JP2006200703A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する衝撃吸収部材において、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材200を提供する。
【解決手段】 本発明によれば、圧縮部位210及び両側方部位220に最大荷重が異なる2以上の部材を長手方向に交互に配置し、この2以上の部材は、それぞれシート状部材を積層して形成されたものであり、2以上の部材のうち一の部材は、圧縮部位210から両側方部位220にかけてその先端部が少なくとも中立軸330より引張部位230側に配置されている衝撃吸収部材200を提供する。これにより従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材200を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば自動車などにおける構造部材に使用される衝撃吸収部材に関し、さらに詳しくは、高い比エネルギー吸収量を有した衝撃吸収部材に関する。
従来より、軽量且つ高強度の構造部材として、アルミ等の他に、繊維強化材料が用いられている。繊維強化材料は、複合材料を繊維で強化したものであり、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等が知られている。これらのうち、繊維強化材料として最もよく利用されるFRPは、マトリクス(素地)としてプラスチックを使用したもので、強化材としては一般に、炭素やガラス等の繊維が使用されることが知られている。
FRPの強化材として炭素繊維を使用したものは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とよばれる。CFRPは、先端複合材料の中核に位置し、軽量、高強度、高弾性率材料として、航空分野、宇宙分野等に欠くことのできない構造材料として知られている。CFRP材は、炭素繊維の配向に応じて異なる構造及び性質を持つ、ユニダイレクショナル材(UD材)や、クロス材が知られている。UD材は、炭素繊維をうすく一方向に並べてエポキシ樹脂等により成型した素材形態である。一方、クロス材はカーボン繊維などの繊維を織物又は編物として、エポキシ樹脂等により成型した素材形態である。これらのCFRPは、鉄の約25%の重量と軽量ながら、耐熱性及び耐蝕性に優れる。
ところで、従来より、自動車等の衝撃吸収部材として、乗員の保護対策及び燃費向上等の観点から、軽量且つ高強度の構造部材であるアルミニウム材やアルミニウム合金材が用いられている。特に、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材においては、衝突時の衝撃から乗員を保護するために、より優れたエネルギー吸収量を有する衝撃吸収部材が望まれている。
例えば、自動車の側部構造材に設置されるフレームでは、単一材料を押出成型やプレス成型し、断面形状を閉断面化、大断面化して強度及び剛性を上げ、衝突時のエネルギー吸収量の増大が図られている。一般に、側面衝突時の変形モードとしては、センターピラーを例に挙げると、上部サイドルーフレールと下部サイドシルを支点として折れ曲がる、3点曲げによる曲げ変形を受ける。従って、側部構造材としては、曲げの荷重に対する耐久力が強く、曲げによるたわみが小さいことが望まれる。
また、自動車の側部構造部材であるピラーでは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材を用いた場合、同じ重量で大きな断面2次モーメントを得るために中空構造が採用されている。このようなアルミニウム等の衝撃吸収部材は、衝撃によって加わる荷重が最大強度に達した直後に荷重強度が急激に減少するという性質がある。これは、加わる荷重が降伏点を越えると、小さな荷重で容易に衝撃吸収部材が変形するため、一旦降伏点を越えると車体の変形量が大きいことを意味する。即ち、降伏点を越えると耐え得る荷重が小さくなり、小さい荷重で大きな車体の変形を生じるため、荷重と変位の積で算出されるエネルギー吸収量は結果的に小さくなる。従って、ピラー等の衝撃吸収部材としては、荷重が最大強度に達して降伏点を越えた後、降伏点近傍の荷重が引き続き加わったとしても、一定の変位に達するまでは荷重強度を保持し続けるものであることが望まれる。
これに関し、特許文献1には、アルミ中空形材の引張面側にFRP材を隣接して一体化させた部材が開示されている。これは、圧縮面側に塑性変形容易な部材を使用し、引張面側に高強度軽量部材を使用することで、圧縮面側で衝撃吸収を受け持ち、引張面側では面の変化量を少なくすることで大きなエネルギー吸収と小さな変形を実現しようとする技術である。
特開平06−101732号公報
しかしながら、特許文献1で開示された衝撃吸収部材では、荷重が加わる衝撃吸収部材の一点に荷重と変形が集中するため、衝撃吸収部材のエネルギー吸収量は、大部分が圧縮面の面部材の強度に依存してしまう。さらには、特許文献1の衝撃吸収部材においては、アルミとFRPがボルトにより接合されているため、荷重による変形に伴ってボルト接合部に応力が集中し、接合部から破断に至るおそれがある。ボルトの代わりとして接着剤を用いたとしても、ビーム剤全体の強度が接着剤の強度に依存してしまう。
そこで、衝撃荷重が加わった際に、衝撃吸収部材の一点に荷重と変形が集中することを回避することで、変形に伴った応力の集中を回避し、衝撃吸収部材全体のエネルギー吸収率を従来よりも向上することが望まれていた。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもエネルギー吸収効率が向上した衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、衝撃吸収部材の圧縮部位及び側方部位に最大荷重の異なる2以上のシート状部材を長手方向に沿って交互になるように配置(以下、交互配置構造という)することで、衝撃に対するエネルギー吸収性能を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のような衝撃吸収部材を提供する。
(1)長手方向と短手方向とを有し、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部材であって、前記衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、これら圧縮部位と引張部位との両端側を連結する一対の側方部位とを有し、前記圧縮部位及び両側方部位には、最大荷重が異なる2以上の部材が前記長手方向に交互に配置され、前記2以上の部材は、それぞれシート状部材を積層して形成されたものであり、前記2以上の部材のうち一の部材は、前記圧縮部位から両側方部位にかけてその先端部が少なくとも中立軸より前記引張部位側に配置されている衝撃吸収部材。
(1)の発明によれば、圧縮部位及び両側方部位に最大荷重が異なる2以上の部材を長手方向に沿って交互に配置し、この2以上の部材は、それぞれシート状部材を積層して形成されたものであり、2以上の部材のうち一の部材は、前記圧縮部位から両側方部位にかけてその先端部が少なくとも中立軸より前記引張部位側に配置される。これによって、荷重点から離れた場所においても、最大荷重の低い部分が最大荷重の高い部分より先に破壊されることになり、荷重点のみに負荷が集中することを防ぐことができる。さらに、中立軸を越える位置まで前記部材を配置することにより、局所的に強度を下げることができ、より圧縮部位の変形と破壊を促進できる。したがって、従来より高いエネルギー吸収率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
ここで、最大荷重が異なる2以上の部材は、引張最大荷重が異なる部材であってもよく、圧縮最大荷重が異なる部材であってもよい。
また、「中立軸」とは、中立面と側方部位の交線をいい、「中立面」とは各断面における図心を含む面であって、圧縮応力及び引張応力がいずれも作用しない面である。「図心」とは、図形の面積の大きさを力と考えてその合力を求めたときに、その作用点に相当するものである。
(2)前記一の部材の最大荷重は、他の部材の最大荷重より小さい(1)記載の衝撃吸収部材。
(2)の発明によれば、(1)に加え、前記一の部材の最大荷重は、他の部材の最大荷重より低いものを配置する。これによって、荷重の立ち上がりにおいて、局所的に強度を下げることができ、より圧縮部位の変形と破壊を促進できる。したがって、衝撃荷重が加わった際に、衝撃吸収部材の一点に荷重と変形が集中することが回避でき、より高いエネルギー吸収率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
(3)前記一の部材の積層数は、他の部材の積層数より少ない(1)又は(2)記載の衝撃吸収部材。
(3)の発明によれば、前記一の部材の積層数は、他の部材の積層数より少ない衝撃吸収部材を配置する。これによって、積層数の違いにより、最大荷重に差を設けることができ、これを前記交互配置構造に適用することができる。したがって、この交互配置構造を適用することで、より高いエネルギー吸収率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
(4)前記一の部材の積層厚みは、他の部材の積層厚みより薄い(1)から(3)いずれか記載の衝撃吸収部材。
(4)の発明によれば、前記一の部材の積層厚みは、他の部材の積層厚みより薄い衝撃吸収部材を配置する。これによって、積層厚みの違いにより、最大荷重に差を設けることができ、これを前記交互配置構造に適用することができる。したがって、この交互配置構造を適用することで、より高いエネルギー吸収率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
(5)前記引張部位は、前記他の部材を形成するシート状部材を積層して形成されたものである(1)から(4)いずれか記載の衝撃吸収部材。
(5)の発明によれば、引張部位は、前記他の部材を形成するシート状部材を積層して形成されたものを配置する。これによって、引張部位には交互配置構造を適用せず、また、最大荷重の低い材料を配置しないため、荷重による曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力が増すことができる。したがって、圧縮部位への衝撃荷重に対し、引張部位側での変形を少なくすることができる。これにより、圧縮部位側で衝撃吸収を受け持つ一方で、引張部位側では、衝撃による変形量を減少させ、大きなエネルギー吸収と小さな変形を実現できる衝撃吸収部材を提供することが出来る。
(6)前記シート状部材は、繊維強化プラスチック材である(1)から(5)いずれか記載の衝撃吸収部材。
(6)の発明によれば、曲げ応力を受ける従来の構造材料を軽量・高強度な繊維強化材料に置換することで重量効率が上がり、より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
本発明によれば、衝撃吸収部材に対して衝撃による荷重が加わったときに、荷重と歪みの方向が複雑に分散され、荷重と変形の集中を回避することで、衝撃エネルギーを衝撃吸収部材の広範囲を破壊するエネルギーに置換することができる。したがって、従来よりも衝撃エネルギー吸収率を増加させた衝撃吸収部材を提供できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<全体構成>
図1、図2に本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材の概略図を示す。図1は衝撃吸収部材の概略斜視図であり、図2は、図1における(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図、(d)側面図、である。
図1、図2に示すように、この衝撃吸収部材200は、長手方向と短手方向を有する中空の衝撃吸収部材であり、衝撃時(図1の矢印方向)には、長手方向に対して略直角に曲げ変形を行うことにより衝撃の吸収を行う衝撃吸収部材である。すなわち、衝撃が加わる圧縮部位210と、圧縮部位210に隣接する両面の側方部位220、220、及び、圧縮部位210の反対面となる引張部位230により構成されている。
ここで、圧縮部位210とは、衝撃による荷重を直接的に受ける部位であり、荷重により圧縮応力が発生する部位である。引張部位230とは、圧縮部位210と対向し、衝撃による荷重により引張応力が発生する部位である。さらに、側方部位220とは、圧縮部位210の両端側に連続する一対の部位であって、衝撃による荷重を間接的に受ける部位である。また、側方部位220は、衝突時の荷重により主にせん断応力か圧縮応力もしくはその両方の力を受ける部位でもある。
圧縮部位210及び側方部位220には、最大荷重の異なる2種類の部材が長手方向に対し、交互に配置されている。そして、この2種類の部材は最大荷重の異なる部材であり、これによって、低荷重領域320と高荷重領域310を構成している。
すなわち、この実施形態においては、低荷重領域320を構成する部材が短冊状であり、この短冊状の部材が、圧縮部位210から両面の側方部位220にかけて、かつ、衝撃吸収部材200の長手方向に沿って所定の間隔で配置されている。そして、低荷重領域320を構成する短冊状の部材は、圧縮部位から両側方部位にかけてその先端部が、衝撃吸収部材200の中立軸330を超える位置まで配置されている(図2参照)。
<構成部材>
上記の2種類の部材は、それぞれ、シート状部材を積層して形成された部材からなっており、この部材が基材を囲み形成したものである。このような部材としては、例えば、薄いシート形状の部材であるシート状部材を積層して形成される、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等の繊維強化材、鉄、アルミ、樹脂等が例示できる。
繊維強化材を使用した場合には、強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維を使用することが可能であり、これらの繊維の母材として、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の樹脂のほか、アルミを採用できる。具体的には、繊維方向を一方向に揃えたシート状一方向UD材や繊維を織り込んだクロス材、及びプレプリグをこれらの母材に積層したものであってもよい。
UD材とは、FRP材の素材形態の一つである。強化繊維をほぼ一方向に揃えて固めたシート状のFRPをシート状UD材とし、このシート状UD材を繊維方向に積層したものを、一方向UD材とする。一方向UD材は、繊維方向の引張強度が強いため、異方性を有するFRP材料である。また、一方向UD材とは異なり、繊維方向が積層する層ごとに異なっていてもよい。積層する際には、1枚ずつ交互に積層してもよいし、同じ繊維方向を有するシート状UD材を2枚以上重ねて、これを1つのセットとして、セットごとに交互に積層してもよい。
クロス材は、FRP材の素材形態の一つであって、FRP材の強化繊維の構造として繊維を織り込むことで織物状に配向したシート状FRP材、又はこのシート状FRP材を積層したFRP材である。即ち、クロス材とは、強化繊維の套を一本もしくは複数本ずつ編むことで平面を構成し、その平面に樹脂等のマトリクスを使用し固めたFRP材である。織物状を形成するための編み方としては、平織りや綾織りであってもよい。一方向UD材とは異なり、一般に、クロス材は、その強度においては等方性を有するFRP材料である。
プレプリグは、未硬化の繊維強化材料の全般を意味し、繊維強化材料として、繊維強化プラスチック(FRP)、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)なども含む意味である。
<交互配置構造>
図1、図2に示すように、本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材200は、この部材のうち物性の異なる2以上の材料を、衝撃吸収部材の長手方向に対して交互に配置して、交互配置構造を形成する。すなわち、物性の異なる部材を交互に配置することで交互配置構造を形成し、この交互配置構造を有する部材を、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位210及び、この圧縮部位210の両端側に連続する一対の側方部位220に適用することにより衝撃吸収部材200を形成している。
この場合、基材となる中空長材に対して、種類の異なる2以上のシート状部材を交互に配置することで、交互配置構造を形成し、衝撃吸収部材としてもよい。また、最大荷重の高い基材からなる中空長材に対して、最大荷重の低い短冊状の部材を一定の間隔に配置してもよい。すなわち、本発明においては、圧縮部位210及び側方部位220を構成する全ての層が、交互配置構造400でなくてもよく、部材の一部の層にのみ、交互配置構造が採用されていてもよい。例えば、UD材またはクロス材を部材として全面に用いて衝撃吸収部材の骨格とし、この骨格に2以上の部分的衝撃吸収部材を長手方向に対して交互に配置することで、衝撃吸収部材を形成してもよい。
さらに、2以上の部材は、シート状部材を積層して形成されたものであり、積層数若しくは積層厚みを異ならせることにより、最大荷重の異なる部材を形成してもよい。また、基材となる中空長材に対して、種類の異なる2以上のシート状部材を交互に配置することで、交互配置構造を形成し、衝撃吸収部材としてもよい。さらに、最大荷重の高い基材からなる中空長材に対して、最大荷重の低いシート状部材を一定の間隔の下、配置してもよい。ここで、衝撃吸収部材200では、2種類の部材を用いているが、2種類以上の部材を採用してもよい。
次に、最大荷重の異なる部材について図9を用いて説明する。図9に荷重変位曲線をモデル化したグラフを示す。このグラフは一例を示したに過ぎず、荷重変位曲線の荷重は、引張荷重であっても、圧縮荷重であってもよい。図9の(X,Y)および(X,Y)は、部材A及び部材Bの最大荷重、最大変位(降伏点)を表す点であり、これ以上の荷重が加わると、座屈してしまう点である。図9によれば、変位を固定して部材Aと部材Bを比較すると、部材Aの方が、最大荷重が大きいことが分かる。このような部材の特性から、前記高荷重領域310としては、部材Bよりも部材Aが適当であることが分かる。
なお、最大荷重とは、部材に対して引張荷重を課したときに、この部材が破壊に至る降伏点の荷重の大きさから特徴づけられる引張最大荷重でもよく、部材に対して圧縮荷重を課したときに、この部材が破壊に至る降伏点の荷重の大きさから特徴づけられる圧縮最大荷重であってもよい。
<作用>
曲げ変形を受ける自動車の衝撃吸収部材に荷重が加わったときの概念図を図3、図4に示す。図3は、従来の衝撃吸収部材100に荷重が加わったときの概念図であり、図4は、図3におけるB付近の拡大図である。また、図5は、交互配置構造を適用した本発明に係る衝撃吸収部材200に荷重が加わったときの概念図である。
一般に自動車50のセンターピラー10は、上部サイドルーフレール11と下部サイドシル12を支点(図3における支点700)として折れ曲がる、図3に示すような三点曲げを受ける。図3の衝撃吸収部材100では、衝撃による荷重時に(図3の矢印方向)、図4に示すように、荷重が直接かかる衝撃吸収部材100の中心部にのみ荷重と変形が集中する。これは、衝撃吸収部材100が長手方向に対して均一の部材から形成されているために、荷重がかかる部分に集中的に負荷がかかるからである。
一方、図5に示すように、本発明により得られる衝撃吸収部材200を用いた場合、一定の荷重に対して(図5の矢印方向)、この荷重を衝撃吸収部材200の広範囲で受け止めることにより荷重と変形の集中を回避し、エネルギー吸収効率を向上させることができると考えられる。これは、荷重の立ち上がりにおいて、最大荷重の低いシート状部材が荷重点から離れた場所でも変形、破壊されるためである。
このように、荷重を衝撃吸収部材の広範囲で受け止めるためには、荷重の分散や変形の分散が必要であると考えられる。そこで、図6に示すように、衝撃吸収部材の長手方向に対して、最大荷重の異なる材料を用いて交互配置構造を形成し、これを圧縮部位210及び側方部位220に適用することで、最大荷重の低い部分が荷重点から離れた部分でも変形し、これにより、荷重点に負荷が集中し、断面が潰れて曲げ荷重が低下する現象を防ぐことができる(図7、図8参照)。そして、このとき、側方部位220に係る交互配置構造の配置位置を少なくとも中立軸330よりも引張部位230側に及ばせることで、特に、エネルギー吸収効率を向上させることができる。
<適用例>
本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材200は、衝撃吸収部材の圧縮部位210及び側方部位220に交互配置構造を適用したものであり、例えば、図10に示すような自動車50のセンターピラーに適用することができる。図11は、図10におけるA付近の拡大図であり、側面衝突時に曲げ変形を受けるセンターピラー10が設けられている。なお、図11では、自動車50の側面部の構造部材に対して本発明を適用したが、自動車50の構造部材であれば他の箇所にも制限なく適用可能であり、例えば、フロントピラーやリアピラーに本発明の衝撃吸収部材200が使用されてもよい。また、その他の適用例としては、例えば、自動2輪、自転車、航空機、電車等の乗物の構造部材や、建築の構造部材等に使用されてもよい。
上記の衝撃吸収部材200の実施例について、図12に示す三点曲げを受ける中空角パイプに交互配置構造を適用しモデル化した、衝撃吸収部材200を用いて説明する。ここで、図12に示す領域Kは、交互配置構造の適用範囲を示す。衝撃吸収部材200は、シート状部材としてCFRPを採用し、交互配置構造の高荷重領域310として、UD材[45/45/135/135/45/45/135/135/45]s、18plyを使用し、低荷重領域320として、UD材[45/135/45]s、3plyをそれぞれ使用した。また、長手方向に交互配置構造を有しない部分には、他の部材として、UD材[45/45/135/135/45/45/135/135/45]s、18plyを使用した。なお、18plyとは、プレプリグで構成した強化繊維材料を18層に積層したものである。また、sとは、各層の構成が上下対称の意を表す。
衝撃吸収部材200は、断面が50×50mmであり、長手方向600mmのものを使用し、強化繊維として、東邦テナックス(株)社製カーボン繊維HTAを採用し、マトリクスとしてエポキシ樹脂(#112)を採用したCFRPを使用した。なお、本衝撃吸収部材200は、マンドレルに炭素繊維強化プラスチックシート(プリプレグ)を巻きつけて積層したオートクレーブ成形で製作したものである。
交互配置構造は、図13に示すように、交互配置構造適用範囲として、長手方向に対し125mmに渡って適用し、また、低荷重領域320として長手方向に幅15mmの部材を長手方向に25mmピッチで配置した。
<実施例1>
実施例1では、図14に示すように、交互配置構造の側方部位220における配置深さをH(圧縮部位210から引張部位230側に3/4の位置まで配置)としたものを使用した。具体的には、圧縮部位210から引張部位230側に37.5mmの位置まで適用したものである(図13)。これは、衝撃吸収部材200の中立軸330を超える範囲である。
なお、配置深さとは、図15に示すように、交互配置構造を有する一の部材の先端が、圧縮部位210から引張部位230側にかけて配置される位置をいう。例えば、図15(a)においては、ほぼ、衝撃吸収部材200の中立軸330に該当する範囲であり(H)、図15(b)は、側方部位のすべてを覆う範囲(H)である。
<比較例1>
比較例1では、図14に示すように、交互配置構造の側方部位220における配置深さをH(圧縮部位210から引張部位230側に2/4の位置まで配置)としたものを使用した。具体的には、圧縮部位210から引張部位230側に25.0mmの位置まで適用したものである(図13)。これは、衝撃吸収部材200の中立軸330の位置までの範囲である。
<比較例2>
比較例2では、図14に示すように、交互配置構造の側方部位220における配置深さをH(圧縮部位210から引張部位230側に1/4の位置まで配置)としたものを使用した。具体的には、圧縮部位210から引張部位230側に12.5mmの位置まで適用したものである(図13)。これは、衝撃吸収部材200の中立軸330の位置に及ばない範囲である。
<評価>
図16に配置深さが異なる実施例1、比較例1及び比較例2について三点曲げによる試験結果の荷重変位曲線を示すグラフを示した。図16によると、(3)に示される配置深さが3/4である中立軸330を超えている実施例1は、他の(2)又は(1)に示されるような配置深さが2/4又は1/4である中立軸330を超えて配置されていない比較例1及び比較例2に比べて、エネルギー吸収量が高いことがわかる。なお、エネルギー吸収量は、荷重と変位の積により算出される。
さらに、配置深さと吸収エネルギーの関係を示したグラフを図17に示す。図17によると、配置深さが中立軸330を超える範囲である25mmを超える位置から、吸収エネルギー量が急激に上昇することがわかる。逆に、中立軸330を超える範囲までは、エネルギー吸収率は、ほぼ一定である。これにより、交互配置構造を有する一の部材の先端の位置は、側方部位220に表れる中立軸330を超える範囲であれば、高いエネルギー吸収率を有することが分かる。
以上から、本発明にかかる実施例1に示す配置深さを有することで、より大きなエネルギー吸収効率を達成でき、従来より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材200を提供することができることが分った。
本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材の概略図である。 本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材の圧縮部位、側方部位及び引張部位を示す図である。 従来の一般的な衝撃吸収部材に荷重が加わったときの概念図である。 図3におけるB付近の拡大図である。 交互配置構造を適用した衝撃吸収部材に荷重が加わったときの荷重と変形の範囲を示す模式図である。 本発明に係る衝撃吸収部材に荷重が加わったときの模式図である。 本発明に係る衝撃吸収部材に荷重が加わったときの模式図である。 本発明に係る衝撃吸収部材に荷重が加わったときの模式図である。 荷重変位曲線をモデル化したグラフである。 本発明に係る衝撃吸収部材が好適に用いられる自動車を示す図面である。 図10におけるA付近の拡大図である。 本実施形態に係る衝撃吸収部材に交互配置構造を適用した衝撃吸収部材をモデル化した図である。 本実施形態に係る衝撃吸収部材に交互配置構造を適用した衝撃吸収部材をモデル化したものである。 本発明に係る衝撃吸収部材の側方部位における部材の配置深さを示す図である。 本発明に係る衝撃吸収部材の側方部位における部材の配置深さを示す図である。 三点曲げによる試験結果の荷重変位曲線を示すグラフである。 側方部位におけるシート状部材の配置深さと吸収エネルギーの関係を示すグラフである。
符号の説明
10 センターピラー
50 自動車
100 従来の衝撃吸収部材
101 衝撃吸収部材
102 衝撃吸収部材
200 本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材
210 圧縮部位
220 側方部位
230 引張部位
310 高荷重領域
320 低荷重領域
330 中立軸
700 支点

Claims (6)

  1. 長手方向と短手方向とを有し、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部材であって、
    前記衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、これら圧縮部位と引張部位との両端側を連結する一対の側方部位とを有し、
    前記圧縮部位及び両側方部位には、最大荷重が異なる2以上の部材が前記長手方向に交互に配置され、
    前記2以上の部材は、それぞれシート状部材を積層して形成されたものであり、
    前記2以上の部材のうち一の部材は、前記圧縮部位から両側方部位にかけてその先端部が少なくとも中立軸より前記引張部位側に配置されている衝撃吸収部材。
  2. 前記一の部材の最大荷重は、他の部材の最大荷重より小さい請求項1記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記一の部材の積層数は、他の部材の積層数より少ない請求項1又は2記載の衝撃吸収部材。
  4. 前記一の部材の積層厚みは、他の部材の積層厚みより薄い請求項1から3いずれか記載の衝撃吸収部材。
  5. 前記引張部位は、前記他の部材を形成するシート状部材を積層して形成されたものである請求項1から4いずれか記載の衝撃吸収部材。
  6. 前記シート状部材は、繊維強化プラスチック材である請求項1から5いずれか記載の衝撃吸収部材。
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