以下、図面を参照しながら、本発明に係る印刷装置に関する実施形態を説明する。以下の説明では、本発明に係る印刷装置の一例として、サーマルヘッドを利用して感熱式の被印刷媒体に印刷を行い、該被印刷媒体における印刷が行われた領域をカッターにより自動でカット(切断)することが可能な印刷装置を挙げる。以下の説明では、例示する印刷装置における構成、機能、及び動作のうちの、周知の印刷装置と同一又は類似した構成、機能、及び動作に関する詳細な説明は省略する。
図1は、一実施形態に係る印刷装置の外観の一例を示す斜視図である。
図1に例示した印刷装置1は、スマートフォン等の情報処理装置2からの印刷データに基づいて被印刷媒体3への印刷及び被印刷媒体3のカット(切断)を行い、ラベルを作成することが可能な印刷装置である。印刷装置1は、容器部材101及び蓋部材102により構成される装置筐体内に、被印刷媒体3に対する印刷及びカットを行うための各種機構及び制御回路等が収容されている。また、装置筐体内部には、ロール状の被印刷媒体3を含むテープロール4が収容された媒体アダプタが着脱可能に収容される。印刷装置1は、媒体アダプタ内のテープロール4から供給される被印刷媒体3に対し、印刷データに基づく印刷及びカットを行う。テープロール4から供給される被印刷媒体3は、装置筐体の内部を通り、該装置筐体に設けられた排出口103に通じる搬送経路に沿って搬送される。
印刷装置1の装置筐体(例えば、容器部材101)の外表面には、複数のボタン104と、複数の動作ランプ105とが配設されている。複数のボタン104は、例えば、電源のオン/オフを行うボタン、被印刷媒体3のカットを行うボタン、被印刷媒体3のフィード(所定量だけ搬送する動作)を行うボタン、無線通信の切り替えを行うボタン、及び再印刷を行うボタンを含む。複数の動作ランプ105は、例えば、電源のオン/オフの状態を示すランプ、無線通信の状態を示すランプ、及び印刷動作等のステータスを示すランプを含む。
図1に例示した印刷装置1を利用してラベルを作成する場合、利用者は、例えば、スマートフォン等の情報処理装置2において連携用のアプリケーションを実行して印刷データを作成することができる。印刷データは、例えば、情報処理装置2のタッチパネル201を操作して作成された、印刷する文字列や図形の印刷イメージ、被印刷媒体3のカット方法、印刷部数、及び続けて印刷を行うか否かの設定等の情報を含む。続けて印刷を行うか否かの設定は、受信した印刷データに基づく印刷及びカットを行った後、新たな印刷データに基づく印刷及びカットを続けて行うか否かの設定である。情報処理装置2は、図1に例示したようなスマートフォン或いはタブレット型のコンピュータに限らず、ノートブック型或いはデスクトップ型のコンピュータであってもよい。
なお、本発明に係る印刷装置は、図1に例示したような印刷装置1に限らず、例えば、印刷する文字列や図形等の入力や各種設定を行うことが可能なキーボードが装置筐体に配設された印刷装置であってもよい。
図2は、一実施形態に係る印刷装置及び該印刷装置と連携可能な情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図2に例示したように、本実施形態に係る印刷装置1は、制御部110、記憶部120、入力部130、表示部140、通信部150、及び印刷処理部160を含む。
制御部110は、印刷装置1の各種動作を制御する。制御部110による制御は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが、オペレーティングシステム、及び後述するラベル作成処理を含むプログラム等の各種プログラムを実行することにより行われる。記憶部120は、プロセッサが実行する各種プログラム、及びプログラムを実行する際に利用する各種データ(上述した印刷データを含む)が格納される。また、記憶部120は、プロセッサが各種プログラムを実行する際の作業領域を提供する。記憶部120は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。制御部110及び記憶部120の一部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されてもよい。
本実施形態の印刷装置1における制御部110は、判定部111及び設定部112を含む。判定部111は、印刷データに基づいて、例えば、被印刷媒体3のカットを行うか否かの判定等を行う。設定部112は、判定部111の判定結果及び印刷データに基づいて被印刷媒体3の搬送動作及びカット動作の設定を行う。
入力部130は、印刷装置1に対する操作入力を行う入力装置である。入力部130は、例えば、上述した複数のボタン104を含む。入力部130は、装置筐体に配設された上記のキーボードを含んでもよい。表示部140は、印刷装置1に関する各種情報を表示する表示装置である。表示部140は、例えば、上述した複数の動作ランプを含む。表示部140は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んでもよい。
通信部150は、スマートフォン等の情報処理装置2との通信を行う。通信部150は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信が可能な無線通信装置である。通信部150は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等の伝送ケーブルを介して情報処理装置2と通信を行うことが可能な通信装置であってもよい。
印刷処理部160は、制御部110からの制御信号に従い、被印刷媒体3の搬送、被印刷媒体3への印刷、及び被印刷媒体3のカットを行う。印刷処理部160は、搬送部161、印刷部162、及びカット部163を含む。搬送部161は、制御部110からの制御信号に従い、被印刷媒体3を所定の搬送方向に所定の搬送速度で所定の搬送量だけ搬送する搬送動作を行う。印刷部162は、制御部110からの制御信号に従い、搬送部161により搬送される被印刷媒体3に対して熱を印加して被印刷媒体3に印刷(印字)を行う。カット部163は、制御部110からの制御信号に従い、被印刷媒体3をカットする。本実施形態の印刷装置1におけるカット部163は、後述するように、被印刷媒体3の全体をカット(フルカット)するカッターと、被印刷媒体3の一部をカット(ハーフカット)するカッターとを含む。
なお、図2には示していないが、印刷装置1は、例えば、装置筐体内の媒体アダプタから供給される被印刷媒体3のテープ幅を検知するセンサ等を含んでもよい。
一方、印刷装置1と連携可能な情報処理装置2は、図2に例示したように、制御部210、記憶部220、入力部230、表示部240、及び通信部250を含む。
制御部210は、情報処理装置2の各種動作を制御する。制御部210による制御は、例えば、CPU等のプロセッサが、オペレーティングシステム、並びに後述するラベルデータ作成処理及び印刷データ作成処理を含むアプリケーションプログラム等の各種プログラムを実行することにより行われる。記憶部220は、プロセッサが実行する各種プログラム、及びプログラムを実行する際に利用する各種データが格納される。また、記憶部220は、プロセッサが各種プログラムを実行する際の作業領域を提供する。記憶部220は、ROM及びRAMを含む。制御部210及び記憶部220の一部は、FPGA、又はASIC等で構成されてもよい。
入力部230は、情報処理装置2に対する操作入力を行う入力装置である。表示部240は、情報処理装置2に関する各種情報を表示する表示装置である。情報処理装置2における入力部230と表示部240とは、例えば、液晶ディスプレイ等の表示部240の表示面上にデジタイザ(位置検出装置)等の入力部230が配置されたタッチパネル装置201であってもよい。
通信部250は、印刷装置1等との通信を行う。通信部250は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信が可能な無線通信装置である。通信部250は、例えば、USBケーブル等の伝送ケーブルを介して印刷装置1と通信を行うことが可能な通信装置であってもよい。
情報処理装置2において印刷装置1との連携のためのラベルデータ作成処理及び印刷データ作成処理を含むアプリケーションプログラムを実行している間、制御部210の一部は、印刷イメージ作成部211及び印刷データ作成部212として動作する。印刷イメージ作成部211は、入力部230を利用して入力された被印刷媒体3に印刷する文字列や図形のレイアウト等の入力情報に基づいて、印刷イメージを作成する。印刷データ作成部212は、作成した印刷イメージと、入力部230を利用して入力されたカット方法、印刷部数、及び続けて印刷を行うか否かの設定等の情報とを含む印刷データを作成する。
図3は、印刷装置における被印刷媒体の搬送経路を説明する図である。なお、図3には、印刷装置1における被印刷媒体3の搬送経路を直線状にして模式的に示しており、図3に例示した各構成要素の寸法及び位置の関係は、実際の印刷装置1における寸法及び位置の関係と必ずしも一致しない。
図3に例示したように、本実施形態の印刷装置1では、テープロール4(媒体アダプタ)から供給される被印刷媒体3はプラテンローラ5とサーマルヘッド6との間を通り、プラテンローラ5とサーマルヘッド6とにより挟持される。プラテンローラ5は、搬送部161に含まれ、図示しないモータの動力により被印刷媒体3を排出方向(第1の方向)に搬送するように回転させること、及び排出方向とは反対の方向(第2の方向)に搬送するように回転させることができる。サーマルヘッド6は、印刷部162に含まれ、制御部110からの制御信号に従い、被印刷媒体3に熱を印加して印刷を行う。以下の説明では、搬送経路における、プラテンローラ5とサーマルヘッド6とにより被印刷媒体3を挟持する位置を印刷位置という。排出方向は、搬送経路における、印刷位置から装置筐体(例えば、容器部材101)の排出口103に向かう方向である。以下の説明では、搬送経路における、装置筐体の排出口103の位置を排出位置という。以下の説明では、被印刷媒体3を排出方向に搬送するプラテンローラ5の回転を正転といい、プラテンローラ5を正転させて被印刷媒体3を搬送することを正転搬送という。以下の説明では、被印刷媒体3を排出方向とは反対の方向に搬送するプラテンローラ5の回転を逆転といい、プラテンローラ5を逆転させて被印刷媒体3を搬送することを逆転搬送という。
搬送経路における印刷位置と排出位置との間となる位置には、被印刷媒体3をカットするカッター7が配置されている。カッター7は、カット部163に含まれる。本実施形態の印刷装置1では、カッター7として、フルカッター(第1のカッター)701と、ハーフカッター(第2のカッター)702とが配置されている。フルカッター701は、被印刷媒体3の全体をカットするカッターであり、ハーフカッター702は、被印刷媒体3の一部をカットするカッターである。ハーフカッター702は、被印刷媒体3における該ハーフカッター702によりカットした位置を境として隣り合う2つの領域が一体的に保持されるように、被印刷媒体3の一部をカットする。例えば、被印刷媒体3が印刷(印字)を行う粘着テープ層と該粘着テープ層を保護する保護層とを有する多層構造の媒体である場合、フルカッター701が粘着テープ層及び保護層をカットして被印刷媒体3を2つに分離する一方で、ハーフカッター702は粘着テープ層のみをカットし、2つに分離された粘着テープ層が保護層により一体的に保持される。フルカッター701は、搬送経路における印刷位置から距離L1の位置(以下「フルカット位置」という)に配置されている。ハーフカッター702は、搬送経路におけるフルカット位置と排出位置との間であって、搬送経路におけるフルカット位置から距離L2の位置(以下「ハーフカット位置」という)に配置されている。距離L1及び距離L2は、搬送される被印刷媒体3の長さと対応する。すなわち、距離L1は、搬送される被印刷媒体3における、印刷位置にある被印刷媒体3上の位置からフルカット位置にある被印刷媒体3上の位置までの長さと対応する。距離L2は、搬送される被印刷媒体3における、フルカット位置にある被印刷媒体3上の位置からハーフカット位置にある被印刷媒体3上の位置までの長さと対応する。
搬送経路におけるハーフカット位置と排出位置との間となる位置には、被印刷媒体3を排出する排出ローラ8が配置されている。排出ローラ8は、例えば、カット部163に含まれ、フルカッター701でカットされた被印刷媒体3の切断片を排出口103から排出させるよう動作する。排出ローラ8は、例えば、第1のローラ801と第2のローラ802とを含み、被印刷媒体3は第1のローラ801と第2のローラ802との間を通り、第1のローラ801と第2のローラ802とにより挟持される。以下の説明では、搬送経路における、第1のローラ801と第2のローラ802とにより被印刷媒体3を挟持する位置を排出ローラ位置という。排出ローラ位置は、搬送経路におけるフルカット位置から距離L3の位置であり、距離L3は、搬送される被印刷媒体3における、フルカット位置にある被印刷媒体3上の位置から排出ローラ位置にある被印刷媒体3上の位置までの長さと対応する。
また、図3に示した、搬送経路における印刷位置とフルカット位置との間であって、印刷位置から距離L4の頭出し基準位置は、例えば、印刷データ(印刷イメージ)に基づいて被印刷媒体3への印刷を開始するときの該印刷を行う領域の始端の位置を表す。
なお、被印刷媒体3の搬送経路は、図3に例示した構成に限らず、例えば、フルカット位置とハーフカット位置が逆であってもよいし、ハーフカッター702が省略されていてもよい。
情報処理装置2を利用して印刷装置1に印刷及びカットを行わせてラベルを作成させる場合、印刷装置1と対応したアプリケーションを情報処理装置2で実行して印刷データを作成する。アプリケーションは、例えば、インターネット等の通信ネットワークを介して所定のWebサイトから情報処理装置2にダウンロードすることにより取得することができる。また、アプリケーションは、例えば、CD-ROMやメモリカード等の可搬型記録媒体から情報処理装置2に読み込むことにより取得することができる。
図4は、情報処理装置を利用したラベルの作成方法を説明するシーケンス図である。図4には、情報処理装置2と印刷装置1とが無線通信を行う場合のラベルの作成方法を例示している。
印刷装置1及び情報処理装置2を利用してラベルを作成するときには、まず、情報処理装置2で印刷装置1と対応したアプリケーションを起動し、印刷イメージ作成処理(ステップS21)及び印刷データ作成処理(ステップS22)を行う。印刷イメージ作成処理は、被印刷媒体3に印刷(印字)する文字列や図形の入力、選択等を行い印刷イメージを作成する処理である。印刷データ作成処理は、印刷を行う(すなわちラベルの作成に用いる)被印刷媒体3の幅(テープ幅)、カット方法、印刷濃度、及び印刷枚数の設定、並びに続けて印刷を行うか否かの設定の入力、選択等を行い、印刷イメージとこれらの設定とを含む印刷データを作成する処理である。続けて印刷を行うか否かの設定は、第1の印刷データに基づく印刷装置1でのラベル作成処理(印刷及びカット)が終了した後、続けて第2の印刷データに基づくラベル作成処理を印刷装置1に行わせるか否かの設定である。情報処理装置2は、例えば、利用者による被印刷媒体3の幅(テープ幅)、カット方法、印刷濃度、及び印刷枚数の設定、並びに続けて印刷を行うか否かの設定の入力、選択等の操作が行われた後、印刷を開始(実行)するための操作を受け付けると、印刷データを作成する。
ステップS21及びS22の後、情報処理装置2は、印刷装置1と無線通信を行い、印刷装置1に装着された被印刷媒体3のテープ幅を示すテープ幅情報及び無線状態を取得する(ステップS23)。情報処理装置2と印刷装置1とは、例えば、UDP(User Datagram Protocol)による無線通信を行う。ステップS23において、情報処理装置2は、印刷装置1に対するUDP送信を行い、その後印刷装置1からの通知を受信する。印刷装置1は、情報処理装置2からのUDP送信を受信すると、自装置に現在装着されている被印刷媒体3のテープ幅を示すテープ幅情報及び無線状態を情報処理装置2に通知する(ステップS11)。印刷装置1は、例えば、自装置に装着されている媒体アダプタが、どのテープ幅の被印刷媒体3(テープロール4)を収容する媒体アダプタであるかを検知することにより被印刷媒体3のテープ幅を認識する。
ステップS23の後、情報処理装置2は、作成した印刷データにおける被印刷媒体3のテープ幅と、印刷装置1から取得したテープ幅情報とを比較して評価し、印刷データを印刷装置1に送信する(ステップS24)。なお、図4では図示していないが、例えば、印刷データにおける被印刷媒体3のテープ幅と、印刷装置1から取得したテープ幅情報とが異なっている場合には、印刷データにおける被印刷媒体3のテープ幅の変更、又は印刷装置1の被印刷媒体3(媒体アダプタ)の交換をしてから印刷データを印刷装置1に送信するようにしてもよい。
印刷装置1は、情報処理装置2からの印刷データを受信すると、受信した印刷データに基づくラベル作成処理(ステップS12)を行う。ラベル作成処理の内容については、図5、図6A及び図6B、並びに図7を参照して後述する。ラベル作成処理が終了すると、印刷装置1は、例えば、終了コマンドを情報処理装置2に送信し、ラベルの作成が終了したことを情報処理装置2に通知する(ステップS13)。
情報処理装置2は、終了コマンドを受信すると、該終了コマンドと関連付けられる印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定であったか否かを判定する(ステップS25)。続けて印刷を行う設定になっていない場合(ステップS25;NO)、情報処理装置2は、印刷装置1におけるラベル作成処理(すなわち、印刷装置1に送信した印刷データに基づく被印刷媒体3への印刷及びカット)が終了したことを通知する画面を表示する(ステップS26)。
続けて印刷を行う設定であった場合(ステップS25;YES)、情報処理装置2は、印刷装置1に続けて印刷(ラベル作成処理)を行わせるための印刷データを印刷装置1に送信する処理を行う。続けて印刷を行う設定であった場合、情報処理装置2は、例えば、印刷イメージ作成処理(ステップS21)以降の処理を行う。また、例えば、ステップS25の判定を行った時点で次に印刷装置1に送信する印刷データの作成が完了しており、かつ印刷を行う被印刷媒体3のテープ幅に変更が無い場合には、情報処理装置2は、ステップS25の判定後、ステップS21~S23の処理を省略して印刷データを印刷装置1に送信する処理(ステップS24)を行ってもよい。
このように、本実施形態の印刷装置1は、情報処理装置2からの印刷データを受信すると、該印刷データに基づくラベル作成処理(ステップS12)を行う。本実施形態の印刷装置1は、ラベル作成処理として、例えば、図5のフローチャートに沿った処理を行う。
図5は、一実施形態に係る印刷装置が行うラベル作成処理の一例を説明するフローチャートである。
印刷データを受信した印刷装置1は、まず、前回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態を記憶部120から読み出す(ステップS1210)。被印刷媒体3の状態は、例えば、前回のラベル作成処理が終了したときの被印刷媒体3における始端から印刷位置にある被印刷媒体3上の位置までの長さを示す情報と、前回のラベル作成処理においてその区間に印刷が行われたか否かを示す情報とを含む。
次に、印刷装置1は、今回の(すなわち現在行っている)ラベル作成処理に対する印刷データと、読み出した被印刷媒体3の状態とに基づいて、搬送動作/カット動作設定処理を行う(ステップS1230)。搬送動作/カット動作設定処理では、印刷装置1は、今回のラベル作成処理における被印刷媒体3の搬送動作及び被印刷媒体3に対するカット動作に関する設定をする。搬送動作/カット動作設定処理の例については、図6A及び図6B、並びに図7を参照して後述する。
ステップS1230の後、印刷装置1は、印刷データに含まれる印刷イメージ、印刷濃度、及び印刷枚数等の情報と、ステップS1230で設定した印刷媒体3の搬送動作及び被印刷媒体3に対するカット動作に関する設定情報とに基づいて、被印刷媒体3に対する印刷及びカットを実行する(ステップS1250)。ステップS1250の処理が終了すると、印刷装置1は、ラベル作成処理を終了する。
図6Aは、一実施形態に係る印刷装置が行う搬送動作/カット動作設定処理の一例を説明するフローチャート(その1)である。図6Bは、一実施形態に係る印刷装置が行う搬送動作/カット動作設定処理の一例を説明するフローチャート(その2)である。
搬送動作/カット動作設定処理では、印刷装置1は、まず、図6Aに示すように、印刷データに基づいて今回のラベル作成処理で作成するラベルのラベル長及びラベルの作成に必要なテープ長を算出する(ステップS1231)。ラベル長は、例えば、印刷データにおける1つの印刷イメージ及びテープ幅に基づいて被印刷媒体3に印刷(印字)を行って作成(生成)される1枚のラベルの搬送方向の長さである。被印刷媒体3における1枚のラベルとなる領域は、例えば、印刷が行われた印刷領域の下流側及び上流側のそれぞれに余白領域を含む。下流及び上流は、被印刷媒体3における搬送方向での相対的な位置関係を表しており、本明細書では、被印刷媒体3上の任意の位置又は領域から見て被印刷媒体3の始端がある方向(言い換えると排出方向)を下流といい、被印刷媒体3の始端とは反対の終端がある側(言い換えると排出方向とは反対の方向)を上流という。テープ長は、今回のラベル作成処理で作成する全てのラベルのラベル長の和である。例えば、印刷枚数が1枚(すなわち作成するラベルが1枚)である場合、テープ長はラベル長と等しくなる。例えば、印刷枚数がn枚(n>1)であり、作成するラベルのラベル長が全て同じラベル長LLである場合、テープ長はラベル長LLのn倍となる。
次に、印刷装置1は、算出したラベル長及びテープ長、続けて印刷を行うか否かの設定、並びに前回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態等に基づいて、前余白設定処理を行う(ステップS1232)。前余白設定処理では、印刷装置1は、今回のラベル作成処理において1回目の印刷により作成される1枚目のラベルの下流側にラベルとは別の余白部分(前余白)を設けるか否かの設定と、前余白を設ける場合の該前余白の長さの設定とを行う。前余白設定処理の例については、図7を参照して後述する。
ステップS1232の後、印刷装置1は、変数nを1に設定する(ステップS1233)。変数nは、印刷データにおける印刷枚数(総印刷枚数N)に基づいて印刷を行うことで作成されるラベルの識別に用いる。
次に、印刷装置1は、前余白を設けるか否かを判定する(ステップS1234)。前余白を設けない場合(ステップS1234;NO)、印刷装置1は、次にn枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長未満であるか否かを判定する(ステップS1236)。一方、前余白を設ける場合、印刷装置1は、1枚目のラベルのラベル長に前余白の長さを追加し(ステップS1235)、その後n枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長未満であるか否かを判定する(ステップS1236)。
ステップS1236の判定における最短ラベル長は、フルカッター701で被印刷媒体3をカットして得られるラベル(被印刷媒体3の切断片)を装置筐体の排出口103から排出することが可能なラベル長の最短値である。図3に例示した搬送経路を有する印刷装置1では、被印刷媒体3が排出ローラ8の第1のローラ801と第2のローラ802とにより挟持されている状態で被印刷媒体3をフルカッター701によりカットすると、カットして得られるラベルを排出ローラ8により排出することができる。すなわち、図3に例示した搬送経路を有する印刷装置1では、被印刷媒体3における始端からフルカッター701によりカットする位置までの長さ(ラベル長)が、搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L3よりも長い場合に、フルカッター701によりカットして得られるラベルを排出ローラ8により排出することができる。この場合、最短ラベル長は、距離L3、又は距離L3に所定のマージン(例えば、数mm程度の長さ)を付加した値に設定する。
n枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長未満である場合(ステップS1236;YES)、印刷装置1は、次に、n枚目のラベルの印刷時に該ラベルと連続した残存ラベルが印刷装置1内にあるか否かを判定する(ステップS1237)。残存ラベルが印刷装置1内にある場合(ステップS1237;YES)、印刷装置1は、残存ラベルとn枚目のラベルとの境界のカット設定を、フルカットをしない設定にする(ステップS1238)。
n枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長以上である場合(ステップS1236;NO)、残存ラベルが印刷装置1内にない場合(ステップS1237;NO)、又はステップS1238の処理を行った場合、印刷装置1は、次に、n枚目のラベルの印刷時における被印刷媒体3の始端からn枚目のラベルの終端までの距離が最短ラベル長未満であるか否かを判定する(ステップS1239)。n枚目のラベルの終端は、被印刷媒体3におけるn枚目の印刷が行われた印刷領域を含む、n枚目のラベルとして作成されるラベル領域の上流端である。n枚目のラベルの印刷前に、n枚目のラベルとn-1枚目のラベルとの境界をフルカッター701によりカットした場合、被印刷媒体3の始端からn枚目のラベルの終端までの距離は、n枚目のラベルのラベル長となる。n枚目のラベルの印刷前にn枚目のラベルとn-1枚目のラベルとの境界をフルカッター701によりカットしていない場合、被印刷媒体3の始端からn枚目のラベルの終端までの距離は、n枚目のラベルのラベル長とn-1枚目のラベルのラベル長との和以上になる。
n枚目のラベルの印刷時における被印刷媒体3の始端からn枚目のラベルの終端までの距離が最短ラベル長未満である場合(ステップS1239;YES)、印刷装置1は、次に、n枚目のラベルの終端のカット設定がフルカットであるか否かを判定する(ステップS1240)。カット設定がフルカットである場合(ステップS1240;YES)、印刷装置1は、n枚目のラベルの終端のカット設定を、フルカットをしない設定に変更する(ステップS1241)。
被印刷媒体3の始端からn枚目のラベルの終端までの距離が最短ラベル長以上である場合(ステップS1239;NO)、n枚目のラベルの終端のカット設定がフルカットではない場合(ステップS1240;NO)、又はステップS1241の処理を行った場合、印刷装置1は、次に、n+1枚目のラベルがあるか否かを判定する(ステップS1242)。ステップS1242において、印刷装置1は、印刷データにおける印刷枚数(総印刷枚数N)と現在の変数nの値との大小関係がn<Nであるか否かを判定し、n<Nである場合に、n+1枚目のラベルがあると判定する。n+1枚目のラベルがある場合(ステップS1242;YES)、印刷装置1は、変数nをn+1に更新し(ステップS1243)、ステップS1236の判定を行う。
n+1枚目のラベルがない場合(ステップS1242;NO)、印刷装置1は、次に、図6Bに示すように、今回のラベル作成処理は続けて印刷する設定がオンであるか否かを判定する(ステップS1244)。今回のラベル作成処理に対する印刷データにおける続けて印刷をするか否かの設定が、続けて印刷をする設定になっている場合に、印刷装置1は、続けて印刷する設定がオンであると判定する。
続けて印刷する設定がオンである場合(ステップS1244;YES)、印刷装置1は、次に、n枚目のラベルの終端のカット設定がフルカットであるか否かを判定する(ステップS1245)。ステップS1245の判定におけるn枚目のラベルは、印刷データにおける印刷枚数(総印刷枚数N)に基づいて作成される最後のラベル(すなわちN枚目のラベル)である。このため、カット設定がフルカットである場合(ステップS1245;YES)、印刷装置1は、n枚目のラベルの終端のカット設定を、フルカットをしない設定に変更する(ステップS1246)。
続けて印刷する設定がオンではない場合(ステップS1244;NO)、n枚目のラベルの終端のカット設定がフルカットではない場合(ステップS1245;NO)、又はステップS1246の処理を行った場合、印刷装置1は、次に、今回のラベル作成処理におけるラベル長、テープ長、前余白、及びカット設定に基づいて被印刷媒体3の搬送動作を設定する(ステップS1247)。
その後、印刷装置1は、ラベル長及びカット設定に基づいて、今回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態を記憶部120に保存(格納)する(ステップS1248)。記憶部120に保存した今回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態を示す情報は、今回のラベル作成処理の後で続けて印刷をする場合に、ステップS1210において前回のラベル作成処理の終了時の状態として読み出される。
このように、本実施形態に係る印刷装置1が行う搬送動作/カット動作設定処理では、第1の印刷データに基づいて1回目のラベル作成処理を行った後、続けて第2の印刷データに基づいて2回目のラベル作成処理を行う場合には、1回目のラベル作成処理において最後に作成されるラベルとなる被印刷媒体3のラベル領域の終端をフルカッター701でカットしない設定に変更する(ステップS1246)。この場合、1回目のラベル作成処理は、最後に作成されるラベルとなる被印刷媒体3のラベル領域に含まれる印刷領域に対する印刷が終了した時点で1回目のラベル作成処理を終了することができる。すなわち、2回目のラベル作成処理を続けて行うように設定されている場合、1回目のラベル作成処理において最後に作成されたラベルを、2回目のラベル作成処理において印刷が行われる被印刷媒体3と連続した状態で印刷装置1内に残存させることができる。
また、本実施形態に係る印刷装置1が行う搬送動作/カット動作設定処理では、2回目のラベル作成処理において1枚目のラベルとして作成されるラベルのラベル長が最短ラベル長に満たない場合、1枚目のラベルと、1回目のラベル作成処理において作成され印刷装置1内に残存している残存ラベルとの境界のカット設定を、フルカットをしない設定にする(ステップS1238)。更に、本実施形態に係る印刷装置1では、1枚目のラベルのラベル長と残存ラベルのラベル長との和が最短ラベル長に満たない場合には、1枚目のラベルの後端のカット設定を、フルカットをしない設定にする(ステップS1241)。このため、本実施形態に係る印刷装置1では、フルカッター701によりカットされたラベルが最短ラベル長に満たないラベルになることを防ぎ、被印刷媒体3のカットを伴う被印刷媒体3への印刷を連続して行う場合のカットされた被印刷媒体3が印刷装置1内に残留することを防ぐことができる。
また、本実施形態の印刷装置1では、第1の印刷データに基づいて1回目のラベル作成処理を行った後、続けて第2の印刷データに基づいて2回目のラベル作成処理を行う場合には、1回目のラベル作成処理において最後に作成されるラベルとなる被印刷媒体3のラベル領域の終端をフルカッター701でカットしない設定にする(ステップS1246)。このため、1回目(前回)のラベル作成処理を、被印刷媒体3における最後に作成されたラベルのラベル領域の終端が搬送経路の印刷位置にある状態で終了させることができる。この場合、2回目(今回)のラベル作成処理は、1回目のラベル作成処理において最後に作成されたラベルのラベル領域の終端を、2枚目のラベルのラベル領域の始端として開始することができる。このため、例えば、2回目(今回)のラベル作成処理において前余白を設定しなくてもよく、ラベルとして使用されない被印刷媒体3の量を低減することができる。
なお、本実施形態に係る印刷装置1は、上述のように、続けて印刷を行わないように設定することも可能である。続けて印刷を行わない場合には、1回のラベル作成処理において印刷(印字)が行われた被印刷媒体3の印刷領域を含むラベル領域をフルカッター701でカットして排出することがある。この場合、1つのラベル領域のラベル長は、最短ラベル長よりも短くすることができるが、フルカッター701でカットして得られるラベルのラベル長(被印刷媒体3の切断片)が最短ラベル長よりも短い場合には、排出ローラ8を利用してラベルを排出口103から排出することができないことがある。このため、本実施形態の印刷装置1では、上述した前余白設定処理(ステップS1232)として、例えば、図7のフローチャートに沿った処理を行う。
図7は、一実施形態に係る印刷装置が行う前余白設定処理の一例を説明するフローチャートである。図7には、印刷データにおける印刷枚数が2枚である場合の前余白設定処理の手順を示している。
本実施形態に係る印刷装置1が行う前余白設定処理では、まず、前回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態に基づいて、前回のラベル作成処理で印刷したラベルが印刷装置1内に残存しているか否かを判定する(ステップS1232a)。ステップS1232aにおいて、印刷装置1は、例えば、前回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体13の状態に、被印刷媒体3における始端から印刷位置にある位置までの区間に前回のラベル作成処理で印刷が行われていることを示す情報が含まれる場合に、前回のラベル作成処理で印刷したラベルが印刷装置1内に残存していると判定する。ラベルが印刷装置1内に残存している場合(ステップS1232a;YES)、印刷装置1は、今回のラベル作成処理では前余白を無しに設定し(ステップS1232b)、前余白設定処理を終了する。
ラベルが印刷装置1内に残存していない場合(ステップS1232a;NO)、印刷装置1は、次に、今回のラベル作成処理は続けて印刷する設定がオンであるか否かを判定する(ステップS1232c)。上述したように、印刷データにおける続けて印刷をするか否かの設定が、続けて印刷をする設定である場合に、印刷装置1は、続けて印刷する設定がオンであると判定する。続けて印刷する設定がオンである場合(ステップS1232c;YES)、印刷装置1は、前余白を初期値に設定し(ステップS1232d)、前余白設定処理を終了する。
続けて印刷する設定がオンではない場合(ステップS1232c;NO)、印刷装置1は、次に、1枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長未満であるか否かを判定する(ステップS1232e)。上述したように、最短ラベル長は、フルカッター701でカットして得られるラベルを排出口103から排出することが可能なラベル長の最短値であり、図3に例示した搬送経路では、フルカット位置から排出ローラ位置までの距離L3、又は距離L3に所定のマージン(例えば、数mm程度)を付加した値が最短ラベル長となる。1枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長以上である場合(ステップS1232e;NO)、印刷装置1は、前余白を初期値に設定し(ステップS1232d)、前余白設定処理を終了する。
1枚目のラベルのラベル長が最短ラベル長未満である場合(ステップS1232e;YES)、印刷装置1は、次に、1枚目のラベルと2枚目のラベルとの境界に対するカット設定を、フルカットをしない設定にし(ステップS1232f)、テープ長が最短ラベル長未満であるか否かを判定する(ステップS1232e)。図7に例示したフローチャートは、上述したように、印刷データにおける印刷枚数が2枚(すなわち作成するラベルが2枚)であるため、テープ長は、1枚目のラベルのラベル長と2枚目のラベルのラベル長との和になる。テープ長が最短ラベル長以上である場合(ステップS1232g;NO)、印刷装置1は、前余白を初期値に設定し(ステップS1232d)、前余白設定処理を終了する。
テープ長が最短ラベル長未満である場合(ステップS1232g;YES)、印刷装置1は、テープ長と前余白の長さとの和が最短ラベル長以上になる前余白を設定し(ステップS1232h)、前余白設定処理を終了する。例えば、最短ラベル長が29mmで、テープ長が14mmであった場合、印刷装置1は、前余白の長さを15mm以上に設定する。
なお、図7に例示したフローチャートは、上述したように、印刷データにおける印刷枚数が2枚である場合の前余白設定処理の手順を示したものである。本実施形態の印刷装置1が行う前余白設定処理は、図7に例示したフローチャートに沿った処理に限らず、適宜変更可能である。例えば、印刷データにおける印刷枚数は3枚以上であってもよい。このため、前余白設定処理は、例えば、ステップS1232fの代わりに、隣接するラベルとの境界をフルカットしない設定にする処理と、フルカットしない設定にして連続する複数のラベルのラベル長の和が最短ラベル長未満であるか否かを判定する処理とを繰り替えしてもよい。
このように、本実施形態の印刷装置1は、続けて印刷を行うように設定されていない場合には、今回の印刷データに基づいて算出したラベル長及びテープ長から、被印刷媒体3におけるフルカッター701によりカットして排出口103から排出させる部分の長さが最短ラベル長以上になるように、被印刷媒体3におけるフルカットする位置の設定及び前余白の長さを調整する。このため、本実施形態の印刷装置1では、続けて印刷を行うように設定されていない場合にも、フルカッター701によりカットして排出口103から排出させる被印刷媒体3の切断片の長さが最短ラベル長に満たない長さになり、該切断片が排出されない事態を防ぐことができる。したがって、被印刷媒体3のカットを伴う被印刷媒体3への印刷を行う場合にカットされた被印刷媒体3が印刷装置1内に残留することを防ぐことができる。
図8は、一実施形態に係る印刷装置で行われるラベル作成処理の第1の具体例を説明する図である。図8の(a1)~(a5)には、前回のラベル作成処理に対する印刷データにおける続けて印刷をするか否かの設定が、続けて印刷をする設定になっていなかった場合に行われる、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理中の印刷装置1の動作の一例を時系列で示している。
図8の(a1)には、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理を開始する時点での、搬送経路における被印刷媒体3の状態を示している。被印刷媒体3は、始端301が搬送経路におけるフルカット位置にある状態で停止している。
第1のラベル作成処理を開始すると、印刷装置1は、まず、ラベル長及びテープ長を算出し(ステップS1231)、前余白設定処理を行う(ステップS1232)。第1の印刷データにおける印刷イメージが、図8の(a5)に例示したような「AAAAA会議資料」という文字列に対応している場合、印刷装置1は、印刷イメージに基づいて印刷を行う印刷領域353と、該印刷領域353の下流側の余白領域352及び上流側の余白領域354とをラベル領域としてラベル長LL1を算出する。また、第1の印刷データにおける印刷枚数が1枚である場合、印刷装置1は、ラベル長LL1をテープ長とする。更に、ラベル長LL1は、最短ラベル長であるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L3よりも長いため、前余白設定処理において、印刷装置1は、前余白351の長さを初期値(例えば、図8の(a2)に例示した長さL5)に設定する。
その後、印刷装置1は、ラベル領域の終端305に対するカット設定を行う。第1の印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっている場合、印刷装置1は、ラベル領域の終端305のカット設定を、フルカットをしない設定にする(ステップS1246)。ステップS1246の後、ステップS1247及びS1248の処理を行い、被印刷媒体3に対する印刷及びカットを実行する(ステップS1250)。
ステップS1250の処理を開始すると、印刷装置1は、図8の(a2)に例示したように、被印刷媒体3を距離L2+L5だけ正転搬送し、被印刷媒体3における始端301から距離L5だけ上流側の位置302をハーフカッター702によりカットする。ハーフカッター702によりカットされた被印刷媒体3上の位置302は、ラベル領域の始端となる。その後、印刷装置1は、図8の(a3)に例示したように、被印刷媒体3におけるラベル領域の始端302が頭出し基準位置に到達するように、被印刷媒体3を逆転搬送する。印刷装置1は、搬送経路における印刷位置にある被印刷媒体3上の位置303を印刷開始位置として、被印刷媒体3の正転搬送及び被印刷媒体3への印刷を開始する。印刷開始位置303は、被印刷媒体3のラベル領域における印刷領域353と、該印刷領域353の下流側の余白領域352との境界であり、印刷領域353の始端でもある。
印刷装置1は、正転搬送する被印刷媒体3の搬送速度及び搬送量と、第1の印刷データにおける印刷イメージとに基づいて、搬送経路における印刷位置に配置されたサーマルヘッド6を制御し、被印刷媒体3への印刷(印字)を行う。このため、図8の(a4)に例示したように、被印刷媒体3の印刷領域353のうちの、搬送経路における印刷位置を通過した部分には、印刷イメージと対応する文字列が印刷(印字)される。
被印刷媒体3の印刷領域353の終端304が搬送経路における印刷位置を通過して印刷位置よりも排出位置側に移動すると、印刷装置1は、被印刷媒体3への印刷を終了する。その後、印刷装置1は、図8の(a5)に例示したように、被印刷媒体3におけるラベル領域の終端305が搬送経路における印刷位置に到達するまで、被印刷媒体3を更に正転搬送する。
第1の印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっている場合、印刷装置1は、ラベル領域の終端305が印刷位置に到達した時点で、被印刷媒体3の搬送を停止し、第1の印刷データに基づくラベル作成処理を終了する。このとき、印刷装置1は、第1の印刷データに基づくラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態として、ラベル長LL1のラベルが次のラベル作成処理に用いられる被印刷媒体3と連続した状態で印刷装置1内に残存していることを示す情報を保持している。この被印刷媒体3の状態は、続けて行う第2の印刷データに基づくラベル作成処理において、前回のラベル作成処理の終了時の被印刷媒体3の状態として読み出される。
図9は、一実施形態に係る印刷装置で行われるラベル作成処理の第2の具体例を説明する図である。図9の(b1)~(b5)には、図8に例示した第1のラベル作成処理を前回のラベル作成処理とし、該前回のラベル作成処理に対する第1の印刷データにおける続けて印刷をするか否かの設定が、続けて印刷をする設定になっていた場合に行われる、第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理中の印刷装置1の動作の一例を時系列で示している。図9の(b1)~(b4)に例示した被印刷媒体3の「ファイル」という点線の袋文字の文字列は、第2の印刷データにおける印刷イメージに基づいて被印刷媒体3に印刷される文字列であって、まだ被印刷媒体3に印刷されていない文字列を表している。
図9の(b1)には、第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理を開始する時点での、搬送経路における被印刷媒体3の状態を示している。このとき、被印刷媒体3は、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理において印刷イメージに基づく印刷が行われた第1のラベル領域361の終端305が搬送経路における印刷位置にある状態で停止している。すなわち、第1のラベル作成処理において印刷が行われた第1のラベル領域361は、被印刷媒体3における、第2のラベル作成処理で印刷が行われる部分と連続した状態で印刷装置1内に残存している。このため、印刷装置1は、第2のラベル作成処理で行われる前余白設定処理において、前余白を無しに設定する(ステップS1232b)。したがって、印刷装置1は、第1のラベル領域361の終端305を、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界(言い換えると第2のラベル領域362の始端305)として、第2のラベル作成処理における被印刷媒体3への印刷を行う。
図9の(b1)に例示した第2のラベル領域362は、始端305から、始端305よりも距離LL2だけ上流側の位置(終端306)までの領域であり、第2の印刷データにおける印刷イメージに基づいて「ファイル」という文字列が印刷(印字)される印刷領域と、該印刷領域の上流側の余白領域及び下流側の余白領域とを含む。すなわち、第2のラベル作成処理では、ラベル長として第2のラベル領域362の始端305から終端306までの距離LL2を算出し、該ラベル長LL2をテープ長とする。
図9に例示した第2のラベル領域362のラベル長LL2は、最短ラベル長(搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L3)よりも長い。このため、第2のラベル作成処理に対する第2の印刷データにおけるカット方法がフルカットを行う設定になっている場合、印刷装置1は、搬送動作/カット動作設定処理(ステップS1230)において、第1のラベル領域361の終端であり、かつ第2のラベル領域362の始端である、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305に対するカットの設定を、フルカットを行う設定にする。また、第2の印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっている場合、印刷装置1は、搬送動作/カット動作設定処理において、第2のラベル領域362の終端306に対するカットの設定を、フルカットを行わない設定にする(ステップS1246)。
第2のラベル作成処理における搬送動作/カット動作設定処理が終了すると、印刷装置1は、被印刷媒体3への印刷及びカットを行う。印刷装置1は、まず、図9の(b2)に例示したように、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305が搬送経路におけるフルカット位置に到達するように、被印刷媒体3を正転搬送する。その後、印刷装置1は、図9の(b3)に例示したように、フルカッター701(図示せず)により被印刷媒体3をカットする。カット後、前回のラベル作成処理において印刷が行われた第1のラベル領域361を含むラベル11は、排出ローラ8(図示せず)により装置筐体の排出口103から印刷装置1の外部に向けて排出される。
境界305をカットした後、印刷装置1は、境界305を始端とする被印刷媒体3の第2のラベル領域362内に印刷を行うため、図9の(b4)に例示したように、被印刷媒体3における第2のラベル領域362の始端305が頭出し基準位置に到達するように、被印刷媒体3を逆転搬送する。その後、印刷装置1は、被印刷媒体3を正転搬送し、サーマルヘッド6による被印刷媒体3への印刷(印字)を行う。被印刷媒体3への印刷が完了すると、印刷装置1は、図9の(b5)に例示したように、第2のラベル領域362の終端306が印刷位置に到達した時点で被印刷媒体3の搬送動作を停止し、第2のラベル作成処理を終了する。
このように、本実施形態の印刷装置1では、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理と第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理とを続けて行う場合、第1のラベル作成処理において最後に印刷が行われた印刷領域を含む第1のラベル領域361の終端をカットせずに第1のラベル作成処理を終了する。また、本実施形態の印刷装置1では、続けて行う第2のラベル作成処理において最初に印刷を行う印刷領域を含む第2のラベル領域362の下流側に前余白を設けずに、第1のラベル領域361の終端が第2のラベル領域362の始端となるようにすることができる。このため、異なる印刷データに基づくラベル作成処理を行うたびに都度前余白を設ける場合と比べて、被印刷媒体3のうちのラベルとして用いられない部分の量を低減させることができる。
図10は、一実施形態に係る印刷装置で行われるラベル作成処理の第3の具体例を説明する図である。図10の(c1)~(c5)には、図8に例示した第1のラベル作成処理を前回のラベル作成処理とし、該前回のラベル作成処理に対する第1の印刷データにおける続けて印刷をするか否かの設定が、続けて印刷をする設定になっていた場合に行われる、第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理中の印刷装置1の動作の別の例を時系列で示している。なお、図10を参照した説明に関する第2の印刷データ及び第2のラベル作成処理は、図9を参照した説明に関する第2の印刷データ及び第2のラベル作成処理とは異なる。例えば、図9を参照した説明に関する第2の印刷データが「ファイル」という文字列を印刷してラベルを作成するための印刷データであるのに対し、図10を参照した説明に関する第2の印刷データは「A01」という文字列を印刷してラベルを作成するための印刷データである。図10の(c1)及び(c2)に例示した被印刷媒体3の「A01」という点線の袋文字の文字列は、第2の印刷データにおける印刷イメージに基づいて被印刷媒体3に印刷される文字列であって、まだ被印刷媒体3に印刷されていない文字列を表している。
図10の(c1)には、第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理を開始する時点での、搬送経路における被印刷媒体3の状態を示している。このとき、被印刷媒体3は、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理において印刷イメージに基づく印刷が行われた第1のラベル領域361の終端305が搬送経路における印刷位置にある状態で停止している。すなわち、第1のラベル作成処理において印刷が行われた第1のラベル領域361は、被印刷媒体3における、第2のラベル作成処理で印刷が行われる部分と連続した状態で印刷装置1内に残存している。このため、印刷装置1は、図10を参照して説明される第2のラベル作成処理で行われる前余白設定処理において、前余白を無しに設定する。したがって、印刷装置1は、第1のラベル領域361の終端305を、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界(言い換えると第2のラベル領域362の始端305)として、第2のラベル作成処理における被印刷媒体3への印刷を行う。
図10の(c1)に例示した第2のラベル領域362は、始端305から、始端305よりも距離LL2だけ下流側の位置(終端306)までの領域であり、第2の印刷データにおける印刷イメージに基づいて「A01」という文字列が印刷(印字)される印刷領域と、該印刷領域の上流側の余白領域及び下流側の余白領域とを含む。すなわち、図10を参照して説明される第2のラベル作成処理では、ラベル長として第2のラベル領域362の始端305から終端306までの距離LL2を算出し、該ラベル長LL2をテープ長とする。
図10に例示した第2のラベル領域362のラベル長LL2は、最短ラベル長(搬送経路におけるフルカット位置から排出ローラ位置までの距離L3)よりも短い。このため、図10を参照して説明される第2のラベル作成処理に対する第2の印刷データにおけるカット方法がフルカットを行う設定になっている場合、印刷装置1は、搬送動作/カット動作設定処理(ステップS1230)において、第1のラベル領域361の終端であり、かつ第2のラベル領域362の始端である、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305に対するカットの設定を、フルカットを行わない設定にする(ステップS1238)。また、第2の印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっている場合、印刷装置1は、搬送動作/カット動作設定処理において、第2のラベル領域362の終端306に対するカットの設定を、フルカットを行わない設定にする。
第2のラベル作成処理における搬送動作/カット動作設定処理が終了すると、印刷装置1は、被印刷媒体3への印刷及びカットを行う。図10を参照して説明される第2のラベル作成処理では、上述のように、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305に対するカット設定が、フルカットをしないように設定されている。このため、印刷装置1は、被印刷媒体3の境界305をフルカットする動作を省略し、境界305を始端とする被印刷媒体3の第2のラベル領域362内への印刷を行う。印刷装置1は、まず、図10の(c2)に例示したように、被印刷媒体3における第2のラベル領域362の始端305が頭出し基準位置に到達するように、被印刷媒体3を正転搬送する。その後、印刷装置1は、被印刷媒体3の正転搬送を続け、サーマルヘッド6による被印刷媒体3への印刷(印字)を行う。
図10を参照して説明される第2のラベル作成処理に対する第2の印刷データにおいて、続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっている場合、第2のラベル領域362の終端362に対するカット設定は、上述のようにフルカットをしない設定になっている。この場合、印刷装置1は、被印刷媒体3への印刷が完了すると、図10の(c3)に例示したように、第2のラベル領域362の終端306が印刷位置に到達した時点で被印刷媒体3の搬送動作を停止し、第2のラベル作成処理を終了する。
また、図10を参照して説明される第2のラベル作成処理では、印刷装置1は、第1のラベル領域361のラベル長と第2のラベル領域362のラベル長との和が最短ラベル長L3未満であるか否かに基づいて、第2のラベル領域362の終端362をフルカットするか否かを判定する(ステップS1239~S1241)。図10に例示した第1のラベル領域361のラベル長と第2のラベル領域362のラベル長との和は、最短ラベル長L3よりも長い。このため、図10を参照して説明される第2のラベル作成処理に対する第2の印刷データにおいて、続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっておらず、かつカット方法の設定が、フルカットを行う設定になっている場合、印刷装置1は、第2のラベル領域362の終端306に対するカット設定を、フルカットを行う設定にする。この場合、被印刷媒体3への印刷が完了すると、印刷装置1は、図10の(c4)に例示したように、第2のラベル領域362との終端306が搬送経路におけるフルカット位置に到達するように、被印刷媒体3を正転搬送する。その後、印刷装置1は、図10の(b5)に例示したように、フルカッター701(図示せず)により被印刷媒体3をカットする。カット後、第1のラベル領域361及び第2のラベル領域362を含むラベル12は、排出ローラ8(図示せず)により装置筐体の排出口103から印刷装置1の外部に向けて排出される。
このように、本実施形態の印刷装置1では、第1の印刷データに基づく第1のラベル作成処理と第2の印刷データに基づく第2のラベル作成処理とを続けて行う場合、第1のラベル作成処理において最後に印刷が行われた印刷領域を含む第1のラベル領域361の終端をカットせずに第1のラベル作成処理を終了する。また、本実施形態の印刷装置1では、第2のラベル作成処理において印刷が行われる印刷領域を含む第2のラベル領域361のラベル長LL2が最短ラベル長L3未満である場合、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界をフルカットせずに、第2のラベル領域362への印刷を行う。このため、第2の印刷データにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっておらず、第2のラベル領域362の終端をフルカットする場合に、最短ラベル長L3未満のラベル長のラベル(被印刷媒体3の切断片)が生成され、該ラベルを印刷装置1から排出することができない事態を防ぐことができる。したがって、最短ラベル長L3未満のラベル長のラベルが印刷装置1の搬送経路に残留してしまうことを防げる。
例えば、図10に例示したような、ラベル長LLが最短ラベルL3よりも短い第2のラベル領域362への印刷を行う第2のラベル作成処理において、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305をフルカットした場合、第2のラベル領域362の始端305が排出ローラ位置に到達していない状態で、第2のラベル領域362の終端306をフルカットする。この場合、第2のラベル領域362は、排出ローラ8の第1のローラ801及び第2のローラ802で挟持されていないため、フルカット後に第2のラベル領域362を排出ローラ8により排出口103から排出させることができないことがある。これに対し、本実施形態の印刷装置1では、第2のラベル領域362のラベル長LL2が最短ラベル長L3未満である場合には、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界をフルカットせず、2つの領域が連続しており、かつ最短ラベル長L3よりも長くなるようにする。このため、本実施形態の印刷装置1では、上述のように、最短ラベル長L3未満のラベル長のラベル(被印刷媒体3)が印刷装置1の搬送経路に残留してしまうことを防げる。
また、本実施形態の印刷装置1では、被印刷媒体3における印刷データに基づいて印刷が行われる印刷領域の下流側及び上流側に余白領域を設け、1枚のラベルとしてのラベル領域を印刷領域及び余白領域を含む領域としている。このため、上述のように、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界をフルカットしていないラベル12が排出された場合に、各ラベル領域の印刷領域間に余白があり、利用者がハサミ等を利用して該境界で被印刷媒体3をカットする作業が行いやすい。
なお、図8~図10を参照したラベル作成処理では、1つの印刷データに基づく1回のラベル作成処理における印刷枚数が1枚である場合を例示しているが、1回のラベル作成処理における印刷枚数は2枚以上であってもよい。
また、本実施形態の印刷装置1では、上述したように、前余白設定処理においてラベル領域の下流側に設ける前余白の長さを調整することができる。図7を参照して上述した前余白設定処理では、前回及び今回のラベル作成処理に対する印刷データのそれぞれにおける続けて印刷を行うか否かの設定が、続けて印刷を行う設定になっていない場合には、今回のラベル作成処理で作成されるラベルのラベル長及びテープ長に基づいて、前余白の長さを調整することができる。
図11は、一実施形態に係る印刷装置で行われる前余白設定処理の第1の具体例を説明する図である。図12は、一実施形態に係る印刷装置で行われる前余白設定処理の第2の具体例を説明する図である。
図11の(d1)には、ラベル領域361の一例と、前余白351の長さLFが初期値(例えば、図8の(a2)に例示した長さL5)である場合のフルカット時の被印刷媒体3の状態とを示している。ラベル領域361は、被印刷媒体3における前余白の終端302から、該終端302よりも距離LLだけ上流側の位置305までの区間であり、印刷データに基づいて「A」という文字が印刷(印字)される印刷領域と、該印刷領域の下流側の余白領域及び上流側の余白領域とを含む。このような場合、ラベル領域361のラベル長LLと前余白の長さLFとの和は、最短ラベル長L3よりも短くなる。このため、ラベル領域361の終端305をフルカッター701(図示せず)によりカットした場合、前余白351及びラベル領域361を含む、最短ラベル長L3よりもラベル長が短いラベル(被印刷媒体3)が搬送経路におけるフルカット位置と排出ローラ位置との間に残留してしまうことがある。
これに対し、本実施形態の印刷装置1では、上述したような前余白設定処理を行い、フルカッター701によりカットされたラベル(被印刷媒体3の切断片)のラベル長が最短ラベル長L3以上になるように前余白の長さを調整する。例えば、本実施形態の印刷装置1では、図11の(d2)に示したように、ラベル領域361のラベル長LLと前余白351の長さとの和が最短ラベル長L3よりもΔLFだけ長くなるような前余白351の長さLFAを設定する。このようにすることで、被印刷媒体3の前余白351が排出ローラ8の第1のローラ801及び第2のローラ802で挟持された状態で、被印刷媒体3のラベル領域361の後端305の位置をフルカットすることができるようになり、フルカット後の前余白351及びラベル領域361を含むラベルを排出口103から排出させることができる。
また、例えば、印刷データにおける印刷枚数が2枚である場合、印刷装置1は、図12の(d3)に例示したように、1回のラベル作成処理で第1のラベル領域361への印刷と、第2のラベル領域362への印刷とを連続して行うことができる。この場合、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305のカット設定を、フルカットをしない設定にし(ステップS1232f)、テープ長(第1のラベル領域361のラベル長LLと第2のラベル領域362のラベル長LLとの和LL×2)と前余白351の長さとの和が最短ラベル長L3よりもΔLFだけ長くなるような前余白351の長さLFBを設定する(ステップS1232h)。このようにすることで、被印刷媒体3の前余白351が排出ローラ8の第1のローラ801及び第2のローラ802で挟持された状態で、被印刷媒体3の第2のラベル領域362の後端306の位置をフルカットすることができるようになり、フルカット後の前余白351、第1のラベル領域361、及び第2のラベル領域362を含むラベルを排出口103から排出させることができる。
また、印刷データにおける印刷枚数が2枚である場合、図12の(d4)に例示したように、第1の印刷イメージ(「A」という文字)に基づく印刷と、第2の印刷イメージ(「B」という文字)に基づく印刷とを1回ずつ行うこともできる。このような場合も、上述したような前余白設定処理を行うことで、フルカット後の前余白351、第1のラベル領域361、及び第2のラベル領域362を含むラベルを排出口103から排出させることができる。
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、第1の印刷データと第2の印刷データとを取得し、第1の印刷データに基づく第1の印刷と第2の印刷データに基づく第2の印刷とを行う場合に、第1の印刷データに基づいて生成されるラベル(被印刷媒体3の切断片)の長さ、及び第2の印刷データに基づいて生成されるラベル(被印刷媒体3の切断片)の長さのうちの少なくとも一方が最短ラベル長未満である場合には、第1の印刷により印刷された第1の印刷領域と、第2の印刷により印刷される第2の印刷領域との間をカット部163(フルカッター701)によりカットしないように設定して第2の印刷を行う。このため、最短ラベル長未満のラベル長のラベルが生成され、該ラベルが印刷装置1から排出されない事態を防ぎ、生成されたラベルが印刷装置1内に残存することを防げる。
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
上述した実施形態では、1回のラベル作成処理が終了する毎に次の印刷データを情報処理装置2から印刷装置1に送信する例を示したが、これに限らず、例えば、上述した第1の印刷データ及び第2の印刷データの組等の複数の印刷データの組を1つの印刷データとして情報処理装置2から印刷装置1に送信し、各印刷データに基づく複数回のラベル作成処理を連続して(まとめて)印刷装置1に行わせるようにしてもよい。言い換えると、情報処理装置2から印刷装置1に送信する1つの印刷データは、複数の印刷イメージを含み、該複数の印刷イメージのそれぞれに基づいて生成されるラベル(被印刷媒体3の切断片)の長さが異なるような印刷データであってもよい。このような1つの印刷データに基づいて印刷イメージ毎に被印刷媒体3に印刷を行ってラベルを作成する場合にも、図6Aに例示したステップS1236~S1241を行うことで、作成されるラベルの長さが最短ラベル長に満たない印刷イメージが含まれることによる、ラベルが印刷装置1から排出されない事態を防ぐことができる。また、例えば、図12の(d4)を参照して説明したような複数の印刷イメージと、印刷イメージ毎の印刷枚数及びカットの設定とを含む1つの印刷データを情報処理装置2から印刷装置1に送信し、複数の印刷イメージのそれぞれに対するラベル作成処理を連続して印刷装置1に行わせるようにしてもよい。
また、上述したようなハーフカッター702を備えた印刷装置1の場合、例えば、印刷データに基づくカット設定ではフルカットを行う設定になっているものの、搬送動作/カット動作設定処理においてフルカットをしない設定にされる被印刷媒体3上の位置(例えば、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362との境界305)に対するカット設定は、ハーフカッター702によるハーフカットを行う設定にしてもよい。このようにすることで、第1のラベル領域361と第2のラベル領域362とを含むラベル12が排出された後、利用者がハサミ等を用いて第1のラベル領域361と第2のラベル領域362とを切り分ける作業を行わなくてもよくなる。
また、印刷装置1は、上述したような情報処理装置2からの印刷データに基づいてラベル作成処理を行うものに限らず、自装置に配設されたキーボード等の入力装置を利用して作成された印刷データに基づいてラベル作成処理を行うことが可能なものであってもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
被印刷媒体に印刷する印刷イメージを含む印刷データを取得する印刷データ取得部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断する切断部と、
前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部の動作を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記印刷データ取得部により第1の印刷データと第2の印刷データとを取得し、取得した前記第1の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第1の印刷を行わせ、取得した前記第2の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる場合に、
前記第1の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第1の切断片の長さ、及び前記第2の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第2の切断片の長さのうちの少なくとも一方が所定の最短長未満であるか否かを判定し、
前記第1の切断片の長さ及び前記第2の切断片の長さの内の少なくとも一方が前記最短長未満である場合には、前記被印刷媒体における前記第1の印刷により印刷された第1の印刷領域と、前記第2の印刷により印刷される第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定し、
前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への前記第2の印刷を行わせる、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記2]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記被印刷媒体の前記第2の切断片の長さが前記最短長未満である場合に、前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記3]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記被印刷媒体の前記第1の切断片の長さが前記最短長未満である場合に、前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記4]
付記1に記載の印刷装置において、
前記第1の印刷データは、前記第1の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を行った後に、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を続けて行うか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、
前記第1の印刷データにおける前記被印刷媒体への印刷を続けて行うか否かを示す前記情報が、続けて行うことを示す情報である場合に、前記第2の印刷データに基づいて前記第2の切断片の長さが前記最短長未満であるか否かを判定し、
前記第2の切断片の長さが前記最短長未満である場合に、前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記5]
付記1~4のいずれか1つに記載の印刷装置において、
前記第2の印刷データは、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を行った後に、前記被印刷媒体を切断するか否かを示す情報と、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を行った後に、第3の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を続けて行うか否かを示す情報を含み、
前記制御部は、
前記第2の印刷データにおける前記被印刷媒体を切断するか否かを示す情報が、切断することを示す情報であり、かつ前記被印刷媒体への印刷を続けて行うか否かを示す前記情報が、続けて行うことを示す情報である場合には、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を行った後、前記被印刷媒体を切断しないように、前記搬送部及び前記切断部の動作を制御し、
前記第2の印刷データにおける前記被印刷媒体を切断するか否かを示す情報が、切断することを示す情報であり、かつ前記被印刷媒体への印刷を続けて行うか否かを示す前記情報が、続けて行わないことを示す情報である場合には、前記第2の印刷データに基づく前記被印刷媒体への印刷を行った後、前記被印刷媒体を切断するように、前記搬送部及び前記切断部の動作を制御する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記6]
付記1~5のいずれか1つに記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の切断片の長さが前記最短長未満であるか否かを判定し、
前記切断片の長さが前記最短長未満である場合に、前記被印刷媒体における前記印刷部による印刷が行われる印刷領域の下流側に、前記切断片の長さを前記最短長以上にする長さの前余白を設ける、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記7]
付記1~6のいずれか1つに記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記被印刷媒体における、前記印刷部による印刷が行われる印刷領域の長さと、該印刷領域の下流側及び上流側に設ける余白領域の長さとに基づいて、前記切断片の長さを算出する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記8]
付記1~7のいずれか1つに記載の印刷装置において、
前記切断部は、前記被印刷媒体の全体を切断するフルカッターと、前記被印刷媒体の一部を切断するハーフカッターとを含み、
前記制御部は、
前記第2の印刷データに、前記第2の印刷領域と前記第1の印刷領域との間にある位置で前記被印刷媒体を前記ハーフカッターにより切断することを示す情報が含まれ、かつ前記第2の切断片の長さが前記最短長未満である場合には、前記被印刷媒体における前記第1の印刷領域と、前記第2の印刷領域との間を前記ハーフカッターにより切断するように設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記9]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記第1の切断片の長さ及び前記第2の切断片の長さの両方が前記最短長以上である場合には、前記第1の印刷データ及び前記第2の印刷データに基づいて設定される前記切断部により前記第1の印刷領域と前記第2の印刷領域との間を切断するか否かの設定を変更せずに、前記第1の印刷データに従った前記第1の印刷と前記第2の印刷データに従った前記第2の印刷とを前記印刷部に行わせる、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記10]
付記1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、
前記印刷データ取得部により第1の印刷イメージを含む前記第1の印刷データと第2の印刷イメージを含む前記第2の印刷データとを1つの印刷データとして取得し、取得した前記第1の印刷イメージに基づいて、前記印刷部に前記被印刷媒体への第1の印刷を行わせ、取得した前記第2の印刷イメージに基づいて、前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる場合に、
前記第1の印刷イメージに基づいて生成される前記被印刷媒体の第1の切断片の長さ、及び前記第2の印刷イメージに基づいて生成される前記被印刷媒体の第2の切断片の長さのうちの少なくとも一方が所定の最短長未満であるか否かを判定し、
前記第1の切断片の長さ及び前記第2の切断片の長さの内の少なくとも一方が前記最短長未満である場合には、前記被印刷媒体における前記第1の印刷により印刷された第1の印刷領域と、前記第2の印刷により印刷される第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定し、
前記印刷部に前記被印刷媒体への前記第2の印刷を行わせる、
ことを特徴とする印刷装置。
[付記11]
被印刷媒体に印刷する印刷イメージを含む印刷データを取得する印刷データ取得部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断する切断部と、
前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部の動作を制御する制御部と、
を含む印刷装置の制御方法であって、
前記制御部が、前記印刷データ取得部により第1の印刷データと第2の印刷データとを取得し、取得した前記第1の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第1の印刷を行わせ、取得した前記第2の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる場合に、
前記第1の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第1の切断片の長さ、及び前記第2の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第2の切断片の長さのうちの少なくとも一方が、所定の最短長未満であるか否かを判定し、
前記第1の切断片の長さ及び前記第2の切断片の長さのうちの少なくとも一方が前記最短長未満である場合には、前記被印刷媒体における前記第1の印刷により印刷された第1の印刷領域と、前記第2の印刷により印刷される第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定し、
前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる、
ことを特徴とする制御方法。
[付記12]
被印刷媒体に印刷する印刷イメージを含む印刷データを取得する印刷データ取得部と、
前記被印刷媒体に印刷を行う印刷部と、
前記被印刷媒体を搬送する搬送部と、
前記被印刷媒体を切断する切断部と、
前記印刷部、前記搬送部、及び前記切断部の動作を制御する制御部と、
を含む印刷装置における前記制御部に実行させるプログラムであって、
前記印刷データ取得部により第1の印刷データ及び第2の印刷データを取得し、取得した前記第1の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第1の印刷を行わせ、取得した前記第2の印刷データに基づいて、前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる場合に、
前記第1の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第1の切断片の長さ、及び前記第2の印刷データに基づいて生成される前記被印刷媒体の第2の切断片の長さの内の少なくとも一方が、所定の最短長未満であるか否かを判定し、
前記第1の切断片の長さ及び前記第2の切断片の長さのうちの少なくとも一方が前記最短長未満である場合には、前記被印刷媒体における前記第1の印刷により印刷された第1の印刷領域と、前記第2の印刷により印刷される第2の印刷領域との間を前記切断部により切断しないように設定し、
前記搬送部に前記被印刷媒体を搬送させるとともに前記印刷部に前記被印刷媒体への第2の印刷を行わせる、
処理を含むことを特徴とするプログラム。