JP7463244B2 - 土留め壁 - Google Patents
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Description
しかしながら、上記手法では芯材の長さ方向の一か所の断面において、長さ方向の断面積が最大1/2に寸断される。よって、芯材の長さ方向の引張強度が低下し、製品体としても継ぎ部分の曲げ強度が低下する要因となっている。
本発明に係る土留め壁は、素材を複数層重ねた芯材を備え、複数の前記芯材が、長手方向に継ぎ目を介して接続され、前記芯材の各層ごとの前記継ぎ目は長手方向に分散されており、前記芯材の長手方向のいずれの断面においても前記継ぎにより断面欠損している層の割合が1/2未満であることを特徴とする。
また、曲げ性能の低下を防止することで、土留め壁用芯材の断面を小さくすることができる。そのため、これまで必要とされた材料を削減することができることで、芯材の材料費、運搬に係る費用、施工に係る費用を削減でき、結果として工事費用を低減することができる。
これにより、素材がガラス長繊維で強化されたウレタン樹脂発泡体からなるときと同様に、シールドトンネルの掘削をする際に芯材を直接削ることができるために土留め壁の開口作業を必要とせず、作業を安全に行うことができる。
図1に示すように、芯材1は、接続前の芯材1aと1bとを長手方向D1に継ぎ目2a、2bを介して接続することで形成されている。芯材1a及び1bは、それぞれ板状の素材30を厚さ方向D3に複数層重ねることで形成されている。芯材1a、1bの各層ごとの継ぎ目2a、2bは長手方向D1に分散されている。また、各層の素材30同士及び芯材1a、1b同士は接着剤により接着されている。
ここで、長手方向D1の特定の断面において、継ぎにより断面欠損している層の割合とは、以下のように求める。
(1)芯材1における上記特定の断面を決定する。なお、上記特定の断面とは、芯材1において、長手方向D1に直交する断面である。
(2)上記特定の断面の全断面積を求める。なお全断面積とは、<1>素材30の断面積、<2>厚さ方向D3に重ねられた素材30の間に配置された接着剤の断面積、<3>継ぎ目2a、2b間に配置された接着剤の断面積、を含む。
(3)上記全断面積で、上記<3>の接着剤の断面積で割る。
上記(3)の結果が、長手方向D1の特定の断面において、継ぎにより断面欠損している層の割合となる。
各層の継ぎ目2a、2bを前述のように等間隔に備える際、その間隔は芯材1の幅方向D2に対して2倍以上とし、詳細の間隔については製品断面サイズごとに決定される。
なお、生産工場にて接続前の芯材1a及び1bを製作する際に各層の素材30の長手方向に継ぎ目が発生する際は、各層ごとにタッカーによって継ぎ目を長さ方向に固定し、芯材1a及び1bの製作時に長さ方向に隙間が生じることを防ぐ。
接着剤としては、ウレタン接着剤、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
例えば、図2に示すように、芯材1a及び1bの長手方向D1において、芯材1a及び1bの素材30の厚さ方向D3のいずれか一方の側から反対の側にかけて、継ぎ目2a及び2bの位置が規則的に一様に移動している。すなわち、芯材1を構成する素材30のうちの継ぎ目2a及び2bを形成する端部が、芯材1の厚さ方向D3の第1側から第2側に向けて、徐々に長く延びている。いわゆる階段状に継ぎ目2a及び2bを設ける方法が考えられる。
なお、図3に示すように、継ぎ目2a及び2bの位置は凹凸になっていてもよい。つまり、長手方向D1において継ぎ目2a及び2bから十分離れた任意の位置に基準点を設け、その基準点から各層の継ぎ目2a及び2bまでの長手方向D1の距離を考えたとき、厚さ方向D3に積層された素材30のいずれの継ぎ目2a及び2bについても、いずれか一方の隣の層より遠く、反対の隣の層より近いという距離とならないような構造である。
また、その規則性により継ぎ目2a及び2bの先端位置を設ける際は、素材30の1層ごとに凹凸を設けるだけでなく、複数層ごとに凹側と凸側とがまとまっていても、その際の凹側及び凸側の素材30の層の枚数がそれぞれ異なっていてもよい。
これにより、継ぎ目2a及び2bの先端の凸凹同士をかみ合わせることによる厚さ方向の曲げ性能を確保できることに加え、継ぎ目の先端が階段状になっていることによる芯材を接続する際の作業のしやすさの両方を確保することができる。
これにより、凸部の先端が同じ位置にある場合に生じる局所的な断面欠損を防ぐことができる。更に、芯材の層同士の凹凸をかみ合わせることができることから、幅方向D2の曲げに対してより高い耐曲げ性能を確保することができる。
また、図5に示す変形例に係る芯材1のように、素材30が、コンクリート32に補強筋31が埋設された構成であってもよい。この芯材1では、複数層の素材30が、一体成形されている。すなわち、芯材1全体では、コンクリート32の内部に複数層の補強筋31が重ねられている。この場合、図示しない型枠内に補強筋31を配筋した後、その周囲にコンクリート32を打設して補強筋31を埋設することで芯材1が形成されていてもよい。
両芯材1a、1bを接続するときには、図6に示すように、露出している補強筋31の端部同士を突き合わせる。この状態で、両芯材1a、1bの間には、補強筋31の端部が位置する空間1cに、コンクリート32を追加で打設する。なお、このとき、空間1cにおける幅方向D2の両側面に、更に適宜補強筋を重ねてもよい(不図示)。
コンクリート32が硬化すると、芯材1a、1bが接合される。
なおこの変形例のように、互いに重ねられた複数層の素材30の間に、明確な境界面が設けられていない。すなわち、芯材1は、複数層の素材30が境界面を有した状態で重ねられていてもよく、複数層の素材30が境界面を有さない状態で重ねられていてもよい。
このような形状とすることで、より接続作業のしやすさと曲げ性能の両方を確保することができる。
このような方法を執ることで、接着を用いた場合は一度固定した部位は外すことが出来ないのに対し、芯材1の厚さ等の調整(素材30の枚数を増減する等)を施工現場で行うことができる。
2a、2b…継ぎ目
30…素材
D1…長手方向
D2…幅方向
D3…厚さ方向
Claims (4)
- 素材を複数層重ねた芯材を備え、
複数の前記芯材が、長手方向に継ぎ目を介して接続された土留め壁であって、
前記芯材の各層ごとの前記継ぎ目は前記長手方向に分散されており、前記土留め壁の前記長手方向のいずれの断面においても、前記継ぎ目により断面欠損している層の割合が1/2未満であり、
前記素材は、ガラス長繊維で強化されたウレタン樹脂発泡体により形成された板であり、
前記芯材の前記継ぎ目が各層ごとに凹凸となり、
前記凹凸の凸部の先端が前記芯材の前記長手方向に分散されている、
土留め壁。 - 素材を複数層重ねた芯材を備え、
複数の前記芯材が、長手方向に継ぎ目を介して接続された土留め壁であって、
前記芯材の各層ごとの前記継ぎ目は前記長手方向に分散されており、前記土留め壁の前記長手方向のいずれの断面においても、前記継ぎ目により断面欠損している層の割合が1/2未満であり、
前記素材は、ガラス長繊維で強化されたウレタン樹脂発泡体により形成された板であり、
前記芯材の前記継ぎ目が各層ごとに凹凸となり、
前記凹凸の凸部の先端が各層ごとに階段状に配置された、
土留め壁。 - 前記芯材の各層の前記継ぎ目が等間隔に配置されている、
請求項1又は2に記載の土留め壁。 - 前記芯材の前記継ぎ目が接着により一体化される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の土留め壁。
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