JP7458782B2 - 摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラム - Google Patents

摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラム Download PDF

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Description

本開示は、摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムに関するものである。
従来、石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)は、粉砕機(ミル)で所定粒径範囲内の微粉状に粉砕して、燃焼装置へ供給される(例えば、特許文献1)。ミルは、回転テーブルへ投入された石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を、回転テーブルとローラの間で噛み砕くことで粉砕する。そして、回転テーブルの外周から供給される搬送用ガスによって、粉砕されて微粉状となった燃料を分級機で所定粒径範囲内のものを選別し、ボイラへ搬送して燃焼装置で燃焼させている。火力発電プラントでは、ボイラで燃焼して生成された燃焼ガスとの熱交換により蒸気を発生させ、該蒸気により蒸気タービンを回転駆動して、蒸気タービンに接続した発電機を回転駆動することで発電が行われる。
固体燃料の粉砕により、特にミルのローラや回転テーブル(テーブルライナ)に摩耗が発生する。このため、ミルのローラや回転テーブルの摩耗状態に応じて適切に補修や交換等のメンテナンス作業を行う必要がある。
特開平2-21950号公報
ミルのローラや回転テーブルのメンテナンスまでの余寿命の推定にあたり、精度の高い余寿命の推定のためには、ミルのローラや回転テーブルの摩耗状況を計測する必要がある。摩耗状況を計測するにあたり、一般的には計測用の治具を用いて摩耗状況を計測したい箇所を直接計測する方法が採られている。摩耗状況を直接計測するためには、ミルを停止して開放し、手作業で計測を行う必要がある。そして、摩耗の進行を把握するためには、運転時間の経過に対して複数回計測を行う必要があり、その都度ミルを停止させる必要がある。従って、頻繁に摩耗量の直接計測を行うことが出来ないために、摩耗の進捗状況の把握には限界がある。このように、ミルの停止が必要となるため、ミル稼働率の低下を抑制するためにミルを停止した点検頻度を少なくすると、摩耗状況を正確に把握することができない可能性がある。このため、精度の高い余寿命の推定のためには、ミルを停止することなく、より精度よく摩耗状況を把握することが望まれている。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、より精度よく摩耗状況を把握して摩耗評価を行うことのできる摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様は、粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価システムであって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する検出部と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う評価部と、を備え、前記評価部は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価システムである。
本開示の第2態様は、粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価方法であって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する工程と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う工程と、を有し、前記摩耗評価を行う工程は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価方法である。
本開示の第3態様は、粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価プログラムであって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する処理と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う処理と、をコンピュータに実行させ、前記摩耗評価を行う処理は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価プログラムである。
本開示によれば、より精度よく摩耗状況を把握して摩耗評価を行うことができるという効果を奏する。
本開示の第1実施形態に係る固体燃料粉砕装置およびボイラを示す構成図である。 本開示の第1実施形態に係るミル及びスピレージの排出系統を示した部分拡大縦断面図である。 本開示の第1実施形態に係るローラ周りを示した部分拡大縦断面図である。 本開示の第1実施形態に係る制御部のハードウェア構成図である。 本開示の第1実施形態に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第1実施形態に係るスピレージの排出系統を示した部分拡大縦断面図である。 本開示の第1実施形態に係るパルス信号の形成例を示した図である。 本開示の第1実施形態に係る閾値とパルス発生数との関係を例示した図である。 本開示の第1実施形態に係るスピレージに含まれる粒径を示す図である。 本開示の第1実施形態に係るスピレージの排出量とパルス数との対応情報の一例を示した図である。 本開示の第1実施形態に係る合計摩耗量とスピレージの排出量との関係の一例を示す図である。 本開示の第1実施形態に係るミル動力と合計摩耗量との関係の一例を示す図である。 本開示の第1実施形態に係るテーブル差圧と合計摩耗量との関係の一例を示す図である。 本開示の第1実施形態に係る合計摩耗量とスピレージの排出量との関係の一例を示す図である。 本開示の第1実施形態に係る摩耗評価処理のフローチャートを示した図である。 本開示の第1実施形態に係る摩耗評価処理のフローチャートを示した図である。 本開示の第1実施形態に係る摩耗評価処理の効果を示す図である。 本開示の第2実施形態に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第2実施形態に係る余寿命の予測結果を示す図である。 本開示の第3実施形態に係る制御部が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の第3実施形態に係るメンテナンス計画に係るシステムの例を示す図である。
〔第1実施形態〕
以下に、本開示に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムの第1実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、摩耗評価システムが発電プラント1の固体燃料粉砕装置100に適用される場合について説明する。
本実施形態に係る発電プラント1は、図1に示すように、固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを備えている。
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、一例として石炭やバイオマス燃料等の固体燃料(炭素含有固体燃料)を粉砕し、微粉燃料を生成してボイラ200のバーナ部(燃焼装置)220へ供給する装置である。図1に示す固体燃料粉砕装置100とボイラ200とを含む発電プラント1は、1台の固体燃料粉砕装置100を備えるものであるが、1台のボイラ200の複数のバーナ部220のそれぞれに対応する複数台の固体燃料粉砕装置100を備えるシステムとしてもよい。
本実施形態の固体燃料粉砕装置100は、図1に示すように、ミル(粉砕部)10と、給炭機(燃料供給機)20と、送風部(搬送用ガス供給部)30と、状態検出部(状態検出装置)40と、制御部(制御装置)60とを備えている。
なお、本実施形態では、上方とは鉛直上側の方向を、上部や上面などの“上”とは鉛直上側の部分を示している。また同様に“下”とは鉛直下側の部分を示している。
ボイラ200に供給する石炭やバイオマス燃料等の固体燃料を微粉状の固体燃料である微粉燃料へと粉砕するミル10は、石炭のみを粉砕する形式であっても良いし、バイオマス燃料のみを粉砕する形式であっても良いし、石炭とともにバイオマス燃料を粉砕する形式であってもよく、固体燃料の種類は限定されない。ここで、バイオマス燃料とは、再生可能な生物由来の有機性資源であり、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などであり、ここに提示したものに限定されることはない。バイオマス燃料は、バイオマスの成育過程において二酸化炭素を取り込むことから、地球温暖化ガスとなる二酸化炭素を排出しないカーボンニュートラルとされるため、その利用が種々検討されている。
ミル10は、ハウジング11と、回転テーブル12と、ローラ(粉砕ローラ)13と、駆動部14と、回転式分級機16と、燃料供給部17と、回転式分級機16を回転駆動させる分級機モータ18とを備えている。
ハウジング11は、鉛直方向に延びる筒状に形成されるとともに、回転テーブル12とローラ13と回転式分級機16と、燃料供給部17とを収容する筐体である。ハウジング11の天井部42の中央部には、燃料供給部17が取り付けられている。この燃料供給部17は、バンカ21から導かれた固体燃料をハウジング11内に供給するものであり、ハウジング11の略中心位置に上下方向に沿って配置され、下端部がハウジング11内部まで延設されている。
ハウジング11の底面部41付近には、ミルモータ14aに減速機が連結された駆動部14が設置され、この駆動部14から伝達される駆動力により回転する回転テーブル12が回転自在に配置されている。回転テーブル12は、平面視円形の部材であり、燃料供給部17の下端部が対向するように配置されている。回転テーブル12の上面は、例えば、中心部が低く、外側に向けて高くなるような傾斜形状をなし、外周部が上方に曲折した形状をなしていてもよい。燃料供給部17は、固体燃料(本実施形態では例えば石炭やバイオマス燃料)を上方から下方の回転テーブル12に向けて供給し、回転テーブル12は供給された固体燃料をローラ13との間で粉砕するもので、粉砕テーブルとも呼ばれる。回転テーブル12の上にはテーブルライナ12aが設置されている。すなわち、固体燃料は、テーブルライナ12aとローラ13との間で粉砕される。本実施形態では、回転テーブル12の上にテーブルライナ12aが設置されている場合を例として説明するが、回転テーブル12とテーブルライナ12aとが一体のテーブルとして形成されることとしてもよい。
固体燃料が燃料供給部17から回転テーブル12の略中央領域へ向けて投入されると、回転テーブル12の回転による遠心力によって固体燃料は回転テーブル12の外周側へと導かれ、ローラ13との間に挟み込まれて粉砕される。粉砕された固体燃料は、搬送用ガス流路(以降は、一次空気流路と記載する)100aから導かれた搬送用ガス(以降は、一次空気と記載する)によって上方へと吹き上げられ、回転式分級機16へと導かれる。すなわち、回転テーブル12の外周には、一次空気流路100aから流入する一次空気をハウジング11内の回転テーブル12の上方の空間に流出させる吹出口(図示省略)が設けられている。吹出口にはベーン(図示省略)が設置されており、吹出口から吹き出した一次空気に旋回力を与える。ベーンにより旋回力が与えられた一次空気は、旋回する速度成分を有する気流となって、回転テーブル12上で粉砕された固体燃料をハウジング11内の上方の回転式分級機16へと導く。なお、一次空気に混合した固体燃料の粉砕物のうち、所定粒径より大きいものは回転式分級機16により分級されて、または、回転式分級機16まで到達することなく、落下して回転テーブル12に戻されて、再びローラ13との間で粉砕される。
このように、ミル10では固体燃料を粉砕し、微粉燃料を一次空気(搬送ガス)によって燃焼装置(ボイラ)へ搬送される。また、粒径の大きな微粉燃料や、不純物等は、一次空気によって搬送されず、排出物(以下、「スピレージ」という)として排出される。図1のような構成では、微粉燃料は一次空気によってミル10の上方へ搬送されて、出口19より供給流路100bを経由してバーナ部220へと搬出されるが、一次空気によってミル10の上方へ搬送されず、ミル10の下方(すなわち回転テーブル12の下)へ落下した落下物がスピレージとなる。図2は、スピレージの排出系統を詳細に示した図である。スピレージは、ミル10から排出された排出物であり、一般的な鉱物(石炭を含む)を粉砕する際には、その主成分が黄鉄鉱であることからパイライト(黄鉄鉱)ともいう。スピレージは、例えば、異物や粗粒燃料等であり、回転テーブル12の周囲より落下した物である。本実施形態では、スピレージは一次空気によって燃料装置へ搬送されず回転テーブル12の下に落下した落下物として説明するが、燃焼に用いられずミル10から排出される排出物であれば、落下物に限定されない。なお、後述するように、ローラ13やテーブルライナ12aが固体燃料と接触することにより摩耗が発生して、摩耗量が増加すると粉砕性能が低下して粗粒燃料が増加して、スピレージに含まれる粗粒燃料が増加する場合がある。
図2に示すように回転テーブル12の下に落下したスピレージは、スクレーパ71によって掻き出されてスピレージホッパ74へ送られる。スクレーパ71は回転テーブル12の下部に設けられており、回転テーブル12と同軸に回転する。これによって、回転テーブル12の下に落下して堆積したスピレージをスクレーパ71によってシュート72の入口へ寄せ集めて排出する。
スピレージは、シュート72を介して、スピレージホッパ74へ堆積される。シュート72には、入口弁73が設けられており、入口弁73が閉の場合にスピレージがシュート72でせき止められ、入口弁73が開の場合にシュート72からスピレージホッパ74へスピレージが流れる。スピレージホッパ74では、ミル10から排出されたスピレージが堆積される。スピレージホッパ74の下部には排出弁75が設けられており、排出弁75が開となることによって、堆積されたスピレージが排出される。排出弁75を開放状態とする際には、搬送ガスがスピレージシュートを介して流出することを防止するため、入口弁73は閉止状態とされる。なお、排出弁75の代わりにスピレージホッパ74に開閉可能な開口部を設けて、該開口部より堆積したスピレージを排出してもよい。
ローラ13は、燃料供給部17から回転テーブル12に供給された固体燃料を粉砕する回転体である。ローラ13は、回転テーブル12の上面に押圧されて回転テーブル12と協働して固体燃料を粉砕する。図1では、ローラ13が代表して1つのみ示されているが、回転テーブル12の上面を押圧するように、周方向に一定の間隔を空けて、複数のローラ13が対向して配置される。例えば、外周部上に120°の角度間隔を空けて、3つのローラ13が周方向に均等な間隔で配置される。この場合、3つのローラ13が回転テーブル12の上面と接する部分(押圧する部分)は、回転テーブル12の回転中心軸からの距離が等距離となる。
ローラ13は、ジャーナルヘッド45によって、上下に揺動可能となっており、回転テーブル12の上面に対して接近離間自在に支持されている。ローラ13は、外周面が回転テーブル12の上面の固体燃料に接触した状態で、回転テーブル12が回転すると、回転テーブル12から回転力を受けて連れ回りするようになっている。燃料供給部17から固体燃料が供給されると、ローラ13外周面と回転テーブル12(すなわちテーブルライナ12a)との間で固体燃料が押圧されて粉砕されて、微粉燃料となる。粉砕によってローラ13とテーブルライナ12aとには摩耗が発生するため、定期的に補修や交換が必要となる。このため、後述の制御部60では、摩耗評価が行われる。
ジャーナルヘッド45の支持アーム47は、中間部が水平方向に沿った支持軸48によって、ハウジング11の側面部に支持軸48を中心としてローラ13を上下方向に揺動可能に支持されている。また、支持アーム47の鉛直上側にある上端部には、押圧装置49が設けられている。押圧装置49は、ハウジング11に固定され、ローラ13の外周面を回転テーブル12に押し付けるように、支持アーム47等を介してローラ13に荷重を付与する。
ローラ13の詳細な構成の例を図3(ローラ13周りを示した部分拡大縦断面図)に示す。ローラ13は、ローラ支持部55によってハウジング11に支持されている。ローラ支持部55は、ローラ13を取り付ける支持軸52と、支持軸52を保持する本体56と、本体56の側部に固定して取り付けられた支持軸48と、本体56の上面に上方へ延在するように取り付けられた支持アーム47と、本体56の下面に下方に突出するように設けられた突起部57を備える。
ローラ13の中心には、略円筒形状をした中空のハブ51が取り付けられている。ローラ13は、ハブ51を介して、支持軸52の先端部に取り付けられる。すなわち、ローラ13は支持軸52に対してジャーナル軸受(ローラジャーナル軸受)59を介して取り付けられることによって、ローラ13は、支持軸52を中心に周方向に回転可能となっている。支持軸48は、軸線が略水平方向であり、回転テーブル12の円形形状の接線方向に延在するように配置されている。ローラ支持部55は支持軸48を中心に回動可能となっており、支持軸48を中心に回動することにより、回転テーブル12に対するローラ13の距離が変化する。
ハウジング11には、支持アーム47の上端部を押圧する押圧装置49が取り付けられている。押圧装置49は、長手方向に移動可能な状態でハウジング11に取り付けられた中間ピストン53と、ハウジング11の外周に取り付けられ中間ピストン53の外側端部を押圧する油圧荷重部54を備える。中間ピストン53の内側端部は、支持アーム47の上端部外周側に接触している。押圧装置49は、油圧荷重部54によって油圧荷重を発生させ、中間ピストン53を長手方向に移動させることにより、ローラ支持部55を、支持軸48を中心に揺動させる。すなわち、ローラ13は、押圧装置49によって回転テーブル12に押圧されている。
突起部57は、ローラ支持部55が支持軸48を中心に一定の位置まで揺動した場合に、ストッパ58に突き当たる。ストッパ58は、ローラ13の回転テーブル12を押圧する方向への移動量を制限する制限部材として機能する。
駆動部14は、回転テーブル12に駆動力を伝達し、回転テーブル12を中心軸(回転軸)回りに回転させる装置である。駆動部14は、ミルモータ14aに連結されており、回転テーブル12を回転させる駆動力を発生する。
回転式分級機16は、ハウジング11の上部に設けられ中空状の略逆円錐形状の外形を有している。回転式分級機16は、その外周位置に上下方向に延在する複数のブレード16aを備えている。各ブレード16aは、回転式分級機16の中心軸線周りに所定の間隔(均等間隔)で設けられている。また、回転式分級機16は、ローラ13により粉砕された固体燃料を所定粒径(例えば、石炭では70~100μm)より大きいもの(以下、所定粒径を超える粉砕された固体燃料を「粗粉燃料」という。)と所定粒径以下のもの(以下、所定粒径以下の粉砕された固体燃料を「微粉燃料」という。)に分級する装置である。回転により分級する回転式分級機16は、ロータリセパレータとも呼ばれ、制御部60によって制御される分級機モータ18により回転駆動力を与えられ、ハウジング11の上下方向に延在する円筒軸(図示省略)を中心に燃料供給部17の周りを回転する。
回転式分級機16に到達した粉砕された固体燃料において、ブレード16aの回転により生じる遠心力と、一次空気の気流による向心力との相対的なバランスにより、大きな径の粗粉燃料は、ブレード16aによって叩き落とされ、回転テーブル12へと戻されて再び粉砕され、微粉燃料はハウジング11の天井部42にある出口19に導かれる。
回転式分級機16によって分級された微粉燃料は、出口19から供給流路100bへ排出され、一次空気とともに後工程へと搬送される。供給流路100bへ流出した微粉燃料は、ボイラ200のバーナ部220へ供給される。
燃料供給部17は、ハウジング11の上端を貫通するように上下方向に沿って下端部がハウジング11内部まで延設されて取り付けられ、燃料供給部17の上部から投入される固体燃料を回転テーブル12の略中央領域に供給する。燃料供給部17は、給炭機20から固体燃料が供給される。
給炭機20は、搬送部22と、給炭機モータ23とを備える。搬送部22は、給炭機モータ23から与えられる駆動力によってバンカ21の直下にあるダウンスパウト部24の下端部から排出される固体燃料を搬送し、ミル10の燃料供給部17に導かれる。
通常、ミル10の内部には、粉砕した固体燃料である微粉燃料を搬送するための一次空気が供給されて、圧力が高くなっている。バンカ21の直下にある上下方向に延在する管であるダウンスパウト部24には内部に燃料が積層状態で保持されていて、ダウンスパウト部24内に積層された固体燃料層により、ミル10側の一次空気と微粉燃料が逆流入しないようなシール性を確保している。
ミル10へ供給する固体燃料の供給量は、搬送部22のベルトコンベアのベルト速度で調整されてもよい。
一方、粉砕前のバイオマス燃料のチップやペレットは、石炭燃料(すなわち粉砕前の石炭の粒径は、例えば、粒径が2~50mm程度)に比べて、粒径が一定であり(ペレットのサイズは、例えば、直径6~8mm程度、長さは40mm以下程度)、かつ、軽量である。このため、バイオマス燃料がダウンスパウト部24内に貯留されている場合は、石炭燃料の場合に比べて、各バイオマス燃料間に形成される隙間が大きくなる。
従って、ダウンスパウト部24内のバイオマス燃料のチップやペレットの間には隙間があることから、ミル10内部から吹き上げる一次空気と微粉燃料が各バイオマス燃料間に形成される隙間を通過して、ミル10内部の圧力が低下する可能性がある。また、一次空気がバンカ21の貯留部へと吹き抜けると、固体燃料粉砕装置100におけるバイオマス燃料の搬送性の悪化や給炭機20内部及びバンカ21上部での粉塵発生、バンカ21及びダウンスパウト部24内に積層されたバイオマス燃料の着火や、また、ミル10内部の圧力が低下すると、微粉燃料のバーナ部220への搬送量が低下するなど、ミル10の運転に種々の問題が生じる可能性がある。このため、給炭機20から燃料供給部17の途中にロータリバルブ(図示省略)を設けて、一次空気と微粉燃料が給炭機20及びバンカ21へ向けて吹き上げることを抑制するようにしてもよい。
送風部30は、ローラ13により粉砕された固体燃料を乾燥させるとともに回転式分級機16へ供給するための一次空気をハウジング11の内部へ送風する装置である。
送風部30は、ハウジング11へ送風される一次空気を適切な温度に調整するために、本実施形態では、一次空気通風機(PAF:Primary Air Fan)31と、熱ガス流路30aと、冷ガス流路30bと、熱ガスダンパ30cと、冷ガスダンパ30dとを備えている。
本実施形態では、熱ガス流路30aは、一次空気通風機31から送出された空気(外気)の一部を、例えば空気予熱器などの熱交換器(加熱器)34を通過して加熱せられた熱ガスとして供給する。熱ガス流路30aの下流側には熱ガスダンパ30c(第1送風部)が設けられている。熱ガスダンパ30cの開度は制御部60によって制御される。熱ガスダンパ30cの開度によって熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量が決定する。
冷ガス流路30bは、一次空気通風機31から送出された空気の一部を常温の冷ガスとして供給する。冷ガス流路30bの下流側には冷ガスダンパ(第2送風部)30dが設けられている。冷ガスダンパ30dの開度は制御部60によって制御される。冷ガスダンパ30dの開度によって冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量が決定する。
一次空気の流量は、本実施形態では、熱ガス流路30aから供給する熱ガスの流量と冷ガス流路30bから供給する冷ガスの流量の合計の流量となり、一次空気の温度は、熱ガス流路30aから供給する熱ガスと冷ガス流路30bから供給する冷ガスの混合比率で決まり、制御部60によって制御される。
また、熱ガス流路30aから供給する熱ガスに、図示しないガス再循環通風機を介してボイラ200から排出された燃焼ガスの一部を導き、混合気とすることで、一次空気流路100aから流入する一次空気の酸素濃度を調整してもよい。
本実施形態では、ミル10の状態検出部40により、計測または検出したデータを制御部60に送信する。本実施形態の状態検出部40は、例えば、差圧計測手段であり、一次空気流路100aからミル10内部へ一次空気が流入する部分及びミル10内部から供給流路100bへ一次空気及び微粉燃料が排出する出口19との差圧をミル10内の差圧(ミル10内へ流入するガスとミル10から排出されるガスとの差圧)として計測する。例えば、回転式分級機16の分級性能により、ミル10内部を回転式分級機16付近と回転テーブル12付近の間で循環する粉砕された固体燃料の循環量の増減とこれに対するミル10内の差圧の上昇低減が変化する。すなわち、ミル10の内部に供給する固体燃料に対して、出口19から排出させる微粉燃料を調整して管理することができるので、微粉燃料の粒度がバーナ部220の燃焼性に影響しない範囲で、ミル10へ投入された固体燃料の供給量に対応した量の微粉燃料をボイラ200に設けられたバーナ部220に安定して供給することができる。
また、本実施形態の状態検出部40は、例えば、温度計測手段であり、ローラ13により粉砕された固体燃料を回転式分級機16へ吹き上げるためにハウジング11の内部に供給する一次空気の温度と、ハウジング11の内部において出口19までの一次空気の温度を検出して、上限温度を超えないように送風部30を制御する。なお、一次空気は、ハウジング11内において、粉砕物を乾燥しながら搬送することによって冷却されるので、ハウジング11の上部空間から出口19での温度は、例えば約60~90度程度となる。
ボイラ200は、固体燃料粉砕装置100から供給される微粉燃料を用いて燃焼を行って蒸気を発生させる。このため、ボイラ200は、火炉210とバーナ部220とを備えている。
バーナ部220は、供給流路100bから供給される微粉燃料を含む一次空気と、押込気通風機(FDF:Feed Draft Fan)32から送出される空気(外気)を熱交換器34で加熱して供給される二次空気とを用いて微粉燃料を燃焼させて火炎を形成する装置である。微粉燃料の燃焼は火炉210内で行われ、高温の燃焼ガスは、蒸発器,過熱器,節炭器などの熱交換器(図示省略)を通過した後にボイラ200の外部に排出される。
ボイラ200から排出された燃焼ガスは、環境装置(脱硝装置、電気集塵機などで図示省略)で所定の処理を行うとともに、例えば空気予熱器などの熱交換器34で一次空気通風機31から送出される空気と押込気通風機32から送出される空気との熱交換が行われ、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)33を介して煙突(図示省略)へと導かれて外気へと放出される。熱交換器34において燃焼ガスにより加熱された一次空気通風機31から送出される空気は、前述した熱ガス流路30aに供給される。
ボイラ200の各熱交換器への給水は、節炭器(図示省略)において加熱された後に、蒸発器(図示省略)および過熱器(図示省略)によって更に加熱されて高温高圧の蒸気が生成され、発電部である蒸気タービン(図示省略)へと送られて蒸気タービンを回転駆動し、蒸気タービンに接続した発電機(図示省略)を回転駆動して発電が行われ、発電プラント1を構成する。
制御部60は、固体燃料粉砕装置100の各部を制御する装置である。制御部60は、例えば、ミルモータ14aに駆動指示を伝達することによりミル10の運転に対する回転テーブル12の回転速度を制御してもよい。制御部60は、例えば回転式分級機16の分級機モータ18へ駆動指示を伝達して回転速度を制御することで、分級性能を調整することにより、ミル10内の差圧を所定の範囲に適正化して微粉燃料の供給を安定化させることができる。また、制御部60は、例えば給炭機20の給炭機モータ23へ駆動指示を伝達することにより、搬送部22が固体燃料を搬送して燃料供給部17へ供給する固体燃料の供給量(給炭量)を調整することができる。また、制御部60は、開度指示を送風部30に伝達することにより、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dの開度を制御して一次空気の流量と温度を制御することができる。具体的には、制御部60は、搬送ガスの流量と出口温度が、固体燃料種別毎に給炭量に対して設定された所定値となるように、熱ガスダンパ30cおよび冷ガスダンパ30dを制御する。また、制御部60は、押圧装置49の油圧荷重部54に付加する油圧を、例えば、固体燃料の供給量や回転式分級機16の回転数に応じて制御することで、ローラ13が回転テーブル12に押圧される力を適正化し、安定した固体燃料の粉砕を可能とする。
また、制御部60は、ミル10におけるローラ13の寿命や回転テーブル12上に設置されたテーブルライナ12aの余寿命の推定のための摩耗評価を行う。すなわち、制御部60は、余寿命の推定のための摩耗評価システムとしての機能を有している。ミル10において摩耗が発生する部位であるローラ13とテーブルライナ12aは、耐摩耗性の高い素材で作られているが、それでも長時間の使用に伴い摩耗が進行する。このため、定期的な点検を行い、補修や交換が必要である。ミル10はテーブルライナ12aへ投入された石炭やバイオマス燃料等の固体燃料をテーブルライナ12aとローラ13の間で噛み砕くことで微粉燃料へ粉砕する。ミル10は、ローラ13やテーブルライナ12aが固体燃料と接触することにより摩耗が発生して、摩耗量が増加すると粉砕性能が低下するため、適切な時期にメンテナンスにより補修や交換などを行う必要がある。
このため、制御部60は、ミル10におけるローラ13とテーブルライナ12aに対して摩耗評価を行う。本実施形態では、ローラ13とテーブルライナ12aの摩耗量を合算し、合計摩耗量(摩耗量)として摩耗評価する場合について説明するが、ローラ13とテーブルライナ12aの各摩耗量を摩耗評価する場合や、いずれか一方を摩耗評価することとしてもよい。また、摩耗評価とは、固体燃料の粉砕によって生じる摩耗に関する評価であり、摩耗量評価や摩耗速度評価、摩耗による寿命評価(余寿命評価)等を含むものである。なお、余寿命推定システムとしての機能は、制御部60とは別の制御装置に設けることとしてもよい。精度の高い余寿命の推定にあたり、本実施形態による摩耗評価を行う。
図4は、本実施形態に係る制御部60のハードウェア構成の一例を示した図である。
図4に示すように、制御部60は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU110と、CPU110が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)120と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)130と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)140と、ネットワーク等に接続するための通信部150とを備えている。これら各部は、バス180を介して接続されている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることもできる。
また、制御部60は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
なお、CPU110が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM120に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でHDD140等に記録されており、このプログラムをCPU110がRAM130等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROM120やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、HDD140はソリッドステートディスク(SSD)等で置き換えられてもよい。
図5は、制御部60が備える摩耗評価システムに関する機能を示した機能ブロック図である。図5に示されるように、制御部60は、検出部61と、評価部67とを備えている。
検出部61は、一次空気(搬送ガス)により燃焼装置へ搬送されずにミル10からスピレージホッパ74へ排出される排出物(スピレージ)の排出量を検出する。このため、本実施形態における検出部61は、取得部62と、変換部63と、カウント部64と、演算部65と、補正部66とを備えている。
取得部62は、スピレージがミル10からスピレージホッパ74へ排出されるときの信号情報を検出して取得し、取得部62、変換部63、カウント部64、演算部65、補正部66で処理を行い、スピレージの排出量を算出する。本実施形態では、取得部62で取得する信号情報は、例えば、音に関する信号を取得する。具体的には、図6に示すように、スピレージの排出系統であるシュート72には、シュート72内を移動するスピレージと接触する接触板83がシュート72の底面領域の一部に設けられている。シュート72内を移動するスピレージは、ほぼ全量が接触板83に接触することが望ましい。接触板83に対しては、例えばピエゾ素子などの音検出素子(スピレージフロー検出素子)82が設けられており、スピレージと接触板83とが接触することによって生ずる音(摩擦音や衝撃音等)を検出する。なお、シュート72の底面と接触板83との間に音響絶縁材81を設けても良い。シュート72の底面と接触板83との間に音響絶縁材81を設けることによって、シュート72と接触板83とを音響的に絶縁することができる。このため、音響絶縁材81によって、シュート72が伝達するミル10等で発生する振動(雑音)が接触板83に伝達されることを抑制し、その結果、音検出素子82では、スピレージと接触板83との接触音を精度よく検出することができる。
取得部62では、音検出素子82によって検出された、スピレージがミル10からスピレージホッパ74へ排出されるときの音に関する信号を取得する。そして、取得部62では、取得した音に関する信号を増幅及び検波する。
変換部63は、取得部62で取得され増幅した信号(入力信号)をパルス信号(フローパルス信号)へ変換する。具体的には、変換部63では、信号の振幅と閾値とを比較して、信号の振幅が閾値未満である場合に、パルス信号としてLow(0)を出力し、信号の振幅が閾値以上である場合に、パルス信号としてHigh(1)を出力する。
例えば、図7のように時間経過に対して信号が変換部63に入力された場合には、信号(入力信号)の振幅が閾値以上である場合に、パルスが立ち上がり、パルス信号が形成される。図7のように、スピレージによる音は低周波で高振幅となり、一方、その他のミル10等で発生する雑音(例えばスクレーパ71の回転による雑音等)は、スピレージによる音と比較すると高周波であり、また前記音響絶縁材81の効果もあり低振幅となる傾向にある。このため、事前試験等によって、スピレージによる音と、その他の雑音との境界として閾値を予め設定しておくことによって、スピレージが排出されるときに発生する音をパルス信号(フローパルス)へ変換することができる。例えば、変換部63へ入力される音の信号の振幅の閾値と、パルスの発生数とは図8のような関係となる。すなわち、閾値を低く設定すると、振幅の大きな雑音が影響して変換部63でのパルスの発生数が増加し、閾値を高く設定すると、振幅の小さなスピレージの衝撃音等を雑音と誤判定してパルスの発生数が減少する。このため、例えば図8のような特性において、特性曲線が閾値の選定に影響されにくい比較的平坦な領域、すなわち特性曲線の傾きが所定値未満となる領域(図8のR)において閾値を設定することによって、スピレージによる音とその他の雑音とを区別する適切な閾値を設定することができる。
カウント部64は、High(1)として出力されたパルス信号に基づいて所定期間内におけるパルス数をカウントする。すなわち、カウント部64は、変換部63において生成されたパルス信号におけるパルスの数(立ち上がりの数)を所定期間計測し、所定期間内におけるパルスの発生数をカウントする。すなわち、カウント部64では、所定期間においてシュート72内を移動するスピレージと接触板83とが接触することによって生ずる音の発生回数を計測する。なお、カウント部64では、パルス数をカウントする場合でなくても、パルス信号のパルス幅を積算することとしてもよい。
例えば、カウント部64において、所定期間におけるパルスの発生数として、1分間のパルス数(個/分)が計測され、計測結果を演算部65へ出力する。
演算部65は、予め設定されたパルス数と排出量との対応情報に基づいて、カウントされたパルス数より排出量を演算する。具体的には、演算部65は、ミル10へ供給される固体燃料の種類、及びミル10へ供給される固体燃料のサイズの少なくともいずれか一方に対応する対応情報に基づいて、演算を行う。
スピレージは、その粒径によって、図9のような関係を有する。図9では、棒グラフが粒径に対する個数を示しており、丸点が粒径に対する重量(重量/個)を示している。すなわち、小粒径(例えば直径が1mm以上5mm以下)の粒子は存在個数が多いものの粒子単位における重量は軽く、大粒径(例えば直径が15mm以上)の粒子は存在個数が少ないものの粒子単位における重量は重い。そして、排出されるスピレージでは、小粒径の排出物と大粒径の排出物とが混合したものとなる。このため、スピレージにおいて大粒径もしくは小粒径の構成比率の大小に対して、スピレージと接触板83とが接触することによって生ずる音の発生回数とスピレージの排出量との関係を把握することができる。
例えば、ミル10へ供給される固体燃料に対して、予め事前試験等を行うことによって、パルスの発生回数とスピレージの排出量(シュート72を通過したスピレージの量)とを対応情報として関連付けることができる。スピレージの排出量とは、単位時間当たりに排出されるスピレージの重量(例えばkg/h)である。なお、スピレージの排出量としては単にスピレージの重量(例えばkg)としてもよい。図10は、例えば、ミル10へ供給される固体燃料の種類が異なる場合に、スピレージの排出量とパルス発生数との対応情報の一例を示した図である。例えばスピレージにおいて大粒径の構成比率が多い場合には、パルス発生数に対してスピレージの排出量が多い方へ特性が変化し、スピレージにおいて小粒径の構成比率が多い場合には、パルス発生数に対してスピレージの排出量が少ない方へ特性が変化する。このように、予めパルスの発生回数をスピレージの排出量との関係を試験等によって得て置くことで、図10のような対応関係を得る。
そして、演算部65では、対応情報に基づいて、カウントされたパルス数に対応するスピレージの排出量を演算することが可能となる。このようにして、スピレージの排出量が導出される。例えば、カウント部64において1分間のパルス数(個/分)が計測され、図10に基づいて、該パルス数に対応するスピレージの排出量(例えばkg/h)が演算される。
スピレージにおいて、小粒径の排出物と大粒径の排出物との構成比は、ミル10へ供給される固体燃料の種類や、ミル10へ供給される固体燃料のサイズと相関関係を有している。ミル10へ供給される固体燃料のサイズとは、固体燃料の粒径分布等の固体燃料の大きさに関する情報である。本実施形態では、固体燃料の種類を用いる場合について説明するが、固体燃料のサイズを用いることとしてもよいし、両方の情報を用いることとしてもよい。
すなわち、使用する固体燃料の種類のそれぞれに対して、予め事前試験等を行い、図10のような対応関係を得ておくことによって、使用する固体燃料に対応して、パルス数からより正確にスピレージの排出量を得ることができる。演算部65では、使用する固体燃料に対応する対応情報に基づいて、カウントされたパルス数に対応するスピレージの排出量を演算する。
補正部66は、スピレージの排出量の計測値に基づいて対応情報を補正する。シュート72内を移動したスピレージはスピレージホッパ74に蓄積され、スピレージホッパ74の排出弁75を開とすることによってスピレージホッパ74の外へ排出することができる。例えば、ある所定期間に蓄積したスピレージを排出して排出量(重量)を計測し、該所定時間において発生したパルス数を対応させることによって、実際に排出されたスピレージの量より、パルス数と排出量との関係(対応関係)を確認することができる。このため、補正部66は、予め設定された対応情報(事前試験により設定された対応情報)に基づくカウントされたパルス数に対応するスピレージの排出量の対応関係と、実際の排出量の計測によって取得されたパルス数と排出量との対応関係とが異なる場合に、計測によって取得された対応関係に基づいて演算部65で使用する対応情報を補正する。
具体的には、補正部66は、固体燃料の種類等に対応して複数設けられた対応情報のうち、計測によって取得された対応関係と一致する対応情報を、演算部65において使用する対応情報として設定する。このようにして、実際の計測に適応するように対応情報を補正することができる。
なお、補正の方法については上記に限定されない。例えば、予め設定された対応情報(事前試験により設定された対応情報)と、計測によって取得された対応関係とが異なる場合に、スピレージの排出量の差分を演算し、該差分だけ予め設定された対応情報を排出量に対して平行移動させることとしてもよい。
評価部67は、検出されたスピレージの排出量に基づいて、ミル10に対する摩耗評価を行う。評価部67は、後述するような予め設定されたスピレージ排出量とミル10における摩耗量との関係情報に基づいて、検出されたスピレージの排出量よりミル10における摩耗量を評価する。
スピレージは、ミル10において一次空気によって搬送されずに回転テーブル12の下に落下した落下物がスピレージホッパ74へ排出される排出物であり、異物や粗粒燃料等の微粉燃料と比較して重量が重い粒子等が含まれるものとなる。ミル10では、ローラ13と回転テーブル12のテーブルライナ12aとによって固体燃料を所定の粒径以下へ粉砕して微粉燃料を生成するように設計されている。しかしながら、粉砕によってローラ13やテーブルライナ12aの摩耗が発生すると、ローラ13とテーブルライナ12aとの間の隙間が増加し、粗粒燃料が多く発生するようになる。すなわち、摩耗が進行すると一次空気によって搬送されずに回転テーブル12の下に落下する粗粒燃料が多くなり、スピレージの排出量が多くなる傾向にある。このように、ローラ13やテーブルライナ12aの摩耗と、スピレージの排出量とは相関関係を有している。
具体的には、図11に、ローラ13及びテーブルライナ12aの合計摩耗量(摩耗量)とスピレージの排出量との関係の一例を示す。合計摩耗量とは、ローラ13の摩耗量の累積量と、テーブルライナ12aの摩耗量の累積量との合計である。本実施形態では合計摩耗量として評価する場合について説明するが、ローラ13とテーブルライナ12aのそれぞれの摩耗量を評価することとしてもよいし、いずれか一方を評価することとしてもよい。すなわち、ローラ13の摩耗量とテーブルライナ12aの摩耗量とは所定の比率となる相関関係を持っているため、いずれか一方の摩耗量を評価することで合計摩耗量を推定することが可能である。
例えば、ミル10へ供給される固体燃料に対して、合計摩耗量とスピレージの排出量とは相関を有しているため、予め行った事前試験や仕様が類似しているミルの実績等によって、図11のような合計摩耗量とスピレージの排出量との関係を得ておくことができる。このため、評価部67では、検出部61から出力されたスピレージの排出量に基づいて、予め設定した図11のような関係情報により、合計摩耗量を評価することができる。例えば、図11より、スピレージの排出量(例えばkg/h)に対応した摩耗状態として、合計摩耗量を評価することができる。このように、ミル10が運転中であり、ローラ13やテーブルライナ12aの摩耗量を直接計測できなくても、ミル10の外部からローラ13とテーブルライナ12aの合計摩耗量を推定して評価することで、摩耗限界に至るかどうかを検知することができる。摩耗限界とは、許容される合計摩耗量の累積値であり、ローラ13及びテーブルライナ12aの交換や補修が推奨される摩耗量である。
例えば、図11において、スピレージの排出量が閾値aに達した場合には、合計摩耗量が摩耗限界に近いこと(警戒値に達したこと)を判定することができる。スピレージの排出量が閾値bに達した場合には、合計摩耗量が摩耗限界となったことを判定することができる。
図11に示すようにスピレージの排出量によっても合計摩耗量を評価することができるが、スピレージの排出量が所定の閾値に達した後は、他の情報も加味して、より詳細に合計摩耗量を評価することが可能である。
具体的には、評価部67は、スピレージの排出量により評価した合計摩耗量が所定値以上となった場合に、ミル10における粉砕に要する動力、及びミル10における圧力状態の少なくともいずれか一方を用いて、評価した摩耗量を補正することがより好ましい。スピレージの排出量により評価した摩耗量が所定値以上となった場合とは、図14に示すようにスピレージの排出量が閾値c以上となった場合に対応している。このため閾値cは、スピレージの排出量によって摩耗評価する場合と、スピレージの排出量とその他の情報により摩耗評価をする場合との境界として設定される。なお、閾値cについては、閾値aと等しい値としてもよいし異なる値としてもよい。
ミル10における粉砕に要する動力とは、具体的には回転テーブル12を駆動する駆動部14における動力(電力)である。すなわち、駆動部14において回転駆動するためのモータの動力(ミル動力)となる。ミル動力については、ミルモータに流れる電流を計測し、該電流値から導出することができる。ミル動力は、ミル10における粉砕状態、すなわち摩耗状態と相関関係を有している。図12に、ミル動力と合計摩耗量との関係の一例を示す。図12に示すように、摩耗が進行するにしたがって、粉砕に多くの電力を必要とするため、ミル動力は増加する。図12のようなミル動力と合計摩耗量との関係は、予め行った事前試験や仕様が類似した他のミルの実績等によって取得される。ミル動力と合計摩耗量との関係は、スピレージの排出量が閾値c以上となり、ミル動力の少量の増加に対して精度よく合計摩耗量の増加量を推定できるものである。
ミル10における圧力状態とは、ミル10内における一次空気の流れ方向において、ミル10に対する上流側と下流側の圧力差である。具体的には、回転テーブル12の下部領域とミル10の出口19付近の上部領域との圧力の差(テーブル差圧)である。なお、圧力状態については、ミル10内へ流入する一次空気とミル10から排出される一次空気との差圧としてもよい。ミル10における圧力状態は、ミル10における粉砕状態、すなわち摩耗状態と相関関係を有している。図13に、テーブル差圧と合計摩耗量との関係の一例を示す。図13に示すように、摩耗が進行するにしたがって、粗粒燃料が増加して燃料が排出されにくくなるため、テーブル差圧は増加する。図13のようなテーブル差圧と合計摩耗量との関係は、予め行った事前試験や仕様が類似した他のミルの実績等によって取得される。テーブル差圧と合計摩耗量との関係は、スピレージの排出量が閾値c以上となり、テーブル差圧の少量の増加に対して精度よく合計摩耗量の増加量を推定できるものである。
本実施形態では、ミル動力を用いる場合について説明する。なお、テーブル差圧を用いることとしてもよいし、ミル動力とテーブル差圧の両方を使用することとしてもよい。
評価部67は、図14に示すように、スピレージの排出量が閾値c以上となった場合(推定される合計摩耗量が所定値以上となった場合)に、閾値cにおけるミル動力の基準値と合計摩耗量の基準値として参照して取得する。ミル動力は、ミルモータ電流の計測値に基づいて取得される。そして、ミル10の運転の経過に伴い、評価部67は、図12のようなミル動力と合計摩耗量との関係に基づいて、取得したミル動力の基準値からの増加量に対応する合計摩耗量の増加量を特定して、合計摩耗量の基準値に加えることで合計摩耗量を推定する。(以下、この方法をミル動力に基づく合計摩耗量と記載する。)スピレージの排出量に基づいて評価した合計摩耗量の補正方法については、例えば、閾値c以上の領域については、ミル動力に基づく合計摩耗量を用いることとしてもよい。また、スピレージの排出量に基づく合計摩耗量と、ミル動力に基づく合計摩耗量との平均を合計摩耗量としてもよい。また、スピレージの排出量に基づく合計摩耗量が所定値以上となっている場合に、ミル動力に基づく合計摩耗量についても該所定値以上である場合に、合計摩耗量が所定値以上となっていると判断することとしてもよい。また、スピレージの排出量に基づく合計摩耗量が摩耗限界に達する時間と、ミル動力(及び/またはテーブル差圧)に基づく合計摩耗量が摩耗限界に達する時間とを比較して、より短い方を摩耗限界へ達するまでの時間(余寿命)と推定することとしてもよい。
ミル動力やテーブル差圧に基づく合計摩耗量は、直接的な相対関係を予め行った事前試験などにより得たものなので、高い精度で合計摩耗量を推定できるが、ミル動力やテーブル差圧では合計摩耗量が少ない状態からの長期間にわたるミル10の運転に対して評価を行うことが困難である。このため、摩耗量が所定値(閾値c)未満の領域では、スピレージの排出量によって閾値cになるまでの評価を行い、摩耗量が所定値の閾値c以上の領域では、スピレージの排出量だけでなくミル動力やテーブル差圧も用いて摩耗評価を行うことによって、より効果的に摩耗評価を行うことが可能となる。なお、摩耗限界に近い領域では、ミル動力やテーブル差圧による摩耗評価の方が正確である場合があるため、所定値以上の領域においてミル動力やテーブル差圧を用いることで評価の精度を向上させることが可能となる。
そして、評価部67は、スピレージ排出量に基づいて、ミル10における余寿命を評価する。上述のように、評価部67では合計摩耗量を評価することができる。このため、評価部67は、過去所定期間内における合計摩耗量の評価点の推移を摩耗速度として評価することができる。また、評価部67は、過去所定期間内における合計摩耗量の評価点の推移(摩耗速度)に基づいて、合計摩耗量が摩耗限界へ到達するまでの時間(余寿命)を推定する。例えば、過去所定期間における合計摩耗量に対する評価点に基づいて近似線(直線近似や曲線近似)を引き、該近似線が摩耗限界へ到達するまでの期間を余寿命として推定する。なお、評価した合計摩耗量に基づいて余寿命が評価されれば、上記のような評価方法に限定されない。
このように、評価部67では、摩耗状況に基づいて、余寿命を評価することができる。余寿命の更新については、予め設定した時間間隔で行うこととしてもよいし、運転員等によって手動で更新指示がされてもよい。
本実施形態では、ミル10へ供給される固体燃料に対して、検出部61と評価部67で、合計摩耗量の推定と、ミル10の余寿命を評価することができる。また、評価部67において、ミル10の運転状態(累積運転時間や、使用燃料種、運転負荷、過去の計測による摩耗量等)に基づいて、余寿命を補正することとしてもよい。例えば、使用燃料種の違いによるミル動力(及び/またはやテーブル差圧)の違いをミル動力に基づく合計摩耗量に反映して推定してもよい。
評価部67において評価した摩耗量や摩耗速度、余寿命については、ディスプレイ等の表示装置に表示させ、運転員等に通知することとしてもよい。
また、摩耗量や摩耗速度、余寿命などの情報は、インターネットなどを経由して製造メーカ等に設置した遠隔監視装置へ送信して、ミル運転状況の監視に利用してもよい。また、スピレージの排出量や算出した摩耗速度、余寿命が急速に変化した場合には、異常発生の連絡を行い、異常を回避するようにミル10の運転状態を変更可能な運転条件(ジャーナル油圧荷重、給炭量、分級機の回転数、回転テーブル回転数、搬送ガス流量など)を運転員へ提案できるようにしてもよい。
次に、上述の制御部60による摩耗評価処理の一例について図15を参照して説明する。図15は、本実施形態に係る摩耗評価処理の手順の一例を示すフローチャートである。図15に示すフローは、例えば、運転員等によって摩耗評価の開始指示がされた場合に実行される。なお、摩耗評価処理は、運転員等による開始指示がなくとも、定期的に実行されることとしてもよい。
まず、スピレージがミル10から排出されるときの音に関する信号を取得する(S101)。例えば、S101では、音検出素子82において検出した信号が取得される。
次に、取得した信号をパルス信号へ変換する(S102)。これによって、雑音が排除され、スピレージがシュート72と通過するときに発生する音に基づいてパルス信号が生成される。
次に、変換したパルス信号に基づいてパルス数をカウントする(S103)。例えば、所定期間内において発生したパルスの数をカウントする。
次に、パルス数に基づいて、スピレージの排出量を演算する(S104)。例えば、パルス数とスピレージの排出量との関係を表す対応情報に基づいて、スピレージの排出量が演算される。
次に、スピレージの排出量に基づいて、合計摩耗量を評価する(S105)。例えば、スピレージの排出量と合計摩耗量との関係を表す関係情報に基づいて、合計摩耗量が演算により推定される。
このように合計摩耗量が推定されるため、合計摩耗量によって摩耗速度が推定されてもよいし、余寿命が推定されてもよい。
ミル動力やテーブル差圧を用いて摩耗評価を行う場合には、例えば図16に示すフローのように処理が実行される。なお、図16のフローにおいて、図15のフローと同一の処理については同一の符号を付し、説明を省略する。
スピレージの排出量を演算後、スピレージの排出量が閾値(閾値c)以上であるか否かを判定する(S204)。スピレージの排出量が閾値以上でない場合(S204のNO判定)には、スピレージの排出量に基づいて、合計摩耗量を評価する(S105)。
スピレージの排出量が閾値以上である場合(S204のYES判定)には、スピレージの排出量に加えて、ミル動力(及び/またはテーブル差圧)を用い合計摩耗量を評価する(S205)。S205では、スピレージの排出量に基づいて評価した合計摩耗量を、ミル動力(及び/またはテーブル差圧)を用いて補完し、評価精度を向上させている。このように合計摩耗量が演算で推定された後に、合計摩耗量によって摩耗速度が推定されてもよいし、余寿命が推定されてもよい。
次に、上述の摩耗評価処理による効果について図17を参照して説明する。図17は、縦軸を合計摩耗量として、横軸を時間(ミル10の累積運転時間)としている。そして、図17には、本実施形態における摩耗評価処理により推定した合計摩耗量の推移をL1として実線で示している。図17では、固体燃料の種類(炭種情報や燃料種類情報など)の切り替えを考慮しないで摩耗量を推定した場合を参考例し、参考例の場合において推定された合計摩耗量の推移をLeとして破線で示している。参考例のような合計摩耗量の推移Leは、例えば、ミル10の運転を一時停止して内部点検などにより、ローラ13やテーブルライナ12aの摩耗量を計測したときの結果を利用して、直線で推定したものである。図17では、燃料が、F1、F2(高摩耗燃料)、F3(低摩耗燃料)、F1の順に切り替えられる場合を例としている。
図17に示すように、参考例のように合計摩耗量を推定した場合には、固体燃料の種類の切り替え等の変更を反映しないため、一定の傾きで摩耗量が増加していると仮定して推定したものである。しかしながら、実際の運転では、固体燃料の種類が切り替わる等によって摩耗の進行状況は変化する。本実施形態における摩耗評価処理では、固体燃料の種類の切り替わりに対応して、ミル10の累積運転時間に対応した合計摩耗量の進行状況を推定することができる。このため、累積運転時間がT1の時点において、参考例では摩耗限界に達しているのに対して、本実施形態では、摩耗量M1と推定され、さらに点線で示した累積運転時間の経過での合計摩耗量はT2の時点で摩耗限界に達すると予想される。このため、参考例ではT1の時点で交換等を行う必要があると判断されていたが、本実施形態では、T2の時点で交換等を行う必要があると判断されるため、運転時間を延長することが可能となる。このため、同じローラ13やテーブルライナ12aであっても、図17の摩耗量ΔM分だけ有効に使用することが可能となる。
以上説明したように、本実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムによれば、より精度よく摩耗評価を行うことが可能となる。固体燃料はミル(粉砕部)10において粉砕されて微粉燃料となって搬送ガスによってバーナ部(燃焼装置)220へ搬送されるが、ミル10における摩耗状態によって、十分に粉砕が行われない場合がある。すなわち、摩耗状態と、搬送ガスによりバーナ部220へ搬送されずミル10から排出されるスピレージ(排出物)の排出量とは相関関係を有している。このため、スピレージにより摩耗評価を行うことが可能となる。ミル10における摩耗状態を直接計測することなく、合計摩耗量を推定して摩耗評価を行うことが可能となるため、定期的に固体燃料粉砕装置100を停止及びミル10を開放してローラ13やテーブルライナ12aの摩耗状態を直接計測する作業が不要となる。これによって、固体燃料粉砕装置100の稼働率を向上させることが可能となる。また、ミル10における狭く、粉塵が存在する環境でのミル10内部での摩耗状況の直接計測作業が省略されることになり、作業者の負担軽減に寄与する。運転累積時間における短い時間間隔で合計摩耗量の進行状況の推定ができることから、ミル10の運用の途中で、炭種等の運転状況が変わった場合でも開放点検による摩耗状況の直接計測作業無しに摩耗状況の変化が推定でき、ローラ13やテーブルライナ12aの摩耗部品の交換時期や補修時期が高精度で予測可能となる。
排出物が排出されるときの音によるパルス信号のパルス数をカウントすることによって、排出される排出物の量を推定することが可能となる。予め事前試験などで設定されたパルス数と排出量との対応情報に基づくことで、カウントされたパルス数からスピレージの排出量を導出することが可能となる。固体燃料の種類や、固体燃料のサイズに対応するパルス数とスピレージの排出量との対応情報を用いることによって、パルス数からより正確にスピレージの排出量を得ることが可能となる。また、スピレージの排出量を実際に計測した計測値を用いることによって、パルス数とスピレージの排出量との対応情報を補正し、パルス数からより正確にスピレージの排出量を得ることが可能となる。予め事前試験などで設定されたスピレージとミル10における合計摩耗量との関係情報によることで、検出されたスピレージの排出量よりミル10における合計摩耗量を推定して摩耗量を評価することが可能となる。
排出量により評価した合計摩耗量が所定値以上となった場合には、ミル10におけるミル動力(粉砕に要する動力)、及びミル10におけるテーブル差圧(圧力状態)の少なくともいずれか一方を用いて摩耗量を補正することによって、より正確な摩耗量を得ることが可能となる。ミル10におけるミル動力や、ミル10におけるテーブル圧力では合計摩耗量が少ない状態からの長期間にわたるミル10の運転に対して評価を行うことが困難であるが、摩耗量が所定値(閾値c)未満の領域では、スピレージの排出量によって閾値cになるまでの評価を行い、摩耗量が所定値(閾値c)以上の領域では排出量の評価に対してミル10におけるミル動力や、ミル10におけるテーブル圧力で補正を行うことで、効果的に合計摩耗量を推定して摩耗評価を行うことが可能となる。
また、より正確に合計摩耗量を推定して摩耗評価を行うことができるため、摩耗評価の信頼性が低い場合を想定して余裕をもって補修や交換等を行う場合にはメンテナンスコスト等が増加する場合もあるが、信頼性の高い摩耗評価が可能となるため、余寿命の予想精度を考慮した余裕時間を少なくして余裕として残していた残肉厚も使い切ることが可能となる。このため、摩耗部材の交換サイクルをより延長することができ、メンテナンス頻度の低減となる。このため、ミル10の稼働率を向上してメンテナンスコストの低減ができると共に、部品の交換や補修を行うメンテナンス工事に伴って発生する廃棄物を削減できる。
上記例では、パルス信号からスピレージ排出量を演算する方法を例示して説明をしたが、スピレージ排出量を測定することができれば、音によるパルス信号によりスピレージ排出量を特定する場合に限定されない。具体的には、所定時間間隔でスピレージホッパ74において、またはスピレージホッパ74から排出して、スピレージの排出量の重量を計測することとしてもよい。また、スピレージホッパ74内にレベル計等を設けて置き、堆積したスピレージの容積からスピレージの排出量を計測することとしてもよい。また、スピレージホッパ74の重量を連続して計測することにより、増加した重量からスピレージの排出量を計測することとしてもよい。
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムについて説明する。
本実施形態では、将来の余寿命の変化推移を推定する。以下、本実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムについて、第1実施形態と異なる点について主に説明する。
本実施形態における制御部60では、図18に示すように、予測部68をさらに備える。
予測部68は、ミル10の運転状態(運転状態データ)と、運転状態に対応した余寿命推移特性とが予め蓄積されたデータベース(データベース70)、または現在の運用で蓄積されたデータベース(データベース70)に基づいて、評価部67において推定した余寿命の推移より将来の余寿命の推移を予測する。余寿命推移特性とは、運転状態によって推移する余寿命の特性を示した情報であり、具体的には後述する図19のA、B、Cに示すような運転時間と余寿命との相関関係を示した曲線特性(直線でもよい)である。すなわち、データベース70には、ミル10の過去または現在まで運転情報が格納されている。データベース70には、寿命推定対象のミル10の過去または現在までの運転データを格納することとしてもよいし、構成が類似する他のミル10の過去運転データを格納することとしてもよい。また、実運転データだけでなく、仮想的にシミュレーションしたデータをデータベース70に格納することとしてもよい。データベース70は制御部60に設けられてもよい(記憶部)し、別装置に設けられることとしてもよい。運転状態は、固体燃料の種類(炭種情報や燃料種類情報など)、固体燃料の供給量(給炭量)、ローラ13に掛かる荷重に関する情報(油圧荷重等の粉砕のために付加する荷重)、ミル10に設けられた分級機(回転式分級機16)の回転数(分級機回転数)、ミル10内へ流入するガス(搬送用ガス)とミル10から排出されるガス(微粉燃料と搬送用ガスの混合ガス)との差圧(テーブル差圧)、ミル10のミルモータ動力、運転時間、及びスピレージの排出量の少なくともいずれか1つを含む。差圧は、ミル10内の差圧(テーブル差圧)であり、ミル10の負荷状態を示す指標となる。例えば、テーブル差圧は、回転テーブル12の上側雰囲気と下側雰囲気との間で発生する。なお、運転状態としては、ローラ13やテーブルライナ12aの寿命に影響を与えるパラメータであれば上記に限定されず含むことができる。また、類似する運転状態同士で運転時間に対する余寿命の変化が所定の範囲内で一致していることで判断する。所定の範囲内で一致とは、例えば、明らかに突飛と判断される運転情報(推定する余寿命)を除いて±10%以内での一致があり、さらに好ましくは±5%以内での一致である。所定の範囲内で一致があれば、類似した運転状態のデータの中でも優先順位を上げて類似していると判断してもよい。
具体的には、予測部68は、データベース70を参照して、余寿命推定対象となっているミル10の運転状態に類似した運転状態のデータを選定し、類似した運転状態のデータに対応する余寿命推移特性を選定及び取得する。類似した運転状態のデータとは、余寿命推定対象となっているミル10の運転状態に対して、余寿命推定に対する余寿命影響度が類似すると推定される運転状態のデータである。例えば、運転状態として固体燃料の種類を用いて選定する場合には、余寿命推定対象となっているミル10の固体燃料に対して、余寿命への影響度の観点から運転時間に対する余寿命の変化への影響が似ていると想定される固体燃料を含む運転状態が、類似する運転状態となる。なお、運転状態の各パラメータにおいて、類似判断の優先順位を設定し、優先順位の高いパラメータ(例えば、固体燃料の種類やHGIなど)について類似判断へのウエイトを大きくして判断を行うこととしてもよい。
図19は、余寿命推定対象となっているミル10に対して、類似した運転状態の余寿命推移特性を複数選定した例である。図19では、余寿命推移特性として、選定された例として、特性Aを実線で示し、特性Bを破線で示し、及び特性Cを一点鎖線で示している。また後述する余寿命を推定する推移特性Eは余寿命を評価した結果の推移を太実線で示している。そして、図19では、余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した運転時間が経過した際の余寿命の推定結果であるE1(1回目の推定結果)、E2(2回目の推定結果)、En(n回目の推定結果)を示している。
予測部68は、選定した余寿命推移特性(A、B、C)の中から、余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した余寿命の推定結果のE1からEnまでの推定結果を基にした推移特性Eに類似する推移特性をもつ余寿命推移特性(A、B、C)を特定する。図19の例では、推定結果であるE1からEnまでの余寿命の推移特性Eが、特性Bに類似しているため、特性Bが特定される。このため、余寿命推定対象となっているミル10は、将来的に特性Bのように運転時間に対する余寿命特性が推移し、寿命到達時期Tbに達すると推定される。このように過去または現在までのデータベース70に対して推移特性Eを参照することで、将来の余寿命推移をミル10の運転状態も加味して予測することができるため、より精度よく余寿命を推定することが可能となる。余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した余寿命の推定結果の推移特性Eについては、竣工時から現在までの推移特性としてもよいし、現在から過去所定期間における推移特性としてもよいし、運転状態が大きく変化した(例えば固体燃料の種類が変化した)期間を選定して推移特性としてもよい。
なお、図19の例のように、余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した余寿命の推定結果の推移特性と、選定した余寿命推移特性とで完全に対応する場合でなくても、選定した余寿命推移特性の中から類似する推移特性が選定されればよい。また、選定した余寿命推移特性の中に余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した余寿命の推定結果の推移特性と類似する推移特性が過去または現在までのデータベース70にない場合には、選定した余寿命推移特性に基づいて予測をすることとしてもよい。例えば、図19において、余寿命推定対象となっているミル10に対する余寿命の推定結果の推移特性が特性Aと特性Bの間に特性A側との差と特性B側との差の比で位置している場合には、特性Aと特性Bとに基づいて、余寿命推定対象となっているミル10の将来の余寿命推移を予測することとしてもよい。この場合には、例えば、特性Aと特性Bの中間線を特性A側との差と特性B側との差の案分比が継続されると仮定して生成して余寿命推移予測を行うことでもよい。
なお、予測部68による処理(データベース70における類似した運転状態の選定や、選定した余寿命推移特性における余寿命推定対象となっているミル10に対して実施した余寿命の推定結果の推移特性に類似する推移特性をもつ余寿命推移特性の選定や、選定した余寿命推移特性に基づく将来の余寿命推移の予測)については、予め設定したアルゴリズムで処理してもよいし、AIを用いて適切に処理することとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムによれば、運転状態と余寿命推移特性とが対応づけられたデータベース70に基づくことで、評価部67において推定した余寿命の推移結果の推移特性に類似する推移特性をもつ余寿命推移特性を選定することにより、将来の余寿命の推移を予測することができる。将来の余寿命の推移をより正確に予測することができ、より適切なタイミングでメンテナンス(補修や交換等)を実施することができる。すなわち、より長くローラ13やテーブルライナ12aを使用することができるため、ミル10のメンテナンス頻度を低減させることができる。このため、メンテナンスコストを低減することができる。また、ミル10および発電プラント1の稼働率を向上させることができる。
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムについて説明する。
本実施形態では、推定された余寿命に基づいてメンテナンス計画を作成する。以下、本実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムについて、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。
本実施形態における制御部60では、図20に示すように、計画部69を備える。
計画部69は、推定された余寿命推移特性に基づいて、メンテナンス計画を行う。具体的には、評価部67において推定した余寿命や、予測部68において推定した余寿命から、将来のどの時期に寿命を完全に消費するかを判断して、計画部69でメンテナンス計画を行う。なお、上述のようにより正確に余寿命推移特性を推定することができるため、従来のような余裕をもった交換等のメンテナンス実施時期の計画よりも、寿命を完全に消費する以前のより適切な時期に適正な余裕をもって効率的なメンテナンス計画を立てることが可能となる。
計画部69では、例えば、推定される寿命到達時期に対して、所定期間前にメンテナンス計画を行う。所定期間とは、例えばメンテナンスを行うローラ13やテーブルライナ12aの手配から交換に要する時間までを所定期間とする等のメンテナンスを安全で効率的な工程で行うために必要な期間に基づいて所定期間を設定される。メンテナンス計画では、例えば、メンテナンス内容、メンテナンス時期に加えて、メンテナンス時期を調整するための運転方案、及び複数台のミル10における負荷分担調整の少なくとも1つを含んで計画を行う。
メンテナンス時期とは、推定された余寿命推移特性に基づいて設定されるローラ13やテーブルライナ12aの交換や補修をすべき適切な時期(推奨時期)である。メンテナンス時期は、例えば推定される寿命到達時期に対して過剰とならない所定の適正な余裕度を加味して設定される。
メンテナンス時期を調整するための運転方案とは、ミル10に対する運転方案であり、メンテナンス時期までの時間を調整するためのものである。例えば、ユーザのもとでメンテナンス時期がすでに設定されており、推定される寿命到達時期よりも後の時期に設定されている場合には、寿命を延長するための運転方案が計画される。具体的には、固体燃料の種類の変更や、固体燃料に粉砕する微粉度の緩和等である。運転状態を適切に変更することで、より安全で効率的な工程にてミル10の交換すべき部位の寿命を延ばし、適切な時期にメンテナンスを行うことが可能となる。なお、予め設定されたメンテナンス時期が推定される寿命到達時期よりも前の時期に設定されている場合には、余寿命の余裕が大きくならないようにミル10の負荷(粉砕処理をする固体燃料量、ミル容量負荷率)を上げる運転方案を計画することで、余寿命を有効に活用することとしてもよい。
複数台のミル10における負荷分担調整とは、発電プラント1に複数台設けられたミル10間で負荷分担を適切に調整することである。例えば、複数台におけるミル10のメンテナンス時期を合わせる、または段階的に時期を設定する(例えば、メンテナンス間隔を複数のミル10で等間隔とする)等のために各ミル10の負荷分担の調整を計画する。例えば固体燃料粉砕装置100として供給可能な微粉燃料の必用量の計画に対して、複数台のミル10のうち1台のミル10に対して予想された寿命到達時期が他のミル10と比較して早い場合には、該ミル10の負荷(粉砕処理をする固体燃料量)を低減して寿命到達時期を遅延させ、他のミル10の負荷を上昇して負担させることによって寿命到達時期を加速させるようにして、複数台のミル10の寿命到達時期を合わせるように調整して、複数台のミル10を同時に停止するメンテナンスを計画的に実施することができる。
図21は、メンテナンス計画に係るシステムの例である。図21のように、ユーザ側において、ミル10の余寿命推定情報が情報集約システム101に集約されており、装置メーカ側のサーバ102において、集約システムに集約された情報を取得し、計画システム103でメンテナンス計画を行い、ユーザへ提案を行う。またメンテナンス計画は複数のパターンについての複数のメンテナンス計画を行って、ユーザへ提案を行ってもよい。メンテナンス計画は、複数台のミル10に対して、停止してメンテナンスを実施するミル10の台数と時期、並びにメンテナンスまでのミル10の運転方案計画を組み合わせたメンテナンス計画である。ユーザは複数のメンテナンス計画から発電プラント1の運転計画に対して固体燃料粉砕装置100の最も適するメンテナンス実施時期を比較しながら選定することができる。なお、図21では計画部69が計画システム103として装置メーカ側に設けられる場合を例示しているが、ユーザにおける固体燃料粉砕装置側に設けられることとしてもよい。また、情報集約システム101が装置メーカ側に設けられることとしてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムによれば、推定された余寿命によりメンテナンス計画を行うことで、メンテナンスを設定する時期を複数の計画の選択案があるので余裕をもって計画を立てることができる。このため、ミル10及び発電プラント1の稼働率を向上させることができる。
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。なお、各実施形態を組み合わせることも可能である。すなわち、上記の第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態については、それぞれ組み合わせることも可能である。
以上説明した各実施形態に記載の摩耗評価システム及び固体燃料粉砕装置、並びに摩耗評価方法、並びに摩耗評価プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る摩耗評価システムは、粉砕部(10)において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置(220)へと搬出する固体燃料粉砕装置(100)の摩耗評価システムであって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置(220)へ搬出されず前記粉砕部(10)から排出される排出物の排出量を検出する検出部(61)と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部(10)に対する摩耗評価を行う評価部(67)と、を備える。
固体燃料は粉砕部(10)において粉砕されて微粉燃料となると搬送ガスによって燃焼装置(220)へ搬送されるが、粉砕部(10)におけるローラ(13)とテーブルライナ(12a)の摩耗状態によって、粉砕性能が低下する場合がある。すなわち、摩耗状態と、搬送ガスにより燃焼装置(220)へ搬送されず粉砕部(10)から排出される排出物の排出量とは相関関係を有している。このため、排出量により摩耗評価を行うことが可能となる。ここで、粉砕部(10)における摩耗状態を粉砕部(10)を開放して直接計測することなく、運転中においても摩耗評価を行うことが可能となるため、定期的に粉砕部(10)を停止及び開放して摩耗状態を直接計測する作業が不要となる。これによって、粉砕部(10)および固体燃料粉砕装置(100)の稼働率を向上させることが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記微粉燃料は、前記搬送ガスによって前記粉砕部(10)の上方から前記燃焼装置(220)へと搬出され、前記排出物は、前記粉砕部(10)の下方へ落下して前記粉砕部(10)から排出された落下物であることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、排出部は、搬送ガスによって粉砕部(10)の上方から燃焼装置(220)へと搬出されずに、粉砕部(10)の下方へ落下して粉砕部(10)から排出された落下物であるため、ローラ13やテーブルライナ12aの摩耗状態によって、粉砕性能が低下して粗粒燃料が増加して落下物が増加する場合がある。このため排出物が増加する場合がある。排出物の排出量と粉砕部(10)の摩耗状態とは相関を有し、排出物の排出量により摩耗評価を行うことが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記検出部(61)は、前記排出物が前記粉砕部(10)から排出されるときに発生する音に関する信号を取得する取得部(62)と、前記信号をパルス信号へ変換する変換部(63)と、前記パルス信号に基づいて、所定期間内における前記パルス信号の数をパルス数としてカウントするカウント部(64)と、を備えることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、排出物が排出されるときに発生する音によるパルス信号のパルス数をカウントすることによって、粉砕部(10)を運転しながら排出される排出物の排出量を推定することが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記検出部(61)は、予め設定された前記パルス数と前記排出量との対応情報に基づいて、カウントされた前記パルス数に基づいて前記排出量を演算する演算部(65)を備えることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、予め事前試験などにより設定されたパルス数と排出量との対応情報に基づくことで、カウントされたパルス数から排出物の排出量を導出することが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記演算部(65)は、前記粉砕部(10)へ供給される前記固体燃料の種類、及び前記粉砕部(10)へ供給される前記固体燃料のサイズの少なくともいずれか一方に対応する前記対応情報に基づいて、演算を行うこととしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、固体燃料の種類や、固体燃料のサイズに対応するパルス数と排出量との対応情報を用いることによって、パルス数からより正確に排出物の排出量を得ることが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記検出部(61)は、前記排出量の計測値に基づいて前記対応情報を補正する補正部(66)を備えることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、スピレージホッパ(74)などで計測が可能な排出量が累計された実際に計測した計測値を累積運転時間で対応させた関係を用いることによって、パルス数と排出量との対応情報を補正し、パルス数からより正確に排出物の排出量を得ることが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記評価部(67)は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部(10)における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部(10)における摩耗量を評価することとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、予め事前試験などにより設定された排出量と粉砕部(10)における摩耗量との関係情報によることで、検出された排出量より粉砕部(10)における摩耗量を評価することが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記評価部(67)は、前記排出量により評価した前記摩耗量が所定値以上となった場合に、前記粉砕部(10)における粉砕に要する動力、及び前記粉砕部(10)における圧力状態の少なくともいずれか一方を用いて評価した前記摩耗量を補正することとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、排出量により評価した摩耗量が所定値以上となった場合には、予め設定された摩耗量と粉砕部(10)における粉砕に要する動力の関係情報、及び予め設定された摩耗量と粉砕部(10)における圧力状態の関係情報の少なくともいずれか一方を用いて摩耗量を補正することによって、より正確な摩耗量を得ることが可能となる。粉砕部(10)における粉砕に要する動力や、粉砕部(10)における圧力状態では摩耗量が少ない状態からの長期間にわたる粉砕部(10)の運転に対して評価を行うことが困難であるが、摩耗量が所定値未満の領域では、排出物の排出量によって評価を行い、摩耗量が所定値以上の領域では排出量の評価に対して粉砕部(10)における粉砕に要する動力や、粉砕部(10)における圧力状態で補正を行うことで、評価の精度を向上させて、効果的に摩耗評価を行うことが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記圧力状態は、前記粉砕部(10)内における前記搬送ガスの流れ方向において、前記粉砕部(10)に対する上流側と下流側の圧力差であることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、圧力状態として、粉砕部(10)内における搬送ガスの流れ方向において粉砕部(10)に対する上流側と下流側の圧力差を用いることで、圧力差の増加により、摩耗状態が進行にともない粗粒燃料が増加して燃料が排出されにくくなる状況を把握することができるので、より効果的に摩耗評価を行うことが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記評価部(67)は、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部(10)における余寿命を評価することとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、摩耗状態と排出物の排出量とは相関を有しているため、排出量に基づいて摩耗状態を演算し、この摩耗状態から粉砕部(10)における摩耗限界へ達するまでの時間を推定して、余寿命を評価することが可能となる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記固体燃料粉砕装置(100)の運転状態データと、前記運転状態データに対応して運転時間と余寿命との関係を示した余寿命推移特性とが予め蓄積されたデータベースに基づいて、評価した余寿命の推移より将来の余寿命の推移を予測する予測部(68)を備えることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、運転状態データと、運転状態データに対応して運転時間と余寿命との関係情報を示した余寿命推移特性とが対応づけられたデータベース(70)に基づくことで、評価した余寿命の推移より類似した運転状態のデータに対応する余寿命推移特性を選定及び取得することで、将来の余寿命の推移を予測することができる。将来の余寿命の推移をより正確に予測することができ、より適切なタイミングでメンテナンス(補修や交換等)を実施することができる。すなわち、より長く粉砕部(10)を使用することがでるため、メンテナンス頻度を低減させることができる。このため、メンテナンスコストを低減することができる。また、粉砕部(10)および固体燃料粉砕装置(100)の稼働率を向上させることができる。
本開示に係る摩耗評価システムは、前記運転状態データは、固体燃料の種類、固体燃料の供給量、粉砕のために付加する荷重、前記粉砕部(10)に設けられた分級機の回転数、前記粉砕部(10)内へ流入するガスと前記粉砕部(10)から排出されるガスとの差圧、前記粉砕部(10)の動力、運転時間、及び前記排出量の少なくともいずれか1つを含むこととしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、固体燃料の種類、固体燃料の供給量、粉砕のために付加する荷重、粉砕部(10)に設けられた分級機の回転数、粉砕部(10)内へ流入するガスと粉砕部(10)から排出されるガスとの差圧、粉砕部(10)の動力、運転時間、及び排出物の排出量は、余寿命に影響を与える因子である。このため、運転状態データとして、固体燃料の種類、固体燃料の供給量、粉砕のために付加する荷重、粉砕部(10)に設けられた分級機の回転数、粉砕部(10)内へ流入するガスと粉砕部(10)から排出されるガスとの差圧、粉砕部(10)の動力、運転時間、及び排出物の排出量の少なくともいずれか1つを用いることで、効果的に将来の余寿命の推移を予測することができる。
本開示に係る摩耗評価システムは、推定された前記粉砕部(10)の余寿命に基づいて、メンテナンス計画を行う計画部(69)を備えることとしてもよい。
本開示に係る摩耗評価システムによれば、推定された余寿命によりメンテナンス計画を作成することで、メンテナンス時期に余裕をもって計画を立てることができる。また、メンテナンス計画を複数のパターンについて行って、ユーザへ提案を行って最も適するメンテナンス実施時期を比較しながら選定してもよい。このため、稼働率を向上させることができる。メンテナンス計画では、例えば、メンテナンス内容とメンテナンス時期に加えて、メンテナンス時期を調整するための粉砕部(10)の運転方案(例えば炭種変更等)、複数台の粉砕部(10)における負荷分担調整などを行うことができる。
本開示に係る固体燃料粉砕装置(100)は、テーブルと、前記テーブルとの間で固体燃料を粉砕するローラと、上記の摩耗評価システムと、を備える。
本開示に係る摩耗評価方法は、粉砕部(10)において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置(220)へと搬出する固体燃料粉砕装置(100)の摩耗評価方法であって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置(220)へ搬出されず前記粉砕部(10)から排出される排出物の排出量を検出する工程と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部(10)に対する摩耗評価を行う工程と、を有する。
本開示に係る摩耗評価プログラムは、粉砕部(10)において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置(220)へと搬出する固体燃料粉砕装置(100)の摩耗評価プログラムであって、前記搬送ガスにより前記燃焼装置(220)へ搬出されず前記粉砕部(10)から排出される排出物の排出量を検出する処理と、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部(10)に対する摩耗評価を行う処理と、をコンピュータに実行させる。
1 :発電プラント
10 :ミル(粉砕部)
11 :ハウジング
12 :回転テーブル
12a :テーブルライナ
13 :ローラ
14 :駆動部(減速機)
14a :ミルモータ
16 :回転式分級機
16a :ブレード
17 :燃料供給部
18 :分級機モータ
19 :出口
20 :給炭機
21 :バンカ
22 :搬送部
23 :給炭機モータ
24 :ダウンスパウト部
30 :送風部
30a :熱ガス流路
30b :冷ガス流路
30c :熱ガスダンパ
30d :冷ガスダンパ
31 :一次空気通風機
32 :押込気通風機
34 :熱交換器
40 :状態検出部
41 :底面部
42 :天井部
45 :ジャーナルヘッド
47 :支持アーム
48 :支持軸
49 :押圧装置
51 :ハブ
52 :支持軸
53 :中間ピストン
54 :油圧荷重部
55 :ローラ支持部
56 :本体
57 :突起部
58 :ストッパ
60 :制御部(摩耗評価システム)
61 :検出部
62 :取得部
63 :変換部
64 :カウント部
65 :演算部
66 :補正部
67 :評価部
68 :予測部
69 :計画部
71 :スクレーパ
72 :シュート
73 :入口弁
74 :スピレージホッパ
75 :排出弁
81 :音響絶縁材
82 :音検出素子
83 :接触板
100 :固体燃料粉砕装置
100a :一次空気流路
100b :供給流路
101 :情報集約システム
102 :サーバ
103 :計画システム
110 :CPU
120 :ROM
130 :RAM
140 :HDD
150 :通信部
180 :バス
200 :ボイラ
210 :火炉
220 :バーナ部(燃焼装置)

Claims (16)

  1. 粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価システムであって、
    前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する検出部と、
    検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う評価部と、
    を備え
    前記評価部は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価システム。
  2. 前記微粉燃料は、前記搬送ガスによって前記粉砕部の上方から前記燃焼装置へと搬出され、
    前記排出物は、前記粉砕部の下方へ落下して前記粉砕部から排出された落下物である請求項1に記載の摩耗評価システム。
  3. 前記検出部は、
    前記排出物が前記粉砕部から排出されるときに発生する音に関する信号を取得する取得部と、
    前記信号をパルス信号へ変換する変換部と、
    前記パルス信号に基づいて、所定期間内における前記パルス信号の数をパルス数としてカウントするカウント部と、
    を備える請求項1または2に記載の摩耗評価システム。
  4. 前記検出部は、予め設定された前記パルス数と前記排出量との対応情報に基づいて、カウントされた前記パルス数に基づいて前記排出量を演算する演算部を備える請求項3に記載の摩耗評価システム。
  5. 前記演算部は、前記粉砕部へ供給される前記固体燃料の種類、及び前記粉砕部へ供給される前記固体燃料のサイズの少なくともいずれか一方に対応する前記対応情報に基づいて、演算を行う請求項4に記載の摩耗評価システム。
  6. 前記検出部は、前記排出量の計測値に基づいて前記対応情報を補正する補正部を備える請求項4または5に記載の摩耗評価システム。
  7. 前記検出部は、
    前記粉砕部から排出された前記排出物の重量、容積、及び増加重量のいずれか一つから前記排出物の前記排出量を検出する、
    請求項1または2に記載の摩耗評価システム。
  8. 前記評価部は、前記排出量により評価した前記摩耗量が所定値以上となった場合に、前記粉砕部における粉砕に要する動力、及び前記粉砕部における圧力状態の少なくともいずれか一方を用いて評価した前記摩耗量を補正する請求項に記載の摩耗評価システム。
  9. 前記圧力状態は、前記粉砕部内における前記搬送ガスの流れ方向において、前記粉砕部に対する上流側と下流側の圧力差である請求項8に記載の摩耗評価システム。
  10. 前記評価部は、検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部における余寿命を評価する請求項1から9のいずれか1項に記載の摩耗評価システム。
  11. 前記固体燃料粉砕装置の運転状態データと、前記運転状態データに対応して運転時間と余寿命との関係を示した余寿命推移特性とが予め蓄積されたデータベースに基づいて、評価した余寿命の推移より将来の余寿命の推移を予測する予測部を備える請求項10に記載の摩耗評価システム。
  12. 前記運転状態データは、固体燃料の種類、固体燃料の供給量、粉砕のために付加する荷重、前記粉砕部に設けられた分級機の回転数、前記粉砕部内へ流入するガスと前記粉砕部から排出されるガスとの差圧、前記粉砕部の動力、運転時間、及び前記排出量の少なくともいずれか1つを含む請求項11に記載の摩耗評価システム。
  13. 推定された前記粉砕部の余寿命に基づいて、メンテナンス計画を行う計画部を備える請求項10から12のいずれか1項に記載の摩耗評価システム。
  14. テーブルと、
    前記テーブルとの間で固体燃料を粉砕するローラと、
    請求項1から13のいずれか1項に記載の摩耗評価システムと、
    を備える固体燃料粉砕装置。
  15. 粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価方法であって、
    前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する工程と、
    検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う工程と、
    を有し、
    前記摩耗評価を行う工程は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価方法。
  16. 粉砕部において固体燃料を粉砕して微粉燃料とし、前記微粉燃料を搬送ガスにより燃焼装置へと搬出する固体燃料粉砕装置の摩耗評価プログラムであって、
    前記搬送ガスにより前記燃焼装置へ搬出されず前記粉砕部から排出される排出物の排出量を検出する処理と、
    検出された前記排出量に基づいて、前記粉砕部に対する摩耗評価を行う処理と、
    をコンピュータに実行させ、
    前記摩耗評価を行う処理は、予め設定された前記排出量と前記粉砕部における摩耗量との関係情報に基づいて、検出された前記排出量より前記粉砕部における摩耗量を評価する摩耗評価プログラム。
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