトンd6に溶解させてH-NMRを測定したところ、いずれのサンプルもPLAおよびP5OHにもとづくピークが観測された。その結果を図1に示す。比較のためPLA単体の結果、およびP5OHの水素原子の化学シフトの場所も示す。
以上の結果より、150℃の条件で少なくとも15時間の処理で包摂された複合体が得られた事が確認できた。
なお、クロロホルムでの洗浄量を倍の180mLに増やしてみたが、同様に固体が得られ、NMRからもPLAおよびP5OHにもとづくピークが観測された。
また、NMRの積分比により、P5OHユニットとPLAの繰り返し単位ユニットとの比を求めたところ、P5OH:PLA=1:0.7(モル比)となった。該比は、化学シフトが約5.2ppmのPLAのb1の水素の積分値(H、1個相当)と化学シフトが約3.6ppmのP5OHのa3の水素の積分値(H、10個相当)の比から計算した。
実施例2 (PLAとP5OHの相互作用の確認)
実施例1で得られた複合体のIRを測定した。比較のため、PLAおよびP5OH単体の結果も示す。また、カルボニル伸縮振動吸収領域の拡大図も示す。
P5OHはカルボニル基を持たないため、1750cm-1あたりに吸収はなく、一方、カルボニル基を有するPLAは1755cm-1にC=Oの吸収ピークを示した。実施例1で得られた複合体のC=Oのピークは1747cm-1となり、C=Oの吸収の低波数シフトが観測された。これは、PLAのC=O基と環状化合物のP5OHのOH基の水素結合による相互作用を表す結果と考えられる。ポリマー側がプロトン受容性基であるC=Oを、環状化合物がプロトン供与性基であるOH基を有しているため、包接された複合体が水素結合し、溶解性が変わり、ポリマー単体の良溶媒であるクロロホルムで洗浄しても、溶解しなくなったと考えられる。
また、今回の複合体はポリマー末端封止はおこなっていないため、疑ロタキサン構造であるが、上記の相互作用(水素結合)によって環状化合物が抜けにくくなっていると考えられた。ポリマー末端封止は環状化合物を包接後に、後反応で嵩高い化合物でポリマー末端を修飾する必要があるので、操作が非常に煩雑になる。そのポリマー末端封止が不要にばるため、相互作用による構造の安定化は、産業上の利用価値は高い。
実施例3 (PLAとP5OHの溶液混合による複合化)
P5OHを10mg(0.016mmol)に対してPLAを23.6mg(0.328mmol)(P5OH:PLA=1:20(モル比))を1mLのアセトンに均一溶解させ、40℃で2時間乾燥させた。その後、150℃で15時間加熱させることで複合体を得た。複合体は均一であり、DSCによりTgが58.6℃であった。同様にP5OH:PLA=1:15(モル比)の複合体も作製し、DSCを測定したところ、Tgが60.0℃であった。
PLA単体のガラス転移温度は約51℃であるので、複合化(包摂)されることで、環状化合物とポリマーの相互作用により、ポリマーの主鎖の剛直性が増し、ガラス転移温度が10℃近く高くなったと考えられる。
実施例4 (高融点PLAとP5OHの複合体)
5mLのガラス製チューブ管の中に高融点PLA(PLLA)(融点180℃)を0.36g(5mmol)を1mLのアセトンに溶解させた溶液と環状化合物としてP5OHを0.061g(0.1mmol)を1mLのアセトンに溶解させた溶液を入れた後に真空乾燥でアセトンを除去し、180℃に昇温することで混合物を完全に溶融させ、180℃の状態で15時間静置後、室温に戻し、固体状の複合体を得た。得られた複合体をPLLAの良溶媒である300mLのトリクロロエチレンで洗浄して精製した。
精製後の複合体をアセトンd6に溶解させてH-NMRを測定したところ、PLLAおよびP5OHにもとづくピークが観測された。その結果を図3に示す。比較のためPLA単体とP5OH単体の結果も示す。
実施例5 (PeCとP5Qの複合体 溶融法)
5mLのガラス製チューブ管の中にPeCを0.57g(5mmol)入れた後に70℃に昇温することでPeCを完全に溶融させた。その中に環状化合物としてP5Qを0.06g(0.1mmol)加え、70℃の状態で15時間静置後、室温に戻し、固体状の複合体を得た。得られた複合体をPeCの良溶媒である15mLのアセトンで合計5回洗浄後、アセトンを分散媒に、遠心分離(2000rpm、10分)を3回行うことで精製した。
精製後の複合体をクロロホルムdに溶解させてH-NMRを測定したところ、PeCおよびP5Qにもとづくピークが観測された。
また、NMRの積分比により、P5QユニットとPeCの繰り返し単位ユニットとの比を求めたところ、P5Q:PeC=1:2.7(モル比)となった。
実施例6 (PeCとP5Qの複合体の耐熱分解性)
実施例5で得られたPeCとP5Qの複合体の熱分解温度をTGAにて求めた。比較のため、PeC単体およびP5Q単体の結果も図4に示す。PeCの熱分解温度は244℃、P5Qの熱分解温度は263℃、複合体の熱分解温度は320℃となり、複合体の熱分解温度が単体と比較して50℃以上、向上した。理由は不明であるが、包摂される事で単体の耐熱性より、向上したのではないかと考えられる。
実施例7 (PeCとP5OHの複合体)
5mLのガラス製チューブ管の中にPeCを0.57g(5mmol)と環状化合物としてP5OHを0.061g(0.1mmol)を5mLのアセトンに溶解させた溶液を入れた後に真空乾燥でアセトンを除去し、70℃に昇温することで混合物を完全に溶融させ、70℃の状態で15時間静置後、室温に戻し、固体状の複合体を得た。得られた複合体をPeCの良溶媒である300mLのクロロホルムで洗浄したところ、溶解しない複合体が観測された。これは、PeCにP5OHが包摂されることで溶解性が変わったためと考えられる。この処理で包摂されていないPeCは留去されるため、複合体の精製ができた。
精製後の複合体をアセトンd6に溶解させてH-NMRを測定したところ、予測通り、PeCおよびP5OHにもとづくピークが観測された。
また、NMRの積分比により、P5OHユニットとPeCの繰り返し単位ユニットとの比を求めたところ、P5OH:PeC=1:6.6(モル比)となった。
実施例8 (PBRとP5Qの複合体)
5mLのガラス製チューブ管の中にPBRを0.27g(5mmol)(液状ポリマー)入れた後に室温のまま、環状化合物としてP5Qを0.06g(0.1mmol)加え、室温の状態で15時間静置後、液状の複合体を得た。得られた複合体をPBRの良溶媒である30mLの酢酸エチルで合計3回、4回、8回洗浄した精製体を得た。
それぞれの精製体をクロロホルムdに溶解させてH-NMRを測定したところ、PBRおよびP5Qにもとづくピークが観測された。その結果を図5に示す。
酢酸エチルで3~10回と洗浄回数を変えたが、ほとんどチャートは変わらなかった。
NMRの積分比により、P5QユニットとPBRの繰り返し単位ユニットとの比を求めたところ、P5Q:PBR=1:8.3となった。該比は、約5.3ppmのPBRのaの水素の積分値(H、2個相当)と約6.8ppmのP5Qのbの水素の積分値(H、10個相当)の比から計算した。
実施例9 (PBRとP5Qの相互作用の確認)
実施例8で得られた複合体のカルボニル領域のIRを測定した。比較のため、PBRおよびP5Q単体の結果も併せて図6に示す。
PBRはカルボニル基を持たないため、1650cm-1に吸収はなく、一方、カルボニル基を有するP5Qは1654cm-1と1610cm-1にC=Oの吸収ピークを示した。実施例9で得られた複合体のC=Oのピークは1651cm-1と1605cm-1となり、低波数シフトが観測された。これは、PBRのC=C-H基と環状化合物のP5QのC=O基の水素結合による相互作用を表す結果と考えられる。ポリマー側がプロトン供与性基であるC=C-Hを、環状化合物がプロトン受容性基であるC=O基を有しているため、効果的に水素結合し、溶解性が変わり、ポリマー単体の良溶媒で洗浄しても、溶解しなくなったと考えられる。また、今回の複合体は末端封止は特に行っていないため、いわゆる疑ロタキサン構造であるが、相互作用によって環状化合物が抜けにくくなっていると考えられた。末端封止は後反応で嵩高い化合物で末端を修飾する必要があるので、その末端封止が不要であれば、産業上の利用価値は高い。
比較例1 (PBRとP5OHの複合体)
5mLのガラス製チューブ管の中にPBRを0.27g(5mmol)(液状ポリマー)入れた後に室温のまま、環状化合物としてP5OHを0.061g(0.1mmol)加え、室温の状態で15時間静置後、液状の混合物を得た。得られた混合物をPBRの良溶媒である30mLのクロロホルムで合計4回洗浄した精製体を得た。
精製体をアセトンd6に溶解させてH-NMRを測定したところ、PBRもとづくピークが観測されず、複合体は得られなかった。その結果を図7に示す。比較のため、P5OHの単体およびPBR単体の結果も示す。
比較例2 (PBRとC2P5Aの複合体)
5mLのガラス製チューブ管の中にPBRを0.27g(5mmol)(液状ポリマー)入れた後に室温のまま、環状化合物としてC2P5Aを0.089g(0.1mmol)加え、室温の状態で15時間静置後、液状の混合物を得た。得られた混合物をPBRの良溶媒である30mLのヘキサンで合計4回洗浄した精製体を得た。
精製体をクロロホルムdに溶解させてH-NMRを測定したところ、PBRもとづくピークが観測されず、複合体は得られなかった。その結果を図8に示す。比較のため、PBR単体の結果も示す。
実施例10 (PBRとP5Qの複合体その2)
5mLのガラス製チューブ管の中にPBRを2g(36.7mmol)(液状ポリマー)入れた後に室温のまま、環状化合物としてP5Qを0.2g(0.33mmol)を30mLのジクロロメタンに溶解させたものを加え、室温の状態で15時間静置後、液状の複合体を得た。得られた複合体をPBRの良溶媒である酢酸エチルで200mLで洗浄した精製体を得た。
精製体をアセトンd6に溶解させてH-NMRを測定したところ、PBRおよびP5Qにもとづくピークが観測された。その結果を図9に示す。
NMRの積分比により、P5QユニットとPBRの繰り返し単位ユニットとの比を求めたところ、P5Q:PBR=1:12.2(モル比)となった。得られた複合体を50℃で真空乾燥を12時間行った。収量は91mgであった。
複合前のPBR(2g)とP5Q(0.2g)に対して得られた複合体は91mgであるので、混合前の複合体の質量w0は2.2g、混合後の複合体の質量w1は0.091gで、残存率をw1/w0(質量%)とすると、残存率は4.13質量%であった。
実施例11 (PBRとP5Qの複合体その3 溶液法)
5mLのサンプル管にPBRを0.259g(4.8mmol)、P5Qを0.01g(0.016mmol)入れて、溶媒としてジクロロメタンを2g加えて、超音波洗浄機を用いて均一溶解させた。ロータリーエバポレーターで40℃の条件で濃縮後、50℃で真空乾燥させて複合体を得た。
実施例12 (PBRとP5Qの複合体その4 溶液法)
PBRの量を0.518g(9.6mmol)とする以外は実施例12と同様にして複合体を得た。
実施例13 TGAによる熱分解温度の比較
実施例10から12で得られた複合体の熱分解温度をTGA法により求めた。ここでは5%重量減温度を熱分解温度とした。
結果を表に示す。
Figure 0007475617000036
実施例11と12の結果で、非常に少量のP5Qの添加でPBRの熱分解温度が大幅に上昇した。これは正確な理由は不明ではあるが、包摂された構造で、しかも相互作用(水素結合、実施例10で確認済)しているため、耐熱性を向上させたと考えた。P5Qの重量比が多い実施例11はP5Q自体の熱分解の影響でやや熱分解温度が低下したものと思われた。
実施例14 回転粘弾性測定装置によるガラス転移温度と貯蔵弾性率の比較
PBR単体と実施例11および実施例12で得られた複合体のガラス転移温度を回転式粘弾性測定装置で評価した。ガラス転移温度はtanδのピーク温度より決定した。結果を下表に示す。
Figure 0007475617000037
P5Qで包摂されていく量が増えるとガラス転移温度が上昇していく事がわかった。包摂され、相互作用しているため、主鎖が剛直になる効果と思われた。
実施例15~17 (PLAとP5OHの複合体 溶液法)
PBRの代わりにPLAをP5Qの代わりにP5OHを用い、その量比は下表に従い、実施例12と同様の操作によって複合体を得た。
Figure 0007475617000038
実施例18~21 (PeCとP5Qの複合体 溶液法)
PBRの代わりにPeCを用い、その量比は下表に従い、実施例12と同様の操作によって複合体を得た。
Figure 0007475617000039
実施例22~25 (PeCとP5OHの複合体 溶液法)
PBRの代わりにPeCを、P5Qの代わりにP5OHを用い、その量比は下表に従い、実施例12と同様の操作によって複合体を得た。
Figure 0007475617000040
実施例26 TGAによる熱分解温度の比較
実施例15から25および実施例1、5、7で得られた複合体の熱分解温度をTGA法により求めた。ここでは5%重量減温度を熱分解温度とした。
結果を表に示す。
Figure 0007475617000041
Figure 0007475617000042
Figure 0007475617000043
いずれの結果も少量の環状化合物との複合体で単体のポリマーより著しく熱分解開始温度が向上した。理由は不明であるが、包摂された効果が表れたと考えている。
上記環状化合物およびポリマーについて、自然結合起動(NBO)法によって電子密度解析(Gaussian)より、以下の各原子の電荷密度を算出した。計算に際して、ガウシアン16リビジョンA.03(ガウシアン社)を使用し、汎関数としてB3LYP、規定関数系として6-31G(d)を用いて、計算対象となる原子の構造式を仮定し、構造最適化計算を行って、最適化構造を特定した。次いで、該最適化構造を用いて自然結合軌道(NBO)法によって電子密度解析を行い、電荷密度を算出した。計算結果を表9に示す。
なお、PeCにおける-CH-の水素原子の電荷密度のうち、-CO-に隣接する-CH-に含まれる水素原子の電荷密度が最大であり、表9には、該水素原子の電荷密度の値を記載した。
Figure 0007475617000044
上記実施例1~4、7、15~17、22~25では、環状化合物としてP5OHを用いており、P5OHは、電荷密度が0.492である水素原子を含む。実施例1~4、15~17では、ポリマーとして、電荷密度が-0.594の酸素原子を含むPLAまたはPLLAを用いており、実施例7、22~25では、電荷密度が-0.579の酸素原子を含むPeCを用いている。これらの実施例では、いずれも複合体の形成が確認され、得られた複合体の耐熱性および残存率が良好であることが確認された。
上記実施例8~13では、ポリマーとしてPBRを用いており、PBRは、電荷密度が0.224または0.241である水素原子を含む。実施例8~13では、環状化合物として電荷密度が-0.511の酸素原子を含むP5Qを用いている。これらの実施例では、いずれも複合体の形成が確認され、得られた複合体の耐熱性および残存率が良好であることが確認された。
上記実施例5、18~21では、ポリマーとしてPeCを用いており、PeCは、電荷密度が0.270である水素原子を含む。実施例5、18~21では、環状化合物として電荷密度が-0.511の酸素原子を含むP5Qを用いている。これらの実施例では、いずれも複合体の形成が確認され、得られた複合体の耐熱性および残存率が良好であることが確認された。
他方、比較例1は、環状化合物としてP5OHを用い、ポリマーとしてPBRを用いている。比較例1で用いられた環状化合物およびポリマーは、いずれもプロトン受容体を含まず、複合体の形成は確認されなかった。
比較例2は、環状化合物としてP2P5Aを用い、ポリマーとしてPBRを用いている。比較例2で用いられた環状化合物およびポリマーは、いずれもプロトン受容体を含まず、複合体の形成は確認されなかった。
実施例27
PBR/P5Q系でPBRの架橋系の結果
(プレミックス品の作製方法)
固体のP5Qを予め乳鉢で細かく砕いた後、サンプル瓶にPBR19.2gに対して、P5Q0.8g秤量し、ミックスローターで16時間以上混合し、スラリー状のプレミックス品を作製した。また、濃度違いのサンプルとして、PBR16.4gに対して、P5Q3.6gで混合したプレミックス品を作製した。
(混練サンプルの作製方法)
作製したプレミックス品と、PH25B(パーヘキサ25B;日油株式会社製)とをスパチュラで撹拌し、混練サンプルを得た。また、PBRとPH25Bの混練サンプルも得た。
各混練サンプルの組成を下表に示す。
Figure 0007475617000045
(架橋ゴムシートの成形方法)
混練サンプルを100mm×150mm×1mmの枠に流し込み、50℃×30分の条件で真空乾燥(脱泡)させた後、170℃×40分の条件でプレス成形し、架橋ゴムシートを作製した。
(熱分解温度の評価)
架橋ゴムシートの5%重量減温度(Td5)と1%重量減温度(Td1)をTGA法で評価した。結果を表11に示す。
Figure 0007475617000046
実施例28
PA11/P5Qの検討
ポリアミド11(Sigma-Ardrich社より試薬で購入)(PA11)とP5Qの検討
Figure 0007475617000047
(混練検討)
循環式二軸押出機(Xplore MC15HT:Xplore Instruments社製)を用いて、10.30gのPA11と0.21gのP5Qとの混練を検討した。材料は事前にドライブレンドしてからホッパーから投入し、240℃、3min、200rpmの条件で混練した。混練後、サンプルをストランドとして採取した。使用したPA11の融点は189.7℃であった。
(熱分解温度の評価)
ストランドの5%重量減温度(Td5)をTGA法で評価した。
Figure 0007475617000048
(FT-IR測定)
図10より、PA11/P5Qについては、1540cm-1:アミドC-N-H変角がPA11と比較して低波数側にシフトしていた。これより、PA11のアミドとP5QのC=Oが相互作用していることを確認された。

Claims (25)

  1. ポリマーと、前記ポリマーを包接する1つまたは複数の環状化合物とを含み、
    前記環状化合物は、以下の式(I):
    Figure 0007475617000049
    [式(I)中、
    Aは、各出現においてそれぞれ独立して、-ORおよび-CO-から選ばれる1種またはそれ以上を含む2価のC4-50有機基を表し、
    Rは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子を含んでいてもよい有機基または水素原子を表し、
    nは、4~20の整数を表す。]
    で表される化合物を含み、
    前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有し、
    前記ポリマーの数平均分子量は、2,000以上である、複合体。
  2. 前記-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基は、プロトン供与性基、不飽和基および電荷密度0.25以上の水素原子を含む基から選ばれる1種またはそれ以上を含む、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記環状化合物は、以下の式(1)~(3):
    Figure 0007475617000050
    [式(1)中、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    ただし、RおよびRの少なくとも1つは、水素原子であり、
    n1は、4~20の整数である。]
    Figure 0007475617000051
    [式(2)中、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    n2は、4~20の整数である。]
    Figure 0007475617000052
    [式(3)中、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    10は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    n3は、1~19の整数であり、
    n4は、1~19の整数であり、
    n3とn4の合計は、4~20であり、
    n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3)中において任意である。]
    のいずれかで表される化合物を含む、請求項1に記載の複合体。
  4. 前記式(1)において、R~Rから選ばれる1つまたはそれ以上は、含フッ素有機基である、請求項3に記載の複合体。
  5. 前記式(1)において、RおよびRから選ばれる1つまたはそれ以上は、水素原子である、請求項3に記載の複合体。
  6. 前記環状化合物は、下記式(1-A)、(2-A)および(3-A):
    Figure 0007475617000053
    [式(1-A)中、
    1aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    2aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    3aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    4aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    ただし、R3aおよびR4aの少なくとも1つは、水素原子を表し、
    n1は、4~20の整数である。]
    Figure 0007475617000054
    [式(2-A)中、
    5aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    6aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    n2は、4~20の整数である。]
    Figure 0007475617000055
    [式(3-A)中、
    7aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    8aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    9aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    10aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    11aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    12aは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    n3は、1~19の整数であり、
    n4は、1~19の整数であり、
    n3とn4の合計は、4~20であり、
    n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-A)中において任意である。]
    のいずれかで表される化合物である、請求項1に記載の複合体。
  7. 前記プロトン供与性基は、電荷密度が0.22以上である水素原子を含む、請求項2に記載の複合体。
  8. 前記不飽和基を構成する炭素原子に結合している水素原子の電荷密度は、0.22以上である、請求項2に記載の複合体。
  9. 前記プロトン供与性基が、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる1種の原子に結合する水素原子を含む基である、請求項2に記載の複合体。
  10. 前記ポリマーは、置換基を有していてもよい直鎖状ポリマーである、請求項1に記載の複合体。
  11. 前記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーであり、前記環状化合物が、プロトン供与性基を含む、請求項1に記載の複合体。
  12. 前記ポリマーが、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含むポリマーであり、前記環状化合物が、下記式(1-B)および下記式(3-B):
    Figure 0007475617000056
    [式(1-B)中、
    1bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    2bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    3bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    4bは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上の置換基を有していてもよいC1-30アルキル基または水素原子を表し、
    ただし、R3bおよびR4bの少なくとも1つは、水素原子であり、
    n1は、4~20の整数である。]
    Figure 0007475617000057
    [式(3-B)中、
    7bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    8bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    9bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    10bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    11bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    12bは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または有機基を表し、
    ただし、R9bおよびR10bの少なくとも1つは、水素原子であり、
    n3は、1~19の整数であり、
    n4は、1~19の整数であり、
    n3とn4の合計は、4~20であり、
    n3またはn4を付して括弧で括られた単位の存在順序は式(3-B)中において任意である。]
    のいずれかで表される化合物である、請求項1に記載の複合体。
  13. 前記ポリマーが、主鎖骨格にエステル基を含む、請求項1に記載の複合体。
  14. 前記ポリマーが、プロトン供与性基を含み、前記環状化合物が、前記式(2)または(3)のいずれかで表される化合物を含む、請求項3に記載の複合体。
  15. 前記ポリマーが、不飽和結合を有するポリマーを含む、請求項1に記載の複合体。
  16. 前記ポリマーが、ジエン系ポリマーを含む、請求項1に記載の複合体。
  17. 前記環状化合物の割合は、前記ポリマーと前記環状化合物との合計100質量部中、0.01質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の複合体。
  18. 前記複合体を、前記ポリマーの良溶媒と混合した場合において、混合前の複合体の質量をw、混合後の複合体の質量をwとしたとき、w/wが4質量%以上である、請求項1に記載の複合体。
  19. 熱分解温度が、170℃以上である、請求項1に記載の複合体。
  20. 前記複合体の熱分解温度をtとし、前記ポリマーの熱分解温度及び前記環状化合物の熱分解温度の低い方をtとしたとき、t-tが50℃以上である、請求項1に記載の複合体。
  21. 請求項1~20のいずれか1項に記載の複合体の製造方法であって、
    前記ポリマーと、前記式(I)で表される環状化合物とを、無溶媒下で接触して、前記複合体を得ることを含み、
    前記ポリマーおよび前記環状化合物の一方が、-CO-、窒素原子およびハロゲン原子から選ばれる1種またはそれ以上を含み、他方が、-CO-、窒素原子またはハロゲン原子と相互作用し得る水素原子を含む基を有する、製造方法。
  22. 前記接触は、前記ポリマーのガラス転移温度および融点の少なくとも一方よりも高い温度で実施される、請求項21に記載の製造方法。
  23. 請求項1~20のいずれか1項に記載の複合体を含む、組成物。
  24. 粉体状である、請求項23に記載の組成物。
  25. 液状である、請求項23に記載の組成物。
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