JP4783242B2 - セグメントおよび分合流するトンネルの施工方法 - Google Patents

セグメントおよび分合流するトンネルの施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、板状の複合体を積層してなるセグメントおよびこのセグメントを用いた分合流するトンネルの施工方法に係り、特に、複合体間のせん断ずれを効果的に防止することのできるセグメントと、施工安全性と高い施工効率の双方を満足できる分合流するトンネルの施工方法に関するものである。
地下道路トンネルのランプ部をはじめとして地中にてトンネルを接合する場合、従来は大規模な開削工法が適用されてきたが、用地確保、地上交通への影響、工期の長期化とそれに伴なう工費の増大などから、より安全かつ経済的なトンネル接合方法が切望されており、建設各社が検討/開発を進めている。
例えば、本出願人等による鋭意研究の結果発案されたトンネルの分合流部の接合方法、接合構造に関する技術が特許文献1に開示されており、FAST工法(Free Access Shield Tunnel)と呼ばれる技術として知られている。この工法は、先行施工する本線シールドの覆工の一部にシールド掘進機のカッタビットにて切削可能なFFUセグメント(FFU(Fiber Reinforced Foamed Urethane)と呼ばれる)を組み込んでおき、このFFUセグメントを切削しながら本線に対してランプトンネルが斜めに合流することで占有面積を少なくでき、凍結工法等の補助工法を最小限にできるという効果を有するものである。
上記するFFUセグメントは、やはり本出願人等による鋭意研究の結果発案されたセグメントであり、その詳細は特許文献2に開示されている。具体的には、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率に湾曲された状態で複数枚積層されており、その各板状の複合体間に接着剤層またはFRP層が積層されてなるセグメントである。
ところで、地下トンネルは大断面化の一途を辿っており、ランプトンネルと分合流する道路の本線トンネルではその径が9〜16m程度にも及び、トンネル径の大径化に伴なってFFUセグメントの桁高も必然的に大きくなる。
また、上記するFAST工法以外にも、例えば水平方向に延設するとともにその一部にFFUセグメントを組み込んでなる先行トンネルを構築し、該先行トンネル内部から後行トンネル施工用の掘進機をFFUセグメントを切削しながら上方に発進させ、鉛直方向のトンネルを構築する、いわゆる上向きシールド工法がある。かかる上向きシールド工法においても、トンネル断面の大断面化に伴なってFFUセグメントの桁高が大きくなることはFAST工法の場合と何ら変わるものではない。
特開2005−299087号公報 特開2005−061212号公報
上記するように、トンネルの大断面化に伴なってFFUセグメントの桁高が大きくなることにより、該セグメントの破壊モードはせん断破壊が先行し易い破壊モードとなる。特にFFUセグメントの場合には、板状の複合体が接着等されて構成されているため、この接着部で複合体同士の相対的なせん断ずれが生じ易くなってしまう。せん断ずれに起因するせん断破壊型のセグメントを使用すると、掘進機にて該セグメントが切削されている途中においてセグメントが切削される前に脆性的な破壊に至り、本来切削されるべきセグメント領域での切削が十分におこなわれないこととなる。さらには、セグメントのせん断ずれに起因して本来切削されるべきでないセグメント領域での剛性低下が招来され、止水性が確保できなくなる場合も生じ得る。かかる問題に対応するために凍結工法等の補助工法が必要となり、FFUセグメントを使用することによって補助工法を低減し、経済性を高めるという本来の効果が得られなくなってしまう。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、トンネルの大断面化に伴なってFFUセグメントの桁高が大きくなった場合でも、せん断ずれ等のせん断破壊が生じ難いセグメントと、該セグメントを使用することにより、施工安全性と高い施工効率の双方を満足できる分合流するトンネルの施工方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるセグメントは、地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して前記セグメントが構成されており、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備していることを特徴とするものである。
本発明のセグメントは、上記するFFUセグメントにせん断抵抗手段が具備されてなるセグメントである。複合体の間には繊維強化プラスチック層(FRP層)も介在させることができ、例えば、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂をマットまたはクロス等の補強材にて補強したFRP層を適用できる。このマットやクロスとしては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などを加工したものを挙げることができる。
セグメントを構成する複合体が、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した複合材によって構成されているため、セグメントトンネルの掘削部(シールド掘進機によって切削される分合流部)に使用された場合には、コンクリートセグメントの場合と比較して、シールド掘進機による掘削速度が速くなり、掘削工程を短縮できる。上記する複合体は、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材から成形されていることが好ましい。この場合には、ウレタン発泡体中にガラス長繊維が一方向にモノフィラメント状態、すなわちガラス長繊維が一方向に1本ずつ分散した状態で充填されてなる複合材を用いることができ、シールドマシンにて掘削しても、ガラス長繊維の切断物がスクリューなどに詰まるなどの不具合が生じることもない。また、ウレタン発泡体をガラス長繊維で補強した板状の複合材は、曲げ強度及び圧縮強度に優れており、ウレタン発泡体とガラス繊維はともに比較的安価であり、さらには、コンクリートに較べて軽量であるという利点がある。
既述するように、大断面トンネルに対応したセグメントとすることによってその桁高(厚み)も大きくなるため、複合体が曲げ強度及び圧縮強度に優れているといっても、複合体同士の相対的なせん断ずれに起因するせん断破壊が先行する危険な破壊モードを具備する可能性が高くなる。
本発明のセグメントは、このせん断ずれを生じさせない適宜のせん断抵抗手段を備えていることで、せん断ずれに起因するせん断破壊の発生の可能性を低減したものである。桁高が大きくなっても、せん断ずれが生じ難い構造とすることにより、大断面トンネルに対応した高強度で、かつ切削容易性を備えたセグメントを得ることができる。
ここで、せん断抵抗手段の一実施の形態としては、カーボンファイバーシート、繊維強化プラスチックをはじめとする所定の強度を備えた板材、をはじめとする被覆材によってセグメントの外周が被覆されることからなる手段を適用することができる。
カーボンファイバーシートは、カーボンファイバー(炭素繊維を束ねた材質で、主にアクリル繊維を原料としたもの)をクロスに織り、ウレタン樹脂等で成形してなるシート材である。また、繊維強化プラスチックとしては炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を使用できる。また、そのほかの被覆態様としては、適宜の樹脂材によってセグメント外周をモールドする方法などもある。
これらのシート材や板材でセグメントの外周を被覆することにより、複合体同士のせん断ずれを効果的に防止することができる。特にシート材を使用する場合には、その厚みが数mm程度とわずかであることから、被覆材を使用することでセグメントの寸法が大きくなり過ぎるといった問題も生じ得ない。
また、せん断抵抗手段の他の実施の形態としては、複数枚積層された前記複合体において複数の対応する位置のそれぞれにピン孔が開設され、このピン孔にピン部材を挿入固定してなる手段を適用することができる。
ここで、ピン孔の開設位置は、セグメントの端部近傍のみに設けられる形態や、セグメントの全範囲に亘ってピン孔が分散して開設される形態などを適用できる。また、ピン部材は、鋼製、コンクリート製など、所定の強度(特にせん断強度)を備えた適宜の素材から成形され、その長さは、セグメントの桁高程度に設定できる。ピン部材をセグメントを貫通するボルトとし、ナットにてセグメントの両サイドからナット締めする形態であってもよい。このピン部材の素材(およびそのせん断強度)やピン部材の設置数量(ピン孔の開設数量)は、設計せん断力等に応じて決定される。
ここで、ピン部材の素材としては、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材をはじめとして、所定の強度を具備するとともに掘進機にて切削可能な素材から成形されていることが好ましい。ピン部材も切削容易な素材で成形することで、切削時にシールドマシンのスクリューなどに切削されたピン部材が詰まるといった問題を完全に解消することができる。
また、せん断抵抗手段が、カーボンファイバーシート、繊維強化プラスチックをはじめとする所定の強度を備えた板材をはじめとする被覆材によってセグメントの外周が被覆されることからなる既述の手段(第1の抵抗手段)と、複数枚積層された前記複合体の対応する位置に開設されたピン孔と、該ピン孔に挿入固定されたピン部材とからなる既述の手段(第2の抵抗手段)との双方を具備する形態であってもよいことは勿論のことである。
また、本発明によるセグメントの他の実施の形態は、地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、前記セグメントは、湾曲状に成形された内側体および外側体と、該内側体および外側体の間に介在する中間体と、から構成されており、前記内側体および外側体はともに、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して構成されており、前記中間体は、樹脂発泡体、ハニカム構造の樹脂体のいずれか一種からなり、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備していることを特徴とするものである。
本発明のセグメントは、複数の複合体が積層されてなる湾曲状の内側体および外側体の間に、別途の中間体を介在させてサンドイッチ構造を形成することにより、セグメントの重量増加を極力抑えながら、セグメントの桁高を大きくすることができるものである。
ここで、中間体は、例えばPE−PS、アクリル、PVCまたはウレタン樹脂を素材とする無垢の発泡体からなり、内側体および外側体のそれぞれにエポキシ樹脂系接着剤を介して接着される形態を適用できる。また、ハニカム構造の樹脂体とすることにより、構造強度を具備しながら、無垢の場合よりも重量をより低減できる中間体とすることができる。なお、せん断抵抗手段は、既述する様々な手段を適用することができる。せん断抵抗手段としてピン部材を使用する場合には、ピン孔は、内側体、中間体、外側体のそれぞれの対応する位置に開設されることは言うまでもない。
本発明のセグメントによれば、桁高が大きくなってもセグメント全体の重量を極力抑えることができ、さらに、せん断破壊が先行する破壊モードを具備しないセグメントを得ることができる。
さらに、本発明による分合流するトンネルの施工方法は、地中に、立坑や道路トンネル、鉄道トンネルをはじめとする地下トンネルを第1のトンネルとして施工するに際し、別途の第2のトンネルが該第1のトンネルから分合流する箇所に掘進機にて切削可能な前記セグメントを用い、そのほかの一般部には鋼製セグメント、コンクリート製セグメント、またはそれらが複合されたセグメントのいずれかを用いて第1のトンネルを構築する第1の工程と、切削可能な前記セグメントを切削しながら掘進機を第1のトンネルから掘進させて第2のトンネルを構築する工程、または、掘進機を掘進させて第2のトンネルを構築しながら第1のトンネルに到達させ、切削可能な前記セグメントを切削しながら第1のトンネルに合流させる工程のいずれか一方の工程からなる第2の工程と、を少なくとも具備することを特徴とするものである。
先行して構築される第1のトンネルの所定の箇所に、掘進機による切削が容易でせん断抵抗手段を具備する既述のセグメントを組み込んでおき、このセグメントを切削しながら第2のトンネルを第1のトンネルに分合流させることで、切削の前後および切削の途中において、セグメントが脆性的なせん断破壊型の破壊をおこす可能性を極めて低くすることができる。そのため、トンネルの分合流施工における施工安全性と効率的な分合流施工を実現できる。また、複合体同士のせん断ずれに起因して破壊範囲が切削範囲をはるかに超えて広範囲に及ぶこともないため、広範囲に凍結工法等の補助工法を実施する必要も生じ得ない。
以上の説明から理解できるように、本発明のセグメントによれば、掘進機による切削容易性から施工効率を高めることができ、トンネルが大断面になってセグメントの桁高が大きくなった場合でも、せん断ずれに起因する脆性的なせん断破壊の可能性を可及的に低減することができる。したがって、このセグメントを先行するトンネルの一部に使用してなる本発明の分合流するトンネルの施工方法によれば、効率的で安全性の高いトンネルの分合流施工を実現でき、さらには、別途の補助工法を不要ないしはその適用範囲を低減でき、経済的なトンネルの分合流施工を実現することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明のセグメントを組み込んだトンネルからシールド掘進機が発進している状況を示した模式図であり、図2は、本発明のセグメントの一実施の形態の分解斜視図であり、図3は、セグメントを構成する複合体の内部組織の拡大図である。図4は、セグメントの曲げ試験の概要図であり、図4aは荷重載荷時を、図4bは従来のセグメントモデルの破壊状況を、図4cは本発明のセグメントの破壊状況をそれぞれ示している。図5〜8はそれぞれ、本発明のセグメントの他の実施の形態の斜視図であり、図9は、本発明のトンネルの施工方法を説明した図であって、図9aは第1の工程を、図9bは第2の工程をそれぞれ示している。
図1は、本発明のセグメントを組み込んだ先行トンネル内部からシールド掘進機が発進している状況を説明した図である。この先行トンネルは、その一般部をコンクリート製または鋼製のセグメントSがリング方向およびトンネル長手方向(X方向)に組み付けられて構成されており、該先行トンネルのうち、後行トンネルとの接続部には予め本発明のセグメント10が組み込まれて構築されている。セグメント10は、シールド掘進機SMのカッタビットにて容易に切削可能な素材から構成されており、したがって、シールド掘進機SMがこのセグメント10,10,…を効率的に切削しながら後行トンネルを構築すべく地盤内に掘進していくことができる(Y方向)。
図2は、本発明のセグメントの一実施の形態を示した図である。セグメント10は、所定の曲率(または曲率半径)にて湾曲加工された板状の複合体1,1,…が積層され、各複合体1,1同士が接着剤層2によって接着されることで構成される。複合体1の内部組織が図3に示されており、複合体1は、硬質ウレタン樹脂等をはじめとするプラスチック発泡体31をガラス長繊維32で補強したものである。このような複合体としては、例えば、エスロンネオランバー−FFU(積水化学工業株式会社製)を挙げることができる。この複合体1の厚みは、10mm程度またはそれ以下の厚みである。なお、複合体1,1の間に、ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂等の樹脂をマットまたはクロス等の補強材にて補強したFRP層を介在させることもできる。
図2に戻り、各複合体1,1,…の全面には、その厚み方向に貫通するピン孔11,…が対応する位置に開設されており、図示するように各複合体1,1,…を積層固定した際に、複合体1の厚み方向に貫通孔が形成されるようになっている。この貫通孔に任意素材からなるピン部材20,20,…を挿入固定することによってセグメント10が製作される。
ここで、ピン部材20は、少なくとも所望のせん断強度を具備する例えばコンクリート等の素材から製作できるが、複合体1と同素材である硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強した材料から構成されるのが好ましい。この場合、ピン部材20をも掘進機が容易に切削することが可能となるため、ピン部材がカッタービットに噛み合うといった問題が生じ得ない。なお、ピン部材の設置箇所は、図示するようにセグメントの全範囲ではなく、セグメントの端部近傍のみであってもよい。このピン部材の部材厚や設置数量は、1本当たりのせん断強度と、セグメント1基当たりの設計せん断力によって決定されるものである。
[曲げ試験とその結果]
次に、図4に基づいて、発明者等がおこなったセグメントの曲げ試験の概要とその結果について説明する。
発明者等は、複合体1,1,…を積層接着してなるセグメントモデルM1(従来のセグメント)と、図2に示すセグメント10からなるモデルM2とを2点支持させ、各モデルに例えば任意の荷重を2点載荷する曲げ試験を実施した(図4a参照)。なお、荷重の載荷方法は、セグメントに掘進機のカッターが作用する態様に応じて任意の集中荷重または分布荷重態様で試験を実施することができる。
図4bは、従来のセグメントモデルM1の場合の試験結果(破壊状況)を示しており、図4cは、セグメント10からなるモデルM2の破壊状況を示している。
図4bに示すように、従来のセグメントモデルM1の場合、複合体1,1の間の接着剤層が剥離しながら横ずれを起こし(せん断ずれ)、このずれが進行しながらセグメントM1が脆性的に破壊することが分かった。
一方、図4cに示すセグメントモデルM2によれば、セグメントの下方の引張り領域に部材の厚み方向に延びる複数の曲げクラックC,…が発生し、典型的な曲げ破壊の様相を呈した。曲げ破壊の場合には、図示するように多数の曲げクラックC,…が生じながら部材が徐々に塑性変形するため、脆性的な破壊には至らない。
セグメントモデルM2がせん断破壊ではなく曲げ破壊に至った理由は、その内部に挿入固定されたピン部材20,…によってせん断ずれに対するせん断抵抗が向上し、その結果として曲げ破壊先行型の破壊モードになったためであると断定できる。
図5〜図8は、本発明のセグメントの他の実施の形態を示した図である。図5に示すセグメント10Aは、図3に示す内部組織を備え、所定の曲率にて湾曲した複合体1,1,…が接着されてなるブロック体(内側体5,外側体4)と、この内側体5と外側体4の間に介在する中間体6とから構成されている。内側体5,外側体4、中間体6の各対応する位置にはピン孔が開設されており、対応するピン孔によって形成される貫通孔にピン部材20が挿入固定されることによってセグメント10Aが構成される。
この中間体6は、PE−PS、アクリル、PVCまたはウレタン樹脂を素材とする無垢発泡体から形成され、内側体5および外側体4のそれぞれにエポキシ樹脂系接着剤を介して接着される。また、図示を省略するが、中間体6の他の実施の形態として、ハニカム構造の樹脂体から形成することもできる。
樹脂体からなる中間体を外側体および内側体にてサンドイッチしながらセグメントを構成することにより、セグメントの重量増加を極力抑えながら、セグメントの桁高を大きくすることができる。
図6に示すセグメント10Bは、図2に示すセグメント10において、ピン部材を貫通孔に挿入固定する代わりに、複数の複合体1,1,…を接着固定して積層体を製作し、その外周にカーボンファイバーシート7を巻き付けて複合体同士のせん断ずれに対する防止効果を高めたものである。なお、図2に示すセグメント10の外周にカーボンファイバーシート7を巻き付けると、そのせん断抵抗はより一層高まる。
図7は、複合体1,1,…からなる積層体の端部近傍のみに貫通孔を設け、この貫通孔に鋼製のボルト20Aを挿通し、その端部をナット20Bにて締め付けて製作されるセグメント10Cを示している。鋼製ボルトがセグメントの全範囲にあると、ボルトが掘進機のカッタビットに噛み合ってしまうという問題が生じ易いことから、鋼製のボルトを使用する場合には、図示するようにセグメントの端部近傍のみに配設するのがよい。
図8は、複合体1,1,…からなる積層体の外周に繊維強化プラスチック等からなる板材81,82を接着しながら被覆してなるセグメント10Dを示している。なお、図8において、板材が接着されていない端面をも同素材の板材にて被覆してもよい。
以上のセグメント10〜10Dによれば、その素材がシールド掘進機にて容易に切削可能であることからトンネルの分合流部の構築を効率的におこなうことができることに加え、セグメントが脆性的なせん断破壊(せん断ずれ)に至ることに起因する施工安全性の低下を確実に防止することができる。
図9は、セグメント10をその一部に組み込んで先行トンネルを構築し、該先行トンネルからシールド掘進機を地盤内に発進させることによって後行トンネルを構築する施工方法を説明した図である。
図9aに示すように、先行トンネルT1の一部(シールド掘進機が発進する箇所)にセグメント10,…が組み込まれて先行トンネルT1が構築される。セグメント10,…が所定の箇所に組み込まれた状態まで先行トンネルT1が構築された段階で、図9bに示すように、先行トンネルT1内部にリング支保工91を設置し、さらに、反力架台92を設置するとともにシールド掘進機SMを搬入する。
シールド掘進機SMがセグメント10,…を切削し、地盤内を掘進しながら先行トンネルT1に直交する方向に延設する後行トンネルT2を構築していく。
なお、図9に示すトンネルの分合流部の構築方法以外にも、先行トンネルの接続部(セグメント10が組み込まれた箇所)に後行トンネルを構築してきた別途のシールド掘進機が到達し、セグメント10を切削しながら先行トンネル内部に進入することで分合流部が構築される方法もある。さらには、既述するFAST工法のように、先行する本線トンネルの接続部に対して後行のランプトンネルを構築するシールド掘進機が斜めに合流することによって分合流部を構築する方法もある。
本発明の分合流するトンネルの施工方法によれば、先行トンネルの分合流箇所に本発明のセグメントが組み込まれていることで、該セグメントの脆性的なせん断破壊が生じ難くなり、施工安全性を高めることができる。また、セグメントの脆性破壊により、掘進機による切削予定領域以外の領域にも破壊の影響が及び、セグメントの止水性の低下や強度低下が招来される。そのため、広範囲に亘る補助工法(凍結工法など)が必要となり、FFUセグメントを採用した本来の目的である施工経済性が損なわれる。しかし、本発明の施工方法によれば、セグメントが脆性破壊する可能性は極めて低いため、別途の補助工法を必要としない、もしくは可及的に狭い範囲のみで対応することが可能となり、経済的な施工を実現することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
本発明のセグメントを組み込んだトンネルからシールド掘進機が発進している状況を示した模式図である。 本発明のセグメントの一実施の形態の分解斜視図である。 セグメントを構成する複合体の内部組織の拡大図である。 セグメントの曲げ試験の概要図であり、(a)は荷重載荷時を示しており、(b)は、従来のセグメントモデルの破壊状況を示しており、(c)は、本発明のセグメントの破壊状況を示した図である。 本発明のセグメントの他の実施の形態の斜視図である。 本発明のセグメントのさらに他の実施の形態の斜視図である。 本発明のセグメントのさらに他の実施の形態の分解斜視図である。 本発明のセグメントのさらに他の実施の形態の斜視図である。 本発明のトンネルの施工方法を説明した図であって、(a)は第1の工程を、(b)は第2の工程を示した図である。
符号の説明
1…複合体、2…接着剤層、31…プラスチック発泡体、32…ガラス長繊維、4…外側体、5…内側体、6…中間体、7…カーボンファイバーシート、10,10A,10B,10C,10D…セグメント、11…ピン孔、20…ピン部材、SM…シールド掘進機、T1…先行トンネル、T2…後行トンネル

Claims (6)

  1. 地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、
    プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して前記セグメントが構成されており、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備しており、
    複数枚積層された前記複合体には、複数の対応する位置のそれぞれにピン孔が開設されていて、前記せん断抵抗手段は、該ピン孔と、ピン孔に挿入固定されたピン部材からなり、
    前記ピン部材が、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材をはじめとして、所定の強度を具備するとともに掘進機にて切削可能な素材からなることを特徴とするセグメント。
  2. 地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、
    プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して前記セグメントが構成されており、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備しており、
    前記せん断抵抗手段は、繊維強化プラスチックをはじめとする板材やカーボンファイバーシートを含む被覆材によってセグメントの外周が被覆されることからなる第1の抵抗手段と、複数枚積層された前記複合体の対応する位置に開設されたピン孔と、該ピン孔に挿入固定されたピン部材とからなる第2の抵抗手段と、の2つの抵抗手段からなり、
    前記ピン部材が、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材をはじめとして、所定の強度を具備するとともに掘進機にて切削可能な素材からなることを特徴とするセグメント。
  3. 地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、
    前記セグメントは、湾曲状に成形された内側体および外側体と、該内側体および外側体の間に介在する中間体と、から構成されており、
    前記内側体および外側体はともに、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して構成されており、前記中間体は、樹脂発泡体、ハニカム構造の樹脂体のいずれか一種からなり、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備しており、
    複数枚積層された前記複合体には、複数の対応する位置のそれぞれにピン孔が開設されていて、前記せん断抵抗手段は、該ピン孔と、ピン孔に挿入固定されたピン部材からなり、
    前記ピン部材が、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材をはじめとして、所定の強度を具備するとともに掘進機にて切削可能な素材からなることを特徴とするセグメント。
  4. 地下トンネルの壁体の一部を構成するとともに、掘進機にて切削可能なセグメントであって、
    前記セグメントは、湾曲状に成形された内側体および外側体と、該内側体および外側体の間に介在する中間体と、から構成されており、
    前記内側体および外側体はともに、プラスチック発泡体を無機繊維で補強した板状の複合体が所定の曲率をもって湾曲された姿勢で複数枚積層され、各複合体の間に接着剤層が介在して構成されており、前記中間体は、樹脂発泡体、ハニカム構造の樹脂体のいずれか一種からなり、さらに、前記複合体のせん断ずれを防止するためのせん断抵抗手段を具備しており、
    前記せん断抵抗手段は、繊維強化プラスチックをはじめとする板材やカーボンファイバーシートを含む被覆材によってセグメントの外周が被覆されることからなる第1の抵抗手段と、複数枚積層された前記複合体の対応する位置に開設されたピン孔と、該ピン孔に挿入固定されたピン部材とからなる第2の抵抗手段と、の2つの抵抗手段からなり、
    前記ピン部材が、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材をはじめとして、所定の強度を具備するとともに掘進機にて切削可能な素材からなることを特徴とするセグメント。
  5. 前記複合体が、硬質ウレタン樹脂からなる発泡体をガラス長繊維で補強してなる素材から成形されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセグメント。
  6. 地中に、立坑や道路トンネル、鉄道トンネルをはじめとする地下トンネルを第1のトンネルとして施工するに際し、別途の第2のトンネルが該第1のトンネルから分合流する箇所に掘進機にて切削可能な請求項1〜5のいずれかに記載のセグメントを用い、そのほかの一般部には鋼製セグメント、コンクリート製セグメント、またはそれらが複合されたセグメントのいずれかを用いて第1のトンネルを構築する第1の工程と、
    切削可能な前記セグメントを切削しながら掘進機を第1のトンネルから掘進させて第2のトンネルを構築する工程、または、掘進機を掘進させて第2のトンネルを構築しながら第1のトンネルに到達させ、切削可能な前記セグメントを切削しながら第1のトンネルに合流させる工程のいずれか一方の工程からなる第2の工程と、を少なくとも具備する、分合流するトンネルの施工方法。
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