JP2021183322A - マイクロカプセル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】平均粒子径が小さく、生体に対する安全性が高く、内包保持性能が高いマイクロカプセルの提供。【解決手段】マイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含んで構成され、前記マイクロカプセルは、油性成分を内包し、前記マイクロカプセルの平均粒子径が20μm以下である、マイクロカプセル。【選択図】なし

Description

本発明は、マイクロカプセル及びその製造方法に関する。
マイクロカプセルは、壁材が、目的とする成分を芯物質として内包することにより構成されている。
マイクロカプセルの製造方法には、コアセルベーション法を適用したものがある。さらに、コアセルベーション法には、1種のみの高分子で壁材を構成する単純コアセルベーション法と、2種以上の高分子で壁材を構成する複合コアセルベーション法がある。複合コアセルベーション法では、アニオン性高分子とカチオン性高分子で壁材を構成する。複合コアセルベーション法は、壁材が強固なマイクロカプセルを製造するのに適している。
複合コアセルベーション法を適用してマイクロカプセルを製造する場合には、通常、芯物質を内包した壁材に架橋剤を作用させて、壁材の構成成分同士を架橋することによって、マイクロカプセルの強度を向上させる。しかし、ここまでの工程で、マイクロカプセルや、その形成過程にある壁材の構成成分の、凝集又は合一によって、最終的に得られるマイクロカプセルの粒子径が大きくなり易い。このような粒子径が大きいマイクロカプセルは、例えば、目視で容易に視認可能であることによって、用途が限定されてしまうことがある。
一方、前記架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等がよく知られており、これらを用いることによって、例えば、平均粒子径が20μm以下等の小さいマイクロカプセルを製造することが開示されている(特許文献1参照)。
特表2015−518031号公報
しかし、これら架橋剤(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)の毒性が強いため、これら架橋剤を用いて得られたマイクロカプセルは、生体に対する安全性が低く、食用はいうまでもなく、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等の用途にも使用できないという問題点があった。
これに対して、本発明者は、毒性が低い多価金属塩を架橋剤として用い、さらに特定範囲の界面活性剤を用いることで、平均粒子径が小さく、かつ生体に対する安全性が高いマイクロカプセルが得られることを見出している。しかし、このようなマイクロカプセルには、芯物質を安定して内包する性質(このような性質を本明細書においては、「内包保持性能」と称する)が不十分なものがある、という問題点があった。
本発明は、平均粒子径が小さく、生体に対する安全性が高く、内包保持性能が高いマイクロカプセルを提供することを課題とする。
本発明は、マイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含んで構成され、前記マイクロカプセルは、油性成分を内包し、前記マイクロカプセルの平均粒子径が20μm以下である、マイクロカプセルを提供する。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記油性成分が香料であることが好ましい。
本発明のマイクロカプセルは、さらに、多価金属塩を含んで構成されていてもよい。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記多価金属塩が、アルミニウム塩及びジルコニウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上であってもよい。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記ゼラチンと、前記第1アニオン性高分子と、前記第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、前記アルミニウム塩中のアルミニウムと、前記ジルコニウム塩中のジルコニウムと、の合計含有量が、5〜30mmolであることが好ましい。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記多価金属塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される1種又は2種以上であってもよい。
本発明のマイクロカプセルにおいては、前記ゼラチンと、前記第1アニオン性高分子と、前記第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、前記カルシウム塩中のカルシウムと、前記マグネシウム塩中のマグネシウムと、前記バリウム塩中のバリウムと、前記亜鉛塩中の亜鉛と、の合計含有量が、20〜110mmolであることが好ましい。
また、本発明は、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、水の存在下で、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(a)を作製する工程と、前記混合液(a)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製する工程と、前記混合液(c)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、冷却後の前記混合液(c)と、前記第2アニオン性高分子と、を混合することにより、混合液(d)を作製する工程と、前記混合液(d)と、ポリフェノール類と、を混合することにより、混合液(e)を作製する工程と、前記混合液(e)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法を提供する。
本発明のマイクロカプセルの製造方法においては、前記混合液(e)を作製する工程において、さらに、多価金属塩を混合してもよい。
本発明によれば、平均粒子径が小さく、生体に対する安全性が高く、内包保持性能が高いマイクロカプセルが提供される。
<<マイクロカプセル>>
本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含んで構成され、前記マイクロカプセルは、油性成分を内包し、前記マイクロカプセルの平均粒子径が20μm以下である。
本実施形態のマイクロカプセルは、その製造時に、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の毒性が強い成分を用いていないため、生体に対する安全性が高い。また、本実施形態のマイクロカプセルの平均粒子径は、小さい。また、本実施形態のマイクロカプセルの内包保持性能は、高い。このように、本実施形態のマイクロカプセルの平均粒子径が小さく、かつ生体に対する安全性が高く、かつ内包保持性能が高い理由は、その製造時に、適したタイミングで、前記第1アニオン性高分子、第2アニオン性高分子及びポリフェノール類を用いているためである。
本実施形態のマイクロカプセルは、芯物質である前記油性成分の内包保持性能が高い。例えば、前記マイクロカプセルは、乾燥した状態であっても、油性成分を内包した状態(換言すると、マイクロカプセルの正常な状態)を維持する能力が高い。
本実施形態のマイクロカプセルは、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の毒性が強い成分を含んでおらず、生体に対する安全性が高い。そのため、本実施形態のマイクロカプセルは、例えば、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等の用途に使用するのに、特に好適である。
本実施形態のマイクロカプセルは、壁材によって芯物質が内包されて構成されている。
前記マイクロカプセルは、後述するように、複合コアセルベーション法を適用することで、製造できる。
前記ゼラチン、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子は、前記マイクロカプセルの壁材の構成成分(本明細書においては、「壁材成分」と略記することがある)であり、複合コアセルベーション法によって、壁材を構成する。
◎壁材、壁材成分
前記壁材は、上記のとおり、前記ゼラチン、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子によって、構成されており、前記ポリフェノール類は、壁材の強固な構造の維持に寄与している。
<ゼラチン>
前記ゼラチンは、前記第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子とともに、マイクロカプセルの壁材成分となっている。
壁材を構成しているゼラチンは、その分子中にカチオン部を有するカチオン性高分子である。
ゼラチンとしては、通常のもの、例えば、動物の骨、皮膚等に由来するものを使用できる。
ゼラチンの分子量は、例えば、20000〜9000000であってもよい。
ゼラチンは、カチオン性及びアニオン性のいずれにもなり得る両性の高分子であるため、後述するように、酸の作用によってカチオン化させて用いる。
前記マイクロカプセルを構成するゼラチンの由来は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
<第1アニオン性高分子>
前記第1アニオン性高分子は、その分子中にアニオン部を有する高分子であり、ゼラチンとともに、マイクロカプセルの壁材成分となっている。
第1アニオン性高分子は、アニオン性基を有する高分子であれば、特に限定されない。
第1アニオン性高分子としては、例えば、酸基が解離(アニオン化)した基を有する高分子が挙げられる。
第1アニオン性高分子として、より具体的には、例えば、カルボキシ基(−C(=O)−OH)が解離(アニオン化)した基、すなわちカルボキシラートアニオン(−C(=O)−O)を有する高分子;スルホ基(−SOH)が解離(アニオン化)した基(−SO )を有する高分子等が挙げられる。
1分子の第1アニオン性高分子においては、一部又は全てのアニオン性基が、カチオンとともに塩を形成していてもよい。
第1アニオン性高分子において、アニオン性基(アニオン化した基)と塩を形成しているカチオンは、金属イオンであることが好ましく、前記金属イオンは、1価金属イオンと、価数が2以上の金属イオン(多価金属イオン)と、のいずれであってもよいが、1価金属イオンであることが好ましい。
前記1価金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、リチウムイオン(Li)等のアルカリ金属イオン等が挙げられる。
前記多価金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)等のアルカリ土類金属イオン等が挙げられる。
第1アニオン性高分子としては、例えば、アラビアガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン(例えば、ιカラギーナン(イオタカラギーナン)、κカラギーナン(カッパカラギーナン)、λカラギーナン(ラムダカラギーナン))、エチレン無水マレイン酸共重合体の開環物、キサンタンガム、ペクチン等が挙げられる。
前記エチレン無水マレイン酸共重合体の開環物とは、エチレン無水マレイン酸共重合体中の、無水マレイン酸から誘導された構成単位において、酸無水物部位が加水分解により開環したとみなせるものを意味する。
第1アニオン性高分子の分子量は、特に限定されず、例えば、20000〜50000000であってもよい。
第1アニオン性高分子の分子量は、第1アニオン性高分子の種類によって異なっていてもよい。
例えば、アラビアガムの分子量は200000〜2000000であってもよく、アルギン酸ナトリウムの分子量は40000〜4000000であってもよく、カルボキシメチルセルロースナトリウムの分子量は20000〜400000であってもよく、キサンタンガムの分子量は2000000〜50000000であってもよく、ペクチンの分子量は50000〜360000であってもよい。
前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンの含有量100質量部に対する、第1アニオン性高分子の含有量は、10〜210質量部であることが好ましく、例えば、10〜190質量部、10〜170質量部、10〜150質量部、及び10〜130質量部のいずれかであってもよいし、60〜210質量部、110〜210質量部、及び160〜210質量部のいずれかであってもよいし、60〜190質量部、及び110〜170質量部のいずれかであってもよい。第1アニオン性高分子の前記含有量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しない第1アニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
<第2アニオン性高分子>
前記第2アニオン性高分子も、第1アニオン性高分子と同様に、その分子中にアニオン部を有する高分子であり、ゼラチンとともに、マイクロカプセルの壁材成分となっている。
第2アニオン性高分子は、アニオン性基を有する高分子であり、かつ、第1アニオン性高分子とは異なる種類であれば、特に限定されない。
本実施形態において、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子の種類が互いに異なるということは、第1アニオン性高分子のアニオン部を有する高分子部位と、第2アニオン性高分子のアニオン部を有する高分子部位と、が組成の点で互いに相違することを意味し、これら高分子部位の一方が、他方が有していない構成単位を有していることが好ましい。
第2アニオン性高分子としては、先に説明した第1アニオン性高分子と同様のものが挙げられる。
第2アニオン性高分子の分子量は、先に説明した第2アニオン性高分子の分子量と同様であってよい。
前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンの含有量100質量部に対する、第2アニオン性高分子の含有量は、3〜80質量部であることが好ましく、例えば、3〜70質量部、3〜60質量部、3〜50質量部、及び3〜40質量部のいずれかであってもよいし、10〜80質量部30〜80質量部、及び50〜80質量部のいずれかであってもよいし、10〜70質量部、及び30〜60質量部のいずれかであってもよい。第2アニオン性高分子の前記含有量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しない第2アニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
前記マイクロカプセルが含む(換言すると、壁材成分を構成する)第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子は、合計で2種のみであってもよいし、3種以上であってもよく、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子の組み合わせ、並びに比率は、目的に応じて任意に選択できる。
本実施形態においては、例えば、前記マイクロカプセルが、アニオン性高分子を合計で2種のみ含む場合には、マイクロカプセルにおける含有量(質量部)が多い方のアニオン性高分子を、第1アニオン性高分子とし、含有量(質量部)が少ない方のアニオン性高分子を、第2アニオン性高分子とする。
一方、前記マイクロカプセルが、アニオン性高分子を合計で3種以上含む場合には、マイクロカプセルにおける含有量(質量部)が最も多いアニオン性高分子Xについて、アニオン性高分子の総含有量(質量部)に対する、前記アニオン性高分子Xの含有量(質量部)の割合([アニオン性高分子Xの含有量(質量部)]/[アニオン性高分子の総含有量(質量部)]×100)を算出したとき、その算出値が50質量%以上であるか、又は50質量%未満であるかによって、アニオン性高分子の分類が異なる。ここで、「アニオン性高分子の総含有量(質量部)」とは、マイクロカプセルが含むすべてのアニオン性高分子の含有量であり、個々のアニオン性高分子の含有量の合計値である。
前記算出値が50質量%以上である場合には、アニオン性高分子Xを第1アニオン性高分子とし、それ以外のアニオン性高分子を、第2アニオン性高分子とする。
これに対して、前記算出値が50質量%未満である場合には、アニオン性高分子の種類ごとに、アニオン性高分子の含有量(質量部)を、その値が大きい方から順に合算することにより合計値(質量部)を求め、アニオン性高分子の総含有量(質量部)に対する、前記合計値の割合([アニオン性高分子の含有量を、その値が大きい方から順に合算して求められた合計値(質量部)]/[アニオン性高分子の総含有量(質量部)]×100)が50質量%以上となる最小の種類のアニオン性高分子を、第1アニオン性高分子とする。そして、それ以外のアニオン性高分子を、第2アニオン性高分子とする。ただし、マイクロカプセルにおける含有量(質量部)が互いに同じである複数種のアニオン性高分子は、同格に扱う。
例えば、アニオン性高分子Xを40質量部含み、アニオン性高分子Xを30質量部含み、アニオン性高分子Xを20質量部含み、アニオン性高分子Xを10質量部含む場合には、アニオン性高分子X及びXを第1アニオン性高分子とし、アニオン性高分子X及びXを第2アニオン性高分子とする。また、例えば、アニオン性高分子Xを35質量部含み、アニオン性高分子Xを25質量部含み、アニオン性高分子Xを25質量部含み、アニオン性高分子Xを15質量部含む場合には、アニオン性高分子X、X及びXを第1アニオン性高分子とし、アニオン性高分子Xを第2アニオン性高分子とする。この場合、アニオン性高分子X及びXを同格に扱い、これらの一方を第1アニオン性高分子とし、他方を第2アニオン性高分子とすることはしない。
前記マイクロカプセルは、例えば、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子を、ともに1種のみ含んでいてもよいし、第1アニオン性高分子を1種のみ含み、第2アニオン性高分子を2種以上含んでいてもよいし、第1アニオン性高分子を2種以上含み、第2アニオン性高分子を1種のみ含んでいてもよいし、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子を、ともに2種以上含んでいてもよい。
後述するマイクロカプセルの製造方法において、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子の使用のタイミングは重要である。この点も含めて、マイクロカプセルの製造方法については、後ほど詳しく説明する。
前記マイクロカプセルにおいて、第2アニオン性高分子の含有量100質量部に対する、第1アニオン性高分子の含有量は、100〜600質量部であることが好ましく、例えば、200〜600質量部、及び300〜600質量部のいずれかであってもよいし、100〜500質量部、及び100〜400質量部のいずれかであってもよいし、200〜500質量部、及び300〜400質量部のいずれかであってもよい。前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの収率がより向上する。前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの内包保持性能がより高くなる。
前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンの含有量100質量部に対する、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子の合計含有量は、13〜290質量部あることが好ましく、例えば、13〜260質量部、13〜230質量部、13〜200質量部、及び13〜170質量部のいずれかであってもよいし、70〜290質量部、140〜290質量部、及び210〜290質量部のいずれかであってもよいし、70〜260質量部、及び140〜230質量部のいずれかであってもよい。前記合計含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの収率がより向上する。前記合計含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの内包保持性能がより高くなる。
前記マイクロカプセルは、その壁材成分として、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子という、少なくとも2種のアニオン性高分子を含んでいることにより、その平均粒子径が小さく、内包保持性能が高くなる。例えば、マイクロカプセルが、壁材成分として、アニオン性高分子を1種のみ含んでいる場合には、マイクロカプセル自体の凝集又は合一が生じたり、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の凝集又は合一が生じたりすることがある。このような場合、マイクロカプセルがきれいに形成されないか、又は形成されたとしても、粒子径が顕著に大きくなってしまう。
<ポリフェノール類>
前記ポリフェノール類は、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有する、換言すると、ベンゼン環骨格、ナフタレン環骨格等の芳香族環を有し、かつ、前記芳香族環の環骨格を構成している炭素原子に直接結合している、2個以上の水酸基(−OH)を有するもの、であれば、特に限定されない。
前記ポリフェノール類の一部又は全ては、マイクロカプセル中で、壁材成分同士を結び付けることに寄与していると推測される。より具体的には、ポリフェノール類中のフェノール性水酸基が、1分子の壁材成分中の異なる部位同士の間に介在して、これら部位同士を水素結合又は電気的引力により連結させているか、又は、2分子の壁材成分同士の間に介在して、これら2分子同士を水素結合又は電気的引力により連結させていると推測される。すなわち、ポリフェノール類は、公知の架橋剤と同様の作用を発現していると推測され、本明細書においては、このようなポリフェノール類を架橋剤と称することがある。ポリフェノール類は、例えば、ゼラチン中のアミノ基(−NH)又はその水素イオンの付加物(−NH )との間で、水素結合を形成していると推測される。
前記ポリフェノール類としては、例えば、タンニン酸、カテキン、クロロゲン酸、没食子酸、キナ酸、カフェ酸等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成するポリフェノール類は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、ポリフェノール類の含有量は、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100質量部に対して、20〜70質量部、30〜60質量部、及び40〜50質量部のいずれかであってもよい。ポリフェノール類の前記含有量が前記下限値以上であることで、前記マイクロカプセルの壁材が、より強固になる。ポリフェノール類の前記含有量が前記上限値以下であることで、ポリフェノール類の過剰使用が抑制される。
前記マイクロカプセルは、壁材を強固にする成分として、ポリフェノール類を含んでいることにより、その平均粒子径が小さくなり、内包保持性能が高くなる。
例えば、架橋剤として作用し得る多価金属塩を、ポリフェノール類の全量に代えて用いた場合には、マイクロカプセル自体の凝集又は合一が生じたり、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の凝集又は合一が生じたりすることがある。このような場合、マイクロカプセルがきれいに形成されないか、又は形成されたとしても、粒子径が顕著に大きくなってしまう。例えば、多価金属塩として、硫酸アルミニウム(Al(SO、塩化カルシウム(CaCl)等を用いた場合に、このような傾向が顕著に認められる。多価金属塩を構成しているカチオンは、例えば、アニオン性高分子(例えば、第1アニオン性高分子、第2アニオン性高分子)中のアニオン性基との間で、電気的引力により結合していると推測される。
また、タンパク質同士を架橋する架橋剤として知られているトランスグルタミナーゼを、ポリフェノール類の全量に代えて用いた場合にも、同様の傾向が顕著に認められる。
さらに、上記のような傾向は、マイクロカプセルにおいて、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子の合計含有量が、ゼラチン(カチオン性高分子)の含有量よりも多い場合に、顕著に認められる。
一方、先の説明のとおり、マイクロカプセルが、壁材成分として、アニオン性高分子を1種のみ含んでいる場合にも、マイクロカプセル自体の凝集又は合一が生じたり、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の凝集又は合一が生じたりすることがある。そこで、このような問題点を解決するために、界面活性剤として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等の非イオン性界面活性剤を用いた場合には、平均粒子径が小さいマイクロカプセルが正常に形成されるが、マイクロカプセルの芯物質(油性成分等)の内包保持性能が低くなってしまうことがある。前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、例えば、下記一般式(G3):
HO−(CHCHO)m2−(CHCH(CH)O)n2−(CHCHO)l2−H (G3)
(一般式(G3)中、m2、n2及びl2は、それぞれ独立に2以上の整数である。)で表されるものが挙げられる。そして、非イオン性界面活性剤としては、そのHLB値が12以上のものが挙げられる。本明細書において、「HLB値」とは、特に断りのない限り、グリフィン(Griffin)法で算出された値である。
<ゼラチン以外のカチオン性高分子>
前記マイクロカプセル中の壁材は、本発明の効果を損なわない範囲において、ゼラチン以外のカチオン性高分子(本明細書においては、「他のカチオン性高分子」と称することがある)を含んで構成されていてもよい。
前記他のカチオン性高分子は、特に限定されない。
前記他のカチオン性高分子としては、例えば、キトサン、カゼイン、ポリエチレンイミン、カチオン変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
前記マイクロカプセルを構成する、前記他のカチオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記他のカチオン性高分子の含有量は、ゼラチンの含有量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0質量部であること(すなわち、マイクロカプセルが前記他のカチオン性高分子を含まないこと)が特に好ましい。他のカチオン性高分子の前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなり、マイクロカプセルの内包保持性能がより高くなり、マイクロカプセルの安定性がより向上する。また、前記壁材がより良好に形成される。
◎油性成分
前記油性成分は、本実施形態のマイクロカプセルにおける芯物質である。
本実施形態において、「油性成分」とは、「SP値(溶解パラメータ)が7.0〜11.0(cal/cm1/2である成分」を意味する。
前記油性成分は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
油性成分は、常温でオイル状であるものが好ましい。
本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記油性成分としては、例えば、動物性油、植物性油、鉱物性油等が挙げられる。
前記植物性油としては、例えば、ラベンダー精油、パーム油、パーム核油、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、コーン油、ごま油、ひまし油、アマニ油、ピーナッツオイル、オリーブオイル等が挙げられる。
ラベンダー精油は、例えば、酢酸リナリル及びリナロールを主たる構成成分とし、他に、cis−β−オシメン、trns−β−オシメン、テルピネン−4−オール、酢酸ラバンデュリル、3−オクタノン、3−酢酸オクタニル等の微量成分を含む。
前記油性成分としては、その機能の観点からは、例えば、香料、防虫剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、化粧材、消臭剤、医薬、殺菌剤、その他の化学反応剤等が挙げられる。前記化学反応剤とは、特定の化学物質と反応することにより、この化学物質の作用を阻害し、かつ、香料、防虫剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、化粧材、消臭剤、医薬及び殺菌剤、のいずれにも該当しない成分である。
前記マイクロカプセルの前記油性成分以外の成分は、生体に対する安全性が高いため、油性成分が生体に対して使用するのに適した成分である場合に、前記マイクロカプセルの優れた効果がより発揮される。
前記マイクロカプセルを構成する(換言すると、前記壁材に内包されている)前記油性成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記油性成分のうち、特に好ましいものとしては、例えば、香料が挙げられる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記油性成分の含有量は、ゼラチンの含有量100質量部に対して、例えば、400〜1200質量部、及び600〜1000質量部のいずれかであってもよい。芯物質の前記含有量がこのような範囲であるマイクロカプセルは、品質がより良好で、より容易に製造できる。
前記マイクロカプセルの平均粒子径は、20μm以下であり、18μm以下であることが好ましく、16μm以下であることがより好ましく、例えば、14μm以下、11μm以下、8μm以下、及び5μm以下のいずれかであってもよい。このように平均粒子径が小さいマイクロカプセルは、目視での視認が困難であるため、用途が限定されてしまうことがない。
前記マイクロカプセルの平均粒子径の下限値は、特に限定されない。例えば、平均粒子径が好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、さらに好ましくは3μm以上であるマイクロカプセルは、より容易に製造できる。
前記マイクロカプセルの平均粒子径は、上述のいずれかの下限値と、いずれかの上限値と、を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。例えば、一実施形態において、前記マイクロカプセルの平均粒子径は、1〜20μmであることが好ましく、2〜18μmであることがより好ましく、3〜16μmであることがさらに好ましく、例えば、3〜14μm、3〜11μm、3〜8μm、及び3〜5μmのいずれかであってもよい。
本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、粒子について、粒度分布計を用いて測定された、体積粒度分布の中位径を意味する。
前記マイクロカプセルは、経時と共に、内包された油性成分を徐々に外部に放出する徐放性を有するものとすることが可能である。このようなマイクロカプセルは、芯物質としての油性成分の作用を、長期に渡って持続させることができる。
例えば、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含み、さらに、多価金属塩を含んで構成されているマイクロカプセルは、徐放性がより高いものとして好適である。
前記マイクロカプセルは、前記ポリフェノール類を含まずに前記多価金属塩を含むのではなく、前記ポリフェノール類及び多価金属塩をともに含むことにより、本発明の効果を損なうことなく、徐放性がより高いものとなる。
多価金属塩は、マイクロカプセルにおいて、ポリフェノール類と同様に、公知の架橋剤と同様の作用を発現していると推測される。
<多価金属塩>
前記多価金属塩は、価数が2以上の金属イオン(多価金属イオン)を構成成分とするものであれば、特に限定されない。
例えば、多価金属塩は、多価金属無機塩及び多価金属有機塩のいずれであってもよい。
多価金属塩は水和物及び非水和物のいずれであってもよい。
前記多価金属無機塩としては、例えば、硫酸アルミニウム(Al(SO)、硫酸ジルコニウム(Zr(SO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸カリウムアルミニウム(カリミョウバン、AlK(SO)、硫酸アンモニウムアルミニウム(アンモニウムミョウバン、AlNH(SO)等の硫酸塩;塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、塩化バリウム(BaCl)、塩化亜鉛(ZnCl)等の塩酸塩;硝酸カルシウム(Ca(NO)等の硝酸塩等が挙げられる。
前記多価金属有機塩としては、例えば、酢酸マグネシウム((CHCOO)Mg)、酢酸カルシウム((CHCOO)Ca)等の酢酸塩等が挙げられる。
前記多価金属塩としては、多価金属無機塩及び多価金属有機塩のいずれであるかによらず、アルミニウム塩(Al塩)、ジルコニウム塩(Zr塩)、カルシウム塩(Ca塩)、マグネシウム塩(Mg塩)、バリウム塩(Ba塩)、亜鉛塩(Zn塩)等が挙げられる。
例えば、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸アンモニウムアルミニウムは、アルミニウム塩に分類される。
前記マイクロカプセルを構成する多価金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
価数が2の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩で、好ましいものとしては、例えば、アルミニウム塩及びジルコニウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。
価数が3以上の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩で、好ましいものとしては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。
前記マイクロカプセルにおいて、前記多価金属塩の含有量は、例えば、多価金属塩の種類に応じて、適宜調節できる。
価数が2の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩の場合には、マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、多価金属塩中の金属の含有量は、20〜110mmolであることが好ましく、23〜106mmolであることがより好ましい。前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの徐放性がより高くなる。前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなる。
例えば、前記多価金属塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される1種又は2種以上である場合には、マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、カルシウム塩中のカルシウムと、マグネシウム塩中のマグネシウムと、バリウム塩中のバリウムと、亜鉛塩中の亜鉛と、の合計含有量は、20〜110mmolであることが好ましく、23〜106mmolであることがより好ましい。
価数が3以上の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩の場合には、マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、前記多価金属塩中の金属の含有量は、5〜30mmolであることが好ましく、5.5〜29mmolであることがより好ましい。前記含有量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの徐放性がより高くなる。前記含有量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの平均粒子径がより小さくなる。
例えば、前記多価金属塩が、アルミニウム塩及びジルコニウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上である場合には、マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、アルミニウム塩中のアルミニウムと、ジルコニウム塩中のジルコニウムと、の合計含有量は、5〜30mmolであることが好ましく、5.5〜29mmolであることがより好ましい。
前記マイクロカプセルの徐放性の程度は、例えば、マイクロカプセルを加熱処理したときに、加熱処理前後でのマイクロカプセル中の芯物質の量から算出される、マイクロカプセルの芯物質の残存率(体積%)により、判定できる。
マイクロカプセルの芯物質の残存率(体積%)は、以下に示す方法で算出できる。
すなわち、常温下で、目的とするマイクロカプセルの水分散体を、ろ紙上に滴下し、滴下済みの前記ろ紙を40℃で2時間加熱処理し、前記加熱処理後の前記ろ紙上の残留物に対して、アセトニトリルで抽出を行い、得られた抽出物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、前記抽出物中の前記芯物質の量を定量し、下記式(i):
[マイクロカプセルの芯物質の残存率(体積%)]=[加熱処理後のろ紙上の残留物から抽出された抽出物中の芯物質の量(体積部)]/[加熱処理前のろ紙上の芯物質の量(体積部)]×100 (i)
により、マイクロカプセルの芯物質の残存率(体積%)を算出できる。
前記抽出物中の芯物質の量(体積部)は、公知の方法にしたがって、HPLCにより、予め芯物質の検量線を作成しておき、この検量線を利用することで、定量できる。
加熱処理前のろ紙上の芯物質の量(体積部)は、加熱処理を行う水分散体中のマイクロカプセルの量と、前記水分散体のろ紙上への滴下量から、算出できる。
前記芯物質の残存率が30体積%以上であるマイクロカプセルは、徐放性に特に優れると判定できる。
マイクロカプセルの芯物質の残存率は、例えば、35体積%以上、40体積%以上、45体積%以上、及び50体積%以上のいずれかであってもよい。
一方、マイクロカプセルとして、芯物質の機能を十分に発現可能なものを容易に製造できる点では、マイクロカプセルの芯物質の残存率は、70体積%以下であることが好ましい。
前記マイクロカプセルは、以下で説明するように、複合コアセルベーション法を適用することで、製造できる。このように製造した本実施形態のマイクロカプセルは、単純コアセルベーション法を適用することで製造したマイクロカプセルよりも、壁材が強固である。
<<マイクロカプセルの製造方法>>
本発明の一実施形態に係るマイクロカプセルの製造方法は、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、を混合することにより、乳化液を作製する工程(本明細書においては、「乳化工程」と称することがある)と、
水の存在下で、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(a)を作製する工程(本明細書においては、「乳化液混合工程」と称することがある)と、
前記混合液(a)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製する工程(本明細書においては、「酸性化工程」と称することがある)と、
前記混合液(c)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程(本明細書においては、「冷却工程」と称することがある)と、
冷却後の前記混合液(c)と、前記第2アニオン性高分子と、を混合することにより、混合液(d)を作製する工程(本明細書においては、「追加混合工程」と称することがある)と、
前記混合液(d)と、ポリフェノール類と、を混合することにより、混合液(e)を作製する工程(本明細書においては、「ポリフェノール類混合工程」と称することがある)と、
前記混合液(e)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程(本明細書においては、「塩基混合工程」と称することがある)と、を有する。
前記製造方法は、複合コアセルベーション法を適用したマイクロカプセルの製造方法であり、この方法により、上述の本発明のマイクロカプセルを良好に製造できる。
<乳化工程>
前記乳化工程においては、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、を混合することにより、乳化液を作製する。
前記乳化液は、ゼラチンと、水と、油性成分と、を含有する。
乳化工程で用いる前記ゼラチン及び油性成分は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
乳化工程で用いるゼラチン及び油性成分は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化工程においては、例えば、ゼラチンと、水と、油性成分と、を配合してもよいし、ゼラチン水溶液と、油性成分と、を配合してもよい。ゼラチン水溶液を配合する場合には、ゼラチン水溶液中の水以外に、別途、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
乳化工程においては、ゼラチンと、水と、油性成分と、を配合する順序は、特に限定されず、ゼラチン水溶液と、油性成分と、別途必要に応じて水と、を配合する順序も、特に限定されない。
乳化工程においては、ゼラチン水溶液と、油性成分と、別途必要に応じて水と、を配合することが好ましい。このようにすることで、均一性がより高い前記乳化液を作製できる。
乳化工程で用いる前記ゼラチン水溶液のゼラチンの濃度は、2〜20質量%であることが好ましく、3〜10質量%であることがより好ましい。
本実施形態において、「ゼラチン水溶液のゼラチンの濃度」とは、「ゼラチン水溶液における、ゼラチン水溶液の総質量(質量部)に対する、ゼラチンの含有量(質量部)の割合」を意味する。ここでは、ゼラチンを例に挙げて説明したが、他の成分の水溶液の濃度も、同様である。
乳化工程で用いる水と、前記ゼラチン水溶液は、いずれも加熱してもよい。水又はゼラチン水溶液を加熱することで、均一性がより高い前記乳化液を作製できる。
水とゼラチン水溶液の加熱温度は、40〜75℃であることが好ましく、40〜60℃であることがより好ましい。前記加熱温度が前記下限値以上であることで、加熱の効果がより顕著に得られる。前記加熱温度が前記上限値以下であることで、ゼラチン又は油性成分の変質など、加熱による弊害を抑制する効果がより高くなる。
前記ゼラチン水溶液と油性成分を配合する場合には、ゼラチン水溶液に油性成分を添加してもよいし、油性成分にゼラチン水溶液を添加してもよい。ゼラチン水溶液に油性成分を添加する場合には、油性成分をゼラチン水溶液に一括添加してもよいし、分割添加又は滴下してもよい。油性成分にゼラチン水溶液を添加する場合には、ゼラチン水溶液を油性成分に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
乳化工程において、水の使用量は、ゼラチンの使用量に対して10〜30質量倍であることが好ましく、15〜25質量倍であることがより好ましい。水の前記使用量が前記下限値以上であることで、均一性がより高い前記乳化液を作製できるなど、水を使用したことによる効果が、より高くなる。水の前記使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
ここで、水の使用量とは、ゼラチンと、水と、油性成分と、を配合する場合には、この水の量であり、ゼラチン水溶液と、油性成分と、を配合し、別途水を配合しない場合には、ゼラチン水溶液中の水の量であり、ゼラチン水溶液と、油性成分と、別途水と、を配合する場合には、ゼラチン水溶液中の水と、これとは別途配合する水と、の合計量である。
乳化工程において、油性成分の使用量は、ゼラチンの使用量に対して4〜12質量倍であることが好ましく、6〜10質量倍であることがより好ましい。油性成分の前記使用量がこのような範囲であることで、品質がより良好なマイクロカプセルをより容易に製造できる。
乳化工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、水と、油性成分と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(01)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(01)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
乳化工程で用いる他の成分(01)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化工程において、前記他の成分(01)の使用量は、特に限定されず、他の成分(01)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、乳化工程において、ゼラチンと、水と、油性成分と、の合計使用量に対する、他の成分(01)の使用量の割合([他の成分(01)の使用量]/([ゼラチンの使用量]+[水の使用量]+[油性成分の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、平均粒子径がより小さく、内包保持性能がより高いマイクロカプセルが得られる。
ここで、水の使用量とは、先に説明したとおりである。
乳化工程においては、水の存在下での、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、の混合は、15〜75℃の温度条件下で行うことが好ましく、18〜60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法は、特に限定されず、例えば、撹拌子又は撹拌翼等の撹拌手段を回転させることで、これら成分を混合する方法が挙げられる。
撹拌手段の撹拌速度は、例えば、5000〜15000rpm、及び7500〜12500rpmのいずれかであってもよいが、これに限定されない。例えば、ゼラチンの使用量が、5〜15gである場合、このような撹拌速度は、特に好適である。ただし、ゼラチンの使用量は、これに限定されない。また、このような撹拌速度は、本工程のうち、少なくとも、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、をすべて配合後に、適用することが好ましい。
乳化工程においては、ゼラチン又はゼラチン水溶液と、油性成分と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(01)と、のいずれかの成分に対して、残りの成分を添加するときに、添加対象であるいずれかの成分を撹拌しながら、残りの成分を添加してもよいし、添加対象であるいずれかの成分を撹拌せずに、残りの成分を添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
乳化工程においては、すべての成分(ゼラチン又はゼラチン水溶液と、油性成分と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(01))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1〜30分であることが好ましく、1〜10分であることがより好ましい。
乳化工程においては、例えば、加熱したゼラチン水溶液に、油性成分を単独で添加することにより、乳化液を作製することが好ましく、加熱したゼラチン水溶液に、常温下(室温下)の油性成分を単独で添加することにより、乳化液を作製してもよい。
<乳化液混合工程>
前記乳化液混合工程においては、水の存在下で、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(a)を作製する。
前記混合液(a)は、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、ゼラチンと、水と、油性成分と、を含有する。
乳化液混合工程において、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子を併用することにより、後述する追加混合工程までの間に、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の凝集又は合一が抑制される。
乳化液混合工程で用いる第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
乳化液混合工程で用いる第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子は、それぞれ、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子の分類方法は、先に説明したとおりである。
乳化液混合工程においては、例えば、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、を配合してもよいし、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を配合してもよいし、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合してもよいし、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合してもよい。第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を配合する場合には、第1アニオン性高分子水溶液中又は第2アニオン性高分子水溶液中の水以外に、別途、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
乳化液混合工程においては、第1アニオン性高分子又はその水溶液と、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、前記乳化液と、必要に応じて水と、を配合する順序は、特に限定されない。
乳化液混合工程においては、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、を配合することが好ましい。このようにすることで、均一性がより高い混合液(a)を作製できる。
乳化液混合工程で用いる第1アニオン性高分子水溶液の第1アニオン性高分子の濃度は、3〜20質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。
乳化液混合工程で用いる第2アニオン性高分子水溶液の第2アニオン性高分子の濃度は、3〜20質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。
乳化液混合工程で用いる水と、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液は、いずれも加熱してもよい。水、第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を加熱することで、均一性がより高い混合液(a)を作製できる。
水と、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液と、の加熱温度は、40〜75℃であることが好ましく、40〜60℃であることがより好ましい。前記加熱温度が前記下限値以上であることで、加熱の効果がより顕著に得られる。前記加熱温度が前記上限値以下であることで、第1アニオン性高分子、第2アニオン性高分子、ゼラチン又は油性成分の変質など、加熱による弊害を抑制する効果がより高くなる。
第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を配合する場合には、第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液に配合対象物を添加してもよいし、配合対象物に第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を添加してもよい。第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液に配合対象物を添加する場合には、配合対象物を第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液に一括添加してもよいし、分割添加若しくは滴下してもよい。配合対象物に第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を添加する場合には、第1アニオン性高分子水溶液又は第2アニオン性高分子水溶液を配合対象物に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
乳化液混合工程において、水の使用量は、第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子の合計使用量に対して、9〜21質量倍であることが好ましく、12〜18質量倍であることがより好ましい。水の前記使用量が前記下限値以上であることで、均一性がより高い混合液(a)を作製できるなど、水を使用したことによる効果が、より高くなる。水の前記使用量が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
ここで、水の使用量とは、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、を配合する場合には、この水の量である。
また、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を配合し、別途水を配合しない場合には、第1アニオン性高分子水溶液中の水の量である。
また、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、別途水と、を配合する場合には、第1アニオン性高分子水溶液中の水と、これとは別途配合する水と、の合計量である。
また、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合し、別途水を配合しない場合には、第2アニオン性高分子水溶液中の水の量である。
また、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途水と、を配合する場合には、第2アニオン性高分子水溶液中の水と、これとは別途配合する水と、の合計量である。
また、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、を配合し、別途水を配合しない場合には、第1アニオン性高分子水溶液中の水と、第2アニオン性高分子水溶液中の水と、の合計量である。
また、第1アニオン性高分子水溶液と、第2アニオン性高分子水溶液と、前記乳化液と、別途水と、を配合する場合には、第1アニオン性高分子水溶液中の水と、第2アニオン性高分子水溶液中の水と、これらとは別途配合する水と、の合計量である。
乳化液混合工程において、第1アニオン性高分子の使用量は、前記乳化液中のゼラチンの量に対して、0.1〜2.1質量倍であることが好ましく、例えば、0.1〜1.9質量倍、0.1〜1.7質量倍、0.1〜1.5質量倍、及び0.1〜1.3質量倍のいずれかであってもよいし、0.6〜2.1質量倍、1.1〜2.1質量倍、及び1.6〜2.1質量倍のいずれかであってもよいし、0.6〜1.9質量倍、及び1.1〜1.7質量倍のいずれかであってもよい。第1アニオン性高分子の使用量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しない第1アニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
乳化液混合工程において、第2アニオン性高分子の使用量は、前記乳化液中のゼラチンの量に対して、例えば、0.01〜0.6質量倍であることが好ましく、0.05〜0.3質量倍であることがより好ましい。
乳化液混合工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、油性成分と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(02)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(02)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
乳化液混合工程で用いる他の成分(02)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
乳化液混合工程において、前記他の成分(02)の使用量は、特に限定されず、他の成分(02)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、乳化液混合工程において、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、前記乳化液と、の合計使用量に対する、他の成分(02)の使用量の割合([他の成分(02)の使用量]/([第1アニオン性高分子の使用量]+[第2アニオン性高分子の使用量]+[水の使用量]+[前記乳化液の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、平均粒子径がより小さく、内包保持性能がより高いマイクロカプセルが得られる。
ここで、水の使用量とは、先に説明したとおりである。
乳化液混合工程においては、水の存在下での、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、必要に応じて他の成分(02)と、の混合は、30〜75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40〜60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
水の存在下で、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、必要に応じて他の成分(02)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
乳化液混合工程においては、第1アニオン性高分子又はその水溶液と、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(02)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
乳化液混合工程においては、すべての成分(第1アニオン性高分子又はその水溶液と、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、前記乳化液と、別途必要に応じて水と、必要に応じて他の成分(02))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1〜30分であることが好ましく、1〜10分であることがより好ましい。
乳化液混合工程においては、例えば、加熱した第1アニオン性高分子水溶液に、前記乳化液を単独で添加し、次いで、得られたものに、加熱した第2アニオン性高分子水溶液を添加することにより、混合液(a)を作製することが好ましい。そして、加熱した第1アニオン性高分子水溶液に、25℃以上の前記乳化液を単独で添加し、次いで、得られたものに、加熱した第2アニオン性高分子水溶液を添加することにより、混合液(a)を作製してもよい。
<酸性化工程>
前記酸性化工程においては、前記混合液(a)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製する。
混合液(a)中のゼラチンは、カチオン性基を有していないために、カチオン性高分子とは見做せない状態にあるか、又は、カチオン性基を有していても、その数が少なく、カチオン性高分子としての性質を十分に有していない状態にある。
これに対して、混合液(c)中のゼラチンは、酸の作用によって、カチオン性基の数が十分に多く、カチオン性高分子としての性質を十分に有している状態であり、明らかにカチオン性高分子である。
すなわち、混合液(c)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、油性成分と、を含有する。
酸性化工程で用いる前記酸は、特に限定されず、例えば、無機酸及び有機酸のいずれであってもよい。
前記無機酸としては、例えば、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)等が挙げられる。
前記有機酸としては、例えば、クエン酸(HOOCCHC(COOH)(OH)CHCOOH)、酢酸(CHCOOH)等が挙げられる。
酸性化工程で用いる酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化工程においては、酸を単独で添加してもよいし、酸を水溶液として添加してもよい。酸水溶液を用いることで、pHが調節された混合液(c)の作製が、より容易となる。
酸性化工程で用いる前記酸水溶液の酸の濃度は、酸の種類に応じて適宜調節できるが、10〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。
前記酸水溶液と混合液(a)を配合する場合には、混合液(a)に酸水溶液を添加することが好ましく、酸水溶液を混合液(a)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
酸を水溶液として添加しない場合には、混合液(a)に酸を添加することが好ましく、酸を混合液(a)に一括添加してもよいし、滴下又は分割添加してもよい。
酸性化工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、油性成分と、酸と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(03)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(03)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択でき、例えば、水であってもよい。すなわち、酸性化工程においては、酸を単独で添加する場合と、酸を水溶液として添加する場合と、のいずれであるかによらず、他の成分(03)として別途水を添加してもよい。本明細書においては、他の成分(03)としての水を「水(03)」と称することがある。
水(03)を用いる場合には、例えば、混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、を混合することにより、酸性の混合液(b)を作製し、次いで、酸性の混合液(b)と水(03)を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製できる。
また、水(03)を用いる場合には、例えば、混合液(a)と水(03)を混合することにより、混合液(a)を希釈し、次いで、この希釈した混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製できる。
酸性化工程で用いる他の成分(03)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
酸性化工程において、前記他の成分(03)の使用量は、特に限定されず、他の成分(03)の種類に応じて適宜調節できる。
例えば、他の成分(03)が水以外の成分である場合、酸性化工程において、混合液(a)と、酸と、の合計使用量に対する、他の成分(03)の使用量の割合([他の成分(03)の使用量]/([混合液(a)の使用量]+[酸の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記割合が前記上限値以下であることで、平均粒子径がより小さく、内包保持性能がより高いマイクロカプセルが得られる。
ここで、酸の使用量とは、酸を水溶液として添加しない場合には、この酸の量であり、酸を水溶液として添加する場合には、酸水溶液中の酸の量である。
一方、他の成分(03)が水である場合、酸性化工程において、混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、の合計使用量に対する、水(03)の使用量の割合([水(03)の使用量]/([混合液(a)の使用量]+[酸又は酸水溶液の使用量])×100)は、10〜100質量%であることが好ましく、例えば、20〜90質量%、30〜80質量%、及び40〜70質量%のいずれかであってもよい。前記割合が前記下限値以上であることで、水を用いたことによる効果がより顕著に得られる。前記割合が前記上限値以下であることで、水の過剰使用が抑制される。
ここで、酸の使用量とは、上記と同じである。
酸性化工程においては、混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する場合、これらの混合は、30〜75℃の温度条件下で行うことが好ましく、40〜60℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
例えば、水(03)を用いる場合には、このような温度に調節(加熱)した水(03)を混合することが好ましい。
混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
酸性化工程においては、混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
酸性化工程においては、すべての成分(混合液(a)と、酸又は酸水溶液と、必要に応じて他の成分(03))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、例えば、1〜10分であってもよい。
酸性化工程においては、例えば、酸水溶液を混合液(a)に添加又は滴下することにより、酸性の混合液(c)を作製することが好ましく、酸水溶液を混合液(a)に滴下することにより、酸性の混合液(c)を作製することがより好ましい。
水(03)を用いる場合には、水(03)を対象物に添加又は滴下することにより、酸性の混合液(c)を作製することが好ましい。
酸性化工程の開始時から終了時までに、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、を含有する液体が示すpHの最小値は、2〜5であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。前記pHの最小値が前記上限値以下であることで、ゼラチンが第1アニオン性高分子及び第2アニオン性高分子とともにより安定して壁材を構成する。前記pHの最小値が前記下限値以上であることで、前記液体の過度なpH低下が避けられる。
前記液体は、例えば、混合液(c)であってもよいし、混合液(c)を得る前の途中の段階の混合液であってもよい。
<冷却工程>
前記冷却工程においては、前記混合液(c)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する。
混合液(c)を冷却することにより、混合液(c)中において、油性成分を内包した壁材の析出が促進される。
冷却時の混合液(c)の温度は、0〜10℃であることが好ましく、2〜9℃であることがより好ましい。前記温度が前記上限値以下であることで、混合液(c)の冷却効果がより顕著に得られる。前記温度が前記下限値以上であることで、混合液(c)の過剰な冷却が抑制される。
混合液(c)の冷却速度は、特に限定されないが、0.2〜2.0℃/minであることが好ましく、0.3〜1.0℃/minであることがより好ましい。前記冷却速度がこのような範囲であることで、混合液(c)の冷却効果がより顕著に得られる。
<追加混合工程>
前記追加混合工程においては、冷却後の前記混合液(c)と、前記第2アニオン性高分子と、を混合することにより、混合液(d)を作製する。すなわち、本工程においては、冷却後の混合液(c)に、第2アニオン性高分子を追加混合する。
混合液(d)は、ゼラチン(カチオン性高分子)と、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、油性成分と、を含有する。
本実施形態においては、前記乳化液混合工程で第2アニオン性高分子を配合するのに加え、さらに、追加混合工程でも第2アニオン性高分子を配合することにより、以降の工程において、マイクロカプセル自体の凝集又は合一と、マイクロカプセルの形成過程にある壁材成分の凝集又は合一と、がともに抑制され、平均粒子径が小さいマイクロカプセルが得られる。
追加混合工程で用いる第2アニオン性高分子は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
追加混合工程で用いる第2アニオン性高分子は、乳化液混合工程で用いる第2アニオン性高分子と、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
追加混合工程で用いる第2アニオン性高分子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
[乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の使用量(質量部)]:[追加混合工程における第2アニオン性高分子の使用量(質量部)]の質量比は、75:25〜25:75であることが好ましく、例えば、68:32〜32:68、61:39〜39:61、及び55:45〜45:55のいずれかであってもよい。前記質量比がこのような範囲であることで、平均粒子径がより小さいマイクロカプセルが得られる。
後述するポリフェノール類混合工程において、多価金属塩を混合する場合には、前記質量比は、75:25〜25:75であることが好ましいが、例えば、60:40〜25:75、50:50〜25:75、及び40:60〜25:75のいずれかであってもよい。前記質量比がこのような範囲であっても、多価金属塩を併用しつつ、平均粒子径がより小さいマイクロカプセルが得られる。
追加混合工程と乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の合計使用量(追加混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、の合計量)は、ゼラチンの使用量に対して、0.03〜0.8質量倍であることが好ましく、例えば、0.03〜0.7質量倍、0.03〜0.6質量倍、0.03〜0.5質量倍、及び0.03〜0.4質量倍のいずれかであってもよいし、0.1〜0.8質量倍、0.3〜0.8質量倍、及び0.5〜0.8質量倍のいずれかであってもよいし、0.1〜0.7質量倍、及び0.3〜0.6質量倍のいずれかであってもよい。前記合計使用量がこのような範囲であることで、壁材の構成に寄与しない第2アニオン性高分子又はゼラチンの量を低減できる。
乳化液混合工程における第1アニオン性高分子の使用量は、追加混合工程と乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の合計使用量(追加混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、の合計量)に対して、1〜6質量倍であることが好ましく、例えば、2〜6質量倍、及び3〜6質量倍のいずれかであってもよいし、1〜5質量倍、及び1〜4質量倍のいずれかであってもよいし、2〜5質量倍、及び3〜4質量倍のいずれかであってもよい。前記使用量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの収率がより向上する。前記使用量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの内包保持性能がより高くなる。
乳化液混合工程における第1アニオン性高分子の使用量と、追加混合工程と乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の合計使用量と、の合計量(乳化液混合工程における第1アニオン性高分子の使用量と、追加混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、乳化液混合工程における第2アニオン性高分子の使用量と、の合計量)は、ゼラチンの使用量に対して、0.13〜2.9質量倍であることが好ましく、例えば、0.13〜2.6質量倍、0.13〜2.3質量倍、0.13〜2質量倍、及び0.13〜1.7質量倍のいずれかであってもよいし、0.7〜2.9質量倍、1.4〜2.9質量倍、及び2.1〜2.9質量倍のいずれかであってもよいし、0.7〜2.6質量倍、及び1.4〜2.3質量倍のいずれかであってもよい。前記合計量が前記下限値以上であることで、マイクロカプセルの収率がより向上する。前記合計量が前記上限値以下であることで、マイクロカプセルの内包保持性能がより高くなる。
追加混合工程においては、例えば、第2アニオン性高分子と、冷却後の混合液(c)と、を配合してもよいし、第2アニオン性高分子水溶液と、冷却後の混合液(c)と、を配合してもよい。そして、第2アニオン性高分子を単独で配合する場合と、第2アニオン性高分子を水溶液として配合する場合と、のいずであるかによらず、別途、水を配合してもよいし、配合しなくてもよい。
追加混合工程においては、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、冷却後の混合液(c)と、必要に応じて水と、を配合する順序は、特に限定されない。
追加混合工程においては、第2アニオン性高分子水溶液と、冷却後の混合液(c)と、別途必要に応じて水と、を配合することが好ましい。このようにすることで、均一性がより高い混合液(d)を作製できる。
追加混合工程で用いる第2アニオン性高分子水溶液の第2アニオン性高分子の濃度は、3〜20質量%であることが好ましく、5〜12質量%であることがより好ましい。
第2アニオン性高分子水溶液を配合する場合には、第2アニオン性高分子水溶液に配合対象物を添加してもよいし、配合対象物に第2アニオン性高分子水溶液を添加してもよい。第2アニオン性高分子水溶液に配合対象物を添加する場合には、配合対象物を第2アニオン性高分子水溶液に一括添加してもよいし、分割添加若しくは滴下してもよい。配合対象物に第2アニオン性高分子水溶液を添加する場合には、第2アニオン性高分子水溶液を配合対象物に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
追加混合工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、水と、油性成分と、酸と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(04)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(04)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
追加混合工程で用いる他の成分(04)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
追加混合工程において、前記他の成分(04)の使用量は、特に限定されず、他の成分(04)の種類に応じて適宜調節できる。
通常は、追加混合工程において、第2アニオン性高分子と、冷却後の混合液(c)と、の合計使用量に対する、他の成分(04)の使用量の割合([他の成分(04)の使用量]/([第2アニオン性高分子の使用量]+[冷却後の混合液(c)の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、平均粒子径がより小さく、内包保持性能がより高いマイクロカプセルが得られる。
追加混合工程は、通常、前記冷却工程に次いで、直ちに連続して行う。
したがって、追加混合工程開始時の混合液(c)の温度は、冷却工程終了時の混合液(c)の温度と同じである。
追加混合工程においては、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、冷却後の混合液(c)と、必要に応じて他の成分(04)と、の混合は、0〜10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2〜9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。追加混合工程での、この混合時の温度範囲は、前記冷却工程での混合液(c)の温度範囲と一致してもよいし、一致しなくてもよい。
第2アニオン性高分子又はその水溶液と、冷却後の混合液(c)と、必要に応じて他の成分(04)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
追加混合工程においては、第2アニオン性高分子又はその水溶液と、冷却後の前記混合液(c)と、必要に応じて他の成分(04)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
追加混合工程においては、すべての成分(第2アニオン性高分子又はその水溶液と、冷却後の前記混合液(c)と、必要に応じて他の成分(04))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1〜30分であることが好ましく、1〜10分であることがより好ましい。
追加混合工程においては、例えば、冷却後の混合液(c)に、第2アニオン性高分子水溶液を添加又は滴下することにより、混合液(d)を作製することが好ましい。
<ポリフェノール類混合工程>
前記ポリフェノール類混合工程においては、前記混合液(d)と、ポリフェノール類と、を混合することにより、混合液(e)を作製する。
本工程を行うことにより、目的とする、平均粒子径が小さく、内包保持性能が高いマイクロカプセルが、水分散体として得られる。
混合液(e)中においては、ポリフェノール類中のフェノール性水酸基の作用により、壁材成分同士が結び付けられ、壁材が強固なマイクロカプセルが形成される。このときのフェノール性水酸基の作用は、先に説明したとおりである。
すなわち、混合液(e)は、目的とするマイクロカプセルを含有する。
ポリフェノール類混合工程で用いるポリフェノール類は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。
ポリフェノール類混合工程で用いるポリフェノール類は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
ポリフェノール類混合工程においては、ポリフェノール類を単独で配合してもよいが、水溶液として配合することが好ましい。ポリフェノール類水溶液を用いることで、構造がより安定したマイクロカプセルが得られる。
ポリフェノール類混合工程で用いる前記ポリフェノール類水溶液のポリフェノール類の濃度は、ポリフェノール類の種類に応じて適宜調節できるが、15〜45質量%であることが好ましく、20〜30質量%であることがより好ましい。
前記ポリフェノール類水溶液と混合液(d)を配合する場合には、混合液(d)にポリフェノール類水溶液を添加することが好ましく、ポリフェノール類水溶液を混合液(d)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
ポリフェノール類を水溶液として添加しない場合には、混合液(d)にポリフェノール類を添加することが好ましく、ポリフェノール類を混合液(d)に一括添加してもよいし、分割添加してもよい。
ポリフェノール類混合工程において、ポリフェノール類の使用量は、混合液(d)中のゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計量に対して、0.2〜0.7質量倍、0.3〜0.6質量倍、及び0.4〜0.5質量倍のいずれかであってもよい。ポリフェノール類の前記使用量が前記下限値以上であることで、前記マイクロカプセルの壁材が、より強固になる。ポリフェノール類の前記使用量が前記上限値以下であることで、ポリフェノール類の過剰使用が抑制される。
ポリフェノール類混合工程においては、本発明の効果を損なわない範囲で、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、油性成分と、酸と、ポリフェノール類と、のいずれにも該当しない他の成分(本明細書においては、「他の成分(05)」と称することがある)を混合してもよい。
前記他の成分(05)は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
ポリフェノール類混合工程で用いる他の成分(05)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
前記他の成分(05)としては、例えば、多価金属塩、水が挙げられる。
ポリフェノール類混合工程で用いる多価金属塩は、先に説明したものであり、ここではその詳細な説明を省略する。多価金属塩を用いた場合に得られる効果は、先に説明したとおりである。
ポリフェノール類混合工程においては、多価金属塩を単独で配合してもよいが、水溶液として配合することが好ましい。多価金属塩水溶液を用いることで、構造がより安定したマイクロカプセルが得られる。
ポリフェノール類混合工程で用いる前記多価金属塩水溶液の多価金属塩の濃度は、多価金属塩の種類に応じて適宜調節できるが、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
ポリフェノール類混合工程において、前記他の成分(05)の使用量は、特に限定されず、他の成分(05)の種類に応じて適宜調節できる。
前記他の成分(05)が、価数が2の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩である場合には、ポリフェノール類混合工程において、他の成分(05)の使用量は、混合液(d)中のゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計量100g当り、前記多価金属塩中の金属(金属イオン)の量が、20〜110mmolとなる量であることが好ましく、23〜106mmolとなる量であることがより好ましい。他の成分(05)の前記使用量が前記下限値以上であることで、徐放性がより高いマイクロカプセルが得られる。他の成分(05)の前記使用量が前記上限値以下であることで、平均粒子径がより小さいマイクロカプセルが得られる。
例えば、前記多価金属塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される1種又は2種以上である場合には、「他の成分(05)の使用量」とは、「カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩の合計使用量」を意味する。
前記他の成分(05)が、価数が3以上の金属イオンを構成成分とする前記多価金属塩である場合には、ポリフェノール類混合工程において、他の成分(05)の使用量は、混合液(d)中のゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計量100g当り、前記多価金属塩中の金属(金属イオン)の量が、5〜30mmolとなる量であることが好ましく、5.5〜29mmolとなる量であることがより好ましい。他の成分(05)の前記使用量が前記下限値以上であることで、徐放性がより高いマイクロカプセルが得られる。他の成分(05)の前記使用量が前記上限値以下であることで、平均粒子径がより小さいマイクロカプセルが得られる。
例えば、前記多価金属塩が、アルミニウム塩及びジルコニウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上である場合には、「他の成分(05)の使用量」とは、「アルミニウム塩及びジルコニウム塩の合計使用量」を意味する。
前記他の成分(05)が前記多価金属塩以外の成分である場合、通常は、ポリフェノール類混合工程において、前記混合液(d)と、ポリフェノール類と、の合計使用量に対する、他の成分(05)の使用量の割合([他の成分(05)の使用量]/([混合液(d)の使用量]+[ポリフェノール類の使用量])×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記割合がこのような範囲であることで、平均粒子径がより小さく、内包保持性能がより高いマイクロカプセルが得られる。
ポリフェノール類混合工程においては、混合液(d)と、ポリフェノール類又はポリフェノール類水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、を混合する場合、これらの混合は、0〜10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2〜9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。このような温度で混合することにより、構造がより安定したマイクロカプセルが得られる。
ポリフェノール類混合工程での、この混合時の温度範囲は、前記冷却工程での混合液(c)の温度範囲、又は追加混合工程での混合液(d)の温度範囲と一致してもよいし、一致しなくてもよい。
混合液(d)と、ポリフェノール類又はポリフェノール類水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
ポリフェノール類混合工程においては、混合液(d)と、ポリフェノール類又はポリフェノール類水溶液と、必要に応じて他の成分(05)と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
ポリフェノール類混合工程においては、すべての成分(混合液(d)と、ポリフェノール類又はポリフェノール類水溶液と、必要に応じて他の成分(05))を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、1〜30分であることが好ましく、1〜10分であることがより好ましい。
ポリフェノール類混合工程においては、例えば、ポリフェノール類水溶液を混合液(d)に添加することにより、混合液(e)を作製することが好ましく、混合液(d)の温度を一定に保った状態で、ポリフェノール類水溶液を混合液(d)に添加することにより、混合液(e)を作製することがより好ましい。
前記多価金属塩を用いる場合には、ポリフェノール類混合工程においては、ポリフェノール類及び多価金属塩を、この順で混合してもよいし、多価金属塩及びポリフェノール類の順で混合してもよいし、ポリフェノール類及び多価金属塩を同時に混合してもよい。平均粒子径がより小さいマイクロカプセルが得られる点では、ポリフェノール類混合工程においては、ポリフェノール類及び多価金属塩を、この順で混合することが好ましい。
前記多価金属塩を用いる場合には、ポリフェノール類混合工程においては、多価金属塩水溶液を対象物(例えば、ポリフェノール類を混合する前又は混合した後の混合液(d))に添加することにより、混合液(e)を作製することが好ましく、前記対象物の温度を一定に保った状態で、多価金属塩水溶液を前記対象物に添加することにより、混合液(e)を作製することがより好ましい。
<塩基混合工程>
前記塩基混合工程においては、前記混合液(e)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する。
塩基混合工程で得られたマイクロカプセルは、水分散体中において、その構造がより安定する。
塩基混合工程で得られる、マイクロカプセルの水分散体のpHは、マイクロカプセルが安定して存在できる限り、特に限定されないが、4〜7であることが好ましく、例えば、4〜6であってもよい。
塩基混合工程で用いる前記塩基は、特に限定されず、例えば、無機塩基及び有機塩基のいずれであってもよい。
前記無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸リチウム(LiCO)等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)等のアルカリ金属の炭酸水素塩等が挙げられる。
前記有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン((CHCHN)等のアルキルアミン等が挙げられる。
塩基混合工程で用いる塩基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に選択できる。
塩基混合工程においては、塩基を単独で配合してもよいし、塩基を水溶液として配合してもよい。塩基水溶液を用いることで、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を、より容易に作製できる。
塩基混合工程で用いる前記塩基水溶液の塩基の濃度は、塩基の種類に応じて適宜調節できるが、10〜40質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
前記塩基水溶液と混合液(e)を配合する場合には、混合液(e)に塩基水溶液を添加することが好ましく、塩基水溶液を混合液(e)に一括添加してもよいし、滴下してもよい。
塩基を水溶液として添加しない場合には、混合液(e)に塩基を添加することが好ましく、塩基を混合液(e)に一括添加してもよいし、滴下又は分割添加してもよい。
塩基混合工程においては、混合液(e)と、塩基又は塩基水溶液と、を混合する場合、これらの混合は、0〜10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2〜9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
混合液(e)と、塩基又は塩基水溶液と、を混合する方法は、特に限定されず、上述の乳化工程において、水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、必要に応じて他の成分(01)と、を混合する方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
塩基混合工程においては、混合液(e)と、塩基又は塩基水溶液と、のいずれかの添加対象物に対して、残りのものを添加するときに、添加対象物を撹拌しながら、残りのものを添加してもよいし、添加対象物を撹拌せずに、残りのものを添加することによって、すべての成分を配合した後に、この配合物を撹拌してもよい。
塩基混合工程においては、すべての成分(混合液(e)と、塩基又は塩基水溶液)を配合後に、得られた配合物を撹拌する時間は、例えば、1〜8時間であることが好ましく、2〜6時間であることがより好ましい。前記時間が前記下限値以上であることで、塩基を用いたことによる効果がより顕著に得られる。前記時間が前記上限値以下であることで、塩基混合工程の所要時間が過剰に長くなることが避けられる。
このように、すべての成分を配合後に得られた配合物を撹拌するときには、前記配合物の撹拌を、15〜40℃の温度条件下で行うことが好ましく、18〜30℃の温度条件下で行うことがより好ましく、常温下(例えば室温下)で行ってもよい。
塩基混合工程においては、例えば、塩基水溶液を混合液(e)に添加又は滴下することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製することが好ましく、塩基水溶液を混合液(e)に滴下することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製することがより好ましい。
塩基水溶液の混合液(e)への添加又は滴下は、0〜10℃の温度条件下で行うことが好ましく、2〜9℃の温度条件下で行うことがより好ましい。
<他の工程>
本実施形態のマイクロカプセルの製造方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の乳化工程と、乳化液混合工程と、酸性化工程と、冷却工程と、追加混合工程と、ポリフェノール類混合工程と、塩基混合工程と、のいずれにも該当しない、他の工程を有していてもよい。
他の工程の種類と、他の工程の数と、他の工程を行うタイミングは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。
前記製造方法によって得られたマイクロカプセルは、そのまま水分散体として用いてもよいし、公知の後処理、精製等を行って得られた水分散体を、そのまま用いてもよいし、必要に応じて公知の後処理、精製等を行った後、分散媒を除去することにより、マイクロカプセルの単体として用いてもよい。
前記マイクロカプセルは、いずれの状態であっても(特に、分散媒を除去した後の単体であっても)芯物質である油性成分の内包保持性能が高い。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
下記実施例及び比較例において用いた高分子の一部を表1に示す。
Figure 2021183322
高分子(Z)−5は、以下の方法で調製した。
すなわち、蒸留水(94.25質量部)に対して、エチレン無水マレイン酸共重合体(Aldrich社製)(5質量部)、水酸化ナトリウム(関東化学社製)(0.75質量部)を添加し、80℃で2時間加熱撹拌した。これにより加水分解反応を行い、無水マレイン酸から誘導された構成単位における環構造(酸無水物部位)を開環させて、高分子(Z)−5を得た。
[実施例1]
<<マイクロカプセルの製造>>
濃度が5質量%であるゼラチン(MP Biomedicals社製「Type A」)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、室温下(23℃の条件下)のラベンダー精油(Ash社製)(50g)を添加し、乳化機(プライミクス社製)を用いて、撹拌速度10000rpmで、室温下で3分撹拌することにより、乳化液を作製した(乳化工程)。
濃度が6質量%である高分子(Z)−1(アラビアガム、第1アニオン性高分子に相当)の水溶液(130g)を50℃に加熱し、この水溶液に、上記で得られた乳化液の全量を添加して撹拌した。
次いで、濃度が10質量%である高分子(Z)−2(カルボキシメチルセルロースナトリウム、第2アニオン性高分子に相当)の水溶液(10g)を50℃に加熱し、この加熱した水溶液の全量を、上記で得られたものに添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(a)を作製した(乳化液混合工程)。
次いで、50℃の条件下で、混合液(a)を撹拌しながら、ここへ、室温下の、濃度が50質量%であるクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を滴下し、2分撹拌して、混合液(a)のpHを3.8に調節することにより、酸性の混合液(b)を作製した。
次いで、50℃の条件下で、混合液(b)を撹拌しながら、ここへ、温度が50℃の蒸留水(200g)を添加し、温度を50℃に維持したままで2分撹拌することにより、酸性の混合液(c)を作製した(以上、酸性化工程)。
次いで、冷却速度0.5℃/minで、得られた混合液(c)を撹拌しながら、その温度が5℃となるまで冷却した(冷却工程)。
次いで、この5℃の温度で撹拌している混合液(c)に、濃度が10質量%である高分子(Z)−2(第2アニオン性高分子に相当)の水溶液(10g)を添加し、温度を5℃に維持したままで2分撹拌することにより、混合液(d)を作製した(追加混合工程)。
次いで、混合液(d)に、濃度が25質量%であるタンニン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(30g)を添加し、5℃の温度条件下のままで2分撹拌することにより、混合液(e)を作製した(ポリフェノール類混合工程)。
次いで、5℃の条件下で、混合液(e)を撹拌しながら、ここへ、濃度が20質量%である水酸化ナトリウム(関東化学社製)の水溶液を滴下して、混合液(e)のpHを6.0に調節し、次いで、このpH調節後の混合液(e)を、室温下で4時間撹拌することにより、マイクロカプセルの水分散体を作製した(塩基混合工程)。
以上により、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。
本実施例で用いた原料を表2に示す。原料のうち、「乳化液と混合する高分子」と、「酸添加・冷却後の混合液と混合する高分子」と、のいずれにも該当しない成分(例えば、架橋剤)を、表2中では「添加剤」と記載している。これは、続く表3においても同様である。
<<マイクロカプセルの評価>>
<マイクロカプセルの生成度合いの評価>
走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製「JSM−6700F」)を用いて、上記で得られた水分散体中の生成物の外観を観察し、壁材の形成度合いを確認することにより、マイクロカプセルの生成度合いを、下記基準に従って評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
A:壁材が正常に形成されており、マイクロカプセルが正常に生成している。
B:壁材が形成されていたが、マイクロカプセルがきれいに生成していない。
C:壁材が正常に形成されておらず、マイクロカプセルが生成していない。
表4中、「評価結果」の欄中の「−」との記載は、その項目が未評価であることを意味する。これは、続く表5においても同様である。
<マイクロカプセルの平均粒子径の測定>
粒度分布測定装置(シスメックス社製「CDA−1000X」)と、上記で得られた水分散体を用い、マイクロカプセルの平均粒子径を測定した。結果を表4に示す。
<マイクロカプセルの内包保持性能の評価>
ワイヤーバー(No.30)を用いて、上記で得られたマイクロカプセルの水分散体を上質紙上に塗工し、オーブンを用いて、105℃で10分乾燥させた。
次いで、得られた乾燥物上に、質量4kgの円柱状の錘を、その曲面(側面)を前記乾燥物に接触させて載置し、この乾燥物上で前記錘を転がして5往復させた。
次いで、前記乾燥物からラベンダー精油の香りがするか否か、を確認することにより、マイクロカプセルの内包保持性能を、下記基準に従って評価した。結果を表4に示す。
[評価基準]
A:前記乾燥物からラベンダー精油の香りがしておらず、マイクロカプセルの内包保持性能が高かった。
B:前記乾燥物からラベンダー精油の香りがしており、マイクロカプセルの内包保持性能が認められないか、又は低かった。
<マイクロカプセルの安全性の分類>
得られたマイクロカプセルの生体に対する安全性を、壁材の製造原料に基づいて、下記基準に従って分類した。結果を表4に示す。
[分類基準]
A:壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いておらず、マイクロカプセルの生体に対する安全性が高い。
B:壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いており、マイクロカプセルの生体に対する安全性が低い。
<マイクロカプセルの徐放性の評価>
上記で得られたマイクロカプセルの水分散体(50μL)を、ろ紙(ADVANTEC社製「No.3」)上に滴下し、滴下済みの前記ろ紙をオーブンの内部に配置して、40℃で2時間加熱処理した。
次いで、前記ろ紙をオーブンの内部から取り出し、ろ紙上の残留物に対して、アセトニトリル(30mL)で抽出を行い、得られた抽出物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、前記抽出物中の前記芯物質の量を定量した。そして、その定量値から、先に説明した式(i)を用いて、マイクロカプセルの芯物質の残存率(体積%)を算出した。結果を表4(「徐放性(残存率(体積%))」の欄)に示す。
<<マイクロカプセルの製造及び評価>>
[実施例2]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−3(アルギン酸ナトリウム)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、アルギン酸ナトリウム(高分子(Z)−3)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[実施例3]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−4(ιカラギーナン)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、ιカラギーナン(高分子(Z)−4)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[実施例4]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−5(エチレン無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウムによる開環物)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、エチレン無水マレイン酸共重合体の水酸化ナトリウムによる開環物(高分子(Z)−5)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[実施例5]
高分子(Z)−1に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−3を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アルギン酸ナトリウム(高分子(Z)−3)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[実施例6]
高分子(Z)−1に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−2を用いた点と、前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−3を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、アルギン酸ナトリウム(高分子(Z)−3)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[比較例1]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2を用いなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
本比較例で用いた原料を表3に示す。
表3中、「原料」の欄中の「−」との記載は、その原料が不使用であることを意味する。
[比較例2]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−7(ポリビニルアルコール)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例3]
前記乳化液混合工程及び追加混合工程において、いずれも、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−8(キトサン)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例4]
前記追加混合工程において、高分子(Z)−2を用いなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例5]
前記乳化液混合工程において、高分子(Z)−2を用いなかった点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例6]
高分子(Z)−1に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−2を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例7]
タンニン酸に代えて、同量(質量部)の硫酸アルミニウム(Al(SO、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[比較例8]
タンニン酸に代えて、同量(質量部)の塩化カルシウム(CaCl、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルの製造及び評価を試みた。結果を表5に示す。
[比較例9]
タンニン酸に代えて、同量(質量部)のトランスグルタミナーゼ(味の素社製)を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルの製造及び評価を試みた。結果を表5に示す。
[参考例1]
前記乳化液混合工程において、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−6(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー)を用いた点と、追加混合工程において、高分子(Z)−2を用いなかった点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
[参考例2]
前記乳化液混合工程において、高分子(Z)−2に代えて、同量(質量部)の高分子(Z)−6を用いた点と、追加混合工程において、高分子(Z)−2を用いなかった点と、タンニン酸に代えて、同量(質量部)の硫酸アルミニウム(Al(SO、富士フィルム和光純薬社製)を用いた点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表5に示す。
<<マイクロカプセルの製造及び評価>>
[実施例7]
前記酸性化工程において、温度が50℃の蒸留水(200g)の添加を省略した点と、前記追加混合工程において、高分子(Z)−2の水溶液の使用量を、10gに代えて20gとした点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
[実施例8]
前記酸性化工程において、温度が50℃の蒸留水(200g)の添加を省略した点と、前記追加混合工程において、高分子(Z)−2の水溶液の使用量を、10gに代えて20gとした点と、前記ポリフェノール類混合工程において、前記タンニン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(30g)を添加した後、さらに、濃度が10質量%である硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO)、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(10g)を添加してから、5℃の温度条件下のままで2分撹拌した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と硫酸カリウムアルミニウム(多価金属塩)を含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸カリウムアルミニウム中のアルミニウムの含有量は、6mmolであった。結果を表4に示す。
表2中、「添加剤」の欄に記載している原料のうち、硫酸カリウムアルミニウム(AlK(SO)、すなわち多価金属塩については、上述のアルミニウムの含有量(mmol)、すなわち、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、多価金属塩中の金属の含有量(mmol)を、カッコ内に併記している。これは、多価金属塩を使用している以降の他の実施例においても同様である。
[実施例9]
前記硫酸カリウムアルミニウムの使用量(質量部)を2倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸カリウムアルミニウム中のアルミニウムの含有量を、6mmolに代えて12mmolとした点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例10]
前記硫酸カリウムアルミニウムの使用量(質量部)を4倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸カリウムアルミニウム中アルミニウムの含有量を、6mmolに代えて24mmolとした点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例11]
前記ポリフェノール類混合工程において、前記硫酸カリウムアルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液に代えて、3倍(質量比)の濃度の硫酸アルミニウム(Al(SO、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を用いた点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と硫酸アルミニウムを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸アルミニウム中のアルミニウムの含有量は、18mmolであった。結果を表4に示す。
[実施例12]
前記硫酸アルミニウムの使用量(質量部)を1.56倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸アルミニウム中のアルミニウムの含有量を、18mmolに代えて28mmolとした点以外は、実施例11の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例13]
前記ポリフェノール類混合工程において、前記硫酸カリウムアルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液に代えて、4.3倍(質量比)の濃度の塩化カルシウム(CaCl、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を用いた点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と塩化カルシウムを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量は、26mmolであった。結果を表4に示す。
[実施例14]
前記塩化カルシウムの使用量(質量部)を2倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量を、26mmolに代えて52mmolとした点以外は、実施例13の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例15]
前記塩化カルシウムの使用量(質量部)を3倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量を、26mmolに代えて78mmolとした点以外は、実施例13の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例16]
前記塩化カルシウムの使用量(質量部)を4倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量を、26mmolに代えて104mmolとした点以外は、実施例13の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例17]
前記ポリフェノール類混合工程において、前記硫酸カリウムアルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液に代えて、8倍(質量比)の濃度の硫酸マグネシウム(MgSO、富士フィルム和光純薬社製)の水溶液を用いた点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と硫酸マグネシウムを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸マグネシウム中のマグネシウムの含有量は、24mmolであった。結果を表4に示す。
[実施例18]
前記硫酸マグネシウムの使用量(質量部)を2倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸マグネシウム中のマグネシウムの含有量を、24mmolに代えて48mmolとした点以外は、実施例17の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例19]
前記ポリフェノール類混合工程において、前記硫酸カリウムアルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液に代えて、塩化カルシウム(富士フィルム和光純薬社製)及び硫酸マグネシウム(富士フィルム和光純薬社製)をそれぞれ4.3倍(質量比)の濃度で含有する水溶液を用いた点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と塩化カルシウムと硫酸マグネシウムを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量と、硫酸マグネシウム中のマグネシウムの含有量は、いずれも26mmol(合計で52mmol)であった。結果を表4に示す。
[実施例20]
前記酸性化工程において、温度が50℃の蒸留水(200g)の添加を省略した点と、前記追加混合工程において、高分子(Z)−2の水溶液の使用量を、10gに代えて20gとした点と、前記ポリフェノール類混合工程において、前記タンニン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(30g)を添加した後、さらに、濃度が10質量%である硫酸カリウムアルミニウム(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(10g)を添加してから、5℃の温度条件下のままで2分撹拌した点、以外は、実施例2の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、アルギン酸ナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸と硫酸カリウムアルミニウムを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。前記マイクロカプセルにおいて、ゼラチンと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸カリウムアルミニウム中のアルミニウムの含有量は17mmolであった。結果を表4に示す。
[実施例21]
前記硫酸カリウムアルミニウムの使用量(質量部)を0.5倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、硫酸カリウムアルミニウム中のアルミニウムの含有量を、6mmolに代えて3mmolとした点以外は、実施例8の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例22]
前記塩化カルシウムの使用量(質量部)を0.5倍とすることにより、マイクロカプセルにおける、ゼラチンと、アラビアガムと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、の合計含有量100g当り、塩化カルシウム中のカルシウムの含有量を、26mmolに代えて13mmolとした点以外は、実施例13の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。結果を表4に示す。
[実施例23]
前記酸性化工程において、温度が50℃の蒸留水(200g)の添加を省略した点と、前記追加混合工程において、高分子(Z)−2の水溶液の使用量を、10gに代えて20gとした点と、前記ポリフェノール類混合工程において、前記タンニン酸(富士フィルム和光純薬社製)の水溶液(30g)を添加した後、さらに、トランスグルタミナーゼ(味の素社製)(5g)を添加してから、5℃の温度条件下のままで2分撹拌した点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、マイクロカプセルを製造及び評価した。本実施例では、ゼラチンと、アラビアガム(高分子(Z)−1)と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(高分子(Z)−2)と、を含んで壁材成分が構成され、さらにタンニン酸とトランスグルタミナーゼを含み、芯物質としてラベンダー精油を内包するマイクロカプセルを、水分散体として得た。結果を表4に示す。
Figure 2021183322
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上記結果から明らかなように、実施例1〜23においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが正常に生成しており、その平均粒子径が15μm以下(4〜15μm)であって、十分に小さかった。実施例1〜23においては、マイクロカプセルの内包保持性能が高かった。実施例1〜23においては、壁材の製造原料として、生体に対する毒性が強いものを用いておらず、マイクロカプセルの生体に対する安全性が高かった。
実施例1〜7のマイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含んで構成されていた。
実施例8〜22のマイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、多価金属塩と、を含んで構成されていた。
実施例23のマイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、トランスグルタミナーゼと、を含んで構成されていた。
実施例1〜23においては、マイクロカプセルの製造時に、前記乳化液と、第1アニオン性高分子と、第2アニオン性高分子と、を混合しており、さらに、酸添加及び冷却後の混合液と、第2アニオン性高分子と、を混合していた。
実施例8〜20においては、ポリフェノール類及び多価金属塩(硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム又は硫酸マグネシウム)を併用した結果、前記マイクロカプセルの芯物質の残存率が30.9体積%以上(30.9〜54.3体積%)であり、マイクロカプセルの徐放性が特に高かった。
これに対して、比較例1、4〜5、参考例1においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが生成していたが、その平均粒子径が21μm以上であって、大きかった。さらに、参考例1においては、マイクロカプセルの内包保持性能が低かった。
比較例1においては、アニオン性高分子が不使用であった。
比較例4においては、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子を併用したが、第2アニオン性高分子を、酸添加及び冷却後の混合液と混合していなかった。
比較例5においては、第1アニオン性高分子と第2アニオン性高分子を併用したが、第2アニオン性高分子を、前記乳化液と混合していなかった。
参考例1においては、高分子として非イオン性界面活性剤を併用したが、アニオン性高分子を1種のみ用いていた。
参考例2においては、壁材が正常に形成され、マイクロカプセルが正常に生成しており、その平均粒子径が6μmであって、十分に小さかったが、マイクロカプセルの内包保持性能が低かった。
参考例2においては、高分子として非イオン性界面活性剤を併用したが、アニオン性高分子を1種のみ用いており、さらに、多価金属塩(硫酸アルミニウム)を併用したが、ポリフェノール類が不使用であった。
比較例2においては、マイクロカプセルの平均粒子径が数百μmに及んでおり、際立って大きく、マイクロカプセルが凝集していた。比較例2においては、マイクロカプセルがきれいに生成しておらず、マイクロカプセルの内包保持性能の評価を行わなかった。
比較例2においては、非イオン性高分子を併用したが、アニオン性高分子を1種のみ用いていた。
比較例3においては、マイクロカプセルの平均粒子径が90μmであって、大きかった。比較例3においては、マイクロカプセルがきれいに生成しておらず、マイクロカプセルの内包保持性能の評価を行わなかった。
比較例3においては、カチオン性高分子を併用したが、アニオン性高分子を1種のみ用いていた。
比較例6〜7においても、マイクロカプセルの平均粒子径が数百μmに及んでおり、際立って大きく、マイクロカプセルが凝集していた。
比較例6においては、アニオン性高分子を1種のみ用いていた。
比較例7においては、多価金属塩(硫酸アルミニウム)を併用したが、ポリフェノール類が不使用であった。
比較例8〜9においては、壁材が正常に形成されず、マイクロカプセルが生成しなかった。したがって、比較例8〜9においては、マイクロカプセルの内包保持性能を評価できなかった。
比較例8においては、多価金属塩(塩化カルシウム)を併用したが、ポリフェノール類が不使用であった。
比較例9においては、トランスグルタミナーゼを併用したが、ポリフェノール類が不使用であった。
本発明は、皮膚接触用(例えば、外用剤、化粧料等)等のマイクロカプセルとして利用可能である。

Claims (9)

  1. マイクロカプセルであって、
    前記マイクロカプセルは、ゼラチンと、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、ポリフェノール類と、を含んで構成され、
    前記マイクロカプセルは、油性成分を内包し、
    前記マイクロカプセルの平均粒子径が20μm以下である、マイクロカプセル。
  2. 前記油性成分が香料である、請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. 前記マイクロカプセルが、さらに、多価金属塩を含んで構成されている、請求項1又は2に記載のマイクロカプセル。
  4. 前記多価金属塩が、アルミニウム塩及びジルコニウム塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項3に記載のマイクロカプセル。
  5. 前記マイクロカプセルにおいて、前記ゼラチンと、前記第1アニオン性高分子と、前記第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、前記アルミニウム塩中のアルミニウムと、前記ジルコニウム塩中のジルコニウムと、の合計含有量が、5〜30mmolである、請求項4に記載のマイクロカプセル。
  6. 前記多価金属塩が、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される1種又は2種以上である、請求項3に記載のマイクロカプセル。
  7. 前記マイクロカプセルにおいて、前記ゼラチンと、前記第1アニオン性高分子と、前記第2アニオン性高分子と、の合計含有量100g当り、前記カルシウム塩中のカルシウムと、前記マグネシウム塩中のマグネシウムと、前記バリウム塩中のバリウムと、前記亜鉛塩中の亜鉛と、の合計含有量が、20〜110mmolである、請求項6に記載のマイクロカプセル。
  8. 水の存在下で、ゼラチンと、油性成分と、を混合することにより、乳化液を作製する工程と、
    水の存在下で、第1アニオン性高分子と、前記第1アニオン性高分子とは異なる種類の第2アニオン性高分子と、前記乳化液と、を混合することにより、混合液(a)を作製する工程と、
    前記混合液(a)と、酸と、を混合することにより、酸性の混合液(c)を作製する工程と、
    前記混合液(c)を、その温度が10℃以下となるまで冷却する工程と、
    冷却後の前記混合液(c)と、前記第2アニオン性高分子と、を混合することにより、混合液(d)を作製する工程と、
    前記混合液(d)と、ポリフェノール類と、を混合することにより、混合液(e)を作製する工程と、
    前記混合液(e)と、塩基と、を混合することにより、pHが調節されたマイクロカプセルの水分散体を作製する工程と、を有する、マイクロカプセルの製造方法。
  9. 前記混合液(e)を作製する工程において、さらに、多価金属塩を混合する、請求項8に記載のマイクロカプセルの製造方法。
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