JP2006188141A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する衝撃吸収部材において、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供する。
【解決手段】本発明によれば、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する衝撃吸収部材において、各部位における繊維強化材の積層構成を工夫することで異なる材料特性を付与し、各部位の破壊順序をコントロールすることにより、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【選択図】 図12

Description

本発明は、衝撃吸収部材に関し、特に、高い比エネルギー吸収量を有する衝撃吸収部材に関する。
従来より、軽量且つ高強度の構造部材として、アルミに加えて、繊維強化材料が用いられている。繊維強化材料は、複合材料を繊維で強化したものであり、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等が知られている。これらのうち、繊維強化材料として最もよく利用されるFRPは、マトリクス(素地)としてプラスチックを使用したもので、強化材としては一般に、炭素やガラス等の繊維が使用されることが知られている。
FRPの強化材として炭素繊維を使用したものは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とよばれる。CFRPは、先端複合材料の中核に位置し、軽量、高強度、高弾性率材料として、航空分野、宇宙分野等に欠くことのできない構造材料として知られている。CFRP材は、炭素繊維の配向に応じて異なる構造及び性質を持つ、ユニダイレクショナル材(UD材)や、クロス材が知られている。UD材は、炭素繊維をうすく一方向に並べてエポキシ樹脂等により成型した素材形態である。一方、クロス材はカーボン繊維などの繊維を織物又は編物として、エポキシ樹脂等により成型した素材形態である。これらのCFRPは、鉄の約25%の重量と軽量ながら、耐熱性及び耐蝕性に優れる。
ところで、従来より、自動車等の衝撃吸収部材として、乗員の保護対策及び燃費向上等の観点から、軽量且つ高強度の構造部材であるアルミニウム材やアルミニウム合金材が用いられている。特に、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材においては、衝突時の衝撃から乗員を保護するために、より優れたエネルギー吸収量を有する衝撃吸収部材が望まれている。
例えば、自動車の側部構造材に設置されるフレームでは、単一材料を押出成型やプレス成型し、断面形状を閉断面化、大断面化して強度及び剛性を上げ、衝突時のエネルギー吸収量の増大が図られている。一般に、側面衝突時の変形モードとしては、センターピラーを例に挙げると、上部サイドルーフレールと下部サイドシルを支点として折れ曲がる、3点曲げによる曲げ変形を受ける。従って、側部構造材としては、曲げの荷重に対する耐久力が強く、曲げによるたわみが小さいことが望まれる。
また、自動車の側部構造部材であるピラーでは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材を用いた場合、同じ重量で大きな断面2次モーメントを得るために中空構造が採用されている。このようなアルミニウム等の衝撃吸収部材は、衝撃によって加わる荷重が最大強度に達した直後に荷重強度が急激に減少するという性質がある。これは、加わる荷重が降伏点を越えると、小さな荷重で容易に衝撃吸収部材が変形するため、一旦降伏点を越えると車体の変形量が大きいことを意味する。即ち、降伏点を越えると耐え得る荷重が小さくなり、小さい荷重で大きな車体の変形を生じるため、荷重と変位の積で算出されるエネルギー吸収量は結果的に小さくなる。従って、ピラー等の衝撃吸収部材としては、荷重が最大強度に達して降伏点を越えた後、降伏点近傍の荷重が引き続き加わったとしても、一定の変位に達するまでは荷重強度を保持し続けるものであることが望まれる。
これに関し、特許文献1には、アルミ中空形材の引張面側にFRP材を隣接して一体化させた部材が開示されている。これは、圧縮面側に塑性変形容易な部材を使用し、引張面側に高強度軽量部材を使用することで、圧縮面側で衝撃吸収を受け持ち、引張面側では面の変化量を少なくすることで大きなエネルギー吸収と小さな変形を実現しようとする技術である。
特開平06−101732号公報
しかしながら、特許文献1で開示された衝撃吸収部材では、圧縮側への荷重により、圧縮側とその側面が座屈変形し、この座屈変形する部分にのみ荷重が集中する。これは、直接的に圧縮面が荷重により押される力に加えて、側面が圧縮面からの荷重に抵抗することで曲げ荷重が発生し、この曲げ荷重も座屈変形部分に集中するからである。荷重が座屈変形部分に集中してしまうと、衝撃吸収部材の荷重に対する強度は、座屈変形部分の強度に依存してしまう。さらに、特許文献1に開示の衝撃吸収部材においては、アルミとFRPがボルトにより接合されているため、このような構造であると、荷重による変形に伴ってボルト接合部に応力が集中するため、この発明特有の利点を発揮する以前に接合部から破断に至るおそれがある。ボルトの代わりに接着剤を用いたとしても、接着剤の強度でビーム剤全体の強度の上限が決まってしまう。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、衝撃吸収部材の座屈変形部分に荷重と変形が集中することを回避することで、従来よりも高いエネルギー吸収率を有する衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する衝撃吸収部材において、各部位における繊維強化材の積層構成を工夫することで異なる材料特性を付与し、各部位の破壊順序をコントロールすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のような衝撃吸収部材を提供する。
(1)長手方向と短手方向とを有し、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部材であって、前記衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、これら圧縮部位と引張部位との両端側を連結する一対の側方部位と、を有し、前記圧縮部位、引張部位、及び、側方部位には、シート状繊維強化材を積層して形成された積層体が配置され、前記圧縮部位に配置された積層体は、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向であるシート状繊維強化材と、を少なくとも一層ずつ積層して形成されたものであり、前記側方部位に配置された積層体は、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向に対して所定の傾斜角度を有するシート状繊維強化材と、を少なくとも一層ずつ積層して形成されたものである衝撃吸収部材。
(1)の発明によれば、圧縮部位には、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向であるシート状繊維強化材とを少なくとも一層ずつ積層された積層体を配置し、側方部位には、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向に対して所定の傾斜角度を有するシート状繊維強化材とを少なくとも一層ずつ積層された積層体を配置する。これによって、衝撃吸収部材に衝撃による荷重が加わったときに、破壊ひずみの小さい圧縮部位の座屈変形部分である端部を先に破壊させることにより、側方部位の座屈変形部分にかかるひずみエネルギーを段階的に開放することができる。この結果、側方部位の座屈変形部分にかかる荷重と変形の集中が回避され、側方部位の短手方向への亀裂進展による著しい荷重の低下を防ぐことができる。さらに、側方部位の長手方向に強化繊維を配置することで、曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力を増加させることができる。したがって、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
(2)前記引張部位に配置された積層体は、繊維方向が前記短手方向に対して所定の角度を有するシート状繊維強化材を少なくとも一層積層して形成されたものである(1)記載の衝撃吸収部材。
(2)の発明によれば、(1)に加え、引張部位を構成する部材には、繊維方向が前記短手方向に対して所定の角度を有するシート状繊維強化材を積層した積層体を配置する。これによって、引張部位は、周方向より一定の角度を有する強化繊維により曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力が増す。したがって、圧縮部位への衝撃荷重に対し、引張部位側での変形を少なくすることができる。これにより、圧縮部位側で衝撃吸収を受け持つ一方で、引張部位側では衝撃による変形量を減少させ、大きなエネルギー吸収と小さな変形を実現する衝撃吸収部材を提供することが出来る。
(3)前記シート状繊維強化材は、炭素繊維強化プラスチックにより形成されたものである(1)又は(2)記載の衝撃吸収部材。
(3)の発明によれば、曲げを受ける従来の構造材料を軽量・高強度な繊維強化材料に置換することで重量効率が上がり、より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
(4)(1)から(3)いずれか記載の衝撃吸収部材を構造部材に用いた自動車。
上記のように、自動車においては乗員の保護対策のために、例えば、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材として中空の衝撃吸収部材が使用されており、優れた衝撃エネルギー吸収が期待されている。このため、本発明に係る衝撃吸収部材は、自動車に使用されるビーム材などに好適に使用できる。
本発明によれば、衝撃吸収部材に対して衝撃による荷重が加わったときに、圧縮部位の座屈変形部分である端部に亀裂を発生させることで、側方部位の座屈変形部分にかかるひずみエネルギーを段階的に開放することができる。これにより、側方部位の座屈変形部分にかかる荷重と変形の集中が回避され、側方部位の短手方向への亀裂進展による著しい荷重の低下を防ぐことができる。さらに、側方部位の長手方向に強化繊維を配置することで、曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力を増加させることができる。したがって、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収部材を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る衝撃吸収部材200は、例えば、図1に示すような自動車50のセンターピラー10に適用することができる。図2は、図1におけるA付近の拡大図であり、側面衝突時に曲げ変形を受けるセンターピラー10である。なお、図2では、自動車50の側面部の構造部材に対して本発明を適用したが、自動車50の構造部材であれば適用可能であり、例えば、フロントピラーやリアピラーに本発明の衝撃吸収部材200が使用されてもよい。
衝撃吸収部材200は、強化繊維として、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維を使用することが可能であり、これらの繊維の母材として、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の樹脂のほか、アルミを採用できる。具体的には、繊維方向を一方向に揃えたシート状一方向UD材や繊維を織り込んだクロス材、及びプレプリグをこれらの母材に積層したものであってもよい。
ここで、UD材とは、FRP材の素材形態の一つである。強化繊維をほぼ一方向に揃えて固めたシート状のFRPをシート状UD材とし、このシート状UD材を繊維方向に積層したものを、一方向UD材とする。一方向UD材は、繊維方向の引張強度が強いため、異方性を有するFRP材料である。また、一方向UD材とは異なり、繊維方向が積層する層ごとに異なっていてもよい。積層する際には、1枚ずつ交互に積層してもよいし、同じ繊維方向を有するシート状UD材を2枚以上重ねて、これを1つのセットとして、セットごとに交互に積層してもよい。
クロス材は、FRP材の素材形態の一つであって、FRP材の強化繊維の構造として繊維を織り込むことで織物状に配向したシート状FRP材、又はこのシート状FRP材を積層したFRP材である。即ち、クロス材とは、強化繊維の套を一本もしくは複数本ずつ編むことで平面を構成し、その平面に樹脂等のマトリクスを使用し固めたFRP材である。織物状を形成するための編み方としては、平織りや綾織りであってよい。一方向UD材とは異なり、一般に、クロス材は、その強度においては等方性を有するFRP材料である。
プレプリグは、未硬化の繊維強化材料の全般を意味し、繊維強化材料として、繊維強化プラスチック(FRP)、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)なども含む意味である。
繊維方向とは、炭素繊維を組み合わせてFRP材を形成する際に、炭素繊維を一方向に揃えることにより決定される繊維の向きである。また、衝撃吸収部材の面に対して一の繊維方向による角度が定まり、これを繊維配向角度(配向角)と呼ぶ。繊維配向角度は、衝撃吸収部材の重心を通り衝撃吸収部材の長手方向に延びる中心軸と繊維方向から定まる角度である。
図3から図5は、本発明の衝撃吸収部材における好適な積層構成を示したものである。
図3は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位210の積層構成であり、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを少なくとも一層ずつ積層して形成したものである。具体的には、繊維配向角が0度と90度のCFRPのUD材を積層したもの(以下、CFRPのUD材[0/90]とする。)を少なくとも一層ずつ積層した構成が好ましく用いられる。
図4は、圧縮部位210と引張部位230との両端側を連結する一対の側方部位220の積層構成であり、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向に対して所定の傾斜角度を有するシート状繊維強化材とを少なくとも一層ずつ積層して形成されたものである。具体的には、繊維配向角が45度、−45度及び0度のCFRPのUD材を積層したもの(以下、CFRPのUD材[45/−45/0]とする。)を少なくとも一層ずつ積層した構成が好ましく用いられる。
図5は、圧縮部位210に対向し引張応力が発生する引張部位230の積層構成であり、繊維方向が短手方向に対して所定の角度を有するシート状繊維強化材を少なくとも一層積層して形成されたものである。具体的には、繊維配向角が0度と90度のCFRPのUD材を積層したもの(以下、CFRPのUD材[0/90]とする。)を少なくとも一層ずつ積層した構成であればよい。なお、積層回数については特に限定されず、上記を配置した層を少なくとも一層有していればよい。
ここで、従来一般的な衝撃吸収部材100に荷重が加わったときの概念図を図6に示す。一般に自動車50のセンターピラー10は、上部サイドルーフレール11と下部サイドシル12を支点(図6における支点700)として折れ曲がる、図6に示すような三点曲げを受ける。三点曲げにおいては、センターピラー10の側方部位にかかる荷重として、荷重方向だけでなく座屈による曲げ荷重も生じる。これは、荷重を直接受ける圧縮部位の座屈に引きずられるためである。これにより、座屈により生じる曲げ荷重による変形に伴い断面積が減少し、エネルギー吸収量を低下させる。
一方、本発明により得られる衝撃吸収部材200を用いた場合、側方部位220の破壊ひずみが圧縮部位210の破壊ひずみより大きいため、一定の荷重に対し、側方部位220より先に圧縮部位210端部に亀裂211が発生する(図7)。これにより、側方部位220に生じていた圧縮部位210からの座屈による曲げ荷重が生じなくなる。さらに、側方部位220の支持条件を両端固定支持(図8)から片側移動ピン支持(図9)に擬似的に変えることができ、ひずみエネルギーを段階的に開放することになり、側方部位への負荷の集中を緩和することができる。これにより、座屈変形部分の荷重及び曲げ荷重の集中も回避することができ、側方部位220の破壊による亀裂221の進展を防ぐことができる。これは、側方部位220にひずみ量の大きい部材を使用することで、荷重時に、圧縮部位210の端部が「くの字」に破壊変形されるが、破壊による亀裂211が生じるため、座屈変形部分に荷重が集中しないからである。
すなわち、圧縮部位210に荷重がかかることで、側方部位220にも引張力が生じるが、圧縮部位210端部に亀裂が発生するため、圧縮部位210側の座屈変形に引きずられることなく側方部位220が圧縮変形することで、座屈による曲げ応力を生じさせずに、座屈変形部分の荷重の集中を回避できるためである。
さらに、単に側方部位の破壊ひずみを大きくするだけでなく、長手方向に強化繊維を配置することで、曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力が増加し、さらにエネルギー吸収効率を向上させることができる。
ここで、繊維方向を繊維配向角度0度及び繊維配向角度90度に積層した層(CFRPのUD材[0/0/90/0]s及びCFRPのUD材[0/90/0/90]s)を使用した場合(8ply)と、繊維配向角度を所定の傾斜角度を有するように積層した層(ここでは、CFRPのUD材[45/135/45/135]sとする。)を使用した場合(8ply)における、破壊ひずみを比較した表を図10に示す。なお、破壊ひずみとは、引張試験時における破断ひずみである。図10の表に示されるように、長手方向への引張試験において、CFRPのUD材[45/135/45/135]sは、CFRPの一方向UD材[0/0/90/0]s及びCFRPのUD材[0/90/0/90]sよりも、引張によるひずみが、7倍となった。この結果から、長手方向に対し所定の傾斜角度を有するように積層することで破壊ひずみが大きくなることが分かる。ここで、8plyとは、プレプリグで構成した強化繊維材料を8層に積層したものである。また、sとは、各層の構成が上下対称の意を表す。
<実施例1>
実施例1では、圧縮部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用い、側方部位にCFRPのUD材[45/135/0/0]sを用い、引張部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用いた。すなわち、圧縮部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成し、側方部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が長手方向に対して45度及び135度の傾斜角度を有するシート状繊維強化材とを積層して形成し、引張部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成した層を有する構成とした(8ply)。
<比較例1>
比較例1は、全面にCFRPのUD材[0/90/0/90]sを用いた。すなわち、衝撃吸収部材の圧縮部位、側方部位及び引張部位に繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成した層を有する構成とした(8ply)。
<比較例2>
比較例2は、圧縮部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用い、側方部位にCFRPのUD材[45/135/90/90]sを用い、引張部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用いた。すなわち、圧縮部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成し、側方部位は、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が長手方向に対して45度及び135度の傾斜角度を有するシート状繊維強化材とを積層して形成し、引張部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成した層を有する構成とした(8ply)。
<比較例3>
比較例3は、圧縮部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用い、側方部位にCFRPのUD材[45/135/45/135]sを用い、引張部位にCFRPのUD材[0/0/90/0]sを用いた。すなわち、圧縮部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成し、側方部位は、繊維方向が長手方向に対して45度及び135度の傾斜角度を有するシート状繊維強化材を積層して形成し、引張部位は、繊維方向が長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が短手方向であるシート状繊維強化材とを積層して形成した層を有する構成とした(8ply)。
<評価>
実施例1及び比較例1から3について、三点曲げ試験を行ったときの荷重変位特性の結果を図12に示す。図11は、実施例及び比較例1から3の圧縮部位、側方部位及び引張部位の各積層構成を表した表である。なお、衝撃吸収部材は、断面が50x50mmであり、長手方向600mmを使用した。また、いずれのUD材にも強化繊維として東邦テナックス(株)製カーボン繊維HTAを用い、マトリクスとしてエポキシ樹脂(#112)を用いた。
比較例1は、図12より、一定の荷重を受けた後、比較的初期の段階で降伏点に達した。これは、圧縮部位と側方部位に破壊ひずみの差を設けていないため、側方部位の短手方向に亀裂が生じ、この亀裂が曲げ荷重により進展し、荷重が急激に低下したためである。したがって、エネルギー吸収量が荷重と変位の積により算出されることを考慮すると、比較例1は、エネルギー吸収量が低いことが分かった。
比較例2は、図12より、比較例1よりも降伏点は高くなったが、比較例1と同様、一定の荷重で降伏点に達し、その後、急激に荷重が低下した。これは、傾斜角45度の強化繊維により降伏点は上昇したが、曲げ変形時に支持スパンが十分に長く、荷重部におけるせん断荷重が小さいと見なせる構造部材においては、短手方向ではなく長手方向に圧縮荷重がかかるため、長手方向に強化繊維を有さない比較例2は、一定の荷重を受けた後、降伏点に達し、荷重が低下する。したがって、エネルギー吸収量が荷重と変位の積により算出されることを考慮すると、比較例2は、エネルギー吸収量が低いことが分かった。
比較例3は、図12より、降伏点は比較例2より低いが、比較例1及び2と比べると、降伏点近傍の著しい荷重の低下は見られず、一定の変位に達するまで、荷重強度を保持していた。ここで、ピラー用の衝撃吸収部材として好ましい性質は、荷重が最大強度に達して降伏点を越えた後、降伏点近傍の荷重が引き続き加わっても、一定の変位に達するまでは荷重強度を保持し続けるというものである。したがって、比較例3は、比較的エネルギー吸収率が高く、かつ、衝撃吸収部材として好ましいと考えられる。
しかしながら、実施例1は、図12によると比較例3よりも更にエネルギー吸収率が高かった。これは、単に側方部位に斜め方向の配置の強化繊維のみを積層するよりも、長手方向にも強化繊維を配置することで、衝撃吸収部材が十分にエネルギー吸収をする前に側方部位の座屈変形による荷重の減少がなくなるためである。更に、曲げ変形時に発生する引張力に対して抵抗力が増えるからである。
以上から、本発明にかかる実施例1に示す積層構成が、大きなエネルギー吸収効率を達成できることが分った。
本発明に係る衝撃吸収部材が好適に用いられる自動車を示す図面である。 図1におけるA付近の拡大図である。 圧縮部位の好適な積層構成の一態様を示す図面である。 側方部位の好適な積層構成の一態様を示す図面である。 引張部位の好適な積層構成の一態様を示す図面である。 従来一般的な衝撃吸収部材100に荷重が加わったときの概念図である。 衝撃吸収部材の圧縮部位及び側方部位に亀裂が入った状態を示す図である。 側方部位の両端固定支持状態を示す図面である。 側方部位の移動ピン支持状態を示す図面である。 積層構成の異なる繊維強化材料の引張試験の結果を示す表である。 衝撃吸収部材の具体的な積層構成を表す表である。 三点曲げの試験結果の荷重変位曲線を示すグラフである。
符号の説明
10 センターピラー
50 自動車
100 衝撃吸収部材
200 衝撃吸収部材
210 圧縮部位
211 圧縮部位亀裂
220 側方部位
221 側方部位亀裂
230 引張部位
700 支点

Claims (4)

  1. 長手方向と短手方向とを有し、曲げ変形を行うことにより衝撃を吸収する中空の衝撃吸収部材であって、
    前記衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、これら圧縮部位と引張部位との両端側を連結する一対の側方部位と、を有し、
    前記圧縮部位、引張部位、及び、側方部位には、シート状繊維強化材を積層して形成された積層体が配置され、
    前記圧縮部位に配置された積層体は、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向であるシート状繊維強化材と、を少なくとも一層ずつ積層して形成されたものであり、
    前記側方部位に配置された積層体は、繊維方向が前記長手方向であるシート状繊維強化材と、繊維方向が前記短手方向に対して所定の傾斜角度を有するシート状繊維強化材と、を少なくとも一層ずつ積層して形成されたものである衝撃吸収部材。
  2. 前記引張部位に配置された積層体は、繊維方向が前記短手方向に対して所定の角度を有するシート状繊維強化材を少なくとも一層積層して形成されたものである請求項1記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記シート状繊維強化材は、炭素繊維強化プラスチックにより形成されたものである請求項1又は2記載の衝撃吸収部材。
  4. 請求項1から3いずれか記載の衝撃吸収部材を構造部材に用いた自動車。
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