JP7465694B2 - 防護用生地およびフード - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性、遮熱性、および防塵性に優れ、防災用や防火用などに好適に用いることのできる、防護用生地およびフードに関する。
従来、消防服などの耐熱防護衣料は、着用者の安全性および快適性の点で、難燃性、耐熱性、機械的特性、耐薬品性など複数の特性を兼備する必要があった。特に近年では、消防士の消火作業中に浴びる多量の粉塵、ばい煙といった有害微粒子の消防服への透過も懸念されており、粉塵等の影響があると考えられる頭部や首回りの対策がなされてきた。
例えば特許文献1では、難燃性合成ポリマーのナノファイバーを含む不織布と難燃性布帛とを組合せた難燃性サーマルライナーが提案されている。しかしながら、ナノファイバーを含む不織布はその製造原理から厚みがミクロンオーダーで不均一になってしまい、微粒子の透過を完全に防ぐことが困難であった。また、ナノファイバーを含む不織布と難燃性布帛とを固定する際に、キルティングなどの縫製手段が用いられており、縫製針での貫通孔から微粒子が透過するという問題もあった。
また、特許文献2では、粒子バリア層を備えるフードが提案されている。しかしながら、火炎もしくは熱暴露を受けた際に粒子バリア層が破壊されてしまい性能が損なわれるという問題があった。
特表2017-533352号公報 国際公開第2018/129195号パンフレット
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、難燃性、遮熱性、および防塵性に優れ、防災用や防火用などに好適に用いることのできる、防護用生地およびフードを提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定のニット(編物)と粒子バリア層で生地を構成することにより消火活動に従事する着用者などを熱および火炎のみならず、有害な微粒子からも保護することができることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「多層構造を有する防護用生地であって、厚さが1.5mm以上であり難燃繊維を含むニット1と、粒子バリア層を含むことを特徴とする防護用生地。」が提供される。
その際、前記ニット1において目付けが350g/m以上であることが好ましい。また、前記ニットAが両面結接組織を有することが好ましい。また、前記粒子バリア層において、融点または分解温度が100℃以上であることが好ましい。また、防護用生地がさらにニット2を含み、前記のニット1、粒子バリア層およびニット2がこの順に配されていることが好ましい。また、ISO9151に基づくHTI24が11秒を超えることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の防護用生地を、前記ニット1が外側に位置するよう用いてなるフードが提供される。
本発明によれば、難燃性、遮熱性、および防塵性に優れ、防災用や防火用などに好適に用いることのできる、防護用生地およびフードが提供される。
本発明のフードの一例を示す図面代用写真である。 本発明のフードの一例を示す図面代用写真である。 実施例1で得られた生地の断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の防護用生地は、2層以上(好ましくは3~5層)の多層構造を有し、厚さが1.5mm以上であり難燃繊維を含むニット1と、粒子バリア層を含む。
その際、前記難燃繊維は、JIS L1091 E-2法に規定されるLOIが26以上の繊維であることが好ましい。かかる難燃繊維は、例えば、全芳香族ポリアミド繊維(メタ型ポリアミド繊維またはパラ型ポリアミド繊維)、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、難燃アクリル繊維、ポリクラール繊維、難燃ポリエステル繊維、難燃綿繊維、難燃レーヨン繊維、難燃ビニロン繊維、難燃ウール繊維などの一種以上を単一または混合して使用することができる。
さらに、かかる難燃繊維において、融点が300℃以上であることが好ましい。そのような繊維として、全芳香族ポリアミド繊維(メタ型全芳香族ポリアミド繊維またはパラ型全芳香族ポリアミド繊維)、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維などが例示される。
また、これらの難燃性繊維は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、酸化チタン、着色剤、不活性微粒子などの添加剤を含有してもよい。
特に、かかる難燃繊維において、LOIが26以上であるだけでなく融点が400℃以上であることが好ましい。そのような繊維として、全芳香族ポリアミド繊維(メタ型全芳香族ポリアミド繊維またはパラ型全芳香族ポリアミド繊維)を挙げることができる。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維は、その繰返し単位の85モル%以上がm-フェニレンイソフタルアミドであるポリマーからなる繊維である。なお、メタ型全芳香族ポリアミドは、15モル%未満の範囲内で第3成分を含んだ共重合体であってもよい。
このようなメタ型全芳香族ポリアミドは、公知の界面重合法により製造することができ、そのポリマーの重合度は、0.5g/100mlの濃度のN-メチル-2-ピロリドン溶液で測定した固有粘度(I.V.)が1.3~1.9dl/gの範囲にあるものが好ましい。
メタ型全芳香族ポリアミドは、アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩が含有されていてもよい。アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩は、ヘキシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ヘキシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルテトラデシルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩などの化合物などが例示される。なかでもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、又はドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩は、入手しやすく、熱的安定性も良好なうえ、N-メチル-2-ピロリドンに対する溶解度も高いため特に好ましく例示される。
アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩の含有割合は、十分な染色性の改良効果を得るために、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミドに対して2.5モル%以上、好ましくは3.0~7.0モル%の範囲にあるものが好ましい。
また、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミドとアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を混合する方法は、溶媒中にポリ-m-フェニレンイソフタルアミドを混合、溶解した後、アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩をその溶媒に溶解する方法などが用いられる。このようにして得られたドープは、公知の方法により繊維に形成される。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維に用いるポリマーは、染着性や耐変褪色性を向上させるなどの目的で、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1~10mol%となるように共重合させてもよい。
-(NH-Ar1-NH-CO-Ar1-CO)- ・・・式(1)
Ar1はメタ配位または平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
なお、第3成分として下記の式(2)、(3)、(4)、(5)で示される芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸ジクロライドを共重合させることが可能である。式(2)、(3)に示した芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p-フェニレンジアミン、クロロフェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、アセチルフェニレンジアミン、アミノアニシジン、ベンジジン、ビス(アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノフェニル)スルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノアゾベンゼンなどが挙げられる。式(4)、(5)に示すような芳香族ジカルボン酸ジクロライドの具体例としては、例えば、テレフタル酸クロライド、1,4-ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’-ビフェニルジカルボン酸クロライド、5-クロルイソフタル酸クロライド、5-メトキシイソフタル酸クロライド、ビス(クロロカルボニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
N-Ar2-NH ・・・式(2)
N-Ar2-Y-Ar2-NH ・・・式(3)
XOC-Ar3-COX ・・・式(4)
XOC-Ar3-Y-Ar3-COX ・・・式(5)
Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子または官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の結晶化度は、染料の吸尽性がよく、少量の染料や染色条件が弱いなどの条件でも狙いの色に調整し易いという点で、5~35%であることが好ましい。さらには、染料の表面偏在が起こり難く耐変褪色性も高い点および実用上必要な寸法安定性も確保できる点で15~25%であることがより好ましい。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の優れた難燃性能を損なわない点で、0.1質量%以下(好ましくは0.001~0.1質量%)であることが好ましい。
なお、メタ型全芳香族ポリアミド繊維として、優れた耐光堅牢度を得る上で、例えば、国際公開公報第2013/061901号パンフレットに記載されているような公知の原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。
その際、用いられる顔料は、アゾ系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、アンスラキノン系等の有機顔料、あるいは、カーボンブラック、群青、ベンガラ、酸化チタン、酸化鉄などの無機顔料が例示される。
また、メタ型全芳香族ポリアミドと顔料との混合方法は、アミド系溶媒中に顔料を均一分散したアミド系溶媒スラリーを作製し、当該アミド系溶媒スラリーをメタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法、あるいは顔料粉末を直接、メタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法などが例示される。
顔料配合量としては、メタ型全芳香族ポリアミドに対して10.0質量%以下、好ましくは5.0質量%以下である。10.0質量%より多く添加した場合には、得られる繊維の物性が低下するおそれがある。
上述した方法によりメタ型全芳香族ポリアミド繊維を製造することができる。メタ型全芳香族ポリアミドポリマーの重合方法としては、例えば、特公昭35-14399号公報、米国特許第3360595号公報、特公昭47-10863号公報などに記載された溶液重合法、界面重合法を用いてもよい。
紡糸溶液は、上記溶液重合や界面重合などで得られた、芳香族コポリアミドポリマーを含むアミド系溶媒溶液を用いてもよいし、上記重合溶液から該ポリマーを単離し、これをアミド系溶媒に溶解したものなどを用いてもよい。
重合に用いられるアミド系溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができる。その中でも特にN,N-ジメチルアセトアミドが好ましい。
得られた共重合芳香族ポリアミドポリマー溶液は、さらにアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことで安定化され、より高濃度、低温での使用が可能となり好ましい。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩はポリマー溶液の全質量に対して1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。その際、難燃剤を含ませることが好ましい。
紡糸・凝固工程は、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液または原着メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。
紡糸装置は特に限定されるものではなく、公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状などは特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1000~30000個、紡糸孔径が0.05~0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
なお、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を紡糸口金から紡出する際の温度は、20~90℃の範囲が適当である。
繊維を得るために用いる凝固浴は、実質的に無機塩を含まないアミド系溶媒で行う。特に、NMPの濃度が45~60質量%の水溶液を、浴液の温度10~50℃の範囲で用いることが好ましい。アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が45質量%未満ではスキンが厚い構造となり、洗浄工程における洗浄効率が低下し、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となるおそれがある。一方、アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができないため、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1~30秒の範囲が適当である。
延伸は、アミド系溶媒で行う。特に、NMPの濃度が45~60質量%の水溶液であり、浴液の温度を10~50℃の範囲とした可塑延伸浴中にて、3~4倍の延伸倍率で行うことが好ましい。延伸後、10~30℃のNMPの濃度が20~40質量%の水溶液、続いて50~70℃の温水浴を通して十分に洗浄を行う。
洗浄後の繊維は、温度270~290℃にて乾熱処理を施し、上記の結晶化度および残存溶媒量の範囲を満たすメタ型全芳香族アラミド繊維を得ることができる。
上述した方法により、結晶化度や残存溶媒量を上述した好ましい範囲とすることができる。
なお、メタ型全芳香族ポリアミド繊維は長繊維(マルチフィラメント)でもよいし短繊維でもよい。他の繊維と混紡する場合、繊維長25~200mmの短繊維が好ましく、単繊維繊度が1~5dtexの範囲であるとより好ましい。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維がパラ型全芳香族ポリアミド繊維との混紡糸としてニット1に含まれていると、ニット1の布帛強度が向上するため好ましい。
その際、パラ型全芳香族ポリアミド繊維は、パラフェニレンテレフタラミド繊維またはコパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。
混紡糸には、導電性繊維など他の合成繊維が含まれていてもよい。導電性繊維は、導電部の導電体として、例えば、カーボンブラック、金属粒子(銀粒子、銅粒子、アルミ粒子等)や、金属酸化物(酸化チタン、酸化第2錫、酸化亜鉛、酸化インジウム等を主体とする粒子)や、導電性酸化物をコーティングした粒子等を含有した導電性粒子含有ポリマーなどの少なくとも一つを含むことが好ましい。
導電性繊維の形態は、繊維全体が導電部からなる構造でもよいし、非導電部と導電部が芯鞘、サンドイッチ、偏芯などの断面形状を有していてもよい。導電部、非導電部を形成する樹脂は、繊維形成性を有していれば、特段限定されるものではない。具体的には、ナイロン樹脂では、6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、66ナイロンなどが挙げられる。また、ポリエステル樹脂では、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートおよびこれらの共重合体や酸成分(テレフタル酸)の一部をイソフタル酸で置き換えたものなどが挙げられる。
市販されている導電性繊維としては、帝人社製「メタリアン」(商品名)、ユニチカファイバー製「メガーナ」(商品名)、東レ社製「ルアナ」(商品名)、クラレ社製「クラカーボ」(商品名)などが例示される。特に、導電性成分が鞘部に配された芯鞘型複合繊維が好ましい。かかる芯鞘型複合繊維としては、ソルシア社製「NO SHOCK(登録商標)」が好ましい。
ニット1に用いられる繊維は、マルチフィラメント(長繊維)や、前述した繊維が混紡された紡績糸を用いることが好ましい。特に、機能性の面から紡績糸であることが好ましい。その場合、一般に衣料用で用いられる番手、たとえば英式綿番手20番~60番の間であることが好ましい。なお、紡績糸は単糸で使用してもよいし撚糸後使用してもよい。
かかる繊維は、単繊維繊度1.5dtex以下(好ましくは、0.05~1.2dtex)かつフィラメント数30以上(好ましくは70~200)のマルチフィラメント(長繊維)または前述した繊維が混紡された紡績糸を用いることが好ましい。なお、紡績糸は単糸で使用してもよいし撚糸後使用してもよい。単繊維繊度が1.5dtexよりも大きいと、ソフトな風合いが得られないおそれがある。同様に、フィラメント数が30より小さい場合もソフトな風合いが得られないおそれがある。
前記ニット1には前記難燃繊維が50重量%含まれることが好ましく、前記ニット1が前記難燃繊維のみで構成されることが最も好ましい。
また、ニット1は、遮熱性を確保する上で厚さが大きいほうがよく、厚さが1.5mm以上(好ましくは1.5~4.0mm)であることが重要である。ニット1の目付けとしては350g/m以上であることが好ましい。遮熱性能は目付けと厚さとともに増大し、後述する微粒子バリア層を保護することが可能となる。一方で目付けは扱い易さの点から実用上500g/m以下が好ましい。
ニット1の編物組織は限定されないが、生産の容易さ、伸縮性確保の点から丸編組織が好ましく、さらにダブルニットであることが好ましい。特に、両面結接(両面タック)組織、またはダンボール布帛、ダンボールニットと称される表地層と裏地層とそれらの層を接続する結接層が一体的に形成された丸編布帛であることが好ましい。両面結接組織は表地と裏地との間に結接層を有するため、通常の布帛よりも遮熱性が高い。
その際、2重布帛の表地層は結接糸(タック糸)によって結接層の山部で結接され、他方、裏地層も結接糸(タック糸)によって結接層の谷部で結接される。その際、裏地層にタック組織を持ち、あるいは部分的に細い糸をもちいることで凹凸をつけ空気層を形成してもよい。
次に、本発明における粒子バリア層は以下で示される公知のものでよい。すなわち、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)膜、ポリエチレン、ポリプロピレンのスパンボンド、ポリエステルナノファイバーの紙などを含むものがあげられる。上記の膜などはいずれも融点は100℃以上であり、ニット1が十分火炎から保護できる耐熱性をもつ。また、粒子バリア層において、前記の膜などにさらに保護布帛(例えば、ニットなど)を上下面に積層してもよい。
本発明の防護用生地において、生地がさらにニット2を含み、前記のニット1、粒子バリア層およびニット2がこの順に配されていると、粒子バリア層が着用時または洗濯時の力学作用により破損することが防止され好ましい。その際、前記ニット1が最も外側に位置し、前記ニット2が最も着用者側に位置することが好ましい。
また、上記粒子バリア層は通常、伸縮性を持たないため、ニット1、ニット2よりも広い面積の粒子バリア層をはさみこむ(上記粒子バリア層にゆとりを持たせる。)ことで、上下のニットの変形に追随させることができ,着脱等の操作性、フィット感が付与され好ましい。
ここで、ニット2はニット1と同様、難燃性繊維を用いて製編されることが好ましい、また伸縮性の観点から丸編が好ましい。一方でニット1に要求される高い遮熱性は求められないため、薄手、軽量のシングルニット、もしくはリブ編、細い糸を用いたダブルニットが好ましい。
また本発明の防護用生地を製造する際、布帛の接合、全ての層を連結固定するため、縫製手段を用いることが可能であり、その際、縫製糸は耐熱性のためメタアラミド糸が好ましく用いられる。また、縫い目にシームテープを付与し、粒子バリア性を維持することは好ましい。
かくして得られた防護用生地は、難燃性、遮熱性および粒子バリア性に優れる。特に、火炎に曝露されても粒子バリア層が熱により溶融、破壊されるおそれがない。その際、ISO9151に基づくHTI24が11秒を超えることが好ましい。
次に、本発明のフードは、前記防護用生地を、前記ニット1が外側に位置するよう用いてなるフードである。かかる防火フードは前記の生地を用いているため、難燃性、遮熱性および粒子バリア性に優れる。
なお、前記防護用生地は、フード以外の防護製品(消防服、エプロン、炉前服、作業服、手袋、帽子、ベストなど)に用いてもよい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
(1)目付け
JIS L 1096 A法により測定した。
(2)厚さ
JIS L 1096 A法により測定した。
(3)通気性
JIS L1096-1990 通気性A法(フラジール法)により測定した。
(4)ISO6942
熱流束40kW/mにおいて、輻射熱暴露開始から銅製のセンサーが24℃上昇する時間、RHTI24を求めた。なお、ニット1の側に熱源を配置した。
(5)ISO9151
対流熱暴露開始からの銅製のセンサーが24℃上昇する時間、HTI24を求めた。なお、ニット1の側に熱源を配置した。
(6)対流熱暴露前後の粒子バリア層の引張強力保持率
ニット1、粒子バリア層、ニット2の順に積層されたフード構造体をニット1の側に熱源を配置し、ISO9151に基づき、11秒間熱暴露を行った。熱暴露後に粒子バリア層のみを取り出し、JIS L1096 A法(ラベルドストリップ法)に基づき引張強力を測定し、熱暴露前の引張強力に対し残存強力比率を算出した。
[実施例1、比較例1~3]
・原糸
以下の素材を用いて、公知の方法により表1に示すように英式綿番手10番、16番、18番、40番の単糸を製造した。
「メタ型全芳香族ポリアミド繊維原着単繊維」帝人株式会社社製、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm(以下メタアラミド)
「パラ型全芳香族ポリアミド短繊維」帝人株式会社製、「テクノーラ」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm(以下パラアラミド)
以下の素材を用いて公知の方法により表1に示すように英式綿番手60番の単糸を製造した。
「メタ型全芳香族ポリアミド繊維単繊維」帝人株式会社社製、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm(以下メタアラミド)
・ニットA,B,C,D,E,F
表1に示した糸使いの丸編物を得た。
・微粒子バリア層
表2に示したPTFE膜を用いた。
・フード
表2に示したPTFE膜の上下にニットEを常法にてラミネートし、さらにその上下に表3に示すニットA、ニットBを重ね、フード形状に縫製した。フードの正面図(写真)を図1、側面図(写真)を図2、断面図を図3にそれぞれ示す。
得られたフードについて、ISO9151にて11秒火炎暴露前後での粒子バリア層の引張強力を測定し、対流熱暴露前後の粒子バリア層の引張強力保持率を算出した。
Figure 0007465694000001
Figure 0007465694000002
Figure 0007465694000003
本発明によれば、難燃性、遮熱性、および防塵性に優れ、防災用や防火用などに好適に用いることのできる、防護用生地およびフードが提供され、その工業的価値は極めて大である。

Claims (6)

  1. 多層構造を有する防護用生地であって、厚さが1.5mm以上であり難燃繊維を含むニット1と、粒子バリア層を含み、前記ニット1において目付けが350g/m 以上であり、前記難燃繊維のJIS L1091 E-2法に規定されるLOIが26以上であり、前記粒子バリア層が、PTFE膜、ポリエチレンまたはポリプロピレンからなるスパンボンド、およびポリエステルナノファイバーからなる紙からなる群から選択されるいずれかを含むことを特徴とする防護用生地。
  2. 前記ニット1が両面結接組織を有する、請求項1に記載の防護用生地。
  3. 前記粒子バリア層において、融点または分解温度が100℃以上である、請求項1または請求項2に記載の防護用生地。
  4. 防護用生地がさらにニット2を含み、前記のニット1、粒子バリア層およびニット2がこの順に配されてなる、請求項1~3のいずれかに記載の防護用生地。
  5. ISO9151に基づくHTI24が11秒を超える、請求項1~4のいずれかに記載の防護用生地。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の防護用生地を、前記ニット1が外側に位置するよう用いてなるフード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011106069A (ja) 2009-11-19 2011-06-02 Teijin Techno Products Ltd 軽量耐熱防護服
JP2013525144A (ja) 2010-04-22 2013-06-20 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 弾力特性を持った障壁層を有するテキスタイル・ラミネート

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