JP5328401B2 - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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本発明は、例えば自動車等の構造部材に使用される繊維強化材料製の衝撃吸収部材に関する。
従来から、自動車等の衝撃吸収部材として、乗員の保護対策及び燃費向上等の観点から、軽量且つ高強度の構造部材であるアルミニウム材やアルミニウム合金材が用いられている。特に、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材においては、衝突時の衝撃から乗員を保護するために、より優れたエネルギー吸収量を有する衝撃吸収部材が望まれている。
従来の上記衝撃吸収部材は、材料の廉価さから鋼板を用いた構造材になっており、種々の衝突入力に耐えるためにHat断面構造体である。この従来の衝撃吸収部材は、剛性に優れると同時に、長手方向からの衝突荷重の入力に優れたエネルギー吸収特性を有する。しかしながら、従来の衝撃吸収部材は、長手方向に直交する方向からの衝撃荷重の入力に対しては、エネルギー吸収特性が低く、補強用のスティフナー等が用いられている。この補強用の部品の使用は、車体の重量を増加させるため、自動車の燃費を低下させてしまう。このため、衝撃吸収部材には、上記従来の衝撃吸収部材の問題点を解消するとともに、軽量化が求められている。
上記衝撃吸収部材には、軽量な繊維強化材料の使用が注目されている。繊維強化材料は、複合材料を繊維で強化したものであり、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等が知られている。これらのうち、繊維強化材料として最もよく利用されるFRPは、マトリクス(素地)としてプラスチックを使用したもので、強化材としては一般に、炭素やガラス等の繊維が使用されることが知られている。
例えば、特許文献1には、繊維強化材料を用いて作製された衝撃吸収部材が開示されている。従来のHat断面構造を繊維強化材料に適用した場合には、衝撃荷重の入力面が一挙動破壊し、充分な衝撃吸収性能を発現できなかったところ、この特許文献1に記載の衝撃吸収部材によれば、部材中央部に破壊起点を設けることで、衝撃吸収部材に衝撃荷重が与えられた際に部材を安定軸圧潰させることができ、衝撃吸収部材のエネルギー吸収性能が向上するとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の衝撃吸収部材では、軸圧潰の衝撃荷重を安定して受け止めるための補強材が必要である。また、特許文献1では、長手方向から入力される衝撃荷重を受け止める点について全く考慮されていない。一般に、側面衝突時の変形モードとしては、センターピラーを例に挙げると、上部サイドルーフレールと下部サイドシルを支点として折れ曲がる、3点曲げによる曲げ変形を受ける。従って、側部構造材としては、曲げの衝撃荷重に対する耐久力が強く、曲げによるたわみが小さいことが望まれているのである。
ところで、自動車の側部構造部材であるピラーでは、同じ重量で大きな断面2次モーメントを得るために中空構造が採用されている。このような衝撃吸収部材は、衝撃によって加わる衝撃荷重が最大強度に達した直後に衝撃荷重強度が急激に減少するという性質がある。これは、加わる衝撃荷重が降伏点を越えると、小さな衝撃荷重で容易に衝撃吸収部材が変形するため、一旦降伏点を越えると車体の変形量が大きいことを意味する。即ち、降伏点を越えると耐え得る衝撃荷重が小さくなり、小さい衝撃荷重で大きな車体の変形を生じるため、衝撃荷重と変位の積で算出されるエネルギー吸収量は結果的に小さくなる。従って、ピラー等の衝撃吸収部材としては、衝撃荷重が最大強度に達して降伏点を越えた後、降伏点近傍の衝撃荷重が引き続き加わったとしても、一定の変位に達するまでは衝撃荷重強度を保持し続けるものであることが望まれる。
そこで、特許文献2には、衝撃吸収部材に対して衝撃荷重が加わった際に、衝撃吸収部材の一点に変形に伴った応力が集中することを回避することにより、衝撃吸収部材全体のエネルギー吸収効率が向上する技術が開示されている。特に、特許文献2に記載の衝撃吸収部材は、曲げ変形するような衝撃荷重が加えられても、充分にエネルギーを吸収することができる。
特開平8−219216号公報 特開2006−200703号公報
上記の通り、特許文献2に記載の衝撃吸収部材は、非常に優れた衝撃吸収部材である。しかしながら、特許文献2に記載の衝撃吸収部材は、閉断面形状という形状制約、上記衝撃吸収部材の有する弱部を形成することの困難性等から生産性に問題がある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、長手方向からの衝突荷重の入力に対して、特許文献2に記載の衝撃吸収部材と同等以上の優れたエネルギー吸収特性を備えるとともに、生産性の高い衝撃吸収部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、衝撃吸収部材の一対の側面部のそれぞれに、衝撃荷重の入力方向に沿って延びる脆弱部を設けることで、衝撃吸収部材への曲げ方向の衝撃荷重の入力に対して、軸圧潰(即ち、衝撃吸収部材の長手方向の圧潰)を生じさせることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
請求項1に記載の衝撃吸収部材は、長手方向と短手方向とを有し、前記長手方向に直交する方向から入力される衝撃荷重を吸収する繊維強化材料製の衝撃吸収部材であって、前記衝撃荷重の入力方向に平行で且つ互いに対向する一対の側面部と、前記一対の側面部を連結する底面部と、を少なくとも備え、前記一対の側面部はそれぞれ、前記衝撃荷重の入力方向に沿って延びるように設けられた脆弱部を備え、前記底面部に対向し且つ前記衝撃荷重が入力される上方側が開放された開断面形状を有することを特徴とする。
請求項2に記載の衝撃吸収部材は、請求項1に記載の衝撃吸収部材において、前記脆弱部は、前記側面部に設けられた切り欠き部であることを特徴とする。
請求項に記載の衝撃吸収部材は、請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材において、前記側面部に沿って設けられ、前記衝撃荷重を入力することにより、前記脆弱部が前記長手方向に圧潰するときに、前記脆弱部を介して対抗する前記側面部の一端部と他端部の変形方向を規制し、これらの両端部を突き当てるためのガイド部をさらに備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、衝撃吸収部材の一対の側面部のそれぞれに、衝撃荷重の入力方向に沿って延びる脆弱部を設けることで、衝撃吸収部材への曲げ方向の衝撃荷重の入力に対して、軸圧潰(即ち、衝撃吸収部材の長手方向の圧潰)を生じさせることができる。衝撃吸収部材は、長手方向の圧潰に対しては、優れたエネルギー吸収特性を備える。したがって、上記のように、衝撃吸収部材の曲げ変形モードを軸圧潰モードに変換することで、衝撃吸収部材に対して、長手方向に直交する方向から衝撃荷重が与えられた際に、初期のエネルギー吸収量が必要以上に大きくなり過ぎることを抑え、その後、より安定的にエネルギー吸収をできる。
また、特許文献2では、側面部のみならず荷重入力面にも、最大荷重の異なる2以上の部材を配置する必要があった。これに対して、請求項1に記載の発明によれば、側面部にのみ脆弱部を設ければ、非常に高いエネルギー吸収特性が得られるため、優れた衝撃吸収部材の生産性が高まる。
また、請求項1に記載の発明によれば、衝撃吸収部材は、開断面形状をしており、プレス成形、引抜き成形等の簡便な成形方法により、容易に製造することができる。その結果、優れた衝撃吸収部材の生産性は、さらに高まる。また、閉断面形状の場合と比較して、材料費用を抑えることができる。そして、閉断面形状の場合と比較して、衝撃吸収部材を軽量にすることができる。このように、軽量にすることで、衝撃吸収部材を自動車の構造部材に使用した場合に、自動車の燃費は向上する。
請求項2に記載の発明によれば、衝撃吸収部材の側面部に設けられる脆弱部を形成するために、別の材料を用いる必要がない。そして、切り欠きは、従来公知のウォータージェット等の切断手段により容易に形成することができる。したがって、優れた衝撃吸収部材の生産性がさらに高まる。
請求項に記載の発明によれば、衝撃吸収部材に対して長手方向に直交する方向から衝撃荷重が加えられた時に、脆弱部を介して対抗する側面部の一端部と他端部とが、すれ違うことなく確実に突き当たるように、突き当て用のガイド部を設けた。これにより、衝撃により発生するエネルギーを確実に吸収することができる。
第1参考形態に係る衝撃吸収部材1の概略斜視図である。 第1参考形態に係る衝撃吸収部材1の衝撃エネルギー吸収の原理を説明するための図である。 従来の衝撃吸収部材の破壊の形態を示す図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材2の概略斜視図である。 第2実施形態に係る衝撃吸収部材2の衝撃エネルギー吸収の原理を説明するための図である。 第2実施形態の変形例に係る衝撃吸収部材の概略斜視図である。 参考例、実施例及び比較例の衝撃吸収部材の破壊箇所の変位量と荷重との関係を示す図である。
以下、本発明の参考形態及び実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、第2実施形態以降の説明において、第1参考形態と共通する構成及び作用効果については、説明を省略する。
<第1参考形態>
以下、本発明の第1参考形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1参考形態に係る衝撃吸収部材1の概略斜視図である。図1に示すように、衝撃吸収部材1は長尺の中空構造体である。衝撃吸収部材1は、シート状部材を積層して形成された部材からなっており、この部材を囲み形成してなる。衝撃吸収部材1は、衝撃荷重の入力方向に平行で且つ互いに対向する一対の側面部11と、一対の側面部11を連結する底面部12と、底面部12に対向し一対の側面部11を連結する上面部13と、を備える。
衝撃吸収部材1は、シート状部材を積層して形成した部材からなる。シート状部材は、繊維強化材料からなり、繊維強化材料としては、例えば、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。繊維強化材料に含まれる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、玄武岩繊維等が挙げられる。これらの繊維の母材としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、及びこれらの変性樹脂等の熱硬化性樹脂の他、ポリプロピレン、ポリアミド、及びこれらの変性樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。特に、熱可塑性樹脂は、積層間の剥離に対するタフネスが優れるため好ましい。
参考形態で用いられるシート状部材は、上記のような繊維強化材料を用いて形成された部材であればよく、例えば、繊維方向を一方向に揃えたシート状一方向UD材や、繊維を織り込んだクロス材の他、プリプレグを用いることができる。
上面部13は、一対の側面部11を連結し、底面部12に対向して配置される。上面部13は、長手方向に平板状に延びており、衝撃荷重が入力されることにより、圧縮応力が発生する部位である。
底面部12は、一対の側面部11を連結し、上面部13に対向して配置される。底面部12は、長手方向に平板状に延びており、衝撃荷重が上面部13に対して入力されることにより、引張応力が発生する部位である。
一対の側面部11は、底面部12と上面部13によって連結され、長手方向に平板状に延びる部位である。一対の側面部11は、それぞれ、衝撃荷重の入力方向に沿って延びるように設けられたスリット111を備える。スリット111は、本発明の脆弱部に相当する。
スリット111は、一対の側面部11のそれぞれに、上面側から底面側に向かって延びるように設けられている。即ち、スリット111は、上面部13に入力される衝撃荷重の入力方向に沿って延びるように設けられた切り欠きである。
スリット111を介して対向する側面部11の一端部112と他端部113は、後述するように、上面部13に対して衝撃荷重が入力されて一対の側面部11が長手方向に圧潰する際に、互いに突き当てられる。
参考形態では、スリット111は、側面部11の長手方向の中間の位置に設けられているが、これに限定されない。例えば、衝撃荷重を受ける位置が明らかな場合には、衝撃荷重を直接受ける位置に設けることが好ましい。
また、本参考形態では、スリット111は長手方向の中間の一箇所のみに設けられているだけであるが、複数設けられていてもよい。ただし、複数のスリット111を備える場合には、衝撃荷重が入力された際に、複数のスリット111が同時に圧潰して初期のエネルギー吸収量が大きくなり過ぎるおそれがあるため、本参考形態のように1箇所に設けることが好ましい。
また、本参考形態では、スリット111は矩形状の切り欠きであるが、形状は限定されず、例えばV字形状の切り欠きであってもよい。
なお、本参考形態では、脆弱部としてスリット111を設けたが、これに限定されず、例えば側面部11を構成する部材よりも脆弱な部材で脆弱部を構成してもよい。
参考形態の衝撃吸収部材1は、上記の通り、繊維強化材料製のシート状部材の積層体により形成される。具体的には、複数のシート状部材を積層して得られた積層体を、プレス成形や引抜き成形等により成形した後、オートクレーブ成形する。次いで、従来公知のウォータージェット等によりスリット加工を施すことにより、側面部11にスリット111を備える衝撃吸収部材1を製造することができる。
次に、衝撃吸収部材1の衝撃エネルギー吸収の原理について説明する。
図2は、衝撃吸収部材1が他の部品に組み付けられた状態で衝撃を受け、他の部品が支点となって3点曲げを受けるときの様子を模式的に示したものである。
図2(A)は、衝撃吸収部材1の上面に衝撃荷重が入力される直前の状態を示す模式図であり、(B)は、衝撃吸収部材1の上面に衝撃荷重が入力された直後の状態を示す模式図であり、(C)は、衝撃吸収部材1に衝撃荷重が入力され、エネルギーを吸収した後の状態を示す模式図である。
先ず、図2(A)に示すように、衝撃吸収部材1に対して、白抜き矢印の方向に衝撃荷重が入力される。
次いで、図2(B)に示すように、衝撃吸収部材1に対して、衝撃荷重が入力されると、支点4,4により、衝撃吸収部材1は3点曲げを受ける。衝撃吸収部材1が3点曲げを受けると、スリット111がトリガとなって、衝撃吸収部材1は上面側から順に圧潰する。即ち、曲げ方向の入力に対して、軸圧潰(即ち、衝撃吸収部材1の長手方向の圧潰)が生ずる。
軸圧潰が生じることにより、図2(C)に示すように、スリット111を介して対向していた一端部112と他端部113は、上端側から順に互いに突き当たる。これにより、初期のエネルギー吸収量が大きくなり過ぎることを回避できるとともに、入力された衝撃エネルギーを安定的に吸収することができる。
ここで、側面部11にスリット111、即ち脆弱部を備えていない従来の衝撃吸収部材4に対して、長手方向に直交する方向から衝撃荷重を入力したときに起こる一挙動破壊の状態を図3に示す。従来の衝撃吸収部材4では、スリット等の脆弱部を備えていないため、曲げ方向の衝撃荷重を軸圧潰により吸収することができない。このため、衝撃荷重が直接入力された部位で衝撃エネルギーを吸収せざるを得ず、図3に示すように、側面部を構成する積層体の大面積剥離が生じる。この点、本参考形態では、スリット111を設けることにより、このような大面積剥離を回避できるのである。
参考形態に係る衝撃吸収部材1によれば、以下の効果が奏される。
上述した通り、本参考形態に係る衝撃吸収部材1では、側面部11にスリット111を備えるため、曲げ方向からの衝撃荷重の入力に対して、長手方向の軸圧潰を起こすことができる。しかも、衝撃荷重が入力される上面側から順に、側面部11が圧潰するため、初期のエネルギー吸収量が大きくなり過ぎることを回避できるとともに、入力された衝撃エネルギーを安定的に吸収することができる。
また、本参考形態では、従来の繊維強化材料からなる衝撃吸収部材に対して、側面部11にスリット111を1箇所設けるだけで上記の効果が奏される。スリット111は、従来公知の加工方法により容易に形成できるため、製造が容易であり、高い生産性を有する。
さらには、スリット111を設ければよいため、他の材料を用いる必要がなく、製造コストを削減できる。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態を、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る衝撃吸収部材2の概略斜視図である。図4に示すように、衝撃吸収部材2は開断面形状であり、上面部を備えない点以外は第1参考形態と同様である。
本実施形態では、スリット211は、側面部21の1箇所に設けられている。複数のスリット211を設けた場合には、衝撃荷重が入力された際に生ずる変形がより複雑となる結果、スリット211を介して対抗する側面部21の一端部212と他端部213とのすれ違いが生じ易くなるからである。
次に、衝撃吸収部材2の衝撃エネルギー吸収の原理について説明する。
図5は、衝撃吸収部材2が他の部品に組み付けられた状態で衝撃を受け、他の部品が支点となって3点曲げを受けるときの様子を模式的に示したものである。
基本的に、本実施形態の衝撃吸収部材2の衝撃エネルギー吸収の原理は、第1参考形態の衝撃吸収部材1と同様である。なお、図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ、上述した図2(A)、(B)、(C)に対応する。
先ず、図5(A)に示すように、衝撃吸収部材2に対して、白抜き矢印の方向に衝撃荷重が入力される。
次いで、図5(B)に示すように、衝撃吸収部材2に対して、衝撃荷重が入力されると、支点4,4により、衝撃吸収部材2は3点曲げを受ける。衝撃吸収部材2が3点曲げを受けると、スリット211がトリガとなって、衝撃吸収部材2は上面側から順に圧潰する。即ち、上面側が開放された開断面形状であっても、曲げ方向の入力に対して、軸圧潰(即ち、衝撃吸収部材1の長手方向の圧潰)が生ずる。
軸圧潰が生じることにより、図5(C)に示すように、スリット211を介して対向していた一端部212と他端部213は、上端側から順に互いに突き当たる。これにより、初期のエネルギー吸収量が大きくなり過ぎることを回避できるとともに、入力された衝撃エネルギーを安定的に吸収することができる。
本実施形態によれば、上述の第1参考形態により奏される効果に加え、以下の効果が奏される。
第2実施形態に係る衝撃吸収部材2は、底面部12に対向し且つ上記衝撃荷重が入力される上方側が開放されている。即ち、第2実施形態に係る衝撃吸収部材2は、コの字型の開断面形状を有しており、プレス成形、引抜き成形等の簡便な成形方法により、容易に製造することができる。
また、開断面形状であるため軽量化を図ることができ、自動車の構造部材に用いた場合には、燃費の向上が期待できる。さらには、上面部が不要であるため、製造コストも削減できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、第2実施形態では、図6に示すように、側面部21の一端部212と他端部213の変形方向を規制し、これらの両端部を突き当てるためのガイド部3を備えていてもよい。
図6に示すように、ガイド部3は、一対の側面部21,21に略接して、一端部212及び他端部213に跨って設けられている。したがって、衝撃吸収部材2に対して長手方向に直交する方向から衝撃荷重が加えられたときに、側面部21の一端部212と他端部213とが、すれ違うことなく確実に突き当たり、衝撃エネルギーを確実に吸収することができる。
ガイド部3は、一方の側面部の突き当てをガイドする部位と、他方の側面部の突き当てをガイドする部位とが連結されているが、これらは互いに独立であってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
参考例1>
カーボンファイバー/エポキシ樹脂のプリプレグ(カーボンファイバーの体積含有率が55%、繊維形態が一方向材、目付け200g/m「プリプレグQ−1111−2000」、東邦テナックス社製)を用い、このCFRP製プリプレグを金型に巻き付けて、積層角度が0°と90°が交互になるように積層させ、積層物をオートクレーブによって、硬化温度130℃、硬化時間を2時間、圧力を0.6MPaで成形した。これにより、外径断面が50mm×50mm、長手方向の長さが600mm、成形品の板厚が4mm、重量が675gの角パイプ形状の中空成形品を得た。この中空成形品の一対の側面部の上端部より短手方向に沿って4mmから50mmの位置に、幅0.5mmのスリットをウォータージェット加工により施し、参考例1の衝撃吸収部材を作製した。
<実施例2>
参考例1と同様の材料を用いて、参考例1と同様のオートクレーブ成形により幅50mm、フランジ高さ50mm、長手方向の長さ600mm、成形品の板厚4mmのコの字型開断面形状のシート状部材を作製した。一対の側面部の上端部より短手方向に沿って4mmから50mmの位置に、幅0.5mmのスリットをウォータージェット加工により施し、重量が502gの実施例2の衝撃吸収部材を作製した。
<実施例3>
実施例2に記載の方法と同様にして、重量が504gの実施例3の衝撃吸収部材を作製した。
<比較例1>
シャーリングで板厚1.35mmの非メッキ処理材である270MPa級鋼板(軟鋼板)をカットした後、ベンダーマシンで幅が50mm、フランジ高さ25mmのコの字型断面材を作製した。コの字型の外側の角Rについては、外側Rが4Rとなるようにした。上記コの字型断面材を2個使用し、フランジ面を突き当て、レーザーによって連続接合を行い、外径断面が50mm×50mm、長手方向の長さが600mm、重量が1224gの比較例1の衝撃吸収部材を作製した。
<比較例2>
270MPa級鋼板(軟鋼板)を590MPa級鋼板(高張力鋼板)に変更した以外は、比較例1と同様の方法で、重量が1210gの比較例2の衝撃吸収部材を作製した。
<比較例3>
カーボンファイバー/エポキシ樹脂のプリプレグ(カーボンファイバーの体積含有率が55%、繊維形態が一方向材、目付け200g/m「プリプレグQ−1111−2000」、東邦テナックス社製)を用い、金型にCFRP製プリプレグを巻き付けて、積層角度が0°と90°が交互になるように積層させ、積層物をオートクレーブによって、硬化温度130℃、硬化時間を2時間、圧力を0.6MPaで成形した。これにより、外径断面が50mm×50mm、長手方向の長さが600mm、成形品の板厚が4mm、重量が680gの角パイプ形状の中空成形品を得た。このパイプ形状の中空成形品を比較例3の衝撃吸収部材とした。
<比較例4>
比較例1と同様の材料を用いて、比較例1と同様のオートクレーブ成形によりで幅50mm、フランジ高さ50mm、長手方向の長さ600mm、成形品の板厚4mm、重量が506gのコの字型のシート状部材を作製した。このシート状部材を比較例4の衝撃吸収部材とした。
<比較例5>
比較例1と同様の方法で、重量が2645gの比較例5の衝撃吸収部材を作製した。
<評価1>
10tonオートグラフ試験機(島津製作所社製)を用いて下記の試験条件にて、静的試験を行い、参考例、実施例及び比較例の衝撃吸収部材の破壊箇所の変位量と破壊箇所にかかる荷重との関係を測定した。参考例、実施例及び比較例の衝撃吸収部材を上記試験機に設置する際には、コの字型の衝撃吸収部材については開放された開断面に衝撃荷重が入力するように設置し、パイプ形状の中空成形品の場合には接合面が上下になるように設置し、参考例及び実施例ではスリットが衝撃荷重の入力方向に沿うように設置した。測定結果を、表1、2、図7に示した。
[試験条件]
試験速度:10mm/min
下圧子間距離:500mm
圧子形状:上下ともR50mm
<評価2>
落錘衝撃試験機(前川試験機社製)を用いて下記の試験条件にて動的試験を行い、参考例、実施例及び比較例の衝撃吸収部材の破壊箇所の変位量と破壊箇所にかかる荷重との関係を測定した。なお、衝撃吸収部材の設置は評価1と同様にした。測定結果を、表1、表2、図7に示した。
[試験条件]
試験速度:50km/h(落重高さ:9.8m、錐体重量:200kg)
下圧子間距離:500mm
圧子形状:上下ともR50mm
Figure 0005328401
Figure 0005328401
静的試験の結果、参考例1及び実施例2の衝撃吸収部材は、比較例1〜4の衝撃吸収部材に比して、エネルギー吸収効率が極めて高く、高い継続荷重を示すことが確認された。特に、実施例2は、開断面構造により軽量であるため、参考例1よりも高いエネルギー吸収効率となるうえ、初期破壊荷重とその後の継続荷重の落差が小さいフラット波形を実現できることが判った。
動的試験の結果、実施例3の衝撃吸収部材は、衝撃の影響で荷重にハンチングは認められるものの、実施例2と同様の荷重が継続するフラット波形を得ることができた。また、高速度カメラの画像確認により、部材の破断は変位100mmまで認められないことが確認された。一方、比較例5の衝撃吸収部材は、変位30mmまでは高い荷重特性を得る事ができたが、それ以後は荷重が急激に低下した。高速度カメラの画像を確認したところ、変位30mmにおいて部材の破断及び分断が認められた。また、変位50mm付近で一度荷重が上昇しているが、これは分断して跳ね返った部材が圧子にぶつかり擬似的に荷重が上がったかのような線図となっていることが判った。
1 衝撃吸収部材
11 側面部
111 スリット
112 一端部
113 他端部
12 底面部
13 上面部

Claims (3)

  1. 長手方向と短手方向とを有し、前記長手方向に直交する方向から入力される衝撃荷重を吸収する繊維強化材料製の衝撃吸収部材であって、
    前記衝撃荷重の入力方向に平行で且つ互いに対向する一対の側面部と、
    前記一対の側面部を連結する底面部と、を少なくとも備え、
    前記一対の側面部はそれぞれ、前記衝撃荷重の入力方向に沿って延びるように設けられた脆弱部を備え
    前記底面部に対向し且つ前記衝撃荷重が入力される上方側が開放された開断面形状を有することを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 前記脆弱部は、前記側面部に設けられた切り欠き部であることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収部材。
  3. 前記側面部に沿って設けられ、
    前記衝撃荷重を入力することにより、前記脆弱部が前記長手方向に圧潰するときに、前記脆弱部を介して対向する前記側面部の一端部と他端部の変形方向を規制し、これらの両端部を突き当てるためのガイド部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の衝撃吸収部材。
JP2009029160A 2009-02-10 2009-02-10 衝撃吸収部材 Expired - Fee Related JP5328401B2 (ja)

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