JP2009242790A - 高分子電解質組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なラジカル耐性を発現する高分子電解質膜、該高分子電解質膜を得ることができる、高分子電解質組成物を提供することにある。さらには、該高分子電解質膜を用いてなる、長期安定性に優れた固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
(A)イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質
(B)N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物
【選択図】なし
【解決手段】以下の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
(A)イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質
(B)N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物
【選択図】なし
Description
本発明は、高分子電解質組成物に関する。より詳しくは固体高分子型燃料電池の部材を得る上で好適な高分子電解質組成物に関する。
高分子電解質は固体高分子型燃料電池に用いられている。固体高分子型燃料電池(以下、「燃料電池」と略記することがある。)は、水素と酸素との化学的反応により発電させる発電装置であり、次世代エネルギーの一つとして電気機器産業や自動車産業等の分野において大きく期待されている。燃料電池の高分子電解質膜として、従来のフッ素系高分子電解質に代わって、安価で、耐熱性に優れた炭化水素系高分子電解質が近年注目されてきている(例えば、特許文献1参照)。
高分子電解質としては、長期の運転安定性(以下、「長期安定性」と呼ぶ)を示す燃料電池を与えるものが求められている。この長期安定性を妨げる要因としては、様々な原因が推定されているが、その1つとして、電池稼動時に発生する過酸化物(例えば、過酸化水素等)または該過酸化物から発生するラジカルによる膜の劣化が知られている。ラジカル耐性が不十分な高分子電解質膜を用いた燃料電池は、電池の作動・停止を繰り返すような長期運転を行なうと、高分子電解質膜が著しく劣化して、イオン伝導性が低下し、結果として燃料電池自体の発電性能が極めて低下し易い。それゆえ、高分子電解質膜の過酸化物やラジカルに対する耐久性(以下、「ラジカル耐性」と呼ぶ)を向上させることが、固体高分子型燃料電池の長期安定性に繋がる1つの対策とされている。従来から、高分子電解質膜のラジカルに対する耐久性を向上させる目的で、例えば、高分子電解質に低分子のイミド化合物を含有させることが知られていた。(例えば、特許文献2および3参照。)
しかしながら、上記の低分子のイミド化合物は、フッ素系高分子電解質に含有させた場合は、ラジカル耐性が向上するものの、炭化水素系高分子電解質に含有させた場合は、ラジカル耐性の向上は十分ではなかった。従って、炭化水素系高分子電解質膜においても、長期安定性に優れた高分子電解質膜の実現が切望されていた。
このような状況下、本発明の目的は、良好なラジカル耐性を発現する高分子電解質膜、該高分子電解質膜を得ることができる、高分子電解質組成物を提供することにある。さらには、該高分子電解質膜を用いてなる、長期安定性に優れた固体高分子型燃料電池を提供することにある。
本発明者らは上記の事情に鑑み、良好なラジカル耐性を発現する高分子電解質膜を得ることができる、高分子電解質組成物について、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は[1]を提供するものである。
[1] 以下の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
(A)イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質
(B)N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物
[1] 以下の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
(A)イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質
(B)N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物
また、本発明は前記[1]の成分(A)に係る好適な実施形態として、下記の[2]〜[9]を提供する。
[2]前記成分(A)における炭化水素系高分子電解質が、芳香族系高分子電解質であることを特徴とする、[1]に記載の高分子電解質組成物。
[3]前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar1およびAr2から選ばれる1つ以上と、Ar3〜Ar6から選ばれる1つ以上と、Ar7およびAr8から選ばれる1つ以上と、Ar9とはそれぞれ、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]または[2]に記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。)
[4]前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。)
[5]前記成分(A)が、複数種の繰り返し単位を含み、共重合様式が、ブロック共重合体、グラフト共重合体およびランダム共重合体から選ばれる1種以上の炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[6]前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含み、共重合様式がブロック共重合体またはグラフト共重合体である炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[7]前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックにおいて、該ブロックの主鎖に置換基を有してもよい芳香族環を有し、該ブロックに含まれる芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[6]に記載の高分子電解質組成物。
[8]前記成分(A)が、下記一般式(4a’)
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9はアリーレン基を表し、ここでアリーレン基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9はイオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。)で表されるイオン交換基を有するブロックと、
下記一般式(1b’)、(2b’)または(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立にアリーレン基を表し、ここでこれらのアリーレン基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基または炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z、Z’、X、X’、X”は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で示されるブロックから選ばれイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含むことを特徴とする[6]または[7]に記載の高分子電解質組成物。
[9]前記成分(A)が、スルホン酸基をイオン交換基として有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする、[1]〜[8]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[2]前記成分(A)における炭化水素系高分子電解質が、芳香族系高分子電解質であることを特徴とする、[1]に記載の高分子電解質組成物。
[3]前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar1およびAr2から選ばれる1つ以上と、Ar3〜Ar6から選ばれる1つ以上と、Ar7およびAr8から選ばれる1つ以上と、Ar9とはそれぞれ、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]または[2]に記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。)
[4]前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。)
[5]前記成分(A)が、複数種の繰り返し単位を含み、共重合様式が、ブロック共重合体、グラフト共重合体およびランダム共重合体から選ばれる1種以上の炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[4]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[6]前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含み、共重合様式がブロック共重合体またはグラフト共重合体である炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[1]〜[5]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[7]前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックにおいて、該ブロックの主鎖に置換基を有してもよい芳香族環を有し、該ブロックに含まれる芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする[6]に記載の高分子電解質組成物。
[8]前記成分(A)が、下記一般式(4a’)
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9はアリーレン基を表し、ここでアリーレン基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9はイオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。)で表されるイオン交換基を有するブロックと、
下記一般式(1b’)、(2b’)または(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立にアリーレン基を表し、ここでこれらのアリーレン基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基または炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z、Z’、X、X’、X”は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で示されるブロックから選ばれイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含むことを特徴とする[6]または[7]に記載の高分子電解質組成物。
[9]前記成分(A)が、スルホン酸基をイオン交換基として有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする、[1]〜[8]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
また、本発明は前記[1]の成分(A)と成分(B)とに係る好適な配合比として、下記の[10]を提供する。
[10]前記成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)が0.1〜25重量部であることを特徴とする、[1]〜[9]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[10]前記成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)が0.1〜25重量部であることを特徴とする、[1]〜[9]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
さらに本発明は、前記[1]の成分(B)に係る好適な実施形態として、下記の[11]〜[16]を提供する。
[11]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(5)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1〜R4、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。但し、j=0の場合、R1〜R4の全てが、j=1または2の場合、R1〜R4、RcおよびRdの全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。R1〜R4、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子を除いた残基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[12]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(6)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1、R3、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。R1、R3、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[13]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(7)
(一般式(5)においてj=0の場合。R1〜R4は、前記一般式(5)のものと同じである。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子を除いた残基の構造を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[14]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(8)
(一般式(6)においてj=0の場合。R1、R3は、前記一般式(6)のものと同じである。)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[15]前記成分(B)が、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位とを含む高分子化合物であることを特徴とする[1]〜[14]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[16]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位として、下記一般式(9)および(10)
(式中、R5〜R8は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。Ar21は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)から選ばれる繰り返し単位1種以上を含むことを特徴とする[15]に記載の高分子電解質組成物。
[11]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(5)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1〜R4、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。但し、j=0の場合、R1〜R4の全てが、j=1または2の場合、R1〜R4、RcおよびRdの全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。R1〜R4、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子を除いた残基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[12]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(6)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1、R3、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。R1、R3、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[13]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(7)
(一般式(5)においてj=0の場合。R1〜R4は、前記一般式(5)のものと同じである。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子を除いた残基の構造を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[14]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(8)
(一般式(6)においてj=0の場合。R1、R3は、前記一般式(6)のものと同じである。)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]〜[10]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[15]前記成分(B)が、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位とを含む高分子化合物であることを特徴とする[1]〜[14]の何れかに記載の高分子電解質組成物。
[16]前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位として、下記一般式(9)および(10)
(式中、R5〜R8は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。Ar21は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)から選ばれる繰り返し単位1種以上を含むことを特徴とする[15]に記載の高分子電解質組成物。
また、本発明は前記何れかの高分子電解質組成物を用いてなる、下記の[17]〜[21]を提供する。
[17][1]〜[16]の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜。
[18][17]に記載の高分子電解質膜を備える、膜−電極接合体。
[19][1]〜[16]の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる触媒層。
[20][19]の触媒層を備える、膜−電極接合体。
[21][18]または[20]に記載の膜−電極接合体を有する固体高分子型燃料電池。
[17][1]〜[16]の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜。
[18][17]に記載の高分子電解質膜を備える、膜−電極接合体。
[19][1]〜[16]の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる触媒層。
[20][19]の触媒層を備える、膜−電極接合体。
[21][18]または[20]に記載の膜−電極接合体を有する固体高分子型燃料電池。
本発明の高分子電解質組成物によれば、低コストでラジカル耐性に優れた高分子電解質膜等の燃料電池用部材を得ることができる。また、本発明の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜は、長期安定性に優れた燃料電池を提供できるため、工業的に極めて有用である。
以下、本発明に係る高分子電解質組成物について具体的に説明する。
<成分(A)>
本発明に適用される成分(A)は、イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質である。炭化水素系高分子電解質とは、高分子電解質中に含まれるハロゲン原子の量が高分子電解質全体の重量を基準として15重量%以下である高分子電解質を意味し、ハロゲン原子を全く含まないことが好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
本発明に適用される成分(A)は、イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質である。炭化水素系高分子電解質とは、高分子電解質中に含まれるハロゲン原子の量が高分子電解質全体の重量を基準として15重量%以下である高分子電解質を意味し、ハロゲン原子を全く含まないことが好ましい。ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素があげられる。
本発明における炭化水素系高分子電解質としては特に限定されないが、芳香族系高分子電解質が例としてあげられる。芳香族系高分子電解質とは、芳香族環を有する化合物から水素原子を2個取り去って得られる2価の芳香族残基を構造単位として直接または連結員を介して連結された高分子化合物のことを意味する。本発明における炭化水素系高分子電解質は、主鎖に置換基を有してもよい芳香族環を有し、芳香族環に直接結合したイオン交換基を有することが好ましい。該置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基または炭素数1〜20のアシル基等があげられる。
成分(A)に用いる炭化水素系高分子電解質としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルスルホン、ポリパラフェニレン、ポリイミド等の芳香族主鎖を有するエンジニアリング樹脂や、ポリエチレン、ポリスチレン等の汎用樹脂、またはこれらを形成する繰り返し単位を複数種組み合わせて有する共重合体にイオン交換基が導入されてなる高分子があげられる。特に、主鎖に芳香族環を有することが好ましいので、前記のようなエンジニアリング樹脂、または当該エンジニアリング樹脂を構成する繰返し単位を複数種組み合わせて有する樹脂にイオン交換基が導入されてなる高分子が、より耐熱性に優れた高分子電解質膜が得られるので好ましい。また、炭化水素系高分子電解質は、フッ素系高分子電解質と比較して安価であるという利点を有する。
イオン交換基としては、スルホン酸基(−SO3H)、カルボン酸基(−COOH)、リン酸基(−OP(O)(OH)2)、ホスホン酸基(−P(O)(OH)2)、スルホニルイミド基(−SO2−NH−SO2−)等のカチオン交換基が好ましく、中でもスルホン酸基が好ましい。
本発明で用いる炭化水素系高分子電解質は、複数種の繰り返し単位を含むことが好ましく、イオン交換基を有する繰り返し単位と、イオン交換基を有さない繰り返し単位とを含む共重合体がより好ましい。該共重合体の共重合様式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、交互共重合のいずれでも、またはこのような共重合様式を組み合わせてなる共重合体でもよいが、イオン交換基を有するブロック、およびイオン交換基を実質的に有さないブロックとを、それぞれ一つ以上有するブロック共重合体、グラフト共重合体等がより好ましく、製膜の際に後述のミクロ層分離構造を形成しやすくする観点から、ブロック共重合体がさらに好ましい。なお、本発明において、「ブロック共重合体」とは、化学的に性質の異なる2種以上のポリマーが、共有結合でつながり、長い連鎖になった分子構造のものをいう。また、「グラフト共重合体」とは、幹ポリマーに対し、異種の化学構造を有する枝ポリマーが化学的に結合した、分岐状の分子構造のものをいう。本発明では、前記ポリマー、前記幹ポリマーおよび前記枝ポリマーを、「ブロック」という。ブロックとは、骨格が同一の繰り返し単位が5個以上連結したものである。好ましくは、1種の繰り返し単位が5個以上連結したものである。ここで、該骨格とは、ポリマーを構成する主鎖であって置換基を含まないものをいう。また、前記「化学的に性質の異なる」ポリマーとは、例えば、イオン交換基を有するポリマーと、イオン交換基を実質的に有さないポリマーとがあげられる。
本発明において、ブロックが「イオン交換基を有する」とは、イオン交換基が、繰り返し単位1個あたりで平均0.5個以上含まれているブロックであることを意味し、繰り返し単位1個あたりで平均1.0個以上含まれているとより好ましい。一方、ブロックが「イオン交換基を実質的に有しない」とは、イオン交換基が、繰り返し単位1個あたりで平均0.5個未満であるブロックであることを意味し、繰り返し単位1個あたりで平均0.1個以下であるとより好ましく、平均0.05個以下であるとさらに好ましい。
また、前記イオン交換基を有するブロックにおいて、該ブロックの主鎖に置換基を有してもよい芳香族環を有し、該ブロックに含まれる芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質であることが好ましい。
より具体的には、本発明のイオン伝導性高分子は、繰り返し単位として、上記の一般式(1a)、(2a)、(3a)、(4a)の何れか1種以上と、上記の一般式(1b)、(2b)、(3b)、(4b)の何れか1種以上とを含むことが好ましく、重合の形式としてはブロック共重合、交互共重合、およびランダム共重合等があげられる。
一般式(1a)〜(4a)、(1b)〜(4b)、(4a’)および(1b’)〜(3b’)における、Ar1〜Ar9およびAr11〜Ar19は、互いに独立なアリーレン基を表す。該アリーレン基としては、例えば、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン等の単環性アリーレン基、1,3−ナフタレンジイル、1,4−ナフタレンジイル、1,5−ナフタレンジイル、1,6−ナフタレンジイル、1,7−ナフタレンジイル、2,6−ナフタレンジイル、2,7−ナフタレンジイル等の縮環系アリーレン基、ピリジンジイル、キノキサリンジイル、チオフェンジイル等のヘテロアリーレン基等があげられる。好ましくは単環性アリーレン基である。また、Ar1〜Ar9およびAr11〜Ar19における置換基としては、上述のものがあげられる。
また、(1c)における、RaおよびRbは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアシル基、互いに結合して形成する非芳香族の環を表し、RaおよびRbは、置換基を有してもよく、該置換基としては、上述のものがあげられる。
上記炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状アルキル基があげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル基などがあげられ、好ましくは、炭素数1〜5のアルキル基である。
上記炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などあげられ、好ましくは、炭素数1〜5のアルコキシ基である。
上記炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基などがあげられ、好ましくは、炭素数5〜6のシクロアルキル基である。
上記炭素数6〜18のアリール基としては、フェニル、o−メトキシフェニル、m−メトキシフェニル、p−メトキシフェニル、o-エトキシフェニル、m-エトキシフェニル、p-エトキシフェニル、o−フェノキシフェニル、m−フェノキシフェニル、p−フェノキシフェニル、o−クロロフェニル、m−クロロフェニル、p−クロロフェニル、o−ニトロフェニル、m−ニトロフェニル、p−ニトロフェニル、o−アミノフェニル、m−アミノフェニル、p−アミノフェニル基などの単環性アリール基、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントラシル、2−アントラシル、4−アントラシル基などの縮環系アリール基、1−ピリジル、2−ピリジル、4−ピリジル、1−ピロール、2−ピロール、1−チオフェン、2−チオフェン基などのヘテロアリール基などがあげられ、好ましくは、単環性アリール基であり、単環性アリール基の中でも、フェニル、p−メトキシフェニル、p−フェノキシフェニル基などが好ましい。
上記炭素数6〜18のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、o−メトキシフェニルオキシ、m−メトキシフェニルオキシ、p−メトキシフェニルオキシ、o-エトキシフェニルオキシ、m-エトキシフェニルオキシ、p-エトキシフェニルオキシ、o−フェノキシフェニルオキシ、m−フェノキシフェニルオキシ、p−フェノキシフェニルオキシ、o−クロロフェニルオキシ、m−クロロフェニルオキシ、p−クロロフェニルオキシ、o−ニトロフェニルオキシ、m−ニトロフェニルオキシ、p−ニトロフェニルオキシ、o−アミノフェニルオキシ、m−アミノフェニルオキシ、p−アミノフェニルオキシ基などの単環性アリールオキシ基、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、1−アントラシルオキシ、2−アントラシルオキシ、4−アントラシルオキシ基などの縮環系アリールオキシ基、1−ピリジルオキシ、2−ピリジルオキシ、4−ピリジルオキシ、1−ピロールオキシ、2−ピロールオキシ、1−チオフェンオキシ、2−チオフェンオキシ基などのヘテロアリールオキシ基などがあげられ、好ましくは、単環性アリールオキシ基であり、単環性アリールオキシ基の中でも、フェニルオキシ、p−メトキシフェニルオキシ、p−フェノキシフェニルオキシ基などが好ましい。
上記炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル基などがあげられ、好ましくは、炭素数1〜5のアシル基である。
上記非芳香族環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカヒドロナフタレンなどのシクロアルカン類があげられる。好ましくはシクロヘキサンである。
本発明において、好ましいブロック共重合体としては、上記一般式(1a)、(2a)、(3a)、(4a)から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位からなるブロック1種以上と、上記一般式(1b)、(2b)、(3b)、(4b)から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位からなるブロック1種以上とを有するものがあげられるが、より好ましくは、下記のブロックを有する共重合体があげられる。
<ア>.(1a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<イ>.(1a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ウ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<エ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<イ>.(1a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ウ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<エ>.(2a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<オ>.(3a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<カ>.(3a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<キ>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ク>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロックなど
<カ>.(3a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロック、
<キ>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(1b)の繰り返し単位からなるブロック、
<ク>.(4a)の繰り返し単位からなるブロックと、(2b)の繰り返し単位からなるブロックなど
さらに好ましくは、上記の<イ>、<ウ>、<エ>、<キ>、<ク>などを有するものである。特に好ましくは、上記の<キ>、<ク>などを有するものである。
本発明において、より好ましいブロック共重合体としては、(4a)の繰り返し数、すなわち上記の一般式(4a')におけるmは5以上の整数を表し、5〜1000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜500である。mの値が5以上であれば、燃料電池用の高分子電解質として、プロトン伝導度が十分であるので好ましい。mの値が1000以下であれば、製造がより容易であるので好ましい。
式(4a')におけるAr9は、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。イオン交換基として、上述のとおり、カチオン交換基がより好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。芳香族環としては、原料入手および合成が容易であるという観点から、単環性アリーレン基が好ましい。また、プロトン伝導性を向上させる観点から、主鎖上のアリーレン基がイオン交換基と直接結合していることが好ましい。
これらのイオン交換基は、部分的にあるいは全てが金属イオンなどで交換されて塩を形成していてもよいが、燃料電池用高分子電解質膜などとして使用する際には、実質的に全てが遊離酸の状態であることが好ましい。
式(4a')で示される繰り返し構造の好ましい例としては、下記式(11)があげられる。
また、本発明において、より好ましいブロック共重合体としては、(1b)〜(3b)の繰り返し数、すなわち上記の一般式(1b’)〜(3b’)におけるnは5以上の整数を表し、5〜1000の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜500の範囲である。繰り返し数がこの範囲である高分子電解質は、高分子電解質膜にしたときのイオン伝導性と機械強度または耐水性とのバランスに優れ、各々のブロックの合成が容易であるので好ましい。
炭化水素系高分子電解質の具体例としては、例えば下記の構造があげられる。
なお、上記(A−1)〜(A−26)において、「block」の表記は、括弧内の繰り返し単位からなるブロックを有するブロック共重合体であることを意味する。また、かかるブロック同士は、直接結合している形態でもよく、適当な原子または原子団で連結している形態でもよい。
より好ましい炭化水素系高分子電解質としては、例えば上記の(A−2)、(A−7)、(A−8)、(A−16)、(A−18)、(A−22)〜(A−25)等があげられ、特に好ましくは(A−16)、(A−18)、(A−22)、(A−23)、(A−25)等があげられる。
また、プロトン伝導性高分子の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で表して、5000〜1000000であることが好ましく、15000〜400000であることが特に好ましい。該数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
上記高分子電解質の製造方法としては、公知の方法があげられ、例えば特開2005−126684号公報、特開2005−139432号公報および特開2007−177197号公報に記載の製造方法等に基づいて製造することができる。
<成分(B)>
成分(B)は、上述のとおりN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である。N-ヒドロキシイミド構造とは、下記一般式(12)
(式中、*は結合手を示す。)の構造を指す。
成分(B)は、上述のとおりN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物である。N-ヒドロキシイミド構造とは、下記一般式(12)
(式中、*は結合手を示す。)の構造を指す。
成分(B)は、高分子化合物であり、本発明において、高分子化合物とは、還元粘度が30ml/g以上の化合物をいう。本発明の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜の強度を向上させる観点から、還元粘度が50ml/g以上であることが好ましい。また、該高分子電解質膜を成膜する際、溶媒に対する溶解性を高める観点から、還元粘度が500ml/g以下であることが好ましく、450ml/g以下であることがより好ましい。該粘度は、100mlのジメチルスルホキシド(DMSO)中に試料を1g溶解させた後、40℃でウベロード型粘度管を使用して測定した値を意味する。
成分(B)としては、好ましくは、下記一般式(5)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1〜R4、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。但し、j=0の場合、R1〜R4の全てが、j=1または2の場合、R1〜R4、RcおよびRdの全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。R1〜R4、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子(但し、N-ヒドロキシイミド構造中に存在するヒドロキシル基の水素原子を除く)を除いた残基を有する繰り返し単位を含む。
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1〜R4、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。但し、j=0の場合、R1〜R4の全てが、j=1または2の場合、R1〜R4、RcおよびRdの全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。R1〜R4、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子(但し、N-ヒドロキシイミド構造中に存在するヒドロキシル基の水素原子を除く)を除いた残基を有する繰り返し単位を含む。
上記炭素数1〜10のアルキル基、上記炭素数1〜10のアルコキシ基、上記炭素数5〜8のシクロアルキル基、上記炭素数6〜18のアリール基、上記炭素数6〜18のアリールオキシ基、上記炭素数1〜20のアシル基としては、上述のものがあげられる。
また、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、および、アシル基は、互いに独立に、置換基を有してもよく、該置換基としては、上述のものがあげられる。
上記R1〜R4、RcおよびRdが任意の組合せで形成する芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などがあげられ、好ましくは、ベンゼン環である。または非芳香族環としては、上述のものがあげられる。該芳香族環および非芳香族環は置換基を有していてもよく、該置換基としては、上述の置換基があげられる。
成分(B)としては、好ましくは、下記一般式(6)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1、R3、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。R1、R3、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される繰り返し単位を含む。
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1、R3、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。R1、R3、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される繰り返し単位を含む。
上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、芳香族環、非芳香族環としては、上述のものがあげられる。また、その置換基に関しても、上述のものがあげられる。
一般式(5)および(6)におけるjは0〜2の整数を表す。成分(B)が有するN−ヒドロキシイミド構造の加水分解に対する耐性を向上させる観点から、j=0であることが好ましく、一般式(5)において、j=0である場合、下記一般式(7)
(R1〜R4は、前記一般式(5)のものと同じである。但し、R1〜R4の全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。)で示される。
(R1〜R4は、前記一般式(5)のものと同じである。但し、R1〜R4の全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。)で示される。
一般式(5)で表される環状化合物の具体例としては、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N−ヒドロキシグルタル酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシ−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミドなどが示される。これらの中でも、一般式(7)で表される、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N−ヒドロキシ−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸イミドなどが好ましい。
一般式(6)で示される繰り返し単位の具体例としては、一般式(6)で示されるものとなるように、上述の一般式(5)の具体例にあげた化合物から2個の水素原子を取り除いたものがあげられる。一般式(6)の中でも、一般式(8)で表されるものが好ましく、一般式(8)で示される繰り返し単位の具体例としては、同様に、一般式(8)で示されるものとなるように、上述の一般式(7)の具体例にあげた化合物から2個の水素原子を取り除いたものがあげられる。これらの中でも、好ましくは、下記のものがあげられる。
成分(B)としてN−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位のみからなる単独重合体でもよいが、N−ヒドロキシイミド構造は親水的であるため、N−ヒドロキシイミド構造を有さない疎水性の繰り返し単位を導入し、成分(B)の親水性を制御することが好ましい。このような観点から、成分(B)としてはN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位とを含むことが好ましい。
N-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位として、下記一般式(9)および(10)
(式中、R5〜R8は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。Ar21は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)から選ばれる繰り返し単位1種以上を含むことが好ましい。
(式中、R5〜R8は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。Ar21は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)から選ばれる繰り返し単位1種以上を含むことが好ましい。
上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、芳香族環、非芳香族環としては、上述のものがあげられる。また、その置換基に関しても、上述のものがあげられる。
上記一般式(9)で示されるN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等を構成する繰り返し単位があげられ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンを構成する繰り返し単位である。
上記一般式(10)で示されるN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位としては、Ar21で表され、置換基を有してもよいアリーレン基であり、該アリーレン基としては、例えば、上述のものがあげられる。また、該置換基としては、上記の置換基があげられる。
N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位との重量組成比としては、100:0〜10:90であることが好ましく、90:10〜30:70であることがより好ましい。
成分(B)としては、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位の単独重合体、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位との交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、或いはこれらの組合せなどがあげられる。好ましくは、N−ヒドロキシイミド構造を重合体中に均一に分布させる観点から、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位との交互共重合体であることが好ましい。
上記N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位との交互共重合体としては、該交互共重合体の化学的安定性を高める観点から、好ましくは、一般式(6)と一般式(9)との交互共重合体、一般式(8)と一般式(9)との交互共重合体があげられ、より好ましくは、成分(B)が有するN−ヒドロキシイミド構造の加水分解に対する耐性を向上させる観点から、一般式(8)と一般式(9)との交互共重合体である。
成分(B)の製造方法としては、公知の方法が用いられるが、例えば、特開平10−213912号公報および特開平9−120162号公報に準拠し、適宜単量体を用いて、重合を行い、酸無水物を含む高分子化合物を得る。該重合を行なう方法としては、ラジカル共重合、配位重合、並びに、山本重合および鈴木重合等の脱ハロゲンカップリング重合から選ばれる重合方法を用いることができる。得られた酸無水物を含む高分子化合物は、特開2002−047270号公報に準拠し、ヒドロキシルアミン等で酸無水物をイミド化させることにより、成分(B)が得られる。また、市販の酸無水物を含む高分子化合物を、ヒドロキシルアミン等でイミド化させることにより、成分(B)を得ることもできる。
<高分子電解質膜>
次に、本発明の高分子電解質組成物から高分子電解質膜を製膜する方法を説明する。この製膜方法としては、溶液状態より製膜する方法(いわゆる溶液キャスト法)が特に好ましく使用される。
具体的に説明すると、成分(A)と成分(B)とを、必要に応じて高分子電解質以外の高分子、添加剤等の他の成分と共に適当な溶媒に溶解して高分子電解質溶液を得、該高分子電解質溶液を、ガラス基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持基材上に流延塗布(キャスト製膜)し、溶媒を除去することにより支持基材上に高分子電解質膜を製膜し、その後、該支持基材を剥離等によって除去することで、高分子電解質膜を製造する。
なお、前記添加剤としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等や、保水剤として添加される、無機あるいは有機の微粒子があげられる。
次に、本発明の高分子電解質組成物から高分子電解質膜を製膜する方法を説明する。この製膜方法としては、溶液状態より製膜する方法(いわゆる溶液キャスト法)が特に好ましく使用される。
具体的に説明すると、成分(A)と成分(B)とを、必要に応じて高分子電解質以外の高分子、添加剤等の他の成分と共に適当な溶媒に溶解して高分子電解質溶液を得、該高分子電解質溶液を、ガラス基板、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等の支持基材上に流延塗布(キャスト製膜)し、溶媒を除去することにより支持基材上に高分子電解質膜を製膜し、その後、該支持基材を剥離等によって除去することで、高分子電解質膜を製造する。
なお、前記添加剤としては、通常の高分子に使用される可塑剤、安定剤、離型剤等や、保水剤として添加される、無機あるいは有機の微粒子があげられる。
高分子電解質組成物において、成分(A)と成分(B)との配合量としては、ラジカル耐性を向上させる観点から、成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)が0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましい。また、イオン伝導度を高める観点から、成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)が25重量部以下であることが好ましく、20重量部以下であることがより好ましい。
製膜に用いる溶媒は、成分(A)、成分(B)および必要に応じて添加される他の成分が溶解可能であり、その後に除去し得るものであるならば特に制限はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の非プロトン性極性溶媒、あるいはジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好適に用いられる。これらは単独で用いることもできるが、必要に応じて2種以上の溶媒を混合して用いることもできる。中でも、DMSO、DMF、DMAc、NMP等が高分子電解質の溶解性が高いので、好ましく使用される。
得られた高分子電解質膜の厚みは、特に制限されるものではないが、実用的には10〜300μmが好ましい。膜厚が10μm以上の膜では実用的な強度がより優れるため好ましく、300μm以下の膜では膜抵抗自体が小さくなる傾向があるので好ましい。膜厚は、溶液の濃度および基板上への塗布厚により制御できる。
本発明の高分子電解質組成物から得られる高分子電解質膜は、イオン交換基を有するブロックの密度が高い相(以下、「親水性ブロック相」と呼ぶことがある。)と、イオン交換基を実質的に有さないブロックの密度が高い相(以下、「疎水性ブロック相」と呼ぶことがある。)とを含む、ミクロ相分離構造を有するものが好ましい。このようなミクロ相分離構造の高分子電解質膜は、極めて優れたイオン伝導性と、成分(B)の作用により良好なラジカル耐性が発現して、燃料電池の長期安定性を達成できる。本発明者らが検討した結果、このようなミクロ相分離構造において、燃料電池の作動によって発生する過酸化物やラジカルは、主として親水性ブロック相を構成するイオン交換基を有するブロックを劣化させて、結果として高分子電解質膜自身の経時劣化を生じさせることが判明した。本発明の高分子電解質組成物は、高分子電解質膜のラジカル耐性、特に親水性ブロック相のラジカル耐性を著しく向上させることができる。その理由は、必ずしも定かではないが、本発明者らは次のように推定している。すなわち、高分子分野でこれまで周知であった酸化防止剤は、その親水性が極めて低いものであり、親水性ブロック相に対する劣化を抑制する効率は低い。これに対して、本発明に適用する成分(B)は、比較的親水性に優れるため、親水性ブロック相に作用し易いと予想される。このため高分子電解質膜の親水性ブロック相を中心に優れたラジカル耐性を発現させることができ、膜の耐久性を大きく向上させているものと推測できる。
前記ミクロ相分離構造は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)で見た場合に、親水性ブロック相(ミクロドメイン)と、疎水性ブロック相(ミクロドメイン)とが混在し、各ミクロドメイン構造のドメイン幅すなわち恒等周期が数nm〜数100nmであるような構造を指す。好ましくは5nm〜100nmのミクロドメイン構造を有するものが好ましい。なお、TEMによる分析手段によれば、高分子電解質膜がミクロ相分離構造を有していることが容易に確認できるので、このようなミクロ相分離構造が発現するようにして、成分(A)と成分(B)との配合量を最適化することもできる。
また、本発明の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜の強度や柔軟性、耐久性のさらなる向上のために、該高分子電解質組成物を多孔質基材に含浸させ複合化することにより、複合膜とすることも可能である。複合化方法は公知の方法を使用し得る。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等があげられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系高分子、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
複合膜を得る場合、多孔質基材の膜厚は、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmであり、多孔質基材の孔径は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.02〜10μmであり、多孔質基材の空隙率は、好ましくは20〜98%、さらに好ましくは40〜95%である。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、本発明の共重合体の充填がより容易となり、100μm以下であると、共重合体への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、イオン伝導性の抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
また、かかる複合膜の場合は、TEMによる分析手段において、高分子電解質膜が形成されている部分を観察して、前記ミクロ相分離構造が形成されていることを確認すればよい。
多孔質基材としては、上述の使用目的を満たすものであれば特に制限は無く、例えば多孔質膜、織布、不織布、フィブリル等があげられ、その形状や材質によらず用いることができる。多孔質基材の材質としては、耐熱性の観点や、物理的強度の補強効果を考慮すると、脂肪族系高分子、芳香族系高分子、または含フッ素高分子が好ましい。
複合膜を得る場合、多孔質基材の膜厚は、好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは3〜30μm、特に好ましくは5〜20μmであり、多孔質基材の孔径は、好ましくは0.01〜100μm、さらに好ましくは0.02〜10μmであり、多孔質基材の空隙率は、好ましくは20〜98%、さらに好ましくは40〜95%である。
多孔質基材の膜厚が1μm以上であると、複合化後の強度補強の効果あるいは、柔軟性や耐久性を付与するといった補強効果がより優れ、ガス漏れ(クロスリーク)が発生しにくくなる。また、該膜厚が100μm以下であると、電気抵抗がより低くなり、得られた複合膜が固体高分子型燃料電池のイオン伝導膜として、より優れたものとなる。該孔径が0.01μm以上であると、本発明の共重合体の充填がより容易となり、100μm以下であると、共重合体への補強効果がより大きくなる。空隙率が20%以上であると、イオン伝導性の抵抗がより小さくなり、98%以下であると、多孔質基材自体の強度がより大きくなり補強効果がより向上するので好ましい。
また、かかる複合膜の場合は、TEMによる分析手段において、高分子電解質膜が形成されている部分を観察して、前記ミクロ相分離構造が形成されていることを確認すればよい。
<燃料電池>
次に本発明の高分子電解質組成物を用いてなる燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、本発明の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜(または複合膜)の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
ここで触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金または白金系合金の微粒子を触媒成分として用いることが好ましい。白金または白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
また、カーボンに担持された白金または白金系合金を、パーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の溶剤と共に混合してペースト化したもの(触媒インク)を、ガス拡散層に塗布・乾燥することにより、ガス拡散層と積層一体化した触媒層が得られる。得られた触媒層を、高分子電解質膜に接合させるようにすれば、燃料電池用の膜−電極接合体を得ることができる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。また、触媒インクを、高分子電解質膜または高分子電解質複合膜に塗布・乾燥して、この膜の表面上に、直接触媒層を形成させても、燃料電池用の膜−電極接合体を得ることができる。
ここで、触媒層に使用する高分子電解質として、前記のパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の代わりに、本発明の高分子電解質組成物を用い、触媒組成物とすることもできる。この触媒組成物を用いて得られる触媒層は、前記の高分子電解質膜と同様に、高度のイオン伝導度を有しながらも、良好なラジカル耐性を発現できるため、触媒層として好適である。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
次に本発明の高分子電解質組成物を用いてなる燃料電池について説明する。
本発明の燃料電池は、本発明の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜(または複合膜)の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。
ここで触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができるが、白金または白金系合金の微粒子を触媒成分として用いることが好ましい。白金または白金系合金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられることもある。
また、カーボンに担持された白金または白金系合金を、パーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の溶剤と共に混合してペースト化したもの(触媒インク)を、ガス拡散層に塗布・乾燥することにより、ガス拡散層と積層一体化した触媒層が得られる。得られた触媒層を、高分子電解質膜に接合させるようにすれば、燃料電池用の膜−電極接合体を得ることができる。具体的な方法としては例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 135(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。また、触媒インクを、高分子電解質膜または高分子電解質複合膜に塗布・乾燥して、この膜の表面上に、直接触媒層を形成させても、燃料電池用の膜−電極接合体を得ることができる。
ここで、触媒層に使用する高分子電解質として、前記のパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂の代わりに、本発明の高分子電解質組成物を用い、触媒組成物とすることもできる。この触媒組成物を用いて得られる触媒層は、前記の高分子電解質膜と同様に、高度のイオン伝導度を有しながらも、良好なラジカル耐性を発現できるため、触媒層として好適である。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができるが、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
このようにして製造された本発明の燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、メタノールを用いる各種の形式で使用可能である。
かくして得られる燃料電池は、発電性能に優れ、長寿命の燃料電池となるので、工業的に極めて有用である。
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
本発明の実施例に移る前に、試料の諸物性の測定方法、各製造例を以下に説明する。
[FT−IR測定]
FT−IR(日本分光社製、FT/IR−460 Plus)により、常温常圧下で試料のIRスペクトルを測定した。
FT−IR(日本分光社製、FT/IR−460 Plus)により、常温常圧下で試料のIRスペクトルを測定した。
[イミド基導入率(単位:モル%)]
一般的な元素分析手法により真空乾燥させた試料を3.0(mg)秤量し、 試料のC(炭素)、N(窒素)、H(水素)の3つの元素の組成比を測定した。N(窒素)の組成比より、化学量論計算から、イミド基の導入率を計算した。
(分析条件)
測定装置:vario EL (エレメンタール社製)
燃焼管温度:950 oC
還元管温度:500 oC
キャリアーガス:ヘリウム (200ml/min)
燃焼ガスフィルター温度:280 oC
一般的な元素分析手法により真空乾燥させた試料を3.0(mg)秤量し、 試料のC(炭素)、N(窒素)、H(水素)の3つの元素の組成比を測定した。N(窒素)の組成比より、化学量論計算から、イミド基の導入率を計算した。
(分析条件)
測定装置:vario EL (エレメンタール社製)
燃焼管温度:950 oC
還元管温度:500 oC
キャリアーガス:ヘリウム (200ml/min)
燃焼ガスフィルター温度:280 oC
[還元粘度(単位:ml/g)]
下記の条件下で試料の還元粘度を測定した。還元粘度は、試料を溶媒に溶解した溶液および該溶媒のみそれぞれが、毛細管内を重力方向に自然落下するのに要する時間(s)を計測して、下記計算式に測定値を導入して求めた。
(計算式)
相対粘度 = 試料を溶媒に溶解した溶液の落下時間(s)/溶媒のみの落下時間(s)
比粘度 = 相対粘度−1
還元粘度(ml/g) = 比粘度/溶液濃度(g/ml)
(分析条件)
測定装置:自動粘度測定装置(SHOTT GERATE製 AVS−350型)
恒温槽:粘度測定ユニサーモバス(THOMAS KAGAKU CO.,LTD製)
粘度管:ウベロード型(キャピラリー内径 0.53mm)
使用条件:温度=40℃、濃度=0.01(g/ml)、溶媒=DMSO
ポンプ圧:0.04〜0.10(bar)、自動安定化
下記の条件下で試料の還元粘度を測定した。還元粘度は、試料を溶媒に溶解した溶液および該溶媒のみそれぞれが、毛細管内を重力方向に自然落下するのに要する時間(s)を計測して、下記計算式に測定値を導入して求めた。
(計算式)
相対粘度 = 試料を溶媒に溶解した溶液の落下時間(s)/溶媒のみの落下時間(s)
比粘度 = 相対粘度−1
還元粘度(ml/g) = 比粘度/溶液濃度(g/ml)
(分析条件)
測定装置:自動粘度測定装置(SHOTT GERATE製 AVS−350型)
恒温槽:粘度測定ユニサーモバス(THOMAS KAGAKU CO.,LTD製)
粘度管:ウベロード型(キャピラリー内径 0.53mm)
使用条件:温度=40℃、濃度=0.01(g/ml)、溶媒=DMSO
ポンプ圧:0.04〜0.10(bar)、自動安定化
[分子量(Mn、Mw)の測定]
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の分析条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の分析条件でポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を測定した。
測定装置 :CTO−10A (株式会社島津製作所製)
カラム :TSK−gel GMHHR−M (東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
移動相溶媒 :ジメチルアセトアミド
(臭化リチウムを10mmol/dm3になるように添加)
移動相流量 :0.5ml/min
検出 :フォトダイオードアレイ紫外線吸収 300nm
カラム :TSK−gel GMHHR−M (東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
移動相溶媒 :ジメチルアセトアミド
(臭化リチウムを10mmol/dm3になるように添加)
移動相流量 :0.5ml/min
検出 :フォトダイオードアレイ紫外線吸収 300nm
[イオン交換容量(IEC)の測定]
滴定法により、得られた高分子電解質のイオン交換容量(IEC)を測定した。ハロゲン水分率計(METTLER TOLEDO製 HR73型)を用い、110℃で乾燥させて、プロトン型に変換された高分子電解質の絶乾重量を求めた。その後、この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.0mlに浸漬し、更に150mlのイオン交換水を加え、2時間攪拌した。攪拌後、電位差自動滴定装置(京都電子工業製 AT−510型)を用いて、この高分子電解質が浸漬された溶液に0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の絶乾重量と上記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質膜のイオン交換容量(IEC)を算出した。
滴定法により、得られた高分子電解質のイオン交換容量(IEC)を測定した。ハロゲン水分率計(METTLER TOLEDO製 HR73型)を用い、110℃で乾燥させて、プロトン型に変換された高分子電解質の絶乾重量を求めた。その後、この高分子電解質膜を0.1mol/L水酸化ナトリウム水溶液5.0mlに浸漬し、更に150mlのイオン交換水を加え、2時間攪拌した。攪拌後、電位差自動滴定装置(京都電子工業製 AT−510型)を用いて、この高分子電解質が浸漬された溶液に0.1mol/Lの塩酸を徐々に加えることで滴定を行い、中和点を求めた。そして、高分子電解質膜の絶乾重量と上記の中和に要した塩酸の量から、高分子電解質膜のイオン交換容量(IEC)を算出した。
製造例1 [N−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物]
下記構造式(13)で示されるN−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物{Poly-(ethylene-alt-N-hydroxy-maleic imide)}(以下、PENIと略記することがある。)を以下の手順で合成した。
室温にてPoly(ethylene-alt-maleic anhydride)10.0g(Aldrich社製[繰り返し単位として78.0mmolに相当])と、脱水DMF94.4gとを混合して、80℃に昇温して、溶解した。これに、脱水ピリジン61.7gにヒドロキシルアミン・塩酸塩10.85g(156.0mmol)を溶解した溶液を滴下した。その後、80℃で、攪拌した。続いて、再沈、ろ過、洗浄、真空乾燥を行い、反応物を得た。
下記構造式(13)で示されるN−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物{Poly-(ethylene-alt-N-hydroxy-maleic imide)}(以下、PENIと略記することがある。)を以下の手順で合成した。
室温にてPoly(ethylene-alt-maleic anhydride)10.0g(Aldrich社製[繰り返し単位として78.0mmolに相当])と、脱水DMF94.4gとを混合して、80℃に昇温して、溶解した。これに、脱水ピリジン61.7gにヒドロキシルアミン・塩酸塩10.85g(156.0mmol)を溶解した溶液を滴下した。その後、80℃で、攪拌した。続いて、再沈、ろ過、洗浄、真空乾燥を行い、反応物を得た。
(反応物の分析結果)
FT−IRチャートより、原料であるPoly(ethylene-alt-maleic anhydride)のCO吸収ピーク[1800, 1830(cm-1)]が、反応物ではCO吸収シングルピーク[1680(cm-1)]にシフトしており、PENIの生成が確認された。また、該反応物のイミド基導入率は95モル%であった。還元粘度は178.4ml/gであり、高分子化合物であることを確認した。以降、該反応物を高分子化合物Aと呼称する。
FT−IRチャートより、原料であるPoly(ethylene-alt-maleic anhydride)のCO吸収ピーク[1800, 1830(cm-1)]が、反応物ではCO吸収シングルピーク[1680(cm-1)]にシフトしており、PENIの生成が確認された。また、該反応物のイミド基導入率は95モル%であった。還元粘度は178.4ml/gであり、高分子化合物であることを確認した。以降、該反応物を高分子化合物Aと呼称する。
製造例2 [高分子電解質(ベースポリマー)の製造]
特開2007−284653号公報実施例7、実施例21記載の方法に基づいて、スミカエクセルPES5200P(住友化学株式会社製)を用いて、下記構造式(14)
で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するブロックと、下記構造式(15)
で示される、イオン交換基を有さないブロックとを有する高分子電解質B(イオン交換容量=2.5meq/g、Mw=340×103、Mn=160×103(上述の測定方法を用いて、測定した。))を合成した。
特開2007−284653号公報実施例7、実施例21記載の方法に基づいて、スミカエクセルPES5200P(住友化学株式会社製)を用いて、下記構造式(14)
で示される繰り返し単位からなる、スルホン酸基を有するブロックと、下記構造式(15)
で示される、イオン交換基を有さないブロックとを有する高分子電解質B(イオン交換容量=2.5meq/g、Mw=340×103、Mn=160×103(上述の測定方法を用いて、測定した。))を合成した。
実施例1[高分子電解質膜1の製造]
高分子化合物Aと、高分子電解質Bとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/高分子化合物Aの重量比=90重量%/10重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をPET基材上に均一に塗り広げた。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。得られた膜を2N硫酸に浸漬、洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥した後、PET基材から剥離することで高分子電解質膜1(膜厚19μm)を得た。
高分子化合物Aと、高分子電解質Bとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/高分子化合物Aの重量比=90重量%/10重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をPET基材上に均一に塗り広げた。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。得られた膜を2N硫酸に浸漬、洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥した後、PET基材から剥離することで高分子電解質膜1(膜厚19μm)を得た。
製造例3 [高分子電解質膜2の製造]
高分子電解質Bと、下記構造式(16)で示される低分子であるN−ヒドロキシフタルイミド(以下、NHPIと略記することがある)(還元粘度値=2.2ml/g)(Aldrich社製)とを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/NHPIの重量比=96重量%/4重量%になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。それ以外は、実施例1と同様の方法にて高分子電解質膜2(膜厚20μm)を得た。
高分子電解質Bと、下記構造式(16)で示される低分子であるN−ヒドロキシフタルイミド(以下、NHPIと略記することがある)(還元粘度値=2.2ml/g)(Aldrich社製)とを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/NHPIの重量比=96重量%/4重量%になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。それ以外は、実施例1と同様の方法にて高分子電解質膜2(膜厚20μm)を得た。
製造例4[高分子電解質膜3の製造]
製造例2に記載の方法に従って合成した高分子電解質BにN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子を混合せずに、ジメチルスルホキシドに約8.5重量%の濃度になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜3(膜厚20μm)を得た。
製造例2に記載の方法に従って合成した高分子電解質BにN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子を混合せずに、ジメチルスルホキシドに約8.5重量%の濃度になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜3(膜厚20μm)を得た。
製造例5 [N−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物]
下記構造式(17)で示されるN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子化合物C(以下、CPNIと略記することがある。)を以下の手順で合成した。
下記構造式(17)で示されるN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子化合物C(以下、CPNIと略記することがある。)を以下の手順で合成した。
製造例5−1[N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−b)の製造方法]
室温にてN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−a、上記式にて示す)17.9gをDMSO100mlに溶解し、これに、K2CO341.5gを添加した。0℃まで冷却後、ベンジルブロマイド12.5mlを添加し、室温まで徐々に昇温し終夜撹拌した。反応マスに水を300ml添加し、酢酸エチル100mlで3回抽出後、得られた有機層を水100mlで2回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。その後、有機層をMgSO4で乾燥した後、濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶することで、N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−b、上記式にて示す)を23.0g得た。収率86モル%。
1H−NMR(CDCl3、δppm):7.48(m、2H)、7.38(m、3H)、6.00(dd、2H)、5.00(s、2H)、3.39(m、2H)、3.15(m、2H)、1.73(d、1H)、1.47(d、1H)
室温にてN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−a、上記式にて示す)17.9gをDMSO100mlに溶解し、これに、K2CO341.5gを添加した。0℃まで冷却後、ベンジルブロマイド12.5mlを添加し、室温まで徐々に昇温し終夜撹拌した。反応マスに水を300ml添加し、酢酸エチル100mlで3回抽出後、得られた有機層を水100mlで2回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。その後、有機層をMgSO4で乾燥した後、濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチルで再結晶することで、N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−b、上記式にて示す)を23.0g得た。収率86モル%。
1H−NMR(CDCl3、δppm):7.48(m、2H)、7.38(m、3H)、6.00(dd、2H)、5.00(s、2H)、3.39(m、2H)、3.15(m、2H)、1.73(d、1H)、1.47(d、1H)
製造例5−2[N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド重合体(17−c)の製造方法]
製造例5−1で得られたN−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−b、上記式にて示す)1.62g、cis−2−ブテン−1,4−ジオール ジアセタート5μLをクロロホルム10mlに溶解し50℃に昇温した。これに、1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−(イミダゾリジニリデン)(ジクロロフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム10.2mgをクロロホルム2mlに溶解した溶液を添加した。50℃で3時間撹拌後、反応マスにエチルビニルエーテル1mlを添加した。この溶液を、0℃に冷却したメタノール300mlに滴下した。析出したポリマーを濾過、メタノールで洗浄した後、真空下80℃で乾燥することで、N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド重合体(17−c、上記式にて示す)を1.57g得た。収率97モル%。
1H−NMR(DMSO−d6、δppm):7.20−7.50(m、5H相当)、4.90−5.40(m、4H相当)、3.00−3.30(m、2H相当)、2.60−2.95(m、2H相当)、1.40−1.70(m、1H相当)、0.60−1.20(m、1H相当)
製造例5−1で得られたN−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド(17−b、上記式にて示す)1.62g、cis−2−ブテン−1,4−ジオール ジアセタート5μLをクロロホルム10mlに溶解し50℃に昇温した。これに、1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−(イミダゾリジニリデン)(ジクロロフェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム10.2mgをクロロホルム2mlに溶解した溶液を添加した。50℃で3時間撹拌後、反応マスにエチルビニルエーテル1mlを添加した。この溶液を、0℃に冷却したメタノール300mlに滴下した。析出したポリマーを濾過、メタノールで洗浄した後、真空下80℃で乾燥することで、N−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド重合体(17−c、上記式にて示す)を1.57g得た。収率97モル%。
1H−NMR(DMSO−d6、δppm):7.20−7.50(m、5H相当)、4.90−5.40(m、4H相当)、3.00−3.30(m、2H相当)、2.60−2.95(m、2H相当)、1.40−1.70(m、1H相当)、0.60−1.20(m、1H相当)
製造例5−3[高分子化合物C:N−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物(17)の製造方法]
製造例5−2で得られたN−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド重合体(17−c、上記式にて示す)0.5g、5重量%パラジウム/CaCO3(Strem社製)0.5g、DMF10mlを100ccのオートクレーブに仕込み、水素圧3MPa、60℃で10時間、その後室温で14時間反応させた。脱圧後、セライト濾過を行い溶媒を半分量ほど濃縮した後、0℃に冷却したメタノール250mlに滴下した。析出したポリマーを濾過、真空下80℃で乾燥することでN−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物(17、上記式に示す)を0.25g得た。収率75モル%。
1H−NMR(DMSO−d6、δppm):3.00−3.20(m、2H相当)、1.50−2.30(m、4H相当)、1.10−1.50(m、2H相当)、0.50−0.80(m、1H相当)
製造例5−2で得られたN−ベンジルオキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド重合体(17−c、上記式にて示す)0.5g、5重量%パラジウム/CaCO3(Strem社製)0.5g、DMF10mlを100ccのオートクレーブに仕込み、水素圧3MPa、60℃で10時間、その後室温で14時間反応させた。脱圧後、セライト濾過を行い溶媒を半分量ほど濃縮した後、0℃に冷却したメタノール250mlに滴下した。析出したポリマーを濾過、真空下80℃で乾燥することでN−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物(17、上記式に示す)を0.25g得た。収率75モル%。
1H−NMR(DMSO−d6、δppm):3.00−3.20(m、2H相当)、1.50−2.30(m、4H相当)、1.10−1.50(m、2H相当)、0.50−0.80(m、1H相当)
実施例3[高分子電解質膜4の製造]
高分子電解質Bと高分子化合物Cとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/高分子化合物Cの重量比=95重量%/5重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をPET基材上に均一に塗り広げた。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。得られた膜を2N硫酸に浸漬、洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥した後、PET基材から剥離することで高分子電解質膜4(膜厚21μm)を得た。
高分子電解質Bと高分子化合物Cとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質B/高分子化合物Cの重量比=95重量%/5重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した。次いで、この高分子電解質溶液をPET基材上に均一に塗り広げた。塗布後、高分子電解質溶液を80℃で常圧乾燥した。得られた膜を2N硫酸に浸漬、洗浄した後、イオン交換水で洗浄し、さらに常温乾燥した後、PET基材から剥離することで高分子電解質膜4(膜厚21μm)を得た。
(触媒インクの作製)
5重量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、Aldrich社製)6mlに50重量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製)を0.83g投入し、さらにエタノールを13.2ml加えた。得られた混合物を超音波処理したのち、攪拌し、触媒インクを得た。
5重量%ナフィオン溶液(溶媒:水と低級アルコールの混合物、Aldrich社製)6mlに50重量%白金が担持された白金担持カーボン(SA50BK、エヌ・イー・ケムキャット製)を0.83g投入し、さらにエタノールを13.2ml加えた。得られた混合物を超音波処理したのち、攪拌し、触媒インクを得た。
(膜−電極接合体の作製)
前記で作製した高分子電解質膜1〜3それぞれについて片面の中央部における5.2cm角の領域に、大型パルススプレイ触媒形成装置(ノードソン社製、スプレイガン型式:NCG−FC(CT))を用いて、前記の触媒インクを塗布した。同様にして8回の重ね塗りをした後、ステージ上に放置し、溶媒を除去してアノード側触媒層を形成させた。形成されたアノード側触媒層の組成と塗工した重量から算出したところ、アノード側触媒層の白金量は0.60mg/cm2であった。続いて、もう一方の面にも触媒インクの塗工量を変えた以外はアノード側触媒層と同様にして触媒インクを塗布して、白金量0.60mg/cm2のカソード側触媒層を形成し、膜−電極接合体を得た。
前記で作製した高分子電解質膜1〜3それぞれについて片面の中央部における5.2cm角の領域に、大型パルススプレイ触媒形成装置(ノードソン社製、スプレイガン型式:NCG−FC(CT))を用いて、前記の触媒インクを塗布した。同様にして8回の重ね塗りをした後、ステージ上に放置し、溶媒を除去してアノード側触媒層を形成させた。形成されたアノード側触媒層の組成と塗工した重量から算出したところ、アノード側触媒層の白金量は0.60mg/cm2であった。続いて、もう一方の面にも触媒インクの塗工量を変えた以外はアノード側触媒層と同様にして触媒インクを塗布して、白金量0.60mg/cm2のカソード側触媒層を形成し、膜−電極接合体を得た。
(燃料電池セルの組み立て)
市販のJARI標準セル(日本自動車研究所製)を用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、前記で得られた膜−電極接合体の両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配し、さらにその外側に集電体およびエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てた。
市販のJARI標準セル(日本自動車研究所製)を用いて燃料電池セルを製造した。すなわち、前記で得られた膜−電極接合体の両外側に、ガス拡散層としてカーボンクロスと、ガス通路用の溝を切削加工したカーボン製セパレータを配し、さらにその外側に集電体およびエンドプレートを順に配置し、これらをボルトで締め付けることによって、有効膜面積25cm2の燃料電池セルを組み立てた。
燃料電池セルの特性評価
燃料電池セルの特性を評価するため、負荷変動試験前後の電圧維持率および親水部Mw(重量平均分子量)維持率を測定した。以下に、燃料電池セルのその方法に関して説明する。
燃料電池セルの特性を評価するため、負荷変動試験前後の電圧維持率および親水部Mw(重量平均分子量)維持率を測定した。以下に、燃料電池セルのその方法に関して説明する。
[燃料電池セルの負荷変動試験]
得られた燃料電池セルを95℃に保ちながら、低加湿状態の水素(70ml/分、背圧0.1MPaG)と空気(174ml/分、背圧0.05MPaG)をセルに導入し、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。この条件で燃料電池セルを200時間作動させた。
得られた燃料電池セルを95℃に保ちながら、低加湿状態の水素(70ml/分、背圧0.1MPaG)と空気(174ml/分、背圧0.05MPaG)をセルに導入し、開回路と一定電流での負荷変動試験を行った。この条件で燃料電池セルを200時間作動させた。
[電圧維持率(単位:%)]
燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノード側に低加湿状態の45oCの水素(529ml/分、背圧0.1MPaG)、カソード側に55oCの低加湿状態の空気(1665ml/分、0.1MPaG)をそれぞれ供給した。この条件下、負荷変動試験前後の燃料電池セルの電流密度が1.0A/cm2となるときの電圧の値(mV)を測定した。得られた電圧から、電圧維持率(%:試験後の電圧/試験前の電圧×100)を計算した。
燃料電池セルを80℃に保ちながら、アノード側に低加湿状態の45oCの水素(529ml/分、背圧0.1MPaG)、カソード側に55oCの低加湿状態の空気(1665ml/分、0.1MPaG)をそれぞれ供給した。この条件下、負荷変動試験前後の燃料電池セルの電流密度が1.0A/cm2となるときの電圧の値(mV)を測定した。得られた電圧から、電圧維持率(%:試験後の電圧/試験前の電圧×100)を計算した。
[親水部Mw(重量平均分子量)維持率(単位:%)]
各燃料電池セルから、それぞれ膜−電極接合体を取り出してエタノール/水の混合溶液に投入し、これに超音波処理を施して触媒層を取り除いた。次いで、触媒層が取り除かれた高分子電解質膜に対して、アミン分解処理を行い、高分子電解質の親水部が溶解した溶液を得た。すなわち、高分子電解質膜4mgを切り取り、これに、テトラメチルアンモニウム水酸化物の25%メタノール溶液10μLを加え、100℃で2時間反応させた。放冷後、得られた溶液中に含まれる高分子電解質の親水部(イオン交換基を有するブロック)の重量平均分子量を測定した。なお、重量平均分子量の測定にはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた。負荷変動試験前後の高分子電解質膜の親水部における重量平均分子量を測定して、親水部における重量平均分子量維持率(%:試験後の重量平均分子量/試験前の重量平均分子量×100)を計算した。この維持率が高いほど、高分子電解質膜の劣化度合が小さいことを意味する。なお、SECの分析条件は下記の通りである。
[SEC分析条件]
カラム :TSK−GEL GMHHR−M (東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
移動相溶媒 :ジメチルホルムアミド
(臭化リチウムを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 :0.5ml/min
検出 :示差屈折率
分子量標準試料 :ポリスチレン
各燃料電池セルから、それぞれ膜−電極接合体を取り出してエタノール/水の混合溶液に投入し、これに超音波処理を施して触媒層を取り除いた。次いで、触媒層が取り除かれた高分子電解質膜に対して、アミン分解処理を行い、高分子電解質の親水部が溶解した溶液を得た。すなわち、高分子電解質膜4mgを切り取り、これに、テトラメチルアンモニウム水酸化物の25%メタノール溶液10μLを加え、100℃で2時間反応させた。放冷後、得られた溶液中に含まれる高分子電解質の親水部(イオン交換基を有するブロック)の重量平均分子量を測定した。なお、重量平均分子量の測定にはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた。負荷変動試験前後の高分子電解質膜の親水部における重量平均分子量を測定して、親水部における重量平均分子量維持率(%:試験後の重量平均分子量/試験前の重量平均分子量×100)を計算した。この維持率が高いほど、高分子電解質膜の劣化度合が小さいことを意味する。なお、SECの分析条件は下記の通りである。
[SEC分析条件]
カラム :TSK−GEL GMHHR−M (東ソー株式会社製)
カラム温度 :40℃
移動相溶媒 :ジメチルホルムアミド
(臭化リチウムを10mmol/dm3になるように添加)
溶媒流量 :0.5ml/min
検出 :示差屈折率
分子量標準試料 :ポリスチレン
実施例2
高分子電解質膜1を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。電圧維持率および親水部における重量平均分子量維持率を表1に示す。
高分子電解質膜1を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。電圧維持率および親水部における重量平均分子量維持率を表1に示す。
実施例4
高分子電解質膜4を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。電圧維持率および親水部における重量平均分子量維持率を表1に示す。
高分子電解質膜4を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。電圧維持率および親水部における重量平均分子量維持率を表1に示す。
比較例1
高分子電解質膜2を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。実施例2と同様に評価結果を表1に示す。
高分子電解質膜2を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。実施例2と同様に評価結果を表1に示す。
比較例2
高分子電解質膜3を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。実施例2と同様に評価結果を表1に示す。
高分子電解質膜3を用いて製造した燃料電池セルの特性評価を行った。実施例2と同様に評価結果を表1に示す。
製造例6[ランダム共重合体Dのスルホン化]
攪拌装置を取り付けた反応容器に、上記一般式(18)で表されるランダム共重合体D(4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ビフェノールから、公知のアルカリ縮合法を用いて得られる共重合体。式中に付記した数値は、各構造単位のモル組成比を表す。Mn=2.0×104、Mw=3.8×104。)250重量部を入れ、窒素雰囲気下、濃硫酸2295重量部を加えて溶解した。25℃で12時間攪拌した。反応溶液の不均一化や、反応生成物等の析出は認められなかった。反応終了後、5℃のイオン交換水10000重量部に注ぎ、スラリーとなったものを吸引濾過して得た沈殿を繰り返した。濾液のpHが7になったことを確認し、減圧乾燥し、高分子電解質Eを266重量部得た。得られた高分子電解質E(ランダム共重合体Dのスルホン化物)の諸物性を測定したところ、一般式(19)で表されるスルホン酸基含有共重合体であった。イオン交換容量から、4,4’−ビフェノール由来の構造単位1個当たり、スルホン酸基が約1.9個置換していることが判明した。
(高分子電解質Eの分析結果)
イオン交換容量 1.15meq/g
GPC分析 Mn 4.0×104
Mw 7.2×104
(式中「random」の表記は、複数の構造単位の共重合様式がランダム共重合体であることを意味するものである。)
イオン交換容量 1.15meq/g
GPC分析 Mn 4.0×104
Mw 7.2×104
(式中「random」の表記は、複数の構造単位の共重合様式がランダム共重合体であることを意味するものである。)
実施例5[高分子電解質膜5の製造]
高分子化合物Aと、高分子電解質Eとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質E/高分子化合物Aの重量比=95重量%/5重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜5(膜厚15μm)を得た。
高分子化合物Aと、高分子電解質Eとを、ジメチルスルホキシドに合計約8.5重量%の濃度(高分子電解質E/高分子化合物Aの重量比=95重量%/5重量%)になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜5(膜厚15μm)を得た。
比較例4[高分子電解質膜6の製造]
製造例6に記載の方法に従って合成した高分子電解質EにN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子を混合せずに、ジメチルスルホキシドに約8.5重量%の濃度になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜6(膜厚18μm)を得た。
製造例6に記載の方法に従って合成した高分子電解質EにN−ヒドロキシイミド構造を有する高分子を混合せずに、ジメチルスルホキシドに約8.5重量%の濃度になるように溶解させて、高分子電解質溶液を調製した以外、実施例1と同じ方法にて高分子電解質膜6(膜厚18μm)を得た。
高分子電解質膜5、高分子電解質膜6については、成分(A)として、ランダム共重合体である高分子電解質Eを含む。成分(A)が、イオン交換基を有するブロック(浸水部)とイオン交換基を実質的に有さないブロック(疎水部)とを有する炭化水素系高分子電解質ではない場合、親水部Mw維持率を測定して耐久性を評価する上記燃料電池評価法を用いることができない。そこで、フェントン試験で評価を代用することとした。フェントン試験後の高分子電解質膜の重量維持率が高いほど、高分子電解質膜の劣化度合が小さいことを意味する。
実施例6[高分子電解質膜5の化学的安定性評価]
実施例5で得られた高分子電解質膜5を、3重量%過酸化水素と鉄イオンの濃度として1ppm(百万重量分率)の塩化第一鉄とを含む60℃の水溶液中に浸漬し、2時間経過後の膜の重量変化を測定することにより耐ラジカル性の評価を行った。その結果、膜の試験後の重量維持率は81重量%であった。
実施例5で得られた高分子電解質膜5を、3重量%過酸化水素と鉄イオンの濃度として1ppm(百万重量分率)の塩化第一鉄とを含む60℃の水溶液中に浸漬し、2時間経過後の膜の重量変化を測定することにより耐ラジカル性の評価を行った。その結果、膜の試験後の重量維持率は81重量%であった。
比較例5[高分子電解質膜6の化学的安定性評価]
比較例4で得られた高分子電解質膜6を、3重量%過酸化水素と鉄イオンの濃度として1ppm(百万重量分率)の塩化第一鉄とを含む60℃の水溶液中に浸漬し、2時間経過後の膜の重量変化を測定することにより耐ラジカル性の評価を行った。その結果、膜の試験後の重量維持率は66重量%であった。
比較例4で得られた高分子電解質膜6を、3重量%過酸化水素と鉄イオンの濃度として1ppm(百万重量分率)の塩化第一鉄とを含む60℃の水溶液中に浸漬し、2時間経過後の膜の重量変化を測定することにより耐ラジカル性の評価を行った。その結果、膜の試験後の重量維持率は66重量%であった。
実施例6および比較例5のフェントン試験結果を表1に示す。
フェントン試験を行った場合、高分子電解質膜1および高分子電解質膜4においても、高分子電解質膜2および高分子電解質膜3と比較すると、膜の重量維持率が向上する。
以上の結果から、炭化水素系高分子電解質と、N−ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物とを含有する高分子電解質組成物を用いて製造した燃料電池は、高分子電解質膜の劣化度合が小さいことが明らかとなった。しかしながら、炭化水素系高分子電解質と、N−ヒドロキシイミド構造を有するものの低分子であるNHPIとを含有する高分子電解質組成物を用いて製造した燃料電池セルおよび炭化水素系高分子電解質のみからなる高分子電解質組成物を用いて製造した燃料電池は、劣化度合は低減されなかった。また電圧維持率においては殆ど変化がなく、発電試験は問題なく遂行された。従って、本発明の高分子電解質組成物から得られる、高分子電解質膜等の燃料電池用部材は、実用的な長期安定性を有し、燃料電池の長寿命化を達成するものである。
Claims (21)
- 以下の成分(A)および(B)を含有することを特徴とする高分子電解質組成物。
(A)イオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質
(B)N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物 - 前記成分(A)における炭化水素系高分子電解質が、芳香族系高分子電解質であることを特徴とする、請求項1に記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar1およびAr2から選ばれる1つ以上と、Ar3〜Ar6から選ばれる1つ以上と、Ar7およびAr8から選ばれる1つ以上と、Ar9とはそれぞれ、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。) - 前記成分(A)が、下記一般式(1a)〜(4a)
(式中、Ar1〜Ar9は、互いに独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、イオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。pは0、1または2を表し、q、rは互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を有する繰り返し単位1種以上と、
下記一般式(1b)〜(4b)
(式中、Ar11〜Ar19は、互いに独立に置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Z、Z’は互いに独立に−CO−、−SO2−のいずれかで表される基を表し、X、X’、X”は互いに独立に−O−、−S−のいずれかで表される基を表す。Yは直接結合もしくは下記一般式(1c)で表される基を表す。p’は0、1または2を表し、q’、r’は互いに独立に1、2または3を表す。)
から選ばれるイオン交換基を実質的に有さない繰り返し単位1種以上とを含む炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の高分子電解質組成物。
(式中、RaおよびRbは互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基を表し、RaとRbとは互いに結合し、置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成していてもよい。) - 前記成分(A)が、複数種の繰り返し単位を含み、共重合様式が、ブロック共重合体、グラフト共重合体およびランダム共重合体から選ばれる1種以上の炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックとイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含み、共重合様式がブロック共重合体またはグラフト共重合体である炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(A)が、イオン交換基を有するブロックにおいて、該ブロックの主鎖に置換基を有してもよい芳香族環を有し、該ブロックに含まれる芳香族環の少なくとも1つが該芳香族環に直接結合したイオン交換基を有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする請求項6に記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(A)が、下記一般式(4a’)
(式中、mは5以上の整数を表し、Ar9はアリーレン基を表し、ここでアリーレン基は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基または置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Ar9はイオン交換基が直接結合した芳香族環を有する。)で表されるイオン交換基を有するブロックと、
下記一般式(1b’)、(2b’)または(3b’)
(式中、nは5以上の整数を表す。Ar11〜Ar18は互いに独立にアリーレン基を表し、ここでこれらのアリーレン基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数6〜18のアリールオキシ基または炭素数2〜20のアシル基で置換されていてもよい。Z、Z’、X、X’、X”は、前記一般式(1b)〜(3b)のものと同じである。)
で示されるブロックから選ばれイオン交換基を実質的に有さないブロックとを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の高分子電解質組成物。 - 前記成分(A)が、スルホン酸基をイオン交換基として有する炭化水素系高分子電解質であることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)が0.1〜25重量部であることを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(5)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1〜R4、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。但し、j=0の場合、R1〜R4の全てが、j=1または2の場合、R1〜R4、RcおよびRdの全てが、ニトロ基および/またはシアノ基である場合を除く。R1〜R4、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される環状化合物から、少なくとも1個の水素原子を除いた残基を有する繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の高分子電解質組成物。 - 前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位として、下記一般式(6)
(式中、Qは−CRcRd−で示される基、−O−で示される基または−S−で示される基を表し、jは0〜2の整数を表す。j=0の場合、単結合を示す。j=2の場合、2個存在するQは同一であっても、異なっていてもよい。R1、R3、RcおよびRdは、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。R1、R3、RcおよびRdから選ばれる2個以上からなる任意の組合せで結合することにより、置換基を有していてもよい芳香族環または置換基を有していてもよい非芳香族の環を形成してもよい。)で示される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の高分子電解質組成物。 - 前記成分(B)が、N-ヒドロキシイミド構造を有する繰り返し単位とN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位とを含む高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の高分子電解質組成物。
- 前記成分(B)におけるN-ヒドロキシイミド構造を有さない繰り返し単位として、下記一般式(9)および(10)
(式中、R5〜R8は、互いに独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜8のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアシル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基またはシアノ基を表す。Ar21は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)から選ばれる繰り返し単位1種以上を含むことを特徴とする請求項15に記載の高分子電解質組成物。 - 請求項1〜16の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる高分子電解質膜。
- 請求項17に記載の高分子電解質膜を備える、膜−電極接合体。
- 請求項1〜16の何れかに記載の高分子電解質組成物からなる触媒層。
- 請求項19の触媒層を備える、膜−電極接合体。
- 請求項18または20に記載の膜−電極接合体を有する固体高分子型燃料電池。
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KR20220129515A (ko) * | 2019-12-03 | 2022-09-23 | 벨레노스 클린 파워 홀딩 아게 | 전기화학 디바이스용 단일 이온 전도성 중합체 |
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