JP7472511B2 - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法に関する。
マイクロカプセルは、壁材が、目的とする成分を芯物質として内包することにより構成されている。
マイクロカプセルの製造方法には、コアセルベーション法を適用したものがある。さらに、コアセルベーション法には、1種のみの高分子で壁材を構成する単純コアセルベーション法と、2種以上の高分子で壁材を構成する複合コアセルベーション法がある。複合コアセルベーション法では、アニオン性高分子とカチオン性高分子で壁材を構成する。複合コアセルベーション法は、壁材が強固なマイクロカプセルを製造するのに適している。
複合コアセルベーション法を適用してマイクロカプセルを製造する場合には、通常、芯物質を内包した壁材に架橋剤を作用させて、壁材の構成成分同士を架橋することによって、マイクロカプセルの強度を向上させる。しかし、ここまでの工程で、マイクロカプセルや、その形成過程にある壁材成分の、凝集又は合一によって、最終的に得られるマイクロカプセルの粒子径が大きくなり易い。このような粒子径が大きいマイクロカプセルは、例えば、目視で容易に視認可能であることによって、用途が限定されてしまうことがある。
一方、前記架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等がよく知られており、これらを用いることによって、例えば、平均粒子径が20μm以下等の小さいマイクロカプセルを製造することが開示されている(特許文献1参照)。
特表2015-518031号公報
しかし、これら架橋剤(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)の毒性が強いため、これら架橋剤を用いて得られたマイクロカプセルは、生体に対する安全性が低く、食用はいうまでもなく、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等の用途にも使用できないという問題点があった。
本発明は、平均粒子径が小さく、かつ生体に対する安全性が高いマイクロカプセルを提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、ゼラチンと、アニオン性高分子と、多価金属塩と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を含んで構成され、芯物質を内包する、マイクロカプセルである。
本発明の第2の態様は、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程と、前記混合液(A)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(1B)を作製する工程と、前記混合液(1B)と、水と、を混合することにより、混合液(1C)を作製する工程と、前記混合液(1C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(1D)を作製する工程と、前記混合液(1D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、冷却後の前記混合液(1D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(1E)を作製する工程と、前記混合液(1E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法である。
本発明の第3の態様は、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程と、前記混合液(A)と、水と、を混合することにより、混合液(2B)を作製する工程と、前記混合液(2B)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(2C)を作製する工程と、前記混合液(2C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(2D)を作製する工程と、前記混合液(2D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、冷却後の前記混合液(2D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(2E)を作製する工程と、前記混合液(2E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法である。
本発明によれば、平均粒子径が小さく、かつ生体に対する安全性が高いマイクロカプセルが提供される。
<<マイクロカプセル>>
本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルは、ゼラチンと、アニオン性高分子と、多価金属塩と、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Blance)値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を含んで構成され、芯物質を内包する。
本実施形態のマイクロカプセルは、その製造時に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の毒性が強い成分を用いていないため、生体に対する安全性が高い。また、本実施形態のマイクロカプセルの平均粒子径は、小さい。このように、本実施形態のマイクロカプセルの平均粒子径が小さく、かつ生体に対する安全性が高い理由は、その製造時に、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤を用いているためである。HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤を用いることにより、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の成分を用いることなく、多価金属塩を用いて、平均粒子径の小さいマイクロカプセルが得られる。
本明細書においては、「HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤」を単に「非イオン性界面活性剤」と称することがある。
本実施形態のマイクロカプセルは、生体に対する安全性が高いため、例えば、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等の用途に使用するのに、特に好適である。
本実施形態のマイクロカプセルは、壁材によって芯物質が内包されて構成されている。
前記マイクロカプセルは、後述するように、複合コアセルベーション法を適用することで、製造できる。
前記ゼラチン及びアニオン性高分子は、前記マイクロカプセルの壁材の構成成分(本明細書においては、「壁材成分」と略記することがある)であり、複合コアセルベーション法によって、壁材を構成する。
◎壁材、壁材成分
前記壁材は、上記のとおり、前記ゼラチン及びアニオン性高分子によって、構成されており、前記多価金属塩は、壁材の強固な構造の維持に寄与している。
<ゼラチン>
前記ゼラチンは、前記アニオン性高分子とともに、マイクロカプセルの壁材成分となっている。
壁材を構成しているゼラチンは、その分子中にカチオン部を有するカチオン性高分子である。
ゼラチンとしては、通常のもの、例えば、動物の骨、皮膚等に由来するものを使用できる。
ゼラチンの分子量は、例えば、20000~9000000であってもよい。
ゼラチンは、カチオン性及びアニオン性のいずれにもなり得る両性の高分子であるため、後述するように、酸の作用によってカチオン化させて用いる。
前記マイクロカプセルを構成するゼラチンの由来は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
<アニオン性高分子>
前記アニオン性高分子は、その分子中にアニオン部を有する高分子であり、ゼラチンとともに、マイクロカプセルの壁材成分となっている。
アニオン性高分子は、アニオン性基を有する高分子であれば、特に限定されない。
アニオン性高分子としては、例えば、酸基が解離(アニオン化)した基を有する高分子が挙げられ、カルボキシ基(-C(=O)-OH)が解離(アニオン化)した基、すなわちカルボキシラートアニオン(-C(=O)-O)を有する高分子が好ましい。
1分子のアニオン性高分子においては、一部又は全てのアニオン性基が、カチオンとともに塩を形成していてもよい。
アニオン性高分子において、アニオン性基(アニオン化した基)と塩を形成しているカチオンは、金属イオンであることが好ましく、前記金属イオンは、1価金属イオンと、価数が2以上の金属イオン(多価金属イオン)と、のいずれであってもよいが、1価金属イオンであることが好ましい。
前記1価金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)等のアルカリ金属イオン等が挙げられる。
前記多価金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)等のアルカリ土類金属イオン等が挙げられる。
アニオン性高分子としては、例えば、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ペクチン等が挙げられる。
アニオン性高分子の分子量は、特に限定されず、例えば、20000~50000000であってもよい。
アニオン性高分子の分子量は、アニオン性高分子の種類によって異なっていてもよい。
例えば、アラビアガムの分子量は200000~2000000であってもよく、アルギン酸ナトリウムの分子量は40000~4000000であってもよく、カルボキシメチルセルロースナトリウムの分子量は20000~400000であってもよく、キサンタンガムの分子量は2000000~50000000であってもよく、ペクチンの分子量は50000~360000であってもよい。
前記マイクロカプセルを構成するアニオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記アニオン性高分子の含有量は、ゼラチンの含有量100質量部に対して、10~1000質量部であることが好ましく、例えば、10~700質量部、10~400質量部、10~150質量部、及び10~70質量部のいずれかであってもよいし、300~1000質量部、600~1000質量部、及び800~1000質量部のいずれかであってもよいし、300~700質量部であってもよい。アニオン性高分子の前記含有量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しないアニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
<HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤>
前記マイクロカプセルは、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤を含むことで、マイクロカプセル自体の凝集及び合一が抑制され、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分についても、凝集及び合一が抑制される。さらに、マイクロカプセルの平均粒子径が小さくなる。
前記非イオン性界面活性剤の一部又は全ては、前記マイクロカプセル中の壁材、特に、壁材の外側(換言すると、壁材の芯物質を内包している側とは反対側)の面、に付着していると推測される。
非イオン性界面活性剤のHLB値は、12以上であればよく、例えば、12.5以上、14以上、15.5以上、及び17以上のいずれかであってもよい。
非イオン性界面活性剤のHLB値の上限値は、特に限定されない。非イオン性界面活性剤のHLB値は、例えば、19以下、18以下、16.5以下、15以下、及び13.5以下のいずれかであってもよい。
非イオン性界面活性剤のHLB値は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内であってよい。例えば、一実施形態において、非イオン性界面活性剤のHLB値は、12~19、12.5~19、14~19、15.5~19、及び17~19のいずれかであってもよいし、12~18、12~16.5、12~15、及び12~13.5のいずれかであってもよいし、12.5~18、及び14~16.5のいずれかであってもよい。
本明細書において、「HLB値」とは、特に断りのない限り、グリフィン(Griffin)法で算出された値である。
非イオン性界面活性剤は、そのHLB値が12以上のものであれば特に限定されない。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、例えば、下記一般式(G3):
HO-(CHCHO)m2-(CHCH(CH)O)n2-(CHCHO)l2-H (G3)
(一般式(G3)中、m2、n2及びl2は、それぞれ独立に2以上の整数である。)で表されるものが挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル等が挙げられる。
前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成する前記非イオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、ゼラチン及びアニオン性高分子の合計含有量100質量部に対して、例えば、3~25質量部、5~20質量部、及び7~16質量部のいずれかであってもよい。非イオン性界面活性剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセル、及びマイクロカプセルの形成過程にある壁材成分、の凝集並びに合一がより抑制されるとともに、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなる。非イオン性界面活性剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、非イオン性界面活性剤の過剰使用が抑制される。
<多価金属塩>
前記マイクロカプセルは、前記多価金属塩を含むことで、その壁材が強固となっている。
前記多価金属塩の一部又は全ては、マイクロカプセル中で、壁材成分同士を結び付けることに寄与していると推測される。より具体的には、多価金属塩中の多価金属イオンが、1分子の壁材成分中の異なる部位同士の間に介在して、これら部位同士を電気的引力により連結させているか、又は、2分子の壁材成分同士の間に介在して、これら2分子同士を電気的引力により連結させていると推測される。すなわち、多価金属塩は、公知の架橋剤と同様の作用を発現していると推測され、本明細書においては、このような多価金属塩を架橋剤と称することがある。
前記多価金属塩は、価数が2以上の金属イオン(多価金属イオン)を構成成分とするものであれば、特に限定されない。
例えば、多価金属塩は、多価金属無機塩及び多価金属有機塩のいずれであってもよい。
多価金属塩は水和物及び非水和物のいずれであってもよい。
前記多価金属無機塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(Al(SO)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン、AlK(SO)、硫酸アルミニウムアンモニウム(アンモニウムミョウバン、AlNH(SO)等の硫酸塩;塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、塩化バリウム(BaCl)、塩化亜鉛(ZnCl)等の塩酸塩;硝酸カルシウム(Ca(NO)等の硝酸塩等が挙げられる。
前記多価金属有機塩としては、例えば、酢酸マグネシウム((CHCOO)Mg)、酢酸カルシウム((CHCOO)Ca)等の酢酸塩等が挙げられる。
前記多価金属塩としては、多価金属無機塩及び多価金属有機塩のいずれであるかによらず、アルミニウム塩(Al塩)、ジルコニウム塩(Zr塩)、カルシウム塩(Ca塩)、マグネシウム塩(Mg塩)、バリウム塩(Ba塩)、亜鉛塩(Zn塩)等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成する多価金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記多価金属塩の含有量は、ゼラチン及びアニオン性高分子の合計含有量100質量部に対して、30~95質量部、40~85質量部、及び50~75質量部のいずれかであってもよい。多価金属塩の前記含有量が前記下限値以上であることで、前記マイクロカプセルの壁材が、より強固になる。多価金属塩の前記含有量が前記上限値以下であることで、多価金属塩の過剰使用が抑制される。
<ゼラチン以外のカチオン性高分子>
前記マイクロカプセル中の壁材は、本発明の効果を損なわない範囲において、ゼラチン以外のカチオン性高分子(本明細書においては、「他のカチオン性高分子」と称することがある)を含んで構成されていてもよい。
前記他のカチオン性高分子は、特に限定されない。
前記他のカチオン性高分子としては、例えば、キトサン、カゼイン、ポリエチレンイミン、カチオン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成する、前記他のカチオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記他のカチオン性高分子の含有量は、ゼラチンの含有量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0質量部であること(すなわち、マイクロカプセルが前記他のカチオン性高分子を含まないこと)が特に好ましい。他のカチオン性高分子の前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなり、マイクロカプセルの安定性がより向上する。また、前記壁材がより良好に形成される。
<HLB値が12未満の非イオン性界面活性剤>
前記マイクロカプセルは、本発明の効果を損なわない範囲において、HLB値が12未満の非イオン性界面活性剤(本明細書においては、「他の非イオン性界面活性剤」と称することがある)を含んで構成されていてもよい。
前記他の非イオン性界面活性剤は、特に限定されない。
前記他の非イオン性界面活性剤としては、例えば、HLB値が12未満である点を除けば、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤として先に挙げた非イオン性界面活性剤と同様であるものが挙げられる。すなわち、前記他の非イオン性界面活性剤として、より具体的には、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー;ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成する、前記他の非イオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記他の非イオン性界面活性剤の含有量は、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤の含有量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0質量部であること(すなわち、マイクロカプセルが前記他の非イオン性界面活性剤を含まないこと)が特に好ましい。他の非イオン性界面活性剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなり、マイクロカプセルの安定性がより向上する。
前記マイクロカプセルにおいて、芯物質以外の成分の合計含有量に対する、ゼラチンと、アニオン性高分子と、多価金属塩と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、の合計含有量の割合(([ゼラチンの含有量]+[アニオン性高分子の含有量]+[多価金属塩の含有量]+[HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤の含有量])/[芯物質以外の成分の合計含有量]×100)は、100質量%以下であり、本発明の効果を損なわない範囲において、特に限定されないが、90質量%以上であることが好ましく、94質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなり、マイクロカプセルの安定性がより向上する。また、前記壁材がより良好に形成される。
◎芯物質
前記芯物質は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
芯物質は、常温で液状であるものが好ましく、常温でオイル状であるものがより好ましい。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15~25℃の温度等が挙げられる。
前記芯物質は、例えば、有機化合物及び無機化合物のいずれであってもよいが、有機化合物であることが好ましい。
前記芯物質としては、例えば、香料、殺虫剤、防虫剤、昆虫忌避剤、化粧材、消臭剤、医薬、殺菌剤、その他の化学反応剤等が挙げられる。前記化学反応剤とは、特定の化学物質と反応することにより、この化学物質の作用を阻害し、かつ、香料、殺虫剤、防虫剤、昆虫忌避剤、化粧材、消臭剤、医薬及び殺菌剤、のいずれにも該当しない成分である。
前記マイクロカプセルは、生体に対する安全性が高いため、芯物質が生体に対して使用するのに適した成分である場合に、前記マイクロカプセルの優れた効果がより発揮される。
前記マイクロカプセルを構成する(換言すると、前記壁材に内包されている)前記芯物質は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記芯物質の含有量は、ゼラチンの含有量100質量部に対して、例えば、400~1200質量部、及び600~1000質量部のいずれかであってもよい。芯物質の前記含有量がこのような範囲であるマイクロカプセルは、品質がより良好で、より容易に製造できる。
前記マイクロカプセルの平均粒子径は、20μm以下であることが好ましく、17μm以下であることがより好ましく、例えば、14μm以下、11μm以下、及び8μm以下のいずれかであってもよい。
前記マイクロカプセルの平均粒子径の下限値は、特に限定されない。例えば、平均粒子径が4μm以上であるマイクロカプセルは、より容易に製造できる。
本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、粒子について、粒度分布計を用いて測定された、体積粒度分布の中位径を意味する。
前記マイクロカプセルは、経時と共に、内包された芯物質を徐々に外部に放出する徐放性を有するものとすることが可能である。このようなマイクロカプセルは、芯物質の作用を長期に渡って持続させることができる。
前記マイクロカプセルは、以下で説明するように、複合コアセルベーション法を適用することで、製造できる。このように製造した本実施形態のマイクロカプセルは、単純コアセルベーション法を適用することで製造したマイクロカプセルよりも、壁材が強固である。
<<マイクロカプセルの製造方法>>
◇製造方法(1)
本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルの製造方法(本明細書においては、「製造方法(1)」と称することがある)は、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程(本明細書においては、「乳化工程」と称することがある)と、
水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程(本明細書においては、「乳化液混合工程」と称することがある)と、
前記混合液(A)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(1B)を作製する工程(本明細書においては、「酸性化(1)工程」と称することがある)と、
前記混合液(1B)と、水と、を混合することにより、混合液(1C)を作製する工程(本明細書においては、「水混合(1)工程」と称することがある)と、
前記混合液(1C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(1D)を作製する工程(本明細書においては、「界面活性剤混合(1)工程」と称することがある)と、
前記混合液(1D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程(本明細書においては、「冷却(1)工程」と称することがある)と、
冷却後の前記混合液(1D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(1E)を作製する工程(本明細書においては、「多価金属塩混合(1)工程」と称することがある)と、
前記混合液(1E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程(本明細書においては、「塩基混合(1)工程」と称することがある)と、を有する。
製造方法(1)は、複合コアセルベーション法を適用したマイクロカプセルの製造方法であり、この方法により、上述の本発明のマイクロカプセルを良好に製造できる。
<乳化工程>
前記乳化工程においては、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する。
前記乳化液は、ゼラチンと、水と、芯物質と、を含有する。
乳化工程で用いる前記ゼラチン及び芯物質は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
乳化工程で用いるゼラチン及び芯物質は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化工程においては、例えば、ゼラチンと、水と、芯物質と、を配合してもよいし、ゼラチン水溶液と、芯物質と、を配合してもよい。ゼラチン水溶液を配合する場合には、ゼラチン水溶液中の水以外に、別途、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
乳化工程においては、ゼラチンと、水と、芯物質と、を配合する順序は、特に限定されず、ゼラチン水溶液と、芯物質と、別途必要に応じて水と、を配合する順序も、特に限定されない。
乳化工程においては、ゼラチン水溶液と、芯物質と、別途必要に応じて水と、を配合することが好ましい。このようにすることで、均一性がより高い前記乳化液を作製できる。
乳化工程で用いる前記ゼラチン水溶液のゼラチンの濃度は、3~20質量%であることが好ましく、5~10質量%であることがより好ましい。
乳化工程で用いる水と、前記ゼラチン水溶液は、いずれも加熱してもよい。水又はゼラチン水溶液を加熱することで、均一性がより高い前記乳化液を作製できる。
水とゼラチン水溶液の加熱温度は、40~75℃であることが好ましく、40~60℃であることがより好ましい。前記加熱温度が前記下限値以上であることで、加熱の効果がより顕著に得られる。前記加熱温度が前記上限値以下であることで、ゼラチン又は芯物質の変質など、加熱による弊害を抑制する効果がより高くなる。
前記ゼラチン水溶液と芯物質を配合する場合には、ゼラチン水溶液に芯物質を添加してもよいし、芯物質にゼラチン水溶液を添加してもよい。ゼラチン水溶液に液状の芯物質を添加する場合には、芯物質をゼラチン水溶液に一括添加してもよいし、滴下してもよい。芯物質にゼラチン水溶液を添加する場合には、ゼラチン水溶液を芯物質に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
乳化工程において、水の使用量は、ゼラチンの使用量に対して8~20質量倍であることが好ましく、10~16質量倍であることがより好ましい。水の前記使用量が前記下限値以上であることで、均一性がより高い前記乳化液を作製できるなど、水を使用したことによる効果が、より高くなる。水の前記使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
ここで、水の使用量とは、ゼラチンと、水と、芯物質と、を配合する場合には、この水の量であり、ゼラチン水溶液と、芯物質と、を配合し、別途水を配合しない場合には、ゼラチン水溶液中の水の量であり、ゼラチン水溶液と、芯物質と、別途水と、を配合する場合には、ゼラチン水溶液中の水と、これとは別途配合する水と、の合計量である。
乳化工程において、芯物質の使用量は、ゼラチンの使用量に対して4~12質量倍であることが好ましく、6~10質量倍であることがより好ましい。芯物質の前記使用量がこのような範囲であることで、より良好な品質のマイクロカプセルが得られる。
乳化工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、水と、芯物質と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(01)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(01)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
乳化工程で用いる他の成分(01)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化工程において、前記他の成分(01)の使用量は、特に限定されず、他の成分(01)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、乳化工程において、ゼラチンと、水と、芯物質と、の合計使用量に対する、他の成分(01)の使用量の割合([他の成分(01)の使用量]/([ゼラチンの使用量]+[水の使用量]+[芯物質の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、水の使用量とは、先に説明したとおりである。
乳化工程においては、水の存在下での、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、の混合は、15~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、18~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子又は撹拌翼等の撹拌手段を回転させることで、これら成分を混合する方法が挙げられる。
撹拌手段の撹拌速度は、例えば、5000~15000rpm、及び7500~12500rpmのいずれかであってもよいが、これに限定されない。例えば、ゼラチンの使用量が、5~15gである場合、このような撹拌速度は、特に好適である。ただし、ゼラチンの使用量は、これに限定されない。また、このような撹拌速度は、本工程のうち、少なくとも、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、をすべて配合後に、適用することが好ましい。
乳化工程においては、ゼラチン又はゼラチン水溶液と、芯物質と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(01)と、のいずれかの成分に対して、残りの成分を添加するときに、添加対象であるいずれかの成分を撹拌しながら、残りの成分を添加してもよいし、添加対象であるいずれかの成分を撹拌せずに、残りの成分を添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
乳化工程においては、すべての成分(ゼラチン又はゼラチン水溶液と、芯物質と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(01))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
乳化工程においては、例えば、加熱したゼラチン水溶液に、芯物質を単独で添加することにより、乳化液を作製することが好ましく、加熱したゼラチン水溶液に、常温下(室温下)の芯物質を単独で添加することにより、乳化液を作製してもよい。
<乳化液混合工程>
前記乳化液混合工程においては、水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する。
前記混合液(A)は、アニオン性高分子と、ゼラチンと、水と、芯物質と、を含有する。
乳化液混合工程で用いる前記アニオン性高分子は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
乳化液混合工程で用いるアニオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化液混合工程においては、例えば、アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、を配合してもよいし、アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合してもよい。アニオン性高分子水溶液を配合する場合には、アニオン性高分子水溶液中の水以外に、別途、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
乳化液混合工程においては、アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、を配合する順序は、特に限定されず、アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、を配合する順序も、特に限定されない。
乳化液混合工程においては、アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、を配合することが好ましい。このようにすることで、均一性がより高い混合液(A)を作製できる。
乳化液混合工程で用いる前記アニオン性高分子水溶液のアニオン性高分子の濃度は、3~20質量%であることが好ましく、5~10質量%であることがより好ましい。
乳化液混合工程で用いる水と、前記アニオン性高分子水溶液は、いずれも加熱してもよい。水又はアニオン性高分子水溶液を加熱することで、均一性がより高い混合液(A)を作製できる。
水とアニオン性高分子水溶液の加熱温度は、40~75℃であることが好ましく、40~60℃であることがより好ましい。前記加熱温度が前記下限値以上であることで、加熱の効果がより顕著に得られる。前記加熱温度が前記上限値以下であることで、アニオン性高分子、ゼラチン又は芯物質の変質など、加熱による弊害を抑制する効果がより高くなる。
前記アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合する場合には、アニオン性高分子水溶液に前記乳化液を添加してもよいし、前記乳化液にアニオン性高分子水溶液を添加してもよい。
アニオン性高分子水溶液に前記乳化液を添加する場合には、前記乳化液をアニオン性高分子水溶液に一括添加してもよいし、滴下してもよい。前記乳化液にアニオン性高分子水溶液を添加する場合には、アニオン性高分子水溶液を前記乳化液に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
乳化液混合工程において、水の使用量は、アニオン性高分子の使用量に対して8~20質量倍であることが好ましく、10~16質量倍であることがより好ましい。水の前記使用量が前記下限値以上であることで、均一性がより高い混合液(A)を作製できるなど、水を使用したことによる効果が、より高くなる。水の前記使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
ここで、水の使用量とは、アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、を配合する場合には、この水の量であり、アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合し、別途水を配合しない場合には、アニオン性高分子水溶液中の水の量であり、アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途水と、を配合する場合には、アニオン性高分子水溶液中の水と、これとは別途配合する水と、の合計量である。
乳化液混合工程において、アニオン性高分子の使用量は、前記乳化液中のゼラチンの量に対して、0.1~10質量倍であることが好ましく、例えば、0.1~7質量倍、0.1~4質量倍、0.1~1.5質量倍、及び0.1~0.7質量倍のいずれかであってもよいし、3~10質量倍、6~10質量倍、及び8~10質量倍のいずれかであってもよいし、3~7質量倍であってもよい。アニオン性高分子の使用量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しないアニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
乳化液混合工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、アニオン性高分子と、ゼラチンと、水と、芯物質と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(02)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(02)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
乳化液混合工程で用いる他の成分(02)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化液混合工程において、前記他の成分(02)の使用量は、特に限定されず、他の成分(02)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、乳化液混合工程において、アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、の合計使用量に対する、他の成分(02)の使用量の割合([他の成分(02)の使用量]/([アニオン性高分子の使用量]+[水の使用量]+[前記乳化液の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、水の使用量とは、先に説明したとおりである。
乳化液混合工程においては、水の存在下での、アニオン性高分子と、前記乳化液と、必要に応じて他の成分(02)と、の混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、必要に応じて他の成分(02)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
乳化液混合工程においては、アニオン性高分子又はアニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(02)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
乳化液混合工程においては、すべての成分(アニオン性高分子又はアニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(02))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
乳化液混合工程においては、例えば、加熱したアニオン性高分子水溶液に、前記乳化液を単独で添加することにより、混合液(A)を作製することが好ましく、加熱したアニオン性高分子水溶液に、25℃以上の前記乳化液を単独で添加することにより、混合液(A)を作製してもよい。
<酸性化(1)工程>
前記酸性化(1)工程においては、前記混合液(A)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(1B)を作製する。
混合液(A)中のゼラチンは、カチオン性基を有していないために、カチオン性高分子とは見做せない状態にあるか、又は、カチオン性基を有していても、その数が少なく、カチオン性高分子としての性質を十分に有していない状態にある。
これに対して、混合液(1B)中のゼラチンは、酸の作用によって、カチオン性基の数が十分に多く、カチオン性高分子としての性質を十分に有している状態であり、明らかにカチオン性高分子である。
すなわち、混合液(1B)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、アニオン性高分子と、水と、芯物質と、を含有する。
酸性化(1)工程で得られる混合液(1B)のpHは、最終的にゼラチンがアニオン性高分子とともに安定して壁材を構成できる限り、特に限定されないが、2~5であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。混合液(1B)のpHが前記上限値以下であることで、ゼラチンがアニオン性高分子とともにより安定して壁材を構成する。pHが前記下限値以上であることで、混合液(1B)の過度なpH低下が避けられる。
酸性化(1)工程で用いる前記酸は、特に限定されず、例えば、無機酸及び有機酸のいずれであってもよい。
前記無機酸としては、例えば、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、クエン酸(HOOCCHC(COOH)(OH)CHCOOH)、酢酸(CHCOOH)等が挙げられる。
酸性化(1)工程で用いる酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化(1)工程においては、酸を単独で添加してもよいし、酸を水溶液として添加してもよい。酸水溶液を用いることで、pHが調節された混合液(1B)の作製が、より容易となる。
酸性化(1)工程で用いる前記酸水溶液の酸の濃度は、酸の種類に応じて適宜調節できるが、10~70質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましい。
前記酸水溶液と混合液(A)を配合する場合には、混合液(A)に酸水溶液を添加することが好ましく、酸水溶液を混合液(A)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
酸を水溶液として添加しない場合には、混合液(A)に酸を添加することが好ましく、酸を混合液(A)に一括添加してもよいし、滴下又は分割添加してもよい。
酸性化(1)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、アニオン性高分子と、芯物質と、酸と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(03)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(03)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、水であってもよい。
酸性化(1)工程で用いる他の成分(03)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化(1)工程において、前記他の成分(03)の使用量は、特に限定されず、他の成分(03)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、酸性化(1)工程において、混合液(A)と、酸と、の合計使用量に対する、他の成分(03)の使用量の割合([他の成分(03)の使用量]/([混合液(A)の使用量]+[酸の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
ここで、酸の使用量とは、酸を水溶液として添加しない場合には、この酸の量であり、
酸を水溶液として添加する場合には、酸水溶液中の酸の量である。
酸性化(1)工程においては、混合液(A)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する場合、これらの混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(A)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
酸性化(1)工程においては、混合液(A)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
酸性化(1)工程においては、すべての成分(混合液(A)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、例えば、1~10分であってもよい。
酸性化(1)工程においては、例えば、酸水溶液を混合液(A)に添加又は滴下することにより、酸性の混合液(1B)を作製することが好ましく、酸水溶液を混合液(A)に滴下することにより、酸性の混合液(1B)を作製することがより好ましい。
酸水溶液の混合液(A)への添加又は滴下は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
<水混合(1)工程>
前記水混合(1)工程においては、前記混合液(1B)と、水と、を混合することにより、混合液(1C)を作製する。
混合液(1C)中では、混合液(1B)中よりも水の含有量が多いことにより、ゼラチンとアニオン性高分子による壁材の形成が促進される。
混合液(1C)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、アニオン性高分子と、水と、芯物質と、を含有する。
水混合(1)工程で用いる水は、加熱してもよい。
水の加熱温度は、40~75℃であることが好ましく、40~60℃であることがより好ましい。
水混合(1)工程で用いる水の量は、混合液(1B)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対して、8~14質量倍であることが好ましく、10~12質量倍であることがより好ましい。水の使用量が前記下限値以上であることで、水の使用効果がより顕著に得られる。水の使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
水混合(1)工程においては、混合液(1B)に水を添加してもよいし、水に混合液(1B)を添加してもよい。混合液(1B)に水を添加する場合には、水を混合液(1B)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。水に混合液(1B)を添加する場合には、混合液(1B)を水に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
水混合(1)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記他の成分(03)を混合してもよい。
水混合(1)工程で用いる他の成分(03)は、酸性化(1)工程で用いる他の成分(03)と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
水混合(1)工程で用いる他の成分(03)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
水混合(1)工程において、前記他の成分(03)の使用量は、特に限定されず、他の成分(03)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、水混合(1)工程において、混合液(1B)と、水と、の合計使用量に対する、他の成分(03)の使用量の割合([他の成分(03)の使用量]/([混合液(1B)の使用量]+[水の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
水混合(1)工程においては、混合液(1B)と、水と、必要に応じて他の成分(03)と、の混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(1B)と、水と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
水混合(1)工程においては、混合液(1B)と、水と、必要に応じて他の成分(03)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
水混合(1)工程においては、すべての成分(混合液(1B)と、水と、必要に応じて他の成分(03))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
水混合(1)工程においては、例えば、混合液(1B)に、加熱した水(湯)を添加することにより、混合液(1C)を作製することが好ましく、25℃以上の混合液(1B)に、加熱した水を添加することにより、混合液(1C)を作製してもよい。
<界面活性剤混合(1)工程>
前記界面活性剤混合(1)工程においては、前記混合液(1C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(1D)を作製する。
混合液(1D)中では、前記非イオン性界面活性剤の作用により、目的とするマイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の、凝集及び合一が抑制される。さらに、前記非イオン性界面活性剤の作用により、最終的に得られるマイクロカプセル自体の凝集及び合一が抑制され、マイクロカプセルの平均粒子径が小さくなる。
混合液(1D)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、アニオン性高分子と、水と、芯物質と、前記非イオン性界面活性剤と、を含有する。
界面活性剤混合(1)工程で用いる、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
界面活性剤混合(1)工程で用いる前記非イオン性界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
界面活性剤混合(1)工程において、前記非イオン性界面活性剤の使用量は、混合液(1C)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対して、0.03~0.25質量倍であることが好ましく、0.05~0.2質量倍であることがより好ましく、0.07~0.16質量倍であることがさらに好ましい。前記非イオン性界面活性剤の前記使用量が前記下限値以上であることで、目的とするマイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の、凝集及び合一がより抑制される。さらに、最終的に得られるマイクロカプセル自体の凝集及び合一もより抑制され、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなる。前記非イオン性界面活性剤の前記使用量が前記上限値以下であることで、前記非イオン性界面活性剤の過剰使用が抑制される。
前記マイクロカプセルにおいて、前記非イオン性界面活性剤の含有量は、ゼラチン及びアニオン性高分子の合計含有量100質量部に対して、例えば、3~25質量部、5~20質量部、及び7~16質量部のいずれかであってもよい。非イオン性界面活性剤の前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセル、及びマイクロカプセルの形成過程にある壁材成分、の凝集並びに合一がより抑制されるとともに、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなる。非イオン性界面活性剤の前記含有量が前記上限値以下であることで、非イオン性界面活性剤の過剰使用が抑制される。
界面活性剤混合(1)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、アニオン性高分子と、芯物質と、酸と、前記非イオン性界面活性剤と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(04)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(04)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
界面活性剤混合(1)工程で用いる他の成分(04)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
界面活性剤混合(1)工程において、前記他の成分(04)の使用量は、特に限定されず、他の成分(04)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、界面活性剤混合(1)工程において、混合液(1C)と、前記非イオン性界面活性剤と、の合計使用量に対する、他の成分(04)の使用量の割合([他の成分(04)の使用量]/([混合液(1C)の使用量]+[前記非イオン性界面活性剤の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
界面活性剤混合(1)工程においては、混合液(1C)と、前記非イオン性界面活性剤と、必要に応じて他の成分(04)と、の混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(1C)と、前記非イオン性界面活性剤と、必要に応じて他の成分(04)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
界面活性剤混合(1)工程においては、混合液(1C)と、前記非イオン性界面活性剤と、必要に応じて他の成分(04)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
界面活性剤混合(1)工程においては、すべての成分(混合液(1C)と、前記非イオン性界面活性剤と、必要に応じて他の成分(04))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
界面活性剤混合(1)工程においては、例えば、加熱した混合液(1C)に前記非イオン性界面活性剤を添加することにより、混合液(1D)を作製することが好ましい。
<冷却(1)工程>
前記冷却(1)工程においては、前記混合液(1D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する。
混合液(1D)を冷却することにより、混合液(1D)中において、芯物質を内包した壁材の析出が促進される。
冷却時の混合液(1D)の温度は、0~10℃であることが好ましく、2~9℃であることがより好ましい。前記温度が前記上限値以下であることで、混合液(1D)の冷却効果がより顕著に得られる。前記温度が前記下限値以上であることで、混合液(1D)の過剰な冷却が抑制される。
混合液(1D)の冷却速度は、特に限定されないが、0.2~2.0℃/minであることが好ましく、0.3~1.0℃/minであることがより好ましい。前記冷却速度がこのような範囲であることで、混合液(1D)の冷却効果がより顕著に得られる。
<多価金属塩混合(1)工程>
前記多価金属塩混合(1)工程においては、冷却後の前記混合液(1D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(1E)を作製する。
本工程を行うことにより、目的とする、平均粒子径が小さいマイクロカプセルが、水分散体として得られる。
混合液(1E)中においては、多価金属塩中の多価金属イオン(カチオン)の作用により、壁材成分同士が結び付けられ、壁材が強固なマイクロカプセルが形成される。このときの多価金属イオンの作用は、先に説明したとおりである。
すなわち、混合液(1E)は、目的とするマイクロカプセルを含有する。
多価金属塩混合(1)工程で用いる、前記多価金属塩は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
多価金属塩混合(1)工程で用いる多価金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
多価金属塩混合(1)工程においては、多価金属塩を単独で添加してもよいが、水溶液として添加することが好ましい。多価金属塩水溶液を用いることで、構造がより安定したマイクロカプセルが得られる。
多価金属塩混合(1)工程で用いる前記多価金属塩水溶液の多価金属塩の濃度は、多価金属塩の種類に応じて適宜調節できるが、10~40質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。
前記多価金属塩水溶液と混合液(1D)を配合する場合には、混合液(1D)に多価金属塩水溶液を添加することが好ましく、多価金属塩水溶液を混合液(1D)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
多価金属塩を水溶液として添加しない場合には、混合液(1D)に多価金属塩を添加することが好ましく、多価金属塩を混合液(1D)に一括添加してもよいし、分割添加してもよい。
多価金属塩混合(1)工程は、通常、冷却(1)工程に次いで、直ちに連続して行う。
したがって、多価金属塩混合(1)工程開始時の混合液(1D)の温度は、冷却(1)工程終了時の混合液(1D)の温度と同じである。
多価金属塩混合(1)工程において、多価金属塩の使用量は、冷却後の混合液(1D)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対して、0.3~0.95質量倍であることが好ましく、0.4~0.85質量倍であることがより好ましく、0.5~0.75質量倍であることがさらに好ましい。多価金属塩の前記使用量が前記下限値以上であることで、前記マイクロカプセルの壁材が、より強固になる。多価金属塩の前記使用量が前記上限値以下であることで、多価金属塩の過剰使用が抑制される。
多価金属塩混合(1)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、アニオン性高分子と、芯物質と、酸と、前記非イオン性界面活性剤と、多価金属塩と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(05)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(05)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
多価金属塩混合(1)工程で用いる他の成分(05)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
多価金属塩混合(1)工程においては、混合液(1D)と、多価金属塩又は多価金属塩水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、を混合する場合、これらの混合は、0~10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2~9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。このような温度で混合することにより、構造がより安定したマイクロカプセルが得られる。
多価金属塩混合(1)工程での、この混合時の温度範囲は、冷却(1)工程での混合液(1D)の温度範囲と一致してもよいし、一致しなくてもよい。
混合液(1D)と、多価金属塩又は多価金属塩水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
多価金属塩混合(1)工程においては、混合液(1D)と、多価金属塩又は多価金属塩水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
多価金属塩混合(1)工程においては、すべての成分(混合液(1D)と、多価金属塩又は多価金属塩水溶液と、必要に応じて他の成分(05))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
多価金属塩混合(1)工程においては、例えば、多価金属塩水溶液を混合液(1D)に添加することにより、混合液(1E)を作製することが好ましく、混合液(1D)の温度を一定に保った状態で、多価金属塩水溶液を混合液(1D)に添加することにより、混合液(1E)を作製することがより好ましい。
<塩基混合(1)工程>
前記塩基混合(1)工程においては、前記混合液(1E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する。
塩基混合(1)工程で得られたマイクロカプセルは、水分散体中において、その構造がより安定する。
塩基混合(1)工程で得られる、マイクロカプセルの水分散体のpHは、マイクロカプセルが安定して存在できる限り、特に限定されないが、4~7であることが好ましく、例えば、4~6であってもよい。
塩基混合(1)工程で用いる前記塩基は、特に限定されず、例えば、無機塩基及び有機塩基のいずれであってもよい。
前記無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸リチウム(LiCO)等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)等のアルカリ金属の炭酸水素塩等が挙げられる。
前記有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン((CHCHN)等のアルキルアミン等が挙げられる。
塩基混合(1)工程で用いる塩基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
塩基混合(1)工程においては、塩基を単独で添加してもよいし、塩基を水溶液として添加してもよい。塩基水溶液を用いることで、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を、より容易に作製できる。
塩基混合(1)工程で用いる前記塩基水溶液の塩基の濃度は、塩基の種類に応じて適宜調節できるが、10~40質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。
前記塩基水溶液と混合液(1E)を配合する場合には、混合液(1E)に塩基水溶液を添加することが好ましく、塩基水溶液を混合液(1E)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
塩基を水溶液として添加しない場合には、混合液(1E)に塩基を添加することが好ましく、塩基を混合液(1E)に一括添加してもよいし、滴下又は分割添加してもよい。
塩基混合(1)工程においては、混合液(1E)と、塩基又は塩基水溶液と、を混合する場合、これらの混合は、0~10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2~9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(1E)と、塩基又は塩基水溶液と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
塩基混合(1)工程においては、混合液(1E)と、塩基又は塩基水溶液と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
塩基混合(1)工程においては、すべての成分(混合液(1E)と、塩基又は塩基水溶液)を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、例えば、1~8時間であることが好ましく、2~6時間であることがより好ましい。前記時間が前記下限値以上であることで、塩基を用いたことによる効果がより顕著に得られる。前記時間が前記上限値以下であることで、塩基混合(1)工程の所要時間が過剰に長くなることが避けられる。
このように、すべての成分を配合後に得られた配合物を撹拌するときには、前記配合物の撹拌を、15~40℃の温度条件下で行うことが好ましく、18~30℃の温度条件下で行うことがより好ましく、常温下(例えば室温下)で行ってもよい。
塩基混合(1)工程においては、例えば、塩基水溶液を混合液(1E)に添加又は滴下することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製することが好ましく、塩基水溶液を混合液(1E)に滴下することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製することがより好ましい。
塩基水溶液の混合液(1E)への添加又は滴下は、0~10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2~9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
<他の工程(1)>
前記製造方法(1)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の乳化工程と、乳化液混合工程と、酸性化(1)工程と、水混合(1)工程と、界面活性剤混合(1)工程と、冷却(1)工程と、多価金属塩混合(1)工程と、塩基混合(1)工程と、のいずれにも該当しない、他の工程(本明細書においては、「他の工程(1)」と称することがある)を有していてもよい。
他の工程(1)の種類と、他の工程(1)の数と、他の工程(1)を行うタイミングは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
製造方法(1)によって得られたマイクロカプセルは、そのまま水分散体として用いてもよいし、公知の後処理、精製等を行って得られた水分散体を、そのまま用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行った後、分散媒を除去することにより、マイクロカプセルの単体として用いてもよい。
◇製造方法(2)
本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルの製造方法(本明細書においては、「製造方法(2)」と称することがある)は、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程(乳化工程)と、
水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程(乳化液混合工程)と、
前記混合液(A)と、水と、を混合することにより、混合液(2B)を作製する工程(本明細書においては、「水混合(2)工程」と称することがある)と、
前記混合液(2B)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(2C)を作製する工程(本明細書においては、「酸性化(2)工程」と称することがある)と、
前記混合液(2C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(2D)を作製する工程(本明細書においては、「界面活性剤混合(2)工程」と称することがある)と、
前記混合液(2D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程(本明細書においては、「冷却(2)工程」と称することがある)と、
冷却後の前記混合液(2D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(2E)を作製する工程(本明細書においては、「多価金属塩混合(2)工程」と称することがある)と、
前記混合液(2E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程(本明細書においては、「塩基混合(2)工程」と称することがある)と、を有する。
製造方法(2)により、上述の本発明のマイクロカプセルを良好に製造できる。
製造方法(2)も、複合コアセルベーション法を適用したマイクロカプセルの製造方法であり、この方法により、上述の本発明のマイクロカプセルを良好に製造できる。
製造方法(2)は、上述の製造方法(1)において、「酸性化(1)工程」と「水混合(1)工程」の順序を入れ替えたものに相当する。
<乳化工程、乳化液混合工程>
製造方法(2)における前記乳化工程及び乳化液混合工程は、製造方法(1)における乳化工程及び乳化液混合工程と同じである。すなわち、製造方法(1)と製造方法(2)は、乳化液混合工程まで、同じである。
<水混合(2)工程>
前記水混合(2)工程においては、前記混合液(A)と、水と、を混合することにより、混合液(2B)を作製する。
混合液(2B)を作製することにより、後述する酸性化(2)工程で得られる混合液(2C)中では、混合液(A)中よりも水の含有量が多いことにより、ゼラチンとアニオン性高分子による壁材の構成が促進される。
混合液(2B)は、アニオン性高分子と、ゼラチンと、水と、芯物質と、を含有する。
水混合(2)工程で用いる水は、加熱してもよい。
水の加熱温度は、40~75℃であることが好ましく、40~60℃であることがより好ましい。
水混合(2)工程で用いる水の量は、混合液(A)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対して、8~14質量倍であることが好ましく、10~12質量倍であることがより好ましい。水の使用量が前記下限値以上であることで、水の使用効果がより顕著に得られる。水の使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
水混合(2)工程においては、混合液(A)に水を添加してもよいし、水に混合液(A)を添加してもよい。混合液(A)に水を添加する場合には、水を混合液(A)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。水に混合液(A)を添加する場合には、混合液(A)を水に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
水混合(2)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記他の成分(02)を混合してもよい。
水混合(2)工程で用いる他の成分(02)は、乳化液混合工程で用いる他の成分(02)と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
水混合(2)工程で用いる他の成分(02)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
水混合(2)工程において、前記他の成分(02)の使用量は、特に限定されず、他の成分(02)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、水混合(2)工程において、混合液(A)と、水と、の合計使用量に対する、他の成分(02)の使用量の割合([他の成分(02)の使用量]/([混合液(A)の使用量]+[水の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
水混合(2)工程においては、混合液(A)と、水と、必要に応じて他の成分(02)と、の混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(A)と、水と、必要に応じて他の成分(02)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
水混合(2)工程においては、混合液(A)と、水と、必要に応じて他の成分(02)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
水混合(2)工程においては、すべての成分(混合液(A)と、水と、必要に応じて他の成分(02))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1~30分であることが好ましく、1~10分であることがより好ましい。
水混合(2)工程においては、例えば、混合液(A)に、加熱した水(湯)を添加することにより、混合液(2B)を作製することが好ましく、25℃以上の混合液(A)に、加熱した水を添加することにより、混合液(2B)を作製してもよい。
<酸性化(2)工程>
前記酸性化(2)工程においては、前記混合液(2B)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(2C)を作製する。
ここで得られる混合液(2C)は、製造方法(1)の水混合(1)工程で得られる混合液(1C)と同じとなる可能性がある。
混合液(2B)中のゼラチンは、カチオン性基を有していないために、カチオン性高分子とは見做せない状態にあるか、又は、カチオン性基を有していても、その数が少なく、カチオン性高分子としての性質を十分に有していない状態にある。
これに対して、混合液(2C)中のゼラチンは、酸の作用によって、カチオン性基の数が十分に多く、カチオン性高分子としての性質を十分に有している状態であり、明らかにカチオン性高分子である。
すなわち、混合液(2C)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、アニオン性高分子と、水と、芯物質と、を含有する。
酸性化(2)工程で得られる混合液(2C)のpHは、最終的にゼラチンがアニオン性高分子とともに安定して壁材を構成できる限り、特に限定されないが、2~5であることが好ましく、2~4であることがより好ましい。混合液(2C)のpHが前記上限値以下であることで、ゼラチンがアニオン性高分子とともにより安定して壁材を構成する。pHが前記下限値以上であることで、混合液(2C)の過度なpH低下が避けられる。
酸性化(2)工程で用いる前記酸としては、製造方法(1)における酸性化(1)工程で用いる酸と同じものが挙げられる。
酸性化(2)工程で用いる酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化(2)工程においては、酸を単独で添加してもよいし、酸を水溶液として添加してもよい。酸水溶液を用いることで、pHが調節された混合液(2C)の作製が、より容易となる。
酸性化(2)工程で用いる前記酸水溶液の酸の濃度は、酸の種類に応じて適宜調節できるが、30~70質量%であることが好ましく、40~60質量%であることがより好ましい。
前記酸水溶液と混合液(2B)を配合する場合には、混合液(2B)に酸水溶液を添加することが好ましく、酸水溶液を混合液(2B)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
酸を水溶液として添加しない場合には、混合液(2B)に酸を添加することが好ましく、酸を混合液(2B)に一括添加してもよいし、滴下又は分割添加してもよい。
酸性化(2)工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、前記他の成分(03)を混合してもよい。
酸性化(2)工程で用いる他の成分(03)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化(2)工程において、前記他の成分(03)の使用量は、特に限定されず、他の成分(03)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、酸性化(2)工程において、混合液(2B)と、酸又は酸水溶液と、の合計使用量に対する、他の成分(03)の使用量の割合([他の成分(03)の使用量]/([混合液(2B)の使用量]+[酸又は酸水溶液の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。
酸性化(2)工程においては、混合液(2B)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する場合、これらの混合は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましく、常温下(例えば室温下)で行ってもよい。
混合液(2B)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
酸性化(2)工程においては、混合液(2B)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
酸性化(2)工程においては、すべての成分(混合液(2B)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、例えば、1~10分であってもよい。
酸性化(2)工程においては、例えば、酸水溶液を混合液(2B)に添加又は滴下することにより、酸性の混合液(2C)を作製することが好ましく、酸水溶液を混合液(2B)に滴下することにより、酸性の混合液(2C)を作製することがより好ましい。
酸水溶液の混合液(2B)への添加又は滴下は、30~75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40~60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
<界面活性剤混合(2)工程>
前記界面活性剤混合(2)工程においては、前記混合液(2C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(2D)を作製する。
ここで得られる混合液(2D)は、製造方法(1)の界面活性剤混合(1)工程で得られる混合液(1D)と同じとなる可能性がある。
混合液(2D)中では、前記非イオン性界面活性剤の作用により、目的とするマイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の、凝集及び合一が抑制される。さらに、前記非イオン性界面活性剤の作用により、最終的に得られるマイクロカプセル自体の凝集及び合一が抑制され、マイクロカプセルの平均粒子径が小さくなる。
混合液(2D)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、アニオン性高分子と、水と、芯物質と、前記非イオン性界面活性剤と、を含有する。
界面活性剤混合(2)工程は、混合液(1C)に代えて混合液(2C)を用いる点を除けば、製造方法(1)における界面活性剤混合(1)工程と同じである。
例えば、本工程においては、混合液(2C)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対する、非イオン性界面活性剤の使用量を、界面活性剤混合(1)工程における、混合液(1C)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対する、非イオン性界面活性剤の使用量と、同様とすることができる。
界面活性剤混合(2)工程においては、界面活性剤混合(1)工程の場合と同じ効果が得られる。
<冷却(2)工程>
前記冷却(2)工程においては、前記混合液(2D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する。
ここで得られる冷却後の混合液(2D)は、製造方法(1)の冷却(1)工程で得られる、冷却後の混合液(1D)と同じとなる可能性がある。
混合液(2D)を冷却することにより、混合液(2D)中において、芯物質を内包した壁材の析出が促進される。
冷却(2)工程は、混合液(1D)に代えて混合液(2D)を用いる点を除けば、製造方法(1)における冷却(1)工程と同じである。
冷却(2)工程においては、冷却(1)工程の場合と同じ効果が得られる。
<多価金属塩混合(2)工程>
前記多価金属塩混合(2)工程においては、冷却後の前記混合液(2D)と、多価金属塩と、を混合する。
本工程を行うことにより、目的とする、平均粒子径が小さいマイクロカプセルが、水分散体として得られる。
ここで得られるマイクロカプセルの水分散体は、製造方法(1)の多価金属塩混合(1)工程で得られるマイクロカプセルの水分散体と同じとなる可能性がある。
前記多価金属塩を混合後の混合液(2D)(本明細書においては、「混合液(2E)」と称することがある)中においては、多価金属塩中の多価金属イオンの作用により、壁材成分同士が結び付けられ、壁材が強固なマイクロカプセルが形成される。このときの多価金属イオンの作用は、先に説明したとおりである。
すなわち、前記混合液(2E)は、目的とするマイクロカプセルを含有する。
多価金属塩混合(2)工程は、冷却後の混合液(1D)に代えて、冷却後の混合液(2D)を用いる点を除けば、製造方法(1)における多価金属塩混合(1)工程と同じである。
例えば、本工程においては、冷却後の混合液(2D)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対する、多価金属塩の使用量を、多価金属塩混合(1)工程における、冷却後の混合液(1D)中のゼラチン及びアニオン性高分子の合計量に対する、多価金属塩の使用量と、同様とすることができる。
多価金属塩混合(2)工程においては、多価金属塩混合(1)工程の場合と同じ効果が得られる。
<塩基混合(2)工程>
前記塩基混合(2)工程においては、前記混合液(2E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する。
塩基混合(2)工程で得られたマイクロカプセルは、水分散体中において、その構造がより安定する。
ここで得られるマイクロカプセルの水分散体は、製造方法(1)の塩基混合(1)工程で得られるマイクロカプセルの水分散体と同じとなる可能性がある。
塩基混合(2)工程で得られる、マイクロカプセルの水分散体のpHは、マイクロカプセルが安定して存在できる限り、特に限定されないが、4~7であることが好ましく、例えば、4~6であってもよい。
塩基混合(2)工程は、混合液(1E)に代えて混合液(2E)を用いる点を除けば、製造方法(1)における塩基混合(1)工程と同じである。
塩基混合(2)工程においては、塩基混合(1)工程の場合と同じ効果が得られる。
<他の工程(2)>
前記製造方法(2)は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の乳化工程と、乳化液混合工程と、水混合(2)工程と、酸性化(2)工程と、界面活性剤混合(2)工程と、冷却(2)工程と、多価金属塩混合(2)工程と、塩基混合(2)工程と、のいずれにも該当しない、他の工程(本明細書においては、「他の工程(2)」と称することがある)を有していてもよい。
他の工程(2)の種類と、他の工程(2)の数と、他の工程(2)を行うタイミングは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
製造方法(2)によって得られたマイクロカプセルは、そのまま水分散体として用いてもよいし、公知の後処理、精製等を行って得られた水分散体を、そのまま用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行った後、分散媒を除去することにより、マイクロカプセルの単体として用いてもよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において用いた非イオン性界面活性剤を表1に示す。
Figure 0007472511000001
[実施例1]
<<マイクロカプセルの製造>>
濃度が7質量%であるゼラチン(MP Biomedicals社製「Type A」)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、室温下(23℃の条件下)のセバシン酸ジオクチル(豊国精油社製)(70g)を添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、撹拌速度10000rpmで、室温下で3分撹拌することにより、乳化液を作製した(乳化工程)。
濃度が7質量%であるアラビアガム(ナカライテスク社製)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、上記で得られた乳化液の全量を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(A)を作製した(乳化液混合工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(A)を撹拌しながら、ここへ、濃度が50質量%であるクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を滴下し、2分撹拌して、混合液(A)のpHを3.8に調節することにより、酸性の混合液(1B)を作製した(酸性化(1)工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(1B)を撹拌しながら、ここへ、温度が50℃の蒸留水(200g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(1C)を作製した(水混合(1)工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(1C)を撹拌しながら、ここへ、非イオン性界面活性剤(Z)-1(2g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(1D)を作製した(界面活性剤混合(1)工程)。
次いで、冷却速度0.5℃/minで、得られた混合液(1D)を撹拌しながら、その温度が5℃となるまで冷却した(冷却(1)工程)。
次いで、この5℃の温度で撹拌している混合液(1D)に、濃度が20質量%である硫酸アルミニウム(Al(SO、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(50g)を添加し、5℃の温度条件下のままで2分撹拌することにより、混合液(1E)を作製した(多価金属塩混合(1)工程)。
次いで、5℃の条件下で、混合液(1E)を撹拌しながら、ここへ、濃度が20質量%である水酸化ナトリウム(関東化学社製)の水溶液(50g)を滴下して、混合液(1E)のpHを5.0に調節し、次いで、このpH調節後の混合液(1E)を、室温下で4時間撹拌することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製した(塩基混合(1)工程)。
以上により、ゼラチンと、アラビアガムと、を含んで壁材成分が構成され、さらに硫酸アルミニウムと、HLB値が16.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーと、を含み、芯物質としてセバシン酸ジオクチルを内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。
<<マイクロカプセルの評価>>
<マイクロカプセルの生成度合いの評価>
走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製「JSM-6700F」)を用いて、上記で得られた水分散体中の生成物の外観を観察し、壁材の形成度合いを確認することにより、マイクロカプセルの生成度合いを、下記基準に従って評価した。結果を表2に示す。
[評価基準]
A:壁材が正常に形成されており、マイクロカプセルが正常に生成している。
B:壁材が正常に形成されておらず、マイクロカプセルが生成していない。
<マイクロカプセルの平均粒子径の測定>
粒度分布測定装置(シスメックス社製「CDA-1000X」)と、上記で得られた水分散体を用い、マイクロカプセルの平均粒子径を測定した。結果を表2に示す。
<マイクロカプセルの安全性の分類>
得られたマイクロカプセルの生体に対する安全性を、壁材の製造原料に基づいて、下記基準に従って分類した。結果を表2に示す。
[分類基準]
A:壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いておらず、マイクロカプセルの生体に対する安全性が高い。
B:壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いており、マイクロカプセルの生体に対する安全性が低い。
<<マイクロカプセルの製造及び評価>>
[実施例2]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
表2中、「原料」の欄中の「-」との記載は、その原料が不使用であることを意味する。また、原料のうち、ゼラチンと、アニオン性高分子と、非イオン性界面活性剤と、のいずれにも該当しない成分(例えば、架橋剤)を、表2中では「添加剤」と記載している。
[実施例3]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-3を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-4を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
アラビアガムに代えて、その1/2の量(質量部)のアルギン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
アラビアガムに代えて、その1/2の量(質量部)のカルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)の硫酸アルミニウムカリウム(AlK(SO、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)の硫酸アルミニウムアンモニウム(AlNH(SO、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)の塩化カルシウム(CaCl、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例10]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)の硫酸マグネシウム(MgSO、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例11]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)の硫酸ジルコニウム(Zr(SO,三津和化学薬品社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。
[実施例12]
<<マイクロカプセルの製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、混合液(A)を作製した(乳化工程~乳化液混合工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(A)を撹拌しながら、ここへ、温度が50℃の蒸留水(200g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(2B)を作製した(水混合(2)工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(2B)を撹拌しながら、ここへ、濃度が50質量%であるクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を滴下し、2分撹拌して、混合液(2B)のpHを3.8に調節することにより、酸性の混合液(2C)を作製した(酸性化(2)工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(2C)を撹拌しながら、ここへ、非イオン性界面活性剤(Z)-1(2g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(2D)を作製した(界面活性剤混合(2)工程)。
次いで、冷却速度0.5℃/minで、得られた混合液(2D)を撹拌しながら、その温度が5℃となるまで冷却した(冷却(2)工程)。
次いで、この5℃の温度で撹拌している混合液(2D)に、濃度が20質量%である硫酸アルミニウム(Al(SO、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(50g)を添加し、5℃の温度条件下のままで2分撹拌することにより、混合液(2E)を作製した(多価金属塩混合(2)工程)。
次いで、5℃の条件下で、混合液(2E)を撹拌しながら、ここへ、濃度が20質量%である水酸化ナトリウム(関東化学社製)の水溶液(50g)を滴下して、混合液(2E)のpHを5.0に調節し、次いで、このpH調節後の混合液(2E)を、室温下で4時間撹拌することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製した(塩基混合(2)工程)。
以上により、ゼラチンと、アラビアガムと、を含んで壁材成分が構成され、さらに硫酸アルミニウムと、HLB値が16.2のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーと、を含み、芯物質としてセバシン酸ジオクチルを内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。
<<マイクロカプセルの評価>>
上記で得られたマイクロカプセルを、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
<<マイクロカプセルの製造及び評価>>
[比較例1]
非イオン性界面活性剤(Z)-1を用いなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形1」と記載している。
[比較例2]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-5を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形2」と記載している。
[比較例3]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-6を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形2」と記載している。
[比較例4]
非イオン性界面活性剤(Z)-1に代えて、同量(質量部)の非イオン性界面活性剤(Z)-7を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形2」と記載している。
[比較例5]
硫酸アルミニウムの水溶液を添加するのに代えて、濃度が37質量%であるホルムアルデヒドの水溶液(関東化学)社製)(8g)を添加することにより、ホルムアルデヒド(3g)を添加した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形3」と記載している。
[比較例6]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)のタンニン酸を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形3」と記載している。
[比較例7]
硫酸アルミニウムに代えて、同量(質量部)のトランスグルタミナーゼを用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルの製造及び評価を試みた。結果を表2に示す。本比較例での製造方法を表2中では「変形3」と記載している。
[比較例8]
<<マイクロカプセルの製造>>
濃度が7質量%であるゼラチン(MP Biomedicals社製「Type A」)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、室温(23℃)下のセバシン酸ジオクチル(豊国精油社製)(70g)と、非イオン性界面活性剤(Z)-1(2g)と、を添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、撹拌速度10000rpmで、室温下で3分撹拌することにより、乳化液を作製した。
濃度が7質量%であるアラビアガム(ナカライテスク社製)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、上記で得られた乳化液の全量を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(A01)を作製した。
次いで、50℃の条件下で、混合液(A01)を撹拌しながら、ここへ、濃度が50質量%であるクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を滴下し、2分撹拌して、混合液(A01)のpHを3.8に調節することにより、酸性の混合液(1B01)を作製した。
次いで、50℃の条件下で、混合液(1B01)を撹拌しながら、ここへ、温度が50℃の蒸留水(200g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(1C01)を作製した。
次いで、冷却速度0.5℃/minで、得られた混合液(1C01)を撹拌しながら、その温度が5℃となるまで冷却した。
以下、5℃の温度で撹拌している混合液(1D)に代えて、この5℃の温度で撹拌している混合液(1C01)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造した。本比較例での製造方法を表2中では「変形4」と記載している。
<<マイクロカプセルの評価>>
上記で得られたマイクロカプセルを、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例9]
<<マイクロカプセルの製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、混合液(A)を作製した(乳化工程~乳化液混合工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(A)を撹拌しながら、ここへ、非イオン性界面活性剤(Z)-1(2g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(1B02)を作製した。
次いで、50℃の条件下で、混合液(1B02)を撹拌しながら、ここへ、濃度が50質量%であるクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を滴下し、2分撹拌して、混合液(1B02)のpHを3.8に調節することにより、酸性の混合液(1C02)を作製した。
次いで、50℃の条件下で、混合液(1C02)を撹拌しながら、ここへ、温度が50℃の蒸留水(200g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(1D01)を作製した。
以下、混合液(1D)に代えて、この酸性の混合液(1D01)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造した。本比較例での製造方法を表2中では「変形5」と記載している。
<<マイクロカプセルの評価>>
上記で得られたマイクロカプセルを、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
[比較例10]
<<マイクロカプセルの製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、混合液(1C)を作製した(水混合(1)工程)。
次いで、冷却速度0.5℃/minで、得られた混合液(1C)を撹拌しながら、その温度が5℃となるまで冷却した。
次いで、この5℃の温度で撹拌している混合液(1C)に、非イオン性界面活性剤(Z)-1(2g)を添加することにより、混合液(1E03)を作製した。
次いで、この5℃の温度で撹拌している混合液(1E03)に、濃度が20質量%である硫酸アルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(50g)を添加し、5℃の温度条件下のままで2分撹拌することにより、混合液(1F03)を作製した。
以下、混合液(1E)に代えて、この混合液(1F03)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造した。本比較例での製造方法を表2中では「変形6」と記載している。
<<マイクロカプセルの評価>>
上記で得られたマイクロカプセルを、実施例1の場合と同じ方法で評価した。結果を表2に示す。
Figure 0007472511000002
上記結果から明らかなように、実施例1~12においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが正常に生成しており、その平均粒子径が16μm以下(6~16μm)であって、十分に小さかった。実施例1~12においては、壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いておらず、マイクロカプセルの生体に対する安全性が高かった。
実施例1~12においては、非イオン性界面活性剤のHLB値が12.8以上(12.8~18.7)であり、十分に大きかった。また、実施例1~12においては、多価金属塩を用いていた。
これに対して、比較例1~4、6、8~10においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが正常に生成していたが、その平均粒子径が31μm以上であって、大きかった。
比較例1においては、非イオン性界面活性剤が不使用であった。
比較例2~4においては、非イオン性界面活性剤を用いたが、そのHLB値が10.5以下であり、小さかった。
比較例6においては、多価金属塩が不使用であった。
比較例8~10においては、HLB値が16.2と十分に大きい非イオン性界面活性剤を用いていたが、マイクロカプセルの製造時において、非イオン性界面活性剤を用いるタイミングが不適切であった。
比較例5においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが正常に生成しており、その平均粒子径が9μmであって、十分に小さかったが、壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いホルムアルデヒドを用いており、マイクロカプセルの生体に対する安全性が低かった。
比較例7においては、壁材が正常に形成されておらず、マイクロカプセルが生成していなかった。そのため、マイクロカプセルの平均粒子径は測定できなかった。このように、比較例7ではマイクロカプセルを製造できなかったが、壁材の製造原料から、マイクロカプセルの安全性は「B」に分類した。
比較例7においては、多価金属塩が不使用であった。
本発明は、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等のマイクロカプセルとして利用可能である。

Claims (3)

  1. ゼラチンと、アニオン性高分子と、多価金属塩と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を含んで構成され、芯物質を内包する、マイクロカプセルであって、
    前記マイクロカプセルの平均粒子径が20μm以下である、マイクロカプセル
  2. 水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、
    水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程と、
    前記混合液(A)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(1B)を作製する工程と、
    前記混合液(1B)と、水と、を混合することにより、混合液(1C)を作製する工程と、
    前記混合液(1C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(1D)を作製する工程と、
    前記混合液(1D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、
    冷却後の前記混合液(1D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(1E)を作製する工程と、
    前記混合液(1E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法。
  3. 水の存在下で、ゼラチンと、芯物質と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、
    水の存在下で、アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(A)を作製する工程と、
    前記混合液(A)と、水と、を混合することにより、混合液(2B)を作製する工程と、
    前記混合液(2B)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(2C)を作製する工程と、
    前記混合液(2C)と、HLB値が12以上の非イオン性界面活性剤と、を混合することにより、混合液(2D)を作製する工程と、
    前記混合液(2D)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、
    冷却後の前記混合液(2D)と、多価金属塩と、を混合することにより、混合液(2E)を作製する工程と、
    前記混合液(2E)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法。
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